説明

光受信装置及び固有識別情報書き込み方法

【課題】スイッチによるモード設定無しで固有識別情報の書き込みが可能である遠隔制御機能を有する光受信装置を提供する。
【解決手段】不揮発性メモリと、固有識別情報を受信する受信手段(ステップ#20の処理を実行する手段)と、電源がONになってから所定時間が経過したか否かを判定する判定手段(ステップ#100の処理を実行する手段)と、前記判定手段によって電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記受信手段が受信した固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可する固有識別情報書き込み許可手段(ステップ#120の処理を実行する手段)とを備える光受信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムの加入者側に設置され、受信した放送用光信号を電気信号に変換する光受信装置(V-ONU:Video-Optical Network Unit:放送用光加入者端末装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送システムにおいて、遠隔制御機能を有していないV-ONUが用いられてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。遠隔制御機能を有していないV-ONUを用いている光伝送システムでは、料金未払いなどの放送サービス提供停止事由が発生したときは、放送サービス事業者の担当者が加入者宅を訪問し、加入者宅でV-ONUからRF(Radio Frequency)信号が出力されないようにする作業をV-ONUに対して行い、V-ONUからのRF信号出力を物理的にカットしている。
【0003】
一方、近年、日本ケーブルラボがV-ONU遠隔制御運用仕様(JCL SPEC-014 1.0版)を制定したことから、今後、遠隔制御機能を有しているV-ONUの普及が進むものと考えられる。遠隔制御機能を有するV-ONUは、光伝送システムのセンタ側にて各V-ONUの放送サービスの停止・再開を遠隔制御することができる。このため、料金未払いなどの放送サービス提供停止事由が発生したときに、放送サービス事業者の担当者による加入者宅への訪問が不要になり放送サービス事業者の人的・時間的負担が軽減されるとともに、放送サービス事業者の担当者が顧客(加入者)と対峙しなくても良いので放送サービス事業者の担当者と顧客(加入者)との間のトラブルを防止することができるというメリットがある。
【0004】
ここで、システム運用時の光伝送システムの概略構成例を図1に示す。図1に示す光伝送システムは、V-ONU遠隔制御用パーソナルコンピュータ(以下、V-ONU遠隔制御用パソコンという)1と、FSK(Frequency Shift Keying)変調器2と、混合器3と、光送信器4と、光ファイバ5と、光分岐器6と、光ファイバ7−1〜7−nと、V-ONU8−1〜8−nと、テレビ受信機9−1〜9−nとからなる。V-ONU遠隔制御用パソコン1と、FSK変調器2と、混合器3と、光送信器4とはセンタ局に設置され、光分岐器6は伝送線路中に設置され、V-ONU8−1〜8−nと、テレビ受信機9−1〜9−nとは各加入者宅に設置される。尚、光分岐器6はセンタ局側に設置してもよい。
【0005】
V-ONU遠隔制御用パソコン1は、V-ONU遠隔制御用ソフトウェアを内部の記憶部(不図示)に格納しており、そのV-ONU遠隔制御用ソフトウェアを実行することで、V-ONU8−1〜8−nに対応する遠隔制御命令を周期的に生成し、その遠隔制御命令をFSK変調器2に出力する。FSK変調器2は、V-ONU遠隔制御用パソコン1からの遠隔制御命令をFSK変調して混合器3に送出する。
【0006】
混合器3は、TV信号であるRF信号と、FSK変調器2からのFSK変調された遠隔制御命令とを混合した混合信号を光送信器4に出力する。光送信器4は、混合器3からの混合信号を光信号に変換し、その光信号を光ファイバ5経由で光分岐器6に伝送する。光送信器4は、例えば、混合器3からの混合信号の変化に応じて光変調度を調整した後、レーザーダイオードにより混合器3からの混合信号を光信号に変換している。
【0007】
光分岐器6は、光ファイバ5によって伝送されてきた光信号をn(nは自然数)分岐して各光ファイバ7−1〜7−n経由で各加入者宅の各V-ONU8−1〜8−nに伝送する。各加入者宅の各V-ONU8−1〜8−nは、受け取った光信号を電気信号に変換し、その電気信号に含まれているRF信号を各加入者宅の各同軸ケーブルを介して各加入者宅の各テレビ受信機9−1〜9−nに伝送する。また、各加入者宅の各V-ONU8−1〜8−nは、受け取った光信号を変換して得られた電気信号に含まれているFSK変調された遠隔制御命令を、内部のFSK復調器(図1において不図示)によってFSK復調して遠隔制御命令を認識している。
【0008】
そして、センタ局からV-ONUへの遠隔制御は、V-ONU8−1〜8−nに対して個別に或いは一斉に行われる。個別の遠隔制御を可能にするために、V-ONU8−1〜8−n各々に固有識別情報(例えばアドレス)を付与する必要がある。個別の遠隔制御を行う場合、制御対象のV-ONUに付与した固有識別情報(例えばアドレス)を指定して制御を実行することになる。
【0009】
したがって、個別の遠隔制御を可能にするために、V-ONU8−1〜8−n各々は、工場において固有識別情報(例えばアドレス)を付与され、その後出荷され、最終的に図1に示すように各加入者宅に設置される。
【0010】
そこで、V-ONU8−1〜8−nに従来の遠隔制御機能を有する光受信装置を用いた場合における工場でのアドレス書き込みの手法について図2を参照して説明する。図2は、アドレス書き込み装置及びそのアドレス書き込み装置によってアドレスが書き込まれる従来の遠隔制御機能を有する光受信装置の概略構成例を示す図である。アドレス書き込み装置は、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)10と、FSK変調器11と、光送信器12と、光ファイバ13とからなり、工場内に設置されている。そして、従来の遠隔制御機能を有する光受信装置100は、光検出部14と、FSK復調器15と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16’と、スライド型DIPスイッチSW1とを備えている。DIPスイッチSW1のスライド部Sが図2のように右側にスライドしている場合に、マイコン16’はアドレス書き込み可能モードになる。これに対して、DIPスイッチSW1のスライド部Sが左側にスライドしている場合に、マイコン16’はアドレス書き込み不可能モードになる。
【0011】
パソコン10は、アドレス書き込み用ソフトウェアを内部の記憶部(不図示)に格納しており、そのアドレス書き込み用ソフトウェアを実行することで、アドレス書き込み命令をFSK変調器11に出力する。なお、アドレス書き込み命令はシリアルコマンドである。
【0012】
アドレスの書き込み作業を行う場合、工場作業者は、DIPスイッチSW1のスライド部Sを右側にスライドさせた後、パソコン10を操作して、パソコン10からアドレス書き込み命令を出力させる。そうすると、パソコン10から出力されたアドレス書き込み命令が、FSK変調器11によってFSK変調され、光送信器12によって光信号に変更され、光ファイバ13経由で光検出部14に送られ、光検出部14によって電気信号に変換され、FSK復調器15によってFSK復調され、そのFSK復調されたアドレス書き込み命令に従ってアドレスがマイコン16’内の不揮発性メモリ17’に書き込まれる。
【0013】
アドレスの書き込み作業が終了すると、工業作業者は、DIPスイッチSW1のスライド部Sを左側にスライドさせて、マイコン16’をアドレス書き込み不可能モードとし、その後出荷するようにしている。これにより、システム運用時にはマイコン16’はアドレス書き込み不可能モードになっている。
【0014】
【特許文献1】特開2007−288384号公報(段落0022、第2図)
【特許文献2】特開2007−124175号公報(段落0034、段落0035、第4図)
【特許文献3】実用新案登録第3134762号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の遠隔制御機能を有する光受信装置100を加入者宅に設置した後、加入者が勝手にDIPスイッチSW1のスライド部Sを左側にスライドさせてアドレス書き込み可能モードにしてしまうおそれがあり、システム運用時であるにもかかわらずアドレスが書き込み可能な状態になり、運用に支障をきたすおそれがあった。また、従来の遠隔制御機能を有する光受信装置100の筺体に開口部を設け、その開口部を介してDIPスイッチの操作を可能としているが、その開口部からノイズが漏れるおそれがあった。
【0016】
本発明は、上記の状況に鑑み、スイッチによるモード設定無しで固有識別情報の書き込みが可能である遠隔制御機能を有する光受信装置及び遠隔制御機能を有する光受信装置にスイッチによるモード設定無しで固有識別情報を書き込むことができる固有識別情報書き込み方法を提供することを目的とする。さらには、システム運用時に誤って固有識別情報が書き込まれることを実質的に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明に係る光受信装置は、不揮発性メモリと、固有識別情報を受信する受信手段と、電源がONになってから所定時間が経過したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記受信手段が受信した固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可する固有識別情報書き込み許可手段とを備える構成としている。
【0018】
このような構成によると、スイッチによるモード設定無しで固有識別情報の書き込みが可能となる。また、電源がONになってから所定時間が経過した後は固有識別情報の書き込みが禁止されるので、光受信装置が加入者宅に設置された後に誤って固有識別情報が書き込まれることを実質的に防止することができる。固有識別情報としては例えばアドレスが挙げられる。
【0019】
また、上記構成の光受信装置において、前記判定手段によって電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記不揮発性メモリに前記固有識別情報に対応する対応情報を書き込むことを許可する対応情報書き込み許可手段と、前記受信手段が前記固有識別情報と対で受信した情報と、前記対応情報書き込み許可手段によって許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致しているか否かを判定する一致判定手段とを備え、前記判定手段が、電源がONになってから所定時間が経過していないと判定し、且つ、前記一致判定手段が、前記受信手段が前記固有識別情報と対で受信した情報と、前記対応情報書き込み許可手段によって許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致していると判定した場合のみ、前記固有識別情報書き込み許可手段が、前記受信手段が受信した固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可するようにしてもよい。
【0020】
このような構成によると、誤って固有識別情報が書き込まれる可能性をより一層低減することができる。固有識別情報に対応する対応情報としては例えば製造番号が挙げられる。
【0021】
また、上記目的を達成するために本発明に係る固有識別情報書き込み方法は、光受信装置が備える不揮発性メモリに固有識別情報を書き込む固有識別情報書き込み方法であって、固有識別情報を受信する受信ステップと、前記光受信装置の電源がONになってから所定時間が経過したか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記光受信装置の電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記受信ステップにおいて受信された固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可する固有識別情報書き込み許可ステップとを備えるようにしている。
【0022】
また、上記固有識別情報書き込み方法において、前記判定ステップにおいて前記光受信装置の電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記不揮発性メモリに前記固有識別情報に対応する対応情報を書き込むことを許可する対応情報書き込み許可ステップと、前記受信ステップにおいて前記固有識別情報と対で受信された情報と、前記対応情報書き込み許可ステップにおいて許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致しているか否かを判定する一致判定ステップとを備え、前記判定ステップにおいて、電源がONになってから所定時間が経過していないと判定され、且つ、前記一致判定ステップにおいて、前記受信ステップにおいて前記固有識別情報と対で受信された情報と、前記対応情報書き込み許可ステップにおいて許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致していると判定された場合のみ、前記固有識別情報書き込み許可ステップにおいて、前記受信ステップにおいて受信された固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことが許可されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、スイッチによるモード設定無しで固有識別情報の書き込みが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0025】
本発明に係る光受信装置を用いて光伝送システムを構築する場合の光伝送システムの概略構成例も、従来の遠隔制御機能を有する光受信装置を用いて光伝送システムを構築する場合の光伝送システムの概略構成例と同様に、図1のようになる。なお、本発明に係る光受信装置は、例えば図9に示すような外観であり、箱状の本体201と、本体201の開放部を開閉自在に覆う蓋202とを備え、本体201内部に光ファイバトレイ203と信号処理回路ユニット204とを収納している。本体201の側面201Aに設けられた光ファイバ挿入口205を通じて外部から光ファイバが導入され、その導入された光ファイバの端部が光ファイバトレイ203上に設けられている中継用光コネクタに接続される。また、本体201の側面201Aには、光ファイバ挿入口205の他に同軸ケーブル接続用コネクタ206も設けられている。光ファイバによって伝送された光信号は、信号処理回路ユニット204において信号処理されて、電気信号(RF信号)に変換され、同軸ケーブル接続用コネクタ206から外部に出力される。なお、図9では、本体201内の右側に信号処理回路ユニット204が収納されていることを表すために、その上部に搭載される光ファイバトレイの図示を省略しているが、実際には本体201の左側と同様に光ファイバトレイを搭載している。
【0026】
図1に示す光伝送システムのV-ONU8−1〜8−nに本発明に係る光受信装置を用いた場合における工場でのアドレス書き込みの手法について図3を参照して説明する。図3は、アドレス書き込み装置及びそのアドレス書き込み装置によってアドレスが書き込まれる本発明に係る光受信装置の概略構成例を示す図である。なお、図3において図2と同一の部分には同一の符号を付す。
【0027】
アドレス書き込み装置は、パソコン10と、FSK変調器11と、光送信器12と、光ファイバ13とからなり、工場内に設置されている。パソコン10は、アドレス書き込み用ソフトウェアを内部の記憶部(不図示)に格納しており、そのアドレス書き込み用ソフトウェアを実行することで、アドレス書き込み命令をFSK変調器11に出力する。なお、アドレス書き込み命令はシリアルコマンドである。
【0028】
本発明に係る光受信装置101は、光コネクタである入力端子INと、入力端子INからの光信号を電気信号に変換する機能と、その電気信号をTV信号であるRF信号とFSK変調された遠隔制御命令とに分離する機能を有する光検出部14と、光検出部14からのRF信号を増幅するアンプ18と、アンプ18からのRF信号のゲインを調整する第1ゲイン制御部19と、第1ゲイン制御部19からのRF信号を増幅するアンプ20と、アンプ20からのRF信号のゲインを調整する第2ゲイン制御部21と、第2ゲイン制御部21からのRF信号を増幅するアンプ22と、アンプ22からのRF信号を出力する同軸ケーブル接続用コネクタである出力端子OUTと、FSK復調部15と、マイコン16と、D/Aコンバータ23と、LED(Light Emitting Diode)駆動部24と、受光レベル表示用LED25と、電源端子26と、電源制御部27とを備えている。マイコン16は、不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)17と、ポートP1〜P5とを信号処理回路ユニット204内に備えている。なお、マイコン16は、後述する図4に示すフローチャートの動作を行うことにより、請求項に記載の各手段として機能している。
【0029】
マイコン16は、光検出部14が入力した光信号の受光レベルに関する情報をポートP2で受け取り、その受光レベルに応じたLED駆動制御信号をポートP4からLED駆動部24に出力し、その受光レベルに応じたゲイン調整信号をポートP3からD/Aコンバータ23に出力する。LED駆動部24は、そのLED駆動制御信号に従って、受光レベル表示用LED25を駆動する。D/Aコンバータ23は、ゲイン調整信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、第1ゲイン制御部19及び第2ゲイン制御部21に供給する。第1ゲイン制御部19及び第2ゲイン制御部21はそれぞれゲイン調整信号に従ってゲインを調整する。
【0030】
また、マイコン16は、ポートP5からの制御信号により、電源制御部27を制御する。電源制御部27は、ポートP5からの制御信号に従って、アンプ18、20、22及び第1ゲイン制御部19、第2ゲイン制御部21への電源供給をON/OFFさせている。電源供給をONさせる場合、電源制御部27は、電源端子26を介して電源部28より供給された電力を、アンプ18、20、22及び第1ゲイン制御部19、第2ゲイン制御部21に供給する。これにより、本発明に係る光受信装置101からのRF信号出力がON設定になる。一方、電源供給をOFFさせる場合、電源制御部27は、電源端子26を介して電源部28より供給された電力を、アンプ18、20、22及び第1ゲイン制御部19、第2ゲイン制御部21に供給しない。これにより、本発明に係る光受信装置101からのRF信号出力がOFF設定になる。
【0031】
また、FSK復調器15は、光検出部14から供給されるFSK変調された遠隔制御命令をFSK復調してマイコン16のポートP1に供給し、マイコン16は、FSK復調器15からポートP1に供給される遠隔制御命令の制御内容を不揮発性メモリ17に格納する。
【0032】
次に、マイコン16の動作について図4に示すフローチャートを参照して説明する。電源端子26に電源部28が接続されると、本発明に係る光受信装置101の電源がONになり、マイコン16に所定のDC電圧が供給され、マイコン16が起動して、図4に示すフローチャートの動作が開始する。すなわち、本発明に係る光受信装置101の電源がONになると、マイコン16のタイマ機能による計時を開始する(ステップ#10)。
【0033】
その後、マイコン16は、ポートP1を確認し(ステップ#20)、ポートP1にFSK復調器15からのデータが入力されているか否かを判定する(ステップ#30)。ポートP1にFSK復調器15からのデータが入力されていなければ(ステップ#30のNO)、ステップ#20に戻る。一方、ポートP1にFSK復調器15からのデータが入力されていれば(ステップ#30のYES)、マイコン16はデータの内容を確認する(ステップ#40)。
【0034】
ここで、製造番号書き込み命令、アドレス書き込み命令、遠隔制御命令のデータ構成例を図5に示す。図5に示す製造番号書き込み命令は、識別子、製造番号、チェックサムの順にデータ送信されるシリアルコマンドであり、図5に示すアドレス書き込み命令は、識別子、製造番号、アドレス、チェックサムの順にデータ送信されるシリアルコマンドであり、図5に示す遠隔制御命令は、識別子、遠隔制御内容、チェックサムの順にデータ送信されるシリアルコマンドである。なお、各チェックサムは、チェックサムより前のデータ全てを対象とするチェックサムでも良く、チェックサムより前のデータの一部のみ(例えば製造番号のみ等)を対象とするチェックサムでも良い。
【0035】
製造番号書き込み命令、アドレス書き込み命令、遠隔制御命令が図5に示すデータ構成である場合、ステップ#40でのデータ内容の確認は識別子によって行うことができる。
【0036】
ステップ#40の処理の後、マイコン16は、データが製造番号書き込み命令であるか否かを判定する(ステップ#50)。
【0037】
データが製造番号書き込み命令であれば(ステップ#50のYES)、タイマ機能によって計時している時間が所定時間(例えば30秒)以内である場合(ステップ#80のYES)は製造番号を不揮発性メモリ17に書き込み(ステップ#90)、その後ステップ#20に移行し、タイマ機能によって計時している時間が所定時間(例えば30秒)を過ぎている場合(ステップ#80のNO)は製造番号を不揮発性メモリ17に書き込まずにステップ#20に移行する。
【0038】
一方、データが製造番号書き込み命令でなければ(ステップ#50のNO)、マイコン16は、データがアドレス書き込み命令であるか否かを判定する(ステップ#60)。
【0039】
データがアドレス書き込み命令であれば(ステップ#60のYES)、タイマ機能によって計時している時間が所定時間(例えば30秒)を過ぎている場合(ステップ#100のNO)はアドレスを不揮発性メモリ17に書き込まずにステップ#20に移行し、タイマ機能によって計時している時間が所定時間(例えば30秒)以内である場合(ステップ#100のYES)はアドレス書き込み命令内の製造番号が不揮発性メモリ17に格納されている製造番号と一致しているかを判定する(ステップ#110)。アドレス書き込み命令内の製造番号が不揮発性メモリ17に格納されている製造番号と一致していれば(ステップ#110のYES)、アドレスを不揮発性メモリ17に書き込み(ステップ#120)、その後ステップ#20に移行する。アドレス書き込み命令内の製造番号が不揮発性メモリ17に格納されている製造番号と一致していなければ(ステップ#110のNO)、アドレスを不揮発性メモリ17に書き込まずにステップ#20に移行する。
【0040】
一方、データがアドレス書き込み命令でなければ(ステップ#60のNO)、マイコン16は、データが遠隔制御命令であるか否かを判定する(ステップ#70)。
【0041】
データが遠隔制御命令であれば(ステップ#70のYES)、遠隔制御の内容を実行し(ステップ#130)、その後ステップ#20に移行する。一方、データが遠隔制御命令でなければ(ステップ#70のNO)、遠隔制御の内容を実行せずにステップ#20に移行する。
【0042】
本発明に係る光受信装置101の電源がOFFになるまで、このような一連の動作が繰り返される。
【0043】
したがって、図6に示すように本発明に係る光受信装置101の電源がONになってから所定時間(例えば30秒)以内に、本発明に係る光受信装置101が製造番号書き込み命令、アドレス書き込み命令を順に受信したときのみ、アドレスの書き込みが可能となる。このため、アドレスの書き込み作業を行う場合、工場作業者は、本発明に係る光受信装置101の電源をONにし、直ぐにパソコン10を操作し、パソコン10から製造番号書き込み命令とアドレス書き込み命令とを順に出力させ、本発明に係る光受信装置101の電源がONになってから所定時間(例えば30秒)以内に、本発明に係る光受信装置101が製造番号書き込み命令、アドレス書き込み命令を順に受信するようにする。そうすると、パソコン10から出力された製造番号書き込み命令が、FSK変調器11によってFSK変調され、光送信器12によって光信号に変更され、光ファイバ13経由で光検出部14に送られ、光検出部14によって電気信号に変換され、FSK復調器15によってFSK復調され、そのFSK復調された製造番号書き込み命令に従って製造番号がマイコン16内の不揮発性メモリ17に書き込まれ、その後、パソコン10から出力されたアドレス書き込み命令が、FSK変調器11によってFSK変調され、光送信器12によって光信号に変更され、光ファイバ13経由で光検出部14に送られ、光検出部14によって電気信号に変換され、FSK復調器15によってFSK復調され、そのFSK復調されたアドレス書き込み命令に従ってアドレスがマイコン16内の不揮発性メモリ17に書き込まれる。
【0044】
アドレスの書き込み作業が終了すると、その後出荷され、各加入者宅に設置される。設置後の電源投入から30秒の間や停電復旧後等の電源再投入から30秒の間はアドレス書き込みが可能であるが、このタイミングでV-ONU遠隔制御用パソコン1から誤って本発明に係る光受信装置101に製造番号書き込み命令及びアドレス書き込み命令が送信されてくる可能性は限りなく零に近いので、本発明に係る光受信装置101が加入者宅に設置された後に誤ってアドレスが書き込まれることは実質的に無いと言える。なお、図10に示すように、本発明に係る光受信装置101の電源がONになってから第1の所定時間(例えば15秒)以内に本発明に係る光受信装置101が製造番号書き込み命令を受信すると、製造者番号がマイコン16内の不揮発性メモリ17に書き込まれ、電源がONになってから第1の所定時間(例えば15秒)経過後電源がOFFされる。その後再度電源がONになってタイマーをリセットするようにし、本発明に係る光受信装置101の電源が再度ONになってから第2の所定時間(例えば15秒)以内に本発明に係る光受信装置101がアドレス書き込み命令を受信したときのみ、アドレスの書き込みが可能となるようにしてもよい。図10に示すアドレスの書き込みが可能となる条件は、図6に示すアドレスの書き込みが可能となる条件に比べて、本発明に係る光受信装置101が加入者宅に設置された後に誤ってアドレスが書き込まれる可能性が小さくなる。なお、電源のON/OFFは手動、自動のいずれであってもよい。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に限らず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る光受信装置101のマイコン16が受信するデータはシリアルデータであったが、パラレルデータであっても構わない。
【0047】
また、アドレスの代わりに他の固有識別情報を用いても構わない。さらに、製造番号の代わりに固有識別情報に対応する他の対応情報を用いても構わない。
【0048】
また、製造番号書き込み命令を本発明に係る光受信装置101に送信することをやめ、それに対応して、図4のステップ#50、#80、#90、#110の処理を行わないようにしてもよい。
【0049】
また、図4に示すフローチャートでは、本発明に係る光受信装置101の電源がONで有る限り、マイコン16のタイマ機能は計時を続行するが、タイマ機能による計時時間が所定時間(例えば30秒)を過ぎるとタイマ機能による計時を停止し、その停止したときの計時時間を本発明に係る光受信装置101の電源がONで有る限り、保持し続けるようにしてもよい。或いは、マイコン16の不揮発性メモリ17が製造番号・アドレス書き込みフラグを記憶するようにし、タイマ機能による計時時間が所定時間(例えば30秒)を過ぎると、製造番号・アドレス書き込みフラグを例えば “0”(“書き込み可”を意味するものとする)から“1” (“書き込み不可”を意味するものとする)に変更して、タイマ機能による計時を停止し、図4のステップ#80、#100の処理に代えて製造番号・アドレス書き込みフラグが “0”であるか否かを判定する処理を行うようにしてもよい。
【0050】
遠隔制御の内容としては、例えば、V-ONUからのRF信号出力のON設定又はOFF設定の指示がある。また、遠隔制御の内容は、V-ONUからのRF信号出力の帯域制御であってもよい。RF信号が、地上デジタル放送TV信号と、BSデジタル放送TV信号及びCSデジタル放送TV信号とによって構成されている場合、帯域制御を行うことにより、2つのTV信号の中から任意のTV信号を選択してV-ONUから出力させることができる。この場合、マイコン16からの指令に基づいて、アンプ18に出力するRF信号の帯域制御を行う帯域制御部を、光検出部14に設けるようにするとよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、電源端子26を介して電源部28からの電力を電源制御部27に供給しているが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、電源端子26を廃止し、電源部28を本発明に係る光受信装置101とテレビ受信機との間に設け、電源部28からの電力を同軸ケーブルに重畳し、同軸ケーブル接続用コネクタである出力端子OUTを介して電源制御部27に供給するようにしてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態での本発明に係る光受信装置101とは異なる遠隔制御機能を有するV-ONUの形態として、本体ユニットと遠隔制御ユニットとを有し両者を分離可能とする構成が考えられる。このような構成によると、本体ユニットのみを用いた場合は遠隔制御機能を有していないV-ONUとして利用でき、本体ユニットに遠隔制御ユニットを装着した場合は遠隔制御機能を有するV-ONUとして利用でき、V-ONUを遠隔制御する光伝送システム、V-ONUを遠隔制御しない光伝送システム双方に対応することができる。本発明に係る光受信装置101を、本体ユニットと遠隔制御ユニットとに分離可能に変更した場合の構成を図7に示す。なお、図7において図3と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0053】
図7に示す本発明に係る光受信装置は、本体ユニット101Aと遠隔制御ユニット101Bとを有する構成である。なお、遠隔制御ユニット101Bが本体ユニット101Aに装着されている場合は図8に示すように本体ユニット101Aの端子29〜31それぞれと遠隔制御ユニット101Bの端子32〜34それぞれとが接続される。図8に示すように遠隔制御ユニット101Bが本体ユニット101Aに装着されている場合にセンタ局からの遠隔制御が可能となる。
【0054】
図7及び図8に示す本発明に係る光受信装置は、図3に示す本発明に係る光受信装置101のマイコン16を主マイコン16Aと副マイコン16Bとに分け、主マイコン16Aを本体ユニット101Aに配置し、副マイコン16Bを遠隔制御ユニット101Bに配置している。主マイコン16Aは不揮発性メモリ17Aを有し、副マイコン16Bは不揮発性メモリ17Bを有している。
【0055】
副マイコン16Bは、本体ユニット101Aに遠隔制御ユニット101Bが装着されている場合にFSK復調器15からポートP1に供給される製造番号書き込み命令、アドレス書き込み命令に従って製造番号、アドレスを不揮発性メモリ17Bに格納する。また、副マイコン16Bは、本体ユニット101Aに遠隔制御ユニット101Bが装着されている場合にFSK復調器15からポートP1に供給される遠隔制御命令の中から自己のアドレスに合致したものを抽出して、その抽出した遠隔制御命令の内容(遠隔制御情報)を不揮発性メモリ17Bに格納する。
【0056】
また、副マイコン16Bは、本体ユニット101Aに遠隔制御ユニット101Bが装着されている場合、不揮発性メモリ17Bに格納している製造番号、アドレス、或いは遠隔制御情報を、例えばシリアル通信により、周期的に主マイコン16Aに送り、主マイコン16Aは送られてきたデータを不揮発性メモリ17Aに格納する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】は、システム運用時の光伝送システムの概略構成例を示す図である。
【図2】は、アドレス書き込み装置及び従来の遠隔制御機能を有する光受信装置の概略構成例を示す図である。
【図3】は、アドレス書き込み装置及び本発明に係る光受信装置の概略構成例を示す図である。
【図4】は、本発明に係る光受信装置が備えるマイコンの動作を示すフローチャートである。
【図5】は、製造番号書き込み命令、アドレス書き込み命令、遠隔制御命令のデータ構成例を示す図である。
【図6】は、アドレスの書き込みが可能となる条件を示す図である。
【図7】は、本発明に係る光受信装置の変形例を示す図である。
【図8】は、本発明に係る光受信装置の変形例を示す図である。
【図9】は、本発明に係る光受信装置の外観例を示す斜視図である。
【図10】は、アドレスの書き込みが可能となる他の条件を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 V-ONU遠隔制御用パソコン
2 FSK変調器
3 混合器
4 光送信器
5 光ファイバ
6 光分岐器
7−1〜7−n 光ファイバ
8−1〜8−n V-ONU
9−1〜9−n テレビ受信機
10 パソコン
11 FSK変調器
12 光送信器
13 光ファイバ
14 光検出部
15 FSK復調部
16、16’ マイコン
16A 主マイコン
16B 副マイコン
17、17’、17A、17B 不揮発性メモリ
18、20、22 アンプ
19 第1ゲイン制御部
21 第2ゲイン制御部
23 D/Aコンバータ
24 LED駆動部
25 受光レベル表示用LED
26 電源端子
27 電源制御部
28 電源部
29〜34 端子
100 従来の遠隔制御機能を有する光受信装置
101 本発明に係る光受信装置
101A 本体ユニット
101B 遠隔制御ユニット
201 本体
201A 本体の側面
202 蓋
203 光ファイバトレイ
204 信号処理回路ユニット
205 光ファイバ挿入口
206 同軸ケーブル接続用コネクタ
IN 入力端子
OUT 出力端子
P1〜P9 ポート
SW1 DIPスイッチ
S スライド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリと、
固有識別情報を受信する受信手段と、
電源がONになってから所定時間が経過したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記受信手段が受信した固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可する固有識別情報書き込み許可手段とを備えることを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
前記判定手段によって電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記不揮発性メモリに前記固有識別情報に対応する対応情報を書き込むことを許可する対応情報書き込み許可手段と、
前記受信手段が前記固有識別情報と対で受信した情報と、前記対応情報書き込み許可手段によって許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致しているか否かを判定する一致判定手段とを備え、
前記判定手段が、電源がONになってから所定時間が経過していないと判定し、且つ、前記一致判定手段が、前記受信手段が前記固有識別情報と対で受信した情報と、前記対応情報書き込み許可手段によって許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致していると判定した場合のみ、
前記固有識別情報書き込み許可手段が、前記受信手段が受信した固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可する請求項1に記載の光受信装置。
【請求項3】
光受信装置が備える不揮発性メモリに固有識別情報を書き込む固有識別情報書き込み方法であって、
固有識別情報を受信する受信ステップと、
前記光受信装置の電源がONになってから所定時間が経過したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記光受信装置の電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記受信ステップにおいて受信された固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことを許可する固有識別情報書き込み許可ステップとを備えることを特徴とする固有識別情報書き込み方法。
【請求項4】
前記判定ステップにおいて前記光受信装置の電源がONになってから所定時間が経過していないと判定された場合のみ、前記不揮発性メモリに前記固有識別情報に対応する対応情報を書き込むことを許可する対応情報書き込み許可ステップと、
前記受信ステップにおいて前記固有識別情報と対で受信された情報と、前記対応情報書き込み許可ステップにおいて許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致しているか否かを判定する一致判定ステップとを備え、
前記判定ステップにおいて、電源がONになってから所定時間が経過していないと判定され、且つ、前記一致判定ステップにおいて、前記受信ステップにおいて前記固有識別情報と対で受信された情報と、前記対応情報書き込み許可ステップにおいて許可されて前記不揮発性メモリに書き込まれた前記対応情報とが一致していると判定された場合のみ、
前記固有識別情報書き込み許可ステップにおいて、前記受信ステップにおいて受信された固有識別情報を前記不揮発性メモリに書き込むことが許可される請求項3に記載の固有識別情報書き込み方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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