説明

光学システムの撮像素子を位置合わせする方法

【課題】光学台と、光学台に設置されるように構成される撮像素子とを含む光学システムにおいて光学台上に撮像素子を位置合わせする。
【解決手段】位置合わせ方法は、光学台または撮像素子の何れかの設置面から延びる位置合わせピンを、光学台および撮像素子の他方において画定された穴に挿入するステップと、光学システムの既定の中心画素、走査線、および/または分解能の要求を満たすべく、ピンを穴に挿入したまま光学台の設置面上で撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して撮像素子を位置合わせするステップと、エポキシをピンおよび穴に塗布して、光学台を撮像素子に設置するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、例えばカメラ、カムコーダ、暗視メガネ、または暗視スコープといった光学システムの撮像素子を位置合わせする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子は、光学システム内で適切に位置合わせされて、光学システムの視線、画像位置合わせおよび分解能の要求を満たさなければならない。光学システムは、例えば、カメラ、カムコーダ、暗視メガネ、または暗視スコープである。撮像素子は、例えば、イメージ増倍管または、CCD(電荷結合素子)またはCMOS(相補型金属酸化膜半導体)といったデジタル撮像素子である。光学システムのハウジングによって発生する、撮像素子と対物レンズとの間の位置合わせ不良の結果、光学システムと、該システムのユーザによって視認される画像の歪みが生じる。撮像素子、撮像素子を組み立てる方法、および撮像素子を光学システムのハウジング(または他の部品)に取り付ける方法をさらに発展させ且つ改良して、光学システムの視線、画像位置合わせおよび分解能の要求を満たす必要性は常に存在している。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一つの態様によれば、光学台上に撮像素子を位置合わせする方法が、光学台または撮像素子の何れかの設置面から延びる位置合わせピンを、光学台および撮像素子の他方において画定された穴に挿入するステップを含む。光学システムの所定の中心画素、走査線および/または分解能の要求を満たすべく、ピンを穴に挿入したまま光学台の設置面上において撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して撮像素子を位置合わせする。穴に対するピンの位置をずらすことなくエポキシまたは他の液体接着剤をピンおよび穴に塗布して、光学台を撮像素子に設置する。
【0004】
本発明の別の態様によれば、撮像素子を光学台上に取り付ける方法が、位置合わせ固定具の設置面から延びる位置合わせピンを、撮像素子において画定された穴に挿入するステップを含む。光学システムの所定の中心画素、走査線、および/または分解能の要求を満たすべく、ピンを穴に挿入したまま位置合わせ固定具の設置面上において撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して撮像素子を位置合わせする。エポキシまたは他の液体接着剤をピンおよび穴に塗布してピンを撮像素子に接合する。ピンおよび撮像素子は、撮像素子の穴に対するピンの位置をずらすことなく位置合わせ固定具から取り外される。光学台において画定された穴に撮像素子のピンを挿入して、撮像素子を光学台上に取り付ける。
【0005】
本発明の更に別の態様によれば、目標画像に対して撮像素子を位置合わせする方法が、位置合わせ固定具の設置面から延びる位置合わせピンを、撮像素子において画定された穴に挿入するステップを含む。光学システムの所定の中心画素、走査線および/または分解能の要求を満たすべく、ピンを穴に挿入したまま位置合わせ固定具の設置面上において撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して撮像素子を位置合わせする。エポキシまたは他の液体接着剤をピンおよび穴に塗布してピンを撮像素子に接合する。
【0006】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面を参照すると、以下の詳細な議論から明らかになるだろう。以下の議論が単に本発明の好適実施形態の例示を目的とすることを理解されたい。むしろ、本発明は、例示実施形態に限定されることなく、本明細書に添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0007】
本発明は、添付の図面と共に読むと以下の詳細な説明からもっともよく理解されるだろう。図面の各部は慣例により均一な縮尺でないことを強調しておく。図面には以下の図面が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明の例示実施形態に係る暗視単眼用器具(night vision monocular)の斜視図を示す。
【図1B】本発明の例示実施形態に係る暗視単眼用器具の正面図を示す。
【図1C】本発明の例示実施形態に係る暗視単眼用器具の側面図を示す。
【図1D】単眼用器具のいくつかの部品を省略した、線1D−1Dに沿った図1Bの単眼用器具の断面図を示す。
【図1E】単眼用器具のいくつかの部品を省略した、線1E−1Eに沿った図1Bの単眼用器具の断面図を示す。
【図2A】図1Dおよび図1Eの単眼用器具のイメージ増倍管組立体の分解図を示す。
【図2B】図2Aのイメージ増倍管組立体の上面の斜視図を示す。
【図2C】図2Aのイメージ増倍管組立体の下面の斜視図を示す。
【図3A】線3A−3Aに沿った図2Bのイメージ増倍管組立体の断面図を示す。
【図3B】図3Aに示すイメージ増倍管組立体と比較する目的で別のイメージ増倍管組立体の断面図を示す。
【図4A】図3Aのイメージ増倍管のハウジングの下面の斜視図を示す。
【図4B】図3Aのイメージ増倍管のハウジングの上面の斜視図を示す。
【図4C】図4Aのハウジングの部分上面図を示す。
【図4D】図4Aのハウジングの側面図を示す。
【図5A】図1A〜図1Eの単眼用器具の光学台の前側の斜視図を示す。
【図5B】図1A〜図1Eの単眼用器具の光学台の後側の斜視図を示す。
【図5C】線5C−5Cに沿った図5Bの光学台の断面図を示す。
【図6A】図2Aのイメージ増倍管組立体を組み立てるための固定具の上面図を示す。
【図6B】図2Aのイメージ増倍管組立体を組み立てるための固定具の側面図を示す。
【図6C】図2Aのイメージ増倍管組立体を固定具内に配置した、線6C−6Cに沿った図6Aの固定具の断面図を示す。
【図7】本発明の別の例示実施形態に係るデジタルセンサ組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A〜図1Eは暗視単眼用器具10を示す。単眼用器具10は、各々光学台14に設置された、対物レンズ組立体16と、赤外線(IR)チャネルの赤外線焦点面アレイ23とを含む。接眼部21は、対物レンズ組立体16の反対側に配置されている。図1Dおよび図1Eにもっともよく見られるように、イメージ増倍管組立体12は、対物レンズ組立体16と同一直線上に光学台14に設置されている。基準面‘A’によって定義されるイメージ増倍管組立体12の設置面22は、基準面‘B’によって定義されるイメージ光学台14の設置面37に直接設置される。
【0010】
イメージ増倍管組立体12は、ハウジング20内に設置された6つの基本部品、すなわち、ガラス面板(glass faceplate)50、ガラス面板50に接着された光電陰極61、マイクロチャネルプレート(MCP)60、蛍光スクリーン63、光ファイバインバータ(fiber optic inverter)62、および電源57を含む。面板50、光電陰極61、MCP60、蛍光スクリーン63、および光ファイバインバータ62は互いに組み合わされて、イメージ増倍管13を形成する。
【0011】
ここで単眼用器具10の動作を参照すると、単眼用器具10の対物レンズ16は、利用可能な光を収集してその光の焦点をイメージ増倍管組立体12に合わせる。対物レンズ16のもっとも近くに配置されたイメージ増倍管組立体12の光電陰極61は、画像面であり、且つ、対物レンズ16からの光画像を検出して光画像を対応する電子パターンに変換する。光電陰極61は、感光性化合物によってコーティングされた負に帯電した電極である。光電陰極61に光が当たると、光電効果のため、吸収されたエネルギーによって電子放出が生じる。イメージ増倍管組立体12のMCP60は電子放出を増幅する。イメージ増倍管組立体12の光ファイバの蛍光スクリーン63は、増幅された電子放出を変換して、増強された光画像に戻す。ビームコンバイナ19のもっとも近くに配置されたイメージ増倍管組立体12の光ファイバインバータ62は、増強された光画像を反転して正しい向きにする(画像は対物レンズ16によって予め反転されている)。ビームコンバイナ19は、イメージ増倍管13によって生成された画像と赤外線(IR)チャネルの赤外線焦点面アレイ23によって生成された画像とを結合して単一の混合画像にする。
【0012】
単一の増強された画像は、単眼用器具10のユーザが視認するため接眼部21を通して表示される。代替的には、増強された光画像はディスプレイ上にデジタル的に表示されてもよく、ディスプレイは、例えば、コンピュータモニタ、またはユーザの目の前に配置されたマイクロディスプレイある。イメージ増倍管組立体の基本構造および動作のさらなる詳細は、参照によってその全体が本明細書の一部を構成する、Thomasへの米国特許第7,482,571号明細書に開示されている。
【0013】
図2A〜図2Cおよび図3Aは、イメージ増倍管組立体12の詳細図を示す。イメージ増倍管組立体12は、ハウジング20内に設置されたイメージ増倍管13と、ハウジング20の下端に設置されたカバー24とを含む。図1Dおよび図1Eに示すように、ハウジング20の設置面22A〜22C(集合的に設置面22と呼ぶ)は3つの締結具30(1つの締結具を図1Eにおいて示す)によって光学台14に着脱式に設置されている。カバー24は、ハウジング20の設置面22に隣接した位置でハウジング20の下端に設置されている。増倍管組立体12を単眼用器具10に取り付ける際、カバー24は光学台14に物理的に接触しない。
【0014】
ここで図3Aを参照すると、イメージ増倍管組立体12の設計によって、単眼用器具10の視線および分解能を悪化させる、傾斜の誤差、位置合わせの誤差、および変位の誤差が小さくなる。こうした利益を達成するために、ガラス面板50の面板表面51は、イメージ増倍管組立体12の設置面22と同じ基準面‘A’に配置されている。参照目的のため、面板表面51は面板50の表面であり、面板50の表面は、(i)光電陰極61の反対側に配置され、(ii)カバー24を通して露出され(図2C参照)、(iii)対物レンズ16のもっとも近くに配置される(図1D参照)。
【0015】
イメージ増倍管組立体12の設置面22は、光学台14の設置パッド37に直接設置され、対物レンズ16は光学台14に直接設置される。面板表面51と設置面22とが同一平面上にあることは、イメージ増倍管組立体12の設置面22と対物レンズ16とが光学台14に直接設置されているということとあいまって、対物レンズ16に対するイメージ増倍管組立体12の位置の厳密な調節を可能にしている。イメージ増倍管組立体12と対物レンズ16との間のわずかな位置合わせ不良でさえも、単眼用器具10の接眼部21またはマイクロディスプレイを通してユーザに表示される画像を歪ませることがあるため、このことは重要である。
【0016】
ディスプレイのビームコンバイナ19を増倍管のスクリーンに直接設置することによって、増倍管組立体12を前方に装填する(front-load)ことができる。面板表面51を設置面22と同じ基準面‘A’に配置することによって、イメージ増倍管組立体12を「前方に装填」する。イメージ増倍管組立体12を前方に装填することによって、前端部の傾きが大きく減少し、像面湾曲の要求を満たすためにイメージ増倍管を「後方に装填(back-load)」する必要がなくなる。
【0017】
図3Bは、図3Aのイメージ増倍管組立体12と比較する目的で別のイメージ増倍管組立体150の断面図を示す。図3Bのイメージ増倍管組立体150は図3Aのイメージ増倍管組立体12と同様である。すなわち、どちらの組立体もハウジングに収容されたイメージ増倍管と、ハウジングの下端に設置されたカバーとを含んでいる。しかし、図3Bのイメージ増倍管組立体150では、イメージ増倍管組立体150の面板表面151はカバー156の設置面153と同一平面上にない。図示しないが、カバー156の設置面153は光学システムの光学台に設置されており、対物レンズもその光学台に設置されている。
【0018】
面板表面151を光学台の設置面153から隔てる距離は、カバー156の寸法公差だけでなく、カバー156と面板表面151との間に分配される注封材料(potting material)158の存在の結果として変化する。すなわち、面板表面151の位置、ひいてはイメージ増倍管152の位置は、注封材料158の存在およびカバー156の寸法変化のせいでずれることがある。こうした変化は、イメージ増倍管組立体150と光学システムの対物レンズ(図示せず)との間の位置合わせ不良を発生させ、このため光学システムのユーザに表示される画像が歪むことがある。
【0019】
図4A〜図4Dは、イメージ増倍管組立体12のハウジング20の詳細図を示す。ハウジング20は、設置面22A、22B、および22C(集合的に設置面22と呼ぶ)を含む。各設置面22はハウジング20の長手方向の軸線から半径方向に離れて延びる。図4Cにおいてもっともよく見られるように、面22Aは、締結具30(図1E参照、1つの締結具だけを図示する)を受け入れる貫通穴25と、(図5Bにおいて示される)位置合わせピン35をぴったり受け入れる寸法の円形貫通穴27Aとを画定する。
【0020】
面22Bは、締結具30(図1E参照、1つの締結具だけを図示する)を受け入れる貫通穴25と、(図5Bにおいて示される)位置合わせピン35をぴったり受け入れる寸法であり、且つ、貫通穴27Aの方に向けられる卵形の貫通溝27Bとを画定する。貫通溝27Bは、過度の応力をもたらすことなく公差積み上げを減少させて熱膨張率の相違に対応する。
【0021】
面22Cは、締結具30を受け入れる貫通穴25を画定するが、位置合わせピンを受け入れる寸法の穴または溝を含まない。
【0022】
図5A〜図5Cは、単眼用器具10の光学台14の詳細図を示す。光学台14は、対物レンズ組立体16を設置可能に受け入れるための対物レンズボア31と、赤外線(IR)チャネル用の別のレンズ組立体を設置可能に受け入れるためのレンズボア39とを含む。光学台14は、イメージ増倍管組立体12が設置される3つの設置パッド37A〜37C(集合的にパッド37と呼ぶ)と、IRカメラが設置される4つの設置パッド43A〜43Dとを含む。7つの設置パッド(すなわち、パッド37A〜37Cおよびパッド43A〜43D)は全て同一平面上にあり基準面‘B’を画定する。
【0023】
各イメージ増倍管設置パッド37は、締結具30(図1E参照、1つの締結具だけを図示する)を受け入れるねじ穴33を含む。2つの位置合わせピン35は、設置パッド37Aおよび37B上に画定された穴内に固定されるように配置される。単眼用器具10が組み立てられた状態では、設置パッド37Aの位置合わせピン35がハウジング20の貫通穴27Aを通して配置され、設置パッド37Bの位置合わせピン35がハウジング20の貫通溝27Bを通して配置されるので、イメージ増倍管組立体12は光学台14に正確に位置合わせされる。また、位置合わせピン35は、光学台を製造する過程で対物レンズボア31を位置決めする2次基準点および3次基準点の役目を果たす。
【0024】
図6A〜図6Cは、イメージ増倍管組立体12を組み立てるための固定具40を示す。固定具40は、イメージ増倍管13を、イメージ増倍管ハウジング20に対してX軸、Y軸およびZ軸に沿って方向付けるように構成されている。図6Cにおいてもっともよく見られるように、固定具40は、基準面‘C’を画定する上面41を有するベースプレート42を含む。面41は、基準面‘C’を画定する2つの共平面からなる。すなわち、外面41Aはイメージ増倍管ハウジング20の設置面22A〜22Cを支持し、内面41Bはイメージ増倍管面板50を支持する。
【0025】
2つのピン44(1つを図示する)は、ベースプレート42の外面41A上に画定された穴に固定されるように配置される。ピン44はベースプレート42の上面41よりも上に延びる。位置合わせピン44は、イメージ増倍管ハウジング20の貫通穴27Aおよび貫通溝27Bに配置される寸法である。位置合わせピン44はX軸およびY軸に沿ってイメージ増倍管13の位置を調節する。
【0026】
環状凹部46は、ベースプレート42の上面41から延び、注封工程の際カバー24を収容し且つ支持する。凹部46は、カバー24を収容する一方で、イメージ増倍管ハウジング20の設置面22がイメージ増倍管13の面板表面51と同じ平面(すなわち、基準面‘C’)にあるようにする点で重要である。前に図3Bを参照して論じたように、従来の設計では、注封材料がカバーと面板との間に分配されるため、望ましくない傾斜や変位が光学位置合わせにもたらされることがある。
【0027】
環状凹部46は、カバー24がベースプレート42の上面41に物理的に接触しないようにカバー24を受け入れる寸法である。別言すれば、凹部46は、イメージ増倍管カバー24が基準面‘C’の下の高さにあるようにする。環状のフォームパッド49を凹部46内に配置して、イメージ増倍管組立体12を組み立てる工程の間、カバー24の損傷を防止する。また、フォームパッド49はカバー24と面板50との間の注封材料の分配を制限する。
【0028】
第2の凹部48はベースプレート42の上面41から延びて、ガラス面板50とベースプレート42の上面41との間の表面範囲の接触を減らし、イメージ増倍管13の動作領域のかき傷(scratch)を防止する。内面41Bを形成する環状リングはイメージ増倍管13の動作領域の外側にある。
【0029】
ここでイメージ増倍管組立体12を組み立てる例示的方法を参照すると、面板50、光電陰極61、MCP60、および光ファイバインバータ62が、ろう付け(brazing)工程によって互いに接合され、イメージ増倍管組立体12のイメージ増倍管13を形成する。そして、ろう付けされたイメージ増倍管13が、電源57を収容するイメージ増倍管ハウジング20内に配置される。イメージ増倍管カバー24がイメージ増倍管ハウジング20にはめ込まれてイメージ増倍管13を覆う。
【0030】
そして、イメージ増倍管ハウジング20の貫通穴27Aおよび貫通溝27Bを通して固定具ベースプレート42のピン44(図6C参照)を配置することによって、部分的に組み立てられたイメージ増倍管組立体12を固定具40のベースプレート42に装着する。イメージ増倍管ハウジング20の設置面22と面板50の面板表面51との両方は、それぞれベースプレート42の面41Aと41Bとに配置される。別言すれば、イメージ増倍管ハウジング20の設置面22と面板50の面板表面51との両方は、ベースプレート42の基準面‘C’に配置される。
【0031】
固定具40のピストン55はイメージ増倍管組立体12に向かって下向きに動かされる。固定具40のピストン55の環状部56は、ハウジング20の壁64と光ファイバインバータ62の円筒形外面とを隔てる環状空間内に平行移動される。ピストン55が下向きに動かされると、固定具40のピストン55の環状部56は、位置合わせピン44およびハウジング20の貫通穴/溝27に対してX軸およびY軸(各軸について図6C参照)に沿ってイメージ増倍管13を位置合わせする。ピストン55の環状部56と位置合わせピン44との相対位置は精密に調節されている。厳密な調節が必要な場合、能動的な位置合わせシステム(図示せず)を使用し、光学的閉フィードバックループを使用することによって貫通穴/溝27に対してイメージ増倍管13を移動させてもよい。
【0032】
また、イメージ増倍管ハウジング20の設置面22とイメージ増倍管組立体12の面板表面51との両方が同一表面上にあり(すなわち、面一で)且つ同じ基準面‘C’上にあるように、ピストン55は、イメージ増倍管ハウジング20およびイメージ増倍管13を上面41(すなわち、基準面‘C’)に対して下向きのZ方向に押しつける。
【0033】
その後、電源57、イメージ増倍管ハウジング20、およびカバー24と、イメージ増倍管13との間に画定された円筒形の凹部53に注封材料を供給する。注封材料が硬化せしめられると、イメージ増倍管組立体12の組み立て工程が完了する。図示しないが、カバー24の内側上面と面板表面51との間にも少量の注封材料が分配される。しかし、この注封材料は、ハウジング20の設置面22に対するイメージ増倍管13の位置には影響を与えない。
【0034】
再び図1Dおよび図1Eを参照すると、イメージ増倍管組立体12は、上記のように一旦注封されると、単眼用器具10の光学台14に設置可能な状態になる。まず光学台14のピン35をイメージ増倍管ハウジング20の相補的な貫通穴27Aおよび貫通溝27Bを通して配置する(またはその逆)。イメージ増倍管組立体12の設置面22が光学台14の設置面37に当接するまで、光学台14とイメージ増倍管ハウジング20とを互いに平行移動させる。イメージ増倍管ハウジング20の貫通溝27Bは光学台14に対するイメージ増倍管組立体12のわずかな平行移動およびわずかな回転を許容する。手作業またはロボットによってイメージ増倍管組立体12をX軸およびY軸に沿って平行移動させ且つZ軸回りに回転させて(各軸は図1Dおよび図1Eに示される)、単眼用器具10の既定の分解能、画像位置合わせおよび像面湾曲の要求が満たされるまで、目標画像(図示せず)にイメージ増倍管組立体12を位置合わせする。
【0035】
そして、エポキシ(または他の液体接着剤)を位置合わせピン35に塗布してハウジング20の貫通穴27Aおよび貫通溝27B内に供給して、イメージ増倍管ハウジング20を光学台14に接合する。必要な場合、エポキシを容易に除去できるので、イメージ増倍管組立体12を再び位置合わせすることができる。上記で説明された例示的な組立方法は何らかの特定のステップまたはステップの順序に限定されないことを理解されたい。
【0036】
最終組立段階でイメージ増倍管組立体12を能動的に位置合わせすることによってイメージ増倍管組立体12のきわめて正確な位置決めが得られる。これと対称的に、従来の増強イメージ増倍管(intensified image intensifier tube)の位置は、硬化せしめられた注封化合物の変化の結果、イメージ増倍管を光学台に設置した後でもずれることがある。さらに、最終組立段階でイメージ増倍管組立体12を能動的に位置合わせすることによって、イメージ増倍管を注封前に直視して位置合わせするための専用ガスの必要がなくなる。
【0037】
ここで図7を参照すると、エポキシ(または他の液体接着剤)の上記の利点は光学システムのデジタルセンサにも応用される。図7は、本発明の別の例示実施形態に係るデジタルセンサ組立体70を示す。デジタルセンサ組立体70は、ハウジング72内に設置された、CMOSチップまたはCCDチップでありうるデジタルセンサ71を含む。ハウジング72は、3つの設置面(面73および76だけが図示される)を含むという点でハウジング20と同様である。3つの設置面はすべて基準面‘C’に配置される。
【0038】
設置面73は、締結具(図示せず)を受け入れる寸法の貫通穴74を含む。設置面76は、締結具(図示せず)を受け入れる寸法の貫通穴78とピン80を受け入れる寸法の貫通穴81とを含む。図7において示されない第3の設置面は貫通穴78および貫通溝を含む。(図示されるように)貫通穴81はハウジング72内に形成されてもよい。代替的には、別の例示実施形態によれば、品目80が、貫通穴78に挿入されるブッシングを示す。
【0039】
デジタルセンサ組立体70は光学システムの光学台90に設置される。光学台90は、図7において概略的に示されるが、図1A〜図1Eの光学台14と同様のものでもよい。2つの位置合わせピン80が光学台90に固定され且つ光学台90の設置面91から突出する。各位置合わせピン80は、デジタルセンサハウジング72の貫通穴81および貫通溝内に配置される寸法である。
【0040】
以下、デジタルセンサ組立体70を光学システムの光学台90に位置合わせする2つの異なった方法を説明する。デジタルセンサ組立体70を光学台90に取り付ける第1の方法によれば、2つの位置合わせピン80をデジタルセンサハウジング72の相補的な貫通穴81および貫通溝に挿入する。デジタルセンサ組立体70の基準面‘C’が光学台90の設置面91に当接するまで、光学台90とデジタルセンサ組立体70とを互いに平行移動させる。
【0041】
そして、手作業によってデジタルセンサ組立体70を、(概略的に図示される)目標画像95に対してX軸およびY軸に沿って平行移動させ且つZ軸回りに回転させて(各軸は図7において示される)、既定の分解能、像面湾曲、中心画素の位置合わせおよび走査線の位置合わせの要求を満たす。デジタルセンサ組立体70の望ましい位置を一旦確立したら、エポキシを位置合わせピン80に塗布してデジタルセンサハウジング72の貫通穴81内に供給して、デジタルセンサ組立体70を光学台90に接合する。必要な場合、エポキシを容易に除去できるので、デジタルセンサ組立体70を再び位置合わせすることができる。
【0042】
ハウジング72の各貫通穴78、74に締結具(図示せず)を挿入し、光学台の相補的なねじ穴にねじ込んで、デジタルセンサ組立体70を光学台90に設置する。最終組立段階でデジタルセンサ組立体70を能動的に位置合わせすることによってデジタルセンサ組立体70のきわめて正確な位置決めが得られることが発見されている。上記で説明した例示的な組立方法は何らかの特定のステップまたはステップの順序に限定されないことを理解されたい。
【0043】
デジタルセンサ組立体70を光学台90に取り付ける第2の方法によれば、光学台90に設置する前に、位置合わせ台92を利用してデジタルセンサ組立体70を予め位置合わせする。光学台90と位置合わせ台92とは全く異なるものでもよいが、これらは図7では概略的に同じ物体によって表される。位置合わせ台92は、位置合わせ台92の設置面94から突出する2つの位置合わせピン82を含む。まず、デジタルセンサハウジング72の相補的な貫通穴81および貫通溝(図示せず)に位置合わせ台92の位置合わせピン82を挿入する。そして、デジタルセンサ組立体70の基準面‘C’が位置合わせ台92の設置面94に当接するまで、位置合わせ台92とデジタルセンサ組立体70とを互いに平行移動させる。
【0044】
デジタルセンサ組立体70を手作業によって、目標画像に対してX軸およびY軸に沿って平行移動させ且つZ軸回りに回転させて(各軸は図7に示される)、デジタルセンサ組立体70が設置された光学システムの既定の分解能、像面湾曲、中心画素の位置合わせおよび走査線の位置合わせの要求を満たす。デジタルセンサ組立体70の望ましい位置を一旦確立したら、エポキシ(または何らかの他の液体接着剤)を位置合わせピン82に塗布してデジタルセンサハウジング72の貫通穴81および貫通溝内に供給して、位置合わせピン82をデジタルセンサ組立体70に接合する。一旦エポキシが硬化しても、デジタルセンサハウジング72と、エポキシで接着された位置合わせピン82とは容易に位置合わせ台92から取り外される。その後、デジタルセンサ組立体70は光学台90に設置可能な状態になる。
【0045】
光学台90に配置された相補的な穴99(1つを図示する)に位置合わせピン82を挿入する。デジタルセンサ組立体70の基準面‘C’が光学台90の設置面91に当接するまで、光学台90とデジタルセンサ組立体70とを互いに平行移動させる。ハウジング72の各貫通穴78、74に締結具(図示しないが、図1Eの締結具30と同様のもの)を挿入して光学台90の相補的なねじ穴にねじ込み、デジタルセンサ組立体70を光学台90に設置する。
【0046】
上記で説明した例示的な組立方法は何らかの特定のステップまたはステップの順序に限定されないことを理解されたい。さらに、図7のデジタルセンサ組立体70を参照して組立方法のステップを説明したが、これらステップは図1A〜図1Eのイメージ増倍管組立体12に適用することもできる。
【0047】
特定の実施形態を参照して本発明を例示し且つ説明したが、図示された細部に本発明を限定する意図はない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内で本発明の思想から逸脱することなく細部に様々な修正を行うことができる。例えば、本発明の細部は単眼用器具に限定されず、例えば、カメラ、カムコーダ、暗視メガネ、または暗視スコープといった任意の光学システムに適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学台と、該光学台に設置されるように構成される撮像素子とを含む光学システムにおいて前記光学台上に前記撮像素子を位置合わせする方法において、
前記光学台または前記撮像素子の何れかの設置面から延びる位置合わせピンを、前記光学台および撮像素子の他方において画定された穴に挿入するステップと、
前記光学システムの既定の中心画素、走査線、および/または分解能の要求を満たすべく、前記ピンを前記穴に挿入したまま前記光学台の設置面上において前記撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して前記撮像素子を位置合わせするステップと、
前記穴に対する前記ピンの位置をずらすことなくエポキシまたは他の液体接着剤を前記ピンおよび穴に塗布して、前記光学台を前記撮像素子に設置するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
さらに、前記光学台の設置面に隣接して該光学台に対物レンズを設置するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記撮像素子が、増強イメージ増倍管、CCD(電荷結合素子)およびCMOS(相補型金属酸化膜半導体)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記ピンまたは前記穴の何れかを含む撮像素子ハウジング内に前記撮像素子を設置するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記挿入するステップが、前記光学台または前記撮像素子の何れかの設置面から延びる2つのピンを、前記光学台および撮像素子の他方において画定された2つの穴に挿入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、少なくとも1つの締結具を使用して前記光学台を前記撮像素子に固定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記位置合わせピンがブッシングの形態で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
光学台と、該光学台に設置されるように構成される撮像素子とを含む光学システムにおいて前記撮像素子を前記光学台上に取り付ける方法において、
位置合わせ固定具の設置面から延びる位置合わせピンを、前記撮像素子において画定された穴に挿入するステップと、
前記光学システムの既定の中心画素、走査線、および/または分解能の要求を満たすべく、前記ピンを前記穴に挿入したまま前記位置合わせ固定具の設置面上において前記撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して前記撮像素子を位置合わせするステップと、
エポキシまたは他の液体接着剤を前記ピンおよび穴に塗布して前記ピンを前記撮像素子に接合するステップと、
前記撮像素子の穴に対する前記ピンの位置をずらすことなく、該ピンおよび撮像素子を前記位置合わせ固定具から取り外すステップと、
前記光学台において画定された穴に前記撮像素子のピンを挿入して、該撮像素子を前記光学台上に取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項9】
さらに、前記光学台に対物レンズを設置するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記撮像素子がCCD(電荷結合素子)またはCMOS(相補型金属酸化膜半導体)である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記挿入するステップの前に、撮像素子ハウジング内に前記撮像素子を設置するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記挿入するステップが、前記位置合わせ固定具の設置面から各々延びる2つのピンを、前記撮像素子において画定された2つの穴に挿入することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
さらに、少なくとも1つの締結具を使用して前記光学台を前記撮像素子に固定するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記位置合わせピンがブッシングの形態で提供される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
光学台に設置されるように構成される撮像素子を含む光学システムにおいて目標画像に対して前記撮像素子を位置合わせする方法において、
位置合わせ固定具の設置面から延びる位置合わせピンを、前記撮像素子において画定された穴に挿入するステップと、
前記光学システムの既定の中心画素、走査線、および/または分解能の要求を満たすべく、前記ピンを前記穴に挿入したまま前記位置合わせ固定具の設置面上において前記撮像素子を平行移動させ且つ/または回転させることによって目標画像に対して前記撮像素子を位置合わせするステップと、
エポキシまたは他の液体接着剤を前記ピンおよび穴に塗布して前記ピンを前記撮像素子に接合するステップと
を含む方法。
【請求項16】
さらに、前記撮像素子の穴に対する前記ピンの位置をずらすことなく、該ピンおよび撮像素子を前記位置合わせ固定具から取り外すステップと、
前記光学台において画定された穴に前記撮像素子のピンを挿入して、該撮像素子を前記光学台上に取り付けるステップと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記撮像素子がCCD(電荷結合素子)またはCMOS(相補型金属酸化膜半導体)である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記挿入するステップの前に、撮像素子ハウジング内に前記撮像素子を設置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記挿入するステップが、前記位置合わせ固定具の設置面から各々延びる2つのピンを、前記撮像素子において画定された2つの穴に挿入することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記位置合わせピンがブッシングの形態で提供される、請求項15に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−75101(P2012−75101A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−207391(P2011−207391)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(505194077)アイティーティー マニュファクチャリング エンタープライジーズ, インコーポレイテッド (114)
【Fターム(参考)】