光学フィルタ
本光学フィルタは、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられて構成される。また、光線の入射側端面として基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である基板に当該基板より厚みが薄い光学異方性結晶板もしくは他の基板が貼り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種光学機器に使用される位相差板、あるいは光学ローパスフィルタ等の光学フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種光学機器に使用され、水晶等の光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタとして、位相差板と光学ローパスフィルタ(水晶複屈折板)がある。このうち位相差板は、例えば光ディスクのピックアップや液晶プロジェクタ等の偏光光学系に適用されており、水晶等の光学異方性媒質における常光線と異常光線との速度差を利用し、両光線間に位相差を作り出す素子である。そして、1/4波長板として構成(位相差をπ/2に構成)した場合には上述した如く直線偏光を円偏光に変換したり、円偏光を直線偏光に変換したりする。また、光学ローパスフィルタ(水晶複屈折板)は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用されており、水晶等の光学異方性媒質の複屈折効果により入射光を常光線と異常光線に光分離して出射光とするもので、光学的疑似信号を濾波する役割を担っている。この光分離方向、分離幅は所定のパラメータにより適宜調整することができる。
【0003】
以下、光学フィルタの例として位相差板について説明する。一般に、位相差板として、光学機器に使用される光線の波長域(例えば600nm周辺)に対応するべく要求される厚さ寸法は、1/4波長板の場合、理論上15〜20μm程度である。しかし、水晶の加工上、この厚さ寸法の水晶片を得ることは困難である。従って、上記寸法程度の厚み差をもって加工された2枚の水晶片を貼り合わせたものが一般的に使用されている。つまり、2枚の水晶片の厚み差を利用して擬似的に上記厚さ寸法(15〜20μm程度)の水晶片と同等の偏光性能が得られるようにしている(下記特許文献1参照)。位相差板の構成例として、基準面(矩形状の水晶片の一辺)に対して光軸角度が0°で厚み寸法が517μmの水晶波長板と、上記光軸角度が90°で厚み寸法が500μmの水晶波長板とをUV接着剤(紫外線硬化型接着剤)によって貼り合わせた構成のものがある。
【0004】
これら光学異方性結晶板からなる光学フィルタ(位相差板や光学ローパスフィルタ)は、近年の各種光学機器の小型化、高性能化により、光学フィルタの薄型化が進んでいる。例えば、位相差板の場合、特許文献2に示すように、光学異方性結晶板による1/4波長板の板厚を100μm以上500μm以下とすることで、入射角度に対するリタデーション値(1/4波長板の常光線と異常光線の屈折率の差、すなわち複屈折率の差と、1/4波長板の板厚の積)の依存性を低減させ、反射型液晶表示装置に使用する場合のコントラスト性能を改善することが開示されている。また、光学ローパスフィルタにおいても、CCD等の撮像素子の高画素化、小型化に伴って、当該撮像素子の画素ピッチが小さくなっているのが現状であり、光学ローパスフィルタを薄型化することで、水晶等の光学異方性媒質の複屈折性による常光線と異常光線との分離幅を小さくし、上記撮像素子の画素ピッチに対応した分離幅を有する光学ローパスフィルタが求められている。
【特許文献1】特開昭58−194004号公報
【特許文献2】特開2003−222724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような光学フィルタは、表裏面に形成される光学コート材(反射防止膜、赤外線カットコート、紫外線カットコート等)の膜応力の影響を受けて光学フィルタが反ったり歪んだりするといった問題点があり、上述のように光学フィルタを薄型化することで、これら反りや歪みの問題が顕著に現れる(図11参照)。また、薄型化された光学フィルタは割れやチッピング等の問題も生じやすい。
【0006】
また、光学異方性結晶板は軸方向によって熱膨張係数が異なるので、このような反りや歪みの問題が発生しやすい。特に、複数枚の光学異方性結晶板が接着剤により貼り合わされた光学フィルタの場合、各光学異方性結晶板の軸方向、厚み寸法、主面寸法、主面形状等によって、熱の影響を受けるとお互いの光学異方性結晶板に対して応力を与え、光学フィルタが反ったり歪んだりしやすい。さらに、複数枚の光学異方性結晶板がUV接着剤により貼り合わされた光学フィルタの場合、その後の製造工程上において何らかの熱が加わると、当該UV接着剤に微少な緩みが生じることがあり、この緩みに伴うUV接着剤の応力と個々の光学異性結晶板の熱応力が作用し合って、光学フィルタがより一層反ったり歪んだりしやすくなるといった問題点もあった。
【0007】
このように光学フィルタに反りや歪みが生じると、光学的な入射角特性が変わり、位相特性や複屈折特性が変わることがあるので光学特性に悪影響を及ぼすといった不具合があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光学異方性結晶板の割れやチッピング、反りや歪みをなくして光学特性に悪影響を与えることがなく、光学異方性結晶板の薄型化に対応したより信頼性の高い光学フィルタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による光学フィルタは、光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の入射側端面(光学フィルタを構成する一端主面)として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明による光学フィルタは、光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の出射側端面(光学フィルタを構成する他端主面)として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による光学フィルタは、光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられ、光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする。
【0012】
また、上記構成において、上記基板が硝材基板であってもよい。
【0013】
また、上記構成において、上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板部分に光学コート材が施されてもよい。
【0014】
また、上記構成において、上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板が同じ厚みであってもよい。
【0015】
また、上記構成において、上記光学異方性結晶板と基板のそれぞれがUV接着剤により貼り付けられてもよい。
【0016】
また、上記構成において、上記UV接着剤の厚さは、上記光学異方性結晶板及び基板のうち少なくとも一方の厚さに対して1/20以下の厚さに設定されてもよい。
【0017】
また、上記構成において、上記光線の入射側端面または出射側端面の少なくとも一端面に、アモルファス結合した光学コートが形成されてもよい。
【0018】
また、上記構成において、厚さの異なる複数枚の光学異方性結晶板が重ね合わされて成り、入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に位相差を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる位相差板であってもよい。
【0019】
また、上記構成において、光学異方性結晶板により入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に所定の光分離方向と分離幅を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる光学ローパスフィルタであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる光学フィルタによれば、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である光学異方性結晶板もしくは基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い他の光学異方性結晶板もしくは他の基板が貼り付けられているので、光学コート材や接着剤、あるいは熱の影響など外的要因によって光学異方性結晶板が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる光学異方性結晶板自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタの主面の平行度、平面度を向上させることができる。つまり、光学フィルタは反りや歪みよって、光学フィルタの一方の主面(特に、入射側端面)に入射する光線の入射角が変わることがない。そのため、所望の位相特性や複屈折特性が得られ、光学特性に悪影響を及ぼすことがない。また、光学異方性結晶板を薄型化しても反りや歪みの影響がないので、より高性能化をはかることができる。また、光学異方性結晶板を薄型化しても反りや歪みの影響がないので、より高性能化をはかることができる。
【0021】
また、本発明にかかる光学フィルタによれば、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられているので、光学コート材や接着剤、あるいは熱の影響など外的要因によって光学異方性結晶板が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる光学異方性結晶板自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタの両端主面の平行度、平面度を向上させることができる。
また、上記した本発明の構成を組み合わせることで、さらに好ましい作用効果を有する。
【0022】
また、光学異方性結晶基板の両端主面を挟み込むようにして厚みの大きな基板が貼り付けられることで、光学異方性結晶基板の強度や剛性を補強するだけでなく、外的要因によって光学異方性結晶基板の主面に傷がついたり、光学異方性結晶板に割れやチッピングが生じたりすることが一切ない。特に、光学異方性結晶板を薄型化すると強度不足や剛性不足により上記弊害が顕著になるがこれらを防止できる。
【0023】
上述の作用効果に加えて、硝材基板を使用することで、光学異方性結晶板で得た位相差特性、複屈折特性への悪影響がない基板が得られる。また、光学異方性結晶板に熱膨張係数が近似しているので、熱的影響によって光学異方性結晶板に反りや歪みを生じさせず、かつ安価な基板が得られる。
【0024】
上述の作用効果に加えて、真空蒸着法やスパッタリング法等によって光学コート材を形成する際に、相対的に薄く反りや歪みなどの悪影響を受けやすい光学異方性結晶板に光学コート材を形成せずに、相対的に厚く反りや歪みなどの悪影響を受けない基板に光学コート材を形成することができるので、光学異方性結晶板の歪みの弊害をなくした光学フィルタを提供すことができる。
【0025】
また、光学フィルタの透過率を低下させないように、光学フィルタを構成する両端主面の基板部分のみ(各基板の一方の主面にのみ)に光学コート材が施しているが、光学異方性結晶板より厚みの大きな基板に光学コート材を形成しているので、光学異方性結晶板に光学コート材を形成する場合に比べて表裏の判別が行いやすく、各種光学異方性結晶板や基板を貼り合わせる際に、光学コート材の面方向を取り違えることがない。
【0026】
上述の作用効果に加えて、光学フィルタを構成する両端主面の基板が同じ厚みであるので、当該基板によって、光学異方性結晶板の反りや歪みを抑制する力、および光学異方性結晶板の反りや歪みを修正する力を光学フィルタの両端主面で均一にできるので、光学フィルタの主面の平行度、平面度を飛躍的に向上させることができる。
【0027】
上述の作用効果に加えて、UV接着剤(紫外線硬化型接着剤)を使用することで、光学異方性結晶板の熱的歪みの弊害をなくした光学フィルタを提供すことができる。また、UV接着剤(紫外線硬化型接着剤)は、硬化時間が短いため、硬化中のずれや変形が少ない。
【0028】
上述の作用効果に加えて、UV接着剤の厚さは、光学異方性結晶板及び基板のうち少なくとも一つの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されているので、基板や水晶片を接着する際に生じる基板や水晶片の厚さ方向の変形を防ぐことが可能となる。
【0029】
上述の作用効果に加えて、上記光線の入射側端面または出射側端面の少なくとも一端面に、アモルファス結合した光学コートが形成されるので、赤外線カットコートや反射防止膜などの応力が強くなり、膜強度が強くなる。また、赤外線カットコートや反射防止膜の経時変化を抑えることが可能となる。
【0030】
上述の作用効果に加えて、2枚の光学異方性結晶板が異なる軸方向に接着剤で貼り合わせて構成された位相差板では、お互いの光学異方性結晶板に対して応力を与え、光学フィルタが反ったり歪んだりしやすいが、これら反りや歪みの悪影響を受けることなく使用することが可能となる。特に、反射型液晶表示装置に位相差板を使用する場合、80°前後の熱が加わるので、上記反りや歪みの悪影響を受けやすいが、これらの問題を改善することができる。また、反りや歪みの影響がないので、位相差板をより薄型化することが可能となり、入射角度に対するリタデーション値の依存性を低減させ、例えば反射型液晶表示装置に使用する場合、コントラスト性能を向上させることができる。
【0031】
上述の作用効果に加えて、光学ローパスフィルタでは、赤外線カットコートや紫外線カットコートなど反射防止膜に比べてより多層膜光学コート材が光学異方性結晶板に形成されることが多く、光学コート材によって光学フィルタが反ったり歪んだりしやすいが、これら反りや歪みの悪影響を受けることなく使用することが可能となる。また、2枚以上の光学異方性結晶板が異なる軸方向に接着剤で貼り合わせて構成される光学ローパスフィルタにおいては、お互いの光学異方性結晶板に対して応力を与え、光学フィルタが反ったり歪んだりしやすいが、これら反りや歪みの悪影響を受けることなく使用することが可能となるので、様々なCCD等の撮像素子の分離幅、分離パターンにも対応できる。さらに、反りや歪みの影響がないので、光学ローパスフィルタの部分をより薄型化することが可能となり、CCD等の撮像素子の高画素化、小型化に伴って、当該撮像素子の画素ピッチが小さなものにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の第1形態に係る位相差板の分解斜視図である。
【図2】図2は、図1を組み立てた状態の斜視図である。
【図3】図3は、図2の側面図である。
【図4】図4は、本発明の第2形態に係る光学ローパスフィルタの分解斜視図である。
【図5】図5は、図4を組み立てた状態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例2にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例3にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例4にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図11】図11は、従来の問題点を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1,6 光学フィルタ
2,3,7 水晶片(光学異方性結晶板)
4,5,8,9 硝材基板
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
−第1の実施形態−
以下、本発明の第1の実施形態について位相差板を例にとり図面に基づいて説明する。図1は本形態に係る位相差板の分解斜視図を示し、図2は図1を組み立てた状態の斜視図、図3は図2の側面図である。
【0035】
これら図に示すように、光学フィルタ1は、2枚の水晶片(光学異方性結晶板)2,3と、硝材基板4,5により構成されている。以下、具体的に説明する。ここでは、図1、図2において手前側(図3の左側)を入射面(本発明でいう入射側端面)として、手前側にある水晶片を第1水晶片2、同じく硝材基板を第1硝材基板4と称し、奥側(図3の右側)を出射面(本発明でいう出射側端面)として、奥側にある水晶片を第2水晶片3、同じく硝材基板を第2硝材基板5と称する。
【0036】
各水晶片2,3は、平面視がともに同一の方形状で構成されている。第1水晶片2は、基準面(矩形状の水晶片の一辺)に対して光軸角度が0°で厚さ寸法が200μmに設定されている。第2水晶片3は、上記光軸角度が90°で厚さ寸法が215μmに設定されている。つまり、15μmの厚み差を利用して、厚さ寸法が15μmの水晶片の単板で成る位相差板と同機能(同等の偏光性能)が擬似的に得られるようにしている。この厚み差としては15μmに限るものではなく、偏光対象とする入射光に応じてこの厚み差は適宜設定される。これら第1水晶片2,3は、お互いの光軸角度が直交した状態で、UV接着剤S1によって貼り合わされている。このような薄型の位相差板では、入射角度に対するリタデーション値の依存性を低減させ、例えば反射型液晶表示装置に使用する場合のコントラスト性能を改善することができる。なお、第1水晶片2の光軸を実線で、第2水晶片3の光軸を破線でそれぞれ示している。
【0037】
そして、本形態の特徴とするところは、これら薄型の位相差板の反りや歪み影響をなくすために、位相差板の両端主面に対して、当該位相差板より厚みの大きな硝材基板4,5が貼り付けられてなる点にある。
【0038】
各硝材基板4,5は、上記水晶片とほぼ同じ方形状で、上記水晶片(光学異方性結晶板)と光学的な屈折率特性や熱膨張係数が近似しているものが好ましく、例えば、石英ガラス材、サファイヤガラス、または白板ガラス等で構成されている。第1硝材基板4は、入射面41に反射防止膜(光学コート材)H1が形成され、第2硝材基板5は、出射面52に反射防止膜(光学コート材)H2が形成されるとともに、各硝材基板基板4,5の厚さ寸法が各々1000μmと同じ厚みに設定されている。なお、上記反射防止膜としては、例えば真空蒸着法などの手法により、SiO2、TiO2等の誘電体薄膜を多層形成することにより得ることができる。これら第1硝材基板4は、上記第1水晶片2の入射面21にUV接着剤S2によって貼り合わされ、第2硝材基板5は、上記第2水晶片3の出射面32にUV接着剤S3によって貼り合わされている。
【0039】
このように、水晶片より厚みの大きな硝材基板4,5が、当該水晶片の両端主面21,31に貼り付けられているので、光学フィルタ1に歪みが生じることがなくなり、入射角が変わることがないので、所望の位相特性が得られる。また、光学フィルタ1の強度や剛性を補強するだけでなく、水晶片が外的要因によって主面に傷がついたり、チッピングが生じたりすることが一切ない。
【0040】
なお、上記第1の実施形態では、各水晶片の光軸角度を0°と90°のものを用いて、光軸同士の成す角度を90°としたものを例にしているが、光軸角度が0°と90°以外のものでもよく、かつ光軸同士の成す角度を90°未満に設定したものでもよい。また、上記第1の実施形態では、光学フィルタ1の両端主面である、第1硝材基板の入射面41と、第2硝材基板の出射面52のみに反射防止膜(光学コート材)を形成し、光学的な透過率の低下を抑制している。しかしながら、各硝材基板4,5の表裏主面に形成してもよく、各水晶片2,3の表裏主面に形成してもよい。さらに、各硝材基板4,5が、同じ材質、同じ厚みのものを例にしているが、水晶片(光学異方性結晶板)の歪みをとることができれば、お互いに異なる材質、異なる厚みのものでもよい。
【0041】
−第2の実施形態−
以下、本発明の第2の実施形態について光学ローパスフィルタを例にとり図面に基づいて説明する。図4は本形態に係る光学ローパスフィルタの分解斜視図を示し、図5は図4を組み立てた状態の斜視図、図6は図5の側面図である。
【0042】
これら図に示すように、光学フィルタ6は、水晶片(光学異方性結晶板)7と、硝材基板8,9により構成されている。以下、具体的に説明する。ここでは、図4、図5において手前側(図6の左側)を入射面(本発明でいう入射側端面)として、手前側にある硝材基板を第1硝材基板と称し、奥側(図6の右側)を出射面(本発明でいう出射側端面)として、奥側にある硝材基板を第2硝材基板と称する。
【0043】
水晶片7(水晶複屈折板)は、平面視方形状で構成されている。水晶片7は、基準面(矩形状の水晶片の一辺)に対して光軸角度が45°で厚さ寸法が240μmに設定されている。つまり、45°方向に常光線と異常光線とに分離させ、光学的疑似信号を濾波する役割を担っている。このような薄型の光学ローパスフィルタでは、CCD等の撮像素子の高画素化、小型化に対応して、複屈折性による常光線と異常光線との分離幅を小さくすることができる。なお、水晶片7の光軸を実線で示している。
【0044】
そして、本形態の特徴とするところは、これら薄型の光学ローパスフィルタの歪み影響をなくすために、光学ローパスフィルタの表裏主面に対して、当該光学ローパスフィルタより厚みの大きな硝材基板8,9が貼り付けられてなる点にある。
【0045】
第1硝材基板8は、上記水晶片とほぼ同じ方形状で、例えば、リン酸ガラス等の赤外線カット特性を有する色ガラスで構成されており、当該第1硝材基板の入射面81に赤外線カットコート(光学コート材)H3が形成されるとともに、厚さ寸法が800μmに設定されている。第2硝材基板9は、上記水晶片とほぼ同じ方形状で、例えば、石英ガラス材、サファイヤガラス、または白板ガラス等で構成されており、当該第2硝材基板9の出射面92に反射防止膜(光学コート材)H4が形成されるとともに、厚さ寸法が1500μmに設定されている。なお、上記赤外線カットコート、反射防止膜としては、例えばスパッタリング法などの手法により、SiO2、TiO2等の誘電体薄膜を多層形成することにより得ることができる。これら第1硝材基板8は、上記水晶片7の入射面71にUV接着剤S4によって貼り合わされ、第2硝材基板9は、上記第水晶片7の出射面72にUV接着剤S5によって貼り合わされている。また、別の赤外線カットコートや反射防止膜の形成方法としてイオンアシスト蒸着法がある。このイオンアシスト蒸着法により、アモルファス結合した赤外線カットコートや反射防止膜を形成することができる。ここでいうアモルファス結合により、赤外線カットコートや反射防止膜の応力が強くなり、膜強度が強くなる。また、赤外線カットコートや反射防止膜の経時変化を抑えることが可能となる。なお、ここでは、イオンアシスト蒸着法により赤外線カットコートや反射防止膜のアモルファス結合を行っているが、これは好適な例であり、アモルファス結合させた赤外線カットコートや反射防止膜の形成方法はこれに限定されるものではない。また、赤外線カットコートや反射防止膜に、SiO2の誘電体薄膜を形成して用いることが好ましい。
【0046】
このように、水晶片より厚みの大きな硝材基板8,9が、当該水晶片の両端主面71,72に貼り付けられているので、光学フィルタ6に歪みが生じることがなくなり、入射角が変わることがないので、所望の複屈折特性が得られる。また、光学フィルタ1の強度や剛性を補強するだけでなく、水晶片が外的要因によって主面に傷がついたり、チッピングが生じたりすることが一切ない。
【0047】
なお、上記第2の実施形態では、単板の水晶片の光軸角度を45°とし、45°方向に常光線と異常光線とに2点分離させたものを例にしているが、複数枚の水晶片(水晶複屈折板のみ、または水晶複屈折板と1/4波長板)を用いて4点以上の分離パターンを構成するものであってもよい。また、上記第2の実施形態では、光学フィルタ6の両端主面である、第1硝材基板の入射面81に赤外線カットコートを、第2硝材基板の出射面92のみに反射防止膜(光学コート材)を形成し、光学的な透過率の低下を抑制している。しかしながら、赤外線カットコートについては各硝材基板の他の主面に形成してもよく、各水晶片2,3の表裏主面に形成してもよい。このとき、赤外線カットコートは、内部に挟み込まれ、外表面に傷がつかない。
【0048】
次に、上記第2の実施形態にかかる光学ローパスフィルタを任意の寸法や位置条件(下記の実施例参照)に基づいて製造し、以下にその製造した実施例を図面を用いて説明する。なお、下記の各実施例において図面に用いられる水晶片Aは0°複屈折板であり、水晶片Bは1/4波長板であり、基板Cは赤外線吸収ガラスであり、水晶片Dは90°複屈折板であり、基板Eは無色ガラスである。
【0049】
(実施例1)
本実施例1にかかる光学フィルタ6は、図7に示すように、図面左から順に、水晶片A,基板C,水晶片B,水晶片D及び基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、水晶片A,基板C,水晶片B,水晶片D及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる水晶片Aの出射側端面A1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0050】
また、本実施例1にかかる光学フィルタ6では、図6の左側から順に、水晶片Aの厚さが260μmに設定され,基板Cの厚さが1200μmに設定され,水晶片Bの厚さが350μmに設定され,水晶片Dの厚さが260μmに設定され、基板Eの厚さが800μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0051】
(実施例2)
本実施例2にかかる光学フィルタ6は、図8に示すように、図面左から順に、基板C,水晶片A,水晶片B,水晶片D及び基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、基板C,水晶片A,水晶片B,水晶片D及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる水晶片Cの出射側端面C1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0052】
また、本実施例2にかかる光学フィルタ6では、図8の左側から順に、基板Cの厚さが1200μmに設定され,水晶片Aの厚さが260μmに設定され,水晶片Bの厚さが350μmに設定され,水晶片Dの厚さが260μmに設定され、基板Eの厚さが800μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0053】
(実施例3)
本実施例3にかかる光学フィルタ6は、図9に示すように、図面左から順に、水晶片A,基板C及び基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、水晶片A,基板C及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる水晶片Aの出射側端面A1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0054】
また、本実施例3にかかる光学フィルタ6では、図9の左側から順に、水晶片Aの厚さが250μmに設定され,基板Cの厚さが500μmに設定され,基板Eの厚さが950μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0055】
(実施例4)
本実施例4にかかる光学フィルタ6は、図10に示すように、図面左から順に、基板C,水晶片A,基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、基板C,水晶片A及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる基板Cの出射側端面C1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0056】
また、本実施例4にかかる光学フィルタ6では、図10の左側から順に、基板Cの厚さが500μmに設定され,水晶片Aの厚さが250μmに設定され,基板Eの厚さが900μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0057】
上記した各実施例1〜4に示すように、UV接着剤S6の厚さは、水晶片A,B,D及び基板C,Eの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されている。このようにUV接着剤S6の厚さ設定を行うことにより、基板や水晶片を接着する際に生じる基板や水晶片の厚さ方向の変形を防ぐことができる。なお、各実施例1〜4では、UV接着剤S6は、水晶片A,B,D及び基板C,Eの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されているが、これに限定されるものではなく、水晶片A,B,D及び基板C,Eのうち少なくとも1つの水晶片もしくは基板の厚さに対して1/20以下の厚さに設定されていればよい。すなわち、UV接着剤S6が、例えば水晶片Aの厚さに対してのみ1/20以下の厚さに設定されてもよい。しかしながら、上記した各実施例1〜4に示すようにUV接着剤S6が水晶片A,B,D及び基板C,Eのどの厚さに対しても1/20以下の厚さに設定されていることが好適である。
【0058】
また、本実施の形態2では、上記した各実施例1〜4では赤外線吸収ガラスCを用いることで、基板Eの入射側端面E1に形成された赤外線カットコートと併用して赤外線をカットするのに更に好ましい形態となる。
【0059】
また、上記した各実施例1〜4では、光線の入射側端面として無色ガラスの基板Eを用いているが、これに限定されるものではなく、屈折率が空気に近い媒体を用いてよく、異方性のない水晶を材料とする基板であってもよい。
【0060】
また、上記した各実施例1〜4では、光線の入射側端面として無色ガラスの基板Eを用い、光線の出射側端面として水晶片A(図7,9参照)や、基板C(図8,10参照)を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、光線の入射方向を逆方向として、光線の出射側端面として基板Eを用い、光線の入射側端面として水晶片A(図7,9参照)や、基板C(図8,10参照)を用いてもよい。
【0061】
また、上記した実施例1,3では、光線の入射側端面として基板Eが用いられ、基板Eに基板Eより厚さがない水晶片D(実施例1)もしくは基板C(実施例3)が隣接して貼り合わされている。そのため、光学コート材や接着剤S6、あるいは熱の影響など外的要因によって水晶片が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる水晶片自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタ6の主面の平行度、平面度を向上させることができる。つまり、光学フィルタ6は反りや歪みよって、主面(特に入射側端面E1)に入射する光線の入射角が変わることがない。また、水晶片を薄型化しても反りや歪みの影響がないので、より高性能化をはかることができる。
【0062】
また、上記した実施例2,4では、光線の入射側端面として基板Eが用いられ、基板Eに基板Eより厚さがない水晶片D(実施例2)もしくは水晶片A(実施例4)が隣接して貼り合わされている。さらに、光線の出射側端面として基板Cが用いられ、基板Cに基板Cより厚さがない水晶片A(実施例2,4)が隣接して貼り合わされている。上記したように、光学フィルタ6の主面(特に入射側端面E1)に入射する光線の入射角が変わらないので、所望の位相特性や複屈折特性が得られ、光学特性に悪影響を及ぼすことがない。さらに、光学コート材6や接着剤S6、あるいは熱の影響など外的要因によって水晶片が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる水晶片自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタ6の両端主面C1,E1の平行度、平面度を向上させることができる。
【0063】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、位相差板、および光学ローパスフィルタを構成する材料として水晶を採用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、その他の光学異方性材料を採用することが可能である。また、基板材料として、硝材基板を採用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、樹脂基板など他の透明基板であってもよい。加えて、各水晶片、各基板は方形状のものに限らず、その他の多角形状や円形状であってもよい。さらに、光学コート材として、SiO2、TiO2等が交互に積層された反射防止膜、赤外線カットコートを例にしているが、他の材質を用いたものであってもよく、紫外線カットコート、赤外紫外線カットコートなどの他の光学コート材であってもよい。
【0064】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0065】
また、この出願は、2003年12月18日に日本で出願された特願2003−420533号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、各種光学機器に使用される位相差板、あるいは光学ローパスフィルタ等の光学フィルタに適用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種光学機器に使用される位相差板、あるいは光学ローパスフィルタ等の光学フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種光学機器に使用され、水晶等の光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタとして、位相差板と光学ローパスフィルタ(水晶複屈折板)がある。このうち位相差板は、例えば光ディスクのピックアップや液晶プロジェクタ等の偏光光学系に適用されており、水晶等の光学異方性媒質における常光線と異常光線との速度差を利用し、両光線間に位相差を作り出す素子である。そして、1/4波長板として構成(位相差をπ/2に構成)した場合には上述した如く直線偏光を円偏光に変換したり、円偏光を直線偏光に変換したりする。また、光学ローパスフィルタ(水晶複屈折板)は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用されており、水晶等の光学異方性媒質の複屈折効果により入射光を常光線と異常光線に光分離して出射光とするもので、光学的疑似信号を濾波する役割を担っている。この光分離方向、分離幅は所定のパラメータにより適宜調整することができる。
【0003】
以下、光学フィルタの例として位相差板について説明する。一般に、位相差板として、光学機器に使用される光線の波長域(例えば600nm周辺)に対応するべく要求される厚さ寸法は、1/4波長板の場合、理論上15〜20μm程度である。しかし、水晶の加工上、この厚さ寸法の水晶片を得ることは困難である。従って、上記寸法程度の厚み差をもって加工された2枚の水晶片を貼り合わせたものが一般的に使用されている。つまり、2枚の水晶片の厚み差を利用して擬似的に上記厚さ寸法(15〜20μm程度)の水晶片と同等の偏光性能が得られるようにしている(下記特許文献1参照)。位相差板の構成例として、基準面(矩形状の水晶片の一辺)に対して光軸角度が0°で厚み寸法が517μmの水晶波長板と、上記光軸角度が90°で厚み寸法が500μmの水晶波長板とをUV接着剤(紫外線硬化型接着剤)によって貼り合わせた構成のものがある。
【0004】
これら光学異方性結晶板からなる光学フィルタ(位相差板や光学ローパスフィルタ)は、近年の各種光学機器の小型化、高性能化により、光学フィルタの薄型化が進んでいる。例えば、位相差板の場合、特許文献2に示すように、光学異方性結晶板による1/4波長板の板厚を100μm以上500μm以下とすることで、入射角度に対するリタデーション値(1/4波長板の常光線と異常光線の屈折率の差、すなわち複屈折率の差と、1/4波長板の板厚の積)の依存性を低減させ、反射型液晶表示装置に使用する場合のコントラスト性能を改善することが開示されている。また、光学ローパスフィルタにおいても、CCD等の撮像素子の高画素化、小型化に伴って、当該撮像素子の画素ピッチが小さくなっているのが現状であり、光学ローパスフィルタを薄型化することで、水晶等の光学異方性媒質の複屈折性による常光線と異常光線との分離幅を小さくし、上記撮像素子の画素ピッチに対応した分離幅を有する光学ローパスフィルタが求められている。
【特許文献1】特開昭58−194004号公報
【特許文献2】特開2003−222724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような光学フィルタは、表裏面に形成される光学コート材(反射防止膜、赤外線カットコート、紫外線カットコート等)の膜応力の影響を受けて光学フィルタが反ったり歪んだりするといった問題点があり、上述のように光学フィルタを薄型化することで、これら反りや歪みの問題が顕著に現れる(図11参照)。また、薄型化された光学フィルタは割れやチッピング等の問題も生じやすい。
【0006】
また、光学異方性結晶板は軸方向によって熱膨張係数が異なるので、このような反りや歪みの問題が発生しやすい。特に、複数枚の光学異方性結晶板が接着剤により貼り合わされた光学フィルタの場合、各光学異方性結晶板の軸方向、厚み寸法、主面寸法、主面形状等によって、熱の影響を受けるとお互いの光学異方性結晶板に対して応力を与え、光学フィルタが反ったり歪んだりしやすい。さらに、複数枚の光学異方性結晶板がUV接着剤により貼り合わされた光学フィルタの場合、その後の製造工程上において何らかの熱が加わると、当該UV接着剤に微少な緩みが生じることがあり、この緩みに伴うUV接着剤の応力と個々の光学異性結晶板の熱応力が作用し合って、光学フィルタがより一層反ったり歪んだりしやすくなるといった問題点もあった。
【0007】
このように光学フィルタに反りや歪みが生じると、光学的な入射角特性が変わり、位相特性や複屈折特性が変わることがあるので光学特性に悪影響を及ぼすといった不具合があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光学異方性結晶板の割れやチッピング、反りや歪みをなくして光学特性に悪影響を与えることがなく、光学異方性結晶板の薄型化に対応したより信頼性の高い光学フィルタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による光学フィルタは、光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の入射側端面(光学フィルタを構成する一端主面)として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明による光学フィルタは、光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の出射側端面(光学フィルタを構成する他端主面)として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による光学フィルタは、光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられ、光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする。
【0012】
また、上記構成において、上記基板が硝材基板であってもよい。
【0013】
また、上記構成において、上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板部分に光学コート材が施されてもよい。
【0014】
また、上記構成において、上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板が同じ厚みであってもよい。
【0015】
また、上記構成において、上記光学異方性結晶板と基板のそれぞれがUV接着剤により貼り付けられてもよい。
【0016】
また、上記構成において、上記UV接着剤の厚さは、上記光学異方性結晶板及び基板のうち少なくとも一方の厚さに対して1/20以下の厚さに設定されてもよい。
【0017】
また、上記構成において、上記光線の入射側端面または出射側端面の少なくとも一端面に、アモルファス結合した光学コートが形成されてもよい。
【0018】
また、上記構成において、厚さの異なる複数枚の光学異方性結晶板が重ね合わされて成り、入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に位相差を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる位相差板であってもよい。
【0019】
また、上記構成において、光学異方性結晶板により入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に所定の光分離方向と分離幅を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる光学ローパスフィルタであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる光学フィルタによれば、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である光学異方性結晶板もしくは基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い他の光学異方性結晶板もしくは他の基板が貼り付けられているので、光学コート材や接着剤、あるいは熱の影響など外的要因によって光学異方性結晶板が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる光学異方性結晶板自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタの主面の平行度、平面度を向上させることができる。つまり、光学フィルタは反りや歪みよって、光学フィルタの一方の主面(特に、入射側端面)に入射する光線の入射角が変わることがない。そのため、所望の位相特性や複屈折特性が得られ、光学特性に悪影響を及ぼすことがない。また、光学異方性結晶板を薄型化しても反りや歪みの影響がないので、より高性能化をはかることができる。また、光学異方性結晶板を薄型化しても反りや歪みの影響がないので、より高性能化をはかることができる。
【0021】
また、本発明にかかる光学フィルタによれば、1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられているので、光学コート材や接着剤、あるいは熱の影響など外的要因によって光学異方性結晶板が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる光学異方性結晶板自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタの両端主面の平行度、平面度を向上させることができる。
また、上記した本発明の構成を組み合わせることで、さらに好ましい作用効果を有する。
【0022】
また、光学異方性結晶基板の両端主面を挟み込むようにして厚みの大きな基板が貼り付けられることで、光学異方性結晶基板の強度や剛性を補強するだけでなく、外的要因によって光学異方性結晶基板の主面に傷がついたり、光学異方性結晶板に割れやチッピングが生じたりすることが一切ない。特に、光学異方性結晶板を薄型化すると強度不足や剛性不足により上記弊害が顕著になるがこれらを防止できる。
【0023】
上述の作用効果に加えて、硝材基板を使用することで、光学異方性結晶板で得た位相差特性、複屈折特性への悪影響がない基板が得られる。また、光学異方性結晶板に熱膨張係数が近似しているので、熱的影響によって光学異方性結晶板に反りや歪みを生じさせず、かつ安価な基板が得られる。
【0024】
上述の作用効果に加えて、真空蒸着法やスパッタリング法等によって光学コート材を形成する際に、相対的に薄く反りや歪みなどの悪影響を受けやすい光学異方性結晶板に光学コート材を形成せずに、相対的に厚く反りや歪みなどの悪影響を受けない基板に光学コート材を形成することができるので、光学異方性結晶板の歪みの弊害をなくした光学フィルタを提供すことができる。
【0025】
また、光学フィルタの透過率を低下させないように、光学フィルタを構成する両端主面の基板部分のみ(各基板の一方の主面にのみ)に光学コート材が施しているが、光学異方性結晶板より厚みの大きな基板に光学コート材を形成しているので、光学異方性結晶板に光学コート材を形成する場合に比べて表裏の判別が行いやすく、各種光学異方性結晶板や基板を貼り合わせる際に、光学コート材の面方向を取り違えることがない。
【0026】
上述の作用効果に加えて、光学フィルタを構成する両端主面の基板が同じ厚みであるので、当該基板によって、光学異方性結晶板の反りや歪みを抑制する力、および光学異方性結晶板の反りや歪みを修正する力を光学フィルタの両端主面で均一にできるので、光学フィルタの主面の平行度、平面度を飛躍的に向上させることができる。
【0027】
上述の作用効果に加えて、UV接着剤(紫外線硬化型接着剤)を使用することで、光学異方性結晶板の熱的歪みの弊害をなくした光学フィルタを提供すことができる。また、UV接着剤(紫外線硬化型接着剤)は、硬化時間が短いため、硬化中のずれや変形が少ない。
【0028】
上述の作用効果に加えて、UV接着剤の厚さは、光学異方性結晶板及び基板のうち少なくとも一つの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されているので、基板や水晶片を接着する際に生じる基板や水晶片の厚さ方向の変形を防ぐことが可能となる。
【0029】
上述の作用効果に加えて、上記光線の入射側端面または出射側端面の少なくとも一端面に、アモルファス結合した光学コートが形成されるので、赤外線カットコートや反射防止膜などの応力が強くなり、膜強度が強くなる。また、赤外線カットコートや反射防止膜の経時変化を抑えることが可能となる。
【0030】
上述の作用効果に加えて、2枚の光学異方性結晶板が異なる軸方向に接着剤で貼り合わせて構成された位相差板では、お互いの光学異方性結晶板に対して応力を与え、光学フィルタが反ったり歪んだりしやすいが、これら反りや歪みの悪影響を受けることなく使用することが可能となる。特に、反射型液晶表示装置に位相差板を使用する場合、80°前後の熱が加わるので、上記反りや歪みの悪影響を受けやすいが、これらの問題を改善することができる。また、反りや歪みの影響がないので、位相差板をより薄型化することが可能となり、入射角度に対するリタデーション値の依存性を低減させ、例えば反射型液晶表示装置に使用する場合、コントラスト性能を向上させることができる。
【0031】
上述の作用効果に加えて、光学ローパスフィルタでは、赤外線カットコートや紫外線カットコートなど反射防止膜に比べてより多層膜光学コート材が光学異方性結晶板に形成されることが多く、光学コート材によって光学フィルタが反ったり歪んだりしやすいが、これら反りや歪みの悪影響を受けることなく使用することが可能となる。また、2枚以上の光学異方性結晶板が異なる軸方向に接着剤で貼り合わせて構成される光学ローパスフィルタにおいては、お互いの光学異方性結晶板に対して応力を与え、光学フィルタが反ったり歪んだりしやすいが、これら反りや歪みの悪影響を受けることなく使用することが可能となるので、様々なCCD等の撮像素子の分離幅、分離パターンにも対応できる。さらに、反りや歪みの影響がないので、光学ローパスフィルタの部分をより薄型化することが可能となり、CCD等の撮像素子の高画素化、小型化に伴って、当該撮像素子の画素ピッチが小さなものにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の第1形態に係る位相差板の分解斜視図である。
【図2】図2は、図1を組み立てた状態の斜視図である。
【図3】図3は、図2の側面図である。
【図4】図4は、本発明の第2形態に係る光学ローパスフィルタの分解斜視図である。
【図5】図5は、図4を組み立てた状態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例2にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例3にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例4にかかる光学ローパスフィルタの側面図である。
【図11】図11は、従来の問題点を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1,6 光学フィルタ
2,3,7 水晶片(光学異方性結晶板)
4,5,8,9 硝材基板
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
−第1の実施形態−
以下、本発明の第1の実施形態について位相差板を例にとり図面に基づいて説明する。図1は本形態に係る位相差板の分解斜視図を示し、図2は図1を組み立てた状態の斜視図、図3は図2の側面図である。
【0035】
これら図に示すように、光学フィルタ1は、2枚の水晶片(光学異方性結晶板)2,3と、硝材基板4,5により構成されている。以下、具体的に説明する。ここでは、図1、図2において手前側(図3の左側)を入射面(本発明でいう入射側端面)として、手前側にある水晶片を第1水晶片2、同じく硝材基板を第1硝材基板4と称し、奥側(図3の右側)を出射面(本発明でいう出射側端面)として、奥側にある水晶片を第2水晶片3、同じく硝材基板を第2硝材基板5と称する。
【0036】
各水晶片2,3は、平面視がともに同一の方形状で構成されている。第1水晶片2は、基準面(矩形状の水晶片の一辺)に対して光軸角度が0°で厚さ寸法が200μmに設定されている。第2水晶片3は、上記光軸角度が90°で厚さ寸法が215μmに設定されている。つまり、15μmの厚み差を利用して、厚さ寸法が15μmの水晶片の単板で成る位相差板と同機能(同等の偏光性能)が擬似的に得られるようにしている。この厚み差としては15μmに限るものではなく、偏光対象とする入射光に応じてこの厚み差は適宜設定される。これら第1水晶片2,3は、お互いの光軸角度が直交した状態で、UV接着剤S1によって貼り合わされている。このような薄型の位相差板では、入射角度に対するリタデーション値の依存性を低減させ、例えば反射型液晶表示装置に使用する場合のコントラスト性能を改善することができる。なお、第1水晶片2の光軸を実線で、第2水晶片3の光軸を破線でそれぞれ示している。
【0037】
そして、本形態の特徴とするところは、これら薄型の位相差板の反りや歪み影響をなくすために、位相差板の両端主面に対して、当該位相差板より厚みの大きな硝材基板4,5が貼り付けられてなる点にある。
【0038】
各硝材基板4,5は、上記水晶片とほぼ同じ方形状で、上記水晶片(光学異方性結晶板)と光学的な屈折率特性や熱膨張係数が近似しているものが好ましく、例えば、石英ガラス材、サファイヤガラス、または白板ガラス等で構成されている。第1硝材基板4は、入射面41に反射防止膜(光学コート材)H1が形成され、第2硝材基板5は、出射面52に反射防止膜(光学コート材)H2が形成されるとともに、各硝材基板基板4,5の厚さ寸法が各々1000μmと同じ厚みに設定されている。なお、上記反射防止膜としては、例えば真空蒸着法などの手法により、SiO2、TiO2等の誘電体薄膜を多層形成することにより得ることができる。これら第1硝材基板4は、上記第1水晶片2の入射面21にUV接着剤S2によって貼り合わされ、第2硝材基板5は、上記第2水晶片3の出射面32にUV接着剤S3によって貼り合わされている。
【0039】
このように、水晶片より厚みの大きな硝材基板4,5が、当該水晶片の両端主面21,31に貼り付けられているので、光学フィルタ1に歪みが生じることがなくなり、入射角が変わることがないので、所望の位相特性が得られる。また、光学フィルタ1の強度や剛性を補強するだけでなく、水晶片が外的要因によって主面に傷がついたり、チッピングが生じたりすることが一切ない。
【0040】
なお、上記第1の実施形態では、各水晶片の光軸角度を0°と90°のものを用いて、光軸同士の成す角度を90°としたものを例にしているが、光軸角度が0°と90°以外のものでもよく、かつ光軸同士の成す角度を90°未満に設定したものでもよい。また、上記第1の実施形態では、光学フィルタ1の両端主面である、第1硝材基板の入射面41と、第2硝材基板の出射面52のみに反射防止膜(光学コート材)を形成し、光学的な透過率の低下を抑制している。しかしながら、各硝材基板4,5の表裏主面に形成してもよく、各水晶片2,3の表裏主面に形成してもよい。さらに、各硝材基板4,5が、同じ材質、同じ厚みのものを例にしているが、水晶片(光学異方性結晶板)の歪みをとることができれば、お互いに異なる材質、異なる厚みのものでもよい。
【0041】
−第2の実施形態−
以下、本発明の第2の実施形態について光学ローパスフィルタを例にとり図面に基づいて説明する。図4は本形態に係る光学ローパスフィルタの分解斜視図を示し、図5は図4を組み立てた状態の斜視図、図6は図5の側面図である。
【0042】
これら図に示すように、光学フィルタ6は、水晶片(光学異方性結晶板)7と、硝材基板8,9により構成されている。以下、具体的に説明する。ここでは、図4、図5において手前側(図6の左側)を入射面(本発明でいう入射側端面)として、手前側にある硝材基板を第1硝材基板と称し、奥側(図6の右側)を出射面(本発明でいう出射側端面)として、奥側にある硝材基板を第2硝材基板と称する。
【0043】
水晶片7(水晶複屈折板)は、平面視方形状で構成されている。水晶片7は、基準面(矩形状の水晶片の一辺)に対して光軸角度が45°で厚さ寸法が240μmに設定されている。つまり、45°方向に常光線と異常光線とに分離させ、光学的疑似信号を濾波する役割を担っている。このような薄型の光学ローパスフィルタでは、CCD等の撮像素子の高画素化、小型化に対応して、複屈折性による常光線と異常光線との分離幅を小さくすることができる。なお、水晶片7の光軸を実線で示している。
【0044】
そして、本形態の特徴とするところは、これら薄型の光学ローパスフィルタの歪み影響をなくすために、光学ローパスフィルタの表裏主面に対して、当該光学ローパスフィルタより厚みの大きな硝材基板8,9が貼り付けられてなる点にある。
【0045】
第1硝材基板8は、上記水晶片とほぼ同じ方形状で、例えば、リン酸ガラス等の赤外線カット特性を有する色ガラスで構成されており、当該第1硝材基板の入射面81に赤外線カットコート(光学コート材)H3が形成されるとともに、厚さ寸法が800μmに設定されている。第2硝材基板9は、上記水晶片とほぼ同じ方形状で、例えば、石英ガラス材、サファイヤガラス、または白板ガラス等で構成されており、当該第2硝材基板9の出射面92に反射防止膜(光学コート材)H4が形成されるとともに、厚さ寸法が1500μmに設定されている。なお、上記赤外線カットコート、反射防止膜としては、例えばスパッタリング法などの手法により、SiO2、TiO2等の誘電体薄膜を多層形成することにより得ることができる。これら第1硝材基板8は、上記水晶片7の入射面71にUV接着剤S4によって貼り合わされ、第2硝材基板9は、上記第水晶片7の出射面72にUV接着剤S5によって貼り合わされている。また、別の赤外線カットコートや反射防止膜の形成方法としてイオンアシスト蒸着法がある。このイオンアシスト蒸着法により、アモルファス結合した赤外線カットコートや反射防止膜を形成することができる。ここでいうアモルファス結合により、赤外線カットコートや反射防止膜の応力が強くなり、膜強度が強くなる。また、赤外線カットコートや反射防止膜の経時変化を抑えることが可能となる。なお、ここでは、イオンアシスト蒸着法により赤外線カットコートや反射防止膜のアモルファス結合を行っているが、これは好適な例であり、アモルファス結合させた赤外線カットコートや反射防止膜の形成方法はこれに限定されるものではない。また、赤外線カットコートや反射防止膜に、SiO2の誘電体薄膜を形成して用いることが好ましい。
【0046】
このように、水晶片より厚みの大きな硝材基板8,9が、当該水晶片の両端主面71,72に貼り付けられているので、光学フィルタ6に歪みが生じることがなくなり、入射角が変わることがないので、所望の複屈折特性が得られる。また、光学フィルタ1の強度や剛性を補強するだけでなく、水晶片が外的要因によって主面に傷がついたり、チッピングが生じたりすることが一切ない。
【0047】
なお、上記第2の実施形態では、単板の水晶片の光軸角度を45°とし、45°方向に常光線と異常光線とに2点分離させたものを例にしているが、複数枚の水晶片(水晶複屈折板のみ、または水晶複屈折板と1/4波長板)を用いて4点以上の分離パターンを構成するものであってもよい。また、上記第2の実施形態では、光学フィルタ6の両端主面である、第1硝材基板の入射面81に赤外線カットコートを、第2硝材基板の出射面92のみに反射防止膜(光学コート材)を形成し、光学的な透過率の低下を抑制している。しかしながら、赤外線カットコートについては各硝材基板の他の主面に形成してもよく、各水晶片2,3の表裏主面に形成してもよい。このとき、赤外線カットコートは、内部に挟み込まれ、外表面に傷がつかない。
【0048】
次に、上記第2の実施形態にかかる光学ローパスフィルタを任意の寸法や位置条件(下記の実施例参照)に基づいて製造し、以下にその製造した実施例を図面を用いて説明する。なお、下記の各実施例において図面に用いられる水晶片Aは0°複屈折板であり、水晶片Bは1/4波長板であり、基板Cは赤外線吸収ガラスであり、水晶片Dは90°複屈折板であり、基板Eは無色ガラスである。
【0049】
(実施例1)
本実施例1にかかる光学フィルタ6は、図7に示すように、図面左から順に、水晶片A,基板C,水晶片B,水晶片D及び基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、水晶片A,基板C,水晶片B,水晶片D及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる水晶片Aの出射側端面A1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0050】
また、本実施例1にかかる光学フィルタ6では、図6の左側から順に、水晶片Aの厚さが260μmに設定され,基板Cの厚さが1200μmに設定され,水晶片Bの厚さが350μmに設定され,水晶片Dの厚さが260μmに設定され、基板Eの厚さが800μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0051】
(実施例2)
本実施例2にかかる光学フィルタ6は、図8に示すように、図面左から順に、基板C,水晶片A,水晶片B,水晶片D及び基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、基板C,水晶片A,水晶片B,水晶片D及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる水晶片Cの出射側端面C1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0052】
また、本実施例2にかかる光学フィルタ6では、図8の左側から順に、基板Cの厚さが1200μmに設定され,水晶片Aの厚さが260μmに設定され,水晶片Bの厚さが350μmに設定され,水晶片Dの厚さが260μmに設定され、基板Eの厚さが800μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0053】
(実施例3)
本実施例3にかかる光学フィルタ6は、図9に示すように、図面左から順に、水晶片A,基板C及び基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、水晶片A,基板C及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる水晶片Aの出射側端面A1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0054】
また、本実施例3にかかる光学フィルタ6では、図9の左側から順に、水晶片Aの厚さが250μmに設定され,基板Cの厚さが500μmに設定され,基板Eの厚さが950μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0055】
(実施例4)
本実施例4にかかる光学フィルタ6は、図10に示すように、図面左から順に、基板C,水晶片A,基板Eが、UV接着剤S6によって貼り合わされている。なお、この時、基板C,水晶片A及び基板Eが重なりあった状態で配されている。また、光学フィルタ6の一側面にあたる基板Cの出射側端面C1には反射防止膜(光学コート)が形成されている。また、光学フィルタ6の他側面にあたる基板Eの入射側端面E1には赤外線カットコート(光学コート)が形成されている。
【0056】
また、本実施例4にかかる光学フィルタ6では、図10の左側から順に、基板Cの厚さが500μmに設定され,水晶片Aの厚さが250μmに設定され,基板Eの厚さが900μmに設定されている。また、UV接着剤S6の厚さが10μmに設定されている。
【0057】
上記した各実施例1〜4に示すように、UV接着剤S6の厚さは、水晶片A,B,D及び基板C,Eの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されている。このようにUV接着剤S6の厚さ設定を行うことにより、基板や水晶片を接着する際に生じる基板や水晶片の厚さ方向の変形を防ぐことができる。なお、各実施例1〜4では、UV接着剤S6は、水晶片A,B,D及び基板C,Eの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されているが、これに限定されるものではなく、水晶片A,B,D及び基板C,Eのうち少なくとも1つの水晶片もしくは基板の厚さに対して1/20以下の厚さに設定されていればよい。すなわち、UV接着剤S6が、例えば水晶片Aの厚さに対してのみ1/20以下の厚さに設定されてもよい。しかしながら、上記した各実施例1〜4に示すようにUV接着剤S6が水晶片A,B,D及び基板C,Eのどの厚さに対しても1/20以下の厚さに設定されていることが好適である。
【0058】
また、本実施の形態2では、上記した各実施例1〜4では赤外線吸収ガラスCを用いることで、基板Eの入射側端面E1に形成された赤外線カットコートと併用して赤外線をカットするのに更に好ましい形態となる。
【0059】
また、上記した各実施例1〜4では、光線の入射側端面として無色ガラスの基板Eを用いているが、これに限定されるものではなく、屈折率が空気に近い媒体を用いてよく、異方性のない水晶を材料とする基板であってもよい。
【0060】
また、上記した各実施例1〜4では、光線の入射側端面として無色ガラスの基板Eを用い、光線の出射側端面として水晶片A(図7,9参照)や、基板C(図8,10参照)を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、光線の入射方向を逆方向として、光線の出射側端面として基板Eを用い、光線の入射側端面として水晶片A(図7,9参照)や、基板C(図8,10参照)を用いてもよい。
【0061】
また、上記した実施例1,3では、光線の入射側端面として基板Eが用いられ、基板Eに基板Eより厚さがない水晶片D(実施例1)もしくは基板C(実施例3)が隣接して貼り合わされている。そのため、光学コート材や接着剤S6、あるいは熱の影響など外的要因によって水晶片が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる水晶片自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタ6の主面の平行度、平面度を向上させることができる。つまり、光学フィルタ6は反りや歪みよって、主面(特に入射側端面E1)に入射する光線の入射角が変わることがない。また、水晶片を薄型化しても反りや歪みの影響がないので、より高性能化をはかることができる。
【0062】
また、上記した実施例2,4では、光線の入射側端面として基板Eが用いられ、基板Eに基板Eより厚さがない水晶片D(実施例2)もしくは水晶片A(実施例4)が隣接して貼り合わされている。さらに、光線の出射側端面として基板Cが用いられ、基板Cに基板Cより厚さがない水晶片A(実施例2,4)が隣接して貼り合わされている。上記したように、光学フィルタ6の主面(特に入射側端面E1)に入射する光線の入射角が変わらないので、所望の位相特性や複屈折特性が得られ、光学特性に悪影響を及ぼすことがない。さらに、光学コート材6や接着剤S6、あるいは熱の影響など外的要因によって水晶片が反ったり歪んだりするのを抑制するとともに、研磨加工精度のばらつきなどによって生じる水晶片自身が持つ内的要因による反りや歪みも修正し、光学フィルタ6の両端主面C1,E1の平行度、平面度を向上させることができる。
【0063】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、位相差板、および光学ローパスフィルタを構成する材料として水晶を採用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、その他の光学異方性材料を採用することが可能である。また、基板材料として、硝材基板を採用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、樹脂基板など他の透明基板であってもよい。加えて、各水晶片、各基板は方形状のものに限らず、その他の多角形状や円形状であってもよい。さらに、光学コート材として、SiO2、TiO2等が交互に積層された反射防止膜、赤外線カットコートを例にしているが、他の材質を用いたものであってもよく、紫外線カットコート、赤外紫外線カットコートなどの他の光学コート材であってもよい。
【0064】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0065】
また、この出願は、2003年12月18日に日本で出願された特願2003−420533号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、各種光学機器に使用される位相差板、あるいは光学ローパスフィルタ等の光学フィルタに適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、
1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、
光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、
1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、
光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項3】
光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、
1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、
光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられ、
光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項4】
上記基板が硝材基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項5】
上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板部分に光学コート材が施されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項6】
上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板が同じ厚みであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項7】
上記光学異方性結晶板と基板とがそれぞれUV接着剤により貼り付けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項8】
上記UV接着剤の厚さは、上記光学異方性結晶板及び基板のうち少なくとも一つの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
上記光線の入射側端面または出射側端面の少なくとも一端面に、アモルファス結合した光学コートが形成されたことを特徴とする請求項7に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
厚さの異なる複数枚の光学異方性結晶板が重ね合わされて成り、入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に位相差を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる位相差板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項11】
光学異方性結晶板により入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に所定の光分離方向と分離幅を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる光学ローパスフィルタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項1】
光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、
1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、
光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、
1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、
光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項3】
光学異方性結晶板により通過する光線の光学特性を変化させる光学フィルタにおいて、
1枚以上の光学異方性結晶板と1枚以上の基板との各主面が光線の通過方向と直交した状態で、これら光学異方性結晶板及び基板が貼り付けられ、
光線の入射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の入射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられ、
光線の出射側端面として上記光学異方性結晶板もしくは上記基板が用いられ、かつ、光線の出射側端面である上記光学異方性結晶板もしくは上記基板に、当該光学異方性結晶板もしくは当該基板より厚さが薄い上記他の光学異方性結晶板もしくは他の上記基板が貼り付けられたことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項4】
上記基板が硝材基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項5】
上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板部分に光学コート材が施されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項6】
上記光学フィルタを構成する両端主面に上記基板が用いられ、この基板が同じ厚みであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項7】
上記光学異方性結晶板と基板とがそれぞれUV接着剤により貼り付けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項8】
上記UV接着剤の厚さは、上記光学異方性結晶板及び基板のうち少なくとも一つの厚さに対して1/20以下の厚さに設定されることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
上記光線の入射側端面または出射側端面の少なくとも一端面に、アモルファス結合した光学コートが形成されたことを特徴とする請求項7に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
厚さの異なる複数枚の光学異方性結晶板が重ね合わされて成り、入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に位相差を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる位相差板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項11】
光学異方性結晶板により入射光線を常光線と異常光線とに分光し、これら両光線間に所定の光分離方向と分離幅を与えることによって上記入射光線の光学特性を変化させる光学ローパスフィルタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際公開番号】WO2005/059610
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516294(P2005−516294)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018298
【国際出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/018298
【国際出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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