説明

光学レンズと、この光学レンズを使用した照明装置及び受光装置

【課題】 小型に構成され得ると共に、環状の照射パターンまたは受光パターンの大きさを任意に変更することができるようにした光学レンズ及びこの光学レンズを使用した照明装置及び受光装置を提供する。
【解決手段】 透明材料から成り、中心軸Oの周りに環状に配置され、中心軸を通る断面にて、中心軸の一側に所定距離だけ離れた焦点位置Fから所定角度θで延びる傾斜軸A上に形成され、上記中心軸の周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部12aを有するように、光学レンズ12を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具や受光センサ等に使用される照射または受光用の光学レンズそしてこの光学レンズを使用した照明装置及び受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばLEDを光源とする照明器具は、例えば特許文献1または特許文献2に示すように構成されている。
【0003】
特許文献1には、複数個のLEDをリング状に配置し、このリング型照明部に沿って配置されたリング状のシリンドリカルレンズ部により、各LEDからの拡散光を特定方向に集光するLED照明装置が開示されている。
このような構成のLED照明装置によれば、各LEDから出射した光が、シリンドリカルレンズ部により集光される。これにより、リング状の照射パターンが照射される。
【0004】
また、特許文献2には、光源からの平行光を、光ファィバーの所定角度に傾斜した一端面に入射させて、光ファィバー内で所謂スキュー反射を繰り返した後に光ファィバーの他端面から所定角度の拡り角を備えた環状光として出射させ、この環状光を回転楕円ミラーで反射するリング照明装置が開示されている。これにより、最終的な照射角度を制御して、リングビームを照射するようにしている。
【特許文献1】特開2006−210025号公報
【特許文献2】特開平11−052286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1によるLED照明装置においては、リング状の照射パターンを形成するために、多数のLEDをリング状に配置する必要がある。このため、部品点数が多くなり、コストが高くなってしまう。また、照射パターンの大きさ(直径)を変更したい場合には、LEDの配置を変更し、シリンドリカルレンズ部の大きさも変更する必要がある。
【0006】
また、特許文献2によるリング照明装置においては、平行光を出射する光源が必要であり、使用される光源が制限されてしまう。
これに対して、非平行光を出射する光源を使用する場合には、光源からの光を平行光に変換する光学系が別途必要になる。従って、部品点数が増加して、コストが高くなってしまう。さらに、上記光学系を配置するためのスペースが必要になり、装置全体の奥行き寸法が長くなってしまう。
【0007】
このような問題は、光源としてLEDを使用した場合だけでなく、他の発光素子を使用した場合も同様である。
また、照明器具だけでなく、発光部からの光を光学レンズを介して外部に出射させる表示器やイルミネーション,外部からの光を光学レンズにより集光して受光センサにより検出するエリアセンサ等における照射または受光用の光学レンズにおいても、指向性に関して同様の問題がある。
【0008】
本発明は、以上の点から、小型に構成され得て、環状の照射パターンまたは受光パターンの大きさを任意に変更することができるようにした、光学レンズ及びこの光学レンズを使用した照明装置及び受光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、本発明の第一の構成によれば、透明材料から成り、中心軸の周りに環状に配置され、中心軸を通る断面にて、中心軸の一側に離れて位置する焦点位置から所定角度で延びる傾斜軸上に形成され、上記中心軸の周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部を有することを特徴とする光学レンズにより、達成される。
【0010】
本発明による光学レンズは、好ましくは、上記凸状のレンズ部が、上記焦点位置に対して互いに異なる所定角度の傾斜軸毎に、それぞれ配置されている。
【0011】
本発明による光学レンズは、好ましくは、上記凸状のレンズ部が、環状のフレネルレンズとして形成されている。
【0012】
本発明による光学レンズは、好ましくは、上記凸状のレンズ部が、一側にて遮光部材により包囲されている。
【0013】
また、上記目的は、本発明の第二の構成によれば、前述した光学レンズと、この光学レンズの焦点位置に配置された光源と、を含むことを特徴とする、照明装置により、達成される。
本発明による照明装置は、好ましくは、上記光学レンズと上記光源との間に、適宜な開口を備えた遮光部材を備えて構成されている。
【0014】
さらに、上記目的は、本発明の第三の構成によれば、前述した光学レンズと、この光学レンズの焦点位置に配置された受光素子と、を含むことを特徴とする、受光装置により、達成される。
【発明の効果】
【0015】
上記構成によれば、例えば焦点位置に光源を配置した場合には、照明装置が構成されることになり、中心軸を通り半径方向に延びる面内にて、焦点位置から出射した光が、傾斜軸に沿って進んで、凸状のレンズ部に入射して、当該レンズ部の光学特性に基づいて平行光となって、当該レンズ部から光軸方向に沿って出射する。従って、中心軸から焦点位置とは反対側に配置された照射位置において、環状の照射パターンが形成されることになる。
【0016】
この場合、凸レンズ部を出射した光は、中心軸を通る面内で平行光であって、照射位置までの距離に関わらず、環状の照射パターンが形成される。
また、凸レンズ部を出射した光は、中心軸を通る面内で中心軸に対して所定角度だけ傾斜した傾斜軸に沿ってほぼ平行光として出射する。このため、照射位置までの距離に比例して、環状の照射パターンの大きさ(直径)が変化する。これにより、照射位置までの距離を適宜に選定することによって、所望の大きさの照射パターンが得られることになる。
【0017】
また、光学レンズの焦点位置に光源または受光素子を配置し、環状の照射パターンまたは受光パターンを画成することができる。このため、従来のように照射パターンに対応して、光源や受光素子を環状に配置する必要がない。従って、部品点数が少なくて済み、組立も容易に行なわれ、部品コスト及び組立コストが低減され得る。
【0018】
この場合、焦点位置に配置された光源により光学レンズを介して環状の照射パターンを形成し、多数の光源を環状に配置する必要がない。従って、構成が簡単になり、コストが低減され得ることになる。
また、光源からの光の照射角がレンズ部の集光作用により制御されて、環状の照射パターンが形成される。従って、従来のような平行光を出射する光源でなくともよく、任意の光源が使用され得る。
【0019】
これに対して、焦点位置に受光素子を配置した場合には、受光装置が構成されることになり、上述した光源と共に照明装置を構成した場合における環状の照射パターンに対応する位置または方向即ち受光パターンから凸状のレンズ部に入射する平行光が、当該レンズ部の光学特性に基づいて集光され、焦点位置に向かって進む。これにより、焦点位置に配置された受光素子が、上記受光パターンからの光を受光し、検出することができる。
【0020】
上記凸状のレンズ部が上記焦点位置に対して互いに異なる所定角度の傾斜軸毎にそれぞれ配置されている場合には、上述した照射パターンまたは受光パターンが、複数の同心状に画成されることになる。
【0021】
上記凸状のレンズ部が、環状のフレネルレンズとして形成されている場合には、凸状のレンズ部が、その傾斜軸そして中心軸の方向に関して薄型に形成され得る。従って、光学レンズそして照明装置や受光装置全体が薄型に構成され得、または同じ大きさであれば、より大径のレンズ部を構成することができる。
【0022】
上記凸状のレンズ部が一側にて遮光部材により包囲されている場合には、レンズ部のレンズ機能を担わない部分への入光を低減し、レンズ光学系とは異なる方向へのいわゆる雑光を低減し得る。さらに光源に近い位置にスリットを画成して光学レンズ12の凸状のレンズ12a、または凸状レンズの平面部12b以外への光源光の入光を制限する構成とする場合には、上述した照射パターンまたは受光パターンのエッジがシャープに画成される。従って、照明装置における照明部分と非照明部分がくっきりと分けられ、あるいは受光装置における検知エリアと非検知エリアが確実に区別され得ることになる。
【0023】
このようにして、本発明によれば、小型に構成され得て、環状の照射パターンまたは受光パターンの大きさを任意に変更することができるようにした光学レンズ及びこの光学レンズを使用した照明装置及び受光装置が提供され得ることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図12を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
[実施例1]
図1及び図2は、本発明による光学レンズを使用した照明装置の第一の実施形態の構成を示している。
図1及び図2において、照明装置10は、光源11,光学レンズ12,マウント13及びLED基板14から構成されている。
【0026】
上記光源11は、例えばLEDから構成されており、図示の場合、LED基板14(後述)上に実装されている。
ここで、光源11としては、LEDに限らず、HID(High Intensity Discharge),LD(Laser Diode)等の小型の光源を使用することが望ましい。尚、光源11としてLDを使用する場合には、例えば拡散フィルタ等により出射光を拡散させる必要がある。
【0027】
上記光学レンズ12は、図3に示すように、プラスチック,ガラス,石英等の透明材料から構成されている。
即ち、図3において、上記光学レンズ12は、中心軸Oの周りに環状に配置され、図3(A)に示す上記中心軸Oを通る断面にて、中心軸Oの一側(下側)に位置する焦点位置Fから所定角度θで延びる傾斜軸A上に形成され、上記中心軸Oの周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部12aとして形成されている。
従って、上記光学レンズ12は、中心軸Oに関して回転対称であり、中心軸Oを通る任意の断面で、図3(A)に示す形状を有している。
【0028】
図示の場合、レンズ部12aは、焦点位置F側から見て、平凸レンズとして形成されており、焦点位置F側の平面12bが、傾斜軸Aに対して垂直に形成される。また、反対側の凸状のレンズ面12cは、傾斜軸A上の点を中心とする球面として形成されている。
その際、平面12bは、傾斜軸A上にて焦点位置Fから所定距離dの位置に配置されている。
また、レンズ面12cの曲率半径は、焦点位置Fに焦点を有するように選定されている。
尚、上記レンズ部12aは、平凸レンズとして形成されているが、これに限らず、両凸レンズ,非球面コンデンサレンズ等の任意の形状の凸レンズとして形成されていてもよい。
【0029】
さらに、上記光学レンズ12は、図3(A),(C)及び(D)に示すように、その焦点位置F側の周縁から下方に延びる中空円筒部12dを備えている。
この中空円筒部12dの外周面には、雄ネジ部12eが形成されている。
【0030】
上記マウント13は、プラスチック,金属等の不透光性材料から構成されており、図4に示すように、上方が開放した中空円筒状に形成されている。
上記マウント13の中空部13aの内壁面13bには、雌ネジ部13cが形成されており、この雌ネジ部13cに、上述した光学レンズ12の12eが螺合し得るようになっている。
【0031】
さらに、上記マウント13は、図4(B)及び(D)に鎖線で示すように、中空部13aの底面13e上に、LED基板14が取り付けられるようになっている。
ここで、中空部13aの底面13eには、LED基板14の接続端子及びリード線(図示せず)を通すための凹陥部13f及び貫通孔13gが形成されている。
また、中空部13aの底面13eには、LED基板14を取り付けるための四つのネジ孔13hが設けられている。
【0032】
また、上記マウント13は、その下面から下方に延びる複数個のフィン状のヒートシンク13iを備えている。これにより、LED基板14で発生する熱が、上記マウント13の中空部13aの底面13eからヒートシンク13iに伝達され、外部に放熱され得るようになっている。
【0033】
上記LED基板14は、プリント基板から構成されており、図5に示すように、ほぼ正方形に形成されている。
また、上記LED基板14は、その四隅に取付孔14aを備えている。これにより、この取付孔14aに挿通された固定ネジ(図示せず)が上記マウント13の中空部13aの底面13eに設けられたネジ孔13hに螺合することによって、上記LED基板14は、上記マウント13の中空部13aの底面に密着して固定保持される。
【0034】
さらに、上記LED基板14は、その表面中央に三組の電子部品実装用ランド14bを備えており、各組の電子部品実装用ランド14b間にそれぞれ光源11、制限抵抗などが実装されるようになっている。
本実施例においては、中央部の電子部品実装用ランドに光源用LEDが、その他の電子部品実装用ランドには制限抵抗としてチップ抵抗が実装されている。
ここで、上記LEDチップ実装用ランド14bは、詳細には図示しない導電パターンを介して、電極部14cに接続されており、対応する電極部14cから駆動電圧が印加されることによって、各光源11が点灯され得る。
尚、電極部14cに接続されたリード線(図示せず)は、上記マウント13の凹陥部13f及び貫通孔13gから下方に引き回され、ヒートシンク13iの間から外部に引き出され、外部の電源に接続されるようになっている。
【0035】
本発明実施形態による照明装置10は、以上のように構成されており、照明装置10は、例えば図6に示すように、部屋の天井等に取り付けられ、あるいは天井等から吊下げられることにより、シーリングライトまたはペンダントライトとして使用され得る。
外部の電源から上記LED基板14の電極部14cを介して各光源11に駆動電圧が印加されることにより、各光源11が発光する。
【0036】
各光源11から出射した光Lは、上記マウント13の中空部13a内から光学レンズ12に入射し、レンズ部12aの光学特性に基づいて、中心軸Oを通る断面にて、傾斜軸Aの方向に沿って、即ち中心軸Oに対して下方に向かって角度θだけ外側に広がるように集光され、ほぼ平行光となって、この傾斜軸Aの方向に照射される。
この照射光Lは、中心軸Oの下方の所定距離Dに位置する床面等に達して、環状の照射パターンPを形成する。
【0037】
この場合、傾斜軸Aの方向に沿って進む光がほぼ平行光である。このため、照射位置までの距離Dを適宜に選定することによって、所望の直径r(=D×tanθ)の照射パターンPが形成され得ることになり、任意の大きさの照射パターンPに容易に対応することが可能である。
【0038】
次に、上述した照明装置10において、θ=39度としたときのシミュレーションの結果を説明する。
図7は、照明装置10から出射する照射角度に対する照射強度分布を示している。
図7において、中心軸Oに垂直で且つ互いに垂直な二方向に関して、それぞれ中心軸Oに対する角度θ(=39度)の方向で最大照射強度が得られることが分かる。
【0039】
これに対して、図8は、照明装置10から下方の所定距離d(=247mm)にスクリーンを配置した場合のスクリーン上における照射強度分布を示している。
図8において、同様に中心軸Oに対する角度θ(=39度)の方向に対応する位置、即ち中心軸Oからの距離r(=247mm×tan39度)の位置で最大照射強度が得られることが分かる。これにより、半径rの位置に環状の照射パターンPが形成されることになる。
尚、中心軸O上にも、照射強度分布の小さなピークが現われているが、これは、光学レンズ12のレンズ部12aの中央を通過した光によるものである。
【0040】
上述したシミュレーションにおいては、傾斜角度θを39度とした場合について説明したが、これに限らず、θが大きくなるほど、光学レンズ12により焦点位置Fに対する立体角を覆うことができる。このため、例えば焦点位置Fに光源を配置した場合に、光源からの光利用効率を高くすることが可能である。
例えば、θ=39度の場合には、光源からの光利用効率は80%であり、θ=45度の場合には、光利用効率は92%となる。
【0041】
[実施例2]
図9は、本発明による照明装置の第二の実施形態で使用される光学レンズの構成を示している。
図9において、照明装置20において、光学レンズ21は、図1に示した照明装置10における光学レンズ12と比較して、複数個(図示の場合、四個)の同心状に配置された凸状のレンズ部21a,21b,21c,21dが設けられている点で異なる構成になっている。
【0042】
ここで、各レンズ部21a,21b,21c,21dは、中心軸Oを通る断面において、焦点位置Fから互いに所定の角度間隔θ’だけ離れて配置され、互いに半径方向に連続して形成されている。
即ち、最も中心軸Oよりのレンズ部21aは、焦点位置Fから中心軸Oに対して角度θ’/2だけ傾斜した傾斜軸A1上に形成され、上記中心軸Oの周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部である。
また、レンズ部21bは、上記レンズ部21aの外側に隣接して、焦点位置Fから中心軸Oに対して角度θ’+(θ’/2)だけ傾斜した傾斜軸A2上に形成され、上記中心軸Oの周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部である。
【0043】
同様に、レンズ部21cは、上記レンズ部21bの外側に隣接して、焦点位置Fから中心軸Oに対して角度2θ’+(θ’/2)だけ傾斜した傾斜軸A3上に形成され、上記中心軸Oの周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部である。
最後に、レンズ部21dは、上記レンズ部21cの外側に隣接して、焦点位置Fから中心軸Oに対して角度3θ’+(θ’/2)だけ傾斜した傾斜軸A4上に形成され、上記中心軸Oの周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部である。
【0044】
このように構成された照明装置20によれば、図1の照明装置10と同様に光源11が発光すると、光源からの光Lは、光学レンズ21に入射し、光学レンズ21の個々のレンズ部21a,21b,21c,21dの光学特性に基づいて、中心軸Oを通る断面にて、それぞれ傾斜軸A1,A2,A3,A4の方向に沿って、即ち中心軸Oに対して下方に向かって互いに角度θ’だけ外側にずれて広がるように集光され、それぞれほぼ平行光L1,L2,L3,L4となって、この傾斜軸A1,A2,A3,A4の方向に照射される。
【0045】
この照射光L1,L2,L3,L4は、中心軸Oの下方の所定距離の位置に位置する床面等に達して、それぞれ環状の照射パターンP1,P2,P3,P4を形成する。
この場合、各照射パターンP1,P2,P3,P4の半径は、それぞれ所定距離に対する傾斜角度の正接により決まる。これにより、図10に示すように、互いに同心状の複数の照射パターンP1,P2,P3,P4が形成されることになる。
【0046】
[実施例3]
図11は、本発明による光学レンズを使用した受光装置の一実施形態の構成を示している。
図11において、受光装置30は、図1及び図2に示した照明装置10における光源11の代わりに、受光素子31を配置した点のみが異なる構成になっている。
ここで、受光素子31は、フォトダイオード,フォトトランジスタ,フォトIC,CMOS,CCD等が使用され、光学レンズ12の焦点位置Fに入射する光を検出し得るようになっている。
【0047】
このような構成の受光装置30によれば、前述した照明装置10とは逆に、図12に示すように、床面等における環状の受光パターン(受光エリア)Pから光学レンズ12のレンズ部12aに対して中心軸Oに対して傾斜角度θで入射する光L5が、このレンズ部12aの光学作用によって、焦点位置Fに集光され、受光素子31に入射する。
これにより、受光素子31が受光パターンP5からの光を検出することができる。従って、受光パターンP5からの光の検出量の変化により、当該受光パターンP5を検知エリアとする監視が行なわれ得ることになる。
【0048】
なお、受光装置の実施形態においては、受光素子31へ入射する光の光源は、受光パターンP5を必要な光量で照明出来ていればその用を成す為、上記のリング状発光を行う光源を用いることが可能であるとともに、一様に照明を行う一般的な光源、照明装置であっても構わない。また照明装置を用いずに太陽光等を光源とするものであっても構わない。
【0049】
上述の受光装置30は受光素子31を備えるものとして構成されているが、受光素子31の位置に光源をともに備えるものであっても良い。この場合、受光素子30による受光パターンPからの光の検出は、光源の発する直接光に影響されることもありえるが、検出量の変化を常態との差分により検知する構成とすること、光源と受光素子の間に隔壁を設けることなど、またはこれらの方法を組み合わせることで目的を達することが可能であることは当業者には容易に理解されよう。
【0050】
上述した実施形態においては、上記光学レンズ12のレンズ部12a及び光学レンズ21の各レンズ部21a,21b,21c,21dは、焦点位置F側から平凸レンズとして形成されているが、これに限らず、凸レンズであれば、両凸レンズ,非球面コンデンサレンズ等であってもよく、さらにはフレネルレンズとして形成されていてもよい。
特に、レンズ部12a,21a,21b,21c,21dがフレネルレンズとして形成されている場合には、光学レンズ12,21が中心軸Oの方向に関して薄型化される。従って、例えば光源としてハロゲンランプ等の比較的大きな光源を使用する場合には、照明装置の大型化が抑制され得ることになる。
【0051】
また、上述した実施形態においては、光源11として一個のLEDが使用されているが、これに限らず、複数のLEDが使用されてもよいが、光学系を考慮すると光源はより狭い範囲に実装されることが好ましい。上記構成の採用により、従来のように照射パターンに対応して、多数の光源を環状に配置する必要がなく、少数の光源で済む。このため、部品点数が少なくて済み、部品コスト及び組立コストが低減され得る。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明による光学レンズは、焦点位置に光源を配置することによって、上述した照明装置を構成することができ、さらに自動車の演出照明や店舗用ショーケースのアクセント照明等のイルミネーション、あるいは例えばホテル,百貨店,テナントビル等における案内表示,工事現場等の危険地帯を示す進入禁止エリア表示,鉄道車両における優先席の位置表示等を含む視線誘導,誘目性,危険範囲表示を目的としたインジケータ照明に使用することが可能である。
また、本発明による光学レンズの焦点位置に受光素子を配置することによって、光学レンズと環状の受光パターンとの間における円錐状の検知エリア内の物体の通過,移動を検知する装置、例えば家庭内における幼児や認知症患者の脱出防止や危険な暖房器具やキッチン等への進入防止のための監視装置に利用することが可能である。
【0053】
このようにして、本発明によれば、小型に構成され得て、環状の照射パターンまたは受光パターンの大きさを任意に変更することができるようにした、極めて優れた光学レンズ及びこの光学レンズを使用した照明装置及び受光装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による光学レンズを備えた照明装置の第一の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の照明装置を示す概略平面図である。
【図3】図1の照明装置における光学レンズを示す(A)断面図,(B)平面図,(C)側面図及び(D)斜視図である。
【図4】図1の照明装置におけるマウントを示す(A)断面図,(B)平面図,(C)異なる方向の断面図及び(D)斜視図である。
【図5】図1の照明装置におけるLED基板の拡大平面図である。
【図6】図1の照明装置の使用状態を示す概略斜視図である。
【図7】図1の照明装置によるシミュレーションによる照射角度に対する照射強度分布を示すグラフである。
【図8】図1の照明装置によるシミュレーションによるスクリーン上での照射強度分布を示すグラフである。
【図9】本発明による光学レンズを備えた照明装置の第二の実施形態の要部の構成を示す断面図である。
【図10】図9の照明装置による照射パターンを示す概略斜視図である。
【図11】本発明による光学レンズを備えた受光装置の一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図12】図1の受光装置の使用状態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
10 照明装置
11 光源(LED)
12 光学レンズ
12a 凸状のレンズ
12b 平面
12c レンズ面
12d 中空円筒部
12e 雄ネジ部
13 マウント
13a 中空部
13b 内壁面
13c 雌ネジ部
13d 段差
13e 底面
13f 凹陥部
13g 貫通孔
13h ネジ孔
13i シートシンク
14 LED基板
14a 取付孔
14b LEDチップ実装用ランド
14c 電極部
20 照明装置
21 光学レンズ
21a,21b,21c,21d レンズ部
A,A1,A2,A3,A4 傾斜軸
L,L1,L2,L3,L4,L5 光
P,P1,P2,P3,P4 照射パターン
P5 受光パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料から成り、中心軸の周りに環状に配置され、中心軸を通る断面にて、中心軸の一側に離れて位置する焦点位置から所定角度で延びる傾斜軸上に形成され、上記中心軸の周りに回転して画成された回転体としての凸状のレンズ部を有することを特徴とする光学レンズ。
【請求項2】
上記凸状のレンズ部が、上記焦点位置に対して互いに異なる所定角度の傾斜軸毎に、それぞれ配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズ。
【請求項3】
上記凸状のレンズ部が、環状のフレネルレンズとして形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学レンズ。
【請求項4】
上記凸状のレンズ部が、一側にて遮光部材により包囲されていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の光学レンズ。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の光学レンズと、この光学レンズの焦点位置に配置された光源と、を含むことを特徴とする、照明装置。
【請求項6】
請求項1から4の何れかに記載の光学レンズと、この光学レンズの焦点位置に配置された受光素子と、を含むことを特徴とする、受光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−218243(P2009−218243A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57193(P2008−57193)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】