光化学反応を行うための装置および方法ならびに光反応する化合物を検出するための分析方法および分析装置
本発明の実施形態は、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行うための装置および方法を対象とする。本発明は容器および光源を特徴とする。容器はチャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する。光化学反応を行うためのチャンバは、チャンバ体積、第1の窓、入口、および出口を有する。入口および出口は液体中で光反応する化合物と流体連通する。第1の窓は光伝播に対して透過性があり、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置される。チャンバは滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものである。溶液は濃度を有する1つ以上の光反応化合物を潜在的に有する。装置は、第1の窓と光学的に通じ、光子が第1の窓により受け取られチャンバの中に運ばれる光子を放出するための光源をさらに備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月30日に提出された米国仮出願第61/049038号明細書の優先権および利益を主張する。
【0002】
連邦政府の支援による研究または開発に関する記載
なし。
【0003】
共同研究契約の当事者の名称
なし。
【0004】
配列表への参照
なし。
【0005】
本発明は光化学反応の分野に関し、詳細にはアフラトキシンの存在または非存在を検出するための分析方法および分析装置に関する。
【背景技術】
【0006】
本文書は、本発明の理解を促進するために、以下に定義される方法で幾つかの用語および語句を使用する。本明細書で使用されるように、「光化学反応」という用語は、光子が存在する所で1つ以上の反応物が生成物を形成する反応を指す。幾つかのアフラトキシンが、水、共反応性溶媒、または光化学反応の別の関与物(participant)および光子が存在する所で光反応性がある。アフラトキシンは菌類により生成される自然発生する毒素である。ある波長で特徴的な蛍光を生成するアフラトキシンがある。アフラトキシンの光化学反応生成物の中には蛍光を発生させるものもある。
【0007】
名称が示唆するように、アフラトキシンはヒトおよびほとんどの動物に対して毒性がある。食糧および動物用飼料が日常的に検査されている。しかし、試験は時間がかかり、試薬を大量に用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
試料中のアフラトキシンを同定することができる装置および方法を有することが望ましい。本明細書で使用されるように、「試料」という用語は試験されるべき物質を表すために広く使用される。アフラトキシンの関係では、このような試料は一般に、食品加工または医薬品処理、準備および製造で使用される組織、食品、加工済みまたは未加工の物質、ならびに拭き取り、綿棒、もしくは流体分取を用いて固体表面または流体から採取される物質である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は光化学反応を行うための装置および方法を対象とする。本発明の方法および装置は、アフラトキシンの存在を探す試料の試験に具体的な適用分野がある。装置を対象とする、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行うための本発明の一実施形態が、以下の主要な要素、即ち容器および光源を有する。容器はチャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する。光化学反応を行うためのチャンバは、チャンバ体積、第1の窓、入口、および出口を有する。入口は、溶液中で光反応する化合物のソースと流体連通して置かれるためのものである。出口は、光化学反応の生成物を放出するためのものである。第1の窓は、光を受け取るために、光伝播に対して透過性があり、光源と光学的に通じて配置される。チャンバは滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を入れるためのものである。溶液は、濃度を有する1つ以上の光反応化合物を潜在的に有する。装置は、光子を放出するために第1の窓と光学的に通じる光源をさらに含み、光源の光子は第1の窓により受け取られ、チャンバの中に運ばれる。光源は、励起波長で光子を放出し、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために、溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する。
【0010】
本明細書で使用されるように、「生成物」という用語は、光子と反応物との相互作用により引き起こされる光化学反応の生成物を指す。
【0011】
好ましい光源は、少なくとも流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有し、波長およそ365nm、もしくは241nmまたは313nmを有する光子を生成する。これらの波長は、アフラトキシンにより効果的受け取られ、およそ365nmが最も好ましい。P1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から好ましいアフラトキシンが選択される。好ましい光源は、水銀キセノンランプまたは発光ダイオードなどのレーザまたはランプである。
【0012】
チャンバは0.05から4.0の範囲のチャンバ体積/秒の滞留時間を有する試料のソースと協力するように構成および配列されることが好ましい。さらに、滞留時間が0.25から2.0のチャンバ体積/秒であることがより好ましい。入口は、4.0×10−6モル/リットルもの溶液を受け取ることが好ましい。
【0013】
1つの好ましい装置が、1つ以上の光反応する化合物を潜在的に含む溶液のソースを含む。好ましいソースは、システムが光反応化合物を、互いからおよび別の非光反応化合物から分離することができるクロマトグラフィシステムである。1つの好ましいクロマトグラフィシステムが、カラムを備える液体クロマトグラフポンプを備える。クロマトグラフィフカラムは、1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する。
【0014】
チャンバは、蛍光検出器と光学的に通じる第2の窓を有することが好ましい。蛍光検出器は、前記光反応する化合物が溶液中に存在する場合、1つ以上の生成物を検出することができる。好ましい検出器はモノクロメータである。幾つかのアフラトキシンの光化学反応生成物が、アフラトキシンB1反応生成物については励起波長420nmと460nmの間の放出波長で、アフラトキシンG1反応生成物については445nmから465nmまでの放出波長で、波長およそ365nmの光を使った励起で蛍光性がある。
【0015】
本発明の別の実施形態が、液体中で光反応する化合物の光化学反応を行う方法を対象とする。方法は、容器および光源を有する装置を提供するステップを含む。容器は光化学反応を行うために、チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する。チャンバはチャンバ体積を画定し、第1の窓、入口、および出口を有する。入口は液体中で光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものである。出口は光化学反応の生成物を排出するためのものである。窓は光子の伝播に対して透過性があり、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置される。チャンバは滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取る。溶液は光反応する化合物の分子の濃度を有する、または潜在的に有する。光源は窓と光学的に通じ、光子を放出し、光源の光子は前記窓により受け取られ、チャンバの中に運ばれる。光源は、励起波長で、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために、溶液中で少なくとも5から50,000光子を配置する強度を有する光子を放出する。さらに、方法は、生成物を形成するために前記光源がチャンバの中に光子を導くときに、光反応する化合物を含む、または光反応する化合物を潜在的に含む溶液をチャンバの中に導くステップを含む。
【0016】
光源は少なくとも流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有することが好ましい。チャンバは滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒を有することが好ましい。チャンバは、4.0×10−6光反応物化合物のモル/リットルを有する溶液を効果的に処理することができる。光反応化合物のこの少数が蛍光検出装置により検出されることが好ましい。例えば、制限なく、本発明の実施形態が、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択されるアフラトキシンを含む1つ以上のアフラトキシンの存在または非存在を検出するために使用される。これらのアフラトキシンは低濃度で検出され、この結果、検出には大きな健康安全性上の利点があることになる。これらのアフラトキシンは、光化学反応以外にさらに誘導体化および修飾することなく低濃度で検出される。
【0017】
溶液中の光反応する化合物のソースは、液体クロマトグラフィカラムであることが好ましい。クロマトグラフィカラムは、1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する。
【0018】
チャンバは、モノクロメータなどの蛍光検出器と光学的に通じる第2の窓を有することが好ましい。蛍光検出器は、光反応する化合物が溶液中に存在する場合、1つ以上の生成物を検出する。従って、好ましい方法は、1つ以上の光反応化合物の存在を示す信号を探す検出器を監視するステップを含む。信号がないことは、光反応化合物の非存在を示す。
【0019】
図面を見て以下の詳細な説明を読むと、これらおよび別の特徴ならびに利点が当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の特徴を具現化する装置を示す図である。
【図2】本発明の特徴を具現化する装置により行われるアフラトキシンのクロマトグラムである。
【図3】水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18溶媒混合液に対するベースライン放射スペクトルと共に、1ppb溶液G1およびB1アフラトキシンに対する放出スペクトルおよび励起スペクトルである。
【図4】水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18溶媒混合液に対するベースライン放射スペクトルと共に、1ppb溶液G1およびB1アフラトキシンに対する放出スペクトルおよび励起スペクトルである。
【図5】本発明の特徴を具現化する装置でのM1アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図6】本発明の特徴を具現化する装置でのG2アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図7】本発明の特徴を具現化する装置でのG1アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図8】本発明の特徴を具現化する装置でのB2アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図9】本発明の特徴を具現化する装置でのB1アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図10】本発明の特徴を具現化する装置でのG1アフラトキシンに対する信号対濃度を示す図である。
【図11】本発明の特徴を具現化する装置でのB1アフラトキシンに対する信号対濃度を示す図である。
【図12】様々な波長での蛍光検出器からの信号を示す図である。
【図13】G1および光反応を起こしたG1のクロマトグラフを示す図である。
【図14】B1および光反応を起こしたB1のクロマトグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、光化学反応を行うための装置および方法を対象とする。本発明の方法および装置は、検出することなく光化学反応を行うために本発明の実施形態が有用であるという理解の下でアフラトキシンの存在または非存在を探す、およびアフラトキシン以外の化合物を探す試料の試験に具体的な適用分野がある。
【0022】
ここで図1に移ると、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行うための、一般に数字11で示される装置が示されている。装置11は、以下の主要な要素、即ち、反応組立13、固相分離装置17を備えるクロマトグラフィシステム15、蛍光検出器19、および制御手段21を有する。
【0023】
反応組立13は、ハウジング25、容器27、および光源29を備える。概略の形で示されるハウジング25は、容器27および光源29を含む構造となっている。示されるタイプのハウジングは、当該技術分野では知られており、保護カバー、ならびに容器27および光源29を互いに動作する関係で固定する手段を提供する一般に金属製ボックスに似た組立である。
【0024】
容器27は、一部切り取られて示され、チャンバ33の境界を画定する少なくとも1つの壁31を有する。チャンバ33は光化学反応を行うためのものであり、チャンバ体積、第1の窓35、第2の窓37、入口39、および出口41を有する。容器27は、チタン、鋼、ステンレス鋼、黄銅、アルミニウム、金属合金などの金属、および例としてガラスまたはプラスチックなどの別の剛体の構造物質からできている。壁31は、光子が壁31により吸収されないように、チャンバ33内に含まれるべき溶液よりも小さな屈折率を有する非晶質フッ素樹脂などの物質で被覆されることができる。このような場合、チャンバ33に向けられる光ビームの角度範囲が正しく選択されるという条件で、光化学反応の効率が、光を導く効果により高められることができる。好ましいフッ素樹脂が商標TEFLON AF(登録商標)(Delaware州WilmintonのDupont社)の下で販売されている。
【0025】
チャンバ体積は、滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒を有するように、例えばクロマトグラフィシステム15といった試料のソースと協力するように構成および配列されることが好ましい。例えば、制限なく、チャンバ33は長さおよそ5.0mm、および横断面およそ1.60mm×1.60mmの一般に長方形の形状を有する。総容積が12.8マイクロリットルであることが好ましい。これらの寸法および容積は、ALLIANCE(登録商標)クロマトグラフィシステム(MA州、MilfordのWaters Corporation社)と共同して販売されるフローセルに適合する。
【0026】
第1の窓35は、所望の波長での光伝播に対して透過性があり、光源29と光学的に通じている。例えば、第1の窓35は石英ガラスから作られることができる。
【0027】
好ましい光源は、レーザ、または発光ダイオード(図示せず)、または示されたランプシステムである。光源29を備えるランプシステムには、ランプ43、収束要素45、回折格子47、およびスリット49などの波長選択要素がある。光源がレーザ発光ダイオードである場合、このようなレーザは、以下により完全に説明されるように所望の波長で放出するように選択される、調整される、または設定されることを当業者は理解する。さらに当然、レーザは補助する電源および制御装置を備える。
【0028】
描かれているように、集束要素45はレンズとして示されているが、回折格子47上に光を集め、このような光を集束させるための集束要素として鏡(図示せず)を使用するのが慣例である。回折格子47は、特定の波長が別の集束要素(図示せず)と組み合わせてスリット49に導かれることができるように、光を波長に分解する。回折格子47は、同じ機能を行うがより効率的でないことがあるプリズム(図示せず)と置き換えられることがある。スリット49は、光源29の一部として描かれている。しかし、スリット49はまた、第1の窓に一体化されることがある。好ましいランプ43は水銀キセノンランプである。
【0029】
光源29は励起波長で光子を放出する。水銀キセノンランプはアフラトキシンに対して励起波長で強い放出を有する。波長は、回折格子47およびスリット49を調節することにより、またはレーザもしくは発光ダイオードの場合にはレーザを選択するもしくはレーザを特定の波長に調整することにより設定される。光源29からの放射出力は、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために、溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する。好ましい濃度はおよそ1.0×10−10モル/リットルである。
【0030】
好ましい光源29は、少なくとも流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有する。アフラトキシンに関しては、365nm、または241nmまたは313nmの群から選択される波長を有する光子が好ましい。これらの波長はアフラトキシンにより効果的に吸収され、365nmが最も好まれる。
【0031】
M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から好ましいアフラトキシンが選択される。これらのアフラトキシンは以下に説明される式1から5で描かれる。
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
これらのアフラトキシン、ならびに具体的にはB1およびG1は、フラン環内の二重結合にわたり光補助的反応を起こす。これらの反応は以下に説明される反応式1で説明される。
【0037】
【化6】
本発明の実施形態が、別の反応容器内でアフラトキシンを化学的に修飾するステップを追加することなく低濃度でのアフラトキシンの検出を可能にする。
【0038】
入口39は、溶液中で光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものである。入口39は、4.0×10−6モル/リットルも有し、このような溶液をチャンバ33の中に向ける溶液を受け取ることが好ましい。
【0039】
好ましいソースがクロマトグラフィシステム15であり、カラム17などの固相抽出装置を備える。この適用分野の関係で使用されるように、「カラム」という用語は、モノリス分離装置、充填層装置、カートリッジ、および窪みを含むすべての固相抽出装置を包含するものとする。クロマトグラフィシステム15およびカラム17は、光反応化合物を互いからおよび別の非光反応化合物から分離する。クロマトグラフィシステム15およびカラム17は当該技術分野でよく知られ、例えば、ALLIANCE(登録商標)およびACQUITY(登録商標)クロマトグラフィシステム、ならびにOASIS(登録商標)、ACQUITY UPLC(登録商標)、XBRIDGE(商標)、ATLANTIS(登録商標)、XTERRA(商標)、およびSYMMETRY(登録商標)カラム(MA州、MilfordのWaters Corporation社)といった幾つかの販売業者から入手できる。
【0040】
出口41は、光化学反応の生成物を排出するためのものである。従って、出口41は、入れ物(図示せず)または1つ以上の別の検出器と一般に流体連通している。例えば、制限なく、出口は、質量分析計もしくは別のモノクロメータ(図示せず)などの1つ以上の検出器、またはさらに分析するためにチャンバ33を通って溶出する先端が別個の試料ガラス瓶に捕獲される、制御システム21により監視されるフラクションコレクタなどのサンプリングシステムに接続されることができる。
【0041】
第2の窓37は、アフラトキシンからの蛍光により生成される光子、および、または光化学反応の生成物を受け取る。第2の窓37は、第1の窓35の方法で石英ガラスから作られる。蛍光に対応する光子の量は通常、第1の窓35からチャンバ33に入射する光のほんのわずかであり、第2の窓37はこのように入射する光の光路に対して90°に設定されることが好ましい。
【0042】
第2の窓37は、蛍光検出器19と光学的に通じている。幾つかのアフラトキシンの光化学反応生成物が、励起波長およそ365nmで、ならびにアフラトキシンB1反応生成物については420nmと460nmの間の放出波長で、およびアフラトキシンG1反応生成物については445nmから465nmの放出波長で蛍光性がある。蛍光検出器19は、モノクロメータの特徴を有する。当該技術分野で知られているこれらの特徴は、別の詳細に関してわかりやすいように図面から省かれている。蛍光検出器は回折格子またはプリズム、および光検出器などの光の波長を分離する手段を備えることを当業者は理解する。回折格子またはプリズムは、分析物により放出されることが知られている波長に調整される。
【0043】
蛍光検出器19からの信号は制御手段21により受け取られる。制御手段21は1つ以上のコンピュータ処理ユニット(CPU)を備えるデータ管理システムである。CPUは当該技術分野でよく知られ、多数の提供業者から入手できる。制御手段21を備えるCPUが、クロマトグラフィシステム15に組み込まれることができ、またはメイン・フレーム・コンピュータ、サーバ、パーソナルコンピューティング装置、ラップトップコンピュータなどの別個のコンピュータ装置内に収容されることもできる。蛍光検出器19からの信号は制御手段21により処理され、アフラトキシンに関連する値と比較される。アフラトキシンに関連するしきい値以上の信号は、アフラトキシンの存在について陽性であると推定され、このような値未満の信号は陰性であると推定される。これらのデータは印刷される、またはスクリーン上に表示される。
【0044】
制御手段21は、クロマトグラフィシステム15および光源29と信号で伝達するように描かれている。光源29の励起波長、または放出波長の変化が望まれる場合、制御手段21はこのような変化をもたらす指令を発行する。制御手段21はクロマトグラフィシステム15に射出時間、流速、溶媒、および勾配を決定するように指令する。
【0045】
ここで、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行う方法を対象とする本発明の一実施形態が、装置11の動作に関して説明される。方法は容器27および光源29を有する装置11を提供するステップを含む。容器27は、光化学反応を行うために、チャンバ33の境界を画定する少なくとも1つの壁31を有する。チャンバ33はチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓35、第2の窓37、入口39、および出口41を有する。入口39は溶液中で光反応する化合物のソース、クロマトグラフィシステム15、およびカラム17と流体連通している。出口41は光化学反応の生成物を放出するためのものである。
【0046】
第1の窓35は、光子の伝播に対して透過性があり、光子を受け取るために光源29と光学的に通じている。チャンバ33は、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取る。溶液は光反応する化合物の分子の濃度を有する、または潜在的に有する。光源29は光子を放出し、光源29の光子が第1の窓35により受け取られチャンバ33の中に運ばれる。光源29は、励起波長で、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する光子を放出する。
【0047】
さらに、方法は、生成物を形成するために前記光源29が光子をチャンバ33の中に向けるとき、光反応する化合物を含む、または潜在的に光反応する化合物を含む溶液をチャンバ33に向けるステップ、および蛍光検出器19を使って蛍光を探して第2の窓37から放出を監視するステップを含む。
【0048】
これらの特徴および利点が、以下の実施例に関連してさらに説明される。
【実施例1】
【0049】
アフラトキシン分析の最適な励起波長および放出波長
この研究ではアフラトキシンの5つすべてについて、光源29での励起波長が365nmに設定された。365nmの励起波長は、Hg−Xeランプからの強い水銀輝線と一致する。放出波長は、Gアフラトキシンについては456nm、ならびにBおよびMのアフラトキシンについては434nmだった。これらの波長はG1およびB1の溶液の励起ならびに放出のスキャンに基づき選択された。
【0050】
図3および4は、規定された条件での水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18溶媒混合液に対するベースライン放出スペクトルと共に、G1およびB1のアフラトキシンの1ppb溶液に対する放出ならびに励起のスペクトルを描く。図3は、放出および励起のスキャンを使ってG1アフラトキシンを描く。Diff曲線は、Emスペクトルと64/18/18ベースラインスペクトルの差である。差はアフラトキシンの放出スペクトルである。365nmの励起波長がこのシステムにとって最善の選択であることを示す励起曲線が含まれる。
【0051】
G1励起曲線は、228nm、313nm、365nm、404nm、および456nmにピークを有する。228nmのピークは、放出モノクロメータの中に散乱され456nmに2次として見られる励起光であり、蛍光を示さない。456nmのピークは、放出システムにより見られる散乱励起光であり、この場合も蛍光を示さない。313nm、365nm、および405nmのピークは、励起蛍光からのものであり、365nmのピークは、この他のピークよりも明らかに何倍か大きいため、Hg−Xeソースからの最適の励起波長である。ここで図4に移ると、B1励起曲線が217nm、313nm、365nm、405nm、および434nmに大きなピークを有する。217nmのピークは、散乱され放出モノクロメータに入る励起光であり、434nmに2次として見られ、蛍光を示さない。434nmのピークは、放出システムにより見られる散乱励起光であり、この場合も蛍光を示さない。313nm、365nm、および405nmのピークは、励起蛍光からのものであり、365nmのピークはこの場合もこの他のピークよりも数倍大きいため、Hg−Xe光源29からの最適な励起波長である。
【実施例2】
【0052】
滞留時間(residence timeまたはdwell time)の研究
チャンバ33内でのアフラトキシンの滞留時間の影響に関する研究が始められた。光化学反応は分子に遭遇する光子の数に依存し、ランプ43の出力は固定しているので、分子は流速を低下させることによりチャンバ33を通って流れるとき、より多くの光子にさらされることができる。溶媒混合液組成の影響も評価された。方法は水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18混合液を現在使用している。表1は、アフラトキシンのそれぞれに対して試験された溶媒組成を示す。
【0053】
流速は、所与の溶媒組成中で所与のアフラトキシンを流す間に段階的に変更された。使用された流速は、1、0.5、0.25、0.1、および0.05ml/分であった。各アフラトキシンおよび溶媒組成に対して異なる流速で蛍光信号が監視された。
【0054】
様々な溶媒組成でのアフラトキシンの1ppb溶媒に対する結果が、図2のクロマトグラムに示されるような溶出の順序で図5から9に提示されている。データは蛍光信号(縦座標)対滞留時間(横座標)のプロットとして提示されている。滞留時間はチャンバ体積を流速で割ったものとして計算される。線形部分の曲線の傾きが反応速度を示す。
【0055】
非光反応性または弱い光反応性のアフラトキシン(M1、G2、およびB2)は、試験されたすべての溶媒組成で滞留時間に対して比較的平坦から少し陰性の反応を有することがわかる。
【0056】
G1アフラトキシンは、最短の滞留時間で純粋なアセトニトリル中で最も蛍光性があったが、蛍光は純粋なアセトニトリル中で滞留時間が増加すると共に低下し、1.56秒を超える滞留時間でこの他の溶媒混合液の一部で測定される信号よりも小さく低下した。この他の溶媒組成のすべてが滞留時間の増加と共に信号が増加する傾向を示した。滞留時間が延長されると共に信号の最終的な平坦化を示す曲線は、できるだけ完全にフローセル条件で光反応を起こした化学種を表すものと理解される(必ずしも全面転換ではない。)。
【0057】
B1アフラトキシンは、滞留時間に対して信号が平坦な応答を示したアセトニトリルを除いて、滞留時間の増加と共に信号が増加する傾向を示した。B1アフラトキシンはまた、一部の溶媒混合液でより長い滞留時間で信号の平坦化を示した。
【0058】
光化学反応が濃度の広い範囲にわたり起こるかどうかを評価するために、濃度の広い範囲にわたり流す別の一続きが、G1およびB1のアフラトキシンを使って64/18/18移動相で行われた。これらの溶液に対する結果が図10および11に示される。実験は、評価された範囲にわたりよい線形性を示した。クロマトグラフィ測定全体に先行する較正ステップにより、この場合いわゆる放出単位(EU)で測定された装置応答と分析物濃度の間の関係が確立された。この較正ステップは当該技術分野で知られており、定期的に行われ、ランプ43の出力の低下、または光源29、容器27、もしくは検出器19内部の様々な構成要素の光伝播特徴などの装置特性の変化を補償する。
【0059】
Bアフラトキシンに対する放出波長を434nmから450nmに変更することが、検出感度を改善する場合がある。放射波長を溶媒のラマン放出からさらに離すことにより、背景レベルが4分の1から5分の1に低減される。450nmへの変更は、ピーク値の約80%にまでしかアフラトキシン蛍光信号を下げない。放出波長のこの変化が、ベースライン雑音に2倍の改善をもたらし、改善されるS/N性能にはほぼ同じ改善をもたらすことができる。
【0060】
【表1】
【実施例3】
【0061】
光変換および信号への波長の影響
この実施例は、アフラトキシンの一定組成の溶液を2つの検出器を通して連続して流すものである。
【0062】
第1の検出器では、励起波長が241nm、313nm、365nm、および405nmの間で変更された。光シャッタ機構が光源29と第1の窓35の間に置かれた。シャッタを「開」の位置にすると、励起光がチャンバ33の中に進むことが可能になった。「閉」の位置では光子が溶液に到達するのを妨げられた。
【0063】
チャンバ33からの流出を監視するために第2の蛍光検出器(図示せず)が使用された。この検出器は、励起波長365nm、およびB1溶液については放出波長434nm、G1溶液については放出波長456nmを採用した。典型的な結果が以下の表3に示されている。このデータを作成するために使用された、0.5ml/分で100ppbのG1を流す1つの例が図12に示されている。図12で、シャッタ開での信号はシャッタ閉での信号よりも常に大きいことが理解されることができ、このことは光化学増強がチャンバ33内部で起きていることを示す。さらに、増強はチャンバ33に入射する光子の波長がおよそ365nmであるときに最大となる。
【0064】
【表2】
【0065】
単位EU/光子で表現された各波長に対する効率が、(シャッタ開信号−シャッタ閉信号)/(光子/秒/滞留時間フローセル)として計算される。これらの流しに対する計算された効率因子が以下の表4に示され、表4では、因子が、特定の流速および組成での励起波長365nmに関連する効率因子に正規化されている。これらの正規化効率はこの表では「比率(Fraction)」と呼ばれる。
【0066】
【表3】
【0067】
効率因子は、365nmが最も効率的な波長であり、241nmおよび313nmが続くことを示す。241nmでのフローセルへのランプ出力は、約3.2e15光子/秒であるのに対して、313nmおよび365nmでは約1.3e16光子/秒である。光子流束がおおよそ4分の1であると共に241nmで効率が少しより低い結果、241nmでかなりより低いFLRとなる。
【実施例4】
【0068】
光化学反応生成物の質量分析およびクロマトグラフィ
流速0.5ml/分でチャンバ33を通して標準的な64/18/18溶媒混合液中にB1またはG1のアフラトキシンの一定組成溶媒100ppbを流すことにより、光化学反応生成物の試料が生成された。これらの試料を生成するために励起波長が365nmに設定された。次に、光化学反応前に見られなかった新しいピークだけでなく未反応のB1またはG1のアフラトキシンを探すために、アフラトキシン法を使用してクロマトグラフィ分離用試料として注入される出口41で、このようにさらされた試料が収集された。各試料の一部はまた、生成された反応生成物の構成/組成を理解するために、質量分析により分析された。
【0069】
G1標準と、G1*というラベルのついた光反応を起こしたG1溶液とのクロマトグラフの比較が図13に示されている。G1試料もG1*試料も3.82分に主要なG1ピークがあることがわかるが、G1*試料には1.37分、1.64分、2.85分、および3.46分にもピークがある。これらの別のピークは、G1の光化学反応で形成された化合物であり、3.82分のピークは試料中に依然として存在する未反応のG1である。
【0070】
同様に、B1標準と、B1*とラベルのつけられた光反応を起こしたB1溶液とのクロマトグラムが図14に示されている。B1標準については5.4分の単一の主要なピークしか見えないが、B1*試料には1.65分、2.08分、3.88分、4.80分、および5.4分に主要なピークがある。これらの別のピークは、B1の光化学反応で形成された化合物であり、5.4分のピークは未反応のB1である。
【0071】
B1およびG1、ならびに光反応を起こしたB1*およびG1*の同じ100ppb溶液に対して質量分析が行われた。光反応を起こした試料には親質量より上の+18質量単位および+32質量単位に質量ピークがある。+18は水の付加と解釈され、+32はメタノールの付加と解釈される。光反応を起こした試料に対するクロマトグラフには、2つだけでないこれ以外の別のピークがある。これらの結果は、B1およびG1の信号の意外で予期しない増加を示す。ピークの中には、フラン環内の二重結合にわたり水またはメタノールの化学種が付加されたことに起因すると信じられているものがある。
【0072】
このように、本発明は変更および修正することが可能であるということを理解したうえで、本発明の好ましい実施形態について詳細に述べてきた。従って、本発明は正確な詳細に限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲の内容、およびこれらの均等物を包含すべきである。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月30日に提出された米国仮出願第61/049038号明細書の優先権および利益を主張する。
【0002】
連邦政府の支援による研究または開発に関する記載
なし。
【0003】
共同研究契約の当事者の名称
なし。
【0004】
配列表への参照
なし。
【0005】
本発明は光化学反応の分野に関し、詳細にはアフラトキシンの存在または非存在を検出するための分析方法および分析装置に関する。
【背景技術】
【0006】
本文書は、本発明の理解を促進するために、以下に定義される方法で幾つかの用語および語句を使用する。本明細書で使用されるように、「光化学反応」という用語は、光子が存在する所で1つ以上の反応物が生成物を形成する反応を指す。幾つかのアフラトキシンが、水、共反応性溶媒、または光化学反応の別の関与物(participant)および光子が存在する所で光反応性がある。アフラトキシンは菌類により生成される自然発生する毒素である。ある波長で特徴的な蛍光を生成するアフラトキシンがある。アフラトキシンの光化学反応生成物の中には蛍光を発生させるものもある。
【0007】
名称が示唆するように、アフラトキシンはヒトおよびほとんどの動物に対して毒性がある。食糧および動物用飼料が日常的に検査されている。しかし、試験は時間がかかり、試薬を大量に用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
試料中のアフラトキシンを同定することができる装置および方法を有することが望ましい。本明細書で使用されるように、「試料」という用語は試験されるべき物質を表すために広く使用される。アフラトキシンの関係では、このような試料は一般に、食品加工または医薬品処理、準備および製造で使用される組織、食品、加工済みまたは未加工の物質、ならびに拭き取り、綿棒、もしくは流体分取を用いて固体表面または流体から採取される物質である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は光化学反応を行うための装置および方法を対象とする。本発明の方法および装置は、アフラトキシンの存在を探す試料の試験に具体的な適用分野がある。装置を対象とする、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行うための本発明の一実施形態が、以下の主要な要素、即ち容器および光源を有する。容器はチャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する。光化学反応を行うためのチャンバは、チャンバ体積、第1の窓、入口、および出口を有する。入口は、溶液中で光反応する化合物のソースと流体連通して置かれるためのものである。出口は、光化学反応の生成物を放出するためのものである。第1の窓は、光を受け取るために、光伝播に対して透過性があり、光源と光学的に通じて配置される。チャンバは滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を入れるためのものである。溶液は、濃度を有する1つ以上の光反応化合物を潜在的に有する。装置は、光子を放出するために第1の窓と光学的に通じる光源をさらに含み、光源の光子は第1の窓により受け取られ、チャンバの中に運ばれる。光源は、励起波長で光子を放出し、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために、溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する。
【0010】
本明細書で使用されるように、「生成物」という用語は、光子と反応物との相互作用により引き起こされる光化学反応の生成物を指す。
【0011】
好ましい光源は、少なくとも流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有し、波長およそ365nm、もしくは241nmまたは313nmを有する光子を生成する。これらの波長は、アフラトキシンにより効果的受け取られ、およそ365nmが最も好ましい。P1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から好ましいアフラトキシンが選択される。好ましい光源は、水銀キセノンランプまたは発光ダイオードなどのレーザまたはランプである。
【0012】
チャンバは0.05から4.0の範囲のチャンバ体積/秒の滞留時間を有する試料のソースと協力するように構成および配列されることが好ましい。さらに、滞留時間が0.25から2.0のチャンバ体積/秒であることがより好ましい。入口は、4.0×10−6モル/リットルもの溶液を受け取ることが好ましい。
【0013】
1つの好ましい装置が、1つ以上の光反応する化合物を潜在的に含む溶液のソースを含む。好ましいソースは、システムが光反応化合物を、互いからおよび別の非光反応化合物から分離することができるクロマトグラフィシステムである。1つの好ましいクロマトグラフィシステムが、カラムを備える液体クロマトグラフポンプを備える。クロマトグラフィフカラムは、1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する。
【0014】
チャンバは、蛍光検出器と光学的に通じる第2の窓を有することが好ましい。蛍光検出器は、前記光反応する化合物が溶液中に存在する場合、1つ以上の生成物を検出することができる。好ましい検出器はモノクロメータである。幾つかのアフラトキシンの光化学反応生成物が、アフラトキシンB1反応生成物については励起波長420nmと460nmの間の放出波長で、アフラトキシンG1反応生成物については445nmから465nmまでの放出波長で、波長およそ365nmの光を使った励起で蛍光性がある。
【0015】
本発明の別の実施形態が、液体中で光反応する化合物の光化学反応を行う方法を対象とする。方法は、容器および光源を有する装置を提供するステップを含む。容器は光化学反応を行うために、チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する。チャンバはチャンバ体積を画定し、第1の窓、入口、および出口を有する。入口は液体中で光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものである。出口は光化学反応の生成物を排出するためのものである。窓は光子の伝播に対して透過性があり、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置される。チャンバは滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取る。溶液は光反応する化合物の分子の濃度を有する、または潜在的に有する。光源は窓と光学的に通じ、光子を放出し、光源の光子は前記窓により受け取られ、チャンバの中に運ばれる。光源は、励起波長で、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために、溶液中で少なくとも5から50,000光子を配置する強度を有する光子を放出する。さらに、方法は、生成物を形成するために前記光源がチャンバの中に光子を導くときに、光反応する化合物を含む、または光反応する化合物を潜在的に含む溶液をチャンバの中に導くステップを含む。
【0016】
光源は少なくとも流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有することが好ましい。チャンバは滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒を有することが好ましい。チャンバは、4.0×10−6光反応物化合物のモル/リットルを有する溶液を効果的に処理することができる。光反応化合物のこの少数が蛍光検出装置により検出されることが好ましい。例えば、制限なく、本発明の実施形態が、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択されるアフラトキシンを含む1つ以上のアフラトキシンの存在または非存在を検出するために使用される。これらのアフラトキシンは低濃度で検出され、この結果、検出には大きな健康安全性上の利点があることになる。これらのアフラトキシンは、光化学反応以外にさらに誘導体化および修飾することなく低濃度で検出される。
【0017】
溶液中の光反応する化合物のソースは、液体クロマトグラフィカラムであることが好ましい。クロマトグラフィカラムは、1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する。
【0018】
チャンバは、モノクロメータなどの蛍光検出器と光学的に通じる第2の窓を有することが好ましい。蛍光検出器は、光反応する化合物が溶液中に存在する場合、1つ以上の生成物を検出する。従って、好ましい方法は、1つ以上の光反応化合物の存在を示す信号を探す検出器を監視するステップを含む。信号がないことは、光反応化合物の非存在を示す。
【0019】
図面を見て以下の詳細な説明を読むと、これらおよび別の特徴ならびに利点が当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の特徴を具現化する装置を示す図である。
【図2】本発明の特徴を具現化する装置により行われるアフラトキシンのクロマトグラムである。
【図3】水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18溶媒混合液に対するベースライン放射スペクトルと共に、1ppb溶液G1およびB1アフラトキシンに対する放出スペクトルおよび励起スペクトルである。
【図4】水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18溶媒混合液に対するベースライン放射スペクトルと共に、1ppb溶液G1およびB1アフラトキシンに対する放出スペクトルおよび励起スペクトルである。
【図5】本発明の特徴を具現化する装置でのM1アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図6】本発明の特徴を具現化する装置でのG2アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図7】本発明の特徴を具現化する装置でのG1アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図8】本発明の特徴を具現化する装置でのB2アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図9】本発明の特徴を具現化する装置でのB1アフラトキシンに対する信号対滞留時間を示す図である。
【図10】本発明の特徴を具現化する装置でのG1アフラトキシンに対する信号対濃度を示す図である。
【図11】本発明の特徴を具現化する装置でのB1アフラトキシンに対する信号対濃度を示す図である。
【図12】様々な波長での蛍光検出器からの信号を示す図である。
【図13】G1および光反応を起こしたG1のクロマトグラフを示す図である。
【図14】B1および光反応を起こしたB1のクロマトグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、光化学反応を行うための装置および方法を対象とする。本発明の方法および装置は、検出することなく光化学反応を行うために本発明の実施形態が有用であるという理解の下でアフラトキシンの存在または非存在を探す、およびアフラトキシン以外の化合物を探す試料の試験に具体的な適用分野がある。
【0022】
ここで図1に移ると、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行うための、一般に数字11で示される装置が示されている。装置11は、以下の主要な要素、即ち、反応組立13、固相分離装置17を備えるクロマトグラフィシステム15、蛍光検出器19、および制御手段21を有する。
【0023】
反応組立13は、ハウジング25、容器27、および光源29を備える。概略の形で示されるハウジング25は、容器27および光源29を含む構造となっている。示されるタイプのハウジングは、当該技術分野では知られており、保護カバー、ならびに容器27および光源29を互いに動作する関係で固定する手段を提供する一般に金属製ボックスに似た組立である。
【0024】
容器27は、一部切り取られて示され、チャンバ33の境界を画定する少なくとも1つの壁31を有する。チャンバ33は光化学反応を行うためのものであり、チャンバ体積、第1の窓35、第2の窓37、入口39、および出口41を有する。容器27は、チタン、鋼、ステンレス鋼、黄銅、アルミニウム、金属合金などの金属、および例としてガラスまたはプラスチックなどの別の剛体の構造物質からできている。壁31は、光子が壁31により吸収されないように、チャンバ33内に含まれるべき溶液よりも小さな屈折率を有する非晶質フッ素樹脂などの物質で被覆されることができる。このような場合、チャンバ33に向けられる光ビームの角度範囲が正しく選択されるという条件で、光化学反応の効率が、光を導く効果により高められることができる。好ましいフッ素樹脂が商標TEFLON AF(登録商標)(Delaware州WilmintonのDupont社)の下で販売されている。
【0025】
チャンバ体積は、滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒を有するように、例えばクロマトグラフィシステム15といった試料のソースと協力するように構成および配列されることが好ましい。例えば、制限なく、チャンバ33は長さおよそ5.0mm、および横断面およそ1.60mm×1.60mmの一般に長方形の形状を有する。総容積が12.8マイクロリットルであることが好ましい。これらの寸法および容積は、ALLIANCE(登録商標)クロマトグラフィシステム(MA州、MilfordのWaters Corporation社)と共同して販売されるフローセルに適合する。
【0026】
第1の窓35は、所望の波長での光伝播に対して透過性があり、光源29と光学的に通じている。例えば、第1の窓35は石英ガラスから作られることができる。
【0027】
好ましい光源は、レーザ、または発光ダイオード(図示せず)、または示されたランプシステムである。光源29を備えるランプシステムには、ランプ43、収束要素45、回折格子47、およびスリット49などの波長選択要素がある。光源がレーザ発光ダイオードである場合、このようなレーザは、以下により完全に説明されるように所望の波長で放出するように選択される、調整される、または設定されることを当業者は理解する。さらに当然、レーザは補助する電源および制御装置を備える。
【0028】
描かれているように、集束要素45はレンズとして示されているが、回折格子47上に光を集め、このような光を集束させるための集束要素として鏡(図示せず)を使用するのが慣例である。回折格子47は、特定の波長が別の集束要素(図示せず)と組み合わせてスリット49に導かれることができるように、光を波長に分解する。回折格子47は、同じ機能を行うがより効率的でないことがあるプリズム(図示せず)と置き換えられることがある。スリット49は、光源29の一部として描かれている。しかし、スリット49はまた、第1の窓に一体化されることがある。好ましいランプ43は水銀キセノンランプである。
【0029】
光源29は励起波長で光子を放出する。水銀キセノンランプはアフラトキシンに対して励起波長で強い放出を有する。波長は、回折格子47およびスリット49を調節することにより、またはレーザもしくは発光ダイオードの場合にはレーザを選択するもしくはレーザを特定の波長に調整することにより設定される。光源29からの放射出力は、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために、溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する。好ましい濃度はおよそ1.0×10−10モル/リットルである。
【0030】
好ましい光源29は、少なくとも流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有する。アフラトキシンに関しては、365nm、または241nmまたは313nmの群から選択される波長を有する光子が好ましい。これらの波長はアフラトキシンにより効果的に吸収され、365nmが最も好まれる。
【0031】
M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から好ましいアフラトキシンが選択される。これらのアフラトキシンは以下に説明される式1から5で描かれる。
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
これらのアフラトキシン、ならびに具体的にはB1およびG1は、フラン環内の二重結合にわたり光補助的反応を起こす。これらの反応は以下に説明される反応式1で説明される。
【0037】
【化6】
本発明の実施形態が、別の反応容器内でアフラトキシンを化学的に修飾するステップを追加することなく低濃度でのアフラトキシンの検出を可能にする。
【0038】
入口39は、溶液中で光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものである。入口39は、4.0×10−6モル/リットルも有し、このような溶液をチャンバ33の中に向ける溶液を受け取ることが好ましい。
【0039】
好ましいソースがクロマトグラフィシステム15であり、カラム17などの固相抽出装置を備える。この適用分野の関係で使用されるように、「カラム」という用語は、モノリス分離装置、充填層装置、カートリッジ、および窪みを含むすべての固相抽出装置を包含するものとする。クロマトグラフィシステム15およびカラム17は、光反応化合物を互いからおよび別の非光反応化合物から分離する。クロマトグラフィシステム15およびカラム17は当該技術分野でよく知られ、例えば、ALLIANCE(登録商標)およびACQUITY(登録商標)クロマトグラフィシステム、ならびにOASIS(登録商標)、ACQUITY UPLC(登録商標)、XBRIDGE(商標)、ATLANTIS(登録商標)、XTERRA(商標)、およびSYMMETRY(登録商標)カラム(MA州、MilfordのWaters Corporation社)といった幾つかの販売業者から入手できる。
【0040】
出口41は、光化学反応の生成物を排出するためのものである。従って、出口41は、入れ物(図示せず)または1つ以上の別の検出器と一般に流体連通している。例えば、制限なく、出口は、質量分析計もしくは別のモノクロメータ(図示せず)などの1つ以上の検出器、またはさらに分析するためにチャンバ33を通って溶出する先端が別個の試料ガラス瓶に捕獲される、制御システム21により監視されるフラクションコレクタなどのサンプリングシステムに接続されることができる。
【0041】
第2の窓37は、アフラトキシンからの蛍光により生成される光子、および、または光化学反応の生成物を受け取る。第2の窓37は、第1の窓35の方法で石英ガラスから作られる。蛍光に対応する光子の量は通常、第1の窓35からチャンバ33に入射する光のほんのわずかであり、第2の窓37はこのように入射する光の光路に対して90°に設定されることが好ましい。
【0042】
第2の窓37は、蛍光検出器19と光学的に通じている。幾つかのアフラトキシンの光化学反応生成物が、励起波長およそ365nmで、ならびにアフラトキシンB1反応生成物については420nmと460nmの間の放出波長で、およびアフラトキシンG1反応生成物については445nmから465nmの放出波長で蛍光性がある。蛍光検出器19は、モノクロメータの特徴を有する。当該技術分野で知られているこれらの特徴は、別の詳細に関してわかりやすいように図面から省かれている。蛍光検出器は回折格子またはプリズム、および光検出器などの光の波長を分離する手段を備えることを当業者は理解する。回折格子またはプリズムは、分析物により放出されることが知られている波長に調整される。
【0043】
蛍光検出器19からの信号は制御手段21により受け取られる。制御手段21は1つ以上のコンピュータ処理ユニット(CPU)を備えるデータ管理システムである。CPUは当該技術分野でよく知られ、多数の提供業者から入手できる。制御手段21を備えるCPUが、クロマトグラフィシステム15に組み込まれることができ、またはメイン・フレーム・コンピュータ、サーバ、パーソナルコンピューティング装置、ラップトップコンピュータなどの別個のコンピュータ装置内に収容されることもできる。蛍光検出器19からの信号は制御手段21により処理され、アフラトキシンに関連する値と比較される。アフラトキシンに関連するしきい値以上の信号は、アフラトキシンの存在について陽性であると推定され、このような値未満の信号は陰性であると推定される。これらのデータは印刷される、またはスクリーン上に表示される。
【0044】
制御手段21は、クロマトグラフィシステム15および光源29と信号で伝達するように描かれている。光源29の励起波長、または放出波長の変化が望まれる場合、制御手段21はこのような変化をもたらす指令を発行する。制御手段21はクロマトグラフィシステム15に射出時間、流速、溶媒、および勾配を決定するように指令する。
【0045】
ここで、溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行う方法を対象とする本発明の一実施形態が、装置11の動作に関して説明される。方法は容器27および光源29を有する装置11を提供するステップを含む。容器27は、光化学反応を行うために、チャンバ33の境界を画定する少なくとも1つの壁31を有する。チャンバ33はチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓35、第2の窓37、入口39、および出口41を有する。入口39は溶液中で光反応する化合物のソース、クロマトグラフィシステム15、およびカラム17と流体連通している。出口41は光化学反応の生成物を放出するためのものである。
【0046】
第1の窓35は、光子の伝播に対して透過性があり、光子を受け取るために光源29と光学的に通じている。チャンバ33は、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取る。溶液は光反応する化合物の分子の濃度を有する、または潜在的に有する。光源29は光子を放出し、光源29の光子が第1の窓35により受け取られチャンバ33の中に運ばれる。光源29は、励起波長で、各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルのチャンバを通り抜けて生成物を形成するために溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する光子を放出する。
【0047】
さらに、方法は、生成物を形成するために前記光源29が光子をチャンバ33の中に向けるとき、光反応する化合物を含む、または潜在的に光反応する化合物を含む溶液をチャンバ33に向けるステップ、および蛍光検出器19を使って蛍光を探して第2の窓37から放出を監視するステップを含む。
【0048】
これらの特徴および利点が、以下の実施例に関連してさらに説明される。
【実施例1】
【0049】
アフラトキシン分析の最適な励起波長および放出波長
この研究ではアフラトキシンの5つすべてについて、光源29での励起波長が365nmに設定された。365nmの励起波長は、Hg−Xeランプからの強い水銀輝線と一致する。放出波長は、Gアフラトキシンについては456nm、ならびにBおよびMのアフラトキシンについては434nmだった。これらの波長はG1およびB1の溶液の励起ならびに放出のスキャンに基づき選択された。
【0050】
図3および4は、規定された条件での水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18溶媒混合液に対するベースライン放出スペクトルと共に、G1およびB1のアフラトキシンの1ppb溶液に対する放出ならびに励起のスペクトルを描く。図3は、放出および励起のスキャンを使ってG1アフラトキシンを描く。Diff曲線は、Emスペクトルと64/18/18ベースラインスペクトルの差である。差はアフラトキシンの放出スペクトルである。365nmの励起波長がこのシステムにとって最善の選択であることを示す励起曲線が含まれる。
【0051】
G1励起曲線は、228nm、313nm、365nm、404nm、および456nmにピークを有する。228nmのピークは、放出モノクロメータの中に散乱され456nmに2次として見られる励起光であり、蛍光を示さない。456nmのピークは、放出システムにより見られる散乱励起光であり、この場合も蛍光を示さない。313nm、365nm、および405nmのピークは、励起蛍光からのものであり、365nmのピークは、この他のピークよりも明らかに何倍か大きいため、Hg−Xeソースからの最適の励起波長である。ここで図4に移ると、B1励起曲線が217nm、313nm、365nm、405nm、および434nmに大きなピークを有する。217nmのピークは、散乱され放出モノクロメータに入る励起光であり、434nmに2次として見られ、蛍光を示さない。434nmのピークは、放出システムにより見られる散乱励起光であり、この場合も蛍光を示さない。313nm、365nm、および405nmのピークは、励起蛍光からのものであり、365nmのピークはこの場合もこの他のピークよりも数倍大きいため、Hg−Xe光源29からの最適な励起波長である。
【実施例2】
【0052】
滞留時間(residence timeまたはdwell time)の研究
チャンバ33内でのアフラトキシンの滞留時間の影響に関する研究が始められた。光化学反応は分子に遭遇する光子の数に依存し、ランプ43の出力は固定しているので、分子は流速を低下させることによりチャンバ33を通って流れるとき、より多くの光子にさらされることができる。溶媒混合液組成の影響も評価された。方法は水/メタノール/アセトニトリルの64/18/18混合液を現在使用している。表1は、アフラトキシンのそれぞれに対して試験された溶媒組成を示す。
【0053】
流速は、所与の溶媒組成中で所与のアフラトキシンを流す間に段階的に変更された。使用された流速は、1、0.5、0.25、0.1、および0.05ml/分であった。各アフラトキシンおよび溶媒組成に対して異なる流速で蛍光信号が監視された。
【0054】
様々な溶媒組成でのアフラトキシンの1ppb溶媒に対する結果が、図2のクロマトグラムに示されるような溶出の順序で図5から9に提示されている。データは蛍光信号(縦座標)対滞留時間(横座標)のプロットとして提示されている。滞留時間はチャンバ体積を流速で割ったものとして計算される。線形部分の曲線の傾きが反応速度を示す。
【0055】
非光反応性または弱い光反応性のアフラトキシン(M1、G2、およびB2)は、試験されたすべての溶媒組成で滞留時間に対して比較的平坦から少し陰性の反応を有することがわかる。
【0056】
G1アフラトキシンは、最短の滞留時間で純粋なアセトニトリル中で最も蛍光性があったが、蛍光は純粋なアセトニトリル中で滞留時間が増加すると共に低下し、1.56秒を超える滞留時間でこの他の溶媒混合液の一部で測定される信号よりも小さく低下した。この他の溶媒組成のすべてが滞留時間の増加と共に信号が増加する傾向を示した。滞留時間が延長されると共に信号の最終的な平坦化を示す曲線は、できるだけ完全にフローセル条件で光反応を起こした化学種を表すものと理解される(必ずしも全面転換ではない。)。
【0057】
B1アフラトキシンは、滞留時間に対して信号が平坦な応答を示したアセトニトリルを除いて、滞留時間の増加と共に信号が増加する傾向を示した。B1アフラトキシンはまた、一部の溶媒混合液でより長い滞留時間で信号の平坦化を示した。
【0058】
光化学反応が濃度の広い範囲にわたり起こるかどうかを評価するために、濃度の広い範囲にわたり流す別の一続きが、G1およびB1のアフラトキシンを使って64/18/18移動相で行われた。これらの溶液に対する結果が図10および11に示される。実験は、評価された範囲にわたりよい線形性を示した。クロマトグラフィ測定全体に先行する較正ステップにより、この場合いわゆる放出単位(EU)で測定された装置応答と分析物濃度の間の関係が確立された。この較正ステップは当該技術分野で知られており、定期的に行われ、ランプ43の出力の低下、または光源29、容器27、もしくは検出器19内部の様々な構成要素の光伝播特徴などの装置特性の変化を補償する。
【0059】
Bアフラトキシンに対する放出波長を434nmから450nmに変更することが、検出感度を改善する場合がある。放射波長を溶媒のラマン放出からさらに離すことにより、背景レベルが4分の1から5分の1に低減される。450nmへの変更は、ピーク値の約80%にまでしかアフラトキシン蛍光信号を下げない。放出波長のこの変化が、ベースライン雑音に2倍の改善をもたらし、改善されるS/N性能にはほぼ同じ改善をもたらすことができる。
【0060】
【表1】
【実施例3】
【0061】
光変換および信号への波長の影響
この実施例は、アフラトキシンの一定組成の溶液を2つの検出器を通して連続して流すものである。
【0062】
第1の検出器では、励起波長が241nm、313nm、365nm、および405nmの間で変更された。光シャッタ機構が光源29と第1の窓35の間に置かれた。シャッタを「開」の位置にすると、励起光がチャンバ33の中に進むことが可能になった。「閉」の位置では光子が溶液に到達するのを妨げられた。
【0063】
チャンバ33からの流出を監視するために第2の蛍光検出器(図示せず)が使用された。この検出器は、励起波長365nm、およびB1溶液については放出波長434nm、G1溶液については放出波長456nmを採用した。典型的な結果が以下の表3に示されている。このデータを作成するために使用された、0.5ml/分で100ppbのG1を流す1つの例が図12に示されている。図12で、シャッタ開での信号はシャッタ閉での信号よりも常に大きいことが理解されることができ、このことは光化学増強がチャンバ33内部で起きていることを示す。さらに、増強はチャンバ33に入射する光子の波長がおよそ365nmであるときに最大となる。
【0064】
【表2】
【0065】
単位EU/光子で表現された各波長に対する効率が、(シャッタ開信号−シャッタ閉信号)/(光子/秒/滞留時間フローセル)として計算される。これらの流しに対する計算された効率因子が以下の表4に示され、表4では、因子が、特定の流速および組成での励起波長365nmに関連する効率因子に正規化されている。これらの正規化効率はこの表では「比率(Fraction)」と呼ばれる。
【0066】
【表3】
【0067】
効率因子は、365nmが最も効率的な波長であり、241nmおよび313nmが続くことを示す。241nmでのフローセルへのランプ出力は、約3.2e15光子/秒であるのに対して、313nmおよび365nmでは約1.3e16光子/秒である。光子流束がおおよそ4分の1であると共に241nmで効率が少しより低い結果、241nmでかなりより低いFLRとなる。
【実施例4】
【0068】
光化学反応生成物の質量分析およびクロマトグラフィ
流速0.5ml/分でチャンバ33を通して標準的な64/18/18溶媒混合液中にB1またはG1のアフラトキシンの一定組成溶媒100ppbを流すことにより、光化学反応生成物の試料が生成された。これらの試料を生成するために励起波長が365nmに設定された。次に、光化学反応前に見られなかった新しいピークだけでなく未反応のB1またはG1のアフラトキシンを探すために、アフラトキシン法を使用してクロマトグラフィ分離用試料として注入される出口41で、このようにさらされた試料が収集された。各試料の一部はまた、生成された反応生成物の構成/組成を理解するために、質量分析により分析された。
【0069】
G1標準と、G1*というラベルのついた光反応を起こしたG1溶液とのクロマトグラフの比較が図13に示されている。G1試料もG1*試料も3.82分に主要なG1ピークがあることがわかるが、G1*試料には1.37分、1.64分、2.85分、および3.46分にもピークがある。これらの別のピークは、G1の光化学反応で形成された化合物であり、3.82分のピークは試料中に依然として存在する未反応のG1である。
【0070】
同様に、B1標準と、B1*とラベルのつけられた光反応を起こしたB1溶液とのクロマトグラムが図14に示されている。B1標準については5.4分の単一の主要なピークしか見えないが、B1*試料には1.65分、2.08分、3.88分、4.80分、および5.4分に主要なピークがある。これらの別のピークは、B1の光化学反応で形成された化合物であり、5.4分のピークは未反応のB1である。
【0071】
B1およびG1、ならびに光反応を起こしたB1*およびG1*の同じ100ppb溶液に対して質量分析が行われた。光反応を起こした試料には親質量より上の+18質量単位および+32質量単位に質量ピークがある。+18は水の付加と解釈され、+32はメタノールの付加と解釈される。光反応を起こした試料に対するクロマトグラフには、2つだけでないこれ以外の別のピークがある。これらの結果は、B1およびG1の信号の意外で予期しない増加を示す。ピークの中には、フラン環内の二重結合にわたり水またはメタノールの化学種が付加されたことに起因すると信じられているものがある。
【0072】
このように、本発明は変更および修正することが可能であるということを理解したうえで、本発明の好ましい実施形態について詳細に述べてきた。従って、本発明は正確な詳細に限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲の内容、およびこれらの均等物を包含すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行う装置であって、
a.チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する容器であって、前記チャンバが、光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中で光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が、光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が、光反応する化合物の分子の濃度を有する容器と、
b.光子が前記第1の窓により受け取られ前記チャンバに運ばれる、光子を放出するために前記窓と光学的に通じる光源であって、前記光源が励起波長で光子を放出し、生成物を形成するために、各光反応する化合物が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルの前記チャンバを通り抜けるために溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する光源とを備える、装置。
【請求項2】
前記光源が流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバ滞留時間が0.05から4.0チャンバ体積/秒である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
1つ以上の光反応する化合物を潜在的に含む溶液のソースをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光反応する化合物が1つ以上のアフラトキシンである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アフラトキシンがP1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ソースが流体クロマトグラフィカラムである、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記クロマトグラフィカラムが1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記チャンバが蛍光検出器と光学的に通じる、光子を放出するための第2の窓を有し、前記光反応する化合物が溶液中に存在する場合、前記蛍光検出器が1つ以上の生成物を検出することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の窓が前記第1の窓から前記チャンバに入射する光子の光路に対して90°である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記検出器がアフラトキシンを検出する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
試料中に潜在的に存在する1つ以上のアフラトキシンの存在または非存在を検出する装置であって、
a.チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する容器であって、前記チャンバが光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、第2の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中の光反応するアフラトキシン化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が、光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が、光反応する化合物の分子の濃度を有し、前記第2の窓が、光化学反応の生成物の蛍光から光子を放出するためのものである容器と、
b.光子が前記窓により受け取られ前記チャンバの中に運ばれる、光子を放出するために前記窓と光学的に通じた光源であって、前記光源が、流束1.0×1015から100×1015光子/秒でおよそ365nm、241nm、または313nmからなる群から選択される励起波長で光子を放出する光源と、
c.光反応するアフラトキシン化合物を潜在的に含む溶液のソースであって、前記ソースが1つ以上の試料を受け取り、前記試料がアフラトキシンを含む場合、溶液中で1つ以上の試料を1つ以上のアフラトキシンおよび非アフラトキシンにクロマトグラフィで分離し、前記ソースが前記容器の前記入口と流体連通し、滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒を有する前記チャンバ内に前記溶液を配置するソースと、
d.アフラトキシンの存在を示す、または光子がない場合にはアフラトキシンの非存在を示す蛍光からの光子を受け取るために第2の窓と光学的に通じる蛍光検出器とを備える、装置。
【請求項14】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記アフラトキシンがP1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
光反応するアフラトキシンを潜在的に含む溶液の前記ソースが流体クロマトグラフィカラムである、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記蛍光検出器が蛍光アフラトキシンを検出する、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行う方法であって、
(i)容器および光源を有する装置を提供するステップであって、
a.前記容器がチャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有し、前記チャンバが光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中の光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が、前記光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が光反応する化合物の分子の濃度を有し、
b.光子が前記窓により受け取られ前記チャンバに運ばれる前記光源が、光子を放出するために前記第1の窓と光学的に通じ、前記光源が、およそ365nm、241nm、または313nmからなる群から選択される励起波長で光子を放出し、生成物を形成するために各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルの前記チャンバを通り抜けるために溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有するステップと、
(ii)前記光源が生成物を形成するために前記チャンバの中に光子を向けるとき、光反応する化合物を含む溶液を前記チャンバの中に向けるステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記光源が流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記チャンバ滞留時間が0.05から4.0チャンバ体積/秒である、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上の光反応する化合物を潜在的に含む溶液のソースをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記光反応する化合物が1つ以上のアフラトキシンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アフラトキシンがP1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ソースが流体クロマトグラフィカラムである、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記クロマトグラフィカラムが1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記チャンバが、光子を放出するための、蛍光検出器と光学的に通じる第2の窓を有し、前記光反応する化合物が溶液中に存在する場合、前記蛍光検出器が、1つ以上の生成物の前記放出された光子を検出することができる、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の窓が前記第1の窓からチャンバに入射する光の経路から90°を向いている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
試料中に潜在的に存在する1つ以上のアフラトキシンの存在または非存在を検出する方法であって、容器、光源、光反応アフラトキシンのソース、および蛍光検出器を有する装置を提供するステップを含み、
a.容器が、チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有し、前記チャンバが、光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、第2の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中の光反応するアフラトキシン化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が、光反応する化合物の分子の濃度を有し、前記第2の窓が光子を放出するためのものであり、
b.光子が前記窓により受け取られ前記チャンバに運ばれる光源が、光子を放出するために前記窓と光学的に通じ、前記光源が流束1.0×1015から100×1015光子/秒でおよそ365の励起波長で光子を放出し、
c.溶液のソースが光反応するアフラトキシン化合物を潜在的に含み、前記ソースが、1つ以上の試料を受け取り、前記試料がアフラトキシンを含む場合、溶液中で1つ以上の試料を1つ以上のアフラトキシン化合物および非アフラトキシン化合物にクロマトグラフィで分離し、前記ソースが、前記容器の前記入口と流体連通し、滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒で前記チャンバ内に前記溶液を配置し、
d.蛍光検出器が、前記出口と流体連通し、生成物がアフラトキシンの存在を示し、非存在がアフラトキシンの非存在を示す生成物を検出する、方法。
【請求項30】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記アフラトキシンが、P1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
光反応するアフラトキシンを潜在的に含む溶液の前記ソースが、流体クロマトグラフィカラムである、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行う装置であって、
a.チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する容器であって、前記チャンバが、光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中で光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が、光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が、光反応する化合物の分子の濃度を有する容器と、
b.光子が前記第1の窓により受け取られ前記チャンバに運ばれる、光子を放出するために前記窓と光学的に通じる光源であって、前記光源が励起波長で光子を放出し、生成物を形成するために、各光反応する化合物が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルの前記チャンバを通り抜けるために溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有する光源とを備える、装置。
【請求項2】
前記光源が流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバ滞留時間が0.05から4.0チャンバ体積/秒である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
1つ以上の光反応する化合物を潜在的に含む溶液のソースをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光反応する化合物が1つ以上のアフラトキシンである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アフラトキシンがP1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ソースが流体クロマトグラフィカラムである、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記クロマトグラフィカラムが1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記チャンバが蛍光検出器と光学的に通じる、光子を放出するための第2の窓を有し、前記光反応する化合物が溶液中に存在する場合、前記蛍光検出器が1つ以上の生成物を検出することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の窓が前記第1の窓から前記チャンバに入射する光子の光路に対して90°である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記検出器がアフラトキシンを検出する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
試料中に潜在的に存在する1つ以上のアフラトキシンの存在または非存在を検出する装置であって、
a.チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有する容器であって、前記チャンバが光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、第2の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中の光反応するアフラトキシン化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が、光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が、光反応する化合物の分子の濃度を有し、前記第2の窓が、光化学反応の生成物の蛍光から光子を放出するためのものである容器と、
b.光子が前記窓により受け取られ前記チャンバの中に運ばれる、光子を放出するために前記窓と光学的に通じた光源であって、前記光源が、流束1.0×1015から100×1015光子/秒でおよそ365nm、241nm、または313nmからなる群から選択される励起波長で光子を放出する光源と、
c.光反応するアフラトキシン化合物を潜在的に含む溶液のソースであって、前記ソースが1つ以上の試料を受け取り、前記試料がアフラトキシンを含む場合、溶液中で1つ以上の試料を1つ以上のアフラトキシンおよび非アフラトキシンにクロマトグラフィで分離し、前記ソースが前記容器の前記入口と流体連通し、滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒を有する前記チャンバ内に前記溶液を配置するソースと、
d.アフラトキシンの存在を示す、または光子がない場合にはアフラトキシンの非存在を示す蛍光からの光子を受け取るために第2の窓と光学的に通じる蛍光検出器とを備える、装置。
【請求項14】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記アフラトキシンがP1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
光反応するアフラトキシンを潜在的に含む溶液の前記ソースが流体クロマトグラフィカラムである、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記蛍光検出器が蛍光アフラトキシンを検出する、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
溶液中で光反応する化合物の光化学反応を行う方法であって、
(i)容器および光源を有する装置を提供するステップであって、
a.前記容器がチャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有し、前記チャンバが光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中の光反応する化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が、前記光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が光反応する化合物の分子の濃度を有し、
b.光子が前記窓により受け取られ前記チャンバに運ばれる前記光源が、光子を放出するために前記第1の窓と光学的に通じ、前記光源が、およそ365nm、241nm、または313nmからなる群から選択される励起波長で光子を放出し、生成物を形成するために各光反応する化合物分子が濃度1.0×10−13から1.0×10−6モル/リットルの前記チャンバを通り抜けるために溶液中に少なくとも5から50,000個の光子を配置する強度を有するステップと、
(ii)前記光源が生成物を形成するために前記チャンバの中に光子を向けるとき、光反応する化合物を含む溶液を前記チャンバの中に向けるステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記光源が流束1.0×1015から1.0×1017光子/秒を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記チャンバ滞留時間が0.05から4.0チャンバ体積/秒である、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上の光反応する化合物を潜在的に含む溶液のソースをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記光反応する化合物が1つ以上のアフラトキシンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アフラトキシンがP1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ソースが流体クロマトグラフィカラムである、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記クロマトグラフィカラムが1つ以上のアフラトキシンを潜在的に含む試料を受け取り、各アフラトキシンを互いからおよび別の化合物から分離する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記チャンバが、光子を放出するための、蛍光検出器と光学的に通じる第2の窓を有し、前記光反応する化合物が溶液中に存在する場合、前記蛍光検出器が、1つ以上の生成物の前記放出された光子を検出することができる、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の窓が前記第1の窓からチャンバに入射する光の経路から90°を向いている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
試料中に潜在的に存在する1つ以上のアフラトキシンの存在または非存在を検出する方法であって、容器、光源、光反応アフラトキシンのソース、および蛍光検出器を有する装置を提供するステップを含み、
a.容器が、チャンバの境界を画定する少なくとも1つの壁を有し、前記チャンバが、光化学反応を行うためのものであり、前記チャンバがチャンバ体積の境界を画定し、第1の窓、第2の窓、入口、および出口を有し、前記入口が、溶液中の光反応するアフラトキシン化合物のソースと流体連通して配置されるためのものであり、前記出口が光化学反応の生成物を排出するためのものであり、前記第1の窓が、光子を受け取るために光源と光学的に通じて配置されるためのものであり、前記チャンバが、滞留時間を規定するために時間をかけて溶液を受け取るためのものであり、前記溶液が、光反応する化合物の分子の濃度を有し、前記第2の窓が光子を放出するためのものであり、
b.光子が前記窓により受け取られ前記チャンバに運ばれる光源が、光子を放出するために前記窓と光学的に通じ、前記光源が流束1.0×1015から100×1015光子/秒でおよそ365の励起波長で光子を放出し、
c.溶液のソースが光反応するアフラトキシン化合物を潜在的に含み、前記ソースが、1つ以上の試料を受け取り、前記試料がアフラトキシンを含む場合、溶液中で1つ以上の試料を1つ以上のアフラトキシン化合物および非アフラトキシン化合物にクロマトグラフィで分離し、前記ソースが、前記容器の前記入口と流体連通し、滞留時間0.05から4.0チャンバ体積/秒で前記チャンバ内に前記溶液を配置し、
d.蛍光検出器が、前記出口と流体連通し、生成物がアフラトキシンの存在を示し、非存在がアフラトキシンの非存在を示す生成物を検出する、方法。
【請求項30】
前記入口が4.0×10−6モル/リットルも有する溶液を受け取る、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記アフラトキシンが、P1、Q1、M1、B1、G1、B2、およびG2からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
光反応するアフラトキシンを潜在的に含む溶液の前記ソースが、流体クロマトグラフィカラムである、請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−523456(P2011−523456A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507538(P2011−507538)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041334
【国際公開番号】WO2009/134647
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041334
【国際公開番号】WO2009/134647
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)
【Fターム(参考)】
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