説明

光変換素子を備えたエレクトロルミネッセンス素子

本発明は、1次光と2次光の混光を放出する光源であって、1次光を放出する発光ダイオードLED又はレーザのようなエレクトロルミネッセンス素子と、1次光を2次光に変換する光変換素子(3)とを有し、1次光の第1の部分は、1次光に関する第1の変換係数(11)を備えた光路に沿って放出され、1次光の第2の部分は、1次光に関する第2の変換係数(12)を備えた光路に沿って放出され、第2の変換係数は、第1の変換係数よりも大きいことを特徴とする光源に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次光と2次光の混光を放出する光源であって、発光ダイオードLED又はレーザのようなエレクトロルミネッセンス(EL)素子を有する光源に関する。
【背景技術】
【0002】
白色光を放出する多くの発光ダイオード(LED)は、青色光を放出する「ダイ」と呼ばれるLED半導体コーパス及びポンピング光を活性蛍光体による光吸収によって黄色光に変換するためにLED発光面の上方に配置された変換素子としての蛍光体部分で作られている。この変換は、効率が極めて高いというわけではなく、100%にほんの僅か足りないので、その結果として放出される光は、混色の白色光である。このように、白色光は、蛍光体を通って漏れた青色光と黄色光を重ね合わせることにより作られる。蛍光体被覆白色LEDの問題は、青色ダイの波長のピークが、常に同一であるというわけではなく、ダイ毎に異なるということにある。蛍光体層の吸収効率と変換効率の両方は、励起すなわちポンピング光の波長に応じて変化する。この問題は、製造プロセスにおける欠陥により生じる。
【0003】
したがって、青色ダイの互いに異なる波長に起因して、互いに異なる量の黄色光が、互いに異なるポンピング波長で生じ、その結果、白色光の互いに異なる色温度が生じることになる。したがって、その結果として、大量生産されたLEDの色温度は、同一ではなく、相互に異なる。
【0004】
上述の特徴を有するLEDは、技術の現状において周知である。発光素子を、その素子自体をポンピングし又はこれに負荷をかける基板上に実装する方法が、日本国特許公開第2004−349647号公報から知られている。この構造体は、光吸収体及び(又は)蛍光体を含む色変換材料及びその頂部に設けられた一種の光学レンズによって覆われている。
【0005】
【特許文献1】日本国特許公開第2004−349647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種のLEDには、1つの問題がある。発光半導体ダイの青色光のピーク波長は、上述した製造の際に安定ではない。これは、各ダイのピーク波長が互いに異なるために生じる。
【0007】
本発明の目的は、上述した種類の光源を改良して製造により生じる色温度のばらつきを緩和させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、1次光と2次光の混光を放出する光源であって、1次光を放出する発光ダイオードLED又はレーザのようなエレクトロルミネッセンス素子と、1次光を2次光に変換する光変換素子とを有し、1次光の第1の部分は、1次光に関する第1の変換係数を備えた光路に沿って放出され、1次光の第2の部分は、1次光に関する第2の変換係数を備えた光路に沿って放出され、第2の変換係数は、第1の変換係数よりも大きいことを特徴とする光源によって達成される。これにより、色温度が本質的に1次光の第1の部分と第2の部分との間の比に依存する場合、混光が生じる。そのようにする際、エレクトロルミネッセンス素子毎の1次光のピーク波長のばらつき及びその結果として生じるが望ましくはない別々の製造された光源相互間の光変換プロセスのばらつきが、最小限に抑えられる。
【0009】
本発明の第1の実施形態では、1次光に関する第1の変換係数は、0である。この場合、1次光の安定した量の部分(第1の部分)が、1次光の波長から独立して半導体ダイから変換されないで直接放出される。
【0010】
本発明の別の実施形態では、1次光に関する第2の変換係数は、0.9よりも大きい。これは、1次光が効率的に、即ち、90%以上の割合で2次光に変換されることを意味している。これは、有利には、上述の実施形態との組合せの状態でも実現でき、1次光に関して0の第1の変換係数及び0.9よりも大きな第2の変換係数を、変換素子を有する1つの光源で共通して使用できるようになる。
【0011】
変換素子又は変換層の厚さ及び(又は)蛍光体密度は、非常に大きく又は高いので、青色光は、ほぼ完全に例えば黄色光に変換されるようになり、このことは蛍光体変換素子を通って漏れる1次光がほぼゼロであり、又は10%未満であることを意味している。
【0012】
これら機能的特徴を実現するため、種々の構造的特徴が、クレーム請求されると共に開示されている。一実施形態では、変換係数が0.9よりも大きい変換素子の領域は、半導体コーパスの光活性面よりも物理的に狭い。したがって、一定量の未変換状態の元々のポンピング波長光、即ち、1次光を放出することができる(1次光の第1の部分)。蛍光体層の厚さ及び蛍光体密度は、非常に高いので、変換素子を通過した1次光のほぼ全てが変換され、このことは、漏れ光(1次光の第2の部分)がほぼゼロであることを意味している。
【0013】
光源の別の実施形態では、1次光の第1の部分は、変換素子の少なくとも1つの第1の領域中に結合され、1次光の第2の部分は、変換素子の少なくとも1つの第2の領域中に結合される。かかる第1の領域は、変換素子により覆われていない領域、例えば開口部又は非被覆領域として定義できる。変換素子中に作られる蛍光体密度が非常に低いバルク領域も又可能である。閉鎖変換層領域下で生じる1次光は、変換層バルクを完全に通過し、例えば蛍光体の密度が高い場合、この光は、例えば黄色光に変換されることになる。この作用効果は、変換を引き起こす化学的素子の明確な低密度領域及び高密度領域によっても得られる場合がある。
【0014】
上述した実施形態の別の考えられる形態は、少なくとも1つの開口部を変換層に設けて1次光の第1の部分が変換無しに物理的に通過し、一定の第2の部分が、効率的に又はほぼ完全に高蛍光体密度又は任意他のフォト(光)ルミネッセンス素子によって変換されるようになる。
【0015】
変換層は、一定パターンの開口部を更に有するのが良く、これら開口部は、別の実施形態では、小さな十字のパターンとしても構造化できる。これら開口部又はパターンは、本発明の観点では固有の密度領域によっても実現でき、このことは、低蛍光体密度の規定された領域又はパターンの実現を意味している。このことは、変換素子が実在の開口部を有するのが良く、これら領域を透明な材料の領域によっても実現できることを意味している。かかる規則的パターンにより、1次光と2次光の良好な混合結果が得られる。
【0016】
これは、多くのLEDが共通基板上に実装されているLEDアレイについても有利な場合がある。
【0017】
上述した実施形態では、第1の領域のパターンが規則的であること、特に十字状スリットを備えていることが有利である。というのは、かかるパターンにより、1次光と2次光の非常に良好な光の混合が得られるからである。
【0018】
別の実施形態は、1次光が青色光から成ることを特徴としている。青色光を他の全ての可視色に変換することができる。
【0019】
したがって、本発明の別の有利な実施形態では、2次光は、第1のスペクトル範囲及び第2のスペクトル範囲からの光から成る。色特性、例えば演色評価数を向上させるのに、3色以上の色を混合するのが良い。
【0020】
別の好ましい実施形態では、1次光を少なくとも部分的に反射して変換素子に戻すために、変換素子の外面には二色性被膜が被着されている。二色性被膜により、光の波長依存性分散が生じる。この場合、二色性被膜は、例えば金属の非常に薄い層であり、そのサイズは、上述の作用効果が生じることを意味する。
【0021】
そのようにする際、未変換1次光を変換のために再使用するのが良い。その結果、光変換は、一層効率的になる。この場合も又、放出光の色温度は、1次光の波長そのものではなく、ダイ及び蛍光体層の幾何学的形状で決まる。二色性層の厚さとこれが適用される波長との相関関係は、周知である。しかしながら、開示する本発明のこの技術的観点における使用により、有利な実施形態が得られる。かかる外面は、本発明の関連では、少なくとも2次光を透過放出する変換層の外面である。
【0022】
別の実施形態では、1次光を部分的に吸収するために変換素子の外面には、吸収被膜が被着されている。これは、1次光の放出を遮断する上で考えられる別の手段である。これによっても、1次光の量が安定に保たれ、これは、光の混合にとって必要である。これら被膜を上述した特徴に加えて使用するのが良い。
【0023】
本発明の上述の実施形態の1つの組合せ形態は、青色1次光の使用である。変換層は、蛍光体の密度が高いことを特徴としており、したがって、この例では、変換光は、黄色である。これは、結果として白色光を示す光の色の混合を生じさせるために使用される。これら開示した特徴を用いると、色温度が非常に安定した白色LEDを製造することが可能である。同一の機能的意味において、かかる組合せ形態は、LEDにより実際に生じた可能な限り全ての放出光の色で光の色の安定した放出光を生じさせる。
【0024】
別の特徴は、発光側に隣接した側にまとめて配置された半導体ポンピング光コーパスの電気接点ワイヤを備えたLED構成を利用できるということにある。ポンピング光コーパスの互いに異なる側に配置された電気接点ワイヤを備えるLED構成の使用の場合、電気接点ワイヤのうちの少なくとも1本を変換層に設けられた開口部を通して導くと非常に有利である。これと関連して、開口部は、二重の機能を有している。1つの機能は、安定した光の変換に役立ち、もう1つの機能は、ワイヤボンデッドLEDの利用のためにワイヤを配線するのに役立つ。
【0025】
電気接点ワイヤがポンピング光コーパスの互いに異なる側に配置され、電気接点ワイヤのうちの少なくとも1本が変換層に設けられた開口部を通って導かれるようになっている場合、発光ダイオードを用いることができる。
【0026】
有利な実施形態では、この種のエレクトロルミネッセンス素子が数個、アレイ状に配置されるのが良い。
【0027】
LEDをワイヤ又は電線と共に用いても良く、これらLEDと電線の両方は、発光側に隣接した側に配置される。したがって、接触を底部で容易に実現することができる。
【0028】
別の実施形態では、数個のエレクトロルミネッセンス素子が、特定の変換素子実施形態の上述の特長と組み合わせて上述したようにアレイ状に配置される。
【0029】
別の実施形態は、少なくとも1つのLED光源及びLED光源の表面の別々の箇所から放出され又は別々の方向に放出された光を混合し、放出された光を所望の方向に再分布させる光学素子で作られた構造である。
【0030】
光学素子は、透明な材料で作られた混合ロッド、コリメータ又はレンズであるのが良い。
【0031】
本発明の用途は、無機及び有機LEDに有利である。本発明の意味において、光源としてのレーザ、例えばレーザダイオードも又用いることができる。
【0032】
変換層は、一般に、半導体コーパスに直接固定されてはならず、光伝送ファイバ又は光伝送手段により半導体コーパスに光学的に結合されても良い。
【0033】
本発明の上記特徴及び他の特徴は、以下に説明する実施形態から明らかであり、又、かかる実施形態を参照してこれら特徴を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の実施形態を示している。図の左側部分は、断面の側部を示している。原色としての光、例えば青色光を放出する発光半導体コーパス(corpus)2が、基板1上に固定され又は実装されている。発光は、上方に向けて行われる。蛍光体セラミック小板すなわち変換素子3が、半導体コーパスの1次光放出面の頂部に被着されている。これは、1次光12の変換により2次光、例えば黄色光を生じさせる。これは、一定の波長の1次光が蛍光体中の電子をアクティブな状態にしてこれらを高エネルギーレベルにする物理的プロセスである。蛍光体原子のエネルギーレベルの量子化によるフォト(光)ルミネッセンスと呼ばれる作用効果が用いられる。青色のポンピングされた蛍光体のこの特定の作用効果では、電子は、高いエネルギーレベルにポンピングされ、かかる高エネルギーレベルから、電子は、量子化に関する規則により直線的に低いエネルギー準位に移ることができず又は再結合することができない。したがって、「ポンピングされた」電子は、非放射又は放射エネルギーレベル低下により段階的に低いエネルギー準位に移らなければならない。その結果としての非放射緩和は、発光を生じさせず、エネルギーの一部を失わせる。したがって、最終の放射緩和は、エネルギーの別な部分で生じる。これは、放射線が青色からこれよりも低いエネルギー、例えば黄色にシフトされることを意味する。この光の波長のシフトは、変換層のバルク全体にわたり蛍光体の密度が安定しているので量子化の非常に正確な性質に起因して極めて正確である。
【0035】
この垂直構造体の上方にはここでは図示していないレンズ本体又はディスクが設けられるのが良く、かかるレンズ本体又はディスク中で、光の色が混合されて混合光、例えば白色光になる。
【0036】
青色1次光をセラミック板に明確に設けられた開口部4から変換無しに放出させることができ、この青色1次光は、1次光11の安定した量の部分(第1の部分)を表している。1次光の他の部分(第2の部分)は、黄色光12に変換され、次に、未変換状態の直接放出された青色光と混合されて2次光になる。
【0037】
図1の右側は、構造体を上から示している。ここでは、基板1、1次光放出半導体コーパス2の比率及び変換層3に設けられた開口部4の相対寸法が、分かる。
【0038】
図2は、変換層3の側面図及び平面図を記載している。左側は、変換層の断面側面図であり、ここでは、規則的なパターンの開口部4が、互いに等距離をおいた状態で示されている。図2の右側は、変換層の平面図であり、この図には、特定の実施形態が示されている。開口部4は、規則的なパターンの穴、スリット及び十字である。この構成は、別々の方向に放出される光の色温度の一様な分布状態を得る上で好ましい。かかる変換層の構成を単一のLEDに使用することができ、また、LEDアレイにとって非常に有利に使用できる。したがって、ポンピング1次光は、変換を生じないでこれら開口部を通って出て、次に、変換された光と混合され、その結果白色光が生じる。
【0039】
図3は、部分的に未変換状態のポンピング1次光が、蛍光体密度が局所的にゼロ又はほぼゼロである一種の固有の光学的穴21から出る別の実施形態を示している。これは、変換層3が物理的穴又はスリットを備えていないということを意味している。変換層3は、物理的穴又はスリットを備えておらず、蛍光体密度が高い固有の領域22と固有の光学的穴21のように蛍光体が存在していない領域の両方を備えている。蛍光体が存在していない領域は、青色光が非変換状態で通って逃げることができる光学的穴のように働く。かかる別々の密度勾配を、例えば気相又は液層エピタキシャル成長中にマスクを用いてかかる層を製造することによって作ることができる。換言すると、蛍光体が存在していない部分は、青色光を通すことができる。他の領域では、蛍光体密度は、非常に高いので、青色光のほぼ全てが黄色光に変換されるようになる。これら領域は、青色光をほぼ通さない。蛍光体密度は、非常に高いので、青色光の波長が蛍光体の吸収極大を満たさない場合であっても、全体的変換率は、ほぼ100%である。この結果、放出された白色光の色は、もはや青色光の正確な波長には依存せず、蛍光体セラミック構造体及び伝送及び高吸収度領域のそれぞれの部分によって決定される。したがって、この実施形態は、本発明の非常に見事な具体化例となる。
【0040】
図4は、基板1、半導体コーパス2及びセラミック蛍光体小板3の垂直構造が、図1の構成にほぼ等しい実施形態を示している。しかしながら、変換層としてのセラミック蛍光体小板3は、半導体コーパス2の光活性表面全体を覆ってはいない。ポンピング波長光、即ち、1次光11の第1の部分を変換層3、即ちセラミック蛍光体小板に通さないで、半導体コーパス2のサイドラインのところで放出させることができる。放出されたポンピング波長光の第2の部分は、セラミック蛍光体小板、即ち変換層3を通過し、この量のポンピング波長光が、ルミネッセンス吸収により黄色光12に変換されるようになる。これら2つの光の色を上述したように混合すると、白色光が生じることになる。図4の右側は、図4の左側に示された垂直構造体の平面図である。幾つかの層2,3のオーバーラップ状態が、この図では明確に見える。
【0041】
図5は、未変換状態のポンピング波長光を反射してこれを変換層のバルク中に戻し、これを変換プロセスのために再使用するために、変換層3、即ちセラミック蛍光体小板の外面が、図4の構造体に加えて、2色被膜5で覆われている本発明の実施形態を示している。変換層3は、変換された光の波長に対して透明である。このことは、ポンピング波長光の波長のみが反射されることを意味している。このため、変換層の表面を介する変換光の放出は、効率が高い。図4と構造体の幾何学的形状が同一であることに基づき、所与の量のポンピング波長光が変換層3のそばで放出され、この構造体の上方における2つの光の色の混合が、結果として白色光の放出を生じさせることができるようになっている。二色性層の使用は、LEDを1次光の強度で動作させ、変換層の色変換飽和を一時的に生じさせる場合に、有利である。
【0042】
図6は、層の幾何学的形状について図4及び図5と同一の構造を用いた図5の実施形態の変形例を示している。しかしながら、変換層の外面に施された被膜は、吸収被膜6であり、この吸収被膜は、例えばピーク波長で正確には放出されなかったポンピング光の有効断面が乏しいために変換層3のバルク中で変換されなかった1次光を吸収する。変換プロセスを、ポンピング1次光の波長の僅かなシフトにより効果的には開始させることができない場合がある。しかしながら、吸収被膜6の使用により、変換素子から出た光の中のこの僅かな量の残存1次光を濾波して除去することができる。その結果、変換光だけが、変換層の表面を通って放出され、この変換光は、構造体の上方の側方に直接放出された量のポンピング光と混合されて白色光が得られるようになる。
【0043】
図1〜図6に示す構造体では、LED又は半導体コーパスが、半導体コーパスの片側に配置された電気的接点を有する状態で用いられている。このようなLEDは、フリップチップ幾何学的形状を有する。
【0044】
図7は、図1に記載された構造体と同一の構造体が用いられた実施形態を示している。この実施形態では、ワイヤボンデッドLEDが用いられている。フリップチップLEDとは対照的に、電気的接点は、半導体コーパスの別々の側部に配置されたワイヤによって構成されている。このために、上側ワイヤ7は、好ましくは、開口部4又は変換層3、即ちセラミック蛍光体小板の開口部のうちの1つを通って配置されるのが良い。かかる開口部は、図1又は図2に示す開口部とほぼ同じであるのが良い。この結果、ワイヤ構成と効率的な光の混合の有利な組合せをもたらすことができる。
【0045】
全ての実施形態において提案された構成は、白色光LEDには限定されず、他のLED/変換素子組合せにも利用できる。さらに、別々の構造体の表面比を用いると、放出光の色を調節することができる。
【0046】
蛍光体セラミック小板、即ち変換層の厚さは、小板のエッジのところで生じる妨害効果を最小限に抑えるためには、LEDダイ又は半導体コーパスの横寸法と比較して、小さいことが必要である。
【0047】
別々の方向に放出される一定の色温度を達成するには多大な注意を払うことが必要である。図2に示すような十字形に形成されたスリットを備える蛍光体セラミック小板は、色温度の一様な分布を得る上で好ましい。しかしながら、完全な補正は、行うことができないであろう。互いに異なる色温度の光は、別々の方向に放出されるが、これは、混合光学系、例えばコリメータを用いた場合には、問題とする必要はない。
【0048】
蛍光体セラミック小板又は蛍光体が半導体コーパス表面のほんの一部しか覆っていない実施形態は、蛍光体密度が高い上述の本発明の特定の実施形態である。しかしながら、これは、高い蛍光体密度には制限されない。というのは、この構成を用いると、半導体表面からきた光と蛍光体により放出された光を非常に簡単なやり方で混合し(たとえ蛍光体変換率が低くても)、ちょうど適正なサイズの蛍光体セラミック小板を選択することにより、種々の色を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の光源の側面図及び平面図である。
【図2】スリットを有する変換層の側面図及び平面図である。
【図3】固有の非変換領域を備えた変換層の側面図及び平面図である。
【図4】本発明の別の光源の側面図及び平面図である。
【図5】二色性被膜を備えた光源の実施形態の側面図である。
【図6】吸収被膜を備えた光源の実施形態の側面図である。
【図7】ボンデッドLEDを備えた実施形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次光と2次光の混光を放出する光源であって、前記1次光を放出する発光ダイオードLED又はレーザのようなエレクトロルミネッセンス素子と、前記1次光を前記2次光に変換する光変換素子(3)とを有し、前記1次光の第1の部分は、前記1次光に関する第1の変換係数(11)を備えた光路に沿って放出され、前記1次光の第2の部分は、前記1次光に関する第2の変換係数(12)を備えた光路に沿って放出され、前記第2の変換係数は、前記第1の変換係数よりも大きい、光源。
【請求項2】
前記1次光に関する前記第1の変換係数は、0である、請求項1記載の光源。
【請求項3】
前記1次光に関する前記第2の変換係数は、0.9よりも大きい、請求項1又は2記載の光源。
【請求項4】
前記1次光の前記第1の部分は、前記変換素子(3)の少なくとも1つの第1の領域(4)中に結合され、前記1次光の前記第2の部分は、前記変換素子(3)の少なくとも1つの第2の領域中に結合される、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項5】
前記変換素子(3)は、規則的なパターンをなす第1の領域(4)を有する、請求項4記載の光源。
【請求項6】
前記第1の領域(4)は、発光方向(12)に十字状スリットの形状を有する、請求項4又は5記載の光源。
【請求項7】
前記2次光は、第1のスペクトル範囲及び第2のスペクトル範囲からの光から成る、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項8】
前記1次光は、青色光から成る、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項9】
1次光を少なくとも部分的に反射して前記変換素子(3)に戻すために、前記変換素子(3)の外面には二色性被膜(5)が被着されている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項10】
前記変換素子(3)を通過した前記1次光を少なくとも部分的に吸収するために前記変換素子(3)の外面には、吸収被膜(6)が被着されている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項11】
前記エレクトロルミネッセンス素子の1本又は2本以上の電気接点ワイヤが、発光側に隣接した側にまとめて配置されている、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項12】
前記電気接点ワイヤは、前記エレクトロルミネッセンス素子の互いに異なる側に配置され、前記電気接点ワイヤ(7)のうちの少なくとも1本が前記変換素子の開口部を通って導かれるようになっている、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項13】
数個の前記エレクトロルミネッセンス素子が、アレイ状に配置されている、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項14】
前記1次光と前記2次光を混合する少なくとも1つの光学素子を更に有する、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の光源。
【請求項15】
前記光学素子は、透明な材料で作られた混合ロッド、コリメータ又はレンズであるのが良い、請求項14記載の光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−506491(P2009−506491A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527549(P2008−527549)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052798
【国際公開番号】WO2007/023412
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】