説明

光学シート、光学シートの製造方法、およびバックライトユニット

【課題】車載用の液晶表示装置に用いられるバックライトとして十分な視野角および輝度を有するバックライトを構成しうる光学シートを提供する。
【解決手段】本発明の光学シート2は、横断面凸弧状である多数の凸条23と、横断面凹弧状である多数の凹条24とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有する第一面21と、非平滑面である第二面22とを有し、前記凸条は、横断面凸弧状の曲率半径が10μm〜30μmであり、前記凹条は、横断面凹弧状の曲率半径が10μm〜30μmであり、前記非平滑面は、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.5μm〜2μmかつ最大高さ粗さ(Rz)で5μm〜30μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などのバックライトユニットの構成要素として使用可能な光学シート、その製造方法、およびバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等のバックライトユニットとしては、光源に冷陰極管を用い、その光源を導光板の端面(エッジ)に置き、導光板の光射出面上に光学シート等を置き、導光板の下面(光射出面の対向面)に反射材を置いたエッジライト方式が一般的である。また、導光板の形状や光学シートの形状、種類等を調整することにより、光利用効率を向上させ、輝度を向上させる工夫がなされたり、光射出面より全方向にできるだけ均一に光を射出させる工夫がなされたりしている。
【0003】
特許文献1に記載のバックライトユニットでは、プリズムを用いて、光射出面に対し法線方向に集中的に光を射出させ、法線方向の輝度を向上させるように工夫されている。また、特許文献2に記載のバックライトユニットでは、調光シートの射出面である表面形状、及び導光板との接触面である裏面形状を工夫し、正面方向について高い輝度が得られ、かつ視野角が大きくなるように構成されている。
【特許文献1】特開昭62−144102号公報
【特許文献2】特開平5−313004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、カーナビゲーションに用いられる液晶表示装置においては、十分な視野角を有しかつ高輝度であることが望まれており、光利用効率の向上が望まれていた。特許文献1のようにプリズムを用いたバックライトユニットでは、光の入射方向と出射方向が厳密に定まり過ぎるために、出射方向は狭い角度範囲で正面方向に偏向し、画面の視野角が狭くなり過ぎるという問題があった。特許文献2においては、視野角の輝度が十分に確保できない場合があるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載用の液晶表示装置に用いられるバックライトとして十分な視野角および輝度を有するバックライトユニットを構成しうる光学シート、その光学シートを製造する方法、およびその光学シートを用いたバックライトユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光学シートは、横断面凸弧状である多数の凸条と、横断面凹弧状である多数の凹条とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有する第一面と、非平滑面である第二面とを有し、前記凸条は、横断面凸弧状の曲率半径が10μm〜30μmであり、前記凹条は、横断面凹弧状の曲率半径が10μm〜30μmである構成とする。前記非平滑面は、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.5μm〜2μmかつ最大高さ粗さ(Rz)で5μm〜30μmである。本明細書において、算術平均粗さ(Ra)および最大高さ粗さ(Rz)は、JIS B 0601−2001に記載の通りである。
【0007】
前記光学シートは、好ましくは、ポリカーボネートからなる。前記光学シートの厚みは、好ましくは、50μm〜500μmである。
【0008】
また、本発明は、上記光学シートの製造方法であって、押出ダイから押出されたシート状樹脂材料を、少なくとも一対の加圧ロールで加圧させながらその間隙を通過させる工程を有し、前記一対の加圧ロールの少なくとも一方の加圧ロールの表面が弾性材料からなる。表面が弾性材料で構成される加圧ロールにより、非平滑面である第二面を形成することができる。また、一方の加圧ロールの表面が弾性材料からなり、他方の加圧ロールの表面が金属材料からなる一対の加圧ロールを用いることにより、その表面が弾性材料からなる加圧ロールにより第二面を、その表面が金属材料からなる加圧ロールにより第一面を形成することができる。
【0009】
また、本発明のバックライトユニットは、光源と、導光板と、上記の光学シートとを備え、前記光源からの光が、前記導光板を介して前記光学シートの第一面に入射され、第二面から出射される構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光学シートによると、車載用の液晶表示装置に適した、十分な視野角および輝度を有するバックライトユニットを提供することができる。また、本発明の製造方法によると、十分な視野角および輝度を有し、かつ偏光ムラがない光学シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、本発明を、面状のバックライトユニットに適用した場合について説明するが、本発明の光学シートは、面状のバックライトユニットに限定されることはない。
【0012】
[バックライトユニットの構成]
図1は、本発明の光学シートを備える面状のバックライトユニットの構成を模式的に示す断面図である。面状のバックライトユニット1は、本発明の光学シート2と、光学シート2の後方に設けられた導光板3と、導光板3の両側面に設けられた光源4と、導光板3の後方に設けられた反射板5とを具備する。
【0013】
次に、バックライトユニット1を構成する各素子について説明する。図2は、本発明の光学シート2の一部構成を模式的に示す断面図である。光学シート2は、導光板3と接する第一面21が横断面凸弧状である多数の凸条23と、横断面凹弧状である多数の凹条24とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有し、出光面となる第二面22が非平滑面である。第一面21において、その凸条23は、横断面凸弧状の曲率半径r1が10μm〜30μmであり、凹条24は、横断面凹弧状の曲率半径r2が10μm〜30μmである。好ましくは曲率半径r1が20μm〜30μmであり、曲率半径r2が18μm〜28μmである。なお、上述の凸条23および凹条24として、おおよそ上述の曲率半径を有する範囲内で多少湾曲ないし屈曲しているものも含まれるものとする。また、第一面21において、多数の凸条23と多数の凹条24とが交互にかつ略平行状に配列されているとは、多数の凸条23の各頂部23aおよび多数の凹条24の各谷部24aがそれぞれ略平行であることを意味する。近接する凸条23の頂部23a間の距離l1は、好ましくは80μm〜110μm、さらに好ましくは93μm〜100μmである。
【0014】
第二面22において、その非平滑面は、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.5μm〜2μmであってかつ最大高さ粗さ(Rz)で5μm〜30μmである。好ましくは表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.8μm〜1.1μmであってかつ最大高さ粗さ(Rz)で6μm〜12μmである。バックライトユニット1において、光学シート2はその第一面21を入光面、第二面22を出光面となるように配置しているが、光学シートの配置方向は逆であっても良い。すなわち第二面22が入光面に、第一面21が出光面になるように配置しても良い。ただし、より好ましくは第一面21が入光面に、第二面22が出光面になるように配置する。光学シート2の出光面が第二面22のような非平滑面であることにより、高い輝度が得られ、かつ高い光利用効率が得られる。
【0015】
光学シート2の厚みh1は、好ましくは50μm〜500μmである。50μ未満であると、凸条23および凹条24の賦型が困難となる場合がある。
【0016】
光学シート2の材料としては、透明な有機材料もしくは無機材料であれば特に限定されない。透明な有機材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、環状ポリオレフィンなどの樹脂が挙げられる。透明な無機材料としては、例えばガラスが挙げられる。光学的に透明度が高く、耐熱性があり、また安価であることからポリカーボネートが好ましく用いられる。
【0017】
図1に示すバックライトユニット1を構成するその他の各素子について説明する。光源4としては、通常、陰極管が用いられる。陰極管は、冷陰極管であっても熱陰極管であってもよい。光源4は、導光板3の左右両側面に設けられている。なお、光源4が導光板3の上下両側面に設けられている構成、四側面のいずれか一側面のみに設けられている構成、三方の側面に設けられている構成、または四方全側面に設けられている構成であっても良い。
【0018】
導光板3は、ガラス、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート等の透明性の良好な材料からなり、その背面すなわち反射板5側の面に、光源4からの光を出光面のどの位置からも均一に出光するように乱反射を起こさせる印刷ドットパターンが施されているものが好ましい。
【0019】
反射板5は、光線を遮断する作用のある板状のものであれば限定されず、例えば白色顔料を混入した樹脂板、発泡樹脂板、金属樹脂板、金属板等が挙げられる。反射板5は、導光板3の非出光面側に接触するように配される。
【0020】
なお、上述の素子以外の他の素子を具備するものであってもよい。例えば、光学シート2の出光面側もしくは導光板3と対向する面側にさらに光拡散シートを備える構成であってもよい。光拡散シートは、光を拡散させるので、例えば導光板に印刷ドットパターンが形成されている場合、印刷ドットパターンの形状が使用者に視認されないように光線を拡散させる作用を有するものが好ましい。光拡散シートとしては、従来公知の光拡散剤練込タイプまたはランダム凹凸加工タイプを用いることができる。光拡散シートの厚さは限定されないが、通常10μm以上、好ましくは20μm〜300μmである。この厚さが10μm未満であると、十分な拡散性が得られないことがある。光拡散シートを構成する樹脂は透明な樹脂であれば特に限定されず、例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。光拡散剤としては、従来公知のものが適用でき、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、または酸化チタン、シリカ、アルミナ、アクリル、ウレタン、ポリエステル、ナイロンからなる微粒子等が挙げられる。
【0021】
バックライトユニット1において、光源4から発光された光は、導光板3に入射され、反射板5で反射された後光学シート2の第一面21に入射され、その後第二面22から出射される。
【0022】
光学シート2の製造方法および第一面21の凸条23と凹条24の形成方法としては、使用する材質等によって適宜選択されれば良く、例えば、鋳造、溶剤キャスティング、異形押出成形、押出成形しながらのロールエンボッシング、平板への熱プレス、モノマーキャスティング、射出成形等が挙げられるが、これらに限定されない。また、第二面22における非平滑面の形成方法としては、第一面21の形成と同時にロール、金型などのパターンを転写する方法や、成形済のシートにカレンダー掛け、サンドブラスト、ケミカルエッチング、マット加工法、プレス法などで賦型する方法が適用可能である。光学シート2の製造方法として特に好適な方法は、押出成形法である。
【0023】
[光学シートの製造方法]
以下、図3を用いて本発明の光学シート2の製造方法の一態様を説明する。
【0024】
図3は、光学シートを製造するためのシート押出成形装置の一部を示す概略図である。図3においては、シート押出成形装置10のダイ11、弾性ロール12、金属ロール13、およびガイドロール14を示す。弾性ロール12と金属ロール13とで一対の加圧ロールを構成する。弾性ロール12は、少なくともその表面が弾性材料からなる構成であれば、その芯体の材料は特に限定されることはなく、例えば弾性材料、金属材料で形成し得る。また、弾性ロール12の直径は、その機械的強度が保持できれば限定されない。さらに、芯体の表面が弾性材料からなる弾性シートで被覆されている構成の弾性ロールにおいて、弾性シートの厚さはその機械的強度が保持できれば限定されない。弾性ロール12を形成する弾性材料としては、シート状樹脂材料15が接触しても溶融せず、また粘着性を発現させない材料であれば限定されることはなく、シリコンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPT、EPDM)、ウレタンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、フッ素ゴム等のゴム材料が例示される。弾性ロール12の表面は、非平滑面である。非平滑面は、研磨により微細凹凸を付与することにより形成することができる。
【0025】
金属ロール13は、金属材料からなり、その表面に微細な凹凸パターンが形成されている。金属ロール13の表面の微細な凹凸パターンの形成方法は特に限定されることはない。例えば、感光性樹脂を塗布したガラス原盤をフォトマスクなどを用いて露光、現像して凹凸パターン付きガラス原盤を作製し、該原盤に無電解ニッケルメッキなどを施した後、電鋳槽内でニッケルを更に厚くすることで、凹凸パターンを有する金属部材を得て、これを金属ロール13の表面部材とする方法や、真鍮板などの金属板を精密旋盤等を用いて、直接、凹凸パターンを削り出す方法等が挙げられる。
【0026】
不図示の押出混合部にて溶融および混合された樹脂材料は、押出ダイ11に供給される。押出ダイ11内部でシート状に加工された溶融または軟化状態のシート状樹脂材料15は、弾性ロール12と金属ロール13との間隙で押し付けられ、金属ロール13と接する面に金属ロール13の微細な凹凸パターンが転写され、また弾性ロール12と接する面は非平滑面となる。その後、ガイドロール14を通過し冷却されると同時に、反り及び残留歪みが調整され、樹脂シート16として不図示の巻き取り部にて巻き取られる。そして、所望の大きさにカットされて、多数の凸状と多数の凹状とが交互に平行に形成された第一面21と、非平滑面である第二面22とを備える光学シート2が製造される。光学シート2において、金属ロール13に接した面が第一面21となり、弾性ロール12に接した面が第二面22となる。金属ロール13においては、所望の凹凸加工が施しやすく、第一面21におけるような規則的な繰り返し凹凸形状を付与するための加工が施しやすいからである。
【0027】
ところで、一対の加圧ロールのいずれもが金属ロールからなる構成の場合、樹脂に厚みムラが生じると樹脂に逃げ場が無いため応力が集中してしまい偏光ムラが生じる可能性がある。また、加圧ロールの凹凸パターンの転写性を良好なものとするためには、加圧ロールの押付圧を高く設定する必要があるが、押付圧を高くすると、樹脂溜りが生じ、光学シートにおける偏光ムラの要因となることがある。上記製造方法においては、一対の加圧ロールを構成する一方のロールの表面が弾性材料で形成されるので、樹脂の厚みムラや樹脂溜りが生じにくく、偏光ムラが発生しにくい光学シートを製造することが可能となる。
【0028】
上述の実施形態のバックライトユニットは、液晶表示装置に用いることができる。その輝度特性、視野角特性から、例えば、車載用の液晶表示装置に用いるのに好適である。
【実施例】
【0029】
本発明を実施例により具体的に説明する。
【0030】
上述の実施形態のバックライトユニットにおいて、実施例1、比較例1、比較例2の光学シートとして、それぞれ以下に示す光学シートを用いた。
【0031】
実施例1:上述の実施形態の製造方法により、光学シート2を形成した。横断面凸弧状である多数の凸条と、横断面凹弧状である多数の凹条とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有する第一面と、非平滑面である第二面とを有する光学シートが得られた。樹脂材料として、ポリカーボネートを用いた。実施例1の光学シート2の厚さh1は150μm、第一面21において、凸条23の横断面半径r1は25.3μm、凹条24の横断面半径r2は23.9μm、近接する凸条23の頂部23a間の距離l1は96.7μm、凹条24の谷部24aと凸条23の頂部23aとの高さの差h2は26.0μmであった。第二面22において、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で1.09μm、最大高さ粗さ(Rz)で9.36μmであった。
【0032】
比較例1:実施例1の光学シートの製造方法とは、弾性ロール12に代えて表面が鏡面の金属ロールを用いた点のみ異なる。横断面凸弧状である多数の凸条と、横断面凹弧状である多数の凹条とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有する第一面と、平滑面である第二面とを有する光学シートが得られた。比較例1の光学シートの厚さh1は150μm、第一面において、凸条の横断面半径r1は16.3μm、凹条24の横断面半径r2は25.3μm、近接する凸条の頂部間の距離l1は96.7μm、凹条の谷部と凸条の頂部との高さの差h2は35.8μmであった。
【0033】
比較例2:市販品の光学シート(商品名:W818、積水化成社製)を用いた。かかる光学シートは、横断面凸弧状である多数の凸条と、横断面凹弧状である多数の凹条とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有する第一面と、非平滑面である第二面とを有する光学シートである。比較例2の光学シートの厚さh1は177μm、第一面において、凸条の横断面半径r1は20.6μm、凹条24の横断面半径r2は15.9μm、近接する凸条の頂部間の距離l1は99μm、凹条の谷部と凸条の頂部との高さの差h2は33.5μmであった。第二面において、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.27μm、最大高さ粗さ(Rz)で2.36μmであった。
【0034】
実施例1、比較例1および2において、厚さh1、横断面半径r1、横断面半径r2、距離l1、高さの差h2は、30mm×30mmのサイズで試験片を切り出し、超深度形状測定顕微鏡(VK−8500、キーエンス社製)にて取得した画像に基づいて測定した値であり、算術平均粗さ(Ra)、および最大高さ粗さ(Rz)は、表面粗さ測定機(サーフテストSJ-201P、株式会社ミツトヨ製)により測定した値である。
【0035】
(輝度評価試験)
実施例1、比較例1および2の各光学シートを第一面が入光面、第二面が出光面となるように配置したバックライトユニットについて、光源に対して平行方向の輝度と、光源に対して垂直方向の輝度とを測定した。
【0036】
光源に対して平行方向の輝度の測定方法について図4を用いて説明する。図4は、上下側面に光源(不図示)を配置した面状発光装置1の光源に平行な方向(左右方向)での断面図である。出光面の法線方向を0°とし、面状発光装置1上のある任意の点Aを測定対象点とし、点Aを通りかつ光源に平行な直線を軸として−80°〜+80°の範囲の複数の位置(点Aから50cmの位置)から、輝度計7によって測定した。
【0037】
輝度測定において、陰極管、導光板、反射板として下記のものを用いて、面状発光装置1を構成した。また、輝度計7として下記のものを用いた。
【0038】
陰極管:直径3.0mm、長さ130mmの冷陰極管
導光板:縦130mm、横260mm、厚さ3.0mm、材質アクリル樹脂、下面に乱反射用印刷が施されている
反射板:厚さ100μm、白色顔料(酸化チタン)20重量%を練り込んだポリカーボネート
輝度計:BM−7(トプコン製)
表1に、光源に対して平行方向の各測定位置における輝度の値を示す。図5は、表1の値をプロットしたものであり、光源に対して平行方向の測定位置と輝度との関係を示す図である。
【0039】
光源に対して垂直方向の輝度を、光源に対して平行方向の輝度測定と方向のみ異なる点以外同様の方法で測定した。表2に、光源に対して垂直方向の各測定位置における輝度の値を示す。図6は、表2の値をプロットしたものであり、光源に対して垂直方向の測定位置と輝度との関係を示す図である。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

図5,図6からわかるように、実施例1の光学シートを用いた場合、比較例1の光学シートを用いた場合より法線方向近傍において優れた輝度を示し、また比較例2の光学シートを用いた場合より法線方向近傍を含む全領域において優れた輝度を示す。したがって、所定以上の輝度が得られる範囲が実施例1の光学シートを用いた場合の方が比較例2の光学シートを用いた場合より広く、広視野角のバックライトユニットの構成が容易である。例えば、上述の輝度評価試験において、平行方向において2750(cd/m)以上の輝度が得られる範囲は、実施例1の光学シートを用いた場合−40°〜+37.5であるのに対し、比較例2の光学シートを用いた場合−35°〜+35°である。
【0042】
(偏光ムラ評価試験)
実施例1、比較例1および2の光学シートを備えたバックライトユニットについて、任意の5点におけるリタデーション値(複屈折)を測定した。リタデーション値は、王子計測機器株式会社製の自動複屈折計(KOBRA−21ADH)により、590nmの波長に対する値を測定した。その結果を表3に示す。
【0043】
【表3】

表3に示す結果から、実施例1の光学シートを用いた場合、比較例1の光学シートを用いた場合より、リタデーション値のバラツキが小さいことがわかる。すなわち、実施例1の光学シートは、比較例1の光学シートと比較して偏光ムラが少ないことになる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の光学シートは、液晶表示装置の光源装置の構成要素として有用であり、特に車載用の液晶表示装置の光源装置の構成要素として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の光学シートを備える面状光源装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の光学シート2の一部構成を模式的に示す断面図である。
【図3】光学シートを製造するためのシート押出成形装置の一部を示す概略図である。
【図4】光源に対して平行方向の輝度の測定方法を示す図である。
【図5】光源に対して平行方向の測定位置と輝度との関係を示す図である。
【図6】光源に対して垂直方向の測定位置と輝度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 バックライトユニット
2 光学シート
3 導光板
4 光源
5 反射板
7 輝度計
10 押出成形装置
11 ダイ
12 弾性ロール
13 金属ロール
14 ガイドロール
15 シート状樹脂材料
16 樹脂シート
21 第一面
22 第2面
23 凸条
23a 凸条の頂部
24 凹条
24a 凹条の谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面凸弧状である多数の凸条と、横断面凹弧状である多数の凹条とが交互にかつ略平行状に配列された形状を有する第一面と、非平滑面である第二面とを有し、
前記凸条は、横断面凸弧状の曲率半径が10μm〜30μmであり、
前記凹条は、横断面凹弧状の曲率半径が10μm〜30μmであり、
前記非平滑面は、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.5μm〜2μmかつ最大高さ粗さ(Rz)で5μm〜30μmである、請求項1に記載の光学シート。
【請求項2】
ポリカーボネートからなる、請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
厚みが50μm〜500μmである、請求項1または2に記載の光学シート。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の光学シートの製造方法であって、
押出ダイから押出されたシート状樹脂材料を、少なくとも一対の加圧ロールで加圧させながらその間隙を通過させる加圧工程を有し、
前記一対の加圧ロールの少なくとも一方の加圧ロールの表面が弾性材料からなる、光学シートの製造方法。
【請求項5】
前記一対の加圧ロールの一方の加圧ロールの表面が弾性材料からなり、他方の加圧ロールの表面が金属材料からなる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
光源と、導光板と、請求項1乃至3いずれかに記載の光学シートとを備え、
前記光源からの光が、前記導光板を介して前記光学シートの第一面に入射され、第二面から出射される、バックライトユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−3183(P2009−3183A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164122(P2007−164122)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000165088)恵和株式会社 (63)
【Fターム(参考)】