説明

光学ユニットおよび光学機器

【課題】光学ユニット全体としての小型化を図りつつ、光制御装置を防振装置に安定的に取り付ける。
【解決手段】光学ユニットは、レンズL3を保持し、ベース部材86に対してシフト可能なシフト部材87aと、シフト部材を互いに異なる方向にそれぞれシフトさせる第1および第2の防振アクチュエータ81,82,89,90とを有する防振装置に、シャッタ動作および光量調節動作のうち少なくとも一方を行う光制御装置5が取り付けられて構成されている。シフト部材には、第1および第2の防振アクチュエータの外縁L1,L2よりもレンズに近い領域に貫通開口87cが形成されている。光制御装置は、シフト部材のシフト範囲よりも外側の領域にてベース部材に取り付けられる第1の取り付け部5b,5cと、該貫通開口を通ってベース部材に取り付けられる第2の取り付け部5aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ機能や光量調節機能と防振機能とを備えた光学ユニットおよびこれを含む光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の光学機器は、小型でありながらも、シャッタ機能や光量調節機能を含む光制御装置と、像振れ補正機能を有する防振装置とを備えたものが多い。
例えば特許文献1には、光制御装置と防振装置とがコンパクトに一体的にまとめられた光学機器が開示されている。この光学機器では、防振装置において防振レンズを光軸に直交する2方向にシフトさせる2つの電磁アクチュエータを高密度に配置するため、防振装置における防振レンズの可動範囲の外側に設けた1箇所の受け部に、光制御装置をビス止めする取り付け構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の取り付け構造では、シャッタ羽根(絞り羽根)を保持する地板の形状や該羽根を駆動するアクチュエータの位置に応じた光制御装置の重心(質量中心)位置との関係で、光制御装置を防振装置に安定的に取り付けられない可能性がある。すなわち、光学機器の姿勢の変化や光学機器に加わった振動によって、光制御装置の防振装置に対する浮き(ばたつき)が発生し、光学性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、ユニット全体としての小型化を図りつつ、光制御装置を防振装置に安定的に取り付けることができるようにした光学ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学ユニットは、ベース部材と、レンズを保持し、像振れを低減するためにベース部材に対して光軸に直交する面内でシフト可能なシフト部材と、シフト部材を光軸に直交する面内において互いに直交する第1の方向および第2の方向にそれぞれシフトさせる第1の防振アクチュエータおよび第2の防振アクチュエータとを有する防振装置に、シャッタ動作および光量調節動作のうち少なくとも一方を行う光制御装置が取り付けられて構成される。シフト部材における、第1の防振アクチュエータの第1の方向での外縁および第2の防振アクチュエータの第2の方向での外縁よりもレンズに近い領域に光軸方向に貫通する開口が形成されている。そして、光制御装置は、光軸に直交する面内におけるシフト部材のシフト範囲よりも外側の領域においてベース部材に取り付けられる第1の取り付け部と、該開口を通ってベース部材に取り付けられる第2の取り付け部とを有することを特徴とする。
【0007】
なお、上記光学ユニットを備えた光学機器も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、シフト部材のシフト範囲よりも外側の領域に設けた第1の取り付け部によって光制御装置をベース部材に取り付けるだけでなく、シフト部材の内側の領域に設けられた開口を通った第2の取り付け部によっても取り付ける。このため、本発明によれば、第2の取り付け部をシフト範囲よりも外側の領域に設ける場合のように光学ユニットを大型化することなく、光制御装置をベース部材(つまりは防振装置)に安定的に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例であるデジタルカメラのレンズ鏡筒の分解斜視図。
【図2】上記レンズ鏡筒の沈胴状態の構成を示す断面図。
【図3】上記レンズ鏡筒の広角端での構成を示す断面図。
【図4】上記レンズ鏡筒の望遠端での構成を示す断面図。
【図5】実施例における光制御/防振ユニット(絞りシャッタユニットおよびシフトユニット)の構成を示す分解斜視図。
【図6】実施例におけるシフトユニットの部分断面図。
【図7】実施例における絞りシャッタユニット(小絞り状態およびシャッタ開状態)の正面図。
【図8】上記絞りシャッタユニット(絞り退避状態およびシャッタ閉状態)の正面図。
【図9】上記光制御/防振ユニットの組み合わせ状態を示す正面図(ただし、前側シフト鏡筒は省略)。
【図10】上記光制御/防振ユニットの断面図。
【図11】上記光制御/防振ユニットの組み合わせ状態を示す正面図。
【図12】上記光制御/防振ユニットの組み合わせ状態における連結部と開口部を示す部分正面図。
【図13】上記光制御/防振ユニットの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1には、本発明の実施例である光学機器としてのデジタルカメラ100における沈胴式レンズ鏡筒の構成を分解して示している。図2、図3および図4にはそれぞれ、該レンズ鏡筒の沈胴状態、広角端および望遠端での断面を示している。
これらの図において、物体側から順に、L1は第1レンズユニット、L2は第2レンズユニット、L3は第3レンズユニット(防振レンズ)、L4は第4レンズユニットである。第1および第2レンズユニットL1,L2は、レンズ鏡筒の伸縮とともに光軸方向に移動して変倍(ズーム)を行う。第3レンズユニットL3は、光軸に対して直交する方向にシフトして像振れを低減する像振れ補正(防振)を行う。また、第4レンズユニットL4は、光軸方向に移動してフォーカシングを行う。
1は第1レンズユニットL1を保持する第1鏡筒であり、2は第2レンズユニットL2を保持する第2保持枠である。3は第3レンズユニットL3を光軸に対して直交する方向にシフト可能に保持する防振装置としてのシフトユニットである。4は第4レンズユニットL4を保持する第4保持枠であり、5は光量調節機能とシャッタ機能とを有する光制御装置としての絞りシャッタユニットである。絞りシャッタユニット5とシフトユニット3によって、光学ユニットとしての光制御/防振ユニットが構成される。
6はシフトユニット3の像面側の端部(後端部)に設けられたカムピンであり、8aおよび9は第4保持枠4を光軸方向にガイドするガイドバーである。8bは第4保持枠4を付勢するばねをガイドするばねバーである。
11はガイドバー8a,9とばねバー8bの後端部を保持し、またCCDセンサ等の光電変換素子により構成される撮像素子を保持するCCDホルダである。
16aは第4保持枠4を光軸方向に移動させるアクチュエータとしてのフォーカスモータであり、ステッピングモータにより構成されている。フォーカスモータ16aのロータと一体回転するリードスクリュー16cには、ナット16bが噛み合っており、リードスクリュー16cが回転することでナット16bを介して第4保持枠4が光軸方向に駆動される。第4保持枠4には、ナット16bの回転を阻止する回転ストッパ4aと、カメラが衝撃を受けたときにナット16bが回転ストッパ4aから物体側に脱落することを防止するための脱落防止ストッパ4bとが設けられている。
フォーカスモータ16aは、後述する固定カム環13にビスにより固定されている。18は第4保持枠4をナット16bに向けて付勢するフォーカスばねである。
35は第4保持枠4が光軸方向における基準位置に位置することを検出するためのフォトインタラプタである。フォトインタラプタ35は、第4保持枠4に形成された遮光部(図示せず)がフォトインタラプタ35の発光部と受光部の間に入り込むことで、第4保持枠4が基準位置に位置することを示す信号を出力する。これにより、フォーカス初期位置の検出が行われ、この後、フォーカスモータ16aに印加されるパルス信号のパルス数をカウントすることにより、フォーカス位置が制御される。
固定カム環13は、CCDホルダ11にビスによって固定されている。固定カム環13の内周面には、駆動スリーブ7に設けられたカムピン7aが係合するスリーブカム溝部(図示せず)が形成されている。
駆動スリーブ7の外周にはカムギヤ部7cが形成されており、該カムギヤ部7cには、ズームアクチュエータとしてのズームモータユニット28からの駆動力によって回転するギヤ14が噛み合っている。ギヤ14は、固定カム環13の周壁に形成された開口内にて定位置回転するように保持されており、固定カム環13の外周側においてズームモータユニット28の出力ギヤと噛み合い、固定カム環13の内周側においてカムギヤ部7cに噛み合っている。
ズームモータユニット28からの駆動力がギヤ14およびカムギヤ部7cを介して駆動スリーブ7に伝達されると、該駆動スリーブ7が光軸回りで回転する。これにより、カムピン7aと固定カム環13のスリーブカム溝部との係合よるカム作用によって駆動スリーブ7が光軸方向に移動する。駆動スリーブ7の光軸回りでの回転は、該駆動スリーブ7と不図示のバヨネット構造によって相対回転可能で、かつ光軸方向に一体移動可能に結合された直進カム環10の外周で行われる。
直進カム環10の周方向3箇所には、径方向外方に突出するキー10hが形成されている。これらキー10hは、固定カム環13の内周面における周方向3箇所に光軸方向に延びるように形成された直進溝部13bに係合している。このため、直進カム環10は、回転しながら光軸方向に移動する駆動スリーブ7とともに、固定カム環13に対して回転することなく光軸方向に移動する。
12は移動カム環である。移動カム環12の外周面には、第1鏡筒1を光軸方向に移動させるための第1カム溝部12bが形成されている。また、移動カム環12の内周面には、第2保持枠2およびシフトユニット3をそれぞれ光軸方向に移動させるための第2カム溝部12cおよびシフトカム溝部12dが形成されている。第1鏡筒1には、第1カム溝部12bに係合するカムピン1aが設けられている。また、第2保持枠2には、第2カム溝部12cに係合するカムピン2aが設けられている。さらに、シフトユニット3には、シフトカム溝部12dに係合するカムピン6が設けられている。
移動カム環12は、案内筒17と不図示のバヨネット構造によって相対回転可能で、かつ光軸方向に一体移動可能に結合されている。
案内筒17の後端部における周方向3箇所には、径方向外方に突出する案内キー17aが形成されている。該案内キー17aは、直進カム環10の内周面における周方向3箇所に光軸方向に延びるように形成された直進溝部10aに係合している。このため、案内筒17は、回転する移動カム環12とともに、直進カム環10に対して回転することなく光軸方向に移動する。
第2保持枠2には、直進キー2bが形成されており、該直進キー2bは、案内筒17の周壁に光軸方向に延びるように形成された直進溝部17bに係合している。このため、移動カム環12が回転しても、第2保持枠2は回転しない。
ステッピングモータとしてのズームモータユニット28は、CCDホルダ11にビスによって固定され、前述したようにその出力ギヤがギヤ14に噛み合っている。
このように構成されたレンズ鏡筒において、ズームモータユニット28からの駆動力によって駆動スリーブ7が回転すると、駆動スリーブ7と直進カム環10が光軸方向に移動する。また、移動カム環12が、その外周に設けられたカムピン12aと直進カム環10の周壁を貫通するように形成されたカム溝部(図示せず)との係合によるカム作用によって、案内筒17の外周において回転しながら案内筒17とともに光軸方向に移動する。
移動カム環12が回転することで、第1鏡筒1が駆動スリーブ7、直進カム環10、移動カム環12および案内筒17に対して光軸方向に移動する。また、移動カム環12が回転することで、第2保持枠2およびシフトユニット3がそれぞれ光軸方向に移動する。これにより、レンズ鏡筒の望遠端、広角端および沈胴位置間での伸縮と、望遠端と広角端間でのズームが行われる。
36はシフトユニット3が光軸方向における基準位置に位置することを検出するためのフォトインタラプタである。フォトインタラプタ36は、シフトユニット3に形成された遮光部3b(図3参照)がフォトインタラプタ36の発光部と受光部の間に入り込むことで、シフトユニット3が基準位置に位置することを示す信号を出力する。これにより、ズーム初期位置の検出が行われ、この後、ズームモータユニット28に印加されるパルス信号のパルス数をカウントすることにより、ズーム位置が制御される。
図5には、絞りシャッタユニット5とシフトユニット3により構成される光制御/防振ユニットの構成を分解して示している。また、図6には、シフトユニット3の断面を示している。
シフトユニット3において、第3レンズユニットL3のうち物体側のレンズエレメントは、前側シフト鏡筒87bによって保持されている。また、第3レンズユニットL3のうち像面側のレンズエレメントは、シフト部材としての後側シフト鏡筒87aによって保持されている。前側シフト鏡筒87bと後側シフト鏡筒87aとは互いにビスによって結合され、一体となって後述するシフトベース86に対して光軸に直交する面内にてシフト可能である。
後側シフト鏡筒87aにおける光軸回りにおいて互いに90度位相が異なる位置には、シフトアクチュエータの一部を構成する要素であるコイル82,90とアッパーヨーク83,91とが保持されている。コイル82,90はシフトベース86に面する側に、アッパーヨーク83,91は前側シフト鏡筒87bに面する側に配置されている。
シフトベース86は、シフトユニット3のベース部材(第1のベース部材)である。該シフトベース86における光軸回りにおいて互いに90度位相が異なる位置(コイル82,90に対向する位置)には、シフトアクチュエータの他の一部を構成する要素であるマグネット81,89が保持されている。また、マグネット81,89の背面には、バックヨーク80が固定されている。
コイル82、アッパーヨーク83、マグネット81およびバックヨーク80によりシフト鏡筒87a,87bを垂直方向(ピッチ方向:第1の方向)にシフトさせる第1の防振アクチュエータとしてのピッチシフトアクチュエータが構成される。また、コイル90、アッパーヨーク91、マグネット89およびバックヨーク80によりシフト鏡筒87a,87bを水平方向(ヨー方向:第2の方向)にシフトさせる第2の防振アクチュエータとしてのヨーシフトアクチュエータが構成される。すなわち、シフトユニット3には、光軸回りにおいて互いに90度位相が異なる位置に2つのシフトアクチュエータが設けられている。
シフトベース86の周方向3箇所に形成されたボール保持枠内にはそれぞれ、該ボール保持枠内で転動可能なボール88a,88b,88cが配置されている。これらボール88a,88b,88cには、マグネット81,89とアッパーヨーク83,91間に作用する吸着力によって後側シフト鏡筒87aが押圧状態で当接する。これにより、シフト鏡筒87a,87bは、光軸に対する倒れが阻止された状態でボール88a,88b,88cによってピッチ方向およびヨー方向にガイドされる。
85はコイル82,90に通電するためのシフトFPCである。該シフトFPC85には、2つのホール素子84が実装されている。該2つのホール素子84はそれぞれ、コイル82,90の内側開口内に配置され、シフト鏡筒87a,87bがピッチ方向およびヨー方向にシフトした際の磁気の変化に応じた検出信号を出力する。この検出信号を用いることで、シフト鏡筒87a,87bのピッチ方向およびヨー方向でのシフト位置を検出することができる。
カメラ100には、ピッチ方向とヨー方向のカメラ振れを検出する角速度センサ等により構成される不図示の振れセンサが設けられている。不図示の制御回路は、該振れセンサにより検出されたカメラ振れの方向と大きさに応じて、像振れを低減するためのシフト鏡筒87a,87bのシフト方向とシフト量を算出し、その算出結果に基づいてコイル82,90への通電を制御する。このとき、制御回路は、ホール素子84により得られるシフト鏡筒87a,87bの実際のシフト量を用いて、コイル82,90への通電をフィードバック制御する。
図7および図8には、絞りシャッタユニット5の構成を、光軸方向視(光通過方向視)において示している。500は絞りシャッタユニット5のベース部材(第2のベース部材)としての絞りシャッタベースである。該絞りシャッタベース500には、光が通過する固定開口500aが形成されている。
501は光制御部材としての光量調節部材であり、該光量調節部材501には、固定開口500aよりも小さな径を有する(すなわち、通過光量を減少させる)小絞り開口501aが形成されている。なお、本実施例では、小絞り開口が形成された光量調節部材を用いる場合について説明するが、光量調節部材としてNDフィルタのように透過光量を減衰させるフィルタ部材を用いてもよい。
光量調節部材501は、絞りシャッタベース500に形成された軸部(第1の軸)505aを中心として回動可能である。具体的には、光量調節部材501は、図7に示すように小絞り開口501aが形成された部分が固定開口500aを覆う減光位置と、図8に示すように小絞り開口501aが形成された部分が固定開口500aから退避する退避位置との間で回動する。
光量調節部材501に形成された長穴部には、光量調節駆動レバー503の駆動軸部が係合している。これら長穴部と駆動軸部との係合部は、第2の係合部に相当する。光量調節駆動レバー503は、絞り駆動源としての絞りモータ(第2の光制御アクチュエータ)5eの出力部を構成し、絞りモータ5eの回転力を光量調節部材501に伝達してこれを軸部505aを中心として回動させる。
502a,502bはそれぞれ光制御部材としての第1のシャッタ部材および第2のシャッタ部材である。第1のシャッタ部材502aは、絞りシャッタベース500に形成された軸部505aを中心として回動可能である。すなわち、第1のシャッタ部材502aは、光量調節部材501と共通の軸回りで回動する。一方、第2のシャッタ部材502bは、絞りシャッタベース500に形成された軸部(第2の軸)505bを中心として回動可能である。第1および第2のシャッタ部材502a,502bは、図7に示すように固定開口500aを開放する開位置と、図8に示すように固定開口500aを覆って閉じる閉位置との間で回動可能である。
第1および第2のシャッタ部材502a,502bのそれぞれに形成された長穴部には、シャッタ駆動レバー504の駆動軸部が係合している。これら長穴部と駆動軸部との係合部は、第1の係合部に相当する。シャッタ駆動レバー504は、シャッタ駆動源としてのシャッタモータ(第1の光制御アクチュエータ)5dの出力部を構成する。シャッタ駆動レバー504は、シャッタモータ5dの回転力を第1および第2のシャッタ部材502a,502bに伝達してこれらをそれぞれ軸部505a,505bを中心として回動させる。
第2のシャッタ部材502bの回動中心である軸部505bは、シャッタ駆動レバー504と第1および第2のシャッタ部材502a,502bとが係合する第1の係合部に対して、第1のシャッタ部材502aの回動中心である軸部505aとは反対側に位置する。また、光量調節部材501と光量調節駆動レバー503とが係合する第2の係合部は、軸部505aに対して第1の係合部とは反対側に位置する。
そして、光量調節部材501は、図9に示すように、軸部505aを中心として軸部505bに近づく方向に回動することにより減光位置から退避位置に回動する。言い替えれば、光量調節部材501は、絞りモータ5e側からシャッタモータ5d側に回動して減光位置から退避位置に回動する。
以上のように絞りシャッタユニット5を構成することで、光量調節部材501の回動範囲と、第1のシャッタ部材502aの回動範囲とを50%以上重ね合わせることができる。これにより、絞りシャッタユニット5(絞りシャッタベース500)を、光軸方向視において、固定開口500aに対して軸部505a,505bと第1および第2の係合部とは反対側の位置を中心(要)とした中心角(広がり角度)90度の扇形状に構成できる。このように、本実施例によれば、特に光軸に直交する方向において小型化された絞りシャッタユニット5を実現することができる。
なお、扇形状の中心角は90度でなくてもよく、100度等の鈍角であってもよいし、80度等の鋭角であってもよい。
そして、扇形状の絞りシャッタユニット5は、図9および図10に示すように、前述した2つのシフトアクチュエータの光軸側の端面(シフトユニット3の径方向における内側の端面)が面する、中心角が90度の扇形状のスペース内に配置される。これにより、図10および図6に示すように、絞りシャッタユニット5の少なくとも一部(例えば、少なくとも光量調節部材501とシャッタ部材502a,502b)を、シフトアクチュエータの光軸方向の厚みD内に配置することができる。言い換えれば、絞りシャッタユニット5を、2つのシフトアクチュエータとの干渉を避けつつ、後側シフト鏡筒87aに近づけて配置することができる。
したがって、絞りシャッタユニット5とシフトユニット3の光軸方向の厚みを薄くすることができる。この結果、沈胴状態でのレンズ鏡筒の光軸方向での全長を短くすることができる。
カメラ100に設けられた不図示の制御回路は、動画撮影時に、撮像素子からの出力信号により得られた輝度情報に基づいて、光量調節部材501を減光位置又は退避位置に回動させるように絞りモータ5eを制御する。これにより、撮像素子に適切な明るさの被写体像が形成され、撮像素子からの出力信号を用いて良好な動画像を生成することができる。また、制御回路は、静止画撮影時に、所定のシャッタ速度で第1および第2のシャッタ部材502a,502bが閉位置から開位置を経て再び閉位置に戻るようにシャッタモータ5dを制御する。これにより、撮像素子からの出力信号を用いて良好な静止画像を生成することができる。
次に、絞りシャッタユニット5とシフトユニット3により構成される光制御/防振ユニットの組み立て方法について、図5および図11を用いて説明する。
絞りシャッタユニット5(絞りシャッタベース500)には、取り付け部5a,5b,5cが形成されており、これら取り付け部5a,5b,5cをシフトユニット3(シフトベース86)に設けられた受け部86c,86b,86aに当接させる。これにより、シフトベース86に対する絞りシャッタユニット5の光軸方向での位置が決まる。そして、絞りシャッタユニット5は、取り付け部5cにおいて受け部86aにビスにより固定される。
取り付け部(第1の取り付け部)5b,5cは、絞りシャッタユニット5の重心を考慮して、絞りシャッタユニット5の外周における絞りモータ5eの近傍とシャッタモータ5dの近傍にそれぞれ設けられている。言い替えれば、取り付け部5b,5cは、光軸に直交する面内における後側シフト鏡筒87aのシフト範囲よりも外側の領域においてシフトベース86に取り付けられる。
また、扇形状を有する絞りシャッタユニット5において、その外周の2箇所に取り付け部5b,5cを設けるだけでは、扇形状の中心側においてシフトベース86に対する浮き(ばたつき)が発生する可能性がある。このため、扇形状の中心部に取り付け部(第2の取り付け部)5aを設け、絞りシャッタユニット5は、取り付け部5b,5cと合わせて3点にてシフトベース86に当接して取り付けられる(支持される)ように構成されている。
取り付け部5aは、後側シフト鏡筒87aに光軸方向に貫通するように形成された貫通開口87cを通って受け部86cに当接する。貫通開口87cは、後側シフト鏡筒87aがシフトしても、貫通開口87cの周縁部が取り付け部5aに干渉しない大きさおよび形状を有する。また、取り付け部5aの先端には位置決めボス5fが形成されており、該位置決めボス5fがシフトベース86に形成された位置決め穴86dに挿入されることで、絞りシャッタユニット5のシフトベース86に対する回転方向の位置が決められる。
図12には、後側シフト鏡筒87aにおいて貫通開口87cが形成される領域を示している。貫通開口87cは、後側シフト鏡筒87aにおける、ピッチシフトアクチュエータのピッチ方向での外縁(光軸側とは反対側の端面)L1およびヨーシフトアクチュエータのヨー方向での外縁L2よりも第3レンズユニットL3(光軸)に近い領域に形成されている。特に本実施例では、貫通開口87cは、後側シフト鏡筒87aにおける2つのコイル82,90の光軸側の端面82a,90aよりも第3レンズユニットL3に近い領域(2つのコイル82,90と第3レンズユニットL3とにより囲まれた領域)に形成されている。
そして、前述したように、取り付け部5aは、貫通開口87cの内側を通って絞りシャッタユニット5側から後側シフト鏡筒87aまで延びている。
なお、図12に示した貫通開口87cが形成された領域は例に過ぎない。前述したように2つのシフトアクチュエータの外縁L1,L2よりも第3レンズユニットL3に近い領域であれば、例えば図12中にハッチングで示すように、2つのシフトアクチュエータの光軸側の端面よりも外側の領域Aに貫通開口を形成してもよい。
このように本実施例では、後側シフト鏡筒87aのシフト範囲よりも外側の領域に設けられた取り付け部5b,5cにより絞りシャッタユニット5をシフトベース86に取り付けている。しかも、後側シフト鏡筒87aの内側の領域に形成された貫通開口87cを通った取り付け部5aによっても絞りシャッタユニット5をシフトベース86に取り付けている。このため、取り付け部5aを後側シフト鏡筒87aのシフト範囲よりも外側の領域に設ける場合に比べて、光制御/防振ユニットを大型化することなく、絞りシャッタユニット5をシフトベース86(シフトユニット3)に安定的に取り付けることができる。
なお、図13に示すように、取り付け部5aにその先端側からビス下穴を形成し、シフトベース86の受け部86cの背面側から挿入したビスを該ビス下穴に締め込むことによって、取り付け部5aをシフトベース86に固定することも可能である。
そして、このように絞りシャッタユニット5をシフトベース86に固定した状態で、後側シフト鏡筒87aとの間に絞りシャッタユニット5を挟むように配置された前側シフト鏡筒87bを後側シフト鏡筒87aにビスにより固定する。以上のようにして、光制御/防振ユニットの組み立てが完了する。
以上説明した実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、シフトアクチュエータを構成するコイルをシフト鏡筒に保持させ、マグネットをシフトベースに保持させた、いわゆるムービングコイルタイプのシフトユニットを用いた場合について説明した。しかし、本発明は、マグネットをシフト鏡筒に保持させ、コイルをシフトベースに保持させた、いわゆるムービングマグネットタイプのシフトユニットを用いる場合にも適用することができる。この場合、貫通開口87cは、後側シフト鏡筒87aにおける2つのマグネットの外縁よりも第3レンズユニットL3(光軸)に近い領域に形成される。
【0012】
また、上記実施例では、シフトユニットに光量調節動作とシャッタ動作の両方を行う絞りシャッタユニットを取り付けた場合について説明したが、本発明にいう光制御装置は、光量調節動作とシャッタ動作のうち少なくとも一方を行えばよい。
さらに、上記実施例では、沈胴タイプのレンズ鏡筒を有するカメラについて説明したが、本発明は、沈胴タイプではないレンズ鏡筒を有するカメラや交換レンズ等の他の光学機器にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
シャッタ機能と光量調節機能の双方を有するコンパクトな光制御装置を提供できる。
【符号の説明】
【0014】
3 シフトユニット
5 絞りシャッタユニット
5a,5b,5c 取り付け部
5d シャッタモータ
5e 絞りモータ
501 光量調節部材
502a,502b シャッタ部材
87a,87b シフト鏡筒
87c 貫通開口
86 シフトベース
81,89 マグネット
82,90 コイル
100 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
レンズを保持し、像振れを低減するために前記ベース部材に対して光軸に直交する面内でシフト可能なシフト部材と、
前記シフト部材を前記光軸に直交する面内において互いに直交する第1の方向および第2の方向にそれぞれシフトさせる第1の防振アクチュエータおよび第2の防振アクチュエータとを有する防振装置によって、
シャッタ動作および光量調節動作のうち少なくとも一方を行う光制御装置が取り付けられて構成された光学ユニットであって、
前記シフト部材における、前記第1の防振アクチュエータの前記第1の方向での外縁および前記第2の防振アクチュエータの前記第2の方向での外縁よりも前記レンズに近い領域に光軸方向に貫通する開口が形成されており、
前記光制御装置は、
前記光軸に直交する面内における前記シフト部材のシフト範囲よりも外側の領域において前記ベース部材に取り付けられる第1の取り付け部と、
前記開口を通って前記ベース部材に取り付けられる第2の取り付け部とを有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記光制御装置は、駆動源としての光制御アクチュエータを有し、
前記光軸に直交する面内において、前記第2の取り付け部は、前記レンズに対して、前記第1の取り付け部および前記光制御アクチュエータとは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記光制御装置のうち少なくとも一部が、前記第1および第2の防振アクチュエータの光軸側の端面が面するスペース内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の光学ユニットを有することを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−39085(P2011−39085A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183375(P2009−183375)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】