説明

光学デバイス用キャリアテープ

【課題】 光学デバイスの発塵を抑制するとともに、光学デバイスの取り出し作業性を向上させた光学デバイス用キャリアテープを提供することを目的とする。
【解決手段】 光学デバイス用キャリアテープ10は、光学ローパスフィルタ6を収納する貫通孔4を複数備えたスペーサー1と、スペーサー上面12に貼り合わされる上部カバーテープ2と、スペーサー下面11に貼り合わされる下部カバーテープ3とからなる。下部カバーテープ3のスペーサー1との貼り合せ面側は低粘着性の粘着面であり、貫通孔下部に露出した前記粘着面に光学ローパスフィルタ6が剥離可能に粘着保持されている。そして、スペーサー1には貫通孔4を該スペーサーの幅方向に横断する溝8が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ローパスフィルタ、波長板、複屈折板等の光学デバイスを収納する光学デバイス用キャリアテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学ローパスフィルタ等の光学デバイスは、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等に用いられている。これら光学デバイスは、特にその光学的情報を含む光線の入射面(主面)には、ゴミ、埃等が付着しないように配慮することが求められており、製造並びに梱包はクリーンルーム内で行われる。
【0003】
従来の各種デバイスの梱包には、例えば特許文献1に示すような梱包ケースが用いられており、粘着剤の塗布された粘着シート上に光学デバイスを収納する貫通孔を備えたケース本体を取り付け、前記貫通孔内に光学デバイスを粘着保持するようになっている。また、リールに巻いて収納でき、自動実装に対応した表面実装型の電子部品収納用のキャリアテープが特許文献2に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−2167号
【特許文献2】特開2006−321526号
【0005】
最近ではコストダウンの要求、および光線入射面(主面)の有効エリア拡大の要求から、光学デバイスの端部には面取り加工が施されない傾向にある。また製造面においても、大型のウェハを用いて複数の光学デバイスを一体的に作製し、その後に個々に切断するという製造方法が採用されている。このように、光学デバイスの端部は面取りされず鋭利な状態であり、例えば特許文献2のキャリアテープに光学デバイスを収納した場合、輸送時等において光学デバイスが遊動することによってテープ本体の内壁を切削し、ゴミ等が発生する原因となる。ゴミが光学デバイスの主面へ付着すると所望の光学情報に対してノイズとなり、画像悪化の原因となるため、ユーザーは当該ゴミを除去する必要が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、光学デバイスの発塵を抑制するとともに、光学デバイスの取り出し作業性を向上させた光学デバイス用キャリアテープを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、光学デバイスを収納する貫通孔を複数備えたスペーサーと、前記スペーサーの表面側に貼り合わされる上部カバーテープと、前記スペーサーの裏面側に貼り合わされる下部カバーテープとからなる光学デバイス用キャリアテープであって、少なくとも前記下部カバーテープの前記スペーサーとの貼り合せ面側が、低粘着性の粘着面であり、前記貫通孔下部に露出した前記粘着面に光学デバイスが剥離可能に粘着保持されるようになっている。
【0008】
このような構成であれば、光学デバイスは少なくとも下部カバーテープの粘着面に粘着保持されるため、輸送時等のキャリアテープ内での光学デバイスの遊動を防止することができる。これにより、光学デバイスの端部によるスペーサー(貫通孔)内壁の切削を抑制することができる。
【0009】
さらに、上記構成であれば、光学デバイスはカバーテープに剥離可能に粘着保持されているため、容易に光学デバイスを取り出すことができる。なお、下部カバーテープだけでなく、上部カバーテープも前記スペーサーとの貼り合せ面側が低粘着性の粘着面であってもよい。
【0010】
また、上記目的を達成するために請求項2の発明は、前記スペーサーに、前記貫通孔を前記スペーサーの幅方向に横断する溝が設けられている。このようなキャリアテープであれば、例えばキャリアテープを湾曲させつつ、該キャリアテープの収縮面側の下方から、突き上げ棒のような押し上げ手段を当接させて光学デバイスを貫通孔から取り出す際に、スペーサーをより柔軟に湾曲させることができる。つまり、前記溝が貫通孔に連通した状態でスペーサーに溝を設けることによって脆弱部位が形成されるため、当該溝が形成されていないスペーサーに比べて、より曲げやすくすることができる。前記湾曲によって、光学デバイスのカバーテープとの接着面積を減少させることができ、光学デバイスの取り出し作業性を向上させることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために請求項3の発明は、前記貫通孔の内壁に緩衝材が被着されている。このように貫通孔の内壁に緩衝材を被着することによって、光学デバイスが輸送時等の振動等によって貫通孔の内壁と接触したとしても、接触による衝撃が緩和され、光学デバイスの欠損等の不具合を防止することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために請求項4の発明は、前記スペーサーが軟質樹脂で形成されている光学デバイス用キャリアテープとなっている。前記スペーサーの材料としては、例えばシリコーン樹脂やウレタン樹脂等の軟質材料が使用可能である。このような軟質材料でスペーサーを形成することで、光学デバイスが輸送時等に貫通孔の内壁と接触したとしても、光学デバイスの端部による前記貫通孔の内壁の切削を抑制することができる。つまり、スペーサーを軟質樹脂で形成した場合、硬質樹脂で形成した場合に比べて、光学デバイスとの接触時の発塵量を減少させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、光学デバイスの発塵を抑制するとともに、光学デバイスの取り出し作業性を向上させた光学デバイス用キャリアテープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
−第1の実施形態−
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至4を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの斜視図であり、図2は本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの分解断面図、図3は本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの断面図、図4は本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの断面図である。
【0015】
本発明の実施形態において、光学デバイス用キャリアテープ10(以下、キャリアテープと略記)は、上部カバーテープ2と、スペーサー1と、下部カバーテープ3とで構成されている。具体的にキャリアテープ10は、スペーサー1の表裏主面(具体的にスペーサー上面12およびスペーサー下面11)に上部カバーテープ2および下部カバーテープ3が各々貼り合された構造となっている。
【0016】
図2において、スペーサー1はシリコーン樹脂からなり、帯状で均一の厚みを有する光学デバイスの収容体である。スペーサー1には、光学デバイスを収容するための貫通孔4が枠部5を隔てて一定間隔で連続して形成されている。1つの貫通孔には1個の光学デバイスが収容されるようになっている。貫通孔4の開口寸法は、光学デバイス6(本実施形態では光学ローパスフィルタ)の平面視外形寸法よりも大きく、深さ方向には光学デバイスの高さ(厚さ)よりも高く(深く)設定されている。つまり、スペーサー1の厚さは光学デバイス6の厚さよりも厚くなっている。なお、貫通孔4はスペーサー1の幅方向において一縁部寄りに偏って形成されている(図1参照)。そして、スペーサー1の幅方向において他縁部寄りには搬送孔(図示省略)が形成されている。前記搬送孔はスペーサー1の長さ方向に一定間隔で断続的に形成されており、当該搬送孔をガイドとしてキャリアテープ10の一端側が引き出されるようになっている。
【0017】
上記のようにスペーサー1をシリコーン樹脂のような軟質樹脂で形成することで、光学デバイスが輸送時等に貫通孔の内壁と接触したとしても、光学デバイスの端部による貫通孔の内壁の切削を抑制することができる。つまり、スペーサーを軟質樹脂で形成した場合、硬質樹脂で形成した場合に比べて、光学デバイスとの接触時の発塵量を減少させることができる。
【0018】
光学ローパスフィルタ6は、複屈折板、波長板等の複数の光学板を貼り合わせた構成で、かつ光線入射面(主面)には誘電体多層膜が形成されている。光学ローパスフィルタ6は略直方体形状となっており、本実施形態ではスペーサー1の貫通孔4の下方に露出した下部カバーテープ3上に平置き(主面側が下部カバーテープに対向)されるようになっている。
【0019】
図2において上部カバーテープ2は、ポリエチレンテレフタレート(いわゆるPET)からなる薄膜フィルムである。上部カバーテープ2の幅はスペーサー1の幅よりも小さく、かつ平面視矩形状の貫通孔の短辺寸法よりも大きくなっている。上部カバーテープ2がスペーサー1と貼り合わされる際は、上部カバーテープ2の幅方向の一縁部が、スペーサー上面の一縁部、つまり貫通孔に近い側の縁部に略一致するようにスペーサー1に貼り合わされるようになっている。なお、上部カバーテープ2の表裏面(21、22)はともに非粘着性であり、上部カバーテープ2とスペーサー1とは熱圧着によって貼り合わされる。
【0020】
図2において下部カバーテープ3は、上部カバーテープ2と同様にポリエチレンテレフタレートからなる薄膜フィルムである。下部カバーテープ3の幅はスペーサー1の幅よりも小さく、かつ平面視矩形状の貫通孔の短辺寸法よりも大きくなっている。下部カバーテープ3は、スペーサー1と貼り合わされる際は、下部カバーテープ3の幅方向の一縁部が、スペーサー下面の一縁部、つまり貫通孔に近い側の縁部に略一致するようにスペーサー1に貼り合わされるようになっている。なお、下部カバーテープ3の表裏面(31、32)の内、一主面31側(スペーサー1との貼り合せ面側)は低粘着性を有する粘着剤が塗布形成されている。そして下部カバーテープ3とスペーサー1とは熱圧着によって貼り合わされる。
【0021】
図3は、複数の光学ローパスフィルタ6,6,・・・が貫通孔4,4,・・・に収納された状態のキャリアテープを示す断面図である。スペーサー1は、スペーサー上面12に上部カバーテープ2の一主面21が貼り合わされ、スペーサー下面11に下部カバーテープ3の一主面31が貼り合わされた構成となっている。そして、スペーサー1の貫通孔4は、スペーサー下面11に下部カバーテープ3が被着されることで有底孔となり、該貫通孔下方に下部カバーテープ3の粘着面(一主面31)が露出し、該粘着面上に光学ローパスフィルタ6が粘着保持されるようになっている。そして、上部カバーテープ2によって、貫通孔4の上方の開口領域が密閉され、外部からのゴミ等の異物侵入を防止するようになっている。
【0022】
上記構成であれば、光学ローパスフィルタは下部カバーテープの粘着面に粘着保持されるため、輸送時等のキャリアテープ内での光学ローパスフィルタの遊動を防止することができる。これにより、光学ローパスフィルタの端部がスペーサー(貫通孔)の内壁を切削することを防止することができる。
【0023】
さらに、上記構成であれば、光学ローパスフィルタはカバーテープに剥離可能に粘着保持されているため、容易に光学ローパスフィルタを取り出すことができる。なお、下部カバーテープだけでなく、上部カバーテープも前記スペーサーとの貼り合せ面側が低粘着性の粘着面であってもよい。
【0024】
図4は、光学ローパスフィルタが収納されたキャリアテープから、光学ローパスフィルタを取り出す作業を表した図である。前記取り出し作業は、リールに巻き取られて収容されたキャリアテープ10の一端側を引き出す。そして、上部カバーテープ2の内、取り出し対象となる光学ローパスフィルタが収納された領域(1区画)の部分だけ上部カバーテープを剥離して光学ローパスフィルタを露出させる。次に前記光学ローパスフィルタが粘着保持された領域の下部カバーテープ3の下方より、突き上げ棒7を当接させる。その後、下部カバーテープに対し、突き上げ棒7を所定圧力で上方へ突き上げることによって、下部カバーテープに粘着保持されていた光学ローパスフィルタ底面の周縁付近の領域が部分的に剥離される。このとき、下部カバーテープ3の粘着面(一主面31の表面)は低粘着性であるため、光学ローパスフィルタが強固に下部カバーテープに固定されず、前記突き上げによって容易に光学ローパスフィルタを下部カバーテープから(部分的に)剥離させることができる。
【0025】
部分的に剥離された光学ローパスフィルタは、当該光学ローパスフィルタの上方から吸着ノズル(図4参照)で吸引され、該光学ローパスフィルタは下部カバーテープ3から脱離して吸着ノズルにチャッキングされる。
【0026】
−第2の実施形態−
以下、本発明の第2の実施形態を図5乃至7を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については第1の実施形態と同一の符号を付して説明を割愛するとともに、第1の実施形態と同一の効果を有する。
【0027】
図5は本発明の第2の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの斜視図である。本実施形態ではスペーサー1には貫通孔4を当該スペーサーの幅方向に横断する溝8が設けられている。具体的に、溝8は断面視V字形状で、スペーサー上面12から所定の深さで形成されている。スペーサー1には、平面視矩形状の貫通孔の2つの長辺と直交するように一定の間隔を空けて1つの貫通孔に対して2本の溝が横断形成されている。つまり、1つの貫通孔に対して当該貫通孔と繋がった溝が4本形成されている。
【0028】
本実施形態では1つの貫通孔に繋がった溝の形成数は4本(貫通孔を幅方向に横断する本数としては2本)としているが、これに限定されるものではなく、形成数を2本(前記横断数1本)や、形成数を6本(前記横断数3本)など、貫通孔の面積に応じて前記形成数を増減させてもよい。また、溝8の深さはスペーサーの機械的強度を損なわない程度の深さが好ましい。さらに、溝8の断面視形状はV字形状に限定されるものではなく、その他の断面形状であってもよい。
【0029】
なお、前記貫通孔を幅方向に横断する溝の本数を4本以上形成する場合、各溝の間隔は等間隔ではなく、両端の溝に近づくほど前記間隔が狭くなるように形成することが好ましい。つまり、貫通孔の長手方向中央は溝間隔を広くし、貫通孔の長手方向端部は溝間隔を狭くする。このような溝間隔とすることで、スペーサーおよび下部カバーテープの折り曲げ時(下記参照)に、光学ローパスフィルタ底面の長手方向中央付近の領域は接着状態が維持されやすくなる。したがって、キャリアテープから光学ローパスフィルタを取り出す際(詳細は後述)に、光学ローパスフィルタは水平状態が維持されるため、鉛直上方からの吸着ノズルによる光学ローパスフィルタの吸引保持を確実に行うことができる。
【0030】
本実施形態ではスペーサー1はポリスチレン樹脂(いわゆるPS)で形成されている。図6は本発明の第2の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの側面図であり、貫通孔4の内部に光学ローパスフィルタ6が収納され、下部カバーテープ3の一主面31の低粘着性の粘着面に粘着保持されている。このような構成であれば、輸送時等のキャリアテープ内での光学デバイスの遊動を防止することができる。これにより、光学デバイスの端部によるスペーサー(貫通孔)内壁の切削を抑制することができる。なお、前記スペーサーを構成する硬質材料としては、例えばポリスチレン樹脂やポリエチレン樹脂(いわゆるPE)等が挙げられる。
【0031】
図7は、光学ローパスフィルタが収納されたキャリアテープ10から、光学ローパスフィルタを取り出す作業を表した側面図である。前記取り出し作業は、取り出し対象の光学ローパスフィルタの上部カバーテープ2を剥離した後、前記光学ローパスフィルタが収容された領域(区画)を基準として、スペーサー1および下部カバーテープ3を下方向に折り曲げる。そして、該キャリアテープの収縮面側の下方より、突き上げ棒7を当接させて所定圧力で上方へ突き上げる。このような機械的応力を加えることによって、下部カバーテープに粘着保持されていた光学ローパスフィルタ底面の周縁付近の領域が部分的に剥離される。
【0032】
下部カバーテープ3の粘着面(一主面31の表面)は低粘着性であるため、光学ローパスフィルタが強固に下部カバーテープに固定されず、前記突き上げおよび折り曲げによって容易に光学ローパスフィルタを下部カバーテープから(部分的に)剥離させることができる。
【0033】
部分的に剥離された光学ローパスフィルタは、当該光学ローパスフィルタの上方から吸着ノズルで吸引され、該光学ローパスフィルタは下部カバーテープ3から脱離して吸着ノズルにチャッキングされる。
【0034】
上記構造によれば、前記突き上げに加えて、溝8(折れ溝)の形成によって、スペーサー1を柔軟に湾曲させることができるため、光学ローパスフィルタの底面の周縁付近の部分的剥離をより容易にすることができる。つまり、溝8が貫通孔4に連通した状態でスペーサーに溝を設けることによって脆弱部位が形成されるため、当該溝が形成されていないスペーサーに比べて、より曲げやすくすることができる。前記湾曲によって、光学デバイスのカバーテープとの接着面積を光学デバイスの周縁側から内側方向へ減少させることができ、光学デバイスの取り出し作業性を向上させることができる。なお、前記スペーサー1に軟質樹脂を用いてもよい。このように軟質樹脂でスペーサーを構成することによって、スペーサー自体が緩衝機能を有するため、光学デバイスが輸送時等の振動等によって貫通孔の内壁と接触したとしても、接触による衝撃が緩和され、デバイスの欠損等の不具合を防止することができる。また、スペーサー材料に軟質樹脂を用いることにより、硬質樹脂を用いる場合に比べてよりスペーサーを折り曲げやすくすることができる。なお前記軟質樹脂は硬質樹脂に比べて硬度が低い樹脂のことであり、例えばシリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0035】
−第2の実施形態の変形例−
本発明の第2の実施形態の変形例を図8に示す。図8に示すように、スペーサー1は硬質樹脂であるポリスチレンで形成されており、貫通孔4を当該スペーサーの幅方向に横断する溝8が設けられている。そして、図8の貫通孔4の内壁には緩衝材Sが被着されている。本実施形態では緩衝材Sとしてウレタン樹脂が使用されている。このように貫通孔の内壁に緩衝材を被着することによって、光学デバイスが輸送時等の振動等によって貫通孔の内壁と接触したとしても、接触による衝撃が緩和され、デバイスの欠損等の不具合を防止することができる。なお、緩衝材はシリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の軟質材料が用いられる。
【0036】
また、上記構造によれば、前述の本発明の第2の実施形態で言及した突き上げに加えて、溝8(折れ溝)の形成によって、硬質樹脂で形成されたスペーサー1を柔軟に湾曲させることができるため、光学ローパスフィルタの底面の周縁付近の部分的剥離をより容易にすることができる。つまり、溝8が貫通孔4に連通した状態でスペーサーに溝を設けることによって脆弱部位が形成されるため、当該溝が形成されていないスペーサーに比べて、より曲げやすくすることができる。前記湾曲によって、光学デバイスのカバーテープとの接着面積を光学デバイスの周縁側から内側方向へ減少させることができ、光学デバイスの取り出し作業性を向上させることができる。
【0037】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
光学デバイスのテープ形態の梱包に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの分解断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの断面図。
【図4】本発明の第1の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの斜視図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの側面図。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す光学デバイス用キャリアテープの側面図。
【図8】本発明の第2の実施形態の変形例を示す光学デバイス用キャリアテープの斜視図。
【符号の説明】
【0040】
1 スペーサー
10 キャリアテープ
11 スペーサー下面
12 スペーサー上面
2 上部カバーテープ
3 下部カバーテープ
4 貫通孔
6 光学ローパスフィルタ
7 突き上げ棒
8 溝
S 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスを収納する貫通孔を複数備えたスペーサーと、前記スペーサーの表面側に貼り合わされる上部カバーテープと、前記スペーサーの裏面側に貼り合わされる下部カバーテープとからなる光学デバイス用キャリアテープであって、
少なくとも前記下部カバーテープの前記スペーサーとの貼り合せ面側が、低粘着性の粘着面であり、前記貫通孔下部に露出した前記粘着面に光学デバイスが剥離可能に粘着保持されることを特徴とする光学デバイス用キャリアテープ。
【請求項2】
前記スペーサーには、前記貫通孔を前記スペーサーの幅方向に横断する溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス用キャリアテープ。
【請求項3】
前記貫通孔の内壁に緩衝材が被着されていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の光学デバイス用キャリアテープ。
【請求項4】
前記スペーサーが軟質樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の光学デバイス用キャリアテープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−105723(P2010−105723A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281807(P2008−281807)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】