説明

光吸収媒体を有する電気ランプ

本発明は、上部8と中央部9とを有する光透過ナシ形ランプ容器1を有する電気ランプであって、光源2が前記中央部内に配されており、前記電気ランプは、可視領域におけるスペクトル遷移を呈する光吸収媒体6を備えており、ランプ容器1の少なくとも一部は干渉フィルム5を備えており、前記容器の上部8に設けられている光吸収媒体6は、前記容器の中央部9に設けられている前記光吸収媒体の吸収の1.5ないし5倍の吸収を有する、電気ランプに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源が配されている中央部と上部とを備える光透過型ナシ(pear)形(P)ランプ容器を有する電気ランプであって、前記電気ランプは可視領域におけるスペクトル遷移を呈する光吸収媒体を備えており、前記ランプ容器の少なくとも一部は干渉フィルムを有している、電気ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のようなランプは、指示器(乗物の信号ランプとも称される)内の琥珀色光源として、又はブレーキ光の赤色光源として、自動車のアプリケーションにおいて使用されている。前記電気ランプは、一般の照明目的のためにも使用されている。前記電気ランプは、更に、交通及び方向信号、輪郭照明(contour illumination)、交通灯、投影照明及び光ファイバ照明においても使用されている。前記のようなランプの代替的な実施例は、色温度が、光吸収媒体と干渉フィルムとの適切な組み合わせによって向上されているランプを有する。
【0003】
乗物において、美観的な理由で、指示ランプ及びブレーキランプに、無彩色(color-neutral)の外観を備えさせることが望ましい。電気ランプが活性化されている場合にのみ、前記電気ランプは、所望の色を示し、これにより前記電気ランプによって発せられる光の色点(color point)は、法定規則を満たしている。更に、乗物において、琥珀色の指示ランプを、別個のリフレクタ内ではなく、ヘッドランプと同じリフレクタ内に収容する傾向がある。更に、前記のような目的は、車における照明器具を使用するためのものであり、前記照明器具は、所謂「クリアカバー」を備えており、即ち、前記乗物の外側に位置されている観察者は、前記照明器具内の前記指示ランプ又はブレーキランプを直接的に見ることができる。安全性の理由のため、無彩色の外観から離れて、前記のような指示ランプが、少なくとも、前記電気ランプ上に(アクシデント的に)入射する光による反射における着色を実質的に有さないものであることが重要である。例えば、日光又は到来している通行車から生じる光が、指示ランプを有する乗物のヘッドランプに入射した場合、前記ヘッドランプの外観は、反射の際、少なくとも実質的に無色であるべきであり、又は、反射の際、前記ランプは、少なくとも実質的に色を発するべきではない。そうでない場合、このことは、他の道路利用者を混乱させ、安全でない及び/又は望まれない状況を生じ得る。
【0004】
法定規則は、当業者に知られている1931年 C.I.E 色三角において、範囲を規定し、前記指示ランプによって発せられる光の色点に関して、図2に示した。前記ランプ容器の外面に設けられている光吸収媒体及び干渉フィルムの適切な組み合わせは、前記電気ランプの外観が変化されることを可能にする。このことは、特に、オフ状態における前記電気ランプの外観と、動作中の前記電気ランプによって発せられる光の色との間の区別がなされることを可能にする。
【0005】
反射において、本発明による前記電気ランプのスペクトル特性は、透過におけるスペクトル特性と異なる。透過において、前記電気ランプによって発せられる光は、前記色点に関して法定規則を満たしている一方で、反射において、前記電気ランプは、無彩色であり、前記電気ランプの外観は、例えば、銀色である。本発明は、特に、乗物の指示ランプ及びブレーキランプに利用される。
【0006】
冒頭段落において述べられた種類の電気ランプは、国際特許出願公開公報第A-01/97253号(PHN 031400)から知られている。前記のような既知のランプは、所定の色を発し、例えば、所謂琥珀色又は赤色の電気ランプである一方で、オフ状態においては白色であり、前記電気ランプは、少なくとも実質的に無彩色の外観を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記既知のランプの不利な点は、前記上部から発生される光が、前記容器の中央部及び下部から発せられる光よりもかなり明るく、この結果、不均一な色点の分布を生じていることにある。
【0008】
本発明の目的は、より均一な色点の分布を有するランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、冒頭段落に記載した種類の電気ランプは、添付請求項1に記載の特徴的なフィーチャを有する。
【0010】
容器(8)の中央部(9)に設けられている光吸収媒体(6)の吸収の1.5ないし5倍の間である吸収を有する容器(8)の上部に設けられた前記光吸収媒体を設けることにより、改善された色点の分布を有する電気ランプが得られる。
【0011】
前記上部(0<β<30度)において出力される光は、前記ランプの他の部分によって発せられる光よりも著しく明るいことが測定されている。このアプリケーションにおける前記上部とは、前記ランプ容器の、該容器を通過する中心軸と大きくても30度の角度βを有する円錐内の部分であることを理解されたい。前記ランプ容器の前記中央部は、前記中心軸と30度ないし150度の間の角度βを有する。前記ランプ容器の下部は、ランプベースに向かって前記中心軸と150度よりも大きい角度βを有する部分として規定される。前記上部と前記中央部と前記下部との間で鮮明な遷移はなく、前記のような所与の角度は大まかな指標であり、前記ランプの形状、及び前記ランプの光源と前記上部との間の距離に強く依存することを理解されたい。前記上部、中央部及び下部は、前記容器におけるβが約0度の領域、約90度の領域及び前記ランプホルダに近い領域とをそれぞれ少なくとも有する。
【0012】
先行技術(例えば、国際特許出願公開公報第01/24224号参照)から知られているように、前記吸収層の上部における干渉被膜の役割は、仕様よりも上方に位置している色点を、指定されている色区間内の値へとシフトさせることである。例えば、反射率R=70%を有するミラーが使用されている場合、光の30%は、前記吸収媒体を1回通過した後、前記ランプから出るのに対し、他の70%は、前記吸収媒体を複数回通過した場合にのみ、前記ランプから出ることを意味する。このことにより、指定されている及び望まれている方向にシフトされている最終的な色点を得る。この過程は当該ランプの前記中央部及び下部に関して良好に働くことが分かっているが、光源(例えば、フィラメント)によって、前記上部に向かって、発せられた光は、直接的に通過するか(30%)又はベースに向かって反射されるかのいずれかであり、前記ベースに向かって反射される場合、前記ランプを口金内に固定するために設けられている樹脂及びガラスの組み合わせに吸収されることが分かっている。この見識に基づいて、我々は、0<β<30度によって規定される領域において、前記吸収層は、該吸収層を1回通過すると、発せられた前記光が、既存のランプにおける場合よりも暗くなり、従って、必要とされる色点の前記仕様内に落ちるべきであるという特性を有するべきであるという結論に達した。従って、本発明のランプは、既知のランプよりも大幅に小さい色点の分布を有する。
【0013】
吸収の向上は、2つの態様において得ることができる。1つの仕方は、例えば、前記光吸収媒体の濃度を増加させることによって、前記光吸収媒体の吸収係数を増加させることである。しかしながら、好適な態様は、光吸収媒体を有する層の厚さを増加させることである。
【0014】
本発明による電気ランプの実施例は、前記ランプの容器の壁が前記のような光吸収媒体を有することを特徴とする。光吸収媒体は、前記ランプの容器の壁内に容易に組み込まれることができ、例えば、軟質ガラス、石英ガラス若しくは硬質ガラスのようなガラスから、又は透明セラミック材料から作られる。この実施例において、前記干渉フィルムは、好ましくは、前記ランプの容器の壁の前記光源から見た外側に、直接的に設けられる。
【0015】
本発明による電気ランプの好適実施例は、前記光吸収媒体が光吸収層内に含まれており、前記ランプの容器と前記干渉フィルムとの間に位置されていることを特徴とする。前記光吸収層は、前記ランプの容器の外面と前記干渉フィルムとの間に配されており、前記干渉フィルムによって反射された光は、前記光吸収媒体を2回通過し、これにより、前記吸収の過程の効率を更に改善する。更に、前記ランプ容器の両側における前記干渉フィルムの間に及び前記干渉フィルムの間から反射される光は、反射の度に前記光吸収層を2回通過する。
【0016】
前記光吸収層の厚さtabsは、5nm<tabs<5000nnmの範囲内にある。前記光吸収層の厚さが5nmより小さい場合、吸収はほとんど起こらず、前記色温度の意図されているシフトは、十分に達成されない。前記光吸収層の前記厚さが5μmを超えている場合、亀裂を生じ(crack)ない又は層状に剥離(delaminate)しないと共に、前記ランプのルーメン出力に不利に効果を及ぼさない層を作成するのは、難しくなる。前記容器の中央部に設けられている厚さ0.8<tabs<2μmを有する光吸収層が、非常に適している。
【0017】
前記光吸収層は、一般に、結合部内に光吸収媒体を有している。前記電気ランプの好適実施例は、前記結合部が、ソルゲル処理によって有機的に修飾(organically modified)されているシランを反応させる(convert)ことによって得られる網目(network)であって、前記有機的に修飾されているシランは、アルキル又はアリル基を有するR、及びアルキル基を有するRIIによる構造式RSi(ORIIの化合物によって形成されている基から選択されたものである、網目を有することを特徴とする。
【0018】
出発物質(starting material)として有機的に修飾されているシランを有する網目から前記光吸収層を作ることによって、400℃までの温度に耐えることのできる、光学的に透明で、非散乱性の光吸収層が、得られる。前記網目の作製において有機的に修飾されたシランを使用することにより、R基の一部、前記アルキル又はアリル基は、最後のグループとして前記網目内に残存する。結果として、前記網目は、Si原子ごとに4つの網目結合を有するが、Si原子ごとに4つよりも少ない網目結合を有さない。この態様において、例えば、Si原子ごとに、平均して、約3つの網目結合を有する網目が得られる。前記網目が、前記アルキル又はアリル基によって部分的に構成されているという事実にもかかわらず、従来のシリカ網目の密度と少なくともほぼ等しい密度を有する網目が得られる。従来のシリカ網目とは違って、前記アルキル又はアリル基から部分的に構成されている網目は、より優れた弾性及び可撓性を有する。結果として、比較的に厚い光吸収層を製作することが可能になる。
【0019】
好ましくは、前記R基は、CH又はCを含んでいる。これらの物質は、比較的良好な熱安定性を有する。メチル又はフェニル基を有する網目は、厚い層が得られることを可能にする。実験によって、メチル又はフェニル基が網目内に取り込まれている層は、少なくとも350℃の温度に対して安定であることが更に示された。前記のような基は、前記網目内に末端基を形成し、前記網目の残部を、前記高温において形成する。前記光吸収層に対する比較的高い温度負荷において、前記網目の分解は、前記電気ランプの耐用年数の間、あまり生じない。
【0020】
好ましくは、前記RII基は、CH又はCを含んでいる。メチル及びエチル基は、メタノール及びエタノールが加水分解において形成されるので特に適しており、これらの物質は、顔料の拡散(pigment dispersion)と互換性があり、比較的容易に蒸発する。一般に、前記のようなメトキシ基(‐OCH)は、前記エトキシ基(‐OC)よりも速く反応し、該前記エトキシ基(‐OC)は、(イソ)プロポキシ基(‐OC)よりも速く反応する。円滑な加水分解作用のために、有利には、RII基が使用され、これは、あまり長くない。
【0021】
前記網目の作製に特に適している出発物質は、R=RII=CHであるメチルトリメトキシシラン(MTMS)と、R=CH及びRII=Cであるメチルトリエトキシシラン(MTES)と、R=C及びRII=CHであるフェニルトリメトキシシラン(PTMS)と、R=C及びRII=Cであるフェニルトリエトキシシラン(PTES)とである。このような出発物質は、これら自体は良く知られており、商業的に利用可能なものである。
【0022】
前記電気ランプの好適実施例は、前記光吸収媒体が、琥珀色又は赤色透過性を有することを特徴としている。動作中、琥珀色光を発する電気ランプは、特に、乗物における指示ランプとして使用されるのに適するものであり得る。動作中、赤色光を発する電気ランプは、特に、乗物におけるブレーキランプに適している。
【0023】
好ましくは、前記光吸収媒体は、琥珀色透過性を有する。特に適している光透過媒体は、クロモフタール(登録商標)黄であり、化学式C2218及びC.I.(構成番号)56280である。この有機染料は、「C.I.−110黄ピグメント(pigment)」、「C.I.ピグメント黄137」又はビス[4,5,6,7−テトラクロロ‐3‐オキソイソインドライン(oxoisoindoline)−1‐イリデン]‐1,4‐フェニレンジアミンとも称される。琥珀色透過性を有する代替的な光吸収媒体は、黄アントラキノン、化学式C3721及びC.I.60645である。この有機染料は「ファイルスター(Filester)黄2648A」又は「ファイルスター黄RN」、化学式1,1'‐[(6−フェニル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4ジイル(dyil))ジイミノ(diimino)]ビス‐とも称される。
【0024】
代替的な実施例において、前記光吸収媒体は、赤色透過性を有しており、例として、C.I.65300の「クロモフタール(登録商標)赤 A2B」を有する。前記のような有機染料は、代替的には、「ピグメント 赤 177」、ジアンスラクイノニル(dianthraquinonyl)赤、又は[1,1'‐ビアンスラセン(Bianthracene)]‐9,9',10,10'‐テトロン,4,4'‐ジアミノ‐(TSCA,DSL)とも称される。
【0025】
本発明による電気ランプの実施例は、前記干渉フィルムが、比較的高い反射率を有する材料の第1層と、比較的低い反射率を有する材料の第2層との交互の層を有することを特徴とする。前記のような2つの材料の使用は、前記干渉フィルムを設けることを簡単にする。代替的な実施例において、前記第1層と前記第2層との間の反射率を有する少なくとも第3層が、設けられる。
【0026】
本発明による前記電気ランプの好適実施例は、前記干渉フィルムの前記第2層はシリコン酸化物を主に有しており、前記干渉フィルムの前記第1層は、シリコン酸化物の反射率と比較して高い反射率を有する材料を主に有することを特徴とする。
【0027】
シリコン酸化物の層は、様々な堆積技術を使用して、比較的容易に設けられることができる。
【0028】
好ましくは、前記干渉フィルムの前記第1層の材料は、チタン酸化物、タンタル酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、ハフニウム酸化物、イットリウム酸化物、シリコン窒化物、及び前記のような材料の組み合わせによって形成されるグループから選択された材料を有する。好ましくは、前記干渉フィルムの前記第1層の材料は、主に、ニオブ五酸化物、タンタル五酸化物又はチタン二酸化物を有する。
【0029】
好ましくは、前記干渉フィルムは、Nb/SiO型のフィルム、Ta/SiO若しくはTiO/SiO型のフィルム、又はこれらの混合物であり、好ましくは、少なくとも3個、かつ、多くても17個の層を有する。前記比較的小さい数の層の結果として、前記のような干渉フィルムの製造コストは、比較的小さい。
【0030】
本発明による前記電気ランプの好適実施例は、前記干渉フィルムの反射率Rが、0.50<R<0.90からの範囲内にあり、少なくとも、約380nmと780nmとの間の可視スペクトル範囲内にあることを特徴とする。前記反射率Rは、少なくとも前記可視スペクトル範囲内にある色からの反射であると理解される。前記反射率Rは、前記のような範囲内の全周波数に対して、ほぼ同じであっても良く、又は、0.5と0.9との間の最大値を有する無彩色のものであっても良い。この好適実施例において、前記干渉フィルムは、金属又は銀色の外観を有する。このことの結果として、本発明による前記電気ランプは、自動車のアプリケーションに対する指示ランプとして使用されるのに非常に適するものであることができる。
【0031】
前記ランプの光源は白熱体であっても良く、又は、前記ランプの光源は、金属ハロゲン化合物を有する、場合によっては例えば、緩衝ガスとしての水銀を有する、希ガスのような、イオン化ガス内の電極対であっても良い。好ましくは、前記光源は、容器を通過する中心軸(22)に垂直な平面内に配されているフィラメントでも良い。最も内側の気密な封体部が、前記光源を包囲していても良い。代替的には、最も外側の封体部が、ランプ容器を包囲していることも可能である。
【0032】
前記干渉フィルム及び前記光吸収層は、例えば、蒸着(PVD:物理蒸着法)若しくは(dc)(反応)スパッタリングによって、ディップコーティング若しくは噴霧処理によって、又はLP−CVD(低圧化学蒸着法)、PE−CVD(プラズマ化学気相成長法)若しくはPI−CVD(プラズマインパルス化学蒸着法)によって、従来の態様で設けられることができる。前記ランプ容器の外壁上の前記光吸収層は、好ましくは、ディップコーティング若しくは噴霧によって設けられる。前記電気ランプの好適実施例において、前記光吸収層の厚さは、中央部(9)から上部(8)まで徐々に増大している。このことは、前記ランプの前記中央部よりも上方において高さに依存して長く噴霧することにより、又は、前記ランプの上部に更なる材料を設けるために追加の噴霧ガンを使用することにより得られる。
【0033】
本発明による電気ランプの吸収媒体及び干渉フィルムの組み合わせは、初期の特性を前記電気ランプの耐用年数を通じて実質的に保持することが分かっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明のこれら及び他の見地は、以下で記載される実施例を参照して、明らかになり、説明される。
【0035】
図は、単に模式的なものであって、縮尺で描かれているものではない。特に、明確さのために、幾つかの寸法は、強く誇張されている。
【0036】
図1は、本発明による電気ランプの実施例の断面図を示している。角度βは、示されているように規定されており、発せられる光の色の振る舞いを角度の関数として説明するのに使用される。前記電気ランプは、光透過ランプ容器1(例えば、ガラス製)を有しており、該光透過ランプ容器1は、気密な態様で封止されていると共に、電気素子2、図において(螺旋形の)タングステンの白熱体を収容しており、該タングステンの白熱体は、ランプ容器1から外部へ出ている電流導体3に接続されている。示されているランプは、不活性ガスで充填されており、該不活性ガスは、例えば、Ar/N混合物であり、約1barの充填圧を有する。
【0037】
図1に示されている電気ランプの実施例において、光吸収媒体が、光吸収層6の形態で、ランプ容器1の外側に(該ランプ容器の壁上に)設けられており、干渉フィルム5が、前記光吸収層上に設けられている。光吸収層6は、この場合、例えば、層厚さ内にクロモフタール(登録商標)黄と称される(MTMSマトリックス内の)顔料の層を有し、前記層厚さは、例えば、前記容器の中央部9における1.0μmから、前記容器の上部(8)における2.5μmまで増加する。前記のような光吸収媒体を備えている電気ランプは、動作中、琥珀色の光を発し、可視領域におけるスペクトル透過は、約500<λ<600nmからの波長領域において(波長領域の幅は約100nm)、低い透過から高い透過までの遷移を呈する。前記のような電気ランプは、例えば、乗物の指示器における、指示ランプとして使用されることができる。前記のような層の代替的な実施例において、光吸収層6は、例えば、中央部(9)において約1μmであり、上部(8)において3μmまで増加している層の厚さを有するクロモフタール(登録商標)赤A2Bを有する。前記のようなクロモフタール(登録商標)赤A2B層を備える電気ランプは、動作中、赤色光を発する。前記電気ランプは、乗物におけるブレーキ灯として使用されることができ、寿命は、少なくとも約1200時間である。
【0038】
図1において、干渉フィルム5は、ランプ容器1の壁部に設けられている光吸収媒体に設けられており(前記干渉フィルムが有する「基板」は、例えば、チタン酸化物(TiOの平均反射率は約2.4−2.8)、ニオブ酸化物(Nbの平均反射率は約2.3)、タンタル酸化物(Taの平均反射率は約2.2)又はジルコニウム酸化物(ZrOの平均反射率は約2.05)のような、比較的に高い屈折率(図1Cも参照)を有する材料の第1の層と、主に、シリコン酸化物(平均反射率は約1.46)の第2の層との交互の層を有する。TiO/SiO、Nb/SiO又はTa/SiO干渉フィルムは、好ましくは、少数の層のみを有する。実験によって、前記干渉フィルムは、少なくとも3つの、多くても約17つの層を有するのが好ましいと示されている。例えば、約R=50%の所望の平均の反射率を有する干渉フィルムは、当業者に知られている表記(HL)によって積み重ねられている約6つの光学層を必要とするのに対し、例えば、約R=90%の所望の平均反射率を有するNb/SiO干渉フィルムは、表記(HL)Hによって積み重ねられている約15つの層を必要とする。)比較的少数の層の結果として、前記のような干渉フィルムの製造コストは、比較的低い。当業者にとって、勿論、反射において無彩色である他の誘電反射ミラーも使用されることができ、高い発光を生じることができることは、明らかである。
【0039】
図2は、点線によって与えられている、1931 CIE色度図におけるX及びY座標に関して、国際交通規則に従う信号ランプとして使用するための従来技術の状態による黄色ランプの様々な色点を示している。黒四角(full square)の色点は、前記ランプの上部(左上方の点)と前記ランプの下部(右下部の点)とから測定されている。前記色点の分布は、非常に不均一というわけではないが、前記ランプの上部において測定された複数の点は、必要とされる領域の外側にさえ落ちていることが示されている。
【0040】
図3は、前記ランプによって発せられた光に関する透過の振る舞いに対する前記ミラー上の反射の回数の影響を示している。描かれている線は、前記ランプの外側に、1μmの層として設けられた純粋な吸収体の透過曲線を表している。短い点線は、前記のようなフィルタの最初の通過に対する透過スペクトルを表している。長い点線は、前記ランプにおける多数の複数の反射の後の、透過を表している。
【0041】

標準的なPランプにおいて、厚さ1μm(tabs)を有する黄色のコーティングが設けられており、該黄色コーティングの上部には9層の干渉フィルタを含んでおり、前記のようなフィルタは、図4に描かれているような約70%の可視スペクトル範囲の広い部分に渡って反射率Rを有する。前記フィルタは、以下の仕方において、Nb及びSiOの交互の層から構成されている。
【表1】

【0042】
上述の光吸収媒体及び干渉フィルムを設けることにより、図5における黒四角によって示されているように、(x=0.5647、y=0.4328)のランプの中間における色点を生じる。しかしながら、前記のような既知のランプ(例えば、PY21Wと称されるランプ)の上部における色点は(図5における黒三角形として示されている、x=0.5388、y=0.4412)であり、角度0<β<30度において測定され、指定されている色要件を遥かに超えている。しかしながら、本発明によるランプにおいては、上部(8)における前記光吸収媒体の厚さ(この場合、黄色のコーティング)は、前記ランプの中央部(9)における前記コーティングの厚さの2.5倍(2.5μm)にされ、準角度β<30度を有する円錐内に発せられる放射に関して、(図5におけるアステリスクとして描かれている、x=0.5645、y=0.4328)の色点を得る。図5は、ランプの上部(8)の色点が、今や、中央部(9)の色点よりも低いことを示している。図3及び5における白い四角は、Ulbricht球面によって測定されている一体化された色点を示している。この実験により、本発明によるランプにおける色点の分布は、既知のランプの色点の分布よりも著しく小さいことが示された。前記特定されている領域内の前記色点の他の位置に関して、必要とされる厚さの比は、異なることもあり、別個に決定されなければならない。前記上部の厚さに関する最良の結果が得られており、70%のリフレクタに対して、中央部の厚さの1.5倍と3倍との間である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による電気ランプの実施例の断面図を示している。
【図2】従来技術の状態による黄色のランプの様々な色点を示している。
【図3】前記ランプによって発せられる光に対する透過の振る舞いに対する前記ミラー上の反射の回数の影響を示している。
【図4】計算された反射スペクトルを、上述の表Iに示されている9つの層Nb/SiO干渉フィルムの波長の関数として示している。
【図5】既知のランプ及び本発明によるランプの色点を、1931 IE色度図におけるX及びY座標に関して示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部と中央部とを有する光透過ナシ形ランプ容器を有する電気ランプであって、光源が前記中央部内に配されており、前記電気ランプは、可視領域内のスペクトル遷移を呈する光吸収媒体を備えており、前記ランプ容器の少なくとも一部は干渉フィルムを備えている電気ランプにおいて、前記のような容器の前記上部に設けられている前記光吸収媒体は、前記容器の前記中央部に設けられている前記光吸収媒体の吸収の1.5ないし5倍の吸収を有していることを特徴とする電気ランプ。
【請求項2】
前記容器の前記上部に設けられている前記光吸収媒体は、前記容器の前記中央部に設けられている前記光吸収媒体の厚さの1.5ないし5倍の厚さを有している、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記光吸収媒体の厚さは、前記容器の前記中央部から前記上部へと徐々に増加している、請求項1に記載のランプ。
【請求項4】
前記干渉フィルムの反射率Rは、0.50<R<0.90の範囲内にある、請求項1ないし3に記載のランプ。
【請求項5】
前記光源は、前記容器を通過する中心軸に垂直な平面内に配され得るフィラメントである、請求項1ないし4の何れか一項に記載のランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−511099(P2008−511099A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526674(P2007−526674)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052659
【国際公開番号】WO2006/018799
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】