説明

光受信器のパワー最適化

【課題】光受信器システムを提供すること。
【解決手段】本システムは、ローカル発振器、ミクサ、およびプロセッサを含む。ローカル発振器は、複数のチャネルのうちの1つの選択を指示するためにレーザ信号を生成するように構成される。さらに、ミクサは、複数のチャネルの信号を受け取り、選択されたチャネルの信号を区別するためにレーザ信号を利用するように構成される。さらに、プロセッサは、受信器システムの雑音ペナルティを制限するようにミクサに入力されるレーザ信号のパワーを調整することによって、複数のチャネルの総数に基づいてレーザ信号と複数のチャネルのうちの少なくとも1つとの間のパワーレベル差を最大にするように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光受信器システムおよび動作の方法に関し、特に、そのような受信器の信号の光パワーを管理するための方法およびシステムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月9日に出願された米国仮出願第61/322,390号の優先権を主張するものである。
【0003】
本出願は、さらに、本出願人が所有する2010年10月17日に出願された同時係属米国実用新案出願第12/900,200号、および本出願人が所有する2009年10月9日に出願された米国仮出願第61/250,185号に関連し、それらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
再構成可能光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)ノードは、波長層における波長分割多重(WDM)チャネルのいずれかまたはすべての信号を柔軟にアドおよびドロップできるようにする重要な光ネットワーク要素である。3方路以上をもつROADMノードとすることができる多方路ROADMノード(MD−ROADM)は、様々な経路間のWDM信号の交差接続機能も行う別の光ネットワーク要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のROADMノードはWDMチャネルの信号をアドおよびドロップするのにある程度の柔軟性を有するが、急速に成長し、ますます動的になりつつあるインターネットベーストラヒックに適合するための十分な柔軟性をもっていない。例えば、従来のROADMノードで使用されているトランスポンダは、通常、高密度波長分割多重(DWDM)ネットワークポートのすべてに対してノンブロッキングおよび波長透明アクセスを有しているわけではない。その結果、カラーレス/ディレクションレス(CL&DL)MD−ROADMノードが、従来のROADMノードに取って代わるために最近広く研究されている。この文脈において、「カラーレス」は、各トランスポンダが、ROADMノードシステムで使用されるいかなる波長の信号も受信および送信することができるROADMノードの機能を指すことができる。そして次に、「ディレクションレス」は、ノードに接続された各トランスポンダが、いかなる入力ポートから生じる信号も受け取ることができ、ROADMノードのいかなる出力ポートにも信号を転送することができるROADMノードの機能を指すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、ローカル発振器、ミクサ、およびプロセッサを含む光受信器システムに関する。ローカル発振器は、複数のチャネルのうちの1つの選択を指示するためにレーザ信号を生成するように構成される。さらに、ミクサは、複数のチャネルの信号を受け取り、選択されたチャネルの信号を区別するためにレーザ信号を利用するように構成される。さらに、プロセッサは、受信器システムの雑音ペナルティを制限するようにミクサに入力されるレーザ信号のパワーを調整することによって、複数のチャネルの総数に基づいてレーザ信号と複数のチャネルのうちの少なくとも1つとの間のパワーレベル差を最大にするように構成される。
【0007】
別の実施形態は光信号処理システムに関する。このシステムは、複数のトランスポンダにドロップさせるために複数のチャネルから1組のチャネルを選択するように構成される選択スイッチをさらに含むROADMノードを含む。このシステムは複数のトランスポンダをさらに含み、それらの各々は上述の光受信器システムの実施形態を含む。
【0008】
代替の実施形態は方法に関する。この方法によれば、信号が光ミクサに入力される複数のチャネルの総数が受け取られる。この方法は、ミクサが複数のチャネルのうちの1つの信号を区別することができるように生成されたレーザ信号と、複数のチャネルの総数に基づいた複数のチャネルのうちの少なくとも1つとの間の最大パワーレベル差を決定する段階をさらに含む。さらに、ミクサに入力されたレーザ信号のパワーは、雑音ペナルティを制限するために、決定された最大パワーレベル差に従って調整される。
【0009】
これらならびに他の特徴および利点は、添付図面に関連して読むことができる本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0010】
本開示は、以下の図を参照する好適な実施形態の以下の説明において詳細を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】雑音ペナルティと、コヒーレント受信器に適用されるドロップチャネルの総数と、ローカル発振器レーザと受信器に適用される1つまたは複数のドロップ信号との間のパワー差との間の例示的な関係を示すグラフである。
【図2】コヒーレント受信器の例示的な最適動作条件を示すグラフである。
【図3】ROADMノードおよび1組のトランスポンダを含む例示的な光信号処理システムの高レベルなブロック/流れ図である。
【図4】例示的なコヒーレント受信システムの高レベルなブロック/流れ図である。
【図5】コヒーレント受信器のパワーレベルを最適化するための例示的な方法の高レベルな流れ図である。
【図6】最適化パラメータを決定するための例示的な設定方法の高レベルな流れ図である。
【図7】ローカル発振器レーザおよび/または1つまたは複数のドロップ信号のパワーを決定するための例示的な方法の高レベルな流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ROADMノードで使用される各トランスポンダに関連する波長は動的に変化することがあるので、ROADMノードのカラーレス/ディレクションレスの機能を実施するには、従来の静的な光デマルチプレクサはドロップしたWDM信号を分離するに好適でなくなる。「フィルタレス」または「デマックスレス」のカラーレス/ディレクションレス多方路ROADMノード構成が、上述で参照した本出願人が所有する出願で提案された。これに関して説明された例示的な構成は、光デマルチプレクサまたはフィルタなどの波長セレクタ要素を受信器システムから除去し、ドロップするべき目標チャネルをコヒーレント光システムのWDMチャネルから選択するためにローカル発振器(LO)を利用することができる。しかし、トランスポンダに他のWDMチャネルが存在するために、付加的な干渉がローカル発振器と不要な信号との間で生じることがある。ここで、干渉は、光信号対雑音比(OSNR)ペナルティの形態で、受け取った信号のあるレベルの性能劣化をもたらすことがある。システムが光ネットワークで実用的に使用されるには、このペナルティは、すべての条件の中で、ある閾値レベル(例えば、システム仕様に応じて0.5dB)内に保持されるべきである。特に、OSNRペナルティは、ROADMノードが様々な時にゼロとすべてのチャネルとの間でドロップさせることがあるので、すべてのあり得るWDMチャンネル数に対して考慮されるべきである。
【0013】
本明細書で説明する実施形態は、フィルタレスROADMノードのOSNRペナルティを最小にすることができ、最適性能を維持する閾値レベル内にあるようにペナルティを制限することができ、それによって、システムの安定性が保証される。OSNRペナルティは、様々な条件下でOSNRペナルティを見積もるROADM/トランスポンダシステムの理論的解析に基づいて管理することができる。特に、発明者等は、コヒーレント受信器のローカル発振器レーザとドロップ信号との間のパワーレベル差を最大にすると、OSNRペナルティを減少させるのに著しい効果があることを発見した。固定されていると仮定することができるコヒーレント受信器のある構成情報を用いた分析の結果を使用して、実施形態はフィードフォワードループを設定することができる。ここで、ループは、WDMチャネル数の情報を集め、このWDMチャネル数に対してOSNRペナルティを特定のレベル内に制限するために受信器構成要素のパワーレベルを計算し、計算したパワーレベルをコヒーレント受信器で達成するためにローカル発振器のパワーおよびWDM信号のパワーを制御するように構成することができる。具体的には、実施形態は、光検出器の飽和レベル、ショット雑音、熱雑音、および下流のデジタイザの量子化雑音に基づいてローカル発振器とWDM信号との間のパワーレベル差の最大化を最適化することができる。したがって、本原理の実施形態は、ドロップ機能を行うために受信器が対処するWDMチャネルの数に関係なく、システムはいつでも最適の構成で動作することを保証することができる。
【0014】
光デマルチプレクサまたはチューナブルフィルタなどの波長セレクタをもたないROADMノードでは、ドロップ信号はすべてトランスポンダシステムの各トランスポンダに到達することができる。そのようなROADMノードは本明細書では「フィルタレス」ROADMノードと呼ばれる。上述のように、フィルタレスROADMノードの例は、上述で参照した本出願人が所有する出願に説明されている。たとえ、フィルタレスROADMのコヒーレント受信器のローカル発振器(LO)が、ドロップするべき正しいチャネル(複数可)を検出することができたとしても、コヒーレント受信器は他の受け取ったWDMチャネルに起因する干渉という問題がある。システムの性能は信号対干渉および雑音比(SINR)パラメータに基づいて評価することができ、雑音にはLO増幅された自然放出(ASE)ビート雑音、ショット雑音、および熱雑音が含まれる。SINRと、上述のOSNRペナルティとは、受け取ったWDMチャネルの数、受け取った信号およびローカル発振器のパワーレベル、ならびにコヒーレント受信器の品質に依存する。特に、SINRは、
【0015】
【数1】

【0016】
のように表すことができ、ここで、Sは全信号パワーであり、Nは雑音を表し、Iは干渉を表し、NLO−ASEはLO−ASEビート雑音であり、NShotはショット雑音であり、NThermは熱雑音であり、ISig−Sigは信号−信号干渉項であり、PLOはLOの光パワーであり、PSig,kは、目標チャネル(本明細書では「チャネルk」と呼ばれる)の光信号のパワーであり、PASEはASE雑音のパワーであり、αは受信器設計に関連し、PSig,iは、受信器に入力するn個のWDMチャネルの合計の中のi番目のチャネルのパワーであり、βは結合損失項であり、NRxは受信器雑音であり、γは受信器に関連する定数であり、CMRRは受信器の同相除去比である。より包括的なモデルは以下の通りであり、
【0017】
【数2】

【0018】
ここで、PLO,qは偏波および位相ダイバーシティ受信器の所与の直交位相(q)のローカル発振器のパワーであり、Pch,qは所与の直交位相qの各入力チャネル(ch)のパワーであり、Rは、入力WDMチャネルが適用される光検出器の応答性であり、Rは、ローカル発振器信号が適用される光検出器の応答性であり、Rはチャネルkの目標信号の帯域幅であり、fspはチャネル間隔であり、Nchは光受信器に入力されるWDMチャネル入力の総数であり、qは光検出器における電子電荷であり、kはボルツマン定数であり、Tampは光受信器におけるトランスインピーダンス増幅器(TIA)の実効温度であり、RはTIAにおけるトランスインピーダンス負荷であり、ENOBは、デジタイザの目標ダイナミックレンジにおけるBビット信号でのビットの実効数である。αおよびγの例が包括的なモデルに含まれていることに留意するべきである。
【0019】
コヒーレント受信器の前に、またはコヒーレント受信器で目標チャネルをフィルタ除去する従来の方法と比較すると、SNR(信号対雑音比)を考慮する場合、「フィルタレス」システムについて上述で参照した式は付加的な信号−信号干渉項ISig−Sigを有する。上述で示したように、干渉項ISig−Sigは受信器のCMRRおよび信号パワーの総量によって決定される。各WDMチャネルのパワーは、通常、同様のレベルであるので、干渉は、(a)LOと各チャネル信号との間のパワー差、(b)受信器に適用されるWDMチャネルの数、および(c)受信器のCMRRによって決定される。
【0020】
次に、同様の数字が同じまたは同様の要素を表す図を詳細に参照するが、最初に図1を参照すると、LOと各チャネル信号との間のパワー差(ΔP)の4つの設定における1×10−3BER(ビット誤り率)でのOSNRペナルティ対チャネルの数のグラフが示される。この例では、ΔP1<ΔP2<ΔP3<ΔP4である。受信器のCMRRは一定のままであることが仮定される。図1によれば、曲線1〜4はそれぞれΔP1〜ΔP4に対応する。コヒーレント受信器に入力される各WDMチャネルのパワーは同等またはほぼ同等であると仮定されるが、他の実施形態では異なるパワーレベルを有するチャネルを実施することができることに留意するべきである、そのため、ΔPは、コヒーレント受信器に入力されるチャネルとLOとの間の平均パワー差を示すことができる。代替として、パワー差ΔPは、LO信号のパワーと、コヒーレント受信器に入力されるチャネルのパワーの合計との間のパワー差とすることができる。
【0021】
図1に示されるように、発明者等は、固定したΔPでは、OSNRペナルティは、受信器に入力されるチャネルの総数が増加するにつれて増加することを発見した。そして次に、OSNRペナルティは、受信器に入力されるチャネルの任意の特定の総数で、ΔPが減少するにつれて増加する。受信器に入力されるチャネルの総数がある数を超えて増加するとき、またはLOと受け取った信号との間のパワー差があるレベル未満に減少する場合、OSNRペナルティは、システムに対する上述した0.5dBなどのOSNRペナルティ閾値5を超えることになる。したがって、これらの結果に基づいて、ROADM/トランスポンダシステムはΔPをできるだけ高く設定することによって性能を最適化するべきである。
【0022】
ΔPを増加させるための1つの方法はLOパワーを最大にすることである。しかし、これは、コヒーレント受信器の光検出器(PD)がある入力パワー限界を有するので必ずしも有益とは限らない、例えば、入力光パワー(すなわち、LOパワーと信号パワーとの合計から受信器でのなんらかの損失を減算したもの)がそのような限界を超えた場合、PDは飽和させられ、正しいO/E(オプトエレクトロニクス)変換出力を供給することができない。実際は、これらのパワー限界を超えるとPDを損傷することさえある。さらに、LOの非常に高いパワーは、さらに、それ自体望ましくない過度のパワー消費を導入することになる。
【0023】
ΔPを増加させる別の方法は信号パワーを減少させることである。しかし、信号パワーの減少にはそれ自体の限界がある。例えば、図1で与えた結果は、ショット雑音および熱雑音がLO−ASEビート雑音および信号−信号干渉よりも非常に小さいのでショット雑音および熱雑音を考慮に入れていない。しかし、信号パワーが比較的低い場合、そのような雑音はより重要になり、受信器の出力信号の品質を阻害することになる。さらに、図1の結果は、受信器の出力を処理するデジタイザの量子化雑音を考慮に入れていない。実際的なシナリオでは、デジタイザは帯域幅の制限、ダイナミックレンジの制限、および有限のENOB(有効ビット数)を有する。したがって、非常に低い信号パワーは量子化プロセスの間に大きい誤差をもたらすことになる。したがって、信号パワーは下限より上に保持されるべきである。
【0024】
これらの要因のために、実施形態は、受信器システムを最適化するために少なくとも3つの基準を同時に考慮に入れることができ、a)LOと1つまたは複数の受け取った信号との間のパワー差はできるだけ高くあるべきであり、b)受信器の入力光パワーは受信器の飽和限界未満にあるべきであり、c)出力光パワーレベルは量子化誤りとショット雑音による誤りとを明らかにできるほど十分高くあるべきである。
【0025】
次に図2を参照すると、上述で与えられた3つの基準に基づいた最適化方式の簡単な例が説明される。固定した受信器特性を仮定すると、ROADM/トランスポンダシステムは、コヒーレント受信器に適用されたWDMチャネルの総数が少ない場合、動作条件1(OC1)を適用するように構成することができる。特に、ROADM/トランスポンダシステムは、LOパワーおよび信号パワーの両方をOC1に対応するΔP1に設定することができる。チャネルの総数が、図2の「チャンネル数限界1」(CNL1)として表されたあるチャネル限界を超えて増加し、その結果、OSNRペナルティがOSNRペナルティ閾値5以上になる場合、ROADM/トランスポンダシステムは、LOパワーおよび信号パワーをΔP2に設定することによって、動作条件2(OC2)を適用することができる。そして次に、コヒーレント受信器に適用されるチャネルの総数が図2の「チャンネル数限界2」(CNL2)を超えてさらに増加する場合、ROADM/トランスポンダシステムは動作条件をプロットのOC3に変更することができる。ここで、ROADM/トランスポンダシステムはLOパワーおよび信号パワーをΔP3に設定する。同様に、ROADMノード/トランスポンダシステムは、コヒーレント受信器に適用されるチャネルの総数が図2の「チャンネル数限界3」(CNL3)を超えて増加する場合、OC4に従ってLOパワーおよび信号パワーをΔP4に設定する。
【0026】
受信器特性が変化しなければならない場合、ROADM/トランスポンダシステムは、それが該当する特定の動作条件を変化させなければならないことに留意するべきである。言い換えれば、動作条件はコヒーレント光受信器の特性およびデジタイザの特性などのシステム情報から決定される。さらに、動作条件は、上述の式および基準を使用して、コヒーレント受信器に適用されるWDMチャネルの総数およびチャネルごとの入力パワーなどの信号情報からも決定される。
【0027】
次に図3を参照すると、光信号処理システム10の例示的な実施形態のブロック/流れ図が示される。実施形態は、ここでは、ROADM/トランスポンダシステムとして実施される。ROADMノードシステム11は3方路カラーレス/ディレクションレスROADMノードシステムである。図3に示されるように、システム11は3つのROADMモジュール12、14、および16を含むことができ、その各々はスプリッタ18および波長選択スイッチ(WSS)20を含むことができる。システム10は、トランスポンダアグリゲータ102と、コヒーレント受信器をもつn個のトランスポンダ109〜109とにおいてフィルタレスドロップ信号選択を行う。ROADMノード11中のトランスポンダアグリゲータ102およびトランスポンダ109〜109は、本明細書では「コヒーレント受信システム」と呼ばれ、この実施形態ではフィルタレスであるシステム100を形成する。本明細書で説明されるパワー最適化方式はシステム100内で適用することができる。システム100のフィルタレス特性のうちのいくつかの説明は、上述で参照した本出願人が所有する出願に詳細に説明されている。
【0028】
本明細書で説明する実施形態は、完全にハードウェア、完全にソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの両方の要素を含んだものとすることができることが理解されるべきである。好ましい実施形態では、本発明は、ハードウェアと、限定はしないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアとで実施される。
【0029】
実施形態は、コンピュータもしくは任意の命令実行システムで、またはそれに関連して使用するためのプログラムコードを備えるコンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読媒体からアクセスできるコンピュータプログラム製品を含むことができる。コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスで、またはそれに関連して使用するためのプログラムを記憶する、通信する、伝搬する、もしくは搬送する任意の装置を含むことができる。媒体は、磁気、光学、電子、電磁気、赤外線、もしくは半導体システム(または装置もしくはデバイス)または伝搬媒体とすることができる。媒体は、半導体または固体メモリ、磁気テープ、取外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、および光ディスクなどのようなコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0030】
プログラムコードを記憶および/または実行するのに好適なデータ処理システムは、システムバスを通してメモリ要素に直接的または間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行の間に使用されるローカルメモリと、大容量記憶装置と、実行の間にコードが大容量記憶装置から取り出される回数を減らすために少なくともいくつかのプログラムコードの一時記憶を行うキャッシュメモリとを含むことができる。入力/出力またはI/Oデバイス(限定はしないが、キーボード、表示装置、ポインティングデバイスなどを含む)は、システムに直接にまたは介在するI/Oコントローラを通して結合することができる。
【0031】
ネットワークアダプタをシステムにさらに結合して、介在する私設網または公衆網を通してデータ処理システムを他のデータ処理システムまたは遠隔プリンタまたは記憶デバイスに結合できるようにしてもよい。モデム、ケーブルモデム、およびイーサネット(登録商標)カードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの一部にすぎない。
【0032】
次に、図3を引き続き参照しながら図4を参照すると、コヒーレント受信システム100の例示的な実施形態が示される。システム100において、トランスポンダアグリゲータ102中のWSS101は、入力ポート104から104のすべてから局所的にドロップされるべき信号103を選択することができる。光増幅器106はWSS101から受け取ったドロップ信号を増幅する。光増幅器と協力して、オプションの可変光減衰器(VOA)107は増幅器106からドロップ信号を受け取り、信号パワーレベルをさらに調節することができる。信号は、通常、多くのトランスポンダに向けて分割されるので、信号パワーは比較的低いはずである。したがって、信号VOA107は必要ではないことがある。しかし、他の実施態様では、VOA107はドロップ信号を減衰させることができる。光スプリッタ108は増幅器106またはVOA107からのドロップ信号を受け取ることができ、次に、ドロップ信号を分割して、すべてのトランスポンダ109〜109に送出することができる。各トランスポンダはコヒーレント受信器111を含み、コヒーレント受信器111は、ローカル発振器源112、コヒーレントミクサ113、および受け取った光信号を電気信号に変換するように構成された光検出器114のアレイを含む。
【0033】
コヒーレントミクサ113は90度光ハイブリッドとすることができる。例えば、ミクサ113は偏波無依存コヒーレントミクサとするか、または偏波ダイバーシティコヒーレントミクサとすることができる。ここで、ミクサ113は、スプリッタ108により出力された入力ドロップ信号をローカル発振器レーザ112からの連続波信号と混合することができる。受信器111はカラーレスROADMで使用することができるので、ローカル発振器レーザ112は同調可能である。レーザの波長は、目標ドロップチャネルの波長を有する単一の特定のWDMチャネルに同調される。目標ドロップチャネルは、ミクサ113が配置されている対応するトランスポンダ109から下流にあるユーザーまたはクライアントを対象とした、コヒーレントミクサ113に入力される多数のWDM信号中のチャネルである。この技法を使用して、トランスポンダ109はトランスポンダアグリゲータ102から多数のWDMチャネルを受け取るにもかかわらず、特定の選択した目標チャネルのみがコヒーレント受信技術により受け取られることになる。ミクサ113に入力された他のチャネルの信号と、選択した目標チャネルの信号とを区別するために、ミクサ113はLO112信号と目標ドロップチャネル信号との様々なベクトル加算を生成する。次に、目標ドロップチャネル信号はフォトダイオード114のアレイによって検出され、電気信号に変換され、その後、処理されて目標チャネルからのデータが回復される。したがって、ローカル発振器112は、ミクサ113で受け取った多数のWDMチャネルからの目標ドロップチャネル信号の選択を指示するためにレーザ信号を生成するように構成することができる。ローカル発振器112はROADM内のコントローラ(図示せず)によって特定のWDMチャネルに同調され、選択を指示することができる。代替として、プロセッサ116は、目標ドロップチャネルの選択を指示するために発振器112の同調を実施するように構成することができる。
【0034】
実施態様によっては、コヒーレントミクサ113および光検出器114は集積化することができる。WDM信号が二重偏波を有する(すなわち、偏波多重されている)場合、コヒーレントミクサ113は、上記で示したように偏波ダイバーシティを有するべきである。シングルエンド受信器を使用することもできるが、バランス型受信器は低いCMRRを有するのでより良好な性能を備えるはずであることに留意するべきである。CMRRが低いと、ほとんどの信号−信号干渉が除去されうる。LOレーザ112の出力パワー範囲に応じて、光増幅器115を受信器111に内蔵させて、LO112のパワーレベルを増強することができる。図4に示されるように、各トランスポンダ109〜109はデジタイザ110および送信器119をさらに含むことができる。デジタイザ110は、光検出器114から受け取った変換済みドロップ信号をデジタル化して、対応するユーザーまたはクライアントに送信するように構成することができる。そして次に、送信器119は、ドロップ信号が送信されたユーザーまたはクライアントからの信号を送信することができ、ユーザー信号をカプラ120に供給してスプリッタ121に送出することができる。スプリッタ121は信号をシステム11中のROADMに供給する。
【0035】
次に図5を参照すると、図3および4を参照しながら、光信号処理システム10のコヒーレント受信器111のパワーレベルを最適化する例示的な方法500が示される。特に、方法500は、システム100が任意の特定のOSNR仕様内で確実に動作するように上述の3つの基準を組み込むことによって最適化を実現する。特定の一実施形態によれば、システム100は、最適化方法500を行い、それによって、システム100内のパワーレベルを制御するように構成されたプロセッサ116を含むことができる。上述のすべての特徴は方法500内で利用することができることに留意するべきである、
【0036】
方法500は、プロセッサ116が設定を行うことができる段階502で開始することができる。図6は、段階502を実施するための例示的な方法を示す。ここで、段階602において、プロセッサ116は、雑音ペナルティと、コヒーレント受信器に適用されるドロップチャネルの総数と、LOと1つまたは複数のドロップ信号との間のパワー差ΔPとの間の関係を決定するためにシステムモデルを分析することができる。例えば、プロセッサ116は、複数のパワー差ΔPに対する図1および2のプロットで与えれた情報を生成するために上述で参照した式を適用することができる。プロセッサ116が評価するパワー差ΔPの数は、プロセッサ116の処理能力に依存することができ、プロセッサの応答時間がシステム仕様を確実に満たすように選択することができる。パワー差ΔPと、ドロップチャネルの総数と、OSNRペナルティとの関係を決定するために、プロセッサ116は、CMRRなどの受信器特性と、ENOB指数などのデジタイザ特性とを使用することができる。システム100の設計および製造の間に、各コヒーレント受信器およびデジタイザの特性は評価または測定することができる。そのような特性を記述する情報は、ROADMノード11の記憶媒体(図示せず)に記憶することができる。プロセッサ116は記憶媒体からこの情報を取り出して、方法500の最適化計算を実施することができる。代替として、プロセッサ116は、受信器のCMRRおよび信号パワー損失などの受信器特性と、デジタイザ特性とを系統的に測定して、記憶したシステム情報を更新するように構成することができる。
【0037】
段階604において、プロセッサ116は入力光パワーのパワー上限を決定することができる。上記のように、入力光パワーは、LOパワーと信号パワーとの合計から受信器111のなんらかの損失を減算したものである。言い換えれば、入力光パワーは、光検出器114に入力される信号のパワーに対応することができる。さらに、やはり上記したように、光検出器114は、PDを飽和させることになり、変換出力に誤りを引き起こすか、またはPD自体を破損することになる飽和出力レベルに対応する入力パワー限界を一般に有する。したがって、ここでプロセッサによって決定される上限は、システム100で使用される特定のPDの飽和出力レベルとすることができる。飽和出力レベルは、段階602で上述した受信器特性とともに記憶するか、またはプロセッサ116で直接測定することができる。
【0038】
段階606において、プロセッサ116は、受信器111によって出力される1つまたは複数のドロップ信号のパワー下限を決定することができる。例えば、上記のように、低い信号パワーは、ショット雑音および熱雑音ならびにデジタイザ110の量子化雑音をもたらすことがある。ここで、ショット雑音および熱雑音は、システム100の製造の間に様々な信号パワーレベルについて事前測定することができ、さらには、信号パワーレベルは内挿することができる。ショット雑音および熱雑音の最大許容レベルはシステム仕様に基づいて事前決定することができる。許容可能なショット雑音および熱雑音レベルに対する対応する信号パワーレベルは、段階602に関して上述した記憶媒体に他の受信器特性とともに記憶することができる。代替として、プロセッサ116は、増幅器106および/またはVOA107を制御することによって種々の信号パワーレベルを掃引して、段階606における各信号パワーレベルに関連したショット雑音および熱雑音を決定することができる。プロセッサ116は、その後、記憶媒体に事前記憶された最大許容ショット雑音および熱雑音レベルを参照して、それらに関連する信号パワーレベルを決定することができる。さらに、プロセッサ116は、記憶媒体に事前記憶された周波数応答、ダイナミックレンジ、およびENOB指数などのデジタイザ特性を参照して、量子化雑音へのパワーレベルの影響を評価することができる。ショット雑音および熱雑音の検討と同様に、最大許容レベルの量子化雑音はシステム仕様に基づいて事前決定することができ、プロセッサ116は評価に基づいて許容量子化雑音に対する対応するパワーレベルを計算することができる。したがって、プロセッサ116は、より低いパワー限界として、最大許容ショット雑音レベル、熱雑音レベル、および量子化雑音レベルに関連するパワーレベルのうちの最低のものを選択することができる。
【0039】
方法500の段階504において、プロセッサ116は、システム100の様々な構成要素から、および/または対応するROADMノード11が配置されている光ネットワークからシステム構成情報を取り出すか、または受け取ることができる。例えば、システム構成情報は、受信器111に局所的にドロップされるWDMチャネルの総数およびWDMチャネルごとの入力信号パワーレベルなどの信号情報を含むことができる。プロセッサ116は、ROADMノード11から、およびROADMノード11が配置されている光ネットワークの管理システムからドロップチャネル数を受け取ることができる。さらに、WSS101の出力部(またはノードにおける他のポイント)における光性能モニタ(OPM)または光チャネルモニタ(OCM)が、ドロップチャネル数ならびにドロップチャネルごとの信号パワーレベルをプロセッサ116に供給することができる。システム構成情報は、段階502に関して上述した受信器特性および/またはデジタイザ特性をさらに含むことができる。例えば、プロセッサ116は、1つまたは複数の受信器および/またはデジタイザ要素が取り替えられるか、またはシステム100に追加される場合、特性を取り出すか、または受け取ることができる。例えば、追加要素のそのような特性は、ユーザーによって、または追加要素自体によって入力されうる。
【0040】
段階506において、プロセッサ116は、システム構成情報が新しいかどうかを決定することができる。例えば、プロセッサ116は、段階504で受け取ったシステム構成情報が段階504の以前の繰返しで受け取ったシステム構成情報から変化したかどうかを決定することができる。例えば、受信器特性および/またはデジタイザ特性が変化している場合、この方法は、オプションとして、段階502に進み、プロセッサ116は更新特性を用いてセットアップを繰り返すことができる。代替として、信号情報のみが変化したか、または最初に入力された場合、この方法は段階508に進むことができ、プロセッサ116は、段階504で受け取ったシステム構成情報に基づいてLOパワーおよび信号パワーを最適に決定することができる。特に、プロセッサ116は、LOレーザ信号と、ミクサ113に入力される複数のチャネルのうちの少なくとも1つとの間のパワー差ΔPを最大にするためにLOパワーおよび信号パワーを最適に決定することができる。
【0041】
例えば、図7は、段階508を実施するための例示的な方法を示す。ここで、段階702において、プロセッサ116は、受信器モデルにおいて雑音ペナルティ閾値以下である雑音ペナルティをもたらす、受信器111に局所的にドロップされたチャネルの総数に対して最も高いパワー差ΔPを決定することができる。同じことであるが、プロセッサ116は、受信器モデルにおいて、それぞれ、SNRまたはOSNRの閾値以上であるSNRまたはOSNRをもたらす受信器111に局所的にドロップされたチャネルの総数に対して最も高いパワー差ΔPを決定することができる。このようにして、プロセッサ116は、雑音ペナルティが閾値レベルに確実に制限されるようにパワー差を抑制することができる。例えば、プロセッサ116は、段階602で決定された雑音ペナルティと、コヒーレント受信器に適用されるドロップチャネルの総数と、LOと1つまたは複数のドロップ信号との間のパワー差ΔPとの間の関係を利用することによって最も高いパワー差ΔPを決定することができる。ここで、プロセッサ116は段階602で評価された各パワー差ΔPを査定して、段階504で受け取ったドロップチャネルの特定の総数に対してOSNRペナルティ閾値以下である雑音ペナルティをもたらすのはパワー差のどれであるかを決定することができる。これらのパワー差の中で、プロセッサ116は最も高いパワー差を選択することができる。例えば、図2のグラフが段階602で決定された関係に対応し、局所的にドロップされたチャネルの総数が「チャンネル数限界2」である場合、プロセッサ116は、パワー差ΔP2、ΔP3、およびΔP4が局所的にドロップされたチャネルの総数に対してOSNRペナルティ閾値以下であると決定することができる。さらに、プロセッサ116は最も高いパワー差としてΔP4を選択することになる。
【0042】
段階704において、プロセッサは、段階702で決定したパワー差をもたらすLOパワーを決定することができる。例えば、プロセッサ116は、決定した(次に)最も高いパワー差から、段階504おいてシステム構成情報を用いて受け取った受信器111に局所的にドロップされるチャネルごとの入力信号パワーレベルを減算することができる。
【0043】
段階706において、プロセッサ116は、上限および下限が満たされているかどうかを決定することができる。ここで、プロセッサ116は、光検出器114に入力される信号のパワーが上限内にあるように、および光検出器114によって出力される信号のパワーが下限内にあるようにパワーレベル差を抑制することができる。例えば、プロセッサ116は、受信器111に局所的にドロップされたチャネルごとの入力信号パワーレベルを段階606で決定した下限と比較することができる。さらに、プロセッサ116は、入力光パワーを、段階604で決定した上限と比較することもできる。上述で示したように、入力光パワーはPD114に供給された信号のパワーとすることができ、LOパワー(段階704で決定した)と入力信号パワーレベルとの合計から受信器111のあらゆる内部損失を減算することによって表すことができる。受信器の内部損失は、段階502に関して上述したように記憶媒体に記憶することができる受信器特性から決定または評価することができる。入力信号パワーレベルが下限未満であり、かつ/または入力光パワーが上限を超えている場合、この方法は段階708に進むことができる。
【0044】
段階708において、プロセッサ116は、LOパワー増加および信号パワー増加のすべての場合または組合せが処理されたかどうかを決定することができる。処理されてない場合、この方法は段階710に進むことができる。
【0045】
段階710において、プロセッサ116は、評価目的のためにLOパワーおよび/または信号パワーの選択を漸増的に変更することができる。例えば、プロセッサ116は、段階702で決定された特定のパワー差に対して1組のLOパワー増加と1組の信号パワー増加とを考慮に入れるように構成することができる。ここで、方法508に従って、プロセッサ116は、上限および下限が満たされるまで、またはすべての場合が評価されるまでパワー差を維持しながらLOパワー増加および信号パワー増加の各組合せを試みるように構成することができる。したがって、LOパワー増加および信号パワー増加の未評価の組合せを選択する際、この方法は段階706に進むことができ、閾値限界との比較が、LOパワーおよび信号パワーの別の選択した未評価の組合せに対して繰り返されうる。
【0046】
段階708に戻ると、特定のパワー差に対するすべての場合または組合せが処理された場合、この方法は段階702に進むことができる。ここで、段階702において、プロセッサ116は、受信器モデルにおいて雑音ペナルティ閾値以下である、受信器111に局所的にドロップされたチャネルの総数に対して次に最も高いパワー差ΔPを決定することができる。段階702に関して上述した例を続けると、プロセッサは次に最も高いパワー差ΔPとしてΔP3を選択することができる。その後、この方法は繰り返すことができる。
【0047】
段階706に戻ると、評価した信号パワーレベルおよび入力光パワーがそれぞれ下限および上限を満たす場合、プロセッサは評価した信号およびLOパワーレベルを最適化動作条件として選択することができ、この方法は段階510に進むことができる。選択した信号およびLOパワーレベルは、それぞれシステム100のライン117および118の信号のパワーに対応することができることに留意するべきである、
【0048】
段階510において、プロセッサ116は、決定したまたは最適なLOおよび信号パワーを含む最適化動作条件をシステム100に適用することによってLOパワーおよび/または信号パワーのうちの1つまたは複数を調整することができる。例えば、プロセッサ116は増幅器106および/またはオプションのVOA107の設定を調整して、ライン117の最適信号パワーに達することができる。そして次に、プロセッサ116はレーザ112および/またはLO増幅器115の設定を調整して、ライン118の最適LOパワーに達することができる。その後、この方法は段階504に進むことができ、システム構成への任意の更新を使用して繰り返すことができる。システム100はフィードフォワードループとして構成することができ、フィードバック反復を必要としない。したがって、応答は比較的速い。信号条件が変化すると、例えば、コヒーレント受信器に入力されるチャネル入力の数が変化すると、プロセッサは、実時間最適化を達成するために、更新情報を使用して方法500の繰り返しを実施することによって直ちに動的に応答することができる。
【0049】
ほとんどの場合、WSS101がチャネル当たりパワー等化機能を行い、ライン103のドロップ信号のすべてを平衡させることができることに留意するべきである。パワー等化機能が行われない場合、上述の実施形態では増幅器106およびVOA107を使用してすべてのドロップチャネルに同時パワー調整を行うので、システム100はスプリッタ108と各コヒーレントミクサ113との間に追加のVOAを含み、信号パワーレベルを個別に調整することができる。
【0050】
本原理がカラーレス/ディレクションレス多方路フィルタレスROADMに関して説明されたが、本原理は、さらに、WDM伝送リンクの送信先ノードの受信器などの他のWDM光受信器に適用することができることにも留意するべきである。
【0051】
光受信器のパワー最適化のためのシステムおよび方法の好ましい実施形態(限定ではなく例示するものである)を説明してきたが、上述の教示に照らして当業者なら変更および改変を行うことができることに留意されたい。したがって、添付の特許請求の範囲よって略述されるような本発明の範囲内にある開示された特定の実施形態に改変を行うことができることが理解されるべきである。したがって、特許法によって要求される詳細さおよび入念さで本発明の態様を説明したが、特許証によって保護される請求および所望されるものは添付の特許請求の範囲に記載される。
【符号の説明】
【0052】
10 光信号処理システム
11 ROADMノードシステム
12、14、16 ROADMモジュール
18 スプリッタ
20 波長選択スイッチ(WSS)
100 コヒーレント受信システム
101 WSS
102 トランスポンダアグリゲータ
103 信号、ライン
104、104 入力ポート
106 光増幅器
107 可変光減衰器
108 光スプリッタ
109、109 トランスポンダ
110 デジタイザ
111 コヒーレント受信器
112 ローカル発振器レーザ
113 コヒーレントミクサ
114 光検出器、フォトダイオード
115 光増幅器
116 プロセッサ
117、118 ライン
119 送信器
120 カプラ
121 スプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光受信器システムであって、
複数のチャネルのうちの1つの選択を指示するためにレーザ信号を生成するように構成されたローカル発振器と、
前記複数のチャネルの信号を受け取り、前記選択されたチャネルの前記信号を区別するために前記レーザ信号を利用するように構成されたミクサと、
前記受信器システムの雑音ペナルティを制限するように前記ミクサに入力される前記レーザ信号のパワーを調整することによって、前記複数のチャネルの総数に基づいて前記レーザ信号と前記複数のチャネルのうちの少なくとも1つとの間のパワーレベル差を最大にするように構成されたプロセッサと
を備える、光受信器システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記パワーレベル差と前記雑音ペナルティとの間の関係を決定し、前記雑音ペナルティが閾値レベルに制限されるように前記パワーレベル差を抑制するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記区別された信号を受け取り、電気信号に変換するように構成された光検出器
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記区別された信号のパワーが上限内にあるように前記パワーレベル差を抑制するようにさらに構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記上限が前記光検出器の飽和限界に基づく、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記変換された信号のパワーが下限内にあるように前記パワーレベル差を抑制するようにさらに構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記下限が、ショット雑音、熱雑音、および量子化雑音のうちの少なくとも1つに基づく、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記ミクサに入力される前記複数のチャネルのうちの少なくとも1つの信号のパワーレベルを調整することによって、前記パワーレベル差を最大にするようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
信号が前記ミクサに入力される前記複数のチャネルの総数の変化に基づいて、前記プロセッサが実時間で前記パワーレベル差を動的に最大にするようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
複数のトランスポンダにドロップさせるために複数のチャネルから1組のチャネルを選択するように構成された選択スイッチを含む再構成可能光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)ノードと、
複数のトランスポンダであり、各トランスポンダが、
複数のチャネルのうちの1つの選択を指示するためにレーザ信号を生成するように構成されたローカル発振器と、
前記1組のチャネルの信号を受け取り、前記選択されたチャネルの前記信号を区別するために前記レーザ信号を利用するように構成されたミクサと、
前記対応するトランスポンダの雑音ペナルティを制限するように前記ミクサに入力される前記レーザ信号の前記パワーを調整することによって、前記1組のチャネルの総数に基づいて前記レーザ信号と前記1組のチャネルにおける前記チャネルのうちの少なくとも1つとの間のパワーレベル差を最大にするように構成されたプロセッサと
を含む、複数のトランスポンダと、
を備える光信号処理システム。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記パワーレベル差と前記雑音ペナルティとの間の関係を決定し、前記雑音ペナルティが閾値レベルに制限されるように前記パワーレベル差を抑制するようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
光信号パワーを最適化する方法であって、
信号が光ミクサに入力される複数のチャネルの総数を受け取る段階と、
前記ミクサが前記複数のチャネルのうちの1つの信号を区別することができるように生成されたレーザ信号と、前記複数のチャネルの前記総数に基づいた前記複数のチャネルのうちの少なくとも1つとの間の最大パワーレベル差を決定する段階と、
雑音ペナルティを制限するように、前記決定された最大パワーレベル差に従って前記ミクサに入力される前記レーザ信号の前記パワーを調整する段階と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記決定する段階が、前記パワーレベル差と前記雑音ペナルティとの間の関係を決定する段階と、前記雑音ペナルティが閾値レベルに制限されるように前記パワーレベル差を抑制する段階とをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記決定する段階は、前記区別された信号のパワーが上限内にあるように前記パワーレベル差を抑制する段階をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記上限が、前記区別された信号を電気信号に変換するように構成された光検出器の飽和限界に基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記決定する段階は、前記変換された信号のパワーが下限内にあるように前記パワーレベル差を抑制する段階をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記下限が、ショット雑音、熱雑音、および量子化雑音のうちの少なくとも1つに基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記調整する段階が、前記ミクサに入力される前記複数のチャネルのうちの少なくとも1つの信号のパワーレベルを調整する段階をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
信号が前記ミクサに入力される前記複数のチャネルの総数の変化に基づいて実時間で前記パワーレベル差を動的に最大にするように、前記受け取る段階、前記決定する段階、および前記調整する段階を繰り返す段階をさらに含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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