説明

光受信装置

【課題】ユーザが利用するサービスに応じて容易かつ柔軟に対応でき、サービスの拡張等も容易に行うことが可能な光受信装置を提供する。
【解決手段】光受信装置10は、光ファイバ11の一端を終端するアクセス網光接続終端部12、電源部13、光ファイバ11により伝送される光の波長を分離する波長分離部14、波長分離部14に接続する通信モジュールを着脱可能に装着する通信モジュール接続部15を備え、少なくともGE−ONUモジュール16、V−ONUモジュールA17、V−ONUモジュールB18のいずれかをユーザが利用する所望の光通信サービスに応じて着脱可能に取り付けて接続できる構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FTTH(Fiber To The Home)等の光ファイバ回線網を用いた光通信システムの光終端装置等に用いられる光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FTTH等の光ファイバ回線網を用いて、テレビの有線放送や電話サービス、高速のインターネット接続サービス等を行う光通信サービスが普及してきている。この種の光通信サービスを行う光ネットワークでは、ユーザ側のノードに光ファイバケーブルで伝送された光信号を電気信号に変換する光終端装置が接続されユーザの家屋等やその近傍の屋外等に設置される。そして、光終端装置にモデムや端末等が接続され、サービス提供者との間でデータ通信が行われる。
【0003】
この種の光終端装置は、映像配信用、データ通信用など、各種用途別に構成されたONU(Optical Network Unit)を備えている。従来は、用途別にONUや光終端装置を設置する必要があったため、光通信サービスの普及や用途の広がりとともに、複数の用途に対応可能な光終端装置が望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1には、活線挿抜可能なインタフェースボードを筐体内に組み込み可能に構成された加入者光終端装置が開示されている。この装置によれば、インタフェースボードを取り替えることで各種サービスに対応可能である。また、非特許文献1には、放送用ONUとデータ通信用ONUとを収容した屋外設置用一体型ONUが開示されている。この装置によれば、一体型の光終端装置によって映像配信とデータ通信の両サービスに対応可能である。
【特許文献1】特開2003−318822号公報
【非特許文献1】日本電気株式会社、「FTTH Solutions Guide」、2006年8月、http://www.nec.co.jp/access/brochures/FTTH-SG.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、光終端装置の設置時に作業者がインタフェースボードを取り付けたり、利用するサービスの変更時や拡張時に作業者がインタフェースボードを交換する等の作業が必要である。このため、例えばユーザが利用するサービスに応じてインタフェースボードを設置したり交換することはできなかった。
【0006】
また、上記非特許文献1の構成では、映像配信用とデータ通信用の一体型の光終端装置であるため、例えばデータ通信の必要が無い場合でも両方の機能を持った光終端装置を設置することになる。このため、ユーザが利用するサービスに関わらず、設置場所に大きなスペースが必要である。また、異常時には異常となった機能の切り分け等が難しく機能復帰や修理の対応が煩雑であり、全てのサービスが停止することになるので、使い勝手に課題を有していた。またこの構成においても、設置後にサービスの変更や拡張を行うには全てのユニットを交換する等の方法を採らざるを得ないので、対応が困難であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ユーザが利用するサービスに応じて容易かつ柔軟に対応でき、サービスの拡張等も容易に行うことが可能な光受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光受信装置は、光ファイバ回線網と接続される光ファイバの一端を終端する光接続終端部と、前記光接続終端部を介して前記光ファイバにより伝送される光の波長を分離する波長分離部と、前記波長分離部に接続する通信モジュールを着脱可能に装着する通信モジュール接続部と、前記通信モジュールに電源を供給する電源部とを備えるとともに、前記通信モジュール接続部に装着される通信モジュールとして、少なくとも、前記波長分離された光を光電変換してビデオ信号に関する信号処理を行うビデオ通信モジュール、または、前記波長分離された光を光電変換してデータ信号に関する信号処理を行うデータ通信モジュールのいずれか一つを備えるものである。
【0009】
これにより、着脱可能な通信モジュールを備えることで、ビデオ信号を配信するビデオ配信サービス、データ信号を送受信するデータ通信サービスなど、ユーザが利用するサービスに応じて容易かつ柔軟に対応でき、サービスの拡張等も容易に行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記の光受信装置であって、前記着脱可能な通信モジュールのビデオ通信モジュールとして、異なる波長の光信号を用いる第1のビデオ通信モジュールと第2のビデオ通信モジュールの少なくとも一方を備えるものを含む。
【0011】
また、本発明は、上記の光受信装置であって、前記波長分離された光を光電変換してデータ信号に関する信号処理を行うデータ通信モジュールを内蔵し、前記着脱可能な通信モジュールとして、少なくとも前記ビデオ通信モジュールを備えるものを含む。
【0012】
また、本発明は、上記の光受信装置であって、前記着脱可能な通信モジュールとして、前記光ファイバにより伝送される光信号を延長する光延長配線モジュールを備えるものを含む。
【0013】
また、本発明は、上記の光受信装置であって、前記波長分離部は、所定の波長の光を分離する光波長分離素子と、前記光を伝送する光伝送路を前記通信モジュールとの間で着脱可能に接続する光コネクタ部とを備えるものを含む。
【0014】
また、本発明は、上記の光受信装置であって、前記波長分離部は、光伝送路ユニットと、この光伝送路ユニットに着脱可能に接続される前記光波長分離素子を有する波長分離モジュールとを備えるものを含む。
【0015】
また、本発明は、上記の光受信装置であって、前記波長分離部は、前記光伝送路の末端を終端状態とする終端部を備えるものを含む。
【0016】
また、本発明は、上記いずれかの光受信装置と、この光受信装置の通信モジュール接続部に着脱自在に装着可能な通信モジュールとを含む光受信システムを提供する。
【0017】
また、本発明は、上記いずれかの光受信装置と、この光受信装置の通信モジュール接続部に着脱自在に装着可能であるとともに、ビデオ信号の信号処理を行う映像機器において着脱自在に接続して使用可能である通信モジュールとを含む光受信システムを提供する。
【0018】
また、本発明は、上記の光受信装置における通信モジュール接続部に着脱自在に装着可能な通信モジュールを提供する。
【0019】
また、本発明は、上記の通信モジュールであって、
前記光受信装置に着脱可能であるとともに、ビデオ信号の信号処理を行う映像機器において着脱自在に接続して使用可能であるものを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが利用するサービスに応じて容易かつ柔軟に対応でき、サービスの拡張等も容易に行うことが可能な光受信装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本実施形態では、光受信装置の構成例として、FTTH等の光ファイバ回線網のユーザ側に設置される光終端装置に適用した場合の構成例を示す。
【0022】
図1は本発明の第1の実施形態に係る光受信装置の概略構成を示すブロック図である。光終端装置として設けられる光受信装置10は、光ファイバ回線網に接続された光ファイバ11の一方の終端を収納するもので、光ファイバ11の一端が接続される光接続終端部の機能を有するアクセス網光接続終端部12と、各部に電源を供給する電源部13と、光ファイバ11から伝送される光を波長ごとに分離する波長分離部14とを備える。この光受信装置10は、光通信サービスのユーザの家屋等のユーザ宅内に設置される。ユーザ宅としては、一般住宅の家屋だけでなく、共同住宅、店舗、工場、その他の各種施設を含むものとする。
【0023】
また、光受信装置10は、各種の光通信サービスに対応した通信モジュールを着脱可能に接続する接続スロットである通信モジュール接続部15を備えている。この通信モジュール接続部15には、プラグイン型の通信モジュールとして、GE−ONU(Gigabit Ethernet-Optical Network Unit)モジュール16、V−ONU(Video-Optical Network Unit)モジュールA17、V−ONUモジュールB18、光延長配線モジュール19などを着脱可能に取り付けて接続できるようになっている。
【0024】
GE−ONUモジュール16は、GE−PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)システムによるデータ通信サービスに対応する信号処理を行う通信モジュールである。D−ONU(Data-Optical Network Unit)モジュール等も同様の機能を持つ。このGE−ONUモジュール16は、ユーザ宅内のイーサネット(登録商標)等のデータ通信用のネットワークと接続され、光ファイバ11により伝送される光信号を電気信号に変換して復調処理し、データ信号としてユーザ宅内のネットワークに対して入出力する。このネットワークにはパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理機器が接続され、情報処理機器とGE−ONUモジュール16との間でデータのやり取りが行われる。
【0025】
V−ONUモジュールA17、V−ONUモジュールB18は、TV放送や動画配信等のビデオ配信サービスに対応する信号処理を行う通信モジュールである。これらのV−ONUモジュールA17、B18は、それぞれ異なる波長で伝送される各方式のビデオ信号に対応して設けられる。V−ONUモジュールA17、B18は、ユーザ宅内のビデオ回線を介してセットトップボックス(STB)やテレビ等の映像機器と接続され、光ファイバ11により伝送された光信号を電気信号に変換して復調処理し、ビデオ信号A、ビデオ信号Bとしてそれぞれユーザ宅内の映像機器に出力する。
【0026】
光延長配線モジュール19は、光ファイバ11で伝送される光信号を延長する通信モジュールであり、ユーザ宅内の光ファイバ等の光配線と接続され、光ファイバ11により伝送された光信号を入出力する。
【0027】
アクセス網光接続終端部12は、余長処理部を有し、光ファイバ11の一端の余長処理を行い、その終端を接続する。電源部13は、直流電源または交流電源を入力し、所定の電圧に安定化した電源電圧を波長分離部14を介して通信モジュール接続部15に供給し、各通信モジュールなどの装置各部に電源を供給する。波長分離部14は、光ファイバ11により伝送される光信号の中継、分岐、波長分離を行うものであり、各種光学素子として、フィルタ、導波路、ミラー等を備えて構成される。波長分離の手段としては、WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタなどが用いられる。
【0028】
上記のように構成された光受信装置10をユーザ宅に設置する場合、筐体本体を所望の場所に設置し、光ファイバ11の一端をアクセス網光接続終端部12に接続するとともに、当該ユーザが利用する光通信サービスに応じて、対応した通信モジュールを通信モジュール接続部15に装着する。例えば、ビデオ配信サービスを利用する場合は、V−ONUモジュールA17を装着し、ユーザ宅内のビデオ回線と接続する。また、データ通信サービスを利用する場合は、GE−ONUモジュール16を装着し、ユーザ宅内のネットワークと接続する。また、光配線をユーザ宅内に延長する場合は、光延長配線モジュール19を装着し、ユーザ宅内の光配線と接続する。
【0029】
また、光受信装置10を設置した後、利用する光通信サービスの変更、追加がある場合は、当該光通信サービスに対応した通信モジュールを交換、または新たに追加して通信モジュール接続部15に装着する。例えば、V−ONUモジュールA17を装着している状態で、異なる波長で伝送される他方式のビデオ配信サービスを追加して利用する場合は、V−ONUモジュールB18を増設して装着し、ユーザ宅内のビデオ回線と接続する。また、ビデオ配信サービスを利用している状態でデータ通信サービスを追加して利用する場合は、GE−ONUモジュール16を増設して装着し、ユーザ宅内のネットワークと接続する。
【0030】
この光受信装置10において、光ファイバ11により伝送される光信号がアクセス網光接続終端部12を介して波長分離部14に導かれる。波長分離部14では、光信号の中継、分岐、波長分離が行われ、通信モジュール接続部15に装着された各通信モジュールへ光信号が伝送される。そして、GE−ONUモジュール16、V−ONUモジュールA17、B18等の各通信モジュールにおいて光電変換及び信号処理が行われ、伝送された光信号に対応するデータ信号、ビデオ信号等が出力される。
【0031】
上記のような構成の光受信装置10によれば、ユーザが利用したい所望のサービスに応じて必要な通信モジュールを装着することで、ユーザ毎に適応した省スペースの光受信装置を構成可能である。また、異常時には通信モジュールを着脱することで異常機能の切り分け、交換が容易に行えるため、異常箇所の特定を比較的容易に短時間で行うことができ、異常となった通信モジュールのみを交換することで修復可能である。このため、機能復帰や修理の対応が容易となる。設置後にサービスの変更や拡張を行うには、通信モジュールを交換したり、新たに追加して装着するだけで対応可能である。
【0032】
図2は本発明の第2の実施形態に係る光受信装置の概略構成を示すブロック図である。第2の実施形態は前述した第1の実施形態の変形例であり、光受信装置の内部構成を一部変更したものである。図1に示した第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
第2の実施形態の光受信装置20は、アクセス網光接続終端部12と、電源部13と、波長分離部21と、通信モジュール接続部22と、データ信号処理部23とを備える。波長分離部21と通信モジュール接続部22は、それぞれ第1の実施形態と同様の機能を持つもので、接続構成が異なるものである。
【0034】
データ信号処理部23は、第1の実施形態のGE−ONUモジュール16と同等の機能を有し、GE−PONシステムによるデータ通信サービスに対応する信号処理を行うものである。このデータ信号処理部23は、ユーザ宅内のイーサネット(登録商標)等のデータ通信用のネットワークと接続され、光ファイバ11により伝送される光信号を電気信号に変換して復調処理し、データ信号としてユーザ宅内のネットワークに対して入出力する。
【0035】
通信モジュール接続部22は、プラグイン型の通信モジュールとして、V−ONUモジュールA17、V−ONUモジュールB18、光延長配線モジュール19などを着脱可能に取り付けて接続できるようになっている。
【0036】
上記のように構成された光受信装置20をユーザ宅に設置する場合、筐体本体を所望の場所に設置し、光ファイバ11の一端をアクセス網光接続終端部12に接続するとともに、当該ユーザが利用する光通信サービスに応じて、対応した通信モジュールを通信モジュール接続部22に装着する。そして、データ信号処理部23をユーザ宅内のネットワークと接続する。
【0037】
第2の実施形態では、データ信号処理部23が予め搭載されているため、データ通信サービスが利用可能となっている。光受信装置20の設置時または設置後に、利用する光通信サービスの追加、変更がある場合は、当該光通信サービスに対応した通信モジュールを新たに追加、または交換して通信モジュール接続部22に装着する。例えば、ビデオ配信サービスを追加して利用する場合は、V−ONUモジュールA17を増設して装着し、ユーザ宅内のビデオ回線と接続する。さらに異なる波長で伝送される他方式のビデオ配信サービスを追加して利用する場合は、V−ONUモジュールB18を増設して装着し、ユーザ宅内のビデオ回線と接続する。また、光配線をユーザ宅内に延長する場合は、光延長配線モジュール19を装着し、ユーザ宅内の光配線と接続する。
【0038】
この光受信装置20においても、図1の第1の実施形態と同様、光ファイバ11により伝送される光信号がアクセス網光接続終端部12を介して波長分離部21に導かれる。波長分離部21では、光信号の中継、分岐、波長分離が行われ、データ信号処理部23とともに、通信モジュール接続部22に装着された各通信モジュールへ光信号が伝送される。そして、V−ONUモジュールA17、B18等の各通信モジュールにおいて光電変換及び信号処理が行われ、伝送された光信号に対応するデータ信号、ビデオ信号等が出力される。
【0039】
上記のような構成の光受信装置20によれば、第1の実施形態の光受信装置10と同様に、必要な通信モジュールを装着することで、ユーザ毎に適応した省スペースの光受信装置を構成可能である。ユーザが利用したい所望のサービスに応じて、例えばデータ通信サービスの利用状態から追加してビデオ配信サービスを利用したいような場合に、V−ONUモジュールを増設することで、容易にデータ通信サービスとビデオ配信サービスとを利用可能にできる。
【0040】
次に、本実施形態の光受信装置に用いられる通信モジュールの外観構成を示す。図3は本実施形態に係る通信モジュールの概略構成図である。通信モジュール30は、V−ONUモジュールやGE−ONUモジュール等の機能毎に構成されるもので、光受信装置10、20の通信モジュール接続部15、22に着脱可能に装着されて使用される。この通信モジュール30は、例えば厚い板状あるいは直方体状の筐体を有して構成され、内部にV−ONUやGE−ONU等の回路基板を内蔵している。また、通信モジュール30は、端部に光伝送路を接続する光コネクタ部31と、電源供給ラインを接続する電源コネクタ部32を備えている。この通信モジュール30を図中矢印方向に向かって通信モジュール接続部15、22に挿入して装着することによって、光コネクタ部31及び電源コネクタ部32を介して光受信装置10、20の波長分離部14、21及び電源部13と接続され、光信号の供給及び電源の供給を受けるようになっている。このように着脱可能にユニット化した構成の通信モジュール30において、光電変換や信号処理等が行われる。
【0041】
上記のような構成の着脱可能な通信モジュール30は、ユーザが特別な工具を用いたり煩雑な作業を必要とせずに、光受信装置に対して容易に取り付け、取り外しすることができる。これにより、簡単な作業で所望の機能を有する光受信装置を構成可能である。
【0042】
次に、本実施形態の光受信装置における波長分離部及び通信モジュール接続部の構成例を示す。
【0043】
図4は波長分離部の第1の構成例を示す概略構成図である。この第1の構成例は、図2に示した第2の実施形態の光受信装置などに好適な構成である。第1の構成例の波長分離部50は、波長分離部及び通信モジュール接続部の機能を含む簡略化した基本構成を示すもので、例えば1.31μm(上りデータ通信用)、1.49μm(下りデータ通信用)、1.55μm(映像用)の3波長対応の波長分離ユニットの構成となっている。この波長分離部50は、光信号を入出力する光コネクタ51、52、53と、光信号を分離する光波長分離素子54とを有して構成される。光波長分離素子54は、特定波長の光を透過し、その他の波長の光を反射して光信号の波長を2つに分離するもので、WDMフィルタ等の波長分離用のミラーなどにより構成される。この光波長分離素子54は、ビデオ信号やデータ信号など、ユーザが利用するサービスに対応した波長を分離する構成とする。なお、光波長分離素子54において波長を分離せずに光信号を2つに分離する構成を用いたり、このような単純に光信号を分離する構成を含めるようにしてもよい。
【0044】
波長分離部50の一方の出力側の光コネクタ52には、V−ONUモジュール55の光コネクタ56などが着脱可能に接続され、他方の出力側の光コネクタ53には、データ信号処理部23が接続されている。V−ONUモジュール55は、光入力部の光コネクタ56の近傍に受光素子(PD)57を備えており、入力された光信号を光電変換してビデオ信号に関する信号処理を行う。この受光素子57の受光面には、コーティング等により形成されたフィルタ58が設けられ、所望の波長の光信号を透過するようになっている。例えば、映像用に用いられる1558.98nmと1552.52nmの2つの波長を分離し、所望の波長の光信号のみを受光して光電変換できるようになっている。ここで、一方の波長に対応したV−ONUモジュールA17と、他方の波長に対応したV−ONUモジュールB18とを用意しておき、ユーザが利用するサービスに応じてV−ONUモジュールを選択的に接続して使用することが可能である。
【0045】
この波長分離部50では、光ファイバ11により伝送される光信号が光波長分離素子54で1.55μmの波長とそれ以外の波長とに分離され、1.55μmの波長の光信号がV−ONUモジュール55に伝送され、その他の波長の光信号がデータ信号処理部23との間で伝送される。データ信号処理部23では、下りデータ通信用の1.49μmの波長の光信号の入力、上りデータ通信用の1.31μmの波長の光信号の出力、これらの光信号の光電変換、及びデータ信号に関する信号処理が行われる。また、V−ONUモジュール55では、1558.98nmまたは1552.52nmの波長の光信号の入力及び光電変換、並びにビデオ信号に関する信号処理が行われる。
【0046】
上記のような構成の波長分離部50を用いることにより、光通信サービス毎に対応する波長を分離し、V−ONUモジュール等の通信モジュールを着脱自在な状態で接続可能となる。
【0047】
図5は波長分離部の第2の構成例を示す概略構成図である。この第2の構成例は、図1に示した第1の実施形態や図2に示した第2の実施形態の光受信装置などに好適な構成である。第2の構成例の波長分離部60は、第1の構成例と同様に波長分離部及び通信モジュール接続部の機能を含むもので、光伝送路ユニット61と、この光伝送路ユニット61に着脱可能な波長分離モジュール62、光接続ジャンパ63、光終端部64とを有して構成される。光伝送路ユニット61は、光信号を入出力する光コネクタ71、72、74と、光信号を中継する光伝送路を持つ光伝送部73とを有している。光接続ジャンパ63は、光信号を中継する光伝送路を備えたプラグイン型の接続モジュールである。光終端部64は、光信号を終端するもので、光信号が反射して逆送することを防止する構造を有している。
【0048】
図6は波長分離モジュールの構成を示す図である。波長分離モジュール62は、プラグイン型の光学モジュールであり、光信号を入出力する光コネクタ75、76、77と、光信号を分離する光波長分離素子78と、分離した一方の光信号を光コネクタ77に導く導波路等による光学的伝達手段である光伝達部79とを有している。光波長分離素子78は、特定波長(λ1)の光を透過し、その他の波長(λ2,λ3,…)の光を反射して光信号の波長を2つに分離するもので、WDMフィルタ等の波長分離用のミラーなどにより構成される。なお、波長分離モジュール62の代わりに、波長を分離せずに光信号を2つに分離する構成のモジュールを用いたり、このような単純に光信号を分離する構成を波長分離モジュール62に含めるようにしてもよい。
【0049】
この波長分離モジュール62は、入力側の光コネクタ75を光伝送路ユニット61の光コネクタ72に、一方の出力側の光コネクタ77を光伝送部73のコネクタ74にそれぞれ接続する。この際、ユーザが利用するサービスに応じて、対応する波長を分離する波長分離モジュールを用いる。波長分離モジュール62の他方の出力側の光コネクタ76には、V−ONUモジュール55の光コネクタ56などが着脱可能に接続される。そして、光伝送路ユニット61には、通信モジュール接続部15、22の空きスロットに対応する部分の未使用コネクタに光接続ジャンパ63を接続し、光伝送路の末端に光終端部64を接続する。光終端部64は、光接続ジャンパ63の代わりに光伝送路の末端となる部分に着脱可能に接続する構成としてもよい。
【0050】
この波長分離部60では、第1の構成例の波長分離部50と同様に、光ファイバ11により伝送される光信号が光波長分離素子78で1.55μmの波長とそれ以外の波長とに分離され、1.55μmの波長の光信号がV−ONUモジュール55に伝送される。V−ONUモジュール55は、映像用に用いられる1558.98nmと1552.52nmの2つの波長を分離し、所望の波長の光信号のみを受光して光電変換し、ビデオ信号に関する信号処理を行う。
【0051】
ここで、波長分離部60は、例えば図1に示した第1の実施形態の光受信装置10の構成に適合させ、装着されるGE−ONUモジュール16、V−ONUモジュールA17、V−ONUモジュールB18、光延長配線モジュール19などの各通信モジュールに対応させて波長分離モジュール62などを接続した構成とすることもできる。
【0052】
上記のような構成の波長分離部60を用いることにより、光通信サービス毎に対応する波長を分離し、V−ONUモジュール等の通信モジュールを着脱自在な状態で接続可能となる。この場合、波長分離モジュール62を着脱可能な構成とすることにより、接続する所望の光通信サービスの通信モジュールに対応させて、容易かつ柔軟に各種多様な仕様の波長分離部を構成できる。
【0053】
上述した波長分離部50、60において、通信モジュールを着脱可能に接続する光コネクタは、外力の影響を受けない構造となっている。例えば、通信モジュールの出力部にビデオ信号用の同軸ケーブルなどを接続する際に、外力が加わって光コネクタ部分の接続安定性が損なわれるおそれがある。そこで、外力が加わっても光コネクタにより接続される両光伝送路の光軸の角度が変化しないように、弾性部材などにより構成される応力吸収手段等を光コネクタに設けるようにする。
【0054】
また、光終端部は、光伝送路の末端で反射を防止する部材を設ける以外に、通信モジュールの接続部の光コネクタに斜めコネクタを用いたり、光コネクタ部をシャッタ構造としてこのシャッタ部に光終端機能を持たせるような構成であってもよい。斜めコネクタを用いることにより、特に光終端機能を持つ部材を設けることなく、通信モジュールの接続の有無に関わらず光伝送路を終端した状態にできる。シャッタ構造を用いることにより、通信モジュールが接続されていない場合に光コネクタ部が閉じるような構成にでき、光伝送路を終端状態にできる。
【0055】
図7は斜めコネクタを用いた光コネクタの構成例を示す図である。波長分離部の光コネクタ72、74、75、77には、図7に示すような斜めコネクタ81を設けることもできる。斜めコネクタ81は、光伝送路の接続部として、端面が斜めに形成された接続部82を有している。このような斜めコネクタ81を用いることにより、光終端部を設けることなく、通信モジュールの接続の有無に関わらず光伝送路を終端状態にすることができる。
【0056】
上記のような光受信装置に着脱可能なV−ONUモジュール等の通信モジュールは、テレビ等を接続するセットトップボックス(STB)等の映像機器に装着して使用することも可能である。図8は通信モジュールを映像機器に接続した場合の光受信システムの構成を示す図、図9は通信モジュールを着脱可能に接続した映像機器の概略構成を示すブロック図である。
【0057】
図8に示す光受信システムでは、GE−ONUモジュール15等の通信モジュールが着脱可能に装着される波長分離部60を備えた光受信装置90に対して、ユーザ宅内に配線された光ケーブルによる光配線92の光コネクタ91を波長分離部60に接続する構成である。なお、図1等に示した光延長配線モジュール19を用いて光配線92を接続するようにしてもよい。
【0058】
光配線92の他端には、セットトップボックス(STB)やハードディスクレコーダ(HDDレコーダ)などの映像機器100が接続される。この映像機器100は、映像表示用モニタであるTV110が接続されるとともに、V−ONUモジュール55等の通信モジュールを着脱可能に装着できるようになっている。映像機器100の通信モジュール用の接続スロットには、V−ONUモジュール55が着脱可能に装着されて接続される。そして、V−ONUモジュール55の光コネクタ56に光配線92の他端の光コネクタを接続する。
【0059】
図9に示すように、V−ONUモジュール55は、一方の端部に光コネクタ56及び電源コネクタ115を有するとともに、他方の端部に電源コネクタ116及びRFコネクタ117を有して構成される。すなわち、光受信装置と映像機器の両方の装置に着脱可能な構成となっている。光受信装置に装着する場合は、光コネクタ56及び電源コネクタ115を接続し、映像機器に装着する場合はRFコネクタ117及び電源コネクタ116を接続する。このV−ONUモジュール55は、光電変換部111、復調部112、RF出力部113、電源部114を備える。
【0060】
V−ONUモジュール55が映像機器100に装着される場合、映像機器100内の通信モジュール接続部に挿入され、通信モジュールIF(インタフェース)101に接続される。この際、RFコネクタ117を介してRF接続部102に接続されるとともに、電源コネクタ116を介して電源供給部103に接続される。V−ONUモジュール55は、電源部114が映像機器100からの電源供給を電源供給部103を介して受け、各部に動作電源を供給することで動作する。このV−ONUモジュール55では、光電変換部111で光信号が電気信号に変換され、復調部112でビデオ信号の復調処理が行われ、RF出力部113よりRF信号のビデオ信号として出力される。そして、RF信号がRF接続部102を介して映像機器100のビデオ信号入力部に出力される。映像機器100は、V−ONUモジュール55から入力したビデオ信号の信号処理を行い、TV110に出力して映像を表示したり、このビデオ信号の記録等を行う。
【0061】
このような光受信システムによれば、V−ONUモジュール55を光受信装置及び映像機器の両方に着脱可能として共通に使用できる構成することによって、通信モジュールをユーザの手元の映像機器等において容易に交換、追加することが可能となる。このため、ユーザ宅において光受信装置の設置場所での作業が困難である場合などにも、光配線の末端の映像機器等において、煩雑な作業や工具を必要とせずに、ユーザ自身が利用する所望の光通信サービスに応じて容易に通信モジュールを交換、追加して使用することができる。
【0062】
上述したように、本実施形態の光受信装置及び光受信システムでは、データ通信やビデオ配信など、ユーザが利用するサービスに応じて容易かつ柔軟に対応でき、サービスの拡張等も容易に行うことができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0063】
なお、上述した光受信装置や光受信システムには、その他の通信モジュールとして、無線LANモジュール、PLC(電力線通信)モジュールなどを装着可能として、光通信サービスを利用するための多様なユーザ宅内配線を提供することもできる。
【0064】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、ユーザが利用するサービスに応じて容易かつ柔軟に対応でき、サービスの拡張等も容易に行うことが可能となる効果を有し、FTTH等の光ファイバ回線網を用いた光通信システムの光終端装置等に用いられる光受信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光受信装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光受信装置の概略構成を示すブロック図
【図3】本実施形態に係る通信モジュールの概略構成図
【図4】本実施形態に係る波長分離部の第1の構成例を示す概略構成図
【図5】本実施形態に係る波長分離部の第2の構成例を示す概略構成図
【図6】本実施形態に係る波長分離モジュールの構成を示す図
【図7】斜めコネクタを用いた光コネクタの構成例を示す図
【図8】通信モジュールを映像機器に接続した場合の光受信システムの構成を示す図
【図9】通信モジュールを着脱可能に接続した映像機器の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0067】
10、20 光受信装置
11 光ファイバ
12 アクセス網光接続終端部
13 電源部
14、21 波長分離部
15、22 通信モジュール接続部
16 GE−ONUモジュール
17、18 V−ONUモジュール
19 光延長配線モジュール
23 データ信号処理部(GE−ONU)
50、60 波長分離部
51、52、53、56、71、72、75、76、77 光コネクタ
54、78 光波長分離素子
57 受光素子
58 フィルタ
61 光伝送路ユニット
62 波長分離モジュール
63 光接続ジャンパ
64 光終端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ回線網と接続される光ファイバの一端を終端する光接続終端部と、
前記光接続終端部を介して前記光ファイバにより伝送される光の波長を分離する波長分離部と、
前記波長分離部に接続する通信モジュールを着脱可能に装着する通信モジュール接続部と、
前記通信モジュールに電源を供給する電源部とを備えるとともに、
前記通信モジュール接続部に装着される通信モジュールとして、少なくとも、前記波長分離された光を光電変換してビデオ信号に関する信号処理を行うビデオ通信モジュール、または、前記波長分離された光を光電変換してデータ信号に関する信号処理を行うデータ通信モジュールのいずれか一つを備える光受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光受信装置であって、
前記着脱可能な通信モジュールのビデオ通信モジュールとして、異なる波長の光信号を用いる第1のビデオ通信モジュールと第2のビデオ通信モジュールの少なくとも一方を備える光受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光受信装置であって、
前記波長分離された光を光電変換してデータ信号に関する信号処理を行うデータ通信モジュールを内蔵し、前記着脱可能な通信モジュールとして、少なくとも前記ビデオ通信モジュールを備える光受信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光受信装置であって、
前記着脱可能な通信モジュールとして、前記光ファイバにより伝送される光信号を延長する光延長配線モジュールを備える光受信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光受信装置であって、
前記波長分離部は、所定の波長の光を分離する光波長分離素子と、前記光を伝送する光伝送路を前記通信モジュールとの間で着脱可能に接続する光コネクタ部とを備える光受信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光受信装置であって、
前記波長分離部は、光伝送路ユニットと、この光伝送路ユニットに着脱可能に接続される前記光波長分離素子を有する波長分離モジュールとを備える光受信装置。
【請求項7】
請求項5に記載の光受信装置であって、
前記波長分離部は、前記光伝送路の末端を終端状態とする終端部を備える光受信装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光受信装置と、この光受信装置の通信モジュール接続部に着脱自在に装着可能な通信モジュールとを含む光受信システム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の光受信装置と、
この光受信装置の通信モジュール接続部に着脱自在に装着可能であるとともに、ビデオ信号の信号処理を行う映像機器において着脱自在に接続して使用可能である通信モジュールとを含む光受信システム。
【請求項10】
請求項1に記載の光受信装置における通信モジュール接続部に着脱自在に装着可能な通信モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の通信モジュールであって、
前記光受信装置に着脱可能であるとともに、ビデオ信号の信号処理を行う映像機器において着脱自在に接続して使用可能である通信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−277962(P2008−277962A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116678(P2007−116678)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】