説明

光学センサ装置

【課題】 光学センサ装置において、高い校正精度が維持されるようにすることを目的としている。
【解決手段】 光学センサ装置において、入射した光を集光するセンサ光学系と、前記センサ光学系で集光した光を電気信号に変換する検出器と、前記検出器で変換した電気信号に対する補正用データを求める校正としての信号処理を行う信号処理部と、前記信号処理部による校正で求めた前記補正用データを蓄積するデータ蓄積部と、前記信号処理部による校正時に前記センサ光学系の入射側に配置され、前記センサ光学系に入射する光を複数のピンホールによる回折作用で拡散させるピンホール構造部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入射光線の光量を測定する光学センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星等の飛翔体に搭載し放射光の測定を行う放射計において、光量校正を行うため、入射する太陽光を拡散板片が反射し太陽校正光とするものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平09‐218099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来の放射計(光学センサ装置)は、入射する太陽光を拡散板が反射し太陽校正光としているので、例えば宇宙線により拡散板の材料の誘電率が経年変化して反射率が変わり、太陽校正光としての反射光量が変化して校正精度が低下してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、光学センサ装置において、例えば宇宙環境のような厳しい使用条件の場合にも校正精度の低下を抑え、高い校正精度が維持されるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る光学センサ装置は、入射した光を集光するセンサ光学系と、前記センサ光学系で集光した光を電気信号に変換する検出器と、前記検出器で変換した電気信号に対する補正用データを求める校正としての信号処理を行う信号処理部と、前記信号処理部による校正で求めた前記補正用データを蓄積するデータ蓄積部と、前記信号処理部による校正時に前記センサ光学系の入射側に配置され、前記センサ光学系に入射する光を複数のピンホールによる回折作用で拡散させるピンホール構造部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、光学センサ装置において、高い校正精度が維持されるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1による光学センサ装置は、複数のピンホールによる回折作用で太陽光線を拡散させるピンホール構造部を、校正時にセンサ光学系の入射側に配置するように構成したものである。これにより、例えば宇宙環境のような厳しい使用条件の場合にもピンホールの幾何学的な形状はほとんど変化しないことから、回折作用による拡散光の光量が変化しないため、校正精度の低下を抑え、高い校正精度が維持されるようにすることができる。
【0009】
入射光線の光量を測定する光学センサ装置は、入射光線をセンサ光学系で検出器に集光し、入射光線の光量に応じて電気信号に変換する。このとき、等しい光量の入射光線が常に等しい電流量の電気信号に変換されることが望ましい。しかし、光学センサ装置の構成部品の特性(例えば、センサ光学系の透過率、検出器の感度、信号処理回路の雑音特性など)は周囲環境や経年劣化などによって変化するため、定期的に検出器の感度やオフセットのデータを補正することが望ましい。この補正を光学センサ装置の「校正」と呼ぶ。
【0010】
特に衛星に搭載される光学センサ装置は、衛星が打ち上げられた後、地球上と衛星軌道上との環境変化や宇宙環境(放射線、宇宙線など)の影響によって光学センサ装置の構成部品の特性が変化しやすいため、衛星軌道上で定期的に光学センサ装置全体の校正を実施することが望ましい。ここで、光学センサ装置の校正を実施するとき、放射輝度が安定した既知の値の基準光源を用いる。しかし、例えば、校正用光源を衛星に搭載しても光源の放射特性が経年変化するために基準光源の放射輝度が変化し、結果として校正精度が低下する場合がある。そこで、安定した校正用光源の1つとして太陽を用いることができる。太陽は季節による距離や角度変動を補正すれば放射照度がほぼ安定した光源として扱うことができる。
【0011】
ここで、光学センサ装置の校正を行う際に、基準光源からの光線に空間的な光量ムラがあると光学センサ装置全体を均一に校正することができない。このため、入射した太陽光線を拡散させることにより光量が均一な光線に変換し、この拡散光線を光学センサに導入して校正を実施することが望ましいのである。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図1において、1は入射光線としての太陽光線、2はスクリーン、3はピンホール構造部、4は拡散光線、5は光学センサ、6はセンサ光学系、7は検出器、8は信号処理部、9はデータ蓄積部である。なお、センサ光学系6と検出器7で光学センサ5を構成する。また、入射光線1は太陽光線に限定されるものではなく、他の波長領域の光であっても良い。
【0013】
次に動作について説明する。図1において、この発明の実施の形態1による光学センサ装置の校正では基準光源として太陽を用いる。校正時には、太陽光線1は、スクリーン2がもつピンホール構造3に照射され、ピンホール構造部3の回折作用によって拡散光線4に変換される。光学センサ5に照射された拡散光線4は、センサ光学系6によって検出器7に集光され、検出器7で光量に応じた電気信号に変換される。この電気信号は信号処理部8で処理され、等しい光量の入射光線からは常に等しい電流量の電気信号に変換されるように検出器7の受光感度やオフセットの変動を補正して抑制するための補正用データとしての補正値が求められる。このように、校正時に求めた補正値はデータ蓄積部9に蓄積される。
【0014】
一方、入射光線の光量の測定時には、スクリーン2を光学センサ5の前から移動させ、入射光線が光学センサ5に直接に照射される状態で測定を行う。入射光線はセンサ光学系6で集光され、集光された光線は検出器7で電気信号に変換される。そして、変換された電気信号は信号処理部8で測定データとして処理される。このとき、上述の校正時に求めた光学センサ装置の補正値をデータ蓄積部9より読み出し、この補正値を用いて、上述の測定時に得た測定データを補正する。以上の動作により、光学センサ装置の特性の経年変化による出力信号の変動を補正することができ、等しい光量の入射光線が常に等しい電流量の電気信号に変換される光学センサ装置を得ることができる。
【0015】
次にスクリーン2のピンホール構造部3の構成と動作について詳細に説明する。図2および図3は、この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図である。ここで、図2はピンホール構造部3を示す正面図、図3はピンホール構造部3を示す側面図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図2と図3において、10はピンホール、11はピンホール構造部3の太陽光線1の入射面、12はピンホール構造部3の太陽光線1の出射面である。
【0016】
図2と図3において、太陽光線1は各ピンホール10で起こる回折によって広げられる。その結果、光学センサ5にほぼ均一な拡散光線4を導入することができる。また、校正時の基準光源である太陽の大きさをピンホール構造部3の設計条件として考慮することで、より広い範囲で均一な拡散光線4を得ることが可能となる。このとき、太陽光線1の透過光量や回折条件はピンホール径wやピンホール間隔hの幾何学的な形状によって決定され、誘電率などの材料特性には依存しない。たとえ環境条件が厳しい宇宙空間でもピンホール10の幾何学的な形状はほとんど変化しないため、校正時の基準光量は変化せず、校正精度の経年変化が小さい校正を実現することが可能である。
【0017】
ここで、この発明の実施の形態1による光学センサ装置におけるピンホール構造部3の構造パラメータは、回折作用による拡散光の光量が地球観測時の光量とほぼ同程度となるように決定する。すなわち、ピンホール径wとピンホール間隔hは、太陽光線1の波長をλ、センサ光学系6のF値をF、検出器7の1画素の大きさをxと表すとき、次式(1)を満たすように決定する。
10−6≦(w・x)/(λ・F・h)≦10−1 (1)
例えば、λ=0.6μm、F=100、x=10μmであるとき、w=150μm、h=3000μmと決定するようにすれば良い。
【0018】
また、スクリーン2のピンホール構造部3の出射面12に反射率が小さくなる材料や構造の部材を設けることでピンホール構造部3の出射面12の表面で起こる散乱を抑制することができる。これにより、ピンホール構造部3での反射光による基準光量変化が抑制され、光学センサ5の校正精度に与える影響を低減させることができる。例えば、反射率が0.2以下と小さくなる材料として、反射率が0.05〜0.1となる黒色めっきがある。また、反射率が小さくなる部材の材料として、黒色ペイント、黒色アルマイトなどを使用することができ、反射率が小さくなる部材の構造として微細エンボス構造、サンドブラスト面、バッフル構造などを使用することができる。
【0019】
また、校正時の基準光量であるスクリーン2のピンホール構造部3を通過する拡散光線4の光量はピンホール径wに依存する。ここで、スクリーン2のピンホール構造部3の入射面11に反射率が大きくなる部材を設けることで太陽光線1の吸収を小さくし、長時間の校正時に起こるピンホール構造部3の熱変形を抑制することができる。これにより、ピンホール構造部3の熱変形による校正時の基準光量の変化を抑制することができ、校正精度の低下を抑制することができる。例えば、反射率が0.7以上と大きくなる部材として、反射率が0.7〜0.9となるアルミニウムめっきがある。また、反射率が大きくなる部材の材料として、アルミニウム、銀、金、スズ、ニッケル、銅などの金属類を使用することができる。
【0020】
なお、スクリーン2のピンホール構造部3を厚くすると、ピンホール10の側壁で反射した光線の入射による校正精度の低下が無視できない場合がある。例えばピンホール10の側壁で反射した光線が入射することによって光量はスクリーンのピンホール径wとピンホール間隔hで決まる光量より増加するために誤差となる。また、ピンホール10の側壁での反射率はピンホール構造部3の材料の誘電率で決まるため、ピンホール10の側壁で反射する光線の光量は経年変化を起こす。そのため、ピンホール10の側壁で反射した太陽光線1が光学センサ5に入射しないようなピンホール構造にする方が好ましい。例えば、光学センサ5側からピンホール10の側壁が見えないようなピンホール構造にすることで、ピンホール構造部3に入射した光線がピンホール10の側壁で反射して検出器7に入射することを抑制することができる。これにより、校正精度の低下を防ぐことが可能となる。このような構造は、例えば、図3に示すような、光線入射面11の方が光線出射面12よりもピンホール径wが大きくなるようにすることで実現可能となる。
【0021】
また、ピンホール径wを小さくするほど太陽光線1の回折作用による広がりが大きくなり、光学センサ5全体に照射する拡散光線4の光量をより均一にすることが可能となる。
【0022】
また、ピンホール構造部3内におけるピンホール10の位置が拡散光線4に与える影響はほとんど無いため、図2に示すようにピンホール間隔hを均一にする必要はなく、ランダムに配置しても同様の効果が得られる。ランダムに配置した場合でも、ピンホール構造部3に対するピンホール10の面積比が等しければ、ピンホール構造部3を通過する太陽光線1の光量は等しくなる。このように、ピンホール10をランダムに配置することにより、加工精度の制約を小さくすることができる。
【0023】
次に、図4は、この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図4において、13はシールドである。例えば、図4に示すようなシールド13で覆うように、光学センサ装置を反射率が小さい部材で覆うことで、周囲環境からの迷光によって起こる校正時の基準光量変化を抑制することができる。これにより、校正精度の低下を抑制することができる。例えば、反射率が小さい部材の材料として黒色ペイント、黒色アルマイトなどを使用することができ、反射率が小さい部材の構造として微細エンボス構造、サンドブラスト面、バッフル構造などを使用することができる。
【0024】
また、光学センサ装置の内部に反射率が小さい部材を用いることで、スクリーン2のピンホール構造部3を通過した拡散光線4が光学センサ5の内面で反射して検出器7に入射することで起こる校正時の基準光量変化を抑制することができる。これにより、校正精度の低下を抑制することができる。例えば、反射率が小さい部材の材料として黒色ペイント、黒色アルマイトなどを使用することができ、反射率が小さい部材の構造として微細エンボス構造、サンドブラスト面、バッフル構造などを使用することができる。
【0025】
以上のように、この発明の実施の形態1による光学センサ装置においては、複数のピンホールによる回折作用で太陽光線を拡散させるピンホール構造部を、校正時にセンサ光学系の入射側に配置するようにしている。これにより、例えば宇宙環境のような厳しい使用条件の場合にもピンホールの幾何学的な形状はほとんど変化せず、太陽校正光としての拡散光の光量が変化しないため、校正精度の低下を抑え、高い校正精度が維持されるようにすることができるという効果を奏する。
【0026】
また、この発明の実施の形態1による光学センサ装置においては、ピンホール構造部の出射面に反射率が小さい材料や構造を用いることで散乱を抑制することができる。これにより、ピンホール構造部での反射光による校正光の光量の変化が抑制され、高い校正精度が維持されるようにすることができるという効果を奏する。
【0027】
また、この発明の実施の形態1による光学センサ装置においては、ピンホール構造部の入射面に反射率が大きい部材を用いることで太陽光線の吸収を小さくし、ピンホール構造部の熱変形を抑制することができる。これにより、ピンホール構造部の熱変形による校正光の光量の変化が抑制され、高い校正精度が維持されるようにすることができるという効果を奏する。
【0028】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2による光学センサ装置は、校正時に温度センサでピンホール構造部の温度を計測し、ピンホール構造部の熱変形に起因する回折作用による拡散光の光量変化を補正するように構成したものである。これにより、温度変化がある場合にも、高い校正精度が維持されるようにすることができる。
【0029】
上述の実施の形態1では、スクリーン2のピンホール構造部3で太陽光線1を拡散させ、拡散光線4を基準光量として光学センサ5に導入して校正を行った。このとき、ピンホール構造部3が周囲環境や太陽光線1の影響によって熱変形すると、校正時の基準光量が変化するため、校正精度が低下する場合がある。次に、実施の形態2として、スクリーン2のピンホール構造部3の熱変形によって生じる太陽光線1の拡散光量変動を補正して基準光量を一定にするようにしたものを示す。
【0030】
図5は、この発明の実施の形態2による光学センサ装置を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図5において、1〜13は、図4に示した実施の形態1の構成と同様であり、14は温度センサである。
【0031】
次に動作について説明する。この発明の実施の形態2による光学センサ装置は、実施の形態1の校正処理に加えてスクリーン2のピンホール構造部3の熱変形による影響を補正する。熱変形による影響は主にスクリーン2のピンホール構造部3の熱膨張または熱収縮によるピンホール径wの拡大または縮小に起因するものである。これに起因する回折作用による拡散光の光量変化は計算により求めることができる。また、あらかじめ計測したデータを用いて補正しても良い。
【0032】
図5において、校正時に温度センサ14でスクリーン2のピンホール構造部3に対応する温度を計測することで、信号処理部8がピンホール構造部3の熱変形による光量変化を補正する。この補正はあらかじめデータ蓄積部9に蓄えられていた透過率の補正用データを用いても良いし、信号処理部8で計算したピンホール構造部3の形状変化量に基づいて補正を行っても良い。
【0033】
以上のように、この発明の実施の形態2による光学センサ装置においては、校正時に温度センサでピンホール構造部の温度を計測し、信号処理部がピンホール構造部の熱変形による光量変化を補正するように構成した。これにより、熱変形による光量変化がある場合にも、高い校正精度が維持されるという効果を奏する。
【0034】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3による光学センサ装置は、複数のピンホールによる回折作用で太陽光線を拡散させるピンホール構造部で絶対校正した後、拡散板を用いて相対校正を行うように構成したものである。これにより、大面積な拡散板を用いて、高い校正精度が維持されるようにすることができる。
【0035】
上述の実施の形態1、2では、太陽光線1をピンホール構造部3で拡散させ、拡散光線4を基準光量として光学センサ5に導入して校正を実施した。しかし、光学センサ5の検出器7を大面積化しようとするとき、より均一かつ広範囲に広がった拡散光線4を得ることができるピンホール構造部3を設計することは難易度が高い場合がある。一方、より均一かつ広範囲に広がった拡散光線を得ることができる拡散板を設計することは比較的容易である。
【0036】
ここで、ピンホール構造部3を用いた校正では、上述のように拡散光の光量が変化しないため、光学センサ5の感度を絶対校正することができる。一方、拡散板を用いた校正では、従来例のように反射率の経年変化により光学センサ5の感度を絶対校正することは困難であるが、相対校正することはできる。そこで、ピンホール構造部3を用いて光学センサ5の一部を絶対校正した後、この校正結果を用いて拡散板で光学センサ5の全体を相対校正することで、光学センサ5全体を絶対校正するのと同様の機能を得ることができる。次に、この発明の実施の形態3によるピンホール構造部3を用いた校正に加えて拡散板による校正を実施する光学センサ装置を示す。
【0037】
図6は、この発明の実施の形態3による光学センサ装置を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。図6において、1〜14は、図5に示した実施の形態2の構成と同様であり、15は拡散板、16は制御部である。
【0038】
次に動作について説明する。図6において、まず、光学センサ5の一部を実施の形態1または2に示すスクリーン2のピンホール構造部3を用いた校正装置で、光学センサ5の一部を絶対校正する。このとき得られた校正用データとしての絶対校正の補正値をデータ蓄積部9に蓄積する。次に、拡散板15を用いた校正装置で光学センサ5の全体を相対校正する。
【0039】
図6において、拡散板15を用いた校正装置は拡散板15に入射した太陽光線1を拡散して反射する。光学センサ5に照射された拡散光線4はセンサ光学系6で集光される。そして、集光された光線は検出器7で光量に応じて電気信号に変換され、信号処理部8で処理される。このとき、上述の絶対校正の補正値を利用して、等しい入射光線光量からは常に等しい電気信号に変換されるように検出器7の受光感度やオフセットの変動を補正して抑制するための校正用データとしての相対校正の補正値を求める。そして、この相対校正の補正値をデータ蓄積部9に蓄積する。
【0040】
この2段階の校正により、光学センサ装置全体を絶対校正するのと同様の結果を得ることができる。2つの校正用データによるデータ処理では、例えばピンホール構造部3を用いて絶対校正した結果と拡散板15を用いて相対校正した結果が一致するように、相対校正の補正値にオフセットを加えるようにすれば良い。
【0041】
なお、この2段階の校正は、スクリーン2のピンホール構造部3と拡散板15を置き換えるか、もしくは光学センサ5の向きを変えることで実施可能となる。例えば図6に示すように、制御部16を光学センサ5に取り付けて、ピンホール構造部3と拡散板15を用いた各校正時に、光学センサ5の向きを変化させることで実施することができる。
【0042】
また、この2段階の校正は、同じ周期で実施しても良いし、また、拡散板15の反射率の経年変化が想定される長い周期でピンホール構造部3を用いた絶対校正を実施し、通常の短い周期では拡散板15を用いた相対校正を実施するようにしても良い。
【0043】
以上のように、この発明の実施の形態3による光学センサ装置においては、複数のピンホールによる回折作用で太陽光線を拡散させるピンホール構造部で絶対校正した拡散板を用いて相対校正を行うように構成した。これにより、大面積な拡散板を用いて、高い校正精度が維持されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図
【図2】この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図
【図3】この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図
【図4】この発明の実施の形態1による光学センサ装置を示す構成図
【図5】この発明の実施の形態2による光学センサ装置を示す構成図
【図6】この発明の実施の形態3による光学センサ装置を示す構成図
【符号の説明】
【0045】
3 ピンホール構造部
6 センサ光学系
7 検出器
8 信号処理部
9 データ蓄積部
10 ピンホール
11 ピンホール構造部の入射面
12 ピンホール構造部の出射面
14 温度センサ
15 拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を集光するセンサ光学系と、
前記センサ光学系で集光した光を電気信号に変換する検出器と、
前記検出器で変換した電気信号に対する補正用データを求める校正としての信号処理を行う信号処理部と、
前記信号処理部による校正で求めた前記補正用データを蓄積するデータ蓄積部と、
前記信号処理部による校正時に前記センサ光学系の入射側に配置され、前記センサ光学系に入射する光を複数のピンホールによる回折作用で拡散させるピンホール構造部と、
を備えたことを特徴とする光学センサ装置。
【請求項2】
前記ピンホール構造部の出射面に反射率が小さくなる部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光学センサ装置。
【請求項3】
前記ピンホール構造部の入射面に反射率が大きくなる部材を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学センサ装置。
【請求項4】
前記ピンホール構造部の温度を測定する温度センサと、を備え、
前記信号処理部は、前記温度センサで測定した温度に基づいて、前記補正用データを求める校正としての信号処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学センサ装置。
【請求項5】
前記ピンホール構造部の代わりに前記センサ光学系の入射側に配置され、前記センサ光学系に入射する光を反射して拡散させる拡散板と、を備え、
前記信号処理部は、前記ピンホール構造部および前記拡散板を用いて前記補正用データを求める校正としての信号処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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