説明

光変調装置、及びプロジェクター

【課題】駆動時に生じる集積回路の発熱の影響を低減し、不具合の発生を抑制できる光変調装置を提供する。
【解決手段】光変調装置4は、入射した光束を変調する変調装置本体5と、変調装置本体5が収納される収納ケース7と、変調装置本体5を駆動するための集積回路6Aが形成され、一端が変調装置本体5に接続されるフレキシブル基板6と、集積回路6Aの熱を放熱する放熱部材8とを備える。放熱部材8は、集積回路6Aに当接し、集積回路6Aの熱を放熱する放熱部材本体81と、フレキシブル基板6を放熱部材本体81とで挟持する挟持部材82とを備える。放熱部材本体81は、収納ケース7とは別体で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調装置、及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射した光束を変調する液晶パネル(変調装置本体)と、変調装置本体を駆動するためのドライバーIC(集積回路)が形成され、一端が変調装置本体に接続されたフレキシブル基板とを備えた光変調装置(電気光学装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、特許文献1に記載の光変調装置では、変調装置本体を駆動するための駆動回路の一部を変調装置本体から切り離して、当該一部をフレキシブル基板に設けることで、変調装置本体の小型化や、変調装置本体のサイズに対する画素領域の拡大等を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−333640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光変調装置では、駆動時に生じる集積回路の発熱に伴って、変調装置本体の温度が上昇し、変調装置本体に不具合が発生する恐れがある、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、駆動時に生じる集積回路の発熱の影響を低減し、不具合の発生を抑制できる光変調装置、及びプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光変調装置は、入射した光束を変調する変調装置本体と、前記変調装置本体が収納される収納ケースと、前記変調装置本体を駆動するための集積回路が形成され、一端が前記変調装置本体に接続されるフレキシブル基板と、前記集積回路の熱を放熱する放熱部材とを備え、前記放熱部材は、前記集積回路に当接し、前記集積回路の熱を放熱する放熱部材本体と、前記フレキシブル基板を前記放熱部材本体とで挟持する挟持部材とを備え、前記放熱部材本体は、前記収納ケースとは別体で構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、光変調装置は、上述した放熱部材を備えるので、集積回路の熱を外部に放熱できる。すなわち、駆動時に生じる集積回路の発熱による変調装置本体の温度上昇を抑制でき、変調装置本体の不具合の発生を抑制できる。
特に、放熱部材は、上述した放熱部材本体及び挟持部材を備え、放熱部材本体及び挟持部材にてフレキシブル基板(集積回路)を挟持するので、放熱部材本体を集積回路に密着させた状態に設定できる。すなわち、集積回路の熱を放熱部材本体へと効果的に伝達させることができる。
また、放熱部材本体は、収納ケースとは別体で構成されているので、集積回路から放熱部材本体に伝達された熱が収納ケースに伝達されることを抑制できる。すなわち、駆動時に生じる集積回路の発熱による変調装置本体の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0008】
本発明の光変調装置では、前記放熱部材は、前記放熱部材本体及び前記挟持部材を互いに近接する方向に付勢する付勢部材を備えることが好ましい。
本発明では、放熱部材が上述した付勢部材を備えるので、放熱部材本体を集積回路に対して良好に密着させることができる。したがって、集積回路の熱を放熱部材本体へとより効果的に伝達させることができる。
【0009】
本発明の光変調装置では、前記挟持部材は、前記収納ケースに一体形成されていることが好ましい。
本発明では、挟持部材が収納ケースに一体形成されているので、光変調装置のハンドリング時に、フレキシブル基板のうち収納ケース及び放熱部材本体の間に位置する部位が屈曲することを防止でき、フレキシブル基板の断線を防止できる。
【0010】
本発明の光変調装置では、前記挟持部材及び前記フレキシブル基板の間には、前記挟持部材及び前記フレキシブル基板間を熱的に遮断する遮断部材が配設されていることが好ましい。
本発明では、挟持部材及びフレキシブル基板の間に上述した遮断部材が配設されているので、挟持部材及びフレキシブル基板間を熱的に遮断し、集積回路の熱が挟持部材に伝達されることを抑制できる。したがって、集積回路の熱が挟持部材〜収納ケース〜変調装置本体の熱伝達経路を辿って変調装置本体に伝達されることを抑制でき、変調装置本体の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0011】
本発明の光変調装置では、前記収納ケース及び前記放熱部材の間には、弾性部材が配設されていることが好ましい。
本発明では、収納ケース及び放熱部材の間に弾性部材が配設されているので、当該弾性部材の弾性力によって、フレキシブル基板のうち収納ケース及び放熱部材の間に位置する部位が屈曲するような収納ケース及び放熱部材の相対移動を抑制できる。すなわち、フレキシブル基板の上記部位が屈曲することを抑制し、フレキシブル基板の断線を防止できる。
【0012】
本発明の光変調装置では、外面から突出し、前記収納ケース側から前記放熱部材側にかけて並設された複数のフィン状部を備えることが好ましい。
本発明では、弾性部材が上述した複数のフィン状部を備えるので、フレキシブル基板の上記部位が屈曲するように収納ケース及び放熱部材が相対移動した場合には、複数のフィン状部同士が互いに当接し、かつ、互いに離間する方向に弾性力が作用することとなる。
すなわち、フレキシブル基板の上記部位がある程度、屈曲できる状態としながら、複数のフィン状部同士の互いに離間する方向への弾性力によって、上記の状態以上にフレキシブル基板の上記部位が屈曲することを抑制できる。したがって、光変調装置(収納ケース及び放熱部材)に外力が加わった場合であっても、収納ケース及び放熱部材の相対移動をある程度、許容でき、収納ケース及び放熱部材の損傷を回避できる。
【0013】
本発明のプロジェクターは、入射した光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターであって、前記光変調装置は、上述した光変調装置であることを特徴とする。
本発明では、プロジェクターは、上述した光変調装置を備えるので、上述した光変調装置と同様の作用及び効果を享受できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1実施形態における光変調装置の構成を説明するための図。
【図3】第1実施形態における光変調装置の構成を説明するための図。
【図4】第1実施形態における光変調装置の構成を説明するための図。
【図5】第2実施形態における光変調装置の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を示す図である。
プロジェクター1は、画像を投射してスクリーン(図示略)上に投影画像を表示する。
そして、このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2内部に収納される光学ユニット3を備える。
なお、図1では、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内部には、光学ユニット3の他、外装筐体2内部の発熱部材を冷却する冷却ファン等を有する冷却ユニット、各構成部材に電力を供給する電源ユニット、及びプロジェクター1全体の動作を制御する制御装置等が配設されている。
【0016】
〔光学ユニットの構成〕
この光学ユニット3は、図1に示すように、光源ランプ311及びリフレクター312を有する光源装置31と、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、及び重畳レンズ324を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、及び反射ミラー333を有する色分離光学装置33と、入射側レンズ341、リレーレンズ343、及び反射ミラー342,344を有するリレー光学装置34と、3つの光変調装置4と、3つの入射側偏光板35と、3つの出射側偏光板36と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム37と、投射光学装置としての投射レンズ38とを備える。
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、光源装置31から出射され照明光学装置32を介した光束は、色分離光学装置33にて赤(R),緑(G),青(B)の3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各光変調装置4にてそれぞれ変調される。変調された各色光は、プリズム37にて合成されて画像となり、投射レンズ38にてスクリーンに投射される。
【0017】
〔光変調装置の構成〕
図2ないし図4は、光変調装置4の構成を説明するための図である。具体的に、図2(A)は光変調装置4を光入射側から見た図であり、図2(B)は光変調装置4の側面図であり、図2(C)は光変調装置4を光出射側から見た図である。図3は光入射側から見た光変調装置4の分解斜視図であり、図4は光出射側から見た光変調装置4の分解斜視図である。
3つの光変調装置4は、同一の構成を有し、図2ないし図4に示すように、変調装置本体としての液晶パネル5と、フレキシブル基板としてのFPC6と、収納ケース7と、放熱部材8とを備える。
【0018】
液晶パネル5は、前記制御装置による制御の下、入射した光束を変調する。
本実施形態では、液晶パネル5は、図3または図4に示すように、ガラスなどからなる平面視矩形状の一対の基板51,52に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有している。
このうち、基板51は、液晶を駆動するための駆動基板であり、互いに平行に配列形成される複数のデータ線と、複数のデータ線と直交する方向に配列形成される複数の走査線と、走査線及びデータ線の交差に対応してマトリクス状に配列形成される画素電極と、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子と、スイッチング素子を駆動する駆動回路とを有している。
【0019】
また、基板52は、基板51の光入射側において、基板51に対して所定間隔を空けて対向配置される対向基板であり、所定の電圧Vcomが印加される共通電極を有している。
そして、FPC6を介して前記制御装置から信号を入力することで、所定の前記画素電極及び前記共通電極の間に電圧が印加され、当該画素電極及び共通電極間に介在する液晶の配向状態が制御され、入射した光束が変調される。
なお、液晶パネル5の光入射側及び光出射側には、図3または図4に示すように、各基板51,52と略同一の形状をそれぞれ有する一対の防塵ガラス5A,5Bが取り付けられている。
これら一対の防塵ガラス5A,5Bは、熱伝導性の高い材料、例えば水晶等の透光性基板で構成されている。
【0020】
FPC6は、例えば、ポリイミド等の基材に信号配線等がパターニングされることにより形成されたものであり、前記制御装置と液晶パネル5とを電気的に接続する。
すなわち、FPC6の一端側は、液晶パネル5の端部近傍に形成された外部回路接続端子(図示略)に圧着等により電気的に接続されている。
また、FPC6の他端側には、コネクター(図示略)が設けられ、当該コネクターを介して前記制御装置に電気的に接続する。
このFPC6において、一端側における光出射側には、図4に示すように、集積回路としての駆動用ICチップ6Aが設けられている。
駆動用ICチップ6Aは、前記駆動回路の一部を含んで構成され、FPC6に電気的及び機械的に固着されている。
【0021】
収納ケース7は、金属等の熱伝導性材料から構成され、液晶パネル5が収納される部材である。
この収納ケース7には、図4に示すように、光出射側において、液晶パネル5の外形形状に対応し、光入射側に窪む収納凹部71が形成されている。
そして、液晶パネル5は、収納凹部71に収納される。
また、収納凹部71の底部分には、図2ないし図4に示すように、液晶パネル5の画像形成領域に対応した開口部71Aが形成されている。
【0022】
放熱部材8は、駆動用ICチップ6Aの熱を外部に放熱する部材であり、図2ないし図4に示すように、放熱部材本体としての第1放熱板81と、挟持部材としての第2放熱板82と、遮断部材83(図3、図4)と、付勢部材としてのクリップ84とを備える。
第1放熱板81は、金属等の熱伝導性材料から構成され、図2ないし図4に示すように、収納ケース7とは別体で構成されている。
この第1放熱板81は、FPC6の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、FPC6の延出方向に沿って延びる略矩形板状に形成されている。
そして、第1放熱板81は、図3または図4に示すように、FPC6の光出射側に配設され、光入射側の板面81Aが駆動用ICチップ6Aに当接して駆動用ICチップ6Aの熱を放熱する。
本実施形態では、光入射側の板面81Aには、図3または図4に示すように、熱伝導率の高いグラファイトシート等のシート部材81Cが取り付けられている。
【0023】
また、光入射側の板面81Aには、図2(B)または図3に示すように、FPC6の延出方向に略直交して延び、FPC6の延出方向に沿って並設された一対の押え部811が形成されている。
そして、一対の押え部811は、図2(B)に示すように、光変調装置4が組み立てられた状態で、第2放熱板82との間でFPC6(駆動用ICチップ6Aの固着部分に対してFPC6の一端側及び他端側の各部分)を挟持する。
さらに、一対の押え部811には、図2(B)または図3に示すように、第2放熱板82との間でFPC6を挟持した際に、駆動用ICチップ6Aに機械的に干渉することを避けるための斜面811Aがそれぞれ形成されている。
【0024】
この第1放熱板81において、光出射側の板面81Bには、図2(C)または図4に示すように、外部に向けて突出し、FPC6の延出方向に沿って延びる複数のフィン812が形成されている。
また、複数のフィン812の各先端部分における一部には、図4に示すように、クリップ84が設置される凹部812Aがそれぞれ形成されている。
【0025】
第2放熱板82は、金属等の熱伝導性材料から構成され、図2ないし図4に示すように、第1放熱板81と略同様の形状を有し、FPC6を挟んで第1放熱板81と対向する位置に配設される。
本実施形態では、第2放熱板82は、図3または図4に示すように、収納ケース7に一体形成されている。
この第2放熱板82において、第1放熱板81から離間する側の板面82Aには、図2(A)または図3に示すように、外部に向けて突出し、FPC6の延出方向に沿って延びる複数のフィン821が形成されている。
また、第2放熱板82において、一対の側面部分には、図3または図4に示すように、クリップ84を係止するための突起部822がそれぞれ形成されている。
【0026】
遮断部材83は、図3または図4に示すように、熱伝導率の低い矩形状のシートで構成されている。
そして、遮断部材83は、光変調装置4が組み立てられた状態で、第2放熱板82とFPC6との間に配設され、第2放熱板82及びFPC6間を熱的に遮断する。
【0027】
クリップ84は、図3または図4に示すように、FPC6の延出方向に略直交して延びる基部841と、基部841の両端から突出する一対の係合部842とを備え、略U字形状を有する。
そして、クリップ84は、第1放熱板81の光出射側から基部841が各凹部812Aにあてがわれ、一対の係合部842が一対の突起部822に係合されることで、第1放熱板81を第2放熱板82に向けて付勢し、第2放熱板82に対して第1放熱板81を固定する。
なお、本実施形態では、基部841は、一対の係合部842が一対の突起部822に係合された状態で、光入射側または光出射側から見て、駆動用ICチップ6Aを跨ぐように配設されるものである。
【0028】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、光変調装置4は、放熱部材8を備えるので、駆動用ICチップ6Aの熱を外部に放熱できる。すなわち、駆動時に生じる駆動用ICチップ6Aの発熱による液晶パネル5の温度上昇を抑制でき、液晶パネル5の不具合の発生を抑制できる。
特に、放熱部材8は、第1放熱板81、第2放熱板82、及びクリップ84を備えるので、第1放熱板81を駆動用ICチップ6Aに良好に密着させることができる。すなわち、駆動用ICチップ6Aの熱を第1放熱板81へと効果的に伝達させることができる。
また、第1放熱板81は、収納ケース7とは別体で構成されているので、駆動用ICチップ6Aから第1放熱板81に伝達された熱が収納ケース7に伝達されることを抑制できる。すなわち、駆動時に生じる駆動用ICチップ6Aの発熱による液晶パネル5の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0029】
また、第2放熱板82は、収納ケース7に一体形成されている。
このことにより、収納ケース7及び放熱部材8は互いに固定された状態となるため、光変調装置4のハンドリング時に、FPC6のうち収納ケース7及び第1放熱板81の間に位置する部位が屈曲することを防止でき、FPC6の断線を防止できる。
さらに、第2放熱板82及びFPC6の間に遮断部材83が配設されているので、第2放熱板82及びFPC6間を熱的に遮断し、駆動用ICチップ6Aの熱が第2放熱板82に伝達されることを抑制できる。したがって、駆動用ICチップ6Aの熱が第2放熱板82〜収納ケース7〜液晶パネル5の熱伝達経路を辿って液晶パネル5に伝達されることを抑制でき、液晶パネル5の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、第2実施形態における光変調装置4の構成を説明するための図である。具体的に、図5は、FPC6と、収納ケース7と、第1放熱板81及び第2放熱板82の位置関係を模式的に示した図である。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
前記第1実施形態では、第2放熱板82は、収納ケース7に一体形成されていた。
これに対して第2実施形態では、第2放熱板82を収納ケース7とは別体で構成し、収納ケース7及び放熱部材8の間に弾性部材9を配設した点が前記第1実施形態と異なるものである。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0031】
弾性部材9は、図5に示すように、収納ケース7及び放熱部材8の間において、FPC6の光入射側及び光出射側にそれぞれ取り付けられている。
これら弾性部材9の外面には、図5に示すように、外部に向けて突出し、収納ケース7側から放熱部材8側にかけて並設された複数のフィン状部91が形成されている。
本実施形態では、弾性部材9は、シリコーンゴムから構成されている。
【0032】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、収納ケース7及び放熱部材8の間に弾性部材9が配設されているので、弾性部材9の弾性力によって、FPC6のうち収納ケース7及び放熱部材8の間に位置する部位が屈曲するような収納ケース7及び放熱部材8の相対移動を抑制できる。すなわち、FPC6の上記部位が屈曲することを抑制し、FPC6の断線を防止できる。
また、弾性部材9が複数のフィン状部91を備えるので、FPC6の上記部位が屈曲するように収納ケース7及び放熱部材8が相対移動した場合には、複数のフィン状部91同士が互いに当接し、かつ、互いに離間する方向に弾性力が作用することとなる。
すなわち、FPC6の上記部位がある程度、屈曲できる状態としながら、複数のフィン状部91同士の互いに離間する方向への弾性力によって、上記の状態以上にFPC6の上記部位が屈曲することを抑制できる。したがって、光変調装置4(収納ケース7及び放熱部材8)に外力が加わった場合であっても、収納ケース7及び放熱部材8の相対移動をある程度、許容でき、収納ケース7及び放熱部材8の損傷を回避できる。
【0033】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、第1,第2放熱板81,82とは別体で付勢部材としてのクリップ84を設けていたが、これに限らず、例えば、第1,第2放熱板81,82の少なくともいずれか一方を板ばね状に形成し、互いに接続することで、FPC6(駆動用ICチップ6A)に圧力を加える構成としても構わない。すなわち、本発明に係る付勢部材を放熱部材本体及び挟持部材の少なくともいずれか一方に一体的に設けても構わない。
【0034】
前記第2実施形態では、弾性部材9は、一対設けられていたが、略筒状に形成され、FPC6が挿通される形状としても構わない。
【0035】
前記各実施形態では、光変調装置4を構成する液晶パネル5は、透過型の液晶パネルで構成されていたが、これに限らず、反射型の液晶パネルを採用しても構わない。
前記各実施形態では、プロジェクター1は、光変調装置4を3つ備える三板式のプロジェクターで構成されていたが、これに限らず、光変調装置4を1つ、2つ、あるいは、4つ以上備えるプロジェクターとして構成しても構わない。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターとして利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・プロジェクター、4・・・光変調装置、5・・・液晶パネル(変調装置本体)、6・・・FPC(フレキシブル基板)、6A・・・駆動用ICチップ(集積回路)、7・・・収納ケース、8・・・放熱部材、9・・・弾性部材、38・・・投射レンズ(投射光学装置)、81・・・第1放熱板(放熱部材本体)、82・・・第2放熱板(挟持部材)、83・・・遮断部材、91・・・フィン状部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光束を変調する変調装置本体と、
前記変調装置本体が収納される収納ケースと、
前記変調装置本体を駆動するための集積回路が形成され、一端が前記変調装置本体に接続されるフレキシブル基板と、
前記集積回路の熱を放熱する放熱部材とを備え、
前記放熱部材は、
前記集積回路に当接し、前記集積回路の熱を放熱する放熱部材本体と、
前記フレキシブル基板を前記放熱部材本体とで挟持する挟持部材とを備え、
前記放熱部材本体は、
前記収納ケースとは別体で構成されている
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調装置において、
前記放熱部材は、
前記放熱部材本体及び前記挟持部材を互いに近接する方向に付勢する付勢部材を備える
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光変調装置において、
前記挟持部材は、
前記収納ケースに一体形成されている
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光変調装置において、
前記挟持部材及び前記フレキシブル基板の間には、
前記挟持部材及び前記フレキシブル基板間を熱的に遮断する遮断部材が配設されている
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の光変調装置において、
前記挟持部材は、
前記収納ケースとは別体で構成され、
前記収納ケース及び前記放熱部材の間には、
弾性部材が配設されている
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光変調装置において、
前記弾性部材は、
外面から突出し、前記収納ケース側から前記放熱部材側にかけて並設された複数のフィン状部を備える
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項7】
入射した光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターであって、
前記光変調装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載された光変調装置である
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−189863(P2012−189863A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54024(P2011−54024)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】