光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システム
【課題】同じ光分散補償装置で双方向の光の波長分散を補償すること。
【解決手段】第1の光デバイス2は、第1ポートP1、第2ポートP2および第3ポートP3を有する。第1ポートP1から入力される光は、第2ポートP2から出力される。第2ポートP2から入力される光は、第3ポートP3から出力される。光フィルタ型分散補償デバイス3には、第1の光デバイス2の第2ポートP2からの光が入力される。光フィルタ型分散補償デバイス3は、入力された光に対して波長分散を補償する。第2の光デバイス4は、第4ポートP4、第5ポートP5および第6ポートP6を有する。第4ポートP4には、光フィルタ型分散補償デバイス3からの光が入力される。第4ポートP4から入力される光は、第5ポートP5から出力される。第6ポートP6から入力される光は、第4ポートP4から出力される。
【解決手段】第1の光デバイス2は、第1ポートP1、第2ポートP2および第3ポートP3を有する。第1ポートP1から入力される光は、第2ポートP2から出力される。第2ポートP2から入力される光は、第3ポートP3から出力される。光フィルタ型分散補償デバイス3には、第1の光デバイス2の第2ポートP2からの光が入力される。光フィルタ型分散補償デバイス3は、入力された光に対して波長分散を補償する。第2の光デバイス4は、第4ポートP4、第5ポートP5および第6ポートP6を有する。第4ポートP4には、光フィルタ型分散補償デバイス3からの光が入力される。第4ポートP4から入力される光は、第5ポートP5から出力される。第6ポートP6から入力される光は、第4ポートP4から出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上り方向と下り方向とで異なる波長の光信号を伝送することにより双方向の光通信を行う伝送装置において、双方向に伝送される光信号の伝送経路を、合波器によって一方向に単一化することにより、双方向の波長多重光通信を行なう光伝送装置が知られている。このような光伝送装置において、例えば、単一方向化された上り方向、下り方向の波長の異なる各光信号についての分散を一括して補償する一括分散補償部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、広帯域の波長多重信号光に対する波長分散を補償可能にする装置が知られている。例えば、波長多重信号光を分波して各波長帯用の光ファイバ増幅部に送り、各可変光減衰器を通過した各波長帯の信号光を一旦合波して分散補償ファイバ(DCF)に送り、各波長帯に対する分散補償を一括して補償する光増幅器が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−127121号公報
【特許文献2】特開2000−78081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、上り方向と下り方向とで光の入出力方向が単一化されていない場合、上り方向の光における波長分散と下り方向の光における波長分散とを同じ光分散補償装置で補償することができないという問題点がある。また、上り方向と下り方向とで光の波長が同じ場合、上り方向の光における波長分散と下り方向の光における波長分散とを同じ光分散補償装置で補償することができないという問題点がある。また、ガードバンドとして帯域を割り当てて波長帯域を分離するため、連続した帯域に対して波長分散を補償するのは困難であるという問題点がある。さらに、分散補償ファイバには、挿入損失が大きいという特性と、レーリー散乱によって逆方向への戻り光が発生しやすいという特性がある。従って、分散補償ファイバを用いる構成では、上り方向と下り方向とで光の波長が同じであると、コヒーレントクロストークを生じることとなるため、信号品質が劣化するという問題点がある。
【0006】
上り方向の光および下り方向の光の両方に対して波長分散を補償することができる光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムは、第1の光デバイス、光フィルタ型分散補償デバイスおよび第2の光デバイスを含む。第1の光デバイスは、第1ポート、第2ポートおよび第3ポートを有する。第1ポートから入力される光は、第2ポートから出力される。第2ポートから入力される光は、第3ポートから出力される。光フィルタ型分散補償デバイスには、第1の光デバイスの第2ポートからの光が入力される。光フィルタ型分散補償デバイスは、入力された光に対して波長分散を補償する。第2の光デバイスは、第4ポート、第5ポートおよび第6ポートを有する。第4ポートには、光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される。第4ポートから入力される光は、第5ポートから出力される。第6ポートから入力される光は、第4ポートから出力される。
【0008】
この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムによれば、光フィルタ型分散補償デバイスは、第1の光デバイスから入力される光に対して波長分散を補償する。光フィルタ型分散補償デバイスは、第2の光デバイスから入力される光に対して波長分散を補償する。
【発明の効果】
【0009】
この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムによれば、上り方向の光および下り方向の光の両方に対して同じ光分散補償装置によって波長分散を補償することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第1の例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第2の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第3の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第4の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第5の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第6の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第1の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第2の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第3の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第4の例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第1の例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第2の例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第3の例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第4の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第5の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第6の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
(実施の形態1)
・光分散補償装置の第1の例
図1は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第1の例を示す図である。図1に示すように、第1の例の光分散補償装置1は、第1の光デバイス2、光フィルタ型分散補償デバイス3および第2の光デバイス4を備えている。第1の光デバイス2は、第1ポートP1、第2ポートP2および第3ポートP3を有する。第1ポートP1から入力される光は、第2ポートP2から出力される。第2ポートP2から入力される光は、第3ポートP3から出力される。第2ポートP2は、光フィルタ型分散補償デバイス3に接続されている。第1の光デバイス2として、例えば光サーキュレータを用いることができる。
【0013】
第2の光デバイス4は、第4ポートP4、第5ポートP5および第6ポートP6を有する。第4ポートP4から入力される光は、第5ポートP5から出力される。第6ポートP6から入力される光は、第4ポートP4から出力される。第4ポートP4は、光フィルタ型分散補償デバイス3に接続されている。第2の光デバイス4として、例えば光サーキュレータを用いることができる。
【0014】
光フィルタ型分散補償デバイス3は、例えば2個のポートを有する。一方のポートは、第1の光デバイス2の第2ポートP2に接続されている。他方のポートは、第2の光デバイス4の第4ポートP4に接続されている。光フィルタ型分散補償デバイス3は、第1の光デバイス2の第2ポートP2から入力され、第2の光デバイス4の第4ポートP4へ出力される光に対して波長分散を補償する。光フィルタ型分散補償デバイス3は、第2の光デバイス4の第4ポートP4から入力され、第1の光デバイス2の第2ポートP2へ出力される光に対して波長分散を補償する。光フィルタ型分散補償デバイス3は、損失が小さく、反射が少ないという特性を有する。光フィルタ型分散補償デバイス3として、例えばエタロン(干渉フィルタ)型の分散補償器を用いることができる。一般に、エタロン(干渉フィルタ)型の分散補償器において、損失は−5dB以下であり、反射減衰量は−45dB以下である。
【0015】
このような構成において、第1の光デバイス2の第1ポートP1、第1の光デバイス2の第2ポートP2、光フィルタ型分散補償デバイス3、第2の光デバイス4の第4ポートP4および第2の光デバイス4の第5ポートP5の順に光が進む方向をA方向とする。また、第2の光デバイス4の第6ポートP6、第2の光デバイス4の第4ポートP4、光フィルタ型分散補償デバイス3、第1の光デバイス2の第2ポートP2および第1の光デバイス2の第3ポートP3の順に光が進む方向をB方向とする。
【0016】
A方向へ進む光の一部は、光フィルタ型分散補償デバイス3で反射されて第1の光デバイス2の第2ポートP2へ戻ることがあるが、光フィルタ型分散補償デバイス3の低反射特性により、光フィルタ型分散補償デバイス3から戻る光のレベルは十分に小さい。また、A方向へ進む光の一部は、レーリー散乱やその他の影響によって第2の光デバイス4よりも先(図1において右側)で反射されて第2の光デバイス4の第5ポートP5へ戻ることがある。第2の光デバイス4は、第5ポートP5から第4ポートP4へ出力される光(A方向へ進む光の戻り光)のレベルを、B方向へ進む光、すなわち第6ポートP6から第4ポートP4へ出力される本来の光の信号品質へ影響しないレベルまで抑圧する。従って、B方向のコヒーレントクロストークが抑圧される。
【0017】
A方向のコヒーレントクロストークについても同様である。B方向へ進む光の一部は、光フィルタ型分散補償デバイス3で反射されて第2の光デバイス4の第4ポートP4へ戻ることがあるが、光フィルタ型分散補償デバイス3から戻る光のレベルは十分に小さい。また、B方向へ進む光の一部は、第1の光デバイス2よりも先(図1において左側)で反射されて第1の光デバイス2の第3ポートP3へ戻ることがある。第1の光デバイス2は、第3ポートP3から第2ポートP2へ出力される光(B方向へ進む光の戻り光)のレベルを、A方向へ進む光、すなわち第1ポートP1から第2ポートP2へ出力される本来の光の信号品質へ影響しないレベルまで抑圧する。従って、A方向のコヒーレントクロストークが抑圧される。
【0018】
A方向およびB方向のそれぞれについて、クロストーク量の一例を示す。A方向の光入力パワーをPsigA(dBm)とし、B方向の光入力パワーをPsigB(dBm)とする。光サーキュレータ(第1の光デバイス2および第2の光デバイス4)の損失Lcirをそれぞれ例えば−1dBとし、分散補償器(光フィルタ型分散補償デバイス3)の損失Ldcを例えば−5dBとし、光サーキュレータ(第1の光デバイス2および第2の光デバイス4)のダイレクティヴィティRcirをそれぞれ例えば−50dBとし、分散補償器(光フィルタ型分散補償デバイス3)の反射減衰量Rdcを例えば−45dBとする。
【0019】
この場合、A方向のクロストーク量は次の(1)式で表され、B方向のクロストーク量は次の(2)式で表される。
A方向クロストーク=−((PsigA+Lcir×2+Ldc)−(PsigB+10・log(10(Rcir/10)+10((Rdc+Lcir×2)/10)))) ・・・(1)
B方向クロストーク=−((PsigB+Lcir×2+Ldc)−(PsigA+10・log(10(Rcir/10)+10((Rdc+Lcir×2)/10)))) ・・・(2)
【0020】
ここで、PsigA=PsigBとし、上記(1)式および上記(2)式に、上述した各値を代入すると、次の(3)式および(4)式が得られる。
A方向クロストーク=−((−1×2−5)−(10・log(10(−50/10)+10(−47/10))))=−38.2[dB] ・・・(3)
B方向クロストーク=−((−1×2−5)−(10・log(10(−50/10)+10(−47/10))))=−38.2[dB] ・・・(4)
【0021】
一般に、コヒーレントクロストークが−25dBを超えると信号品質の劣化が顕著に現れてくることが知られている。従って、コヒーレントクロストークが信号品質に影響を及ぼさないようにするには、光の送信側および光の受信側のそれぞれにおいてコヒーレントクロストークを−28dB以下に抑えるのがよい。上記(3)式および上記(4)式より、A方向およびB方向のいずれもクロストークが−38.2dBであるので、−28dBよりも十分に小さい。
【0022】
・光分散補償装置の第2の例
図2は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第2の例を示す図である。図2に示すように、第2の例の光分散補償装置11は、前記光分散補償装置の第1の例において、第1の光デバイス12および第2の光デバイス14として光カプラ(CPL)を用いたものである。第1の光デバイス12および第2の光デバイス14の各光カプラにおいて、ポートP1〜P6の表記、並びに光が進むAおよびBの方向を、上述した光分散補償装置の第1の例と同じとする。
【0023】
A方向およびB方向のそれぞれについて、クロストーク量の一例を示す。第1の光カプラ(第1の光デバイス12)について、スルー損失Lcpl1_thを例えば−3dBとし、クロス損失Lcpl1_xを例えば10・log(1−10(Lcpl1_th/10))とする。第2の光カプラ(第2の光デバイス14)について、スルー損失Lcpl2_thを例えば−3dBとし、クロス損失Lcpl2_xを例えば10・log(1−10(Lcpl2_th/10))とする。光カプラ(第1の光デバイス12および第2の光デバイス14)のダイレクティヴィティRcplをそれぞれ−50dBとする。A方向およびB方向の各光入力パワーの表記、並びに分散補償器(光フィルタ型分散補償デバイス3)の損失Ldcおよび反射減衰量Rdcを、上述した光分散補償装置の第1の例と同じとする。
【0024】
この場合、A方向のクロストーク量は次の(5)式で表され、B方向のクロストーク量は次の(6)式で表される。
A方向クロストーク=−((PsigA+Lcpl1_th+Ldc+Lcpl2_x)−(PsigB+10・log(10(Rcpl/10)+10((Lcpl2_th+Rdc+Lcpl2_x)/10)))) ・・・(5)
B方向クロストーク=−((PsigB+Lcpl2_th+Ldc+Lcpl1_x)−(PsigA+10・log(10(Rcpl/10)+10((Lcpl1_th+Rdc+Lcpl1_x)/10)))) ・・・(6)
【0025】
ここで、PsigA=PsigBとし、上記(5)式および上記(6)式に、上述した各値を代入すると、次の(7)式および(8)式が得られる。これら(7)式および上記(8)式より、A方向およびB方向のいずれもクロストークが−36.5dBであるので、−28dBよりも十分に小さい。
A方向クロストーク=−((−3−5−3)−(10・log(10(−50/10)+10(−51/10))))=−36.5[dB] ・・・(7)
B方向クロストーク=−((−1×2−5)−(10・log(10(−50/10)+10(−47/10))))=−36.5[dB] ・・・(8)
【0026】
・光分散補償装置の第3の例
図3は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第3の例を示す図である。図3に示すように、第3の例の光分散補償装置21は、前記光分散補償装置の第1の例において、光フィルタ型分散補償デバイス3に入力する光の入力レベルを調整する調整部25,26を追加したものである。第1の調整部25は、例えば第1の光デバイス2の第1ポートP1に接続されている。第1の調整部25として、例えば光増幅器を用いることができる。第2の調整部26は、例えば第2の光デバイス4の第6ポートP6に接続されている。第2の調整部26として、例えば光増幅器を用いることができる。調整部25,26によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができる。A方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとがおおよそ等しくなることによって、クロストークが適度に抑圧される。
【0027】
・光分散補償装置の第4の例
図4は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第4の例を示す図である。図4に示すように、第4の例の光分散補償装置31は、前記光分散補償装置の第2の例において、前記第3の例と同様に、調整部25,26を追加したものである。調整部25,26によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができるので、クロストークが適度に抑圧される。なお、第3の例または第4の例において、第1の調整部25および第2の調整部26のいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0028】
・光分散補償装置の第5の例
図5は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第5の例を示す図である。図5に示すように、第5の例の光分散補償装置41は、前記光分散補償装置の第3の例において、第1の調整部45および第2の調整部46として光減衰器(VOA)を用いたものである。調整部45,46によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができるので、クロストークが適度に抑圧される。
【0029】
・光分散補償装置の第6の例
図6は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第6の例を示す図である。図6に示すように、第6の例の光分散補償装置51は、前記光分散補償装置の第4の例において、前記第5の例と同様に、第1の調整部45および第2の調整部46として光減衰器を用いたものである。調整部45,46によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができるので、クロストークが適度に抑圧される。なお、第5の例または第6の例において、第1の調整部45および第2の調整部46のいずれか一方のみが設けられていてもよいし、いずれか一方が光増幅器であってもよい。
【0030】
実施の形態1によれば、光フィルタ型分散補償デバイス3が、第1の光デバイス2,12から入力される光に対して波長分散を補償し、第2の光デバイス4,14から入力される光に対して波長分散を補償する。従って、A方向の光およびB方向の光の両方に対して同じ光分散補償装置1〜51によって波長分散を補償することができる。従って、部品点数が減り、光分散補償装置が安価になる。また、光分散補償装置を小型化することができる。第1〜第6の例において、光分散補償装置が分散値を変化させる機能を備えていてもよい。
【0031】
(実施の形態2)
・光伝送装置の第1の例
図7は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第1の例を示す図である。図7に示すように、第1の例の光伝送装置101は、例えば光分散補償装置の第3の例において、第1の光デバイス2の第1ポートP1へ光を出力する光送信部(OS)102、および第1の光デバイス2の第3ポートP3からの光が入力される光受信部(OR)103を設けたものである。光送信部102は、第1の調整部25に接続されている。光受信部103は、第3ポートP3に接続されている。
【0032】
・光伝送装置の第2の例
図8は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第2の例を示す図である。図8に示すように、第2の例の光伝送装置111は、例えば光分散補償装置の第4の例において、光伝送装置の第1の例と同様に、光送信部102および光受信部103を設けたものである。光伝送装置の第1の例または第2の例において、光送信部102から出力される光の波長と光受信部103に入力される光の波長とが同じであってもよい。
【0033】
・光伝送装置の第3の例
図9は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第3の例を示す図である。図9に示すように、第3の例の光伝送装置121は、光伝送装置の第1の例において、複数の光送信部122a,・・・,122nからの光を光合波器124により合波して第1の光デバイス2の第1ポートP1へ入力させるようにしたものである。また、第3の例の光伝送装置121は、光伝送装置の第1の例において、第1の光デバイス2の第3ポートP3からの光を光分波器125により複数の光に分波して複数の光受信部123a,・・・,123nへ入力させるようにしたものである。
【0034】
・光伝送装置の第4の例
図10は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第4の例を示す図である。図10に示すように、第4の例の光伝送装置131は、光伝送装置の第2の例において、光伝送装置の第3の例と同様に、複数の光送信部122a,・・・,122n、光合波器124、光分波器125および複数の光受信部123a,・・・,123nを設けたものである。光伝送装置の第3の例または第4の例において、複数の光送信部122a,・・・,122nから出力される光と複数の光受信部123a,・・・,123nに入力される光とで、一部の波長が同じであってもよいし、全部の波長が同じであってもよい。また、光伝送装置の第3の例または第4の例において、光送信部122a,・・・,122nおよび光受信部123a,・・・,123nが設けられていなくてもよい。
【0035】
なお、光伝送装置の第1の例または第3の例において、光分散補償装置として、光分散補償装置の第1の例(図1参照)、第2の例(図2参照)、第4の例(図4参照)、第5の例(図5参照)または第6の例(図6参照)が用いられてもよい。光伝送装置の第2の例または第4の例において、光分散補償装置として、光分散補償装置の第1の例(図1参照)、第2の例(図2参照)、第3の例(図3参照)、第5の例(図5参照)または第6の例(図6参照)が用いられてもよい。また、第1の光デバイス2,12と光受信部103との間に光減衰器が設けられていてもよいし、第2の光デバイス4,14の第5ポートP5に光減衰器が接続されていてもよい。
【0036】
実施の形態2によれば、光伝送装置において、送信する光の波長分散と受信する光の波長分散とを単一の光分散補償装置によって補償することができる。また、クロストークを十分に抑圧することができるので、送信する光の波長と受信する光の波長が同じ場合でも、送信する光と受信する光の両方で同じ光分散補償装置を共通に用いることができる。従って、部品点数が減り、光伝送装置が安価になる。また、光伝送装置を小型化することができる。
【0037】
(実施の形態3)
・光伝送システムの第1の例
図11は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第1の例を示す図である。図11に示すように、第1の例の光伝送システム201は、第1の光伝送装置202、第2の光伝送装置203、第1の光伝送路204および第2の光伝送路205を備えている。第1の光伝送装置202として、例えば光伝送装置の第1の例(図7参照)が用いられている。第2の光伝送装置203は、例えば、第1の光伝送装置202から送られてくる光のレベルを例えば光増幅器などの調整部206で調整し、光受信部207で受信する。第2の光伝送装置203は、光送信部208から出力される光のレベルを例えば光増幅器などの調整部209で調整して第1の光伝送装置202へ出力する。第1の光伝送路204は、第1の光伝送装置202から第2の光伝送装置203へ光を伝送する。第2の光伝送路205は、第2の光伝送装置203から第1の光伝送装置202へ光を伝送する。第1の光伝送装置202の光送信部102が出力する光の波長と、第2の光伝送装置203の光送信部208が出力する光の波長とが同じであってもよい。
【0038】
・光伝送システムの第2の例
図12は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第2の例を示す図である。図12に示すように、第2の例の光伝送システム211は、光伝送システムの第1の例において、第2の光伝送装置213として、例えば光伝送装置の第1の例(図7参照)を用いたものである。
【0039】
・光伝送システムの第3の例
図13は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第3の例を示す図である。図13に示すように、第3の例の光伝送システム221は、光伝送システムの第2の例において、第1の光伝送装置202と第2の光伝送装置213との間の第1の光伝送路224a,224b,224c,224dおよび第2の光伝送路225a,225b,225c,225dの途中に、1個以上の光中継装置222a,222bを設けたものである。なお、図示例では、2個の光中継装置が示されているが、1個でもよいし、3個以上でもよい。光中継装置222a,222bとして、例えば光分散補償装置の第3の例(図3参照)が用いられている。光分散補償装置として、光分散補償装置の第1の例(図1参照)、第2の例(図2参照)、第4の例(図4参照)、第5の例(図5参照)または第6の例(図6参照)が用いられてもよい。また、第2の光伝送装置が、光伝送システムの第1の例(図11参照)と同様の構成であってもよい。
【0040】
光伝送システムの第3の例において、第1の光伝送装置202、光中継装置222a,222bおよび第2の光伝送装置213のそれぞれにおけるクロストークをQp_iとする。iは、1以上m以下の整数とする。mは、光伝送システムの両側の端局と、その間の中継局の数との合計値である。光伝送システム全体のクロストークQpは、次の(9)式で求められる。
Qp=10・log(10(Qp_1/10)+10(Qp_2/10)+・・・+10(Qp_(m−1)/10)+10(Qp_m/10)) ・・・(9)
【0041】
(9)式において、Qp_1、Qp_2、・・・、Qp_(m−1)およびQp_mを、例えば前記(3)式または前記(4)式で求めたように−38.2dBとすると、例えばコヒーレントクロストークが−25dBを超えないようにするには、mは20となる。つまり、両側の端局と、その間の中継局を合わせて20の局数で光伝送システムを構築することができる。
【0042】
光伝送システムの第2の例または第3の例において、第1の光伝送装置202の光送信部102が出力する光の波長と、第2の光伝送装置213の光送信部102が出力する光の波長とが同じであってもよい。また、光伝送システムの第1の例、第2の例または第3の例において、第1の光伝送装置202または第2の光伝送装置213として、例えば光伝送装置の第2の例(図8参照)が用いられてもよい。また、第1の光伝送装置202、光中継装置222a,222bおよび第2の光伝送装置213の全てにおいて波長の分散を補償してもよいし、波長の分散を補償しない装置が1個以上あってもよい。
【0043】
・光伝送システムの第4の例
図14は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第4の例を示す図である。図14に示すように、第4の例の光伝送システム231は、光伝送システムの第1の例において、第1の光伝送装置232として、例えば光伝送装置の第3の例(図9参照)を用いたものである。第2の光伝送装置233は、例えば、第1の光伝送装置232から送られてくる光のレベルを例えば光増幅器などの調整部236で調整し、光分波器237で分波して複数の光受信部で受信する。第2の光伝送装置233は、複数の光送信部から出力される光を光合波器238で合波し、合波された光のレベルを例えば光増幅器などの調整部239で調整して第1の光伝送装置232へ出力する。
【0044】
・光伝送システムの第5の例
図15は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第5の例を示す図である。図15に示すように、第5の例の光伝送システム241は、光伝送システムの第4の例において、第2の光伝送装置243として、例えば光伝送装置の第3の例(図9参照)を用いたものである。
【0045】
・光伝送システムの第6の例
図16は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第6の例を示す図である。図16に示すように、第6の例の光伝送システム251は、光伝送システムの第5の例において、光伝送システムの第3の例と同様に、1個以上の光中継装置222a,222bを設けたものである。光中継装置の数は、1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0046】
光伝送システムの第4の例、第5の例または第6の例において、第1の光伝送装置232の複数の光送信部が出力する光と、第2の光伝送装置233,243の複数の光送信部が出力する光とで、一部の波長が同じであってもよいし、全部の波長が同じであってもよい。また、第1の光伝送装置232または第2の光伝送装置243として、例えば光伝送装置の第4の例(図10参照)が用いられてもよい。
【0047】
実施の形態3によれば、光伝送システムの光伝送装置または光中継装置において、双方向の光の波長分散を同じ光分散補償装置によって補償することができる。また、クロストークを十分に抑圧することができるので、双方向の光の波長が同じ場合でも、双方向で同じ光分散補償装置を共通に用いることができる。従って、部品点数が減り、光伝送システムが安価になる。
【0048】
なお、実施の形態1〜3において、次のようにしてもよい。例えば、第1の光デバイスおよび第2の光デバイスとして、A方向の光路とB方向の光路を実現でき、かつ戻り光のレベルを本来の光の信号品質へ影響しないレベルまで抑圧することができれば、光サーキュレータや光カプラ以外の光デバイスを用いてもよい。また、光フィルタ型分散補償デバイスとして、損失が小さく反射が少ないという特性を有していれば、エタロン型の分散補償器以外の光デバイスを用いてもよい。
【0049】
上述した実施の形態1〜3に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0050】
(付記1)第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、を含むことを特徴とする光分散補償装置。
【0051】
(付記2)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする付記1に記載の光分散補償装置。
【0052】
(付記3)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光カプラであることを特徴とする付記1に記載の光分散補償装置。
【0053】
(付記4)前記光フィルタ型分散補償デバイスに入力する光の入力レベルを調整する調整部、をさらに含むことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光分散補償装置。
【0054】
(付記5)前記調整部は、光増幅器であることを特徴とする付記4に記載の光分散補償装置。
【0055】
(付記6)前記調整部は、光減衰器であることを特徴とする付記4に記載の光分散補償装置。
【0056】
(付記7)第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、を含むことを特徴とする光伝送装置。
【0057】
(付記8)前記光送信部から出力される光の波長と前記光受信部に入力される光の波長とが同じであることを特徴とする付記7に記載の光伝送装置。
【0058】
(付記9)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする付記7または8に記載の光伝送装置。
【0059】
(付記10)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光カプラであることを特徴とする付記7または8に記載の光伝送装置。
【0060】
(付記11)前記光フィルタ型分散補償デバイスに入力する光の入力レベルを調整する調整部、をさらに含むことを特徴とする付記7〜10のいずれか一つに記載の光伝送装置。
【0061】
(付記12)前記調整部は、光増幅器であることを特徴とする付記11に記載の光伝送装置。
【0062】
(付記13)前記調整部は、光減衰器であることを特徴とする付記11に記載の光伝送装置。
【0063】
(付記14)光を出力する第1の光伝送装置と、前記第1の光伝送装置から出力される光と同じ波長の光を出力する第2の光伝送装置と、前記第1の光伝送装置から出力される光を第2の光伝送装置へ伝送する第1の光伝送路と、前記第2の光伝送装置から出力される光を第1の光伝送装置へ伝送する第2の光伝送路と、を含み、前記第1の光伝送装置もしくは前記第2の光伝送装置、または前記第1の光伝送装置および前記第2の光伝送装置は、第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、を含むことを特徴とする光伝送システム。
【0064】
(付記15)前記第1の光伝送路および前記2の光伝送路の途中に1個以上の光中継装置、をさらに含み、1個以上の前記光中継装置が、前記第1の光デバイス、前記光フィルタ型分散補償デバイスおよび前記第2の光デバイスを含むことを特徴とする付記14に記載の光伝送システム。
【0065】
(付記16)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする付記14または15に記載の光伝送システム。
【符号の説明】
【0066】
P1 第1ポート
P2 第2ポート
P3 第3ポート
P4 第4ポート
P5 第5ポート
P6 第6ポート
1,11,21,31,41,51 光分散補償装置
2,12 第1の光デバイス
3 光フィルタ型分散補償デバイス
4,14 第2の光デバイス
25,26,45,46 調整部
101,111,121,131,202,203,213,232,233,243 光伝送装置
102,122a,122n 光送信部
103,123a,123n 光受信部
201,211,221,231,241,251 光伝送システム
204,224a,224b,224c,224d 第1の光伝送路
205,225a,225b,225c,225d 第2の光伝送路
222a,222b 光中継装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上り方向と下り方向とで異なる波長の光信号を伝送することにより双方向の光通信を行う伝送装置において、双方向に伝送される光信号の伝送経路を、合波器によって一方向に単一化することにより、双方向の波長多重光通信を行なう光伝送装置が知られている。このような光伝送装置において、例えば、単一方向化された上り方向、下り方向の波長の異なる各光信号についての分散を一括して補償する一括分散補償部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、広帯域の波長多重信号光に対する波長分散を補償可能にする装置が知られている。例えば、波長多重信号光を分波して各波長帯用の光ファイバ増幅部に送り、各可変光減衰器を通過した各波長帯の信号光を一旦合波して分散補償ファイバ(DCF)に送り、各波長帯に対する分散補償を一括して補償する光増幅器が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−127121号公報
【特許文献2】特開2000−78081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、上り方向と下り方向とで光の入出力方向が単一化されていない場合、上り方向の光における波長分散と下り方向の光における波長分散とを同じ光分散補償装置で補償することができないという問題点がある。また、上り方向と下り方向とで光の波長が同じ場合、上り方向の光における波長分散と下り方向の光における波長分散とを同じ光分散補償装置で補償することができないという問題点がある。また、ガードバンドとして帯域を割り当てて波長帯域を分離するため、連続した帯域に対して波長分散を補償するのは困難であるという問題点がある。さらに、分散補償ファイバには、挿入損失が大きいという特性と、レーリー散乱によって逆方向への戻り光が発生しやすいという特性がある。従って、分散補償ファイバを用いる構成では、上り方向と下り方向とで光の波長が同じであると、コヒーレントクロストークを生じることとなるため、信号品質が劣化するという問題点がある。
【0006】
上り方向の光および下り方向の光の両方に対して波長分散を補償することができる光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムは、第1の光デバイス、光フィルタ型分散補償デバイスおよび第2の光デバイスを含む。第1の光デバイスは、第1ポート、第2ポートおよび第3ポートを有する。第1ポートから入力される光は、第2ポートから出力される。第2ポートから入力される光は、第3ポートから出力される。光フィルタ型分散補償デバイスには、第1の光デバイスの第2ポートからの光が入力される。光フィルタ型分散補償デバイスは、入力された光に対して波長分散を補償する。第2の光デバイスは、第4ポート、第5ポートおよび第6ポートを有する。第4ポートには、光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される。第4ポートから入力される光は、第5ポートから出力される。第6ポートから入力される光は、第4ポートから出力される。
【0008】
この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムによれば、光フィルタ型分散補償デバイスは、第1の光デバイスから入力される光に対して波長分散を補償する。光フィルタ型分散補償デバイスは、第2の光デバイスから入力される光に対して波長分散を補償する。
【発明の効果】
【0009】
この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムによれば、上り方向の光および下り方向の光の両方に対して同じ光分散補償装置によって波長分散を補償することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第1の例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第2の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第3の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第4の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第5の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第6の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第1の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第2の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第3の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2における光伝送装置の第4の例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第1の例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第2の例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第3の例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第4の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第5の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3における光伝送システムの第6の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この光分散補償装置、光伝送装置および光伝送システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
(実施の形態1)
・光分散補償装置の第1の例
図1は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第1の例を示す図である。図1に示すように、第1の例の光分散補償装置1は、第1の光デバイス2、光フィルタ型分散補償デバイス3および第2の光デバイス4を備えている。第1の光デバイス2は、第1ポートP1、第2ポートP2および第3ポートP3を有する。第1ポートP1から入力される光は、第2ポートP2から出力される。第2ポートP2から入力される光は、第3ポートP3から出力される。第2ポートP2は、光フィルタ型分散補償デバイス3に接続されている。第1の光デバイス2として、例えば光サーキュレータを用いることができる。
【0013】
第2の光デバイス4は、第4ポートP4、第5ポートP5および第6ポートP6を有する。第4ポートP4から入力される光は、第5ポートP5から出力される。第6ポートP6から入力される光は、第4ポートP4から出力される。第4ポートP4は、光フィルタ型分散補償デバイス3に接続されている。第2の光デバイス4として、例えば光サーキュレータを用いることができる。
【0014】
光フィルタ型分散補償デバイス3は、例えば2個のポートを有する。一方のポートは、第1の光デバイス2の第2ポートP2に接続されている。他方のポートは、第2の光デバイス4の第4ポートP4に接続されている。光フィルタ型分散補償デバイス3は、第1の光デバイス2の第2ポートP2から入力され、第2の光デバイス4の第4ポートP4へ出力される光に対して波長分散を補償する。光フィルタ型分散補償デバイス3は、第2の光デバイス4の第4ポートP4から入力され、第1の光デバイス2の第2ポートP2へ出力される光に対して波長分散を補償する。光フィルタ型分散補償デバイス3は、損失が小さく、反射が少ないという特性を有する。光フィルタ型分散補償デバイス3として、例えばエタロン(干渉フィルタ)型の分散補償器を用いることができる。一般に、エタロン(干渉フィルタ)型の分散補償器において、損失は−5dB以下であり、反射減衰量は−45dB以下である。
【0015】
このような構成において、第1の光デバイス2の第1ポートP1、第1の光デバイス2の第2ポートP2、光フィルタ型分散補償デバイス3、第2の光デバイス4の第4ポートP4および第2の光デバイス4の第5ポートP5の順に光が進む方向をA方向とする。また、第2の光デバイス4の第6ポートP6、第2の光デバイス4の第4ポートP4、光フィルタ型分散補償デバイス3、第1の光デバイス2の第2ポートP2および第1の光デバイス2の第3ポートP3の順に光が進む方向をB方向とする。
【0016】
A方向へ進む光の一部は、光フィルタ型分散補償デバイス3で反射されて第1の光デバイス2の第2ポートP2へ戻ることがあるが、光フィルタ型分散補償デバイス3の低反射特性により、光フィルタ型分散補償デバイス3から戻る光のレベルは十分に小さい。また、A方向へ進む光の一部は、レーリー散乱やその他の影響によって第2の光デバイス4よりも先(図1において右側)で反射されて第2の光デバイス4の第5ポートP5へ戻ることがある。第2の光デバイス4は、第5ポートP5から第4ポートP4へ出力される光(A方向へ進む光の戻り光)のレベルを、B方向へ進む光、すなわち第6ポートP6から第4ポートP4へ出力される本来の光の信号品質へ影響しないレベルまで抑圧する。従って、B方向のコヒーレントクロストークが抑圧される。
【0017】
A方向のコヒーレントクロストークについても同様である。B方向へ進む光の一部は、光フィルタ型分散補償デバイス3で反射されて第2の光デバイス4の第4ポートP4へ戻ることがあるが、光フィルタ型分散補償デバイス3から戻る光のレベルは十分に小さい。また、B方向へ進む光の一部は、第1の光デバイス2よりも先(図1において左側)で反射されて第1の光デバイス2の第3ポートP3へ戻ることがある。第1の光デバイス2は、第3ポートP3から第2ポートP2へ出力される光(B方向へ進む光の戻り光)のレベルを、A方向へ進む光、すなわち第1ポートP1から第2ポートP2へ出力される本来の光の信号品質へ影響しないレベルまで抑圧する。従って、A方向のコヒーレントクロストークが抑圧される。
【0018】
A方向およびB方向のそれぞれについて、クロストーク量の一例を示す。A方向の光入力パワーをPsigA(dBm)とし、B方向の光入力パワーをPsigB(dBm)とする。光サーキュレータ(第1の光デバイス2および第2の光デバイス4)の損失Lcirをそれぞれ例えば−1dBとし、分散補償器(光フィルタ型分散補償デバイス3)の損失Ldcを例えば−5dBとし、光サーキュレータ(第1の光デバイス2および第2の光デバイス4)のダイレクティヴィティRcirをそれぞれ例えば−50dBとし、分散補償器(光フィルタ型分散補償デバイス3)の反射減衰量Rdcを例えば−45dBとする。
【0019】
この場合、A方向のクロストーク量は次の(1)式で表され、B方向のクロストーク量は次の(2)式で表される。
A方向クロストーク=−((PsigA+Lcir×2+Ldc)−(PsigB+10・log(10(Rcir/10)+10((Rdc+Lcir×2)/10)))) ・・・(1)
B方向クロストーク=−((PsigB+Lcir×2+Ldc)−(PsigA+10・log(10(Rcir/10)+10((Rdc+Lcir×2)/10)))) ・・・(2)
【0020】
ここで、PsigA=PsigBとし、上記(1)式および上記(2)式に、上述した各値を代入すると、次の(3)式および(4)式が得られる。
A方向クロストーク=−((−1×2−5)−(10・log(10(−50/10)+10(−47/10))))=−38.2[dB] ・・・(3)
B方向クロストーク=−((−1×2−5)−(10・log(10(−50/10)+10(−47/10))))=−38.2[dB] ・・・(4)
【0021】
一般に、コヒーレントクロストークが−25dBを超えると信号品質の劣化が顕著に現れてくることが知られている。従って、コヒーレントクロストークが信号品質に影響を及ぼさないようにするには、光の送信側および光の受信側のそれぞれにおいてコヒーレントクロストークを−28dB以下に抑えるのがよい。上記(3)式および上記(4)式より、A方向およびB方向のいずれもクロストークが−38.2dBであるので、−28dBよりも十分に小さい。
【0022】
・光分散補償装置の第2の例
図2は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第2の例を示す図である。図2に示すように、第2の例の光分散補償装置11は、前記光分散補償装置の第1の例において、第1の光デバイス12および第2の光デバイス14として光カプラ(CPL)を用いたものである。第1の光デバイス12および第2の光デバイス14の各光カプラにおいて、ポートP1〜P6の表記、並びに光が進むAおよびBの方向を、上述した光分散補償装置の第1の例と同じとする。
【0023】
A方向およびB方向のそれぞれについて、クロストーク量の一例を示す。第1の光カプラ(第1の光デバイス12)について、スルー損失Lcpl1_thを例えば−3dBとし、クロス損失Lcpl1_xを例えば10・log(1−10(Lcpl1_th/10))とする。第2の光カプラ(第2の光デバイス14)について、スルー損失Lcpl2_thを例えば−3dBとし、クロス損失Lcpl2_xを例えば10・log(1−10(Lcpl2_th/10))とする。光カプラ(第1の光デバイス12および第2の光デバイス14)のダイレクティヴィティRcplをそれぞれ−50dBとする。A方向およびB方向の各光入力パワーの表記、並びに分散補償器(光フィルタ型分散補償デバイス3)の損失Ldcおよび反射減衰量Rdcを、上述した光分散補償装置の第1の例と同じとする。
【0024】
この場合、A方向のクロストーク量は次の(5)式で表され、B方向のクロストーク量は次の(6)式で表される。
A方向クロストーク=−((PsigA+Lcpl1_th+Ldc+Lcpl2_x)−(PsigB+10・log(10(Rcpl/10)+10((Lcpl2_th+Rdc+Lcpl2_x)/10)))) ・・・(5)
B方向クロストーク=−((PsigB+Lcpl2_th+Ldc+Lcpl1_x)−(PsigA+10・log(10(Rcpl/10)+10((Lcpl1_th+Rdc+Lcpl1_x)/10)))) ・・・(6)
【0025】
ここで、PsigA=PsigBとし、上記(5)式および上記(6)式に、上述した各値を代入すると、次の(7)式および(8)式が得られる。これら(7)式および上記(8)式より、A方向およびB方向のいずれもクロストークが−36.5dBであるので、−28dBよりも十分に小さい。
A方向クロストーク=−((−3−5−3)−(10・log(10(−50/10)+10(−51/10))))=−36.5[dB] ・・・(7)
B方向クロストーク=−((−1×2−5)−(10・log(10(−50/10)+10(−47/10))))=−36.5[dB] ・・・(8)
【0026】
・光分散補償装置の第3の例
図3は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第3の例を示す図である。図3に示すように、第3の例の光分散補償装置21は、前記光分散補償装置の第1の例において、光フィルタ型分散補償デバイス3に入力する光の入力レベルを調整する調整部25,26を追加したものである。第1の調整部25は、例えば第1の光デバイス2の第1ポートP1に接続されている。第1の調整部25として、例えば光増幅器を用いることができる。第2の調整部26は、例えば第2の光デバイス4の第6ポートP6に接続されている。第2の調整部26として、例えば光増幅器を用いることができる。調整部25,26によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができる。A方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとがおおよそ等しくなることによって、クロストークが適度に抑圧される。
【0027】
・光分散補償装置の第4の例
図4は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第4の例を示す図である。図4に示すように、第4の例の光分散補償装置31は、前記光分散補償装置の第2の例において、前記第3の例と同様に、調整部25,26を追加したものである。調整部25,26によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができるので、クロストークが適度に抑圧される。なお、第3の例または第4の例において、第1の調整部25および第2の調整部26のいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0028】
・光分散補償装置の第5の例
図5は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第5の例を示す図である。図5に示すように、第5の例の光分散補償装置41は、前記光分散補償装置の第3の例において、第1の調整部45および第2の調整部46として光減衰器(VOA)を用いたものである。調整部45,46によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができるので、クロストークが適度に抑圧される。
【0029】
・光分散補償装置の第6の例
図6は、本発明の実施の形態1における光分散補償装置の第6の例を示す図である。図6に示すように、第6の例の光分散補償装置51は、前記光分散補償装置の第4の例において、前記第5の例と同様に、第1の調整部45および第2の調整部46として光減衰器を用いたものである。調整部45,46によってA方向の入力信号光のレベルとB方向の入力信号光のレベルとをおおよそ等しくすることができるので、クロストークが適度に抑圧される。なお、第5の例または第6の例において、第1の調整部45および第2の調整部46のいずれか一方のみが設けられていてもよいし、いずれか一方が光増幅器であってもよい。
【0030】
実施の形態1によれば、光フィルタ型分散補償デバイス3が、第1の光デバイス2,12から入力される光に対して波長分散を補償し、第2の光デバイス4,14から入力される光に対して波長分散を補償する。従って、A方向の光およびB方向の光の両方に対して同じ光分散補償装置1〜51によって波長分散を補償することができる。従って、部品点数が減り、光分散補償装置が安価になる。また、光分散補償装置を小型化することができる。第1〜第6の例において、光分散補償装置が分散値を変化させる機能を備えていてもよい。
【0031】
(実施の形態2)
・光伝送装置の第1の例
図7は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第1の例を示す図である。図7に示すように、第1の例の光伝送装置101は、例えば光分散補償装置の第3の例において、第1の光デバイス2の第1ポートP1へ光を出力する光送信部(OS)102、および第1の光デバイス2の第3ポートP3からの光が入力される光受信部(OR)103を設けたものである。光送信部102は、第1の調整部25に接続されている。光受信部103は、第3ポートP3に接続されている。
【0032】
・光伝送装置の第2の例
図8は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第2の例を示す図である。図8に示すように、第2の例の光伝送装置111は、例えば光分散補償装置の第4の例において、光伝送装置の第1の例と同様に、光送信部102および光受信部103を設けたものである。光伝送装置の第1の例または第2の例において、光送信部102から出力される光の波長と光受信部103に入力される光の波長とが同じであってもよい。
【0033】
・光伝送装置の第3の例
図9は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第3の例を示す図である。図9に示すように、第3の例の光伝送装置121は、光伝送装置の第1の例において、複数の光送信部122a,・・・,122nからの光を光合波器124により合波して第1の光デバイス2の第1ポートP1へ入力させるようにしたものである。また、第3の例の光伝送装置121は、光伝送装置の第1の例において、第1の光デバイス2の第3ポートP3からの光を光分波器125により複数の光に分波して複数の光受信部123a,・・・,123nへ入力させるようにしたものである。
【0034】
・光伝送装置の第4の例
図10は、本発明の実施の形態2における光伝送装置の第4の例を示す図である。図10に示すように、第4の例の光伝送装置131は、光伝送装置の第2の例において、光伝送装置の第3の例と同様に、複数の光送信部122a,・・・,122n、光合波器124、光分波器125および複数の光受信部123a,・・・,123nを設けたものである。光伝送装置の第3の例または第4の例において、複数の光送信部122a,・・・,122nから出力される光と複数の光受信部123a,・・・,123nに入力される光とで、一部の波長が同じであってもよいし、全部の波長が同じであってもよい。また、光伝送装置の第3の例または第4の例において、光送信部122a,・・・,122nおよび光受信部123a,・・・,123nが設けられていなくてもよい。
【0035】
なお、光伝送装置の第1の例または第3の例において、光分散補償装置として、光分散補償装置の第1の例(図1参照)、第2の例(図2参照)、第4の例(図4参照)、第5の例(図5参照)または第6の例(図6参照)が用いられてもよい。光伝送装置の第2の例または第4の例において、光分散補償装置として、光分散補償装置の第1の例(図1参照)、第2の例(図2参照)、第3の例(図3参照)、第5の例(図5参照)または第6の例(図6参照)が用いられてもよい。また、第1の光デバイス2,12と光受信部103との間に光減衰器が設けられていてもよいし、第2の光デバイス4,14の第5ポートP5に光減衰器が接続されていてもよい。
【0036】
実施の形態2によれば、光伝送装置において、送信する光の波長分散と受信する光の波長分散とを単一の光分散補償装置によって補償することができる。また、クロストークを十分に抑圧することができるので、送信する光の波長と受信する光の波長が同じ場合でも、送信する光と受信する光の両方で同じ光分散補償装置を共通に用いることができる。従って、部品点数が減り、光伝送装置が安価になる。また、光伝送装置を小型化することができる。
【0037】
(実施の形態3)
・光伝送システムの第1の例
図11は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第1の例を示す図である。図11に示すように、第1の例の光伝送システム201は、第1の光伝送装置202、第2の光伝送装置203、第1の光伝送路204および第2の光伝送路205を備えている。第1の光伝送装置202として、例えば光伝送装置の第1の例(図7参照)が用いられている。第2の光伝送装置203は、例えば、第1の光伝送装置202から送られてくる光のレベルを例えば光増幅器などの調整部206で調整し、光受信部207で受信する。第2の光伝送装置203は、光送信部208から出力される光のレベルを例えば光増幅器などの調整部209で調整して第1の光伝送装置202へ出力する。第1の光伝送路204は、第1の光伝送装置202から第2の光伝送装置203へ光を伝送する。第2の光伝送路205は、第2の光伝送装置203から第1の光伝送装置202へ光を伝送する。第1の光伝送装置202の光送信部102が出力する光の波長と、第2の光伝送装置203の光送信部208が出力する光の波長とが同じであってもよい。
【0038】
・光伝送システムの第2の例
図12は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第2の例を示す図である。図12に示すように、第2の例の光伝送システム211は、光伝送システムの第1の例において、第2の光伝送装置213として、例えば光伝送装置の第1の例(図7参照)を用いたものである。
【0039】
・光伝送システムの第3の例
図13は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第3の例を示す図である。図13に示すように、第3の例の光伝送システム221は、光伝送システムの第2の例において、第1の光伝送装置202と第2の光伝送装置213との間の第1の光伝送路224a,224b,224c,224dおよび第2の光伝送路225a,225b,225c,225dの途中に、1個以上の光中継装置222a,222bを設けたものである。なお、図示例では、2個の光中継装置が示されているが、1個でもよいし、3個以上でもよい。光中継装置222a,222bとして、例えば光分散補償装置の第3の例(図3参照)が用いられている。光分散補償装置として、光分散補償装置の第1の例(図1参照)、第2の例(図2参照)、第4の例(図4参照)、第5の例(図5参照)または第6の例(図6参照)が用いられてもよい。また、第2の光伝送装置が、光伝送システムの第1の例(図11参照)と同様の構成であってもよい。
【0040】
光伝送システムの第3の例において、第1の光伝送装置202、光中継装置222a,222bおよび第2の光伝送装置213のそれぞれにおけるクロストークをQp_iとする。iは、1以上m以下の整数とする。mは、光伝送システムの両側の端局と、その間の中継局の数との合計値である。光伝送システム全体のクロストークQpは、次の(9)式で求められる。
Qp=10・log(10(Qp_1/10)+10(Qp_2/10)+・・・+10(Qp_(m−1)/10)+10(Qp_m/10)) ・・・(9)
【0041】
(9)式において、Qp_1、Qp_2、・・・、Qp_(m−1)およびQp_mを、例えば前記(3)式または前記(4)式で求めたように−38.2dBとすると、例えばコヒーレントクロストークが−25dBを超えないようにするには、mは20となる。つまり、両側の端局と、その間の中継局を合わせて20の局数で光伝送システムを構築することができる。
【0042】
光伝送システムの第2の例または第3の例において、第1の光伝送装置202の光送信部102が出力する光の波長と、第2の光伝送装置213の光送信部102が出力する光の波長とが同じであってもよい。また、光伝送システムの第1の例、第2の例または第3の例において、第1の光伝送装置202または第2の光伝送装置213として、例えば光伝送装置の第2の例(図8参照)が用いられてもよい。また、第1の光伝送装置202、光中継装置222a,222bおよび第2の光伝送装置213の全てにおいて波長の分散を補償してもよいし、波長の分散を補償しない装置が1個以上あってもよい。
【0043】
・光伝送システムの第4の例
図14は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第4の例を示す図である。図14に示すように、第4の例の光伝送システム231は、光伝送システムの第1の例において、第1の光伝送装置232として、例えば光伝送装置の第3の例(図9参照)を用いたものである。第2の光伝送装置233は、例えば、第1の光伝送装置232から送られてくる光のレベルを例えば光増幅器などの調整部236で調整し、光分波器237で分波して複数の光受信部で受信する。第2の光伝送装置233は、複数の光送信部から出力される光を光合波器238で合波し、合波された光のレベルを例えば光増幅器などの調整部239で調整して第1の光伝送装置232へ出力する。
【0044】
・光伝送システムの第5の例
図15は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第5の例を示す図である。図15に示すように、第5の例の光伝送システム241は、光伝送システムの第4の例において、第2の光伝送装置243として、例えば光伝送装置の第3の例(図9参照)を用いたものである。
【0045】
・光伝送システムの第6の例
図16は、本発明の実施の形態3における光伝送システムの第6の例を示す図である。図16に示すように、第6の例の光伝送システム251は、光伝送システムの第5の例において、光伝送システムの第3の例と同様に、1個以上の光中継装置222a,222bを設けたものである。光中継装置の数は、1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0046】
光伝送システムの第4の例、第5の例または第6の例において、第1の光伝送装置232の複数の光送信部が出力する光と、第2の光伝送装置233,243の複数の光送信部が出力する光とで、一部の波長が同じであってもよいし、全部の波長が同じであってもよい。また、第1の光伝送装置232または第2の光伝送装置243として、例えば光伝送装置の第4の例(図10参照)が用いられてもよい。
【0047】
実施の形態3によれば、光伝送システムの光伝送装置または光中継装置において、双方向の光の波長分散を同じ光分散補償装置によって補償することができる。また、クロストークを十分に抑圧することができるので、双方向の光の波長が同じ場合でも、双方向で同じ光分散補償装置を共通に用いることができる。従って、部品点数が減り、光伝送システムが安価になる。
【0048】
なお、実施の形態1〜3において、次のようにしてもよい。例えば、第1の光デバイスおよび第2の光デバイスとして、A方向の光路とB方向の光路を実現でき、かつ戻り光のレベルを本来の光の信号品質へ影響しないレベルまで抑圧することができれば、光サーキュレータや光カプラ以外の光デバイスを用いてもよい。また、光フィルタ型分散補償デバイスとして、損失が小さく反射が少ないという特性を有していれば、エタロン型の分散補償器以外の光デバイスを用いてもよい。
【0049】
上述した実施の形態1〜3に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0050】
(付記1)第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、を含むことを特徴とする光分散補償装置。
【0051】
(付記2)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする付記1に記載の光分散補償装置。
【0052】
(付記3)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光カプラであることを特徴とする付記1に記載の光分散補償装置。
【0053】
(付記4)前記光フィルタ型分散補償デバイスに入力する光の入力レベルを調整する調整部、をさらに含むことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光分散補償装置。
【0054】
(付記5)前記調整部は、光増幅器であることを特徴とする付記4に記載の光分散補償装置。
【0055】
(付記6)前記調整部は、光減衰器であることを特徴とする付記4に記載の光分散補償装置。
【0056】
(付記7)第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、を含むことを特徴とする光伝送装置。
【0057】
(付記8)前記光送信部から出力される光の波長と前記光受信部に入力される光の波長とが同じであることを特徴とする付記7に記載の光伝送装置。
【0058】
(付記9)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする付記7または8に記載の光伝送装置。
【0059】
(付記10)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光カプラであることを特徴とする付記7または8に記載の光伝送装置。
【0060】
(付記11)前記光フィルタ型分散補償デバイスに入力する光の入力レベルを調整する調整部、をさらに含むことを特徴とする付記7〜10のいずれか一つに記載の光伝送装置。
【0061】
(付記12)前記調整部は、光増幅器であることを特徴とする付記11に記載の光伝送装置。
【0062】
(付記13)前記調整部は、光減衰器であることを特徴とする付記11に記載の光伝送装置。
【0063】
(付記14)光を出力する第1の光伝送装置と、前記第1の光伝送装置から出力される光と同じ波長の光を出力する第2の光伝送装置と、前記第1の光伝送装置から出力される光を第2の光伝送装置へ伝送する第1の光伝送路と、前記第2の光伝送装置から出力される光を第1の光伝送装置へ伝送する第2の光伝送路と、を含み、前記第1の光伝送装置もしくは前記第2の光伝送装置、または前記第1の光伝送装置および前記第2の光伝送装置は、第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、を含むことを特徴とする光伝送システム。
【0064】
(付記15)前記第1の光伝送路および前記2の光伝送路の途中に1個以上の光中継装置、をさらに含み、1個以上の前記光中継装置が、前記第1の光デバイス、前記光フィルタ型分散補償デバイスおよび前記第2の光デバイスを含むことを特徴とする付記14に記載の光伝送システム。
【0065】
(付記16)前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする付記14または15に記載の光伝送システム。
【符号の説明】
【0066】
P1 第1ポート
P2 第2ポート
P3 第3ポート
P4 第4ポート
P5 第5ポート
P6 第6ポート
1,11,21,31,41,51 光分散補償装置
2,12 第1の光デバイス
3 光フィルタ型分散補償デバイス
4,14 第2の光デバイス
25,26,45,46 調整部
101,111,121,131,202,203,213,232,233,243 光伝送装置
102,122a,122n 光送信部
103,123a,123n 光受信部
201,211,221,231,241,251 光伝送システム
204,224a,224b,224c,224d 第1の光伝送路
205,225a,225b,225c,225d 第2の光伝送路
222a,222b 光中継装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、
前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、
を含むことを特徴とする光分散補償装置。
【請求項2】
前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする請求項1に記載の光分散補償装置。
【請求項3】
前記光フィルタ型分散補償デバイスに入力する光の入力レベルを調整する調整部、をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光分散補償装置。
【請求項4】
第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、
前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、
前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、
を含むことを特徴とする光伝送装置。
【請求項5】
前記光送信部から出力される光の波長と前記光受信部に入力される光の波長とが同じであることを特徴とする請求項4に記載の光伝送装置。
【請求項6】
光を出力する第1の光伝送装置と、
前記第1の光伝送装置から出力される光と同じ波長の光を出力する第2の光伝送装置と、
前記第1の光伝送装置から出力される光を第2の光伝送装置へ伝送する第1の光伝送路と、
前記第2の光伝送装置から出力される光を第1の光伝送装置へ伝送する第2の光伝送路と、
を含み、
前記第1の光伝送装置もしくは前記第2の光伝送装置、または前記第1の光伝送装置および前記第2の光伝送装置は、
第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、
前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、
前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、
を含むことを特徴とする光伝送システム。
【請求項7】
前記第1の光伝送路および前記2の光伝送路の途中に1個以上の光中継装置、をさらに含み、
1個以上の前記光中継装置が、前記第1の光デバイス、前記光フィルタ型分散補償デバイスおよび前記第2の光デバイスを含むことを特徴とする請求項6に記載の光伝送システム。
【請求項1】
第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、
前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、
を含むことを特徴とする光分散補償装置。
【請求項2】
前記第1の光デバイスおよび前記第2の光デバイスは、光サーキュレータであることを特徴とする請求項1に記載の光分散補償装置。
【請求項3】
前記光フィルタ型分散補償デバイスに入力する光の入力レベルを調整する調整部、をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光分散補償装置。
【請求項4】
第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、
前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、
前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、
を含むことを特徴とする光伝送装置。
【請求項5】
前記光送信部から出力される光の波長と前記光受信部に入力される光の波長とが同じであることを特徴とする請求項4に記載の光伝送装置。
【請求項6】
光を出力する第1の光伝送装置と、
前記第1の光伝送装置から出力される光と同じ波長の光を出力する第2の光伝送装置と、
前記第1の光伝送装置から出力される光を第2の光伝送装置へ伝送する第1の光伝送路と、
前記第2の光伝送装置から出力される光を第1の光伝送装置へ伝送する第2の光伝送路と、
を含み、
前記第1の光伝送装置もしくは前記第2の光伝送装置、または前記第1の光伝送装置および前記第2の光伝送装置は、
第1ポートから入力される光が第2ポートから出力され、該第2ポートから入力される光が第3ポートから出力される第1の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第2ポートからの光が入力され、該入力された光に対して波長分散を補償する光フィルタ型分散補償デバイスと、
前記光フィルタ型分散補償デバイスからの光が入力される第4ポートを含み、該第4ポートから入力される光が第5ポートから出力され、第6ポートから入力される光が前記第4ポートから出力される第2の光デバイスと、
前記第1の光デバイスの前記第1ポートへ光を出力する光送信部と、
前記第1の光デバイスの前記第3ポートからの光が入力される光受信部と、
を含むことを特徴とする光伝送システム。
【請求項7】
前記第1の光伝送路および前記2の光伝送路の途中に1個以上の光中継装置、をさらに含み、
1個以上の前記光中継装置が、前記第1の光デバイス、前記光フィルタ型分散補償デバイスおよび前記第2の光デバイスを含むことを特徴とする請求項6に記載の光伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−233092(P2010−233092A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80131(P2009−80131)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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