説明

光学シートとその作製方法、映像表示装置、及び金型ロールとその作製方法

【課題】 表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供する。
【解決手段】 基材層の一方の面に、光を透過可能に光学シートのシート面に沿って並列された光透過部と前記光透過部間に光を吸収可能に並列された光吸収部とを有するコントラスト向上層を配しており、且つ、基材層の前記一方の面側でない他方側に、あるいは、前記コントラスト向上層の前記基材層とは反対側に、直接にあるいは間接に、表示パネルに付けるための粘着剤層を配しており、前記コントラスト向上層の光透過部の入射側の中心から光透過部の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルより観察者側に配置され、該表示パネル側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シートとその作製方法、及び該光学シートを用いた表示装置に関し、特に、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートとその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも言う)を用いたテレビ等の表示装置では、観察者に良質な映像を提供するためにPDPの観察者側に光学シートが配置されている。
このような光学シートには、PDPからの映像光を透過させる光透過部(プリズム部とも言う)がシート面に沿って並列され、且つ、映像光や外光を適切に遮断又は反射してコントラストを向上させたり、ゴーストを抑制したりする光吸収部が光透過部間に配置されている。(特許文献1(特開2006−189867号公報)参照)。
【0003】
最近では、プラズマテレビの薄型化等の観点から上記光学シートを直接又はある層を介してPDPに貼りつける直貼り方式と呼ばれる手法が採用されることが増えてきている(特許文献2(特開2009−031322号公報)、引用文献3(特開2008−020878号公報)参照)。
この直貼り方式の場合には、光学シートに粘着剤層を備える必要があるため、例えば図9(a)に示したような、PDP側(紙面左側)から観察者側(紙面右側)に向けて、PDPに付けるための粘着剤層313、光透過部(プリズム部)312aと光吸収部312bを有し映像光や外光の遮断や反射を制御してコントラストを向上させたり、ゴーストを抑制したりするコントラスト向上層312、基材となるPETフィルム層311がこの順で積層されている層構成の光学シート320となる。
ここで、コントラスト向上層312は上記光透過部(プリズム部)312a、光吸収部312bを、シート面に沿って配列している層である。
当該構成により、光学シート320をPDPに直貼りすることが可能であった。
あるいは、例えば、図9(b)に示すように、PDP側(紙面左側)から観察者側(紙面右側)に向けて、粘着剤層313、基材であるPETフィルム層311、コントラスト向上層312が、この順で積層されている層構成の光学シート320Aとなる。
図9(a)に示す光学シート320と図9(b)に示す光学シート320Aとは、粘着材層313に対して、コントラスト向上層312と基材であるPETフィルム層311の積層順が逆になっている。
【0004】
このような光学シートにおいては、シートの全面において、図7に示すような、断面形状で、それぞれ、等脚台形形状の光透過部(プリズム部)112a、光吸収部112bが所定のピッチで並列されているコントラスト向上層112を配した場合には、
(1)画面正面で観察する場合、画面上下が暗くなってしまう。
(2)上方から画面を見下ろして観察する場合、特に画面下が暗くなってしまう。
(3)画面上は天井からの外光角度が浅いので、外光が入りやすく、明室コントラストが低下する。
(4)画面下は天井からの外光角度が深いので、外光が入りにくく、明室コントラストが高い。
という問題がある。
尚、図7においては、説明を分かり易すくために上記光学シートの層構成のコントラスト向上層112のみを示しており、表示パネルは紙面左側にあり、光学シートが表示パネルの観察者側に配置されている。
図7中、112cは光透過部112aと同じ材料からなる層で、17d、17e、17fは、各位置における映像光の光透過部112aからの出射光の各方向における光強度分布を相対的に示した図(光強度分布図)である。
また、図8(a)(引用文献2(特開2009−031322号公報)参照)に示すような光学シート100、あるいは、図8(b)(引用文献3(特開2008−020878号公報)参照)に示すコントラスト向上層212を有する光学シートの場合、コントラスト向上層(図8(a)の112、図8(b)の212)の上下が非対称であるため、光学シートが単体のとき、上下反転していても上下の判別が困難であり、管理が難しいという問題がある。
尚、図8(a)のU、Dは上部、下部を意味しており、図8(b)においては、θ1<θ2である。
また、図8(b)(引用文献3(特開2008−020878号公報)参照)に示すコントラスト向上層212を有する光学シートにおいては、全体的に視野角が下に向くことになり、上から見ると暗いという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−189867号公報
【特許文献2】特開2009−031322号公報
【特許文献3】特開2008−020878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、図7に示すように光学シートを配した場合には、天井の外光(照明光)の影響により、画面上下の明室コントラストに差が出てしまい、図8(a)に示す光学シート100あるいは、図8(b)に示すようなコントラスト向上層212を有する光学シートの場合には、コントラスト向上層(図8(a)の112、図8(b)の212)の画面の上下が非対称であるため、光学シートが単体のときには、上下反転していても上下の判別が困難であり、管理が難しくなり、更に、図8(b)に示すコントラスト向上層212を有する光学シートの場合は、全体的に視野角が下に向くことになり、上から見ると暗いという不具合があり、これらの問題を解決できる光学機能シート層を有する光学シートが求められていた。
本発明は、これらに対応するもので、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学シートは、表示装置の表示パネルの観察者側に配置され、表示パネル側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シートであって、基材層の一方の面に、光を透過可能に光学シートのシート面に沿って並列された光透過部と前記光透過部間に光を吸収可能に並列された光吸収部とを有するコントラスト向上層を配しており、且つ、基材層の前記一方の面側でない他方側に、あるいは、前記コントラスト向上層の前記基材層とは反対側に、直接にあるいは間接に、表示パネルに付けるための粘着剤層を配しており、前記コントラスト向上層の光透過部の入射側の中心から光透過部の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いていることを特徴とするものである。
そして、上記の光学シートであって、前記コントラスト向上層の厚さ方向断面において、光透過部は、一方側に長い下底、他方側に短い上底を有する台形であり、光吸収部は、前記他方側に底辺を有する三角形、あるいは、前記一方側に短い上底、前記他方側に長い下底を有する台形であり、且つ、前記コントラスト向上層は、前記光透過部の下底に沿い光透過部と同一材料の層をシート面に沿い配していることを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかの光学シートであって、前記光透過部の屈折率n t と見込角θとは、
30°≦asin(n t ×sinθ) ≦60°
の式を満たす関係にあることを特徴とするものである。
また、上記いずれか1項に記載の光学シートであって、最外層に反射防止層又は防眩層を備えていることを特徴とするものである。
また、上記いずれか1項に記載の光学シートであって、所定の波長の光の透過を抑制する機能を有する波長フィルタ層を備えていることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの光学シートであって、電磁波を遮蔽する機能を有する電磁波遮蔽層を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の映像表示装置は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の観察者側に請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートを配していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の光学シートの作製方法は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートの作製方法であって、前記コントラスト向上層の作製は、(a)光透過部を形成するための金型ロールを作製する工程と、(b)光透過部構成組成物を調整する工程と、(c)予め用意しておいた基材上に前記光透過部構成組成物を供給し、前記金型ロールとニップロールとの間に前記光透過部構成組成物を充填し、紫外線を照射して前記光透過部構成組成物を硬化して光透過部を形成する工程と、(d)前記金型ロールから光透過部を離型する工程とを有するものであり、前記金型ロールは、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、且つ、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心側に傾ける角度を大きくして形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の金型ロールは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートのコントラスト向上層の光透過部を形成するための金型ロールであって、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心側に傾ける角度を大きくして形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の金型ロールの作製方法は、請求項9に記載の金型ロールの作製方法であって、バイトを金型ロールの幅方向の中心側に傾ける角度を各バイトの送り毎に制御して、金型ロールの幅方向の一方の端から中心を通り他方の端へと切削を行うものであり、且つ、金型の幅方向中心部では前記中心側に傾ける角度を0とし、金型の幅方向、中心から離れるにしたがい前記中心側に傾ける角度を大きくして切削することを特徴とするものである。
【0011】
あるいは、本発明の金型ロールは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートのコントラスト向上層の光透過部を形成するための金型ロールであって、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心と逆側に傾ける角度を大きくして形成されていることを特徴とするものである。
あるいはまた、本発明の金型ロールの作製方法は、請求項11に記載の金型ロールの作製方法であって、バイトを金型ロールの幅方向の中心側に傾ける角度を各バイトの送り毎に制御して、金型ロールの幅方向の一方の端から中心を通り他方の端へと切削を行うものであり、且つ、金型の幅方向中心部では前記中心側に傾ける角度を0とし、金型の幅方向、中心から離れるにしたがい前記中心とは逆側に傾ける角度を大きくして切削することを特徴とするものである。
【0012】
(作用)
本発明の光学シートは、このような構成にすることにより、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供することを可能としている。
具体的には、基材層の一方の面に、光を透過可能に光学シートのシート面に沿って並列された光透過部と前記光透過部間に光を吸収可能に並列された光吸収部とを有するコントラスト向上層を配しており、且つ、基材層の前記一方の面側でない他方側に、あるいは、前記コントラスト向上層の前記基材層とは反対側に、直接にあるいは間接に、表示パネルに付けるための粘着剤層を配しており、前記コントラスト向上層の光透過部の入射側の中心から光透過部の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いていることにより、更に具体的には、光透過部の屈折率n t と見込角θとは、
30°≦asin(n t ×sinθ) ≦60°
の式を満たす関係にあることによりこれを達成している。
尚、具体的な形状としては、前記コントラスト向上層の厚さ方向断面において、光透過部は、一方側に長い下底、他方側に短い上底を有する台形であり、光吸収部は、前記他方側に底辺を有する三角形、あるいは、前記一方側に短い上底、前記他方側に長い下底を有する台形であり、且つ、前記コントラスト向上層は、前記光透過部の下底に沿い光透過部と同一材料の層をシート面に沿い配している形態が挙げられる。
詳しくは、本発明の光学シートにおいては、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、上記構成とすることにより、画面中央から離れた位置に対応する光透過部からの出射する出射方向による光の強度分布(図1の楕円17a、17c参照)を、観察者側に向かうように調整して、画面全体における輝度分布をバラツキの少なくすることを可能としている。
本発明においては、画面上下で視野角が中心に向くため、画面正面で観察する場合、画面上下が暗くなくなる。
また、本発明では、画面上での外光吸収性がより高くなり、明室コントラスト低下を防止できる。
また、本発明では、画面下での外光吸収性は下がるが、むしろ面内の均一性が上がる。
【0013】
光透過部の屈折率n t と見込角θとは、
30°≦asin(n t ×sinθ) ≦60°
の式を満たす関係とすることにより、
外光吸収効果が小さくなり、明室コントラストが低下することを防止でき、PDP用の視野角を確保できるものとしている。
上記式は、PDPに付けた際に、図1(b)に示すように、1つの光透過部の下側光吸収部の入射側から、上側光吸収部の出射側を結ぶ法線方向に対する角度を見込み角θとしたとき、媒質(光透過部)中のθに対して、光透過部の屈折率から、空気中に出射する視野角はasin(n t ×sinθ) と計算され、空気中に出射したときの視野角が、30°〜60°の範囲が望ましいことを意味している。
一般に、図6のような視野角特性になり、透過率の高い正面0°から高角度に行くにつれて透過率が低下し、図6の例では、40°〜50°付近で変曲点があり、それ以上の高角度でほぼ一定になるが、先のasin(n t ×sinθ) の値がこの40°〜50°の変曲点に相当する。
したがって、変曲点の角度asin(n t ×sinθ) が30°未満だと、視野角が狭すぎて、テレビ用途には不向きであり、逆に60°を超えると視野角は広いが、外光吸収効果が小さくなるので、明室コントラストが低下し、光学機能層を付与した効果がなくなってしまう不具合があり、上記式のようにasin(n t ×sinθ) を規定している。
【0014】
また、最外層に反射防止層又は防眩層を備えている請求項4の発明の形態が挙げられる。
反射防止層を備えた場合には、外光が光学シートの観察者側面で反射して観察者側に戻って、いわゆる映り込みが生じて映像が見え難くなることを抑制できる。
防眩層を備えた場合には、いわゆるぎらつきを抑制できる。
尚、防眩層は、アンチグレア層、AG層とも呼ばれることもある。
【0015】
また、所定の波長の光の透過を抑制する機能を有する波長フィルタ層を備えている請求項5の発明の形態が挙げられる。
波長フィルタ層は、所定の波長の光をフィルタリングする機能を有する層で、この形態とすることにより、所定の波長の光をフィルタリングすることができる。
フィルタリングされるべき波長は必要に応じて適宜選択することができるが、通常、映像光源から出射されるネオン線をカットしたり、赤外線、近赤外線や紫外線をカットしたりする層が用いられる。
尚、他の機能層、例えば粘着剤層などと複合化させることもできる。
【0016】
また、電磁波を遮蔽する機能を有する電磁波遮蔽層を備えている請求項6の発明の形態が挙げられる。
電磁波遮蔽層は、その名称が示す通り、電磁波を遮断する機能を有する層で、当該機能を有する層であれば特に限定されるものではないが、例えば、銅メッシュを挙げることができる。
銅メッシュのピッチ等は遮断すべき電磁波や必要な透過率、モアレの発生状況により適宜設計されるが、例えばピッチ約300μm、線幅12μmであるものを挙げることができる。
【0017】
本発明の映像表示装置は、このような構成にすることにより、プラズマディスプレイパネル(PDP)の画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、プラズマディスプレイパネル(PDP)の画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラも改善できるものとしている。
【0018】
本発明の光学シートの作製方法は、このような構成とすることにより、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートの提供を可能としている。
また、本発明の金型ロールは、このような構成とすることにより、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートのコントラスト向上層の量産を可能にしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、このように、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シート及び該光学シートの作製方法を提供することを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1(a)は本発明の光学シートの実施形態の第1の例とその使用形態を示した概略断面図で、図1(b)は第1の例の光学シートを表示パネルの観察者側に配した場合における観察者の観察状態を示した概略図である。
【図2】図2(a)は第1の例の光学シートのコントラスト向上層の光透過部を形成する際に用いる金型ロールにおける型形成の際のバイトの切削方法を説明するための概略図で、図2(b)は図2(a)に示す各切削位置(A、B、C)を金型ロールでの位置で示した図である。
【図3】図3(a)〜図3(e)は、それぞれ、本発明の光学シートの実施形態の第2の例〜第6の例とその使用形態を示した概略断面図である。
【図4】図4(a)は、金型ロールを用いた光透過部の形成を示した概略工程図で、図4(b)は光透過部間の溝部に光吸収部構成組成物を充填する工程を示した概略図である。
【図5】図5(a)、図5(b)は、それぞれ、金型ロールを示した図である。
【図6】視野角と映像光の透過率の関係を説明するための図である。
【図7】図7は従来の光学シートを表示パネルの観察者側に配した場合における観察者の観察状態を示した概略図である。
【図8】図8(a)は従来の光学シートを示した概略断面図、図8(b)は従来のコントラスト向上層を示した概略断面図である。
【図9】図9(a)、図9(b)は、従来の光学シートを示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、本発明の光学シートの実施形態の第1の例を、図1に基づいて説明する。
第1の例の光学シートは、PDP(プラズマディスプレイパネル)20の観察者側に配置され、PDP側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シート10であって、図1(a)に示すように、PDP20に粘着剤層13により付着させて用いる。
第1の例光学シートは、粘着剤層13側から、順に、基材となる基材層11、光を透過可能に光学シートのシート面に沿って並列された光透過部と前記光透過部間に光を吸収可能に並列された光吸収部とを有するコントラスト向上層12、機能層14、機能層15(反射防止層あるいは防眩層)とを積層した構造であり、粘着剤層13によりPDPに直接取り付けるものである。
機能層15としては、反射防止層あるいは防眩層のいずれか1層が配せられる。
機能層14としては、波長フィルタ層、電磁波遮蔽層の1以上の層が配せられる。
本例の光学シートにおいては、コントラスト向上層12の光透過部12aの映像光の入射側の中心から光透過部の映像光の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いている。
本例では、特に、PDP20の画面中央に対応する位置を光学シート10の中央として、光学シート10の中央から画面の上下方向に離れるにしたがい、光学シートの法線方向に対しての上記線分の角度の大きさは次第に大きくなるようになっている。
ここでは、光学シートの中央におけるシート面の法線方向を光学シートの法線方向としており、同様に、コントラスト向上層12の中央におけるシート面の法線方向をコントラスト向上層の法線方向としている。
また、第1の例においては、光透過部12aの屈折率n t と見込角θとは、
30°≦asin(n t ×sinθ) ≦60°
の式を満たす関係にある。
尚、図1(b)においては、説明を分かり易すくために図1(a)に示す光学シート10の層構成のコントラスト向上層12のみを示しており、図1(a)にも示すようにPDPパネル20は図1(b)の紙面左側にあり、光学シート10がPDPパネル20の観察者側に配置されている。
図1(b)中、12a、12b、12cは、それぞれ、光透過部、光吸収部、光透過部12aと同じ材料からなる層で、光透過部と同じ材料からなる層12cと光透過部12aとは連続しており両者の境は実際には見えないが、ここでは、便宜上、両者の境部を点線で示している。
また、図1(b)中、17a、17b、17cは、各位置における映像光の光透過部12aからの出射光の各方向における光強度分布を相対的に示した図(光強度分布図)である。
【0022】
本例では、図1(b)に示すようにコントラスト向上層12の厚さ方向断面において、光透過部12aは、映像光の入射側である一方側に長い下底、映像光の出射側他方側に短い上底を有する台形であり、光吸収部12bは、前記一方側に短い上底、前記他方側に長い下底を有する台形である。
尚、ここで言う台形とは、厳密な台形である必要はなく、略台形形状のものを意味している。
そして、コントラスト向上層12は、光透過部12aの下底に沿い光透過部と同一材料の層12cをシート面に沿い配している。
光吸収部12bの下底、及び光透過部12aの上底を一平面上に配し、光吸収部12bの上底、及び光透過部12aの下底を一平面上に配しており、光吸収部12bの下底、及び光透過部12aの上底によりコントラスト向上層12の前記他方側に一面が形成されている。
光吸収部12bの断面の台形形状は、厳密な台形である必要はなく、斜辺の傾きは必ずしも一定である必要はなく折れ線状であってもよいし、曲線状であってもよいが、光吸収部12bの断面の台形における斜辺の角度は、コントラスト向上層12のシート面の法線方向に対して0度以上10度以下であることが好ましい。
【0023】
第1の例の光学シートは、このような構成故に、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供することを可能としている。
第1の例の光学シートにおいては、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、上記構成とすることにより、画面中央から離れた位置に対応する光透過部からの出射する出射方向による光の強度分布(図1の17a、17c参照)を、観察者側に向かうように調整して、画面全体における輝度分布をバラツキの少なくすることを可能としている。
第1の例においては、画面上下で視野角が中心に向くため、画面正面で観察する場合、画面上下が暗くなくなり、また、画面上での外光吸収性がより高くなり、明室コントラスト低下を防止できる。
また、第1の例では、画面下での外光吸収性は下がるが、むしろ面内の均一性が上がる。
【0024】
第1の例の光学シートにおいては、光透過部12aの屈折率n t と見込角θとは、
30°≦asin(n t ×sinθ) ≦60°
の式を満たす関係にある構成を採ることにより、明室コントラストが低下することを防止でき、PDP用の視野角を確保できるものとしている。
【0025】
第1の例の光学シートにおいては、金型ロールを用いたコントラスト向上層の光透過部の形成において、該金型からの光透過部の離型を確保しつつ、映像光の透過率の低下を防止するために、光吸収部12aの入射側の中心と出射側の中心を結ぶ方向が、光学シートの法線方向に対し、0度以上10度以下である。(図4(a)参照)
一般に、上下対称形状の場合、光吸収部の斜面角度が、片側5度を越えると、光吸収部で吸収される映像光が多くなり、映像光の透過率が低下する不具合がある。
上記作用効果を効果的に奏するには、少なくとも画面上下で光吸収部の角度を変えることが前提となりますが、画面上下で、斜面角度が片側5度とし、光吸収部の斜面角度が最小で0度となる範囲で光吸収部の角度を上下で変えると、画面上の上が−10度、下が0度、画面中心の上が−5度、下が5度、画面下の上が0度、下が10度となります。
これより、光吸収部の入射側の中心と出射側の中心を結ぶ方向が、光学シートの法線方向に対し、0度以上10度以下と設定している。
さらに好ましくは、片側2度が望ましく、このとき、光吸収部の入射側の中心と出射側の中心を結ぶ方向が、光学シートの法線方向に対し、0度以上4度以下となります。
【0026】
最外層の機能層15として反射防止層を備えた場合には、外光が光学シートの観察者側面で反射して観察者側に戻って、いわゆる映り込みが生じて映像が見え難くなることを抑制できる。
最外層の機能層15として防眩層を備えた場合には、いわゆるぎらつきを抑制できる。 尚、防眩層は、アンチグレア層、AG層とも呼ばれることもある。
【0027】
機能層14として、所定の波長の光をフィルタリングする機能を有する層である波長フィルタ層を備えている場合には、該所定の波長の光の透過を抑制できる。
フィルタリングされるべき波長は必要に応じて適宜選択することができるが、映像光源から出射されるネオン線をカットしたり、赤外線、近赤外線や紫外線をカットしたりする層を挙げることができる。
他の機能層、例えば粘着剤層などと複合化させることもできる。
機能層14として、電磁波遮蔽層を備えている場合には、電磁波を遮断を可能としている。
尚、電磁波遮蔽層は、その名称が示す通り、電磁波を遮断する機能を有する層である。 当該機能を有する層であれば、電磁波を遮断する手段は特に限定されるものではない。 これには、例えば銅メッシュを挙げることができる。
当該銅メッシュを得る方法としてはエッチング、蒸着等により微細な銅のメッシュパターンを形成することが有効である。
銅メッシュのピッチ等は遮断すべき電磁波や必要な透過率、モアレの発生状況により適宜設計されるが、例えばピッチ約300μm、線幅12μmであるものを挙げることができる。
【0028】
基材層11は、後で詳しく説明するコントラスト向上層を形成するための基材としての層である。
基材層11は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とした材料で構成されることが好ましい。
基材層11がPETを主成分とする場合、基材層11には、他の樹脂が含まれてもよい。
また、各種添加剤を適宜添加してもよい。
一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。
ここで「主成分」とは、基材層を形成する材料全体に対して上記PETが50質量%以上含有されていることを意味する(以下、同様とする。)。
ただし、基材層11を構成する材料の主成分は、必ずしもPETであることは必要なく、その他の材料でもよい。
これには例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
なお、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からは、PETを主成分とする樹脂によって基材層11を構成することが好ましい。
【0029】
次いで、コントラスト向上層12について述べる。
コントラスト向上層12は、シート面に沿って所定の間隔で並列されるとともに光を透過可能に形成される光透過部12aと、隣接する光透過部12a間に光を吸収可能に形成される光吸収部12bとを有している。
コントラスト向上層12は、映像光源側からの映像光の光路を制御するとともに、迷光や外光を適切に吸収する機能を有する層である。
光透過部12aの形成は、例えば、図4(a)に示すように、基材51上に光透過部形成用の組成物(以下、光透過部組成物と言う)を塗布した状態で基材51を搬送して、金型ロール60とニップロール62間に挿入し、金型ロール60およびニップロール62間で光透過部構成組成物52を押圧し、紫外線53を光透過部構成組成物52に照射して光透過部構成組成物52を硬化させ、基材51上に光透過部12aを形成している。
金型ロール60としては、図5(a)に示すような金型ロール61の円周方向に溝61aをバイト(図示していない)にて切削して、あるいは、図5(b)に示すように、金型ロール61Aの円周に対して斜め方向に連続した溝61aAを、バイト(図示していない)にて切削して、幅方向に複数形成したものが用いられる。
尚、本例の光学シート10のコントラスト向上層12の光透過部を形成する金型ロール(61、61A)においては、図2(a)に示すように、バイト35を、前記金型ロール30の法線方向に対し、金型ロールの幅方向の中心方向に斜めに傾けて切削している。
即ち、切削された各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心側に傾ける角度を大きくして形成されている。
尚、図2(b)に示す金型ロールのA、B、Cの各領域における断面が、図2(a)におけるA、B、Cの断面を示しており、太線矢印はバイト35の切削方向を示している。 また、図2(a)においては、実際に使用するバイトは1つであるが、バイトの切削位置が分かるように、便宜上、複数示している。
そして、光吸収部12bの形成は、例えば、図4(b)に示すように、光吸収粒子と光吸収粒子を分散させたバインダーを含む光吸収部形成用の組成物(以下、光吸収部構成組成物と言う)70を、上記のようにして形成された光透過部54a(12aに相当)の隣接する光透過部間の溝54bにドクターブレード75にて掻きとり充填して硬化させて形成している。
尚、掻きとりの際、平均粒子径が1.0μm以上の着色粒子を用いることによって、着色粒子がドクターブレード75と光透過部12aとの間の隙間を抜け難くなり、光透過部12a上に着色粒子が残留することを防止できる。
【0030】
また、光吸収部12bは、光透過部12aの屈折率Npより小さい屈折率Nbを有する所定の材料により構成されている。
このように光透過部12bの屈折率Npと光吸収部12aの屈折率NbとをNp>Nbとすることにより、光透過部12aに入射した光源からの映像光を、光吸収部12bと光透過部12aとの界面でスネルの法則によって反射させ、観察者に明るい映像を提供することができる。
NpとNbとの屈折率の差は特に限定されるものではないが、0以上0.06以下であることが好ましい。
【0031】
光透過部構成組成物としては、例えば、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)および光重合開始剤(S1)を配合した光硬化型樹脂組成物が好ましく用いられる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(S1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置および光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。
尚、光透過部12aの着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
【0032】
本例において光硬化型樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(S1)の量は、光硬化型樹脂組成物の硬化性およびコストの観点から、光硬化型樹脂組成物全量を基準(100質量%)として、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
光重合開始剤(S1)を着色(例えば、黄色に着色)していてもよいが、光透過部構成組成物を硬化させて光透過部を形成したときに実質的に無色になることを条件とする。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)および光重合開始剤(S1)は、それぞれ、1種で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また必要に応じて、光透過部構成組成物中に、塗膜の改質や塗布適性、金型からの離型性を改善させるため、種々の添加剤としてシリコーン系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、離型剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、等を添加することも可能である。
【0033】
光吸収部構成組成物70のバインダーとして用いられるものは特に限定されないが、これには例えば、光硬化型プレポリマー(P2)に、反応性希釈モノマー(M2)および光重合開始剤(S2)を配合した光硬化型樹脂組成物が好ましく用いられる。
上記光硬化型プレポリマー(P2)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびブタジエン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M2)としては、例えば、単官能モノマーとして、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレン等のビニルモノマー、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、ベンジルメタクリレ−ト、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。また、多官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ−ト、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
また、上記光重合開始剤(S2)としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置および光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。
本例において光硬化型樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(S2)の量は、光硬化型樹脂組成物の硬化性およびコストの観点から、光硬化型樹脂組成物全量を基準(100質量%)として、0.5質量%以上10.0質量%以下含まれていることが好ましい。
これらの光硬化型プレポリマー(P2)、反応性希釈モノマー(M2)および光重合開始剤(S2)は、それぞれ、1種で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートおよびメトキシトリエチレングリコールアクリレートからなる光重合性成分(詳しくは、光硬化型プレポリマー(P2)および反応性希釈モノマー(M2))の屈折率、粘度、あるいは光学機能シート10の性能への影響等を考慮して任意に配合して用いる。
【0034】
また必要に応じて、添加剤として、シリコーン、消泡剤、レベリング剤および溶剤等を光吸収部構成組成物に添加してもよい。
【0035】
光吸収粒子は、光吸収部構成組成物中に含まれ、光吸収部を構成したとき、迷光や外光を吸収するように作用する。
光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用してもよい。
具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。
特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましく用いられる。
より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましく用いられる。
こうした着色粒子は、通常、上記の光吸収部構成組成物中に3質量%以上30質量%以下の範囲で含まれる。
着色粒子の平均粒子径は1.0μm以上20μm以下であることが好ましい。
光吸収部を形成する際には、図4(b)(光吸収部を製造する方法を概略的に示す図)に示すように、着色粒子を含有する光吸収部構成組成物35を光透過部12、12、…間の溝に充填しつつ、ドクターブレード36を用いて余剰分の光吸収部構成組成物35を掻き落とす工程が含まれる。
【0036】
次に、本発明の光学シートの実施の形態の第2の例、第3の例を、それぞれ、図3(a)、図3(b)に基づいて説明する。
先ず、第2の例を説明する。
第2の例も、第1の例と同様、PDP(プラズマディスプレイパネル)20の観察者側に配置され、PDP側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シート10Aであって、図2(a)に示すように、PDP20に粘着剤層13により付着させて用いる。
機能層15としては、反射防止層あるいは防眩層のいずれか1層が配せられる。
機能層14としては、波長フィルタ層、電磁波遮蔽層の1以上の層が配せられる。
第2の例の各部(各層)は第1の例の対応する各層と全く同じであるが、粘着剤層13側から、順に、機能層14、基材層11、コントラスト向上層12、機能層15とを積層した構造であり、粘着剤層13によりPDPに直接取り付ける。
第2の例の場合も、基本的に第1の例と同様、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供することを可能としている。
本例においても、画面上下で視野角が中心に向くため、画面正面で観察する場合、画面上下が暗くなくなり、また、画面上での外光吸収性がより高くなり、明室コントラスト低下を防止できる。
また、画面下での外光吸収性は下がるが、むしろ面内の均一性が上がる。
尚、各部については、第1の例と同じで、ここでは説明を省く。
次いで、第3の例を説明する。
第3の例も、第1の例、第2の例と同様、PDP(プラズマディスプレイパネル)20の観察者側に配置され、PDP側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シートであって、図2(b)に示すように、PDP20に粘着剤層13により付着させて用いる。
第3の例の各部(各層)は第1の例の対応する各層と全く同じであるが、粘着剤層13側から、順に、機能層14a、基材層11、コントラスト向上層12、機能層14b、機能層15とを積層した構造である。
ここでは、機能層14aとして電磁遮蔽層、機能層14bとして波長フィルタ層が配されている。
機能層15としては、反射防止層あるいは防眩層のいずれか1層が配せられる。
第3の例の場合も、基本的に第1の例、第2の例と同様、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供することを可能としている。
【0037】
次に、第4の例〜第6の例を簡単に説明する。
第4の例〜第6の例も、第1の例〜第3の例と同様、PDP(プラズマディスプレイパネル)20の観察者側に配置され、PDP側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シートであって、PDP20に粘着剤層13により付着させて用いる。
第4の例〜第6の例は、第1の例〜第3の例において、それぞれ、コントラスト向上層12に代えてコントラスト向上層12Aを配し、且つ、PDP側からコントラスト向上層12A、基材層11としてものであるが、いずれも、第1の例と同様に、コントラスト向上層12Aの光透過部12aの映像光の入射側の中心から光透過部の映像光の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いており、光学シートの中央から画面の上下方向に離れるにしたがい、光学シートの法線方向に対しての上記線分の角度の大きさは次第に大きくなるようになっている。
コントラスト向上層12とコントラスト向上層12Aとは、光透過部12aの断面のおける台形の上底、下底の方向が、接着剤層13側からみて逆順となっている。
尚、先にも述べたように、第1の例〜第3の例のの光学シートのコントラスト向上層12の光透過部を形成する金型ロール(図5の61、61A)においては、図2(a)に示すように、バイト35を、前記金型ロール30の法線方向に対し、金型ロールの幅方向の中心方向に斜めに傾けて切削しているが、第4例〜第6の光学シートのコントラスト向上層12Aの光透過部を形成する金型ロールにおいては、バイト35を、中心部を0度として、中心から離れるに従い、前記金型ロール30の法線方向に対し、金型ロールの幅方向の中心とは逆の方向に、大きい角度にして斜め傾けて切削している。
即ち、切削された各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心と逆側に傾ける角度を大きくして形成されている。
勿論、光吸収部12bの断面のおける台形の上底、下底の方向が、接着剤層13側からみて逆順となっている。
第4の例〜第6の例の場合も、基本的に第1の例〜第3の例と同様、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供することを可能としている。
【0038】
本発明の形態は上記の第1の例〜第6の例に限定されない。
例えば、第1の例において、機能層14、機能層15がない、PDP側から接着剤層層13、基材層11、コントラスト向上層12からなる形態(第7の例とする)も挙げられる。
また、第4の例において、機能層14、機能層15がない、PDP側から接着剤層13、コントラスト向上層12A、基材層11、からなる形態(第8の例とする)も挙げられる。
また、各例において、上下の領域に限定して、コントラスト向上層12の光透過部12aの映像光の入射側の中心から光透過部の映像光の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いている構造としても、第1の例と同様、表示パネルの画面中央での視野角を0度とする観察者を前提として、表示パネルの画面上下の輝度低下を防止し、面内輝度ムラを改善できる光学シートを提供することを可能としている。
また、光学シートの法線方向に対しての上記線分の角度の大きさを次第に大きくする角度変化についても、種々の態様があるが、少なくとも基本的に上下の領域において、輝度を向上させることができれば、特に限定されない。
また、各例において光吸収部12bの断面形状は台形に限らず、三角形とする形態も挙げられる。
また、上記実施形態例においては、光学シートをPDPに直接粘着剤層により貼り付けて用いる形態を挙げているが、上記実施形態例の光学シートをガラス層を介してPDPの観察者側に配する使用形態も挙げられる。
また、上記実施形態例の光学シートに、必要に応じて他の機能層を更に追加しても良い。
【0039】
更に、1例として上記の第1の例〜第3の例の光学シートに用いられるコントラスト向上層12を基材層11上に作製し、上記第7の例の光学シートを作製した実施例を以下に挙げて説明する。
(実施例1)
(1)金型ロールの作製
コントラスト向上層の作製に供される金型ロールを以下のようにして作製した。
ロール表面に銅メッキが施された円柱状のロールに対して、表面の銅めっき部分をバイトにより切削して、光透過部形成用の溝を形成して、金型ロールを作製した。
バイトとしてはダイヤモンドバイトを用い、図2(a)に示すように、その切削角度を変えて、金型ロールに切削される溝形状を変化させた。
先端幅35μm、斜面角度は1.9度とし、深さ85μmのときの幅が41μmになるような形状である。
切削方法は、切削のスタートを金型ロールの法線方向に対し、1.9度バイトの先端側をロールの中心側に傾けて、切削中心が0度、切削のエンドが1.9度バイトの先端側をロールの中心側に傾くように、連続的にバイトの入射角度かえて切削した。
このようなダイヤモンドバイトを用いて、ロール軸方向の溝間ピッチは45μmとして金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成した。
これにより、深さ85μm、溝底幅が35μm、そして金型表面側の溝幅は41μmの台形形状とされた。
このようにして、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、且つ、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心側に傾ける角度を大きくして形成されている金型ロールを得た。
この切削したロールにクロムメッキを施した。
(2)光透過部構成組成物の調整
ビスフェノールA−エチレンオキシド2モル付加物を40.0質量部、イソホロンジイソシアネートを15.0質量部、ウレタン化触媒としてのビスマストリ(2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキサン酸50質量%溶液)を0.02質量部混合し、80℃で5時間反応させた。その後2−ヒドロキシエチルアクリレートを5.0質量部を加え、80℃で5時間反応させ光硬化性プレポリマー(P1) を得た。
次に光硬化性プレポリマー(P1) を60.0質量部と、反応性希釈モノマー(M1) としてのフェノキシエチルアクリレート(分子量192)を15.0質量部、及びビスフェノールA−エチレンオキシドを4モル付加したジアクリレート(分子量512)を25.0質量部と、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノール−エチレンオキシドを10モル付加したリン酸エステル(モノエステル/ジエステル=モル比1/1)を0.05質量部、及びステアリルアミン−エチレンオキシドの15モル付加物を0.05質量部と、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)を3質量部と、を混合し、均一化して光透過部構成組成物を得た。なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.550であった。
(3)基材層の準備
基材層11としては、PETフィルム、商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ100μmを用意した。
(4)光透過部の形成
上記(1)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(3)で作製した基材を挿入して搬送した。
この基材の搬送に合わせ、上記(2)で得られた光透過部構成組成物を基材の基材層上に供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。
その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。
その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、光透過部を含む厚さが205±20μmであるシート(中間部材)を作製した。作製した中間部材について、光透過部の弾性率を、圧縮式微小硬度計(FISCHER HM2000)を用いて微小圧子材料に負荷をかけ、これを除荷することによって測定した。
このとき、負荷力は100mN、負荷速度は4μm/10秒、保持時間は60秒とした。
光透過部の弾性率は800MPaであった。
このようにして、基材51の一面に光透過部を形成した中間部材(積層体)(図4の54に相当)を形成した。
(5)光吸収部構成組成物の調整
光硬化型プレポリマーとして、エチレンオキシド、2,2’−[ (1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)] ビス−、ホモポリマー、ジー2−プロペノアート20.0質量部と、反応性希釈モノマーとして、2−フェノキシエチル=アクリラート20.0質量部、α−アクリロイル−ω−フェノキシポリ(オキシエチレン)20.0質量部、及び2−{2−[2−(アクリロイルオキシ)(メチル)エトキシ](メチル)エトキシ}(メチル)エチル=アクリラート13.0質量部と、光吸収粒子として、平均粒径4.0μmのカーボンブラックを25%含有したアクリル架橋微粒子(ガンツ化成株式会社製)20.0質量部と、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティケミカルズ株式会社製)7.0質量部と、を混合し、均一化して光吸収部構成組成物を得た。
尚、この光吸収部構成組成物の光吸収粒子を除いた組成物を厚さ10μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2 の紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.547であった。
(6)光吸収部の形成(図4参照)
上記(5)で得られた光吸収部構成組成物を、上記(4)で作製した中間部材上に供給装置から供給した。
また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光吸収部構成組成物を中間部材に形成された略V字形状の溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光吸収部構成組成物を掻き落とした。
その後、高圧水銀灯により800mJ/cm2 の紫外線(UV光)を照射して光吸収部構成組成物を硬化させ、硬化した光吸収部構成組成物によって光吸収部を形成した。
この状態では、深さ6μmまで光吸収粒子が充填された。更に光吸収部のバインダーのみを同様に塗布し、同様に硬化させたところ、深さ3μmまでバインダーが充填された。 このようにして、第1の例〜第3の例の各例の光学シートに用いられるコントラスト向上層12を基材層11上に形成し積層部材を得た。
【0040】
このようにし得られた積層部材の基材層11のコントラスト向上層12とは反対側に粘着剤層を塗布形成して、上記第7の例の光学シートを得た。
【0041】
(比較例1)
比較例1は、実施例1において、実施例1のようにバイトの切削角度を変るのではなく、図2(a)の金型ロールの幅方向の中心Bにおける切削角度で、金型ロールの全領域で、光透過部形成用の溝の切削を行ったもので、他については、実施例1と同様とし、接着剤層、基材層、コントラスト向上層からなる光学シートを作製した。
【0042】
次に、PDP(パナソニック製 VIERA TH−P50G2 50インチ)の光学フィルターを剥離して、上記のようにして作製された、実施例1、比較例1の各光学シートを、粘着剤層を介して、該PDPの観察者側に直接貼り、映像光の画面正面、画面上、画面下での輝度を測定した結果、表1のようになった。
尚、上記積層体の向き(表裏)については、先に述べた実施の形態例に対応する方向とした。
また、表1における数値(%)は、表示装置に対し、画面正面から2m離れた点における、上記積層体のないパネル正面での輝度に対する、上記積層体がある場合の輝度の比を表したものです。
【表1】

上記のように、実施例1では、比較例1に比べて、画面正面に対する画面上下の輝度の均一性が増し、コントラストが向上した。
これより、実施例1のコントラスト向上層12を用いた実施の形態の第1の例〜第3の例の各例の光学シートにおいても、比較例1のコントラスト向上層を用いた場合に比べて、画面正面に対する画面上下の輝度の均一性が増しコントラストが向上されるものと判断される。
同様に、実施の形態の第4の例〜第6の例の各例の光学シートにおいても、コントラスト向上層12Aを用いていることによる上記の効果が期待できるものと判断される。
【符号の説明】
【0043】
10〜10E 光学シート
12 コントラスト向上層
12a 光透過部
12b 光吸収部
12c 光透過部と同じ材料からなる層
13 粘着剤層
14、14a、14b 機能層
15 反射防止層(あるいは防眩層)1
17a〜17f 光強度分布図
20 PDP(プラズマディスプレイパネル)
30 金型ロール(単にロールとも言う)
35 バイト
31 切削残部
51 基材
52 光透過部構成組成物
53 UV光(紫外線)
54 積層体
54a 光透過部
54b 溝(隙間とも言う)
60、61、61A 金型ロール
61a、61aA 溝部
61b、61bA 山部
62、63 ニップロール
70 光吸収部構成組成物
75 ドクターブレード
100 光学シート
111 基材層
112 コントラスト向上層
112a 光透過部
112b 光吸収部
113 粘着剤層
212 コントラスト向上層
212a 光透過部
212b 光吸収部
θ1、θ2 角度
320,320A 光学シート
311 基材
312 コントラスト向上層
312a 光透過部
312b 光吸収部
313 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示パネルの観察者側に配置され、表示パネル側から入射した光を制御して前記観察者側に出射する、複数の層を有する光学シートであって、基材層の一方の面に、光を透過可能に光学シートのシート面に沿って並列された光透過部と前記光透過部間に光を吸収可能に並列された光吸収部とを有するコントラスト向上層を配しており、且つ、基材層の前記一方の面側でない他方側に、あるいは、前記コントラスト向上層の前記基材層とは反対側に、直接にあるいは間接に、表示パネルに付けるための粘着剤層を配しており、前記コントラスト向上層の光透過部の入射側の中心から光透過部の出射側の中心へと結ぶ線分の向きが、光学シートの法線方向に対し、光学シートの中央側に向いていることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
請求項1に記載の光学シートであって、前記コントラスト向上層の厚さ方向断面において、光透過部は、一方側に長い下底、他方側に短い上底を有する台形であり、光吸収部は、前記他方側に底辺を有する三角形、あるいは、前記一方側に短い上底、前記他方側に長い下底を有する台形であり、且つ、前記コントラスト向上層は、前記光透過部の下底に沿い光透過部と同一材料の層をシート面に沿い配していることを特徴とする光学シート。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれか1項に記載の光学シートであって、前記光透過部の屈折率n t と見込角θとは、
30°≦asin(n t ×sinθ) ≦60°
の式を満たす関係にあることを特徴とする光学シート
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学シートであって、最外層に反射防止層又は防眩層を備えていることを特徴とする光学シート。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学シートであって、所定の波長の光の透過を抑制する機能を有する波長フィルタ層を備えていることを特徴とする光学シート。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学シートであって、電磁波を遮蔽する機能を有する電磁波遮蔽層を備えていることを特徴とする光学シート。
【請求項7】
プラズマディスプレイパネル(PDP)の観察者側に請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートを配していることを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートの作製方法であって、前記コントラスト向上層の作製は、(a)光透過部を形成するための金型ロールを作製する工程と、(b)光透過部構成組成物を調整する工程と、(c)予め用意しておいた基材上に前記光透過部構成組成物を供給し、前記金型ロールとニップロールとの間に前記光透過部構成組成物を充填し、紫外線を照射して前記光透過部構成組成物を硬化して光透過部を形成する工程と、(d)前記金型ロールから光透過部を離型する工程とを有するものであり、前記金型ロールは、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、且つ、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心側に傾ける角度を大きくして形成されていることを特徴とする光学シートの作製方法。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートのコントラスト向上層の光透過部を形成するための金型ロールであって、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心側に傾ける角度を大きくして形成されていることを特徴とする金型ロール。
【請求項10】
請求項9に記載の金型ロールの作製方法であって、バイトを金型ロールの幅方向の中心側に傾ける角度を各バイトの送り毎に制御して、金型ロールの幅方向の一方の端から中心を通り他方の端へと切削を行うものであり、且つ、金型の幅方向中心部では前記中心側に傾ける角度を0とし、金型の幅方向、中心から離れるにしたがい前記中心側に傾ける角度を大きくして切削することを特徴とする金型ロールの作製方法。
【請求項11】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シートのコントラスト向上層の光透過部を形成するための金型ロールであって、金型ロールの円周方向または、円周に対して斜め方向に連続した溝を、バイトにて切削して、幅方向に複数形成したもので、各溝は、金型ロールの幅方向中心部では溝の中心側に傾ける角度を0とし、幅方向、中心から離れるにしたがい溝の中心と逆側に傾ける角度を大きくして形成されていることを特徴とする金型ロール。
【請求項12】
請求項11に記載の金型ロールの作製方法であって、バイトを金型ロールの幅方向の中心側に傾ける角度を各バイトの送り毎に制御して、金型ロールの幅方向の一方の端から中心を通り他方の端へと切削を行うものであり、且つ、金型の幅方向中心部では前記中心側に傾ける角度を0とし、金型の幅方向、中心から離れるにしたがい前記中心とは逆側に傾ける角度を大きくして切削することを特徴とする金型ロールの作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113054(P2012−113054A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260365(P2010−260365)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】