説明

光反射パターン付き導光体の製造方法

【課題】任意の寸法や形状の導光板に対してもそれに適合した光反射パターンを容易に形成でき、光出射面から光を均一に出射させることのできる光反射パターン付き導光板の製造方法を提供する。
【解決手段】導光体20における光反射面αに光反射パターン31が形成された光反射パターン付き導光体10を製造する際に、光反射シート30における光反射面βに接着剤をパターン状に塗布し、光反射シート30の光反射面βを導光体20の光反射面αに接着することにより、前記接着剤で前記光反射パターン31を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の発光装置に好適に使用することのできる光反射パターン付き導光体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光を面状に照射することのできる面状発光装置は、装飾パネルや、広告看板や、液晶表示パネルのバックライトなどとして、近年、その需要が増大している。面状発光装置は、透明樹脂などで形成された導光板における特定の端面に沿って光源を配したものが広く知られている。この種の面状発光装置において、光源から発せられた光は、前記特定の端面(光入射面)から導光板の内部へと入射され、導光板における表裏一対の板面のうち一方の板面(光反射面)で内側に反射された後、他方の板面(光出射面)から導光板の外部へと出射される。この種の面状発光装置では、導光板の光出射面から均一な光が出射されるようにするための様々な工夫が施されている。
【0003】
例えば、特許文献1,2には、導光板の光反射面に複数の凹部や凸部を形成した導光板が記載されている。この凹部や凸部により、光を拡散しながら反射させることができるので、光出射面から均一な光を出射させることが可能になる。しかし、特許文献1,2の導光板は、その凹部や凸部を射出成形やプレス成形によって形成するものとなっており、導光板の形状や寸法に応じた金型や型板をその都度用意しなければならないという欠点を有している。加えて、特許文献1,2の導光板は、導光板メーカーに指定された以外の寸法や形状に切り出して使用すると、光出射面から光が均一に出射されなくなるという欠点も有している。凹部や凸部の適切な寸法や配置は、導光板の寸法や形状によって異なるからである。
【0004】
また、特許文献3には、レーザー加工によって、導光板の光反射面に複数本の溝を形成した導光板が記載されている。このように、光反射面に溝を設けることによっても、光を拡散しながら反射させることができる。特許文献3の導光板は、溝の加工に金型や型板を必要としないものの、レーザー加工設備が必要であるという欠点があった。また、射出成形やプレス成形に比べて加工時間が長くなるという欠点も有していた。加えて、レーザー加工による方法でも、特許文献1,2の導光板と同様、導光板を後から任意の寸法や形状に切り出して使用できないという欠点もある。
【0005】
さらに、特許文献4,5には、導光板の光反射面にインクをパターン状に印刷した導光板が記載されている。このように、光反射面にインクを印刷することによっても、光を拡散しながら反射させることができる。特許文献4,5の導光板は、金型や型板を必要としないため、低コストで製造することが可能である。しかし、導光板にインクを直接的に印刷できるような特殊なプリンターが必要になる。加えて、導光板を任意の寸法や形状に切り出して使用できないことに関しては、特許文献4,5の導光板も特許文献1〜3の導光板と同様である。
【0006】
ところで、導光板を任意の寸法や形状に切り出して使用できるようにするためには、例えば、光を拡散しながら反射するための光反射パターンを印刷した光反射シートを導光板の光反射面に重ね合わせる方法が考えられる。この方法を採用すると、光反射パターンは、その印刷パターンを変更するだけで容易に変えることができる。加えて、導光板と光反射シートを別々に取り扱うことも可能になる。したがって、任意の寸法や形状に切り出された導光板に対しても、それに適合する光反射パターンを印刷した光反射シートを重ね合わせるだけで、適切な光反射パターンを容易に形成することができるようになる。
【0007】
しかし、光反射シートを導光板に重ね合わせる方法は、次のような欠点があった。すなわち、この方法によって得られた導光板は、導光板と光反射パターンとが完全に密着せず、その間に空気層が存在しやすい。このため、光反射面に達した光を光反射パターンで想定した通りに反射させることが難しく、必ずしも光出射面から均一な光を出射させることができるものとはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−303734号公報
【特許文献2】特開2008−175996号公報
【特許文献3】特開2008−311157号公報
【特許文献4】特開2003−344662号公報
【特許文献5】特開2008−095103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、金型や型板を使用することなく導光板の光反射面に光反射パターンを形成することができ、任意の寸法や形状の導光板に対してもそれに適合した光反射パターンを容易に形成することができる光反射パターン付き導光板の製造方法を提供するものである。また、導光板の光反射面に光反射パターンを密着させることにより、光反射面に達した光を光反射パターンで直接的に反射させ、導光板の光出射面から光を均一に出射させることも可能な光反射パターン付き導光板の製造方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、光を入射するための光入射面αと、光入射面αから入射した光を反射するための光反射面αと、光反射面αで反射した光を出射するための光出射面αとを有する導光体(導光板の上位概念)における光反射面αに、光を反射するための光反射パターンが形成された光反射パターン付き導光体の製造方法であって、光を反射するための光反射面βを有する光反射シートにおける光反射面βに接着剤(粘着剤を含む。)をパターン状に塗布し、光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着することにより、前記接着剤で前記光反射パターンを形成することを特徴とする光反射パターン付き導光体の製造方法を提供することによって解決される。
【0011】
これにより、金型や型板やレーザー加工装置などの特殊な装置も要することなく、光反射パターン付き導光体を製造することが可能になる。また、任意の寸法や形状に切り出した導光体に対して、それに適合する光反射パターンを後から形成することが可能になる。したがって、光反射パターン付き導光体の製造コストを抑えるだけでなく、光反射パターン付き導光体の形態の選択自由度を高めることも可能になる。
【0012】
加えて、本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法では、導光体の光反射面αに密着させて光反射パターンを形成し、光反射面αと光反射パターンとの間に空気層が存在しないようにすることも可能になる。このため、導光体の内部に入射されて光反射面αにおける光反射パターンが形成された箇所に到達した光を、空気層を介することなく光反射パターンで直接的に反射させ、光出射面αから出射させることもできるようになる。よって、光反射パターンで光を想定通りに反射させることが可能になり、光出射面αから光を均一に出射させることも容易となる。
【0013】
本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法において、接着剤を光反射シートにおける光反射面βに塗布する方法は、特に限定されないが、通常、印刷によって塗布される。なかでも、スクリーン印刷によって接着剤を塗布すると好ましい。これにより、光反射パターンを細かい点状や細い線状に形成することが容易となる。したがって、光反射パターンに所望の反射作用を奏させることが可能となり、導光体の光出射面αから光を均一に出射させることもさらに容易となる。
【0014】
スクリーン印刷には、スクリーン版(シルクスクリーン)を用いる方法のほか、メタルマスク版を用いる方法もあるが、本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法では、メタルマスク版を用いるとより好適である。というのも、(1)メタルマスク版は、接着剤を通過させる開口部にメッシュが存在しないため、スクリーン版よりも接着剤の通過抵抗を小さく抑えることができる、(2)メタルマスク版は変形しにくいため、スクリーン版よりも光反射パターンを高い精度で印刷することができる、(3)メタルマスク版の厚さを選択することにより接着剤(光反射パターン)の厚さを高い精度でかつ容易にコントロールできる、などの利点があるからである。
【0015】
光反射パターンの形態は、導光体の形状などによっても異なり、特に限定されないが、光反射面βにおける前記接着剤が塗布された接着剤塗布部の面積が、光反射面βにおける特定の縁部から離れるに従って断続的又は連続的に広くなるようにすると好ましい。これにより、光源から離れた箇所でも光を多く反射させることが可能になり、導光体の光出射面αから光をより均一に出射させることができるようになる。
【0016】
接着剤塗布部の面積を断続的に広くなるようにする具体例としては、(1)光反射パターンを複数のドットにより構成し、各ドットの面積が前記特定の縁部から離れるに従って広くなるようにする、(2)光反射パターンを複数のドットにより構成し、各ドットの配置ピッチが前記特定の縁部から離れるに従って狭くなる(ドットが密になる)ようにする、などが挙げられる。また、接着剤塗布部の面積を連続的に広くなるようにする具体例としては、(3)光反射パターンを前記特定の縁部に非平行な線により構成し、線の幅が前記特定の縁部から離れるに従って広くなるようにする、などが挙げられる。
【0017】
導光体の光反射面αは、通常、その略全面が光反射シートで覆われるが、発光装置の用途などによっては、その一部のみを光反射シートで覆ってもよい。例えば、道路標識や広告看板などの表示パネルの利用者や需要者から、該表示パネルにおける特定の部分(例えば、それに記された文字や図形や記号)のみを光るようにして欲しいとの要望が出ることもあるが、このような場合には、光反射シートを、光らせたい形状(文字、図形若しくは記号、又はこれらを組み合わせた形状)に切断してから、光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着すると好ましい。
【0018】
このように、光反射シートをカッティングシートとして用いることにより、導光板の光反射面αに局所的に光反射パターンを形成することが可能になり、光反射面αで局所的に光を反射させた後、その反射光を光出射面αから局所的に出射させることが可能になる。本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法では、導光板の光出射面αを局所的に光らせる場合であっても、光る部分は斑なく均一に光らせることが可能である。したがって、昼間だけでなく、夜間においても、前記表示パネルに記された文字や図形や記号を視認しやすくすることができる。光反射シートは、接着剤を塗布する前に切断してもよいが、接着剤の塗布(印刷など)のしやすさや、光反射パターンの形成の便宜を考慮して、接着剤を塗布した後に切断すると好ましい。
【0019】
本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法で使用する導光体の形態は、特に限定されない。例えば、導光体として板状のものを用い、導光体における端面の少なくとも一部を光入射面αとして利用し、導光体における一対の板面のうち一方を光反射面αとして利用し、他方を光出射面αとして利用すると好ましい。これにより、得られた光反射パターン付き導光体を面状発光装置などに好適に使用できるものとすることができる。
【0020】
また、導光体として筒状のものを用い、導光体における端面の少なくとも一部を光入射面αとして利用し、導光体における内周面及び外周面のうち一方(特に内周面)を光反射面αとして利用し、他方(特に外周面)を光出射面αとして利用することも好ましい。これにより、その外周面や内周面が発光する変わった形態の発光装置を提供することも可能となる。上述した、金型や型板やレーザー加工装置を用いる方法、あるいは導光体にインクを直接的に印刷する方法では、筒状の導光体の内周面に光反射パターンを設けることは非常に困難であるが、本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法では、光反射パターンが形成された光反射シートを筒状に湾曲した状態で導光体の内部に挿入し、光反射シートに塗布された接着剤を導光体の内周面に接着させるだけでよい。本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法は、このように複雑な形態の導光体に対しても、光反射パターンを容易に形成することができる。
【0021】
また、上記課題は、光を入射するための光入射面αと、光入射面αから入射した光を反射するための光反射面αと、光反射面αで反射した光を出射するための光出射面αとを有する導光体における光反射面αに、光を反射するための光反射層が形成された光反射層付き導光体の製造方法であって、光を反射するための光反射面βを有する光反射シートにおける光反射面βの全面に亘って接着剤を塗布し、光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着することにより、前記接着剤で前記光反射層を形成することを特徴とする光反射層付き導光体の製造方法を提供することによっても解決される。このとき、光反射シートを、文字、図形若しくは記号、又はこれらを組み合わせた形状に切断してから、光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着すると、その切り抜いた部分を実質的に前記光反射パターンとみなすことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によって、金型や型板を使用することなく導光体の光反射面に光反射パターンを形成することができ、任意の寸法や形状の導光体に対してもそれに適合した光反射パターンを容易に形成することができる光反射パターン付き導光体の製造方法を提供することが可能になる。また、導光体の光反射面に光反射パターンを密着させることにより、光反射面に達した光を光反射パターンで直接的に反射させ、導光体の光出射面から光を均一に出射させることも可能な光反射パターン付き導光体の製造方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施態様の光反射パターン付き導光体を示した斜視図である。
【図2】第一実施態様の光反射パターン付き導光体を分解した状態を示した斜視図である。
【図3】第二実施態様の光反射パターン付き導光体を分解した状態を示した斜視図である。
【図4】第三実施態様の光反射パターン付き導光体を分解した状態を示した斜視図である。
【図5】第三実施態様の光反射パターン付き導光体に使用する光反射シートを示した斜視図である。
【図6】第三実施態様の光反射パターン付き導光体の発光時における光出射面を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10を示した斜視図である。図2は、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10を分解した状態を示した斜視図である。図3は、第二実施態様の光反射パターン付き導光体60を分解した状態を示した斜視図である。図4は、第三実施態様の光反射パターン付き導光体90を分解した状態を示した斜視図である。図5は、第三実施態様の光反射パターン付き導光体90に使用する光反射シート110を示した斜視図である。図6は、第三実施態様の光反射パターン付き導光体90の発光時における光出射面αを示した平面図である。以下においては、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10及びその製造方法と、第二実施態様の光反射パターン付き導光体60及びその製造方法と、第三実施態様の光反射パターン付き導光体90及びその製造方法とについて順番に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施態様に限定されることなく、その趣旨に反しない限り、適宜変更を加えることができる。
【0025】
まず、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10の製造方法について説明する。第一実施態様の製造方法で製造する光反射パターン付き導光体10は、図1に示すように、板状の導光板20(導光体の下位概念)の片面に光を反射するための光反射パターン31(図1に破線で示した多数の円形部分)が形成されたものとなっている。この光反射パターン付き導光体10には、別途、その導光板10の一の端面に光源40が前記一の端面側に光を発光するように配されている。光源40の種類は、特に限定されないが、通常、発光ダイオードを配列した基板が採用される。
【0026】
光源40から発せられた光は、導光板20の光入射面α(導光板20における一の端面ABCDのこと。図2を参照。)から導光板20の内部へと入射され、導光板20の光反射面α(導光板20における一方の板面DCGHのこと。図2を参照。)に形成された光反射パターン31によって拡散されながら反射される。光反射面αによって反射された光は、光反射面αに対向する光出射面α(導光板20における他方の端面ABFEのこと。図2を参照。)から導光板20の外部へと出射される。導光板20における光出射面αは、図2に示すように、光を拡散させるための光拡散シート50で覆うと好ましい。これにより、導光板20の光出射面αが局所的に光らないようにすることが可能である。
【0027】
導光板20は、ある程度厚みを有する板状のものであれば、その形態を特に限定されず、平面視円形や平面視三角形のものなどであってもよいが、第一実施態様の製造方法では、平面視矩形状のものを使用している。また、導光板20の素材も、導光性を有するものであれば特に限定されず、ガラスなどを採用してもよいが、導光板20の軽量化や加工のしやすさなどを考慮すると、透光性を有する硬質樹脂で形成すると好ましい。導光板20を形成するのに好適な硬質樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、メタクリル系樹脂(アクリル系樹脂)、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが例示される。これらの樹脂は、いずれも溶融成形が容易である。導光板20は、これらの樹脂を2種以上混合して成形してもよい。透明性、耐熱性、耐衝撃性などを考慮すると、これらの樹脂の中でも、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。導光板20は、通常、導光板メーカーから供給される。
【0028】
続いて、導光板20の光反射面αに光反射パターン31を形成する方法について説明する。第一実施態様の製造方法では、図2に示すように、光反射パターン31が形成された光反射シート30を導光板20の光反射面αに接着することにより、導光板20の光反射面αに光反射パターン31を形成している。光反射シート30は、その片面に接着剤が塗布され、この接着剤によって光反射パターン31が形成されたものとなっている。以下においては、光反射シート30における光反射パターン31が形成された側の面を「光反射面β(図2を参照。)」と表記する。
【0029】
光反射パターン31を形成する接着剤を光反射シート30に塗布する方法は、特に限定されないが、通常、印刷が用いられる。第一実施態様の製造方法においては、メタルマスク版を用いたスクリーン印刷によって、光反射シート30の光反射面βに光反射パターン31を印刷している。このため、第一実施態様の製造方法のように、細かな点状の光反射パターン31を形成する場合であっても、高い精度で容易に塗布することが可能となっている。
【0030】
光反射パターン31の形態は、特に限定されないが、第一実施態様の製造方法では、図2に示すように、光反射パターン31を構成する各点(接着剤塗布部)の面積が、光反射面βにおける特定の縁部から離れるに従って断続的に広くなるようにしている。ここで、「特定の縁部」とは、光反射シート30の各縁部のうち、導光板20における光源40が配される一の端面を形成する縁部に沿って接着される縁部のことである。このようにすることで、光源から離れた位置でも光源から近い位置と同程度の光を反射させることが可能となり、光出射面αから出射される光をより均一にすることができるようになっている。
【0031】
光反射シート30の素材は、光反射パターン31との適合性(接着性など)を考慮して適宜決定する。光反射シート30としては、通常、紙(合成紙を含む。)や、樹脂フィルムや、金属フィルムなどが例示される。後述するように、光反射パターン31を接着剤で形成する場合には、これらのいずれのフィルムも使用することができる。耐久性や皺のできにくさなどを重視するならば、樹脂製フィルムや金属製フィルムを使用するとよい。一方、耐久性よりもコストや取り扱いやすさを考慮するなら、紙を使用するとよい。なかでも、ユポ(登録商標)などの合成紙は、耐久性にも優れているため、光反射シート30として好適である。光反射シート30は、難燃性あるいは不燃性を有するものであるとより好ましい。
【0032】
光反射シート30における光反射面βの色も、特に限定されないが、少なくともその光反射面βは、白系色としておくと好ましい。これにより、光反射シート30の光反射面βにおける光反射パターン31が設けられていない部分に当たった光を導光板20に向かって拡散しながら高い反射率で反射させることが可能になり、導光板20の光出射面αから出射する光の均一性をさらに高めることができる。
【0033】
光反射シート30の寸法及び形状は、導光板20の光反射面αの寸法及び形状によって異なり特に限定されないが、通常、光反射面αの全面を光反射シート30で覆うことができる大きさとされる。第一実施態様の製造方法において、光反射シート30は、平面視矩形状のものを使用しており、その寸法及び形状を導光板20の光反射面αの寸法及び形状に一致させている。光反射シート30の裁断は、光反射パターン31を印刷する前に行ってもよいし、光反射パターン31を印刷した後に行ってもよい。また、光反射シート30を導光板20に貼り付けた後、導光板20から食み出た光反射シート30の縁部を切り取るようにしてもよい。
【0034】
光反射パターン31を形成する接着剤としては、透明度が高く、導光板20及び光反射シート30の両方に接着でき、光を反射できるものであれば特に限定されない。感圧型接着剤、固形型接着剤(ホットメルト型接着剤)、反応型接着剤、溶液型接着剤、水分散型接着剤などの各種接着剤のうち、これらの条件を満たすものを採用する。なかでも、前記接着剤として感圧型接着剤(粘着剤)を採用すると好ましい。
感圧型接着剤で光反射パターン31を形成すると、
(1)光反射シート30の光反射面β(接着面)を導光板20に押しつけるだけで、光反射シート30を導光板20に接着することができる。
(2)光反射シート30を導光板20に接着する際には、接着剤を特に加熱等する必要もないので、特殊な設備を要しない。
(3)オープンタイム(接着剤がその接着力を発揮できる時間)が長く、光反射シート30の取り扱いが容易である。
(4)再接着することが可能であるので、導光体20に対する光反射シート30の接着位置がずれても貼り直すことができる。
(5)光反射シート30を導光板20に接着するまでは、光反射シート30の光反射面β(接着面)を剥離紙などで覆うことにより、その接着力の低下を防ぐことができる。
などの利点がある。
接着剤を光反射シート30に印刷する場合には、印刷可能なものを選択する。具体的には、チクソ性(揺変性)が高く印刷時に糸を引かないことや、印刷中に溶媒が揮発して粘度が変化しない程度の遅乾燥性を有することなどが要求される。
【0035】
光反射パターン31を形成する接着剤の具体的な材料も、特に限定されないが、通常、合成樹脂系接着剤が採用される。なかでも、導光板20の素材との接着性を考慮すると、アクリル樹脂系接着剤が好ましい。特に、アクリル酸エステルの重合体を主剤として用いた接着剤を使用すると好ましい。この種の接着剤は、取り扱いが容易であることに加えて、導光板20の素材として採用しうるポリカーボネート系樹脂やアクリル系樹脂などに対しても問題なく接着するからである。第一実施態様の製造方法においては、前記接着剤として、株式会社第一塗料製造所製の接着剤(酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合樹脂系接着剤「バロンT−100」)を改良したものを採用している。
【0036】
第一実施態様の製造方法において、接着剤で光反射パターン31を形成するのは、上記で述べた以外にも、大きな理由がある。すなわち、導光板20の光反射面αと、光反射シート30の光反射パターン31とが完全に密着せず、その間に空気層が存在すると、光出射面αから均一な光が出射しなくなるおそれがある。これに対し、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10では、光反射パターン31が接着剤で形成されているため、光反射パターン31を導光板20の光反射面αに密着させることができる。したがって、導光板20における光反射面αに達した光を光反射パターン31で所望の状態で拡散させながら反射させることが可能となり、導光体20における光出射面αからより均一な照射光を得ることができる。
【0037】
ところで、光反射パターン31を形成する接着剤は、赤外線及び/又は紫外線を吸収するものとすることも好ましい。赤外線を吸収するためには、接着剤に、シアニン系色素、ポリメチン系色素、スクアリリウム系色素、ポルフィリン系色素、金属ジチオール錯体系色素、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素又は無機酸化物粒子などの赤外線吸収剤を添加するとよい。このように、光反射パターン31で赤外線を吸収することにより、導光体31の光出射面αから出射される赤外線量を少なくして、照射対象の温度が高まらないようにすることが可能になる。この構成は、光源40が赤外線をカットされたものである場合には、特に採用する必要はないものの、光源40が赤外線をカットされたものでなく、かつ照射対象が冷蔵食品や冷凍食品や化粧品など、暖かくなると困るものである場合に採用すると好適である。
【0038】
一方、光反射パターン31で紫外線を吸収するためには、接着剤を構成する樹脂組成物に、紫外線吸収剤を添加すればよい。紫外線吸収剤としては、各種のものがあるが、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤が好適である。このように、光反射パターン31で紫外線を吸収することにより、導光体31の光出射面αから出射される紫外線量を少なくして、照射対象の紫外線による劣化を防止することが可能になる。この構成は、光源40が紫外線をカットされたものである場合には、特に採用する必要はないものの、光源40が紫外線をカットされたものでなく、かつ照射対象が絵画や衣類など、紫外線によって色褪せなどの劣化を生じるものである場合に採用すると好適である。
【0039】
第一実施態様の製造方法では、上述したように、導光板20に光反射シート30を接着することにより、導光板20の光反射面αに光反射パターン31を形成する。このため、光反射シート30を導光板20に接着するアセンブラーが、材料メーカーから供給された板材を任意の寸法形状に切り出して導光板20として使用することが可能である。導光板20の寸法及び形状に適合した光反射パターン31の形態は、アセンブラー側が任意に決定することができるからである。また、印刷という簡単な方法により光反射パターン31を形成するので、金型や型板やレーザー加工装置といった特殊で高価な装置を使用する必要もない。したがって、アセンブラーの個性に応じた製品を低コストで市場に供給することが可能である。以上のように製造された反射パターン付き導光体10は、装飾パネルや、広告看板や、液晶表示パネルのバックライトなどとして好適に利用することができる。
【0040】
続いて、第二実施態様の光反射パターン付き導光板60の製造方法について説明する。第二実施態様の製造方法で製造する光反射パターン付き導光体60は、図3に示すように、筒状の導光筒70(導光体の下位概念)を用いるものとなっている。導光筒70における一対の開口端面のうち、一方は、光を入射するための光入射面αとして利用する。すなわち、複数の発光体が環状に配された図示省略の光源を、その光の出射方向が導光体70の光入射面αに向かうように配置する。
【0041】
また、導光筒70における内周面は、光入射面αから導光体70の内部へ入射した光を反射するための光反射面αとして利用する。導光筒70の光反射面αには、光反射パターン81が形成された光反射シート80を筒状に曲げた状態で接着する。光反射シート80及び光反射パターン81については、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10で用いた光反射シート30やその光反射パターン31と同様であるため、説明を割愛する。また、導光筒70の素材などについても、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10と同様であるため、説明を割愛する。
【0042】
従来の光反射パターン付き導光体では、導光体が筒状である場合に、その内周面に光反射パターンを形成することは不可能であり、また湾曲した面に光反射パターンを形成することは困難であるが、第二実施態様の製造方法では、光反射シート80を接着するだけで導光筒70の内周面に光反射パターン81を容易に形成することができる。
【0043】
導光筒80の外周面は、導光筒70の内周面で拡散されながら反射された光を外部へ出射するための光出射面αとして利用される。第一実施態様の光反射パターン付き導光体10と同様、第二実施態様の光反射パターン付き導光体60における導光筒70の光出射面αには、光を拡散するための光拡散シート(図示省略)を配してもよい。第二実施態様の製造方法で得られた筒状の光反射パターン付き導光体60は、その外周面が光る装飾性に優れた照明や各種表示板などとして好適に利用することができる。
【0044】
最後に、第三実施態様の光反射パターン付き導光体90について説明する。第三実施態様の光反射パターン付き導光体90は、図4に示すように、板状の導光板100(導光体の下位概念)の片面に光を反射するための光反射パターン111(図4における網掛けハッチングで示した部分)が形成されたものとなっている。この光反射パターン付き導光体90において、導光板100の一の端面(光入射面α)には、光源120が光入射面αに向かって光を発光するように配されており、導光板100の一の板面(光出射面α)には、光拡散シート130が配されている。
【0045】
第三実施態様の光反射パターン付き導光体90において、光反射パターン111は、図5に示すように、矩形の光反射シート110を文字(「岡山」、「Okayama」、「出口」及び「EXIT」)及び図形(矢印)の形状に切断することにより得たものとなっている。この場合、光反射シート110には、図2における光反射シート30のように、接着剤がパターン状に塗布されていてもよいし、全面に亘って均一に塗布されていてもよい。切断されたそれぞれの光反射パターン111の光反射面βは、図4に示すように、導光板100の光反射面αに接着される。このように、光反射シート110をカッティングシートとして用いることにより、導光板100の光反射面αに局所的に光反射パターン111を形成することが可能になり、図6に示すように、光反射パターン付き導光体90を道路標識などの表示パネルとして利用するのに適したものとすることが可能となる。図6では、網掛けハッチングで示した部分が発光しない非発光部となり、白抜きで示した部分が発光する発光部としている。これにより、文字や図形の部分を発光させて、夜間でも視認しやすい表示パネルを得ることが可能になる。発光部と非発光部の関係は、逆にしてもよい。ここで述べない他の構成については、第一実施態様の光反射パターン付き導光体10と同様であるため、説明を割愛する。
【0046】
以上、本発明の光反射パターン付き導光体の製造方法では、導光体(導光板や導光筒など)の材料メーカーからアセンブラーへ導光体となる材料(板材や筒材など)が供給される段階で該材料に光反射パターンが形成されていない。このため、アセンブラーは、供給を受けた前記材料を任意の寸法形状に切り出して導光体とし、該導光体に対して光反射パターンが形成された光反射シートを接着することで、光反射パターン付き導光体を得ることができる。また、光反射パターンは、接着剤で形成しているので、導光体における光反射面αとの密着性に優れている。したがって、所望の均一な照射光を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 第一実施態様の光反射パターン付き導光体
20 導光板(導光体)
30 光反射シート
31 光反射パターン
40 光源
50 光拡散シート
60 第二実施態様の光反射パターン付き導光体
70 導光筒(導光体)
80 光反射シート
81 光反射パターン
90 第三実施態様の光反射パターン付き導光体
100 導光板(導光体)
110 光反射シート
111 光反射パターン
120 光源
130 光拡散シート
α 光入射面
α 光反射面
α 光出射面
β 光反射面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を入射するための光入射面αと、光入射面αから入射した光を反射するための光反射面αと、光反射面αで反射した光を出射するための光出射面αとを有する導光体における光反射面αに、光を反射するための光反射パターンが形成された光反射パターン付き導光体の製造方法であって、
光を反射するための光反射面βを有する光反射シートにおける光反射面βに接着剤をパターン状に塗布し、
光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着することにより、
前記接着剤で前記光反射パターンを形成することを特徴とする光反射パターン付き導光体の製造方法。
【請求項2】
スクリーン印刷によって前記接着剤を光反射シートにおける光反射面βに塗布する請求項1記載の光反射パターン付き導光体の製造方法。
【請求項3】
光反射面βにおける前記接着剤が塗布された接着剤塗布部の面積が、光反射面βにおける特定の縁部から離れるに従って断続的又は連続的に広くなるようにした請求項1又は2記載の光反射パターン付き導光体の製造方法。
【請求項4】
光反射シートを、文字、図形若しくは記号、又はこれらを組み合わせた形状に切断してから、光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着する請求項1〜3いずれか記載の光反射パターン付き導光体の製造方法。
【請求項5】
導光体として板状のものを用い、
導光体における端面の少なくとも一部を光入射面αとして利用し、導光体における一対の板面のうち一方を光反射面αとして利用し、他方を光出射面αとして利用する請求項1〜4いずれか記載の光反射パターン付き導光体の製造方法。
【請求項6】
導光体として筒状のものを用い、
導光体における端面の少なくとも一部を光入射面αとして利用し、導光体における内周面及び外周面のうち一方を光反射面αとして利用し、他方を光出射面αとして利用する請求項1〜4いずれか記載の光反射パターン付き導光体の製造方法。
【請求項7】
光を入射するための光入射面αと、光入射面αから入射した光を反射するための光反射面αと、光反射面αで反射した光を出射するための光出射面αとを有する導光体における光反射面αに、光を反射するための光反射層が形成された光反射層付き導光体の製造方法であって、
光を反射するための光反射面βを有する光反射シートにおける光反射面βの全面に亘って接着剤を塗布し、
光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着することにより、
前記接着剤で前記光反射層を形成することを特徴とする光反射層付き導光体の製造方法。
【請求項8】
光反射シートを、文字、図形若しくは記号、又はこれらを組み合わせた形状に切断してから、光反射シートの光反射面βを導光体の光反射面αに接着する請求項7記載の光反射パターン付き導光体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−33278(P2012−33278A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169223(P2010−169223)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(501033280)株式会社内外プロセス (2)
【Fターム(参考)】