説明

光学モジュール

【課題】 高性能の光学モジュールを提供する。
【解決手段】 入射光を、第1の可視光と、第2の可視光とを含む2以上の可視光に分けて出射する光学系と、第1の可視光が入射する第1のセンサと、第2の可視光が入射する、第1のセンサとは画素数が異なる第2のセンサとを有する光学モジュールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュール、殊に多板式の光学モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、3板式カメラの構成の一部を示す概略的な断面図である。
【0003】
白色光10が、3色分離型のプリズム15に入射する。白色光10は、プリズム15によって、赤色(R)光11、緑色(G)光12、及び青色(B)光13に分解される。分解されたRGBの光はそれぞれ固体撮像素子11r、12g、13bに入射する。固体撮像素子11r、12g、13bは、それぞれRGB信号に対応しており、各色の画像を得ることができる。ここで、固体撮像素子11r、12g、13bは、機能を同じくする固体撮像素子であり、画素数、読み出し速度等において等価なものが使用される。
【0004】
AF機能を搭載した電荷結合素子(charge coupled device; CCD)型の固体撮像装置においては、多画素化に伴って、高い読み出し周波数が必要とされている。しかし読み出し周波数をあげることは難しく、AFに要求される高速フレームデータの取得が困難となっている。(たとえば、特許文献1参照。)
多板式の固体撮像装置においては、同じ解像度の単板式固体撮像装置と比較した場合、間引きもしくは加算により、実効読み出し周波数を落とすことができるが、それにも限界がある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−292366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高性能の光学モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、入射光を、第1の可視光と、第2の可視光とを含む2以上の可視光に分けて出射する光学系と、前記第1の可視光が入射する第1のセンサと、前記第2の可視光が入射する、前記第1のセンサとは画素数が異なる第2のセンサとを有する光学モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高性能の光学モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、実施例による光学モジュールの概略的な断面図である。
【0010】
実施例による光学モジュールは、撮像レンズ21、プリズム22、スペーサ23a,23b、撮像センサ24a、及びAF専用センサ24bを含んで構成される。
【0011】
たとえば被写体からの光(可視光)20が、撮像レンズ21に入射する。光20は、撮像レンズ21により集光されて、プリズム22に入射する。プリズム22は、光(可視光)20を光(可視光)20aと光(可視光)20bとに分岐して出射する。分岐された光20a及び20bは、それぞれ撮像センサ(メインセンサ)24a及びAF専用センサ(サブセンサ)24bに入射する。光20aと光20bの光量比は、その用途に応じて変えることができる。
撮像センサ24aとAF専用センサ24bとは、画素数や読み出し周波数(読み出し速度)の異なるセンサであり、異なる機能を有する。撮像センサ24aは、直接的に被写体の撮影に用いられ、AF専用センサ24bは、AF機能の実現に用いられる。
【0012】
撮像センサ24aは、たとえば多画素のCCD型カラー固体撮像素子である。AF専用センサ24bは、たとえば低画素数のCCD型モノクロ固体撮像素子である。両者ともに、CCD型に限らず、MOS型やハイブリッドのセンサを用いてもよい。 なお、CCD型は画素で発生した電荷をCCD(電荷結合素子)で転送する。MOS型は、画素で発生した電荷をMOSトランジスタで増幅して出力する。
【0013】
プリズム22と撮像センサ24aとの間、プリズム22とAF専用センサ24bとの間には、それぞれスペーサ23a,23bが形成されている。スペーサ23a,23bは、それぞれ撮像センサ24a及びAF専用センサ24bを支持するとともに、それらを外的要因から保護する。
【0014】
また、スペーサ23a,23bは、それぞれプリズム22から分岐して出射し、撮像センサ24a及びAF専用センサ24bに入射する光20a,20bの光路長の調整にも用いられる。
【0015】
分岐した可視光を、それぞれ異なる機能を備えるセンサに入射させることで、異なる機能の実現を図ることができる。
【0016】
また、異なるセンサで作成した画像(異なる解像度や色情報を用いて作成した画像)を、画像処理工程で合成することにより、たとえば物体認識に有効な画像を得ることができる。
【0017】
実施例においては、撮像センサ24aと機能の異なるセンサとして、AF専用センサ24bを用いたが、たとえばAE(auto exposure)専用センサを用いることもできる。入射光を分岐させて一方を高画素数の撮像センサに、他方を低画素数のAFまたはAEセンサに入射させることにより、高画素数、高画質の画像データを得るとともに、AF、AEが超高速、高感度でできるため、シャッタータイムラグを小さくすることが可能である。
【0018】
なお、AF専用センサ24bに代えて、ムービー専用センサを用いてもよい。
【0019】
撮像センサ24aと機能の異なるセンサとしては、たとえば高感度低画素数のセンサを好ましく用いることができる。AE、AFセンサに限らず、たとえば白黒センサを用いて、暗時の輝度情報を正確に拾うようにしてもよい。
【0020】
また、たとえば1フレーム前の信号との差分データを出力する時間微分センサを用いることもできる。被写体の動きを予測することができるため、この場合も高品質の撮像が可能となる。
【0021】
AFセンサの画素数は、たとえば撮像センサ24aのそれの1/4以下である。
【0022】
また、AEセンサの画素数は、たとえば撮像センサ24aのそれの1/4以下である。
【0023】
更に、ムービーセンサの画素数は、たとえば撮像センサ24aのそれの1/2以下である。
【0024】
また、白黒センサの画素数は、たとえば撮像センサ24aのそれの1/2以下である。
【0025】
更に、時間微分センサの画素数は、たとえば撮像センサ24aのそれの1/2以下である。
【0026】
図2は、実施例の変形例を示す概略的な断面図である。
【0027】
実施例においては、プリズムで光を分岐したが、変形例においては、ハーフミラー25で光20を分岐する。分岐した光20a,20bは、実施例と同様に、それぞれ撮像センサ(メインセンサ)24a及びAF専用センサ(サブセンサ)24bに入射する。実施例と同様の効果が得られる。
【0028】
なお、撮像センサに入射する光と、AFセンサに入射する光との光量比が、たとえば9:1となるように、光を分岐させれば、両光が入射するセンサの画素数を同一とした場合であっても、高ダイナミックレンジの光学モジュールを作製することができる。
【0029】
図3は、実施例の他の変形例を示す概略的な断面図である。
【0030】
図3に示す変形例においては、プリズム22で分岐された光は、多画素CCDセンサ26、ムービー用高感度カラーセンサ27、及びAE・AF用CMOSセンサ28に入射する。
【0031】
本例に示すように、分岐された光が入射するセンサは2つに限られず、3つ、またはそれより多くてもよい。更に、1つのセンサがCCD型で、他のセンサがMOS型というように、構造の異なるセンサを用いることも可能である。
【0032】
図4(A)〜(D)を用いて、CCD型及びMOS型カラー固体撮像素子の構成について説明する。図4(A)及び(B)は、CCD型固体撮像素子の構成を示す概略的な平面図であり、図4(C)は、MOS型固体撮像素子を説明するための図である。更に、図4(D)は、CCD型固体撮像素子の受光領域の一部の概略を示す断面図である。
【0033】
図4(A)を参照する。CCD型固体撮像素子は、たとえば行列状に配置された複数の感光領域62、複数の垂直CCD64、複数の垂直CCD64に電気的に結合された水平CCD66、及び水平CCD66の端部に設けられ、水平CCD66からの出力信号を増幅するアンプ67を含んで構成される。なお、受光領域(画素配列領域)61は感光領域62及び垂直CCD64を含んで構成される。
【0034】
感光領域62は、感光素子、たとえばフォトダイオード及び読み出しゲートを含んで構成される。フォトダイオードは、入射した光量に応じて信号電荷を発生、蓄積する。蓄積された信号電荷は、読み出しゲートから垂直CCD64に読み出され、垂直CCD64内(垂直転送チャネル)を、全体として水平CCD66に向かう方向(垂直方向、列方向)に転送される。垂直CCD64の末端まで転送された信号電荷は、水平CCD66内(水平転送チャネル)に1行ごとに転送され、水平CCD66内(水平転送チャネル)を、全体として垂直方向と交差する方向、たとえば水平方向(垂直方向と直交する方向、行方向)に転送された後、アンプ67で電圧信号に変換され、増幅されて外部に取り出される。
【0035】
なお、感光領域62の配列は、図4(A)に示したような行方向及び列方向にそれぞれ一定ピッチで正方行列的に配列されるテトラゴナル配列の他、行方向及び列方向に1つおきにたとえば1/2ピッチずつ位置をずらして配列されるハニカム配列がある。
【0036】
図4(B)は、ハニカム配列されたCCD型固体撮像素子の概略的な平面図である。ハニカム配列とは、第1の正方行列的に配列された感光領域と、その格子間位置に第2の正方行列的に配列された感光領域とからなる感光領域の配列のことをいう。垂直CCD64(垂直転送チャネル)は感光領域62の間を蛇行するように形成される。この場合も、信号電荷は垂直転送チャネルを全体として水平CCD66に向かう方向(垂直方向)に転送される。なお、ハニカム配列とはいうが、この構成における感光領域62は多くの場合、八角形状である。
【0037】
なお、図4(C)に、MOS型固体撮像素子の受光領域の一部の等価回路を示す。光電変換素子68で入射光量に応じて生成された信号電荷は、MOSトランジスタ69で増幅されて出力される。読み出し後の電荷は、リセットトランジスタ70を介して排出される。MOS型固体撮像素子は、垂直CCDや水平CCDを備えず、画素ごとに電荷読み出し回路を有する。
【0038】
図4(D)に、CCD型固体撮像素子の受光領域の一部の概略的な断面を示す。たとえばn型のシリコン基板である半導体基板81に形成されたp型のウエル層82に、n型の不純物添加領域で構成される電荷蓄積領域71(フォトダイオード)、及びその隣にp型の読み出しゲート72を介して、複数の電荷蓄積領域71に近接したn型領域の垂直転送チャネル73が形成されている。読み出しゲート72及び垂直転送チャネル73上方にはゲート絶縁膜74を介して、垂直転送電極75が形成されている。隣り合う電荷蓄積領域71間にはp型のチャネルストップ領域76が形成されている。
【0039】
チャネルストップ領域76は、電荷蓄積領域71、垂直転送チャネル73等の電気的な分離を行うための領域である。ゲート絶縁膜74は、半導体基板81表面上に、たとえば熱酸化により形成された酸化シリコン膜を含む。垂直転送電極75は、たとえばポリシリコンで形成される第1層垂直転送電極及び第2層垂直転送電極を含む。これらはアモルファスシリコンで形成することも可能である。垂直転送電極75は、垂直転送チャネル73及び読み出しゲート72のポテンシャルを制御することによって、電荷蓄積領域71に蓄積された電荷を垂直転送チャネル73に読み出し、読み出された電荷を垂直転送チャネル73の列方向に転送する。
【0040】
垂直転送電極75上には、たとえばポリシリコンの熱酸化により得られる絶縁性の酸化シリコン膜77が形成されている。垂直CCD64は、垂直転送チャネル73、及びその上方のゲート絶縁膜74、垂直転送電極75を含んで構成される。なお、水平CCD66も、水平転送チャネル、及びその上方のゲート絶縁膜、水平転送電極を含んで構成される。
【0041】
垂直転送電極75上方には、絶縁性の酸化シリコン膜77を介して、たとえばタングステン(W)により遮光膜79が形成されている。遮光膜79には、電荷蓄積領域71の上方に開口部79aが形成されている。遮光膜79上には、窒化シリコン膜78が形成されている。なお、窒化シリコン膜78は必ずしも必要ではない。
【0042】
入射光量に応じて電荷蓄積領域71に蓄積された信号電荷は、読み出しゲート72から垂直転送チャネル73に読み出され、垂直転送電極75へ印加される駆動信号(転送電圧)により、垂直転送チャネル73内を転送される。遮光膜79は、上述のように各電荷蓄積領域71上方に開口部79aを有し、受光領域61に入射する光が電荷蓄積領域71以外の領域に入射するのを防止する。
【0043】
遮光膜79上方には、たとえばBPSG(boro-phospho silicateglass)でつくられた平坦化層83aが形成され、その平坦な表面上に、たとえば赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のカラーフィルタ層84が形成される。その上を平坦化するために、更に平坦化層83bが形成される。平坦な表面を有する平坦化層83b上には、たとえばマイクロレンズ用のフォトレジストパタンを溶融、固化してマイクロレンズ85が形成される。マイクロレンズ85は、各電荷蓄積領域71の上方に、たとえば微小な半球状の凸レンズが配列されたものである。マイクロレンズ85は入射光を電荷蓄積領域71に集光する。1つのマイクロレンズ85で集束される光は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色のカラーフィルタ層84を通して1つの電荷蓄積領域71(フォトダイオード)に入射する。したがって、複数のフォトダイオードは、それぞれ上方に形成された赤(R)のカラーフィルタ層84を透過した光が入射するフォトダイオード、緑(G)のカラーフィルタ層84を透過した光が入射するフォトダイオード、青(B)のカラーフィルタ層84を透過した光が入射するフォトダイオードの3種類のフォトダイオードを含む。
【0044】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0045】
多板式の光学モジュールに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例による光学モジュールの概略的な断面図である。
【図2】実施例の変形例を示す概略的な断面図である。
【図3】実施例の他の変形例を示す概略的な断面図である。
【図4】(A)及び(B)は、CCD型固体撮像素子の構成を示す概略的な平面図であり、(C)は、MOS型固体撮像素子を説明するための図であり、(D)は、CCD型固体撮像素子の受光領域の一部の概略を示す断面図である。
【図5】3板式カメラの構成の一部を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 白色光
11 赤色光
12 緑色光
13 青色光
11r、12g、13b 固体撮像素子
15 プリズム
20、20a、20b 光
21 撮像レンズ
22 プリズム
23a,b スペーサ
24a 撮像センサ
24b AF専用センサ
25 ハーフミラー
26 多画素CCDセンサ
27 ムービー用高感度カラーセンサ
28 AE・AF用CMOSセンサ
61 受光領域
62 感光領域
64 垂直CCD
66 水平CCD
67 アンプ
68 光電変換素子
69 MOSトランジスタ
70 リセットトランジスタ
71 電荷蓄積領域
72 読み出しゲート
73 垂直転送チャネル
74 ゲート絶縁膜
75 垂直転送電極
76 チャネルストップ領域
77 シリコン酸化膜
78 窒化シリコン膜
79 遮光膜
79a 開口部
81 半導体基板
82 ウエル層
83a,b 平坦化層
84 カラーフィルタ層
85 マイクロレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を、第1の可視光と、第2の可視光とを含む2以上の可視光に分けて出射する光学系と、
前記第1の可視光が入射する第1のセンサと、
前記第2の可視光が入射する、前記第1のセンサとは画素数が異なる第2のセンサと
を有する光学モジュール。
【請求項2】
前記第2のセンサの画素数が、前記第1のセンサの画素数の1/2以下である請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記第2のセンサの画素数が、前記第1のセンサの画素数の1/4以下である請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは読み出し周波数が異なるセンサである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項5】
前記第1または第2のセンサがCCD型のセンサである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項6】
前記第1または第2のセンサがMOS型のセンサである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項7】
前記第1のセンサが撮像用のセンサであり、前記第2のセンサがAEまたはAF用のセンサである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−323018(P2006−323018A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144591(P2005−144591)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】