説明

光学レンズ上に平坦なフィルムを適合するための装置、および前記装置を用いて光学レンズを機能的にするための方法、並びにそのようにして得られた光学レンズ

【課題】フィルムの機能性と固有の特性との両方のフィルムの性質、およびレンズの曲率半径に関係ない光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを適合するための装置を提案する。
【解決手段】本発明による装置は、光学レンズの機能化の工程に使用されてもよい。機能化の要因として、光学レンズに導入されることが要求され、機能性可撓平面フィルムの性質が使用される。機能化工程は、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを接着、転写またはモールド成型することである。これら前述の工程の実施は、機能化された光学レンズを得ることを可能にし、その機能性は機能性可撓平面フィルムを使用して接着、転写、またはモールド成型されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを適合させるための装置に関する。本発明のさらなる目的は、前記適合装置を使用して、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを接着、転写、またはモールド成型することである。本発明の最終的な目的は機能化された光学レンズを得ることであり、その機能は、適合装置を使用して光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを接着、転写、またはモールド成型することによって得られる。
【背景技術】
【0002】
多数の引用文献が、光学レンズにフィルムを適用することを可能にする手段および方法を記載している。これらの文書の中で、特許文献1は、眼科用レンズ上にフィルムを積層するための装置を請求の範囲に開示している。特許文献2は偏光フィルム上に圧縮力をかけることによって、偏光機能を持ったレンズを生産するための方法を請求の範囲に開示しており、その圧縮力はフィルムとレンズとの間の接触の構成を可能にしている。同様に特許文献3は、機能性フィルムと光学レンズとの間の接触の構築を可能にする装置を記載しており、その2つの要素間の接触は、紫外線照射の効果によってフィルムとレンズとの間に存在する接着剤の恒久的な接着を得ている。
【特許文献1】国際公開第97/35216号パンフレット
【特許文献1】米国特許第4,865,670号明細書
【特許文献1】米国特許第6,106,665号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらすべての手段および関連した方法は、光学レンズおよび機能性フィルムを使用することで機能化された光学レンズを得ることを可能にしている。しかしながら、使用の再現性および条件はかなり限定されている。実際のところ、凹面を有する光学レンズの機能化を実現すること、または低い伸び特性有するフィルムにこれらの手段を利用することは困難なことである。従って、本発明は、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを適合するための装置を使用することによって、これらの制限を技術的に解決することを提案するものであり、その方法はフィルムの機能性と固有の特性との両方のフィルムの性質、およびレンズの曲率半径に関係ないものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態においては、本発明は機能性可撓平面フィルムを光学レンズ上に適合させるための装置に関するものであり、該装置は、
−機械的ピストン(2)とプレート(3)とを具備し、該プレート(3)は前記機械的ピストン(2)上に組みつけられた装置(1)と;
−前記モジュール(1)の内部で、決められた高さにおいて前記プレート(3)を阻止することが可能な前記ピストン(2)のための機械的な逆戻り防止装置(6)と;
−前記プレート(3)の上端面に配置され、光学レンズを保持することが可能な手段を具備しているレンズホルダ(7)と;
−前記可撓平面フィルム(30)を保持することが可能なフィルムキャリア(8)であって、前記モジュール(1)の上端部(1a)において前記モジュール上に前記フィルムキャリアを配置および固定させ、前記モジュール(1)の密封した閉鎖を生じさせてロックさせることが可能な保持装置(9)を具備したフィルムキャリア(8)と;
−前記モジュールに垂直に配置されたスタンプ(11)と;
−該スタンプ(11)をサポートシャフト(13)に接続する電気的、空圧的、または機械的な移動手段(12)であって、前記スタンプ(11)の垂直および/または水平方向の移動に制御された効果をもたらすことが可能な移動手段(12)と、を含み、
−前記ピストンは前記モジュール(1)内で軸(y)に沿って垂直に平行移動可能であり;
−前記光学レンズと前記フィルムとの間に等角接触が得られるまで、前記スタンプ(11)、前記可撓平面フィルム(30)および前記光学レンズ(20)の間の接触を構築すること可能とする、事前に設定された順序および自動装置による管理に従って、前記スタンプ(11)、前記ピストン(2)、および前記移動手段(12)が作動することを特徴とする。
【0005】
第2の実施形態においては、本発明は機能性可撓平面フィルムを光学レンズ上に適合させるための装置に関するものであり、該装置は、
−機械的ピストン(2)とプレート(3)とを具備し、該プレート(3)は前記機械的ピストン(2)上に組みつけられたモジュール(1)と;
−前記真空装置(5)が操作されているときに、前記モジュール(1)の内部で決められた高さにおいて前記プレート(3)を阻止することが可能な前記ピストン(2)の機械的な逆戻り防止装置(6)と;
−前記プレート(3)の上端面に配置され、光学レンズを保持することが可能な手段を具備しているレンズホルダ(7)と;
−前記可撓平面フィルム(30)を保持することが可能なフィルムキャリア(8)であって、前記モジュール(1)の上端部(1a)において前記モジュール上に前記フィルムキャリアを配置および固定させ、前記モジュール(1)の閉鎖を生じさせてロックさせることが可能な保持装置(9)を具備したフィルムキャリア(8)と;
−前記モジュールに垂直に配置されたスタンプ(11)と;
−該スタンプ(11)をサポートシャフト(13)に接続する電気的、空圧的、または機械的な移動手段(12)であって、前記スタンプ(11)の垂直および/または水平方向の移動に制御された効果をもたらすことが可能な移動手段(12)と、を含み;
−前記モジュールは、真空チャンバ(4)によって、該真空チャンバ(4)内に真空を形成することが可能な真空装置(5)に接続され;
−前記真空は、空圧効果によって、前記モジュール(1)内で前記機械的ピストン(2)の軸(y)に沿った垂直上方への平行移動を生じさせ;
−前記光学レンズと前記フィルムとの間に等角接触が得られるまで、前記スタンプ(11)、前記可撓平面フィルム(30)および前記光学レンズ(20)の間の接触を構築すること可能とする、事前に設定された順序および自動装置による管理に従って、前記スタンプ(11)、前記真空装置(5)、および前記移動手段(12)が作動することを特徴とする。
【0006】
この第2の態様の実施形態において、レンズがレンズキャリアによって保持されているモジュールは、そのモジュールの真空装置内に真空を形成することが可能な真空手段を具備している。この特別な実施形態におけるこの真空は、レンズキャリアを支持しているピストンの垂直方向の平行移動を誘発することを可能にしている。従って、この形態におけるモジュール内のレンズの垂直方向の平行移動は、そのモジュール内の圧力のバリエーションによって誘発される。本発明の第1の実施形態による適合または形成装置は、方法の点に関しては、同一の結果を達成することが可能である。その手段のみがピストンの平行移動のために利用され、従って、レンズキャリアおよびレンズの移動手段は異なっている。本発明の意義において、機械的ピストンによって、電気的および/または空圧的手段により駆動されたピストンが理解される。第1の実施形態において、移動手段はピストンの一部に統合されており、電気的または機械的制御下に置かれている。第2の実施形態において、これらの手段はピストン自身から離脱され、モジュール内に影響する真空の制御下に置かれている。圧力のバリエーションは、そのピストンの平行移動を誘発することが可能である。この第2の実施形態において、機械的ピストンは空圧的手段によって駆動されている。
【0007】
本発明の背景において、適合装置は、ピストンが誘発された平行移動が連続的で且つ制御下にあるような態様を含んでいる。真空手段を除いたモジュールを使用する第1の実施形態において、ピストンの動作は実質的に位置センサによって制御されており、その位置センサは有利にはピストンのレベルに配置され、自動装置に接続されている。
【0008】
第2の実施形態において、装置は、前記モジュール(1)の前記真空チャンバ(4)内の真空が連続的であり、自動装置に接続された圧縮力センサまたは圧縮力ゲージによって制御されているような態様を含んでいる。
【0009】
その2種類の態様の装置は、付加的にアダプタベース(10)をさらに含み、該アダプタベース(10)は、
−下端部(1b)においてモジュール固定手段(1)と、
−前記アダプタベース(10)上に前記モジュール(1)の(x軸に沿った)水平移動可能にする機械的手段と、を含み、
前記アダプタベース(10)は位置センサに接続され、該位置センサは軸(y)に沿って相対位置を制御することが可能、またはスタンプ(11)に対してモジュール(1)を制御することが可能である。
【0010】
このタイプの装置は、水平面にレンズを具備したモジュールを移動させ、従って、同一の装置においていくつかの操作を結合させることが可能である。
【0011】
本発明による装置が使用している、工程に影響を与える可能性がある全てのパラメータを制御することを可能にするために、適合装置は、スタンプ(11)の電気的、空圧的および/または機械的平行移動の手段(12)を制御することを可能とするための力センサおよび/または位置センサを有利に具備している。
【0012】
閉鎖されたモジュール内のピストンおよびスタンプの動作の結合は、力センサおよび/または位置センサを備えた自動装置が存在する効力によって顕著にプログラムされ且つ順番に制御されており、能力が再生可能な機能性可撓平面フィルムを適合するための装置を得ることを可能にしている。この再生可能性はレンズサポートを介したスタンプとピストンとによって、結合されてかけられた力を制御することによるものである。光学レンズと可撓平面フィルムとの間の等角接触の品質は、前記プログラムされたことおよび順番に制御されたことによって保証されている。この順序は以下の3つのステップを特徴としている。
−スタンプを下降させてフィルムと接触させ、圧縮力の閾値P1(または位置の閾値Z1)に上げて、平面フィルムを成型するこの第1のステップ。
−光学レンズとフィルムとの間の等角接触を、垂直方向に平行移動することによって開始し、レンズキャリアを使用してレンズを支持したピストン上に押し付けるステップ。
−レンズおよび/またはフィルム上に圧縮力P2をかけた(または位置の閾値A2に到達した)装置によって、レンズとフィルムとの間の等角接触を広げ、かつ構築させるステップ。
【0013】
圧縮力P1または位置の閾値Z1は、フィルムを適合させることを可能にしている。圧縮力P2または位置の閾値Z2は、フィルムと光学レンズとの間の最適な組み付けを確実にしている。
【0014】
従って、第1の実施形態の場合において、装置は機械的ピストンを備え、フィルムと光学レンズとの間の等角接触の開始は、ピストンに統合された電気的または空圧的手段の動作によって得られる;等角接触の広がりは、ピストンにかけられた力を維持することによって得られ、垂直上方への平行移動、およびそれに付随した、スタンプによってフィルムにかけられた圧縮力P1を維持することを可能にしている。フィルムとレンズとの間に圧縮力を適用することを終了することは、目標の圧縮力P2が、ピストンの下降位置においてスタンプを維持する圧縮力P1の、およびピストンによってレンズにかけられた力の結果となる。
【0015】
第2の実施形態におけるこの装置は真空装置を具備したモジュールを備え、光学レンズとフィルムとの間の等角接触の開始は、真空チャンバ内に真空を形成することによって得られる;この真空はレンズキャリアとレンズとを坦持するプレートの垂直上方への平行移動を伴う;レンズとフィルムとの間の等角接触の広がりは、圧縮力P2を負荷することによって得られ、その圧縮力はフィルム−レンズアセンブリ上のスタンプの垂直下方への平行移動によるものである。
【0016】
従って、本発明による装置を使用してこれら3つのステップを実行することは、擬似球面の光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムをモールド成型、転写、または接着することを可能にしている。モールド成型、転写または接着の工程において、本発明による装置を実施することは、機能化された光学レンズを得ることを可能にしている。その機能性は、光学的、構造的、物理的、または生理化学的特性である。従って、その光学レンズに適用された機能性は共通の変形を除いた初期特性に最も近い特性を示している。上述のタイプの装置を使用して、光学レンズに機能性可撓平坦フィルムをモールド成型、転写または接着する工程は、本発明の一部に統合される。装置において実行される手段の効果によって可能とされるこれらの3つのステップは、第1および第2の両方の実施形態において、擬似球面形状に平面形状を適合させるために、フィルムの伸びを誘発する変形を制御することを可能にしている。その変形の制御は本発明の背景において、すなわちフィルムの支持が眼科用レンズである場合に重要なパラメータであり、なぜならば、これらのことは光学レンズの最終目的および/または美容効果のバリエーションを引き起こすからである。
【0017】
本発明による装置は、周囲温度においてフィルムの適合を実現することを可能にしており、その利点は経済性に関して無視できないものである。さらに、このことは加熱または照射に敏感な機能性を備えたフィルムと共に機能することを予想することが可能である。与えられたフィルムに関して、周囲温度における適合は、フィルムに適用されなければならない光学レンズの曲率半径が大きい(好適には100mmよりも大きい)場合に、なおさら応用される。フィルムがより大きい可撓性を備えている場合に、周囲温度における適合がより容易であるということは、当業者にも理解されるであろう。
【0018】
2番目の利益は、スタンプによってフィルムを予備変形することは、結果として光学レンズとの間の等角接触を確実にすることが、単一のユニットにおいてそのまま実行されることを可能にしている。フィルムの成型は、フィルムの中心近傍で、フィルム(30)と光学レンズ(20)との間の接触を開始することを可能にしている。この中心の接触は、フィルムの中心から等角接触が径方向に始まり、同様にフィルムのかなりの部分の変形をフィルムの周囲に伝達することを確実にしている。位置センサに接続されたスタンプの使用は、フィルムと光学レンズとの間の接触を開始する高さを制御することも可能にしている。
【0019】
真空手段を具備したモジュールの使用は特に有利であり、なぜならば、フィルムとレンズとが接触しているときに真空チャンバ内に形成されている真空は、レンズとフィルムとの間に形成される可能性のある気泡を除去することが可能であり、その気泡は、早期に積層されたコーティングまたは接着材料の液状の層の中に含まれているものである。これらの泡は、フィルムとレンズとの間の接触部において欠陥が存在する原因となり、結果として機能化された光学レンズにおける外観的および機能的欠陥となる。この場合、光学レンズは欠陥が受け入れられない眼科用レンズであり、なぜならば、それらは装着者にとって視覚的な不快感を引き起こす可能性があるからである。従って、本発明の背景において、適合装置の第2の実施形態において、第1の実施形態において使用されたモジュールに真空手段を結合させることは有利なこととなる。ピストンを備えたモジュールが結合し、そのピストンがレンズキャリア、従ってレンズと真空手段との垂直上方への移動する影響と離れることを可能にしているこの実施形態において、フィルム/レンズ界面に発生するであろうあらゆる気泡を除去することを可能にする実施の工程を含んだ装置を得ることを可能にしている。そのような結合において、モジュール内で形成された圧力の変化は、第2の機能のためのみに使用され、すなわち、フィルム/レンズ界面において残存した気泡を除去するためのみに使用されている。
【0020】
フィルムとレンズとの間の等角接触を構築するために、フィルム/レンズアセンブリに圧縮力の閾値P2を超える力をかけたとき、スタンプ(11)がプレート(3)を阻止することが可能な、すなわち垂直下方への平行移動を防止することが可能なピストン(2)の機械的な逆戻り防止装置(6)は、そのプレートの位置を維持することを保証している。
【0021】
移動手段(12)に配置された力センサ(14)はスタンプによってフィルム上にかけられた力を測定し、その後フィルム/レンズアセンブリ上にかけられた力を測定し、自動装置(15)に上方を伝達する。従って、その力センサは軸(y)に沿ってスタンプの位置を制御することが可能である;すなわち、開始位置と相対する高さにおいて、フィルム/レンズの接触が開始し、広がると同時に適合が実施される高さにおいてである。本発明の他の実施形態において、圧縮力P1を検出した力センサは、1つまたは複数の位置センサに任意に置き換えられることが可能であり、その位置センサは位置の閾値Z1を測定し、または1つまたは複数の位置センサと結合されることが可能である。
【0022】
移動手段(12)は電気的、空圧的または機械的なものとすることが可能であり、リフトシリンダ、および電気モータから選択される。好適には、電気的ステップモータを具備している移動手段(12)は、機械的な圧縮力または位置の閾値の最終的な制御が可能であるが、スタンプ(11)、およびスタンプを支持しているロッド(13)の変位速度に適用されている。
【0023】
スタンプ(11)の形状、大きさ、特性および硬度は、処理される光学レンズの擬似球面プロファイルの機能、および擬似球状面の特性を示す実用性の全てのパラメータとして選択される。スタンプに相対する4つのパラメータは、フィルム/レンズ接触のための支持面を形成することを可能にしている。本発明の1つの実施形態において、スタンプは、より大きな変形性を設けられるために、中心が中空状であってもよく、従って、フィルムの全体にわたってより良く接触する。スタンプは、異なった硬さの材料が使用されることが可能であれば、異なった硬さまたはアセンブリの層を含んでいる。スタンプに含まれている単一の材料または複数の材料の硬さは、ショア00スケールの30〜75の間、好適にはショア00スケールの38〜64の間である。
【0024】
本発明の背景において、擬似球状面は連続的な凹面または凸面として形成されており、すなわち、穴またはトラックを欠いている面である。全体的に、光学レンズの少なくとも2つの面は擬似球面状であり、レンズの厚さのバリエーションは屈折力を与えることになっている。無限焦点、一焦点、二焦点、三焦点、および多重焦点の眼科用レンズのすべては、少なくとも1つの擬似球状面を備えている。球状面は擬似球状面の特殊な事例に相当し、2つの直交する方向における、面の曲率半径が等しくなっている。結果として、“擬似球面”という表記は、球面の特殊な場合を含んでいると理解される。
【0025】
自動装置(15)は、フィルム(30)とレンズ(20)との間の等角接触を確実にするために決定されたパラメータを管理し、制御することを可能にしている。この自動装置は、装置が使用されていることを無視することと同じである。適合装置を使用する工程において制御されなければならない固有のパラメータの関数として調整される。これらのパラメータはすなわち以下のものである。
−スタンプ(11)にかけられる圧縮力の閾値P1は1〜200N(ニュートン)の間であり、好適には20〜100Nの間である;使用される制御の手段が力センサの代わりに位置センサである場合、この圧縮力の閾値は位置の閾値Z1に置き換えられても良い。この圧縮力の閾値は、スタンプによってフィルム上にかけられなければならない最適な圧縮力を示しており、光学レンズの擬似球面プロファイルの機能としてフィルムを成型して適合させるためである。P1(またはZ1)は利用する手段によらない、適合装置に共通のパラメータである;
−モジュール(1)の真空チャンバ(4)内に形成された真空は、残存圧力が、30〜800ミリバール(mbar)の間、好適には50〜600mbarの間である。これらの数値は、真空手段を具備した本発明による適合装置の特性であり、その基本機能は、レンズキャリアを支持しているピストンの上方への平行移動を制御するためである;
−保持時間t1は、モジュールの真空チャンバ内に真空が形成されたときから開始し、圧縮力の閾値P2がかけられたときまでに至る;この保持時間t1は0〜20秒の間、好適には1〜8秒の間である。
−レンズキャリアとレンズとを支持している機械的ピストン(2)の、軸(y)に沿った垂直上方への平行移動の速度V0は、0.5〜100mm/secec(ミリメータ毎秒)の間、好適には1〜20mm/secの間である;
−スタンプ(11)の垂直下方への平行移動の速度V1は、0.5〜50mm/secの間、好適には1〜20mm/secの間である。
−圧縮力の閾値P2は、処理される光学レンズの面全体にわたってフィルムの等角接触を最終的に得るための、目標とするアセンブリ圧縮力である。この閾値は20〜800Nの間、好適には50〜300Nの間である。ピストンに使用される制御手段が力センサの代わりに位置センサである場合、この圧縮力の閾値は位置の閾値Z2に置き換えられても良い。
−目標とする圧縮力P2(または目標とする位置Z2)がフィルム/光学レンズ全体で維持される保持時間t2は、0〜120秒の間、好適には1〜10秒の間である;
−光学レンズ(20)とフィルム(30)との等角接触後の、スタンプ(11)の軸(y)に沿った垂直上方への平行移動の速度V2は、0.5〜50mm/secの間、好適には1〜20mm/secの間である。
【0026】
圧縮力の閾値P1およびP2は、真空およびモジュール内のピストンの機械的な移動と同様に、もし必要であれば、動的な態様で使用されても良い。
【0027】
したがって、本発明による装置は、スタンプの単純な変更およびレンズキャリア上での光学レンズの回転によって、同じレンズの2つの面を引き続き処理することが要求される場合には、そのレンズの面の1つの面が一旦処理される。
【0028】
さらに、本発明による適合装置は、熱的または紫外線照射重合ユニット(100)を具備していてもよく、そのユニットは、モールド成型、または熱または紫外線照射の適用によって重合することが可能な接着剤料を使用して、コーティングを重合することが可能である。コーティングまたは接着材料は、フィルムおよび/またはフィルムの内面に等角接触して配置される前の光学レンズ(20)の面に最初に適用される;すなわち、光学レンズと等角接触して配置されなければならない面である。液体、ゲル、固体、またはコーティングまたは接着材料のフィルムの性質に依存して、滴、または層の状態で光学レンズ上および/またはフィルム上に堆積されてもよく、例えばディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、またはダイレクトコーティングのような、当業者に周知の従来の適用方法が使用される。コーティングまたは接着材料の重合層は、レンズとフィルムとの間の等角接触の構築後に施される;すなわち、保持時間t2の後である。ステップは、スタンプとフィルム/レンズ構成との間の接触が開放された後に、モジュール(1)の(x軸に沿った)水平移動によって行われ、その移動はモジュール(1)を坦持しているアダプタベース(10)上に配置された機械的手段の操作によって、重合ユニット(100)に向かって行われる。本発明の実施のこのモードに関して、真空手段を備えたモジュールを具備している適合装置は、有利に使用される。従って、重合サイクルの終了によって、光学レンズとフィルムとの等角接触は、モジュールの真空チャンバ内を一定の真空に維持する効果によって、最適に残存する。
【0029】
この装置において、このようなモジュールの使用は、仮保持装置(モジュール内の真空および戻り防止装置によるピストンの固定)の利用によって、光学レンズとフィルムとのアセンブリを密接にすることを可能にしており、重合操作は、接着材料を使用して機能性フィルムを接着した場合に、そのアセンブリを恒久的なものにすることを可能にしている。フィルムによってもたらされる機能性を転写またはモールド成型する場合、アセンブリは重合操作の結果として中断されるであろう。
【0030】
重合ステップのようなステップを含む適合装置の実施は、光学レンズの機能化の実現の品質を改良することも可能である。実際のところ、コーティングまたは重合可能な接着剤のような接着材料は、紫外線を照射された場合、酸素に敏感であり、光酸化反応の連鎖によって重合の阻害を生じる。このモジュールの使用は、レンズを収容している真空チャンバ内の、低い残留酸素割合において作業することを可能にしており、重合の阻害のこの問題を制限する、または除去することと同等にすることを可能にしている。
【0031】
コーティングまたは溶剤を含む接着材料の熱重合の場合、より均一な重合が観察される。なぜなら、そのモジュールに連続的に接続された真空手段の効果の下で、溶剤の蒸発がよりよく制御されるからである。
【0032】
本発明による適合装置は、フィルム(30)のための移動可能な対流および/または放射加熱ユニット(200)を具備していてもよい;そのユニットは、温度、およびフィルムと加熱ユニットとの間の距離の制御が可能な自動装置によって操作されている。この移動可能な加熱ユニット(200)は適合装置単体と関連付けられており、または重合ユニット(100)と結びついて適合装置と関連付けられている。
【0033】
この実施形態において、加熱ユニットは、フィルムの固有の機械的特性を修正するために、およびフィルムをより変形しやすくするために、機能性可撓平坦フィルムを加熱することを可能にしている。要求される機能として、加熱ユニットは一時的なおよびフィルムの成型の前のみに使用され、または恒久的なものであり、すなわちフィルムの成型のステップからレンズとフィルムとの間の等角接触を構築するステップまで存在している。装置のこの態様は、フィルムが熱形成される影響を受けやすい熱可塑性フィルムである場合に、特に興味深いものである。当業者がフィルムの最適に熱形成を可能にする、周知の放射または対流による加熱のモードは、本発明の背景において使用可能である。
【0034】
従って、本発明は機能性可撓平面フィルムを曲面上に適合させるための装置を具備しており、その装置は、レンズの垂直方向の平行移動が機械的ピストンの動作の下で実現される実施形態、または平行移動が真空の作用の下で実現される実施形態のどちらかを備えており、それぞれの実施形態は、状況に応じて重合ユニットおよび/または加熱ユニットと結合されることが可能である。
【0035】
本発明の他の具体的な特徴および利点は、添付図を参照すると共に、限定的でない典型的な実施形態の以下の記載においてより明確にされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】真空装置を含むモジュール(1)を備えた第1の実施形態による、機能性可撓平面フィルムを適合させるための装置を示している。
【図2】適合装置の詳細を示している:真空装置を備えた適合装置のモジュール(1)である。
【図3】適合装置の詳細を示している:中心において中空なスタンプ(11)とサポートである。
【図4a】圧縮力の閾値P1がスタンプ(11)にかけられ、真空チャンバ(4)内が真空にされた後、等角接触が開始する状態の適合装置の態様を示している。この図の場合、自動装置(15)の制御下でレンズ、フィルム、およびスタンプの形状中心を位置合わせすることで、レンズの形状中心において接触が開始される。
【図4b】スタンプ(11)に圧縮力の閾値P2がかけられた後の適合装置の態様を示している;フィルム(30)と光学レンズ(20)との間の等角接触の広がりおよび構築を示している。
【図5】重合ユニット(100)と結合された適合装置を示している。
【図6a】移動可能な加熱ユニット(200)と結合された適合装置を示している。
【図6b】スタンプ(11)を囲い込むことが可能な移動可能な加熱ユニット(200)と結合された適合装置を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明による装置は、光学レンズの機能化の工程にも使用されてもよい。その光学レンズに導入することを望まれている機能化の要因、および使用される機能性可撓平面フィルムの性質として、この機能化の工程は、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムの接着工程、転写またはモールド成型工程とされることが可能である。前記機能性を備えることが望まれた場合、これらのそれぞれの工程の実行は、光学レンズの表面上の可撓平面フィルム上に存在する機能を、接着、転写またはモールド成型することが可能である。
【0038】
接着の場合、前記機能は内表面上、および/または前記フィルムの外表面上、および/またはそのフィルムの厚みの内部に配置されている。転写またはモールド成型の場合、前記機能はフィルムの内表面上に配置されている。
【0039】
本発明による“フィルムの内表面上”とは、工程の実行後のフィルムの表面が処理された光学レンズの面と等角に接触しているものとして定義される。本発明による“処理される光学レンズの面”とは、機能性の導入が望まれている光学レンズの擬似球状の輪郭面、凹面または凸面として定義される。
【0040】
本発明による“機能性”とは、構造的、光学的、物理的または生理化学的機能として定義される。このタイプの機能性は、光分解または光酸化を防止する機能であってもよく、耐衝撃機能、耐放射線機能、反射防止機能、偏光機能、カラーフィル多機能、調光機能、帯電防止機能、汚染防止機能、ピクセルまたは微細構造によって適用された機能であってもよい。
【0041】
従って、本発明による装置は、マイクロモールディング(micromolding)とも呼ばれる微細構造、および接着と転写とを含んだ貼り合わせを含む2つのメインアプリケーションに関して有効である。
【0042】
光学レンズは古典的に光学および眼科学で使用されている材料から製作されている。情報としては、それに限定されるものではないが、その材料はポリカーボネイト;ポリアミド;ポリサルフォン;ポリエチレンテレフタレートとポリカーボネイトとのコポリマー;ポリオレフィン、すなわちポリノルボルネン;ジエチレングリコール2-アリルカーボネイト(diethylene glycol bis(allylcarbonate))のポリマーおよびコポリマー;メタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、すなわちビスフェノール−Aから生成されたメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー;チオメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー;ウレタンおよびチオウレタンポリマーおよびコポリマー;およびエピサルファイドポリマーおよびコポリマーである。
【0043】
本発明による“光学レンズ”とは、すなわち眼科用レンズおよび光学器具用のレンズとして定義されており、“眼科用レンズ”とは、すなわち眼鏡に組み付けるために適合されたレンズとして定義されている。その眼鏡の機能は、目を保護することおよび/または視界を補正することである。これらのレンズは、無限焦点、一焦点、二焦点、三焦点、および多重焦点レンズから選択される。
【0044】
機能性をサポートするフィルムはプラスチックフィルムであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネイト(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリール(PAR)、ポリビニルアルコール(PVA)、多環オレフィン(PCO)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、およびポリイミド(PI)から選択されているが、このリストに限定されているわけではない。これは単一の単層、若しくは同一または異なった特性を有する複数の層を含んだ、貼り合わされたまたは積層されたフィルムであっても良い。
【0045】
“接着”とは、機能化されたフィルムと処理される光学レンズの表面との間の恒久的な接触を得ることとして定義されており、その恒久的な接触は、前記フィルムと前記レンズとの間の等角接触の構築、およびその後の、2つの構成要素間の密着および付着を完成させるための、状況に応じた重合ステップまたは加熱ステップによって得られる。この接着工程の終了時には、フィルムと光学レンズとを積層することで単一の構成要素を形成している。
【0046】
“転写”とは、機能性の一体転写として定義されており、すなわち、フィルムの内側部分上に存在する材料の、処理される光学レンズの表面への転写であって、この転写工程の終了時には、フィルムはもはや機能性を備えていない。
【0047】
“モールド成型”とは、機能性構造の相補的な刻印を具現化することとして定義されており、機能化された平坦なフィルム上に初期的に存在する機能性構造を処理される光学レンズの表面へ刻印することである。このモールド成型工程の終了時には、フィルムは機能性構造を保有しており、そのフィルムは工程の別のサイクルのために、再度使用されてもよい。
【0048】
“接着材料”とは、2つの面の間で密着を形成し且つ保持することが可能な材料として定義されている。情報としては、それに限定されるわけではないが、接着材料は後述のものであっても良い:エポキシ接着剤、反応性ポリウレタン接着剤、熱硬化性接着剤、ラテックス接着剤、シアノアクリレート接着剤のような重合可能な単量体ベースの接着剤、構造アクリル(structural acrylic)または変性アクリル(modified acrylic)接着剤、“ホットメルト”または熱可溶性接着剤、PVC(塩化ポリビニル)プラスチゾル、エラストマ接着剤、ネオプレン接着剤、ビニルエマルジョンおよびコポリマー接着剤、加圧接着剤(PSA)、水性接着剤である。
【0049】
従って、本発明は適合装置を使用して光学レンズを機能化するための工程を含んでおり、その工程は以下のステップを含んでいる:
a.移動手段(12)の動作の下で、スタンプ(11)と平面フィルム(30)とを接触させ、力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、機械圧縮力を閾値P1に上げるまたは位置の閾値Z1に上げるアプリケーションによって、そのフィルムを成型するステップ;
b.モジュール(1)内のピストン(2)の動作は、速度V0において光学レンズ(20)を垂直上方に平行移動させ、成型されたフィルム(30)と前記レンズとの間の接触を開始するステップ;
c.力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、目標とする圧縮力の閾値P2、または位置の閾値Z2まで、ピストン(2)の上昇によって光学レンズ(20)の垂直上方への平行移動を持続して、処理されるレンズ面とフィルムとの間の等角接触を広げ、かつ構築させるステップ;
d.保持時間t2の間、レンズ/フィルムの等角接触を維持するステップ;
e.スタンプ(11)の垂直上方への平行移動を速度V2にするステップ;
f.ピストンにかけられた圧縮力を遮断するステップ;および
g.モジュールを開放するステップ。
【0050】
本発明は適合装置を使用して光学レンズを機能化するための工程を含んでおり、その装置は真空手段を備えたモジュールを具備し、その工程は以下のステップを含んでいる:
a.移動手段(12)の動作の下で、スタンプ(11)と平面フィルム(30)とを接触状態で配置して、力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、機械圧縮力の閾値P1または位置の閾値Z1に到達するまで前記フィルムを成型するステップ;
b.真空装置(5)を使用した真空チャンバ(4)により真空とされた状態でモジュール(1)を配置し、成型されたフィルム(30)と前記レンズ(20)との間の接触が開始するまで光学レンズを支持しているピストン(2)を垂直上方に平行移動させ、その接触は時間t1の間維持されるステップ;
c.戻り防止装置(6)の作動によって、ピストン(2)の動きを止めるステップ;
d.速度V1でスタンプ(11)を下降させ、力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された目標の圧縮力の閾値P2(または位置の閾値Z2)に上昇させ、処理されるレンズ面とフィルムとの間の等角接触を広げ、かつ構築させるステップ;
e.保持時間t2の間、レンズ/フィルムの等角接触を維持するステップ;
f.速度V2でスタンプ(11)を垂直上方に平行移動させ、レンズとフィルムとの間の等角接触を維持するために、真空チャンバ内に形成された真空を一定に維持するステップ;および
g.真空を停止し、モジュールを開放するステップ。
【0051】
圧縮力の閾値P1または位置の閾値Z1は、スタンプの幾何形状、機能性可撓平面フィルムの熱機械的特性、スタンプの熱機械的特性、処理されるレンズ面の擬似球状輪郭面をパラメータとする関数として形成されることによって定義されている。このパラメータは、球面レンズの場合、光学レンズの曲率半径を減少させることが可能である。閾値P1(または位置の閾値Z1)の設定は、光学レンズに接触する以前に可撓平面フィルムに与えられる変形を決定している。この成型は、処理されるレンズ面とフィルムとの間の空気および気泡の除去を促進する。上述の第1の機能化工程に使用されるモジュールに接続された真空手段の利用は、残存している空気および気泡の除去を促進することにおいて、有益な役割を果たすことが可能である。フィルム成型のこのステップは、処理されるレンズの擬似球状表面が凹状プロファイルを備えている場合に、特に重要となる。
【0052】
目標の圧縮力の閾値P2(または位置の閾値Z2)は、処理されるレンズ面の擬似球状輪郭と同様に、スタンプおよび機能性可撓平面フィルムの熱機械的特性の関数として形成されている。これらのシステムの形成が可能な手段は、当業者に良く知られたものである。目標閾値P2(またはZ2)の設定は、スタンプを介してフィルムにかけられる圧縮力を使用することで、またはスタンプとピストンとを介してフィルムとレンズとに同時にかけられる圧縮力を使用することで、個々に達成されてもよい。このことはレンズの全表面上にフィルムが接触することを確実にし、結果として光学レンズの機能性の品質を保証している。
【0053】
保持時間t2、すなわちスタンプ、フィルムおよび光学レンズが接触している間の時間も、工程において重要なパラメータである。この保持時間は0〜120秒の間であり、好適には1〜10秒の間である。機能化の工程が接着工程である場合に、この保持時間は特に重要である。従って、上述の記載された状態で使用される接着材料の関数として適用される。
【0054】
スタンプの上昇速度(V2)は、スタンプからフィルムが離れる瞬間におけるフィルムの跳ね返り効果を防止するために選択される。分離も戻り防止装置(6)によって制御されてもよく、その戻り防止装置はプレート(3)の垂直下方への平行移動を防止している。プレートは、レンズキャリア(7)と光学レンズ(20)とを支持しており、前記レンズキャリア(7)を保持しているピストン(2)にかけられている力と同様の作用である。
【0055】
上述したように、本発明による装置は熱または紫外線放射重合ユニット(100)を付加的に含んでいる。このタイプの装置は、機能化工程が接着材料を使用する接着工程である場合に、特にその実行に関して興味深いものであり、フィルムと光学レンズとの間の接着および密着は、前記接着材料の熱またはUV重合によって得られる。
【0056】
後者の装置の実施形態も、重合コーティングを使用したモールド成型における実行に関するものである。従って、モールド成型による機能化工程を実行した後、構造的機能性を坦持するフィルムの相補的な刻印は、処理されるレンズ面にそれまでに蓄積されたコーティング上に刻まれていることが見受けられる。処理されるレンズ面にそれまでに蓄積されたコーティングへの重合は、微細構造的に重合されたコーティングを得る結果となり、最終的に光学レンズは微細構造的な機能性を備える。この微細構造的機能性は、特に反射防止機能とすることが可能である。この工程の実行に関して、第2の実施形態による適合装置、すなわちレンズの従来の動きが、真空手段の制御下に置かれている装置を有利に使用する。真空チャンバを介したモジュール内で形成される真空の長所によって、これらの手段は、スタンプの解放後にフィルムとレンズとの間で確立される、非恒久的な接触を維持することが可能であり、恒久的な接触は、フィルムとレンズとの間に存在する材料の、重合ユニット内における重合ステップによって得られる。
【0057】
従って、本発明による機能化工程は、前述の記載による装置を利用した、機能性可撓平面フィルムを光学レンズ上にモールド成型することを現しており、以下のステップを含んでいる:
a)レンズ(20)をモジュール(1)内のレンズキャリア(7)上に配置する。前記レンズは処理される面上にモールド成型されることが可能なコーティングを具備しているステップ;
b)構造的および/または形状的機能性を含んだ可撓平面フィルム(30)をフィルムキャリア(8)内に配置するステップ。前記機能性は、フィルムの内面に備えられている;
c)フィルムキャリア(8)をモジュール(1)内の上端部(1a)に配置し、前記モジュールを閉鎖するステップ;
d)モジュール(1)をスタンプ(11)上に垂直に配置し、個々の形状の中心を前記モジュール(1)のアダプタ接続(10)を含む機械手段の制御下で調整するステップ;
e)目標の圧縮力P2(または位置の閾値Z2)に上昇させることで、処理されるレンズ面とフィルムとの間に等角接触を構築するステップ;
f)フィルム/レンズ構成要素からスタンプを解放するステップ;
g)モジュールを開放するステップ;
h)フィルムおよび光学レンズを解体するステップ。前記レンズは形状的または構造的機能性を含んでおり、それはステップa)で使用された機能性可撓平面フィルムに存在していたものである。
【0058】
モールド成型工程のステップe)に記載された等角接触の構築は、先に記載された機能化工程のステップa)〜d)によってなされ、それは、その装置のピストンの動作は、機械的に制御され、または先に記載された機能化工程のステップa)〜e)によって、適合装置が使用される場合、およびピストンの動作が真空装置の手段によってモジュール内に形成された真空の制御下において適合装置が使用される場合である。
【0059】
光学レンズが紫外線照射または熱処理の下で重合コーティングされるようにモールド成型が可能なコーティングを具備している、モールド成型工程の実行に関して、適合装置が使用されることは本発明によれば好ましいことであり、好ましくは、その装置が、重合ユニット(100)に連結された装置のような真空装置を含んでいるのがよい。
【0060】
後者の場合において、工程のステップはこれら先に記載されたものであるが、ステップf)に続くステップf1)を含んでいる。
f1)重合ユニット(100)に向かってモジュールを水平に平行移動させる。光学レンズとフィルムとの間の等角接触は、モジュールの真空チャンバ内で一定の真空が維持されることによって重合ステップが終了するまで維持されるステップ。
【0061】
本発明の第2の実施形態によると、機能化工程は、上述されたように、装置を使用して光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを転写する工程であると表され、以下のステップを含んでいる:
a)レンズ(20)をモジュール(1)内部のレンズキャリア(7)上に配置するステップ;
b)構造的、形状的、光学的、物理的および/または生理化学的機能性を含んだ可撓平面フィルム(30)を、フィルムキャリア(8)内に配置するステップ。前記機能性はフィルムの内面に形成されている;
c)モジュール(1)の上端部(1a)にフィルムキャリア(8)を配置し、モジュールを閉鎖するステップ;
d)モジュール(1)をスタンプ(11)上に垂直に配置し、個々の形状の中心を前記モジュール(1)のアダプタ接続(10)を含む機械手段の制御下で調整するステップ;
e)目標の圧縮力P2(または位置の閾値Z2)に上昇させることで、処理されるレンズ面とフィルムとの間に適合した接触を構築するステップ;
f)フィルム/レンズ構成要素からスタンプ(11)を解放するステップ;
g)モジュールを開放するステップ;および
h)光学レンズの面上のフィルムを剥がすステップ。前記レンズは形状的、構造的、光学的、物理的および/または生理学的機能性の構成要素を具備しており、それはステップa)で使用された機能性可撓平面フィルムに存在していたものである。
【0062】
モールド成型工程のステップe)に記載された等角接触の構築は、先に記載された機能化工程のステップa)〜e)によってなされ、それは、その装置のピストンの動作は、機械的に制御され、または先に記載された機能化工程のステップa)〜e)によって、適合装置が使用される場合、およびピストンの動作が真空装置の手段によってモジュール内に形成された真空の制御下において適合装置が使用される場合である。
【0063】
第3の実施形態によると、本発明は、機能性可撓平面フィルムを、第1の実施形態で記載された装置を使用してレンズ上に接着することで機能化する工程を含んでおり、前記工程は以下のステップを含んでいる:
a)接着材料をフィルム(30)の内面および/または光学レンズ(20)の処理される面上に置くステップ;
b)レンズ(20)をモジュール内のレンズキャリア(7)上に置くステップ;
c)構造的、光学的、物理的および/または生理化学的機能性を含んだ可撓平面フィルム(30)をフィルムキャリア(8)上に配置するステップ。前記機能性はフィルムの内面および/またはフィルムの外面および/またはフィルムの厚みの内部に形成されている;
d)フィルムキャリア(8)をモジュール(1)の上端部(1a)に配置し、前記モジュールを閉鎖するステップ;
e)モジュール(1)をスタンプ(11)上に垂直に配置して、前記モジュール(1)のアダプタベース(10)に含まれている機械手段の制御下に置くステップ;
f)目標の圧縮力P2(または位置の閾値Z2)に上昇させることで、処理されるレンズ面とフィルムとの間に等角接触を構築するステップ;
g)フィルム/レンズ構成要素からスタンプ(11)を解放するステップ;
h)モジュールを開放するステップ;
【0064】
モールド成型工程のステップe)に記載された等角接触の構築は、先に記載された機能化工程のステップa)〜d)によってなされ、それは、その装置のピストンの動作は、機械的に制御され、または先に記載された機能化工程のステップa)〜e)によって、適合装置が使用される場合、およびピストンの動作が真空装置の手段によってモジュール内に形成された真空の制御下において適合装置が使用される場合である。
【0065】
光学レンズ上に機能性を接着する工程に関連して、この工程を実行するための本発明による適合装置は、使用される接着材料の要素として選択される。
【0066】
従って、接着材料が紫外線照射の効果の下で重合する接着剤の、熱的に重合可能な接着剤である場合、接着工程のために使用される装置は、少なくとも1つの重合ユニット(100)を具備している。この実施形態において、接着工程は、UV照射または加熱の効果によって重合可能な接着材料を置くステップa)と共にこれまでに記載された全てのステップ、およびステップg)の後の前述の補完的なステップf1)を含む。好ましくは、この場合において、適合装置が使用され、その装置はピストンを具備し、そのピストンの平行移動は真空装置の制御下にあるのがよく、それはフィルム/接着剤/レンズの間のスタンプから離れた後の一時的な接触を維持するためである。この利用の観点において、モジュール内の真空は接着材料の重合サイクルの終了に一致して維持されており、レンズとフィルムとの間の一時的な接触の保証が得られているということが理解される。
【0067】
接着材料が溶融可能な(ホットメルト)接着剤である場合、使用される装置は少なくとも1つの取り外し可能な加熱ユニット(200)を具備している。
【0068】
接着材料が加圧により接着する接着剤(PSA)である場合、適合装置はピストンを含み、そのピストンの平行移動が機械手段の制御下にあるような装置が適しているであろう。後者の場合、使用されるPSAの化学特性の関数として制御される保持時間t2の間。フィルムと光学レンズとの間の等角接触を維持しようとする。このタイプの接着材料と共に、一時的な接触は早急に得られ、スタンプの解放後にフィルムとレンズとの間の接触を最終的に可能にするための、真空手段の使用は、もはや必要なくなる。
【0069】
本発明によると、加圧により接着する接着剤またはPSA(加圧により接着する接着)の利用は特に有利であり、なぜならば、基本的な光学要素の表面上にフィルムを貼り付ける装置を安価にすることを促進し、その一方で光学要素の光屈折特性を維持するからである。
【0070】
実際のところ、全てのPSAは共通の一時的な接着特性(“粘着”または“粘着性”と呼ばれる)を備えており、周囲温度において、一般的には10〜10の低い係数を有している。このタイプの接着材料に含まれる接着のメカニズムが、化学的接着を含んでいるのではなく、PSA材の特殊な粘弾性特性を活かしたものであるということは、特筆すべきことである。それぞれのPSA形成に固有のこれらの特性は、接着剤の界面においてファン・デル・ワールスの静電相互作用を構築することを可能にしている。これは、PSAが加圧装置と共に固体材料と接触状態とされるときに形成されるものであり、圧縮力がかけられ、PSA材の低い係数が、接着される材料のトポロジーと共に、分子レベルでPSAの密接な接触を確実にすることを可能にしている。一方で、PSAの体積の粘弾性特性は、接着界面の機械的応力によってもたらされたエネルギーを、接着層の厚さの内部で消費することを可能としており、従って、剥離のメカニズムに抵抗することを可能にしている。
【0071】
さらに、厚さが0.5〜300ミクロンの均一な厚さの薄い層状のPSA接着材を積層する可能性は、関連する空間に関わらず、光学レンズの公称能力を変えることを防止することを可能にしている。この態様において、機能性フィルムの接着性は精密に互換性があり、レンズが多重焦点の眼科のレンズである場合、必要なことである。
【0072】
いくつかの加圧により接着する接着剤が使用されても良い。有利には、使用される加圧により接着する接着剤は、ポリアクリル塩酸ベース、スチレンベースコポリマーおよび天然ゴムを含む混合剤の一群から選択される。より具体的には、限定的な例示ではないが、以下に記載されているものでも良い:ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸をベースにした一般的な構成物を具備したPSAs;エチレン−酢酸ビニル、エチレン−酢酸エチル、エチレン−メタクリル酸のようなものをベースにしたエチレンコポリマー;合成ゴムおよびシリコン、ポリウレタン、ブタジエンスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンを含んだエラストマをベースにしたPSAs;ニトリルまたはアクリロニトリルを含んだポリマーをベースにしたPSAs;ポリクロロプレンをベースにしたPSAs;ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエンを含んだブロックコポリマーをベースにしたPSAs;ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドンコポリマー、同様に前述の構成要素または(連続したまたは不連続な相の)混合物、同様に前述の物質を使用して得られたブロックコポリマーをベースにしたPSAである。これらのPSAも、その構成内に1つまたは複数の添加剤を含むことが可能であり、その添加剤は具体的に、接着付与剤、プラスチック被覆剤(plastifiers)、分散剤、および拡散剤の中から選択されても良い。好ましくは、本発明の背景においては、ポリカーボネイトベースのPSAが使用されるのが良い。
【0073】
本発明の最終的な目的は光学レンズの機能化であり、その機能化はこれまでに記載された機能化工程によって得られる。その工程は、本発明の1つの実施形態による、機能性可撓平面フィルムを適合させるための装置を使用することである。より具体的には、機能化された光学レンズは、機能性可撓平面フィルムを接着、転写、またはモールド成型するための工程によって得られ、その工程は、これまでに記載されたように適合装置を使用して光学レンズ上に適合させる。好ましくは、光学レンズは無限焦点、一焦点、二焦点、三焦点、および多重焦点眼科レンズであるのが良い。その機能化は耐UV照射を設けた層、酸素バリアを設けた層、耐摩耗層、衝撃緩衝層、偏光コーティング層、カラーコーティング層、光発色コーティング、反射防止コーティング、静電気防止コーティング、および汚染防止コーティング層から有利に選択される。
【0074】
これら全ての例に関して、真空下に配置された後の残存圧力の大きさは約500mbarであり、スタンプによりかけられる力は、使用されるレンズの曲率およびフィルムの性質によって10〜200N(1〜20kg)の間で変化する。紫外線照射に使用されるランプはHPV100モデル(ヘーンレUV−ドイツ)であり、100W/cmの水銀Hバルブ(mercury H bulb)を備えている。
【0075】
スタンプはシリコーンタンポグラフィースタンプ(テカプリント−フランス)であり、ショア硬度00スケールで38〜54の硬さ、またはショア硬度Aスケールで2〜8の硬さを有している。ショア硬度00スケールはASTMD2240−04標準により指定されている。
【0076】
例1:市販のフィルムを利用した、冷間“UVエンボス加工(モールド成型)”による眼科用レンズの凸面上での反射防止微細構造の実現。ピストンの移動が制御可能な真空装置を備えたモジュールを含む装置の使用。
【0077】
厚さ3μmの市販のアクリルコーティング(SHC3100−LTI)を備えた層は、スピンコーティングによって曲率半径が120mm且つ直径65mmのレンズの凸面上に積層されている。
【0078】
光学レンズ(20)は、モジュール(1)内のレンズキャリア(7)に凸面を上に向けた状態で配置される。モジュールはフィルムキャリア(8)に保持された可撓平面フィルムによってシールされている。柔軟なフィルムはPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、微細構造コーティングを使用してその内面が機能化されている。このフィルムはエンボス加工により得られたものである。このフィルムの総厚さ(PET+(機能化された)微細構造コーティング)は100μmである。
【0079】
スタンプ(11)はシリコン製であり、(下部における曲率半径約43mm、且つショア00スケールで38の硬度の)卵形で中空形状であり、20Nに設定された圧縮力閾値P1よりも高い圧縮力で可撓平面フィルムを予備変形させる。スタンプの下降速度は14mm/secに設定されている。一旦圧縮力閾値P1に到達すると、モジュールの真空チャンバ(4)の真空が(0.5barに)引かれる。その結果、(y軸に沿って)垂直上方に上昇中のピストンは、レンズとフィルムとの間で接触を開始するためにレンズを上昇させる。5秒の保持時間t1がかけられる。
【0080】
スタンプは、フィルム/コーティング/レンズのアセンブリ上で衝突し、圧縮力閾値P2が設定された130Nに到達するまで等角接触を広げる。スタンプの下降速度V1は14mm/secに設定されている。
【0081】
一端圧縮力が閾値P2に到達すると、スタンプは速度14mm/secの速度V2で再度上昇する。保持時間t2は1秒である。異なった圧縮力、速度、および保持時間のパラメータは、自動装置(15)に記録された、プログラムされた順序によって制御され、管理されている。
【0082】
モジュールは、アダプタコネクタ(10)内に配置された機械的な移動手段を実装することで、重合ユニット(100)に向かって移動される。そのユニットはHバルブを備えた市販のヘーンレ製HPV100UVランプを具備している。UVB(280〜320nm)の放射輝度は46mW/cmである。コーティングの重合は1分30秒を越える時間で実行され、またはUV重合は4140mJ/cmでコーティングを実行する。
【0083】
モジュールは初期位置に戻り、モジュール内の真空が開放される。フィルムは光学レンズから剥離される。
【0084】
光学レンズ上で測定された反射率(Rv%)は、すべてのレンズにおいて均一に1.5%である。拡散率は0.2%である。
【0085】
例2:PDMS微細構造複製を利用した、冷間“UVエンボス加工(モールド成型)”による眼科用レンズの凸面上での反射防止微細構造の実現。ピストンの移動が制御可能な真空装置を備えたモジュールを含む装置の使用。
【0086】
厚さ3μmの市販のアクリルコーティング(SHC3100−LTI)を備えた層は、スピンコーティングによって曲率半径が120mm且つ直径65mmのレンズの凸面上に積層されている。
【0087】
光学レンズは、モジュール内のレンズキャリアに凹面を上に向けた状態で配置される。モジュールはフィルムキャリアに保持された可撓平面フィルムによってシールされている。柔軟なフィルムはPDMSフィルムであり、内面に微細構造、UV(シルガード184−ダウコーニング)を備え、厚さは2mmである。このフィルムはショアAスケール50の硬度を有し、破壊までの伸び率は140%である。このフィルムはニッケル製の微細構造マスタをモールド成型して複製することによって得られる。
【0088】
卵形のシリコーンスタンプは(曲率半径約35mm、且つショアAスケールで8の硬度を備えている)、50Nに設定された圧縮力閾値P1まで上昇して、可撓平面フィルムを呼び変形させる。スタンプの下降速度は14mm/secである。一旦圧縮力閾値P1に到達すると、モジュールの真空チャンバの真空が(0.5barに)引かれる。その結果、ピストンは垂直上方に上昇して、光学レンズとフィルムとの間で接触を開始することが可能となる。5秒の保持時間t1がかけられる。
【0089】
スタンプは、フィルム/コーティング/レンズのアセンブリ上で衝突し、圧縮力閾値P2が設定された100Nに到達するまで等角接触を広げる。スタンプの下降速度V1は1mm/secに設定されている。
【0090】
一端圧縮力が閾値P2に到達すると、スタンプは速度7mm/secの速度V2で再度上昇する。保持時間t2は1秒である。異なった圧縮力、速度、および保持時間のパラメータは、自動装置(15)に記録された、プログラムされた順序によって制御され、管理されている。
【0091】
モジュールは、アダプタベース内に配置された機械的手段の実装により、十号ユニットに向かって移動される。重合ユニットはHバルブを備えた市販のヘーンレ製HPV100UVランプを具備している。UVB(280〜320nm)の放射輝度は46mW/cmである。コーティングの重合は1分30秒を越える時間で実行され、またはUV重合は4140mJ/cmでコーティングを実行する。
【0092】
モジュールは初期位置に戻り、モジュール内の真空が開放される。フィルムは光学レンズから剥離される。
【0093】
光学レンズ上で測定された反射率(Rv%)は、すべてのレンズにおいて均一に2%である。拡散率は0.2%である。
【0094】
例3:熱的支援を伴った光学レンズの凸面上へのフィルムの接着。ピストンの移動が制御可能な真空装置を備えたモジュールを含む装置の使用。
【0095】
(凸面の)曲率半径120mm、直径65mmを有する光学レンズ(20)は、モジュール(1)内のレンズキャリア(7)に凸面を上(モジュール(1)の上端(1a))に向けた状態で配置される。モジュールは保持装置(9)によってフィルムキャリア(8)に保持された可撓平面フィルムによってシールされている。柔軟なフィルムは市販のフィルム(ARclear (登録商標) DEV-8796 - Adhesives Research, Inc.)であり、75μmの厚さを有し、25μmの厚さで接着剤(加圧により接着される接着される−PSA)の層をコーティングされたPET製である。
【0096】
移動可能な加熱ユニット(200)はモジュール(1)に配置されている。このユニットは、加熱された空気の対流によって、モジュールをシールしているフィルムの温度を上昇させることが可能である。この形態において、フィルムは160℃の温度まで上昇する。一旦所望の温度に到達すると、加熱ユニットはスタンプが実施されることを可能にするために移動される。
【0097】
卵形のシリコーンスタンプ(11)は(下部における曲率半径約43mm、且つショア00スケールで38の硬度の)中空形状であり、10Nに設定された圧縮力閾値P1よりも高い圧縮力で、加熱された可撓平面フィルムを予備変形させる。スタンプの下降速度は14mm/secに設定されている。一旦圧縮力閾値P1に到達すると、真空装置(5)の稼動によってモジュールの真空チャンバ(4)の真空が(0.5barに)引かれる。結果として、ピストンは垂直上方に上昇し、光学レンズとフィルムとの間の接触の開始が可能になる。
【0098】
スタンプは、フィルム/コーティング/レンズのアセンブリ上で衝突し、圧縮力閾値P2が設定された200Nに到達するまで等角接触を広げる。スタンプの下降速度V1は14mm/secに設定されている。異なった圧縮力、速度、および保持時間のパラメータは、自動装置(15)に記録された、プログラムされた順序によって制御され、管理されている。
【0099】
閾値P2は5秒間の保持時間の間維持される。その後、スタンプは速度14mm/secの速度V2で上昇し、モジュールの真空チャンバ内の真空が開放される。フィルムはレンズに接着されている;そのフィルムはレンズの直径にカットされ、レンズの表面全体にわたって機能化された光学レンズを得ることが可能とされる。
【0100】
例4:熱的支援を伴った光学レンズの凹面上へのフィルムの接着。ピストンの移動が制御可能な真空装置を備えたモジュールを含む装置の使用。
【0101】
本例は第3の実施例と類似しており、(凹面の)曲率半径214mm、直径65mmを有する光学レンズに適用可能である。そのレンズは、モジュール内のレンズキャリアに凹面を上に向けた状態で配置され、凹面上にフィルムの接着の効果が現れるようになっている。使用されるフィルムは第3の実施例で使用されたフィルムと同一である。
【0102】
フィルムを加熱するためのパラメータは、第2の実施例で使用されたものと同一である。
【0103】
使用されるスタンプは卵形で、曲率半径約35mm、且つショアAスケールで8の硬度を有している。
【0104】
接着順序は第3の実施例と同一であり、圧縮力の閾値が異なっており、P1は10N、P2は180Nである。
【0105】
例5:連続的な熱的支援を利用した光学レンズの凸面への偏光フィルムの接着。機械的ピストンを具備した装置の使用。
【0106】
(凸面の)曲率半径133mm、直径65mmを有する光学レンズ(20)は、モジュール(1)内のレンズキャリア(7)に配置される。
【0107】
可撓平面偏光フィルムがフィルムキャリア(8)に配置される。
【0108】
偏光フィルムは市販のフィルムであり、TAC/PVA/TAC−セルロースのトリアセテート/ポリビニルアルコール/セルロースのトリアセテート(TEQ 1465 DU Nitto Denko)からなり、厚さ110μmであって、厚さ20μmの(加圧により硬化する接着層でコーティングされている。
【0109】
移動可能な加熱ユニット(200)はフィルムキャリアに配置されている。このユニットは、加熱された空気の対流によって、偏光フィルムの温度を100℃に上昇させることが可能である。
【0110】
一旦所望の温度に到達すると、フィルムキャリア(8)、偏光フィルム(30)、および加熱ユニット(200)を具備しているアセンブリは、モジュール(1)上に配置され、装置(9)を保持することでふさぐ。従って、モジュール(1)は偏光フィルム(30)によってシールされる。
【0111】
卵形のシリコーンスタンプ(11)は(下部における曲率半径約43mm、且つショア00スケールで54の硬度の)中空形状であり、垂直下方に平行移動し、位置の閾値Z1より上の偏光フィルムに接触し、スタンプによって偏光フィルムを予備変形させる。この閾値Z1は−30mm(フィルムキャリアにおいて、ふさがれたフィルムの中心からの初期の相対位置に対して、軸(y)上で測定された)である。
【0112】
光学レンズとフィルムとの間の等角接触の開始は、機械的ピストン(2)が3mm/secの速度V0でレンズキャリアを運搬するための、垂直上方への平行移動によって行われる。
【0113】
この垂直上方への平行移動は、レンズ/接着剤/フィルムアセンブリ間の等角接触の完了に相当する、位置の閾値Z2へ連続的に上昇する。この閾値Z2は、+10mm(フィルムキャリアにおいて、ふさがれたフィルムの中心からの初期の相対位置に対して、軸(y)上で測定された)である。この閾値Z2は目標とする圧縮力の閾値P2の80Nと一致している。閾値P2は5秒の保持時間t2の間維持される。
【0114】
加熱ユニットが停止される。
【0115】
スタンプ(11)は14mm/secの速度V1で上昇し、その後モジュールが開放される。
【0116】
レンズ上に接着されたフィルムはレンズの直径にカットされ、レンズの表面全体にわたって機能化された光学レンズを得ることが可能とされる。
【0117】
連続的な熱的支援を利用した多重焦点面を備えた光学レンズの凸面への多機能性(HMC)フィルムの接着。機械的ピストンを具備した装置の使用。
【0118】
光学レンズ(20)は、その凸面として多重焦点のバリラックスコンフォート(登録商標)面のベース4.00(base 4.00)を備え、さらに3.50Dおよび65mmの直径を有する。
【0119】
光学レンズはモジュール(1)のレンズキャリア(7)上に配置される。
【0120】
HMCフィルム(30)はフィルムキャリア(8)上に配置される。
【0121】
HMCフィルムはアイセイバー(Eyesaver)によって生産されている市販の多機能性フィルムであり、厚さ80μmのトリアセテートセルロースフィルムを具備している。そのフィルムは、一方の面にハードマルチコート(HMC)スタック(耐擦過性+反射防止処理+汚染防止処理)を備え、かつ他方の面に(加圧により硬化する)接着剤の層を備えている。
【0122】
移動可能な加熱ユニット(200)はフィルムキャリアに配置されている。このユニットは、加熱された空気の対流によって、HMCフィルムの温度を160℃に上昇させることが可能である。
【0123】
一旦所望の温度に到達すると、フィルムキャリア(8)、HMCフィルム(30)、および加熱ユニット(200)を具備しているアセンブリは、モジュール(1)上に配置され、装置(9)を保持することでふさぐ。従って、モジュール(1)はHMCフィルム(30)によってシールされる。
【0124】
卵形のシリコーンスタンプ(11)は(下部における曲率半径約43mm、且つショア00スケールで54の硬度の)中空形状であり、垂直下方に平行移動し、位置の閾値Z1より上のHMCフィルムに接触し、スタンプによってHMCフィルムを予備変形させる。この閾値Z1は−15mm(フィルムキャリアにおいて、ふさがれたフィルムの中心からの初期の相対位置に対して、軸(y)上で測定された)である。
【0125】
光学レンズとフィルムとの間の等角接触の開始は、機械的ピストン(2)が10mm/secの速度V0でレンズキャリアを運搬するための、垂直上方への平行移動によって行われる。
【0126】
この垂直上方への平行移動は、レンズ/接着剤/フィルムアセンブリ間の等角接触の完了に相当する、位置の閾値Z2へ連続的に上昇する。この閾値Z2は、+20mm(フィルムキャリアにおいて、ふさがれたフィルムの中心からの初期の相対位置に対して、軸(y)上で測定された)である。この閾値Z2は目標とする圧縮力の閾値P2の90Nと一致している。
【0127】
目標とする圧縮力の閾値P2は5秒の保持時間t2の間維持される。
【0128】
加熱ユニットが停止される。
【0129】
スタンプは14mm/secの速度V1で上昇し、その後モジュールが開放される。
【0130】
レンズ上に接着されたフィルムはレンズの直径にカットされ、レンズの表面全体にわたって多機能処理(HMC)された光学レンズを得ることが可能とされる。
【符号の説明】
【0131】
1 モジュール
1a 上端部
1b 下端部
2 ピストン
3 プレート
4 真空チャンバ
5 真空装置
7 レンズキャリア
8 フィルムキャリア
10 アダプタベース
11 ピストン
12 移動手段
13 サポートシャフト
14 力/位置センサ
15 自動装置
20 光学レンズ
30 フィルム
100 重合ユニット
200 加熱ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性可撓平面フィルムを光学レンズ上に適合させるための装置を使用して光学レンズを機能化する方法であって、前記装置は、
−機械的ピストン(2)とプレート(3)とを具備し、該プレート(3)が前記機械的ピストン(2)上に組みつけられたモジュール(1)と;
−前記モジュール(1)の内部で、決められた高さにおいて前記プレート(3)を阻止することが可能な前記ピストン(2)のための機械的な逆戻り防止装置(6)と;
−前記プレート(3)の上端面に配置され、光学レンズを保持することが可能な手段を具備しているレンズホルダ(7)と;
−前記可撓平面フィルム(30)を保持することが可能なフィルムキャリア(8)であって、前記モジュール(1)の上端部(1a)において前記モジュール上に前記フィルムキャリアを配置および固定させ、前記モジュール(1)の密封した閉鎖を生じさせてロックさせることが可能な保持装置(9)を具備したフィルムキャリア(8)と;
−前記モジュールに垂直に配置されたスタンプ(11)と;
−該スタンプ(11)をサポートシャフト(13)に接続する電気的、空圧的、または機械的な移動手段(12)であって、力センサおよび/または位置センサ(14)の制御下にあり、前記スタンプ(11)の垂直および/または水平方向の移動に制御された効果をもたらすことが可能な移動手段(12)と、を含み、
−前記ピストンは前記モジュール(1)内で軸(y)に沿って垂直移動可能であり;
−前記光学レンズと前記フィルムとの間に共形接触が得られるまで、前記スタンプ(11)、前記可撓平面フィルム(30)および前記光学レンズ(20)の間の接触を構築することを可能とする、事前に設定された順序および自動装置による管理に従って、前記スタンプ(11)、前記ピストン(2)、および前記移動手段(12)が作動し;
前記移動手段(12)は、前記平面フィルムが前記光学レンズ(20)に接触するようになる前に、先ず、前記スタンプ(11)が前記平面フィルム(30)に接触するように配置され、それにより、前記平面フィルムは、前記力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、閾値P1以下の機械的圧力または閾位置Z1を適用することよって形成され、
該方法は、
a)前記移動手段(12)の動作の下で、前記スタンプ(11)と前記平面フィルム(30)とを接触させ、力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、閾値P1以下の機械的圧力または閾位置Z1を適用することによって、そのフィルムを予備成形するステップ;
b)前記モジュール(1)内の前記ピストン(2)を作動させ、予備成形された前記フィルム(30)と前記レンズとの間の接触が始まるまで、速度V0において前記光学レンズ(20)を上方へ垂直移動するステップ;
c)前記力センサおよび/または前記位置センサ(14)によって制御された、目標とする圧力の閾値P2、または閾位置Z2まで、前記ピストン(2)の上昇によって前記光学レンズ(20)の上方への垂直移動を持続して、処理される前記レンズ面と前記フィルムとの間の前記共形接触を広げ、かつ構築させるステップ;
c)前記力センサおよび/または前記位置センサ(14)によって制御された、目標とする圧力の閾値P2、または閾位置Z2まで、前記ピストン(2)の作動による前記光学レンズ(20)の上方への垂直移動を持続して、処理される前記レンズ面と前記フィルムとの間の前記共形接触に至り、前記共形接触を確立するステップ;
d)保持時間t2の間、前記レンズ/前記フィルムの共形接触を維持するステップ;
e)速度V2で前記スタンプ(11)の上方へ垂直移動するステップ;
f)前記ピストンにかけられた圧力を遮断するステップ;および
g)前記モジュールを開放するステップ、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
機能性可撓平面フィルムを光学レンズ上に適合させるための装置を使用して光学レンズを機能化する方法であって、前記装置は、
−機械的ピストン(2)とプレート(3)とを具備し、該プレート(3)が前記機械的ピストン(2)上に組みつけられたモジュール(1)と;
−前記真空装置(5)が操作されているときに、前記モジュール(1)の内部で、決められた高さにおいて前記プレート(3)を阻止することが可能な前記ピストン(2)の機械的な逆戻り防止装置(6)と;
−前記プレート(3)の上端面に配置され、光学レンズを保持することが可能な手段を具備しているレンズホルダ(7)と;
−前記可撓平面フィルム(30)を保持することが可能なフィルムキャリア(8)であって、前記モジュール(1)の上端部(1a)において前記モジュール上に前記フィルムキャリアを配置および固定させ、前記モジュール(1)の閉鎖を生じさせてロックさせることが可能な保持装置(9)を具備したフィルムキャリア(8)と;
−前記モジュールに垂直に配置されたスタンプ(11)と;
−該スタンプ(11)をサポートシャフト(13)に接続する電気的、空圧的、または機械的な移動手段(12)であって、力センサおよび/または位置センサ(14)の制御下にあり、前記スタンプ(11)の垂直および/または水平方向の移動に制御された効果をもたらすことが可能な移動手段(12)と、を含み;
−前記モジュールは、真空チャンバ(4)によって、該真空チャンバ(4)内に真空を形成することが可能な真空装置(5)に接続され;
−前記真空は、空圧効果によって、前記モジュール(1)内で前記機械的ピストン(2)の軸(y)に沿った上方への垂直移動を生じさせ;
−前記光学レンズと前記フィルムとの間に共形接触が得られるまで、前記スタンプ(11)、前記可撓平面フィルム(30)および前記光学レンズ(20)の間の接触を構築すること可能とする、事前に設定された順序および自動装置による管理に従って、前記スタンプ(11)、前記真空装置(5)、および前記移動手段(12)が作動し;
前記移動手段(12)は、前記平面フィルムが前記光学レンズ(20)に接触するようになる前に、先ず、前記スタンプ(11)が前記平面フィルム(30)に接触するように配置され、それにより、前記平面フィルムは、前記力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、閾値P1以下の機械的圧力または閾位置Z1を適用することよって形成され、
該方法は、
a)前記移動手段(12)の動作の下で、前記スタンプ(11)と前記平面フィルム(30)とを接触状態で配置して、力センサおよび/または位置センサ(14)によって制御された、機械的圧力の閾値P1または閾位置Z1に到達するまで前記フィルムを予備成形するステップ;
b)前記真空装置(5)を使用した前記真空チャンバ(4)により真空とされた状態で前記モジュール(1)を配置し、前記予備成形されたフィルム(30)と前記レンズ(20)との間の接触が開始するまで該光学レンズ(20)を支持している前記ピストン(2)を上方へ垂直移動させ、その接触は時間t1の間維持されるステップ;
c)前記戻り防止装置(6)の作動によって、前記ピストン(2)の動きを止めるステップ;
d)前記力センサおよび/または前記位置センサ(14)によって制御された目標の圧力の閾値P2または閾位置Z2まで速度V1で前記スタンプ(11)を下方へ垂直移動させ、処理される前記レンズ面と前記フィルムとの間の前記共形接触に至り、前記共形接触を確立するステップ;
e)保持時間t2の間、前記レンズ/前記フィルムの前記共形接触を維持するステップ;
f)速度V2で前記スタンプ(11)を上方へ垂直移動させ、前記レンズと前記フィルムとの間の前記共形接触を維持するために、前記真空チャンバ内に形成された真空を一定に維持するステップ;および
g)前記真空を停止し、前記モジュールを開放するステップ、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記圧力の閾値P1は1〜200Nの間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記圧力の閾値P1は20〜100Nの間であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記真空が形成されているときの前記モジュール(1)の前記真空チャンバ(4)内の残存圧力は、30〜800mbarの間であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記残存圧力は50〜600mbarの間であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保持時間t1は0〜20秒の間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記保持時間t1は1〜8秒の間であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スタンプの前記下降速度V1は0.5〜50mm/secの間であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記スタンプの前記下降速度V1は1〜20mm/secの間であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スタンプの前記上昇速度V0は0.5〜100mm/secの間であり、有利には1〜20mm/secの間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記目標の圧力の閾値P2は20〜800Nの間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記目標の圧力の閾値P2は50〜300Nの間であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保持時間t2は0〜120秒の間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記保持時間t2は1〜10秒の間であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スタンプの前記上昇速度V2は0.5〜50mm/secの間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
前記スタンプの上昇速度V2は1〜20mm/secの間であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1または2に記載の方法によって、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムをモールド成型することで機能化する方法において、該方法は、
a)処理される面上にモールド成型されることが可能なコーティングを具備している前記レンズ(20)を、前記モジュール(1)内の前記レンズキャリア(7)上に配置するステップ;
b)フィルムの内面に備えられている構造的および/または形状的機能性を含んだ可撓平面フィルム(30)を前記フィルムキャリア(8)内に配置するステップ;
c)前記フィルムキャリア(8)を前記モジュール(1)内の上端部(1a)に配置し、前記モジュールを閉鎖するステップ;
d)前記モジュール(1)を、前記モジュール(1)の前記アダプタ接続(10)を含む機械的手段の制御下で、それぞれの幾何学的中心を一直線にして前記スタンプ(11)上に垂直に配置するステップ;
e)前記目標の圧力P2または閾位置Z2を達成することによって、前記処理されるレンズ面と前記フィルムとの間に前記共形接触を確立するステップ;
f)前記フィルム/前記レンズ構成要素から前記スタンプを解放するステップ;
g)前記モジュールを開放するステップ;および
h)前記フィルム、およびステップa)で使用された機能性可撓平面フィルムに存在していた形状的または構造的機能性を含んでいる前記光学レンズを解体するステップ、
を含んでいることを特徴とする機能化する方法。
【請求項19】
請求項2に記載の方法と共に請求項18に記載の方法に従ってモールド成型することによって機能化する方法。
【請求項20】
重合性コーティングを具備した光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムをモールド成型するための請求項19に記載のモールド成型することによって機能化する方法において、前記ステップf)に続いて、
f1)重合ユニット(100)に向かってモジュールを水平移動させ、光学レンズとフィルムとの間の共形接触が、モジュールの真空チャンバ内で一定の真空が維持されることによって重合ステップが終了するまで維持されるステップ、
をさらに含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1または2に記載の方法によって、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを転写することによって機能化する方法において、該方法は、
a)前記レンズ(20)を前記モジュール(1)内部の前記レンズキャリア(7)上に配置するステップ;
b)前記フィルムの内面に形成されている、構造的、形状的、光学的、物理的および/または生理化学的機能性を含んだ前記可撓平面フィルム(30)を、前記フィルムキャリア(8)内に配置するステップ;
c)前記モジュール(1)の上端部(1a)に前記フィルムキャリア(8)を配置し、前記モジュールを閉鎖するステップ;
d)前記モジュール(1)を、前記モジュール(1)の前記アダプタ接続(10)を含む機械手段の制御下でそれぞれの幾何学的中心を一直線にして前記スタンプ(11)上に垂直に配置するステップ;
e)前記目標の圧力P2または閾位置Z2を達成することで、処理される前記レンズ面と前記フィルムとの間に前記共形接触を確立するステップ;
f)前記フィルム/前記レンズ構成要素から前記スタンプ(11)を解放するステップ;
g)前記モジュールを開放するステップ;および
h)前記ステップa)で使用された前記機能性可撓平面フィルムに存在し、形状的、構造的、光学的、物理的および/または生理化学的機能性のすべてを具備した、前記光学レンズの面上の前記フィルムを剥がすステップ、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1または2に記載の方法によって、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを接着することで機能化させる方法において、該方法は、
a)接着材料を前記フィルム(30)の内面および/または前記光学レンズ(20)の処理される面上に推積するステップ;
b)レンズ(20)をモジュール内のレンズキャリア(7)上に配置するステップ;
c)前記フィルムの内面および/またはフィルムの外面および/またはフィルムの厚みの内部に形成されている、構造的、光学的、物理的および/または生理化学的機能性を含んだ前記可撓平面フィルム(30)を前記フィルムキャリア(8)上に配置するステップ;
d)前記フィルムキャリア(8)を前記モジュール(1)の上端部(1a)に配置し、前記モジュールを閉鎖するステップ;
e)前記モジュール(1)を前記スタンプ(11)上に垂直に配置して、前記モジュール(1)の前記アダプタベース(10)に含まれている機械手段の制御下に置くステップ;
f)前記目標の圧力P2または閾位置Z2を達成することで、処理される前記レンズ面と前記フィルムとの間に前記共形接触を確立するステップ;
g)前記フィルム/前記レンズ構成要素から前記スタンプ(11)を解放するステップ;および
h)モジュールを開放するステップ、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項2に記載の方法と共に請求項22に記載の方法に従って接着することによる方法。
【請求項24】
前記接着材料が、加熱の効果または紫外線照射の作用の下において重合性接着剤で、光学レンズ上に機能性可撓平面フィルムを接着するための請求項23に記載の方法において、前記ステップf)に続いて、
f1)重合ユニット(100)に向かってモジュールを水平移動させ、光学レンズとフィルムとの間の共形接触が、モジュールの真空チャンバ内で一定の真空が維持されることによって重合ステップが終了するまで維持されるステップ、
をさらに含んでいることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法と共に請求項22に記載の方法に従って接着することによって機能化する方法。
【請求項26】
前記接着材料は加圧することで接着される接着剤であることを特徴とする、請求項25に記載の接着によって機能化する方法。
【請求項27】
請求項1または2に記載の機能化する方法によって得られることを特徴とする、機能化された光学レンズ。
【請求項28】
請求項22に記載の接着ステップによって機能性が得られることを特徴とする、請求項27に記載の光学レンズ。
【請求項29】
加圧することで接着される接着剤(PSA)を使用して接着ステップによって機能性が得られることを特徴とする、請求項28に記載の光学レンズ。
【請求項30】
モールド成型ステップによって機能性が得られることを特徴とする、請求項27に記載の光学レンズ。
【請求項31】
転写ステップによって機能性が得られることを特徴とする、請求項27に記載の光学レンズ。
【請求項32】
無限焦点、一焦点、二焦点、三焦点、および多焦点レンズから選択された眼科用レンズであることを特徴とする、請求項27〜31に記載の光学レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公開番号】特開2012−128458(P2012−128458A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−73270(P2012−73270)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【分割の表示】特願2008−504712(P2008−504712)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(507229319)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック) (37)
【Fターム(参考)】