説明

光反応性核酸及び可逆的核酸光連結又は開裂方法

【課題】
配列選択性がなく、光照射によりDNAやRNAなどの核酸と可逆的に連結又は開裂することができる光反応性核酸及びこれを用いてなる可逆的核酸光連結又は開裂方法の提供。
【解決手段】
デアザプリン骨格を有する塩基を含むことを特徴とする光反応性核酸を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射によりDNAやRNAなどの核酸と可逆的に連結又は開裂することができる光反応性核酸及びこれを用いてなる可逆的核酸光連結又は開裂方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素を使わずに、化学反応や光照射を用いてDNAやRNAを操作する手法の開発は遺伝子操作として極めて重要であり、DNA変異解析、アンチセンス、アンチジーン、RNAiなど様々な方面での応用が期待されている。
本発明者らは、先に、ピリミジンの5位に置換ビニル基を有するピリミジン塩基の光反応性を利用することにより、可逆的に核酸を連結又は開裂させることができることを見出した(特許文献1及び2)。
しかしながら、これら従来の光反応性核酸はピリミジン骨格を有するものに限られており、配列選択性の存在が光連結を汎用的な技術とする際の障害になっていた。
【特許文献1】特開2001−348398号公報
【特許文献2】特開2001−139594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、配列選択性がなく、光照射によりDNAやRNAなどの核酸と可逆的に連結又は開裂することができる光反応性核酸及びこれを用いてなる可逆的核酸光連結又は開裂方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、塩基としてプリン塩基同様の水素結合形成が可能なデアザプリン骨格の7位に光反応性部位を導入してなる核酸が、光照射によりDNAやRNAなどの核酸と可逆的に連結又は開裂することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、デアザプリン骨格を有する塩基を含むことを特徴とする光反応性核酸を提供する。
【0006】
本発明の光反応性核酸において、デアザプリン骨格を有する塩基は、下記式(I):
【化4】

または、下記式(II):
【0007】
【化5】

(式中、X1及びX2は、それぞれ、水素原子又はアルキル基を表し、Y1及びY2は、それぞれ、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はアミノオキシカルボニル基を表す。)
で示されるものであることが好ましい。なかでも、従来のピリミジン骨格を有するものに比べて核酸の連結又は開裂に要する反応時間を大幅に短縮できることから、上記式(I)で示されるものであることがより好ましい。
【0008】
上記光反応性核酸は、モノヌクレオチドであっても良く、又はオリゴヌクレオチドの少なくとも一部を形成するものであっても良い。また、上記光反応性核酸は、DNA、RNA又はPNA(ペプチド核酸)の少なくとも一部を形成するものであっても良い。
【0009】
本発明はまた、上記光反応性核酸と、炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸に、光を照射することを特徴とする、核酸を可逆的に連結又は開裂させる方法を提供する。
【0010】
上記方法において、上記炭素−炭素二重結合を有する塩基は、シトシン、チミン又はウラシルであることが好ましい。また、上記炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸はDNA、RNA又はPNAの少なくとも一部を形成するものであることが好ましい。
【0011】
また、上記方法に用いる光は紫外線であることが好ましい。さらに、開裂させるときの波長は連結させるときの波長よりも短波長の光であることが好ましい。例えば、連結させるときの波長は366nmであることが好ましく、開裂させるときの波長は302nmであることが好ましい。特に、連結させるときの波長が366nmであり、かつ、開裂させるときの波長が302nmであることが好ましい。
【0012】
さらに、上記方法において、上記光反応性核酸及び上記炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸は、テンプレートに固定化されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光反応性核酸は、光照射により、DNAやRNAなどの核酸と可逆的に連結又は開裂することができる。本発明の光反応性核酸は、相補鎖側の塩基選択性がないことから配列選択性がない。また、本発明の光反応性核酸は、長波長側の光吸収効果が高いことから、DNAやRNAなどの核酸との光連結に要する反応時間を短縮することができるので、反応効率が非常に優れている。さらに、本発明の光反応性核酸は、従来のピリミジン骨格を有するものと同様、被連結核酸としてピリミジン塩基選択的な反応が可能である。このような光反応性核酸を用いる本発明の可逆的光核酸連結又は開裂方法は、相補鎖側の塩基選択性がないことから配列選択性がなく、このため遺伝子操作法として幅広く使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の光反応性核酸及び可逆的核酸光連結又は開裂方法について詳細に説明する。
【0015】
A.光反応性核酸
まず、本発明の光反応性核酸について説明する。
本発明の光反応性核酸は、デアザプリン骨格を有する塩基を含むことを特徴とする。デアザプリン骨格は、プリン塩基同様の水素結合形成が可能であり、また、相補鎖側の塩基選択性がないことから配列選択性がなく、かかるデアザプリン骨格を含む本発明の光反応性核酸は、光を用いた遺伝子操作法に幅広く使用することができる。
【0016】
本発明に用いられるデアザプリン骨格としては、アデニン誘導体又はグアニン誘導体が挙げられ、これらのデアザプリン骨格は、光照射により連結相手である核酸(以下、「被連結核酸」という場合がある。)と可逆的に連結又は開裂するための光反応部位を有している。
【0017】
光反応部位は、光照射により被連結核酸と可逆的に化学結合又は開裂するものであれば特に限定されないが、被連結核酸の5´側塩基と光化学的に副反応なく[2+2]光環化反応を形成できることから、炭素−炭素二重結合を有していることが好ましい。なかでも、被連結核酸の5´側塩基とのstacking相互作用が高く、反応状態を形成しやすいことから、ビニル基を有していることが好ましく、ビニル基の反応性をより高めることができることから、ビニル基は電子吸引性の置換基を有していることが好ましい。光反応部位は、被連結核酸の5´側塩基とのstacking相互作用が増大しやすいことから、デアザプリン骨格の7位に導入されていることが好ましい。
【0018】
本発明の光反応性核酸に含まれるデアザプリン骨格を有する塩基としては、具体的には、下記式(I):
【0019】
【化6】

または、下記式(II):
【0020】
【化7】

で示されるものであることが好ましい。
【0021】
式中、X1及びX2は、それぞれ、水素原子又はアルキル基を表す。なかでも、X1及びX2としては、立体障害が小さく、被連結核酸の5´側塩基とのstacking相互作用をより高められることから、水素原子であることが好ましい。アルキル基としては、光反応性を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、炭素数1から6の低級アルキル基であることが好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、立体障害をより低減できることから直鎖状であることが好ましい。本発明に用いるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等を挙げることができる。なかでも、メチル、エチルが好ましい。
【0022】
一方、Y1及びY2は、それぞれ、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はアミノオキシカルボニル基を示す。これらの基を導入することにより共役系がさらに拡張し、それにより長波長側の366nm付近でのモル吸光係数εが大きくなって光吸収効果を高めることができる。またこれら電子吸引性基は、隣接するビニル基の反応性を高めることにより、本発明の可逆的光連結核酸の光反応性をより高めることもできる。なかでも、Y1及びY2としては、光吸収効果を高める作用が強く、かつ、電子吸引効果が特に高くより効率良く反応を進行させることができることから、カルボキシル基であることが好ましい。
【0023】
本発明に用いる低級アルコキシカルボニル基としては、炭素数1から6のアルコキシ基を有するカルボニル基であれば特に限定されない。炭素数1から6のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を挙げることができる。なかでも、メトキシ、エトキシが好ましい。
【0024】
本発明に用いるデアザプリン骨格を有する塩基は、被連結核酸の5´側塩基として、従来法と同様のピリミジン塩基選択的な反応が可能である。また、従来のピリミジン骨格を有するものに比べて、共役系が拡張していることから長波長側の光吸収効果が高く、生体試料に対して損傷を与えない波長366nm付近の光を照射した際の反応効率が非常に優れている点で有用である。また、核酸の連結又は開裂を短時間で行うことができるといった利点もある。特に連結反応時間に関しては、従来のピリミジン骨格を有するものでは約1時間を要していたのに対し、本発明の好ましい態様によれば、わずか5分程度の反応時間で連結反応を行うことも可能であり、連結反応時間を大幅に短縮することができる。さらに、本発明に用いるデアザプリン骨格を有する塩基は、既に述べたように相補鎖側の塩基選択性がないことから配列選択性がなく、光を用いた遺伝子操作法としてより広い範囲での応用が期待される。
【0025】
このような効果を奏する本発明の光反応性核酸の中でも、波長366nm付近の光でのモル吸光係数ε366が従来法に比べて格段に高く、光照射による核酸の連結又は開裂に要する反応時間を大幅に短縮できることから、本発明に用いるデアザプリン骨格を有する塩基としては、上記式(I)で示されるものであることが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい態様において、上記光反応性核酸は、具体的には、下記式(III):
【0027】
【化8】

または、下記式(IV):
【0028】
【化9】

で示される。
【0029】
上記式中、X1、X2、Y1及びY2は、式(I)及び(II)におけるものと同じ意味を表し、R1及びR2は、それぞれ、リボース、デオキシリボース又はこれらの誘導体を表す。リボース、デオキシリボース又はこれらの誘導体は、次式(V):
【0030】
【化10】

で示されるものである。
【0031】
式(V)において、R3は、水酸基(リボースの場合)又は水素原子(デオキシリボースの場合)を表す。R4及びR5は、リボース、デオキシリボース又はこれらの誘導体のいずれの場合であっても、互いに独立し、同一又は異なって、置換されてもよい水酸基を表す。リボース又はデオキシリボースの誘導体としては、例えばR3が水酸基又は水素原子であり、R4及びR5にリン酸がエステル結合しているものが挙げられる。また、上記誘導体としては、式(V)における糖の酸素原子がメチレン(CH2)に置き換わった炭素環状のものであってもよい。
【0032】
本発明の光反応性核酸は、モノヌクレオチドであっても良く、オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を形成するものであっても良い。オリゴヌクレオチドにおける塩基数は特に制限されないが、好ましくは1から150、より好ましくは1から50、さらに好ましくは1から20である。オリゴヌクレオチドの場合には、本発明の光反応性核酸を1個有していても良く、光反応性核酸を2個以上有していても良い。また、オリゴヌクレオチドは、このような光反応性核酸を末端に有していることが好ましい。さらに、本発明の光反応性核酸は、DNA、RNA又はPNAの少なくとも一部を形成するものであっても良く、天然又は合成のDNAやRNAなどと塩基対を形成し得るものであることが好ましい。
【0033】
本発明の光反応性核酸は固相単体に固定化されていてもよく、固相単体としては、例えば、多孔質ガラスビーズ(CPG)、ポリスチレン(PS)、又は金などが挙げられる。
【0034】
本発明の光反応性核酸は、通常核酸の合成に用いられる公知の方法により簡単に製造することができる。例えば、シアノ酢酸エチルおよびブロモアセタールを出発物質として数段階の反応で得られる、塩基部分に相当するデアザプリン誘導体と2-デオキシ-D-リボースから得られるクロロ糖を水素化ナトリウム存在下でカップリングさせ、得られたヌクレオシド誘導体の7位をN-ヨードこはく酸イミドを用いてヨウ素化する。これをテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いてアクリル酸メチルとカップリングさせることで目的の光反応性核酸を合成することが出来る。
【0035】
具体的に、上記式(I)で示される塩基を含む光反応性核酸の合成例を挙げると次のようになる。まず、シアノ酢酸エチル及びブロモアセタールに炭酸カリウム及びヨウ化ナトリウムを加え、150℃で4時間反応させる。次に得られた化合物のエタノール溶液にナトリウムエトキシド及びチオウレアを加え、4時間加熱還流する。こうして得られたピリミジン誘導体にアンモニア水およびラネーニッケルを加え2時間加熱還流する。得られた化合物に0.2規定塩酸を加え、室温で3時間撹拌してデアザプリン誘導体に変換する。これにオキシ塩化リンを加えて室温で1時間加熱還流して、塩基部分に相当するクロロデアザアプリンを得る。得られた化合物と2-デオキシ-D-リボースから得られるクロロ糖を水素化ナトリウム存在下でカップリングさせ、続いて得られたヌクレオシド誘導体の7位を無水アセトニトリル中でN-ヨードこはく酸イミドを用いて室温で2時間反応させることでヨウ素化する。これを封管中、アンモニアを飽和させたメタノールと110℃で4日間反応させることで7-デアザ-7-ヨード-2'-デオキシアデノシンが得られる。これを無水DMF中で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ヨウ化銅、トリエチルアミン存在下でアクリル酸メチルとカップリングさせることで目的の光反応性核酸を合成することが出来る。
【0036】
また、上記式(II)で示される塩基を含む光反応性核酸の合成例としては、次のような方法が挙げられる。まず、シアノ酢酸エチル及びブロモアセタールに炭酸カリウム及びヨウ化ナトリウムを加え、150℃で4時間反応させる。次に得られた化合物のエタノール溶液にグアニジン塩酸塩を加えて4時間加熱還流する。こうして得られたピリミジン誘導体に0.2規定塩酸を加え、室温で4時間撹拌してデアザプリン誘導体に変換する。続いてこれにオキシ塩化リン、N,N-ジメチルアニリンを加えて室温で1時間加熱還流して、塩基部分に相当するクロロデアザアプリンを得る。次にこの化合物と2-デオキシ-D-リボースから得られるクロロ糖をアセトニトリル中、水素化ナトリウム存在下でカップリングさせる。得られたヌクレオシド誘導体をメタノールに溶解し、ナトリウムメトキシドを加えて4時間加熱還流し、更に得られた化合物を無水DMF中でN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールと50℃で8時間反応させる。こうして得られた化合物を無水アセトニトリル中、トリエチルアミン存在下、イソ酪酸無水物と室温で23時間反応させる。このようにして得られた化合物の7位をN-ヨードこはく酸イミドを用いて、無水DMF中、室温で17時間反応させてヨウ素化する。次に得られた化合物に2規定水酸化ナトリウム水溶液を加えて24時間加熱還流して、7-デアザ-7-ヨード-2'-デオキシグアノシンが得られる。これを無水DMF中で、酢酸パラジウム、トリフェニルホスフィン、トリエチルアミン存在下アクリル酸メチルと85℃で8時間反応させて目的の光反応性核酸を得ることが出来る。
【0037】
本発明の光反応性核酸は、光の照射によりDNAやRNAなどの核酸と可逆的に連結し、又は開裂することができるものであり、DNAやRNAなどの核酸の可逆的光連結剤として有用である。
【0038】
B.可逆的核酸光連結又は開裂方法
次に、本発明の可逆的核酸光連結又は開裂方法について説明する。
本発明の可逆的核酸光連結又は開裂方法は、光反応性核酸と、炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸に、光を照射することを特徴とする。本発明においては、光反応性核酸を用いることにより、光照射により核酸を可逆的に連結し、開裂させることができることから、簡便かつ効率的な遺伝子操作を可能とすることができる点で本発明の方法は非常に有用である。
【0039】
本発明に用いる光反応性核酸は、前記「A.光反応性核酸」の欄で説明したものと同じものを使用することができる。被連結核酸である炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸は特に限定されるものではないが、DNA、RNA又はPNAなどの少なくとも一部を形成するものであることが好ましい。但し、光反応性核酸がピリミジン塩基に対し高い選択性を有することから、上記被連結核酸の炭素−炭素二重結合を有する塩基としては、シトシン、チミン又はウラシルであることが好ましい。
【0040】
本発明において、光反応性核酸と被連結核酸との連結又は開裂に用いる光は紫外線であることが好ましい。また、遺伝子操作法の制御が容易であることから、開裂させるときの波長が連結させるときの波長よりも短波長の光であることが好ましい。本発明の好ましい態様において、連結させるときの波長の範囲は345〜385nm、好ましくは355〜375nmであり、開裂させるときの波長の範囲は285〜325nm、好ましくは295〜315nmである。特に、既存のトランスイルミネーターを使用できることから、連結させるときの波長が366nmであり、かつ、開裂させるときの波長が302nmであることが好ましい。本発明に用いる光反応性核酸は、従来のピリミジン骨格を有するものに比べて共役系が拡張するため、長波長側の光吸収効果が高い。従って、生体試料に対して損傷を与えない波長366nm付近の光を照射した場合にも、効率良く反応を進行させることができるといった利点を有する。
【0041】
また、本発明の方法においては、DNAやRNAなどをテンプレートとして用いることが好ましい(図1)。例えば、DNAをテンプレートとして、その上にその相補鎖の連結されるべき核酸を配置し、連結部分が隣接するように隣接して光反応性核酸と被連結核酸とを配置して光を照射するのが好ましい。このようなテンプレートを使用することにより、目的の位置で選択的に連結を行うことができる。
【0042】
本発明の方法によれば、光照射により簡便かつ効率的に核酸同士を連結又は開裂させることができる。また、本発明の方法は、光反応性核酸を用いるものであるので、相補鎖側の塩基選択性がないことから配列選択性がなく、光による遺伝子操作法として幅広く使用できる。
【0043】
例えば、光反応性核酸と、塩基としてシトシンを有する核酸に光を照射して塩基同士を連結させ、酸素又は水などの酸素含有物の存在下にシトシンのアミノ基を分解して、次いでより短波長の光を照射して前記塩基同士の連結を開裂させることにより、シトシンを選択的にウラシルに変換することが可能である。
【0044】
また、DNAの特定の塩基を対象として、光反応性核酸の5´末端及び3´末端が、前記DNAの特定の塩基の周辺の塩基配列と相補的な塩基配列を有する光反応性核酸を配置して、これに光を照射することにより、前記DNAを不活性化することができる。
【0045】
さらに、光反応性核酸を用いた、標的となる特定の核酸類の固定化方法、標的となる特定の核酸類を精製及び/又は回収することや、同定及び/又は検出及び/又は定量することが可能である。
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0047】
光反応性核酸の製造
本発明の光反応性核酸を下記の反応式に従って製造した。
【0048】
【化11】

【0049】
1)化合物(2)の製造
窒素雰囲気下、7-ヨード-7-デアザグアノシン(1) (28.0 mg, 0.072 mmol) を無水N,N-ジメチルホルムアミド0.2 mlに溶解し、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール0.2 mlを加えた。この溶液を50℃で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール=10/1)により精製して目的の化合物(2)を無色固体(23.1 mg, 72 %)として得た。
【0050】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 2.27 (ddd, 1H, Hα-2', J = 2.8 Hz, 6.4 Hz, 13.6 Hz), 2.50 (ddd, 1H, Hβ-2', J = 5.6 Hz, 7.6 Hz, 13.6 Hz), 3.08 (s, 3 H, N(CH3)), 3.17 (s, 3 H, N(CH3)), 3.70 (dd, 2 H, H-5', J = 2.8 Hz, 12 Hz), 3.93 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.8 Hz), 4.46 (dt, 1 H, H-3', J = 2.8 Hz, 5.6 Hz), 6.52 (dd, 1 H, H-1', J = 6.4, 7.6 Hz), 7.23 (s, 1 H, H-8), 8.62 (s, 1 H, H-2).
【0051】
2)化合物(3)の製造
7-ヨード-7-デアザグアノシン誘導体(化合物(2), 28 mg, 0.063 mmol)を無水N,N'-ジメチルホルムアミド1.0 mlに溶解し、窒素雰囲気下、酢酸パラジウム (0.70 mg, 0.0031 mmol)、トリフェニルホスフィン(2.46 mg, 0.0094 mmol)を加えた。この溶液に更に室温でアクリル酸メチル (11 μl, 0.13 mmol)、トリエチルアミン (10.0 μl, 0.075 mmol)を加え、85℃で8時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール=10/1)により精製して目的の化合物(3)を無色固体(14.2 mg, 56 %)として得た。
【0052】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 2.31 (ddd, 1H, Hα-2', J = 2.8 Hz, 6.4 Hz, 13.6 Hz), 2.52 (ddd, 1H, Hβ-2', J = 5.6 Hz, 7.6 Hz, 13.6 Hz), 3.10 (s, 3 H, N(CH3)), 3.18 (s, 3 H, N(CH3)), 3.73 (s, 3 H, OCH3), 3.74 (dd, 2 H, H-5', J = 2.8 Hz, 12 Hz), 3.95 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.8 Hz), 4.48 (dt, 1 H, H-3', J = 2.8 Hz, 5.6 Hz), 6.54 (dd, 1 H, H-1', J = 6.4, 7.6 Hz), 7.20 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 7.55 (s, 1 H, H-8), 7.71 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 8.66 (s, 1 H, H-2), HRMS (FAB+): calcd for C18H23O6N5 [M+] 405.1648, found 405.1651.
【0053】
3)化合物(4)の製造
窒素雰囲気下、前記2)で得た化合物(3) (29.0 mg, 0.072 mmol) を無水ピリジン0.5 mlに溶解し、4, 4'-ジメトキシトリチルクロリド(26.7 mg, 0.079 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン (1.75 mg, 0.014 mmol)を加えた。この溶液を室温で8時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール=10/1)により精製して目的の化合物(4)を無色固体(38.5 mg, 76 %)として得た。
【0054】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 2.39 (m, 1H, Hα-2'), 2.61 (m, 1H, Hβ-2'), 3.11 (s, 3 H, N(CH3)), 3.17 (s, 3 H, N(CH3)), 3.72 (s, 3 H, OCH3), 3.75 (s, 3 H, OCH3), 3.77 (m, 2 H, H-5',), 4.04 (m, 1 H, H-4',), 4.60 (m, 1 H, H-3',), 7.03 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 6.60 (t, 1 H, H-1) 6.79-6.84 (m, 4 H, Ar-H), 7.18-7.49 (m, 10 H, Holefinic, Ar-H), 7.90 (s, 1 H, H-8), 8.23 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 8.70 (s, 1 H, H-2), 8.52 (s, 1 H, Holefinic), HRMS (FAB+): calcd for C39H41O8N5 [M+] 707.2955, found 707.2948.
【0055】
4)化合物(5)の製造
窒素雰囲気下、前記3)で得た化合物(4)(60.8 mg, 0.086mmol)を無水ジクロロメタン0.6 mlに溶解し、1H-テトラゾール無水アセトニトリル溶液(0.45M, 231μl, 0.105mmol)、2-シアノエチル-N,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(33μl, 0.105mmol)を加えた。この溶液を室温で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣を無水アセトニトリル 900 μlに溶解し、コスモナイスフィルター S (溶媒系、ナカライテスク)でろ過した。ろ液を濃縮し、目的の化合物(5)を粗生成物として得た。DNA合成には化合物(5)の粗生成物をそのまま用いた。
【0056】
5)化合物(7)の製造
7-ヨード-7-デアザアデノシン(6)を無水N,N-ジメチルホルムアミド5 mlに溶解し、窒素雰囲気下、ヨウ化銅(I)(3.0 mg, 0.016 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) (9.2 mg, 0.0079 mmol)を加えた。この溶液に更に室温でアクリル酸メチル (106 ml, 1.16 mmol)、トリエチルアミン (22.2 ml, 0.16 mmol)を加え、85℃で8時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール=10/1)により精製して目的の化合物(7)を無色固体(21.4 mg, 80 %)として得た。
【0057】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ2.35 (ddd, 1H, Hα-2', J = 2.8 Hz, 6.0 Hz, 13.6 Hz), 2.64 (ddd, 1H, Hβ-2', J = 5.6 Hz, 7.6 Hz, 13.6 Hz), 3.78 (s, 3 H, OCH3), 3.79 (dd, 2 H, H-5', J = 2.8 Hz, 21 Hz), 4.02 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.8 Hz), 4.53 (dt, 1 H, H-3', J = 2.8 Hz, 5.6 Hz), 6.36 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 6.52 (dd, 1 H, H-1', J = 6.0, 7.6 Hz), 7.90 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 7.94 (s, 1 H, H-8), 8.11 (s, 1 H, H-2). 13C NMR (CD3OD,100MHz)δ40.6, 51.2, 62.5, 71.8, 85.6, 88.2, 112.1, 116.2, 124.2, 136.9, 150.9, 151.7, 158.3, 168.7, HRMS (FAB+): calcd for C15H19O5N4 [(M+H)+] 335.1355, found 335.1353.
【0058】
6)化合物(8)の製造
窒素雰囲気下、前記5)で得た化合物(7) (21.4 mg, 0.064 mmol) を無水N,N-ジメチルホルムアミド0.8 mlに溶解し、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール (3.0 mg, 0.016 mmol) を加えた。この溶液を50℃で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール=10/1)により精製して目的の化合物(8)を無色固体(20.2 mg, 81 %)として得た。
【0059】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 2.36 (ddd, 1H, Hα-2', J = 2.8 Hz, 6.4 Hz, 13.6 Hz), 2.64 (ddd, 1H, Hβ-2', J = 5.6 Hz, 7.6 Hz, 13.6 Hz), 3.18 (s, 3 H, N(CH3)), 3.19 (s, 3 H, N(CH3)), 3.73 (s, 3 H, OCH3), 3.83 (dd, 2 H, H-5', J = 2.8 Hz, 12 Hz), 4.02 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.8 Hz), 4.54 (dt, 1 H, H-3', J = 2.8 Hz, 5.6 Hz), 6.50 (dd, 1 H, H-1', J = 6.4, 7.6 Hz), 6.79 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 7.86 (s, 1 H, H-8), 8.20 (s, 1 H, H-2), 8.24 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 8.55 (s, 1 H, Holefinic), 13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ34.6, 40.4, 40.5, 50.9, 62.5, 71.8, 85.5, 88.1, 110.0, 113.7, 115.4, 125.8, 138.8, 151.4, 152.0, 157.0, 162.0, 169.1, HRMS (FAB+): calcd for C15H23O5N5 [(M+H)+] 390.1777, found 390.1776.
【0060】
7)化合物(9)の製造
窒素雰囲気下、前記6)で得た化合物(8) (50.0 mg, 0.13 mmol) を無水ピリジン5mlに溶解し、4, 4'-ジメトキシトリチルクロリド(56.9 mg, 0.17 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン (3.13 mg, 0.033 mmol)を加えた。この溶液を室温で8時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール=20/1)により精製して目的の化合物(9)を無色固体(72.3 mg, 81 %)として得た。
【0061】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ2.47 (m, 1H, Hα-2',), 2.58 (m, 1H, Hβ-2',), 3.16 (s, 3 H, N(CH3)), 3.25 (s, 3 H, N(CH3)), 3.74 (s, 6 H, OCH3), 3.74 (m, 2 H, H-5',), 4.17 (m, 1 H, H-4',), 4.64 (m, 1 H, H-3',), 6.65 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 6.72-6.85 (m, 5 H, H-1', Ar-H), 7.17-7.42 (m, 9 H, Ar-H), 7.56 (s, 1 H, H-8), 8.23 (d, 1 H, Holefinic, J = 16 Hz), 8.41 (s, 1 H, H-2), 8.74 (s, 1 H, Holefinic), 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ35.3, 40.9, 41.0, 51.1, 55.1, 63.9, 72.5, 77.2, 83.4, 85.7, 86.5, 109.6, 113.0, 113.1, 114.0, 116.0, 123.8, 126.9, 127.8, 128.1, 129.92, 129.94, 135.5, 135.6, 138.1, 144.3, 151.9, 152.5, 156.3, 158.4, 161.5, 168.3, HRMS (FAB+): calcd for C39H41O7N5 [(M+H)+] 692.3084, found 692.3085.
【0062】
8)化合物(10)の製造
窒素雰囲気下、前記7)で得た化合物(9)(65.0 mg, 0.094mmol)を無水ジクロロメタン0.6mlに溶解し、1H-テトラゾール無水アセトニトリル溶液(0.45M, 251μl, 0.114mmol)、2-シアノエチル-N,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(36μl, 0.114mmol)を加えた。この溶液を室温で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣を無水アセトニトリル 900 μlに溶解し、コスモナイスフィルター S (溶媒系、ナカライテスク)でろ過した。ろ液を濃縮し、目的の化合物(10)を粗生成物として得た。DNA合成には化合物(10)の粗生成物をそのまま用いた。
【0063】
9)化合物(5)あるいは化合物(10)からオリゴヌクレオチドを得る行程
化合物(5)(あるいは化合物(10))を用いて、DNA自動合成機(3400DNA/RNAシンセサイザ、アプライドバイオシステムズ社)を用いて目的とする配列(5'-XGCGTG-3')を有するオリゴヌクレオチド鎖を合成した。合成後、固層担体を室温で1時間、0.4規定水酸化ナトリウム水溶液で処理して、オリゴヌクレオチドを切り出し、これをエッペンドルフチューブに移し替え、37℃で18時間加熱して脱保護を行った。得られたオリゴヌクレオチドの水溶液を高速液体クロマトグラフィー(PU-2080-puls, JASCO)で精製した。精製後、凍結乾燥機で溶媒を減圧留去することで目的の配列(5'-XGCGTG-3')を有するオリゴヌクレオチド鎖を得た。
【実施例2】
【0064】
光連結反応性の評価
図1に示した構造を有する光反応性核酸ODN2及び被連結核酸ODN1に対し、HPLCを用いて光連結反応性の評価を行った。本評価は、20 μM ODN1及びODN2, 24 μM Template, 50 mMカコジル酸緩衝液, 100 mM NaCl, pH 7.0, 0 ℃の条件下で、光照射は366 nmのトランスイルミネーターを用いて行った。なお、ODN 2は上記実施例1のScheme 2に従って合成した。
【0065】
その結果、図2に示したように、光照射わずか5分でODN 1, 2の消失とともに新たにODN 3の生成を確認した(conversion = 93%)。分取後、MALDI-TOF MSによる測定を行ったところ、ODN 1とODN 2の分子量とを足した値と一致したため([M-H]- : calcd. = 3698.55, found = 3698.57)、ODN 3はODN 1とODN 2の連結体であることが分かった。これらのODNは、従来法に比べ非常に効率よく反応が進行し、これまでに得られた光反応性核酸の中で、もっとも高速に反応を進行させることが分かった。
【実施例3】
【0066】
光開裂反応性の評価
従来法と同様に、異なる波長の紫外線照射により逆反応が進行するかについて検討を行うため、20 μM ODN3, 50 mM カコジル酸緩衝液, pH 7.0, 0 ℃の条件下で、トランスイルミネーターを用い、302 nmの光照射を行った。
【0067】
HPLCによる反応解析を行ったところ、図4に示したように、連結体ODN3の消失とともに原料であるODN1([M-H]- : calcd. = 1797.23, found = 1797.38), ODN2([M-H]- : calcd. = 1900.31, found = 1900.63)の生成を確認できた。反応は約90分でほぼ終了した。VZAを含む連結体でも可逆的に開裂することを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明により、デアザプリン骨格を有する塩基を含むことを特徴とする光反応性核酸及びこれを用いてなる可逆的核酸光連結又は開裂方法が提供される。本発明は、配列選択性がなく、簡便かつ効率的に核酸同士を連結又は開裂させることができることから、DNA変異解析、アンチセンス、アンチジーン、RNAiなどの遺伝子操作法として幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例2の光連結反応性の評価方法を示す図である。
【図2】実施例2におけるHPLCの結果を示す図である。
【図3】実施例3の光開裂反応性の評価方法を示す図である。
【図4】実施例3におけるHPLCの結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デアザプリン骨格を有する塩基を含むことを特徴とする光反応性核酸。
【請求項2】
デアザプリン骨格を有する塩基が、下記式(I):
【化1】

または、下記式(II):
【化2】

(式中、X1及びX2は、それぞれ、水素原子又はアルキル基を表し、Y1及びY2は、それぞれ、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はアミノオキシカルボニル基を表す。)
で示されるものである請求項1に記載の光反応性核酸。
【請求項3】
デアザプリン骨格を有する塩基が、下記式(I):
【化3】

(式中、X1は、水素原子又はアルキル基を表し、Y1は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はアミノオキシカルボニル基を表す。)
で示されるものである請求項1に記載の光反応性核酸。
【請求項4】
モノヌクレオチドである請求項1から3までのいずれかの請求項に記載の光反応性核酸。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドの少なくとも一部を形成するものである請求項1から3までのいずれかの請求項に記載の光反応性核酸。
【請求項6】
DNA又はRNAの少なくとも一部を形成するものである請求項1から3までのいずれかの請求項に記載の光反応性核酸。
【請求項7】
PNAの少なくとも一部を形成するものである請求項1から3までのいずれかの請求項に記載の光反応性核酸。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかの請求項に記載の光反応性核酸と、炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸に、光を照射することを特徴とする、核酸を可逆的に連結又は開裂させる方法。
【請求項9】
前記炭素−炭素二重結合を有する塩基が、シトシン、チミン又はウラシルである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸がDNA又はRNAの少なくとも一部を形成するものである請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸がPNAの少なくとも一部を形成するものである請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記光が紫外線である請求項8から11までのいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項13】
開裂させるときの波長が連結させるときの波長よりも短波長の光である請求項8から12までのいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項14】
連結させるときの波長が366nmである請求項8から13までのいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項15】
開裂させるときの波長が302nmである請求項8から13までのいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項16】
連結させるときの波長が366nmであり、かつ、開裂させるときの波長が302nmである請求項8から13までのいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記光反応性核酸及び前記炭素−炭素二重結合を有する塩基を含む核酸が、テンプレートに固定化されている請求項8から16までのいずれかの請求項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−76905(P2006−76905A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260749(P2004−260749)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第84春季年会 講演予稿集2」に発表
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】