説明

光受信システム

【課題】ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能とするための、光受信システムを提供すること。
【解決手段】光受信システム1は、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号に変換するフォトダイオード11と、フォトダイオード11によって変換されたRF信号を有線で出力するRF出力端子13と、RF信号から取得したFM信号を有線で出力するFM出力端子14とを有する光受信機10と、フォトダイオード11によって変換されたRF信号及び当該RF信号から取得されたFM信号の一方又は両方を無線送信するアンテナ40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムにおいて光信号を受信するための光受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、光通信技術の進展に伴い、光ケーブルを用いた光伝送システムが普及している。この光伝送システムによれば、数10km程度の無中継伝送が可能となるため、伝送システムを容易に広域化できる。この光伝送システムは、概略的には、送信者側に配置した光送信機と、受信者側に配置した光受信機(光終端端末装置、ONU:Optical Network Unit)とを、光ケーブルにて構成された長距離伝送路を介して接続して構成されている。このように構成された光伝送システムにおいて、送信側では、テレビ信号や告知放送信号が混合された電気信号を光送信機によって光信号に変換し、この光信号を光ケーブルを介して送信する。一方、受信側では、この光信号を光受信機を介して受信してRF信号やFM信号に変換し、RF信号をテレビ受像機に出力すると共に、RF信号やFM信号を告知放送受信機に出力する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−236442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き従来の光伝送システムにおいて光信号を受信するための光受信システムは、光信号を変換したRF信号やFM信号を有線で出力するものに過ぎなかった。従って、RF信号やFM信号の入力端子を有するテレビ受像機や告知放送受信機では、従来の光受信システムから有線出力されたRF信号やFM信号を受信できるものの、RF信号やFM信号の入力端子を有しない携帯電話や移動体端末では、従来の光受信システムから有線出力されたRF信号やFM信号を受信することができなかった。その結果、従来の光受信システムから有線出力されたRF信号に携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス(以下、必要に応じて「ワンセグ」)向けの信号が含まれている場合であっても、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用することはできなかった。例えば、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等では、従来の光受信システムが設置されている場合であっても、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用することができない可能性があった。
【0005】
本発明は、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能とするための、光受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の光受信システムは、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部によって変換されたRF信号を有線で出力するRF出力端子と、前記RF信号から取得したFM信号を有線で出力するFM出力端子と、を有する光受信機と、前記光電変換部によって変換されたRF信号及び当該RF信号から取得されたFM信号の一方又は両方を無線送信するアンテナと、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の光受信システムは、請求項1に記載の光受信システムにおいて、前記RF出力端子から有線で出力されたRF信号の入力を受けるRF入力端子と、前記FM出力端子から有線で出力されたFM信号の入力を受けるFM入力端子と、前記RF入力端子に入力されたRF信号又は前記FM入力端子に入力されたFM信号を有線で出力する出力端子と、前記RF入力端子又は前記FM入力端子のいずれか一方を、選択的に切り替えて、前記出力端子に接続する切り替え手段と、を有する切り替え器を備え、前記アンテナは、前記出力端子から出力されたRF信号又はFM信号を無線送信する。
【0008】
また、請求項3に記載の光受信システムは、請求項1に記載の光受信システムにおいて、前記アンテナは、前記光電変換部と前記RF出力端子との間から分岐されたRF信号及び前記光電変換部と前記FM出力端子との間から分岐されたFM信号の一方又は両方を無線送信する。
【0009】
また、請求項4に記載の光受信システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の光受信システムにおいて、前記光受信機に電力を供給する電力供給手段を備え、前記光電変換部は、前記光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されている場合には当該電力を用いて逆バイアスモードで使用され、前記光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されていない場合には無バイアスモードで使用される、フォトダイオードを用いて構成され、前記光受信機は、前記光電変換部によって変換されたRF信号を、当該光受信機に前記電力供給手段から供給された電力を用いて増幅し、前記RF出力端子に出力する増幅手段を備え、当該光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されている場合には、前記増幅手段によって増幅されたRF信号を前記RF出力端子から有線で出力すると共に、前記光電変換部によって変換されたRF信号から取得したFM信号を前記FM出力端子から有線で出力し、当該光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されていない場合には、前記光電変換部によって変換されたRF信号から取得したFM信号のみを前記FM出力端子から有線で出力する。
【0010】
また、請求項5に記載の光受信システムは、請求項2及び4に記載の光受信システムにおいて、前記電力供給手段は、前記切り替え器に電力を供給し、前記切り替え手段は、前記電力供給手段から前記切り替え器に電力が供給されている場合には、前記RF入力端子を前記出力端子に接続し、前記電力供給手段から前記切り替え器に電力が供給されていない場合には、前記FM入力端子を前記出力端子に接続する。
【発明の効果】
【0011】
このように、請求項1に記載の光受信システムによれば、光受信システムは、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号に変換する光電変換部と、光電変換部によって変換されたRF信号を有線で出力するRF出力端子と、RF信号から取得したFM信号を有線で出力するFM出力端子とを有する光受信機と、光電変換部によって変換されたRF信号及び当該RF信号から取得されたFM信号の一方又は両方を無線送信するアンテナとを備えるので、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、アンテナから無線送信されたRF信号を受信することにより、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能となる。
【0012】
また、請求項2に記載の光受信システムによれば、光受信システムは、RF出力端子から有線で出力されたRF信号の入力を受けるRF入力端子と、FM出力端子から有線で出力されたFM信号の入力を受けるFM入力端子と、RF入力端子に入力されたRF信号又はFM入力端子に入力されたFM信号を有線で出力する出力端子と、RF入力端子又はFM入力端子のいずれか一方を、選択的に切り替えて、出力端子に接続する切り替え手段とを有する切り替え器を備え、アンテナは、出力端子から出力されたRF信号又はFM信号を無線送信するので、光受信機の設置位置に関わらず、アンテナを任意の位置に配置することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の光受信システムによれば、アンテナは、光電変換部とRF出力端子との間から分岐されたRF信号及び光電変換部とFM出力端子との間から分岐されたFM信号の一方又は両方を無線送信するので、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、アンテナから無線送信されたRF信号を受信することにより、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能となる。また、FM受信機を用いてFMラジオ放送を利用することも可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の光受信システムによれば、光受信機は、当該光受信機に電力供給手段から電力が供給されている場合には、増幅手段によって増幅されたRF信号をRF出力端子から有線で出力すると共に、光電変換部によって変換されたRF信号から取得したFM信号をFM出力端子から有線で出力し、光受信機に電力供給手段から電力が供給されていない場合には、光電変換部によって変換されたRF信号から取得したFM信号のみをFM出力端子から有線で出力するので、無給電時においても、FM受信機を備える携帯電話や移動体端末でFMラジオ放送を利用することが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の光受信システムによれば、切り替え手段は、電力供給手段から切り替え器に電力が供給されている場合には、RF入力端子を出力端子に接続し、電力供給手段から切り替え器に電力が供給されていない場合には、FM入力端子を出力端子に接続するので、電力供給手段からの給電の有無に応じて切り替えスイッチを自動的に動作させることができ、機械式スイッチを設けて手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係る光受信システムの構成図である。
【図2】実施の形態1に係る切り替え器の回路図である。
【図3】実施の形態2に係る光受信システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る光受信システムの各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、切り替え器を備える形態である。
【0019】
(構成)
図1は、実施の形態1に係る光受信システムの構成図である。この図1に示すように、光受信システム1は、光受信機10、切り替え器20、分岐器30、アンテナ40、及び、パワーインサータ50(図1では「PI」と示す)を備えている。また、本実施の形態1では、テレビ受像機60及び告知放送受信機70が、切り替え器20及び分岐器30を介して光受信機10に有線接続されている。なお、告知放送受信機70及びテレビ受像機60については、従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。また、光受信機10、分岐器30、及びパワーインサータ50についても、基本的には従来と同様に構成することができるので、以下では、特に本実施の形態に関連する構成のみを説明し、その他の詳細な説明は省略する。
【0020】
(構成−光受信機)
光受信機10は、機器の駆動用電源の供給が無くても信号出力が可能な無給電式の光受信機であって、フォトダイオード11(以下、必要に応じて「PD」と表記する)、アンプ12、RF出力端子13、及びFM出力端子14を備えている。PD11は、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号に変換する光電変換部であり、光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されている場合には当該電力を用いて逆バイアスモードで使用され、光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されていない場合には無バイアスモードで使用される。アンプ12は、PD11によって変換されたRF信号を、光受信機10にパワーインサータ50から供給された電力を用いて増幅し、RF出力端子13に出力する増幅手段である。RF出力端子13は、PD11によって変換されたRF信号を有線で出力する。FM出力端子14は、RF信号から取得されたFM信号を有線で出力する。
【0021】
光受信機10は、当該光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されている場合には、パワーインサータ50から供給された電力をRF出力端子13を介して受電し、当該受電した電力を用いて、逆バイアスモードのPD11によって光信号をRF信号に変換すると共に、アンプ12によって当該RF信号を増幅する。この場合、光受信機10は、アンプ12によって増幅されたRF信号をRF出力端子13から有線で出力すると共に、PD11によって変換されたRF信号から取得したFM信号をFM出力端子14から有線で出力する。
【0022】
一方、光受信機10は、当該光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されていない場合には、無バイアスモードのPD11によって変換されたRF信号から取得したFM信号のみをFM出力端子14から有線で出力する。
【0023】
このような無給電式の光受信機10の具体的な回路構成としては、例えば、特開2010−068195号公報や特開2010−093778号公報に開示されている構成を適用することができる。なお、光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されている場合とは、通常は非停電時を意味し、光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されていない場合とは、通常は停電時を意味するが、後者の場合としては、非停電時であっても、パワーインサータ50が故障した時や、パワーインサータ50の電源が誤って抜かれた時等を含み得る。以下では、対象機器に対して電力が供給されている状態を「給電時」と称し、対象機器に対して電力が供給されていない状態をその原因に関わらず「無給電時」と称する。
【0024】
(構成−切り替え器)
図2は、切り替え器20の回路図である。この図2に示すように、切り替え器20は、RF入力端子21、FM入力端子22、出力端子23、リレー24、及びチョークコイル25を備えている。RF入力端子21は、RF出力端子13から有線で出力されたRF信号の入力を受ける入力端子であり、例えば光受信機10のRF出力端子13と同軸ケーブル80を介して接続されている。FM入力端子22は、FM出力端子14から有線で出力されたFM信号の入力を受ける入力端子であり、光受信機10のFM出力端子14と同軸ケーブル81を介して接続されている。出力端子23は、RF入力端子21に入力されたRF信号又はFM入力端子22に入力されたFM信号を有線で出力する出力端子であり、分岐器30と同軸ケーブル82を介して接続されている。リレー24は、RF入力端子21又はFM入力端子22のいずれか一方を、選択的に切り替えて、出力端子23に接続する切り替え手段である。リレー24のコイル24aは、出力端子23に接続されており、切り替え器20の下流側に配置されたパワーインサータ50から出力端子23を介して直流電流が供給される。このリレー24は、給電時には、RF入力端子21を出力端子23に接続し、無給電時には、FM入力端子22を出力端子23に接続する。従って、パワーインサータ50からの給電の有無に応じて切り替えスイッチを自動的に動作させることが可能になる。また、チョークコイル25は、リレー24のコイルラインに対する交流成分をカットするためのものであり、出力端子23とリレー24のコイル24aの相互間に接続されている。ただし、リレー24の駆動電流が小さい場合には、チョークコイル25に代えて、単なるコイルを使用してもよい。また、リレー24のコイル24aで交流成分をカットできる場合には、チョークコイル25を省略してもよい。また、リレー24及びチョークコイル25を省略し、切り替え手段として手動の機械式スイッチを設けてもよい。この場合、機械式スイッチの切り替えは、ユーザやメンテナンス者によって任意のタイミングにおいて手動で行われる。
【0025】
(構成−分岐器)
図1に戻り、分岐器30は、切り替え器20から有線で出力されたRF信号又はFM信号を、アンテナ40、告知放送受信機70、及びテレビ受像機60に分岐するためのものである。この分岐器30としては、公知の分岐器を用いることができる。なお、図1の例では、分岐器30の幹線系統にはパワーインサータ50及び同軸ケーブル84、85を介して告知放送受信機70が接続され、分岐器30の分岐系統には、同軸ケーブル83を介してアンテナ40が接続されていると共に、同軸ケーブル86を介してテレビ受像機60が接続されている。無給電時の光受信機10によるFM信号の出力レベルは非常に小さいことから、分岐系統に比べて信号ロスが少ない幹線系統に告知放送受信機70を接続し、分岐器30によるFM信号の信号ロスを最小限に抑えることで、告知放送受信機70に入力されるFM信号のS/N比の低下を抑制することとしている。なお、幹線系統は、直流電圧の通過が可能な、いわゆる電通となっている。
【0026】
(構成−アンテナ)
アンテナ40は、切り替え器20の出力端子23から出力され、分岐器30で当該アンテナ40に分岐されたRF信号又はFM信号を無線送信するためのものである。このアンテナ40は、同軸ケーブル83を介して分岐器30に接続されている。このアンテナ40としては、公知の無指向性アンテナや、指向性アンテナを用いることができる。アンテナ40は、パワーインサータ50や外部電源の供給を受けて駆動するが、停電時でも信号出力できるように電池等のバックアップ電源を備えている。
【0027】
(構成−パワーインサータ)
パワーインサータ50は、光受信機10及び切り替え器20に電力を供給する電力供給手段である。このパワーインサータ50は、分岐器30と告知放送受信機70との相互間に同軸ケーブル84、85を介して接続されている。本実施の形態1では、分岐器30の幹線系統に告知放送受信機70を接続し、分岐器30の幹線系統が電通となっている。従って、告知放送受信機70の前段にパワーインサータ50を配置することで、分岐器30の幹線系統を介して電力を光受信機10に供給することが可能になる。なお、パワーインサータ50の具体的な構成については、従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0028】
(動作)
次に、このように構成された光受信システム1の動作について説明する。まず、給電時には、切り替え器20のリレー24は、RF入力端子21を出力端子23に接続する。この状態においては、パワーインサータ50から供給された電力が、分岐器30の幹線系統を介して切り替え器20の出力端子23に入力され、RF入力端子21を介して光受信機10のRF出力端子13に入力される。これにより、光受信機10に電力が供給される。そして、光受信機10のPD11によって光信号から変換されたRF信号はアンプ12によって増幅され、RF出力端子13から有線で出力される。RF出力端子13から有線で出力されたRF信号は、切り替え器20のRF入力端子21に入力され、出力端子23から有線で出力され、分岐器30の幹線系統を介して告知放送受信機70に入力されると共に、分岐器30の分岐系統を介してアンテナ40及びテレビ受像機60に入力される。この結果、告知放送受信機70による告知放送と、テレビ受像機60によるテレビ受像が可能になる。また、アンテナ40は、入力されたRF信号(に含まれるワンセグ放送用のRF信号)を無線送信する。これにより、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能となる。
【0029】
一方、無給電時には、切り替え器20のリレー24は、FM入力端子22を出力端子23に接続する。この状態においては、光受信機10は、PD11によって光信号から変換されたRF信号から取得したFM信号のみを、FM出力端子14から有線で出力する。FM出力端子14から有線で出力されたFM信号は、切り替え器20のFM入力端子22に入力され、出力端子23から有線で出力され、分岐器30の幹線系統を介して告知放送受信機70に入力されると共に、分岐器30の分岐系統を介してアンテナ40及びテレビ受像機60に入力される。この結果、無給電時であっても、告知放送受信機70による告知放送が可能になる。また、アンテナ40は、入力されたFM信号を無線送信する。これにより、無給電時において、FM受信機を備える携帯電話や移動体端末でFMラジオ放送を利用することが可能となる。
【0030】
(効果)
このように実施の形態1によれば、光受信システム1は、光伝送路を介して送信された光信号をRF信号に変換するPD11と、PD11によって変換されたRF信号を有線で出力するRF出力端子13と、RF信号から取得したFM信号を有線で出力するFM出力端子14とを有する光受信機10と、PD11によって変換されたRF信号及び当該RF信号から取得されたFM信号の一方又は両方を無線送信するアンテナ40とを備えるので、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、アンテナ40から無線送信されたRF信号を受信することにより、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能となる。
【0031】
また、光受信システム1は、RF出力端子13から有線で出力されたRF信号の入力を受けるRF入力端子21と、FM出力端子14から有線で出力されたFM信号の入力を受けるFM入力端子22と、RF入力端子21に入力されたRF信号又はFM入力端子22に入力されたFM信号を有線で出力する出力端子23と、RF入力端子21又はFM入力端子22のいずれか一方を、選択的に切り替えて、出力端子23に接続するリレー24とを有する切り替え器20を備え、アンテナ40は、出力端子23から出力されたRF信号又はFM信号を無線送信するので、光受信機10の設置位置に関わらず、アンテナ40を任意の位置に配置することができる。
【0032】
また、光受信機10は、当該光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されている場合には、アンプ12によって増幅されたRF信号をRF出力端子13から有線で出力すると共に、PD11によって変換されたRF信号から取得したFM信号をFM出力端子14から有線で出力し、光受信機10にパワーインサータ50から電力が供給されていない場合には、PD11によって変換されたRF信号から取得したFM信号のみをFM出力端子14から有線で出力するので、無給電時においても、FM受信機を備える携帯電話や移動体端末でFMラジオ放送を利用することが可能となる。
【0033】
また、リレー24は、パワーインサータ50から切り替え器20に電力が供給されている場合には、RF入力端子21を出力端子23に接続し、パワーインサータ50から切り替え器20に電力が供給されていない場合には、FM入力端子22を出力端子23に接続するので、パワーインサータ50からの給電の有無に応じて切り替えスイッチを自動的に動作させることができ、機械式スイッチを設けて手動で操作する手間を省くことができると共に、手動操作時の誤動作を防止することができる。
【0034】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、アンテナが、光電変換部とRF出力端子との間から分岐されたRF信号及び光電変換部とFM出力端子との間から分岐されたFM信号の一方又は両方を無線送信する形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0035】
(構成)
図3は、実施の形態2に係る光受信システム1の構成図である。この図3に示すように、実施の形態2に係る光受信システム1では、図1に示した実施の形態1に係る光受信システム1から切り替え器20及び分岐器30が省略されている。そして、光受信機10のFM出力端子14には同軸ケーブル87を介して告知放送受信機70が有線接続され、RF出力端子13には同軸ケーブル88、89を介してテレビ受像機60が有線接続されている。また、パワーインサータ50は、光受信機10とテレビ受像機60との相互間に同軸ケーブル88、89を介して接続されている。このパワーインサータ50と光受信機10との間は電通となっており、同軸ケーブル88を介してパワーインサータ50から光受信機10に電力を供給することが可能となっている。なお、光受信機10とテレビ受像機60との相互間ではなく、光受信機10と告知放送受信機70との相互間にパワーインサータ50を設けることとしてもよい。
【0036】
(構成−アンテナ)
アンテナ40は、PD11とRF出力端子13との間から分岐されたRF信号及びPD11とFM出力端子14との間から分岐されたFM信号の一方又は両方を無線送信する。具体的には、図3に示すように、アンプ12によって増幅されたRF信号と、PD11によって変換されたRF信号から取得したFM信号とが混合され、アンテナ40に入力される。アンテナ40は、パワーインサータ50や外部電源の供給を受けて駆動するが、停電時でも信号出力できるように電池等のバックアップ電源を備えている。給電時はRF信号とFM信号の両方を無線送信し、停電時はFM信号のみを送信する。この無線送信する信号の切替えは、パワーインサータ50などの供給源からの電源供給状態を監視して切り替えることができる。
【0037】
(構成−動作)
次に、このように構成された光受信システム1の動作について説明する。まず、給電時には、パワーインサータ50から供給された電力が、同軸ケーブル88を介して光受信機10のRF出力端子13に入力される。これにより、光受信機10に電力が供給される。そして、光受信機10のPD11によって光信号から変換されたRF信号はアンプ12によって増幅され、RF出力端子13から有線で出力される。RF出力端子13から有線で出力されたRF信号は、テレビ受像機60に入力される。この結果、テレビ受像機60によるテレビ受像が可能になる。また、PD11によって光信号から変換されたRF信号から取得したFM信号は、FM出力端子14から有線で出力される。FM出力端子14から有線で出力されたFM信号は、告知放送受信機70に入力される。この結果、告知放送受信機70による告知放送が可能になる。さらに、アンプ12によって増幅されたRF信号と、PD11によって光信号から変換されたRF信号から取得したFM信号とが混合され、アンテナ40に入力される。アンテナ40は、入力された信号を無線送信する。この場合、PD11によって光信号から変換されたRF信号から取得したFM信号のレベルと比較して、アンプ12によって増幅されたRF信号のレベルは十分高いことから、アンテナ40から無線送信された信号に含まれるワンセグ放送用のRF信号を携帯電話や移動体端末で受信することができる。これにより、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能となる。なお、アンテナ40側の設定により、給電時であってもRF信号の無線送信を停止するよう切り替えることができる。
【0038】
一方、無給電時には、アンプ12が動作しないことから、RF信号はRF出力端子13から出力されない。一方、PD11によって光信号から変換されたRF信号から取得したFM信号は、FM出力端子14から有線で出力される。FM出力端子14から有線で出力されたFM信号は、告知放送受信機70に入力される。この結果、無給電時であっても、告知放送受信機70による告知放送が可能になる。また、PD11によって光信号から変換されたRF信号から取得したFM信号は、アンテナ40にも入力される。アンテナ40は、入力されたFM信号を無線送信する。これにより、無給電時において、FM受信機を備える携帯電話や移動体端末でFMラジオ放送を利用することが可能となる。
【0039】
(効果)
このように実施の形態2によれば、アンテナ40は、PD11とRF出力端子13との間から分岐されたRF信号及びPD11とFM出力端子14との間から分岐されたFM信号の一方又は両方を無線送信するので、ワンセグの放送波を受信することが困難な地域や建物内等であっても、アンテナ40から無線送信されたRF信号を受信することにより、携帯電話や移動体端末でワンセグを利用可能となる。また、FM受信機を用いてFMラジオ放送を利用することも可能となる。
【0040】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0041】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0042】
(具体的な回路構成について)
光受信機10、及び切り替え器20の具体的な回路構成としては、上記説明したこれらの機能を奏することができる限りにおいて、各実施の形態で例示した回路構成以外にも、公知の回路構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 光受信システム
10 光受信機
11 フォトダイオード(PD)
12 アンプ
13 RF出力端子
14 FM出力端子
20 切り替え器
21 RF入力端子
22 FM入力端子
23 出力端子
24 リレー
24a コイル
25 チョークコイル
30 分岐器
40 アンテナ
50 パワーインサータ(PI)
60 テレビ受像機
70 告知放送受信機
80〜89 同軸ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路を介して送信された光信号をRF信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部によって変換されたRF信号を有線で出力するRF出力端子と、前記RF信号から取得したFM信号を有線で出力するFM出力端子と、を有する光受信機と、
前記光電変換部によって変換されたRF信号及び当該RF信号から取得されたFM信号の一方又は両方を無線送信するアンテナと、
を備える光受信システム。
【請求項2】
前記RF出力端子から有線で出力されたRF信号の入力を受けるRF入力端子と、前記FM出力端子から有線で出力されたFM信号の入力を受けるFM入力端子と、前記RF入力端子に入力されたRF信号又は前記FM入力端子に入力されたFM信号を有線で出力する出力端子と、前記RF入力端子又は前記FM入力端子のいずれか一方を、選択的に切り替えて、前記出力端子に接続する切り替え手段と、を有する切り替え器を備え、
前記アンテナは、前記出力端子から出力されたRF信号又はFM信号を無線送信する、
請求項1に記載の光受信システム。
【請求項3】
前記アンテナは、前記光電変換部と前記RF出力端子との間から分岐されたRF信号及び前記光電変換部と前記FM出力端子との間から分岐されたFM信号の一方又は両方を無線送信する、
請求項1に記載の光受信システム。
【請求項4】
前記光受信機に電力を供給する電力供給手段を備え、
前記光電変換部は、前記光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されている場合には当該電力を用いて逆バイアスモードで使用され、前記光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されていない場合には無バイアスモードで使用される、フォトダイオードを用いて構成され、
前記光受信機は、
前記光電変換部によって変換されたRF信号を、当該光受信機に前記電力供給手段から供給された電力を用いて増幅し、前記RF出力端子に出力する増幅手段を備え、
当該光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されている場合には、前記増幅手段によって増幅されたRF信号を前記RF出力端子から有線で出力すると共に、前記光電変換部によって変換されたRF信号から取得したFM信号を前記FM出力端子から有線で出力し、
当該光受信機に前記電力供給手段から電力が供給されていない場合には、前記光電変換部によって変換されたRF信号から取得したFM信号のみを前記FM出力端子から有線で出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光受信システム。
【請求項5】
前記電力供給手段は、前記切り替え器に電力を供給し、
前記切り替え手段は、前記電力供給手段から前記切り替え器に電力が供給されている場合には、前記RF入力端子を前記出力端子に接続し、前記電力供給手段から前記切り替え器に電力が供給されていない場合には、前記FM入力端子を前記出力端子に接続する、
請求項2及び4に記載の光受信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−16992(P2013−16992A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147606(P2011−147606)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】