説明

光学フィルムの製造方法、および光学フィルム

【課題】熱交換器に付着した堆積物を容易に除去することができる光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】
光学フィルムの製造方法は、ウエブ26上にバー塗布装置21Bにより添加剤と溶剤を含む塗膜を形成する工程と、乾燥ゾーン76B、加熱ゾーン78Bを通過させることで塗膜を乾燥させる工程を含む。熱交換器50の熱媒体オイルを介して排ガスと外気との熱交換を行なう。さらに、配管52内の熱媒体オイルを加熱することで、排気風熱媒クーラ50bに付着した堆積物を溶解・液化する。これにより付着した堆積物を排気風熱媒クーラ50b内部の配管およびフィン表面から除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学フィルムの製造方法、および光学フィルムに関し、特に、乾燥工程を備える光学フィルムの製造方法、この製造方法により製造された光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
基材に塗布された揮発性有機溶剤を含む塗膜は、一般的に、乾燥装置内で熱風等に曝され有機溶剤を蒸発させることにより乾燥される。そして、塗膜から蒸発した有機溶剤を含む高温の排ガスは乾燥装置外に排出される。排ガスの熱量が大きいことから、そのエネルギーを有効に利用することが知られている。
【0003】
特許文献1は、乾燥装置の炉内からの排ガスを燃焼し、外部から取り入れた空気(外気)と排ガスとの間で熱交換し、排気ガスの熱を利用して外気を予熱することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−94511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、揮発性有機溶剤を含む高温の排ガスから熱を回収して光学フィルムを製造する場合の問題点は、排ガス中の揮発物のうち融点が高い添加剤等が熱交換器に付着することである。添加剤等が熱交換器に付着すると、排ガスの経路を閉塞する。それにより、熱交換器の熱交換率が低下し、最終的に熱交換器による熱交換ができなくなる。
【0006】
また、別の問題として、排ガスに含まれる光重合開始剤の濃度が低いとき、特許文献1に示す排ガスを燃焼する方式では、燃料コストが高くなる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、熱交換器に付着した堆積物を容易に除去することができる光学フィルムの製造方法、およびこの製造方法により製造された光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の光学フィルムの製造方法は、帯状支持体を送り出す工程と、前記帯状支持体上に添加剤と溶剤を含む塗膜を形成する工程と、前記塗膜に加熱された外気を前記塗膜に吹付けて溶剤を蒸発し、塗膜を乾燥する工程と、添加剤を含む蒸発した溶剤を排ガスとして排出する工程と、前記排ガスで循環路内の熱媒体オイルを加熱し、該熱媒体オイルを循環路内を循環させ、該熱媒体オイルにより前記外気を加熱することで、前記外気と前記排ガス間で前記熱媒体オイルを介して熱交換する工程と、乾燥後の前記塗膜に活性線を照射する工程と、前記帯状支持体を巻き取る工程を含む光学フィルムの製造方法であって、前記熱媒体オイルをヒータで加熱し、加熱された前記熱媒体オイルにより前記循環路に付着した前記添加剤を溶解・液化し、前記循環路から前記添加剤を除去する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
外気と排ガスとの熱交換に使用される熱媒体オイルをヒータで加熱し、循環路内を循環させる。循環路が熱媒体オイルにより加熱される。これにより循環路に付着した堆積物が加熱され、堆積物が再溶解され液化する。液化した堆積物は自重により落下する。これにより、堆積物を循環路から除去することができる。ここで循環路には、排ガスと熱媒体オイルとの熱交換を行なう排気風熱媒クーラ、外気と熱媒体オイルとの熱交換を行なう新鮮風熱媒ヒータを含む。
【0010】
フィルムには、乾燥工程で熱交換器を閉塞させる添加剤を含む塗膜が塗布されるフィルムが含まれ、例えば、光学フィルム、ハードコートフィルムが含まれる。光学フィルムとは、支持体上に光学機能を発現する塗膜を有するフィルムを意味し、ハードコートフィルムとは、光学機能の発現に関係なく、支持体上で硬化される塗膜を有するフィルムを意味する。
【0011】
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記発明において、前記添加剤を除去する工程において、前記循環路とは別の前記熱媒体オイルと前記外気との熱交換を行なわない循環路を形成し、該循環路内を前記熱媒体オイルがを循環することが好ましい。
【0012】
外気との熱交換を行なわない循環路内で熱媒体オイルが加熱されるので、熱媒体オイルの熱損失を低減できる。加熱された熱媒体オイルにより、循環路に付着した堆積物を除去することができる。
【0013】
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記発明において、前記添加剤が光重合開始剤である。
【0014】
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記発明において、前記添加剤を除去する工程が暗室で行なわれることが好ましい。添加剤が光の照射により硬化する場合、暗室で除去することで硬化前に堆積物を除去することができる。
【0015】
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記発明において、前記熱媒体オイルは排ガス温度+15℃以上の沸点を有することが好ましい。
【0016】
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記発明において、前記外気と前記排ガス間で前記熱媒体オイルを介して熱交換する工程において、さらに前記熱媒体オイルを冷却する工程を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の光学フィルムは、前記記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によれば、熱交換器に付着した堆積物を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】光学フィルムの製造ラインを示す構成図。
【図2】熱交換器の周辺を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態と同様に他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0021】
図1は本実施の形態の一例である光学フィルムを製造するための製造ラインを示す。光学フィルムの製造ライン10では、帯状可撓性の支持体であるウエブ26が送り出し機73から送り出される。ウエブ26はガイドローラ75によって案内され、除塵機25Aを通過する。ウエブ26の表面に付着した塵が、除塵機25Aにより除去される。
【0022】
バー塗布装置21Aが、除塵機25Aの下流には設けられる。バー塗布装置21Aにより配向膜形成用樹脂を含む塗布液がウエブ26に塗布される。この下流には、乾燥ゾーン76A、加熱ゾーン78Aが順次設けられる。ウエブ26上に配向膜形成材料層が形成される。
【0023】
尚、バー塗布装置21Aと同様に他の塗布手段を採用してもよい。他の塗布手段として、グラビアコータ、ロールコータ(トランスファロールコータ、リバースロールコータ等)、ダイコータ、エクストルージョンコータ、ファウンテンコータ、カーテンコータ、ディップコータ、スプレーコータ又はスライドホッパ等が採用できる。
【0024】
塗布液の塗布、乾燥後、ウエブ26はガイドローラ75によってガイドされて、ラビング処理装置70に搬送される。ラビング処理装置70は、配向膜形成材料層にラビング処理を施すための装置である。本実施の形態ではラビング処理装置70は、1段構成のラビングローラ72を備えている。パイル糸を織り込んだラビング布が、ラビングローラ72に貼り付けられている。尚、ラビング処理装置70は、複数段のローラを有する構成とすることもできる。
【0025】
ラビング処理装置70は、ラビングローラ72を矢印方向、つまりウエブ26の走行方向と反対方向に、10〜1000rpm程度まで回転速度を制御することができる。ラビングローラ72の形状はローラ状で、たとえば、その外径50〜500mmである。その長さは、ラビング角度をつけた状態でもウエブ26の幅より若干長くなるよう設定されている。また、ラビング処理装置70は、任意のラビング角度に調整できるように、ウエブ26の走行方向に対して水平面で回転自在となるよう構成されている。
【0026】
エアノズル74が、ラビングローラ72の上方に設けられる。エアノズル74はウエブ26の裏面側に気体(空気、窒素ガス等)を噴き付けることができる。エアノズル74からの気体によりウエブ26がラビングローラ72に押し付けられる。
【0027】
ラビング処理では、ラビングローラ72をウエブ26の走行方向と逆方向に回転させながら、ラビング布のパイル糸で配向膜形成材料層を擦こすることで、配向膜形成材料層に配向規制力が付与される。
【0028】
ラビング処理装置70の下流には除塵機25Bが設けられる。ウエブ26の表面に付着した塵が除塵機25Bにより取り除かれる。除塵機25Bの下流にはバー塗布装置21Bが設けられており、ディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ26に塗布される。バー塗布装置21Bの構成は、既述のバー塗布装置21Aと同じであっても良い。
【0029】
光学フィルムにおいて、ディスコティックネマティック相の液晶層が、配向膜上に形成される。液晶層は、液晶性ディスコティック化合物を配向後冷却固化させる、あるいは重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られる負の複屈折を有する層である。
【0030】
上記のディスコティック化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、122巻、141頁(1985年)、Physicslett.、A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70 頁(1984 年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.、Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.、116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
【0031】
上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。
【0032】
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は光重合反応により行なわれる。
【0033】
添加剤の一例である光重合開始剤には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各公報記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号公報記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号公報記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各公報記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号公報記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号、米国特許4239850号の各公報記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号公報記載)が含まれる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0034】
バー塗布装置21Bの下流には、乾燥ゾーン76B、加熱ゾーン78Bが順次設けられる。塗布液中の光重合開始剤を含む有機溶剤が、乾燥ゾーン76Bと加熱ゾーン78Bを通過することにより蒸発する。これにより塗布液が乾燥され、ウエブ26上に液晶層が形成される。
【0035】
乾燥ゾーン76Bと加熱ゾーン78Bでの乾燥方法について説明する。給気口30から外気が給気ファン31によりダクト32に取り込まれる。外気はヒータ33により加熱される。次いで、外気は熱交換器50を構成する新鮮風熱媒ヒータ50aにより加熱される。ダクト32は乾燥ゾーン76Bに接続するダクト32aと加熱ゾーン78Bに接続するダクト32bに枝分かれする。ダクト32aにはヒータ34とファン35が設けられる。ダクト32aに流れ込んだ外気はヒータ34に加熱され、ファン35により乾燥ゾーン76Bに供給される。同様に、ダクト32bにヒータ36とファン37が設けられる。ダクト32bに流れ込んだ外気はヒータ36に加熱され、ファン37により加熱ゾーン78Bに供給される。
【0036】
ダクト32aは、さらに乾燥ゾーン76B内のノズル(不図示)に接続される。加熱された外気(熱風)がノズルからウエブ26上の塗布液に吹付けられる。乾燥ゾーン76Bと同様に、ダクト32bは加熱ゾーン78B内のノズル(不図示)に接続される。加熱された外気がノズルからウエブ26上の塗布液に吹付けられる。この熱風により塗布液に含まれる有機溶剤を蒸発させる。上述したように塗布液には添加剤として光重合開始剤が含まれる。
【0037】
そのため、塗布液から蒸発する気体、いわゆる排ガスには、比較的融点の高い光重合開始剤が含まれる。また、排ガスに含まれる光重合開始剤の濃度が低いとき、有機物を燃焼すると、燃焼コストがかかるという問題がある。
【0038】
ダクト40aが乾燥ゾーン76Bに接続され、ダクト40bが加熱ゾーン78Bに接続される。ダクト40aを通して乾燥ゾーン76Bからの排ガスが排出される。ダクト40bを通して加熱ゾーン78Bからの排ガスが排出される。ダクト40aとダクト40bとは一つのダクト40に接続される。ダクト40には排気ファン41が設けられる。排気ファン41により排ガスが熱交換器50を構成する排気風熱媒クーラ50bに送られる。排気風熱媒クーラ50bにより排ガスが冷却される。温度が低下した排ガスが排気口42から排出される。なお、ダクト40aとダクト32aとを接続するため、バイパスダクト40cがダクト40aとダクト32aとの間に設置される。ダクト40bとダクト32bとを接続するため、バイパスダクト40dがダクト40bとダクト32bとの間に設置される。乾燥ゾーン76B、加熱ゾーン78Bから排出された排ガスの一部はバイパスダクト40c、40dを経由して乾燥ゾーン76B、加熱ゾーン78Bを循環する。排ガスの熱エネルギーは乾燥ゾーン76B、加熱ゾーン78B内で塗布液を乾燥するために利用される。
【0039】
熱交換器50による排ガスと外気との熱交換について説明する。熱交換器50は新鮮風熱媒ヒータ50a、排気風熱媒クーラ50b、新鮮風熱媒ヒータ50aと排気風熱媒クーラ50bとの循環経路を形成する配管52、配管52に設けられた熱媒ポンプ54を備える。配管52には熱媒として熱媒体オイルが貯えられる。熱媒体オイルとして、例えば、合成系有機熱媒体油を使用することができる。合成系有機熱媒体油は、176℃以上の沸点を有する。排気風熱媒クーラ50b内で、排ガスにより配管52内の熱媒体オイルが加熱される。ここで排ガスと熱媒体オイルとの間で熱交換が行われ、排ガスの温度が下がる。加熱された熱媒体オイルは熱媒ポンプにより配管52を介して新鮮風熱媒ヒータ50aに送液される。新鮮風熱媒ヒータ50a内で、配管52内の加熱された熱媒体オイルにより外気が加熱される。ここで外気と熱媒体オイルとの間で熱交換され、熱媒体オイルの温度が下がる。上述のように排ガスの熱エネルギーが熱媒体オイルを介して外気に伝えられる。
【0040】
塗布液を乾燥することにより液晶層が形成される。液晶層を有するウエブ26は下流の活性線として紫外線を照射する紫外線ランプ80に搬送される。紫外線を照射することで、光重合開始剤により液晶を架橋させる。ウエブ26上に所望のポリマー層が形成される。そして、ポリマー層が検査装置90で検査される。ラミネート機92より送り出される保護フィルム94がウエブ26にラミネートされる。次いで、巻取り機82により、ポリマー層が形成されたウエブ26が巻き取られる。
【0041】
ところで、上述したように塗布液には融点の高い、(70〜75℃以上)光重合開始剤が含まれる。したがって、塗布液から蒸発する気体、いわゆる排ガスにも光重合開始剤が含まれる。排ガスの温度が、例えば70〜75℃以上であれば光重合開始剤は析出されない。しかしながら、熱交換器50の排気風熱媒クーラ50b内で熱媒体オイルとの熱交換が行なわれた場合、排ガスの温度が70℃以下に下がる。排ガスの温度低下により排気風熱媒クーラ50b内で光重合開始剤が凝縮液化する。光重合開始剤は最終的にゲル化し、排気風熱媒クーラ50b内部の配管及びフィン表面に堆積する。光重合開始剤の堆積物により、排気風熱媒クーラ50b内を通過する排ガスの流れが阻害される。したがって、熱交換効率が低下する。堆積物が大きくなると最終的には閉塞し、給気と排気のバランスが崩れる。これは、乾燥ゾーンでの液晶層形成不良を招く。排気風熱媒クーラ50bに付着した堆積物を除去することが重要となる。
【0042】
排気風熱媒クーラ50b内の堆積物を除去する場合、排気風熱媒クーラ50b内に立ち入り内部の配管及びフィン表面を清掃することが考えられる。しかしながら、堆積物が、例えば紫外線により硬化するものである場合に次のような問題がある。排気風熱媒クーラ50bの扉を開けると、紫外線が入り込む。この紫外線により光重合開始剤が硬化する。そのため、排気風熱媒クーラ50b内部の配管及びフィン表面から堆積物を除去することが困難となる。そこで、本発明者らは排気風熱媒クーラ50b内部の配管及びフィン表面に付着した堆積物の除去について鋭意検討した。その結果、熱回収運転を一旦停止し、又は熱回収運転中に、熱媒(熱媒体オイル)をある一定温度まで加熱することで、堆積物を配管及びフィンから除去できることを見出した。熱媒体オイルを加熱することで配管及びフィンが加熱される。堆積物が紫外線により硬化する前であれば、温度が上昇した配管及びフィンにより付着したゲル状の堆積物が再溶解し液化する。液化した堆積物は自重により落下し、堆積物が配管及びフィンから除去される。
【0043】
次に、図2を参照に熱交換器50を説明する。熱交換器50は、新鮮風熱媒ヒータ50a、排気風熱媒クーラ50b、新鮮風熱媒ヒータ50aと排気風熱媒クーラ50bとの間で循環路を形成する配管52、熱媒ポンプ54を備える。配管52には第1のバルブ53が設けられる。配管52にはバイパス用の配管56が設けられ、配管56には第2のバルブ57が設けられる。配管52内の熱媒体オイルを移動するため熱媒ポンプ54が配管52に設けられる。
【0044】
配管52には熱媒ヒータ60が設けられる。熱媒ヒータ60は配管61を介してボイラ62と接続される。ボイラ62から飽和蒸気が熱媒ヒータ60に供給される。飽和蒸気により熱媒体オイルが加熱される。
【0045】
配管52には熱媒クーラ63が設けられる。熱媒クーラ63は配管64を介して冷却塔65と接続される。冷却塔65から冷却水が熱媒クーラ63に供給される。冷却水により熱媒体オイルが冷却される。
【0046】
膨張タンク66が配管67に接続される。これにより膨張タンク66と熱媒ポンプ54とは並列に接続される。膨張タンク66は、配管52内の熱媒体オイルの温度上昇に伴う体積の膨張を吸収する。配管67には第3のバルブ68が設けられる。
【0047】
熱交換器50の運転シーケンスについて図1及び図2を参照して説明する。最初に排ガスと外気との熱交換について説明する。給気ファン31と排気ファン41を駆動する。ヒータ33が外気の温度調節を開始する。第1のバルブ53が開けられ、第2のバルブ57が閉じられる。配管52により新鮮風熱媒ヒータ50aと排気風熱媒クーラ50bとの間の循環経路が形成される。第3のバルブ68が閉じられる。熱媒ポンプ54が運転を始め、配管52内の熱媒体オイルを循環させる。熱媒クーラ63の制御が開始される。
【0048】
常温の外気がヒータ33により36℃まで加熱される。さらに、新鮮風熱媒ヒータ50aにより70℃まで加熱される。熱媒体オイルは、95℃で新鮮風熱媒ヒータ50aに送られ、外気との熱交換により65℃で送り出される。熱媒体オイルは熱媒クーラ63により50℃まで冷却される。熱媒体オイルは50℃で排気風熱媒クーラ50bに送られる。排気ファン41により、100℃の排ガスが排気風熱媒クーラ50bに送られる。排気風熱媒クーラ50b内で熱媒体オイルと排ガスとの間で熱交換される。熱媒体オイルは95℃まで温度が上昇する。一方、排ガスは60℃まで冷却され、大気に放出される。このとき排ガスに含まれる光重合開始剤が排気風熱媒クーラ50bの表面に析出する。
【0049】
次に、排気風熱媒クーラ50bに付着した堆積物を除去するための運転シーケンスを説明する。通常の熱交換と同様に、給気ファン31と排気ファン41が駆動され、ヒータ33が外気の温度調節を開始する。第1のバルブ53が閉じられ、第2のバルブ57が開けられる。これにより、排気風熱媒クーラ50b、配管52、バイパス用の配管56により熱媒体オイルの循環経路が形成される。この循環経路では外気と熱媒体オイルとの間で熱交換は行なわれない。したがって、熱媒体オイルの熱損失を低減することができる。熱媒ヒータ60の制御が開始される。熱媒ヒータ60により、熱媒体オイルが100℃まで加熱される。加熱された熱媒体オイルが排気風熱媒クーラ50bに送られる。熱媒体オイルにより排気風熱媒クーラ50b内部の配管及びフィン表面が100℃まで加熱される。これにより排気風熱媒クーラ50b内部の配管及びフィン表面に付着した堆積物は液化し、配管及びフィンから除去される。堆積物の除去が終了すると、第3のバルブ68が開けられ、その後閉じられる。
【0050】
本実施の形態にしたがえば、排気風熱媒クーラ50b内部の配管及びフィン表面に付着した堆積物を容易に除去することができる。本実施の形態に関する図面及び説明は、本発明の一例を示すことを意図したものである。したがって、請求の範囲に記載する範囲を逸脱することなく、変更することができる。
【符号の説明】
【0051】
10・・・製造ライン、21A,21B・・・塗布装置、25A,25B・・・除塵機、26・・・ウエブ、32,40・・・ダクト、50・・・熱交換器、50a・・・新鮮風熱媒ヒータ、50b・・・排気風熱媒クーラ、52,56,61,64,67・・・配管、53,57,58・・・バルブ、54・・・熱媒ポンプ、60・・・熱媒ヒータ、63・・・熱媒クーラ、70・・・ラビング処理装置、72・・・ラビングローラ、73・・・送り出し機、74・・・エアノズル、75・・・ガイドローラ、76A,76B・・・乾燥ゾーン、78A,78B・・・加熱ゾーン、80・・・紫外線ランプ、82・・・巻取り機、86,88・・・バックアップローラ、90・・・検査装置、92・・・ラミネート機、94・・・保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状支持体を送り出す工程と、
前記帯状支持体上に添加剤と溶剤を含む塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に加熱された外気を前記塗膜に吹付けて溶剤を蒸発し、塗膜を乾燥する工程と、
添加剤を含む蒸発した溶剤を排ガスとして排出する工程と、
前記排ガスで循環路内の熱媒体オイルを加熱し、該熱媒体オイルを循環路内を循環させ、該熱媒体オイルにより前記外気を加熱することで、前記外気と前記排ガス間で前記熱媒体オイルを介して熱交換する工程と、
乾燥後の前記塗膜に活性線を照射する工程と、
前記帯状支持体を巻き取る工程を含む光学フィルムの製造方法であって、
前記熱媒体オイルをヒータで加熱し、加熱された前記熱媒体オイルにより前記循環路に付着した前記添加剤を溶解・液化し、前記循環路から前記添加剤を除去する工程を含む光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記添加剤を除去する工程において、前記循環路とは別の前記熱媒体オイルと前記外気との熱交換を行なわない循環路を形成し、該循環路内を前記熱媒体オイルが循環する請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記添加剤が光重合開始剤である請求項1又は2記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記添加剤を除去する工程が暗室で行なわれる請求項1〜3の何れか記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記熱媒体オイルは排ガス温度+15℃以上の沸点を有する請求項1〜4の何れか記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記外気と前記排ガス間で前記熱媒体オイルを介して熱交換する工程において、さらに前記熱媒体オイルを冷却する工程を含む請求項1〜5の何れか記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の光学フィルムの製造方法により製造された光学フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−115756(P2011−115756A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277652(P2009−277652)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】