説明

光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法、及び前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法

【課題】歩留まりを高めるとともに製造コストを下げることが可能な、光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法、及び前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法を提供する。
【解決手段】光学基板を提供する手順と、静電吸着力を備える固体シリコン層を提供する手順と、前記固体シリコン層を静電吸着力を利用して前記光学基板上に設ける手順と、搭載基板を提供する手順と、前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける手順と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法、及び前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法に関し、特に歩留まりを高めるとともに生産コストを低くすることが可能な光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法、及び前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にフレキシブル基板の製造過程においては、ガラス或いはプラスチックからなる搭載基板が、加工或いは運搬の用途に用いられる。従来の技術においては、基板表面にシリコンを塗布しそれをベーキングで乾燥させた後に搭載基板を貼りつけることで、基板に対して複数層構造の製造過程、例えばcolor filter、TFT array或いはtouch sensor等の後続製造過程を行いやすくすることができる。また、搭載基板は、後続製造過程において積載体として使用することができ、製造過程の位置合わせがしやすくなるとともに、光学基板を運ぶ際に割れる問題が生じるのを防ぐことができるという機能がある。
【0003】
図1を参照する。図1は、従来技術のフレキシブル基板の一部の工程を示した説明図であり、複数層構造の貼り合わせと分離を説明している。
【0004】
生産ラインでの加工、及び工場の建物内での輸送をしやすくするために、フレキシブル基板1は、生産或いは組みたてる時に、液体シリコンを塗布し、それをベーキングで乾燥させてシリコン層12を形成する。さらにプラスチック基板13を搭載基板11表面に貼り付けて搭載基板11を積載体とし、続いて複数層構造14の製造過程を行うことが多い。
なお、プラスチック基板13表面の複数層構造は、カラーフィルター(color filter)、TFTアレイ(TFT array)、タッチセンサー(Touch sensor)等を製造するのに用いられる。
【0005】
プラスチック基板13で上述の後製造過程が完成した後、プラスチック基板13と搭載基板11は分離され、その後、プラスチック基板13底部のシリコン層12表面には、シリコン層12にほこりが吸着するのを防ぐために、プラスチックフィルム15が貼り付けられる。
【0006】
しかしながら、上述のシリコン層12は、液体方式で塗布が行われるため、それが使用する有機溶剤の一部の成分によって、ある膜材の霧化(腐蝕)を引き起こしやすい。また、シリコンは、塗布或いはベーキングする時、クリーンルームで作業を行う必要があるだけでなく、ベーキング時の温度は150℃以上に達しないと十分な密着性を達成することはできないため、設備コスト及び生産コストが大幅に増加する。
また、この種の液体シリコンは加熱して乾燥した後、プラスチック基板13と搭載基板11を緊密に貼りつけるため、剥がして分離させる過程において、その他の層が割れてしまう状況が生じる可能性がある。
【0007】
図2、図3、及び図4を参照する。図2は、従来技術のフレキシブル基板の製造方法用の両面テープを示す第一の概略図であり、図3は、従来技術のフレキシブル基板の製造方法用の両面テープを示す第二の概略図であり、図4は、従来技術のフレキシブル基板の製造方法用の両面テープを示す第三の概略図である。
上述の欠点に鑑み、今までに本出願人はフレキシブル基板の製造方法用の両面テープ2を提出した。それは、大部分がポリエチレンテレフタラート(polyethylenet erephthalate、PET)によってなるとともに、第一表面21と第二表面22を備えている。前記第一表面21には減粘着剤210、例えばUV減粘テープが塗布される。前記減粘着剤210は光学基板3を貼り合わせるのに用いられ、前記光学基板3上には後続製造過程構造4が設けられる。前記第二表面22にはシリコン220が塗布され、前記シリコン220は搭載基板5を接合するのに用いられる。以上の構造により、この両面テープが複数層構造の製造過程に応用された時、それ自体が良好な貼着性をもつ。複数層構造を分離する時、紫外光を前記両面テープに照射するだけで、前記第一表面21に位置する減粘着剤の粘性を弱めることができ、簡単に分離する工程を行うことができる。
【0008】
しかしながら、この両面テープは、それに使用されるPET材質が膨張係数が大きい関係上、熱を受けて反り曲がって変形しやすく、後続製造過程の進行に影響を与え、歩留まりが下がってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、歩留まりを高めるとともに製造コストを下げることが可能な、光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法、及び前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、本発明の光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法は、以下の手順からなる。
【0011】
すなわち、本発明の光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法は、光学基板を提供する手順と、靜電吸引力を備える固体シリコン層を提供する手順と、前記固体シリコン層を静電吸着力を利用して前記光学基板上に設ける手順と、搭載基板を提供する手順;前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける手順とからなる。
【0012】
その内、前記固体シリコン層は、ポリシロキサン(polysiloxane)からなる。
【0013】
その内、前記搭載基板の材質はガラス或いはプラスチックである。
【0014】
その内、前記固体シリコン層は、第一表面と、前記第一表面と対向する第二表面とを備え、前記第一表面は、静電吸着力によって前記光学基板に貼り合わせられ、前記第二表面は、静電吸着力によって前記搭載基板に貼り合わせられる。
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明の前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法は、以下の手順からなる。
【0016】
すなわち、本発明の前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法は、光学基板を提供する手順と、静電吸着力を備える固体シリコン層を提供する手順と、固体シリコン層を静電吸着力を利用して光学基板上に設ける手順と、搭載基板を提供する手順と、前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける手順と、前記光学基板上で後続製造過程を行う手順と、前記光学基板と前記搭載基板を前記固体シリコン層から分離させる手順とよりなる。
【0017】
その内、前記固体シリコン層は、ポリシロキサン(polysiloxane)からなる。
【0018】
その内、前記搭載基板の材質はガラス或いはプラスチックである。
【0019】
その内、前記固体シリコン層は、第一表面と、前記第一表面と対向する第二表面とを備え、前記第一表面は、静電吸着力によって前記光学基板に貼り合わせられ、前記第二表面は、静電吸着力によって前記搭載基板に貼り合わせられる。
【0020】
その内、前記後続製造過程の工程は、カラーフィルター(color filter)の設置、TFTアレイ(TFT array)の設置、及びタッチセンサーの設置の内の一つである。
【発明の効果】
【0021】
以上の構造により、本発明の光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法、及び前記方法を使用したフレキシブル基板の製造方法にあっては、液体シリコンを塗布する時にある膜材が霧化する問題を避けることができる。
また、ベーキングでそれを密着させる必要もなく、しいては設置コスト及び生産コストを減少させることができる。
また、両面テープが反り曲がって変形し後續製造過程の進行に影響を与え、歩留まりを下げる問題も避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来技術のフレキシブル基板の一部の工程を示した説明図である。
【図2】従来技術のフレキシブル基板の製造方法用の両面テープを示す第一の概略図である。
【図3】従来技術のフレキシブル基板の製造方法用の両面テープを示す第二の概略図である。
【図4】従来技術のフレキシブル基板の製造方法用の両面テープを示す第三の概略図である。
【図5】本発明による光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法の好ましい実施例のフローチャートである。
【図6】本発明による光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法の好ましい実施例を示した概略図である。
【図7】本発明によるフレキシブル基板の製造方法の好ましい実施例のフローチャートである。
【図8】本発明によるフレキシブル基板の製造方法の好ましい実施例の第一構造を示した概略図である。
【図9】本発明によるフレキシブル基板の製造方法の好ましい実施例の第二構造を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照にしながら本発明について詳細に説明する。
【0024】
図5は、本発明による光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法の好ましい実施例のフローチャートである。
本発明による光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法は、以下の手順からなる。
S11:光学基板を提供する。
S12:静電吸着力を備える固体シリコン層を提供する。
S13:前記固体シリコン層を静電吸着力を利用して前記光学基板上に設ける。
S14:搭載基板を提供する。
S15:前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける。
【0025】
図6も同時に参照して説明する。図6は、本発明による光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法の好ましい実施例を示した概略図である。
【0026】
前記固体シリコン層6は、シロキサンを主体とし、重合作用によって高分子量のポリシロキサンになる。また、前記固体シリコン層6は、第一表面61と、第一表面61と対向する一第二表面62を備える、前記第一表面61は、静電吸着力によって前記光学基板7が貼りあわされ、前記第二表面62は、静電吸着力によって前記搭載基板8が貼りあわされる。前記搭載基板8の材質は、ガラス或いはプラスチックである。
【0027】
前記固体シリコン層6には、静電吸着力によって前記光学基板7と前記搭載基板6が吸着されるため、前記固体シリコン層6に平行な方向に高い吸着力が生じ、この方向の作用力に引っ張られて緩んで外れてしまうことが起きにくい。しかしながら、前記固体シリコン層6に垂直な方向の吸着力は、前記固体シリコン層6に平行な方向の吸着力より小さいため、前記固体シリコン層6を前記光学基板7と前記搭載基板6から剥がすのは簡単で、従来のように剥がして分離させる過程においてその他の積み重ねた層が割れてしまうという事態が生じなくなる。
また、本発明は、固体シリコン層6だけによって光学基板7と搭載基板6を貼り合わせ、従来の複数層構造の両面テープを使用して貼り合わせる必要がないため、両面テープで使用するPET材質が熱を受けて反り曲がって変形しやすいという問題も起こらない。
【0028】
続いて、図7、図8、図9を参照する。図7は、本発明によるフレキシブル基板の製造方法の好ましい実施例のフローチャートである。図8は、本発明によるフレキシブル基板の製造方法の好ましい実施例の第一構造を示した概略図である。図9は、本発明によるフレキシブル基板の製造方法の好ましい実施例の第二構造を示した概略図である。本発明によるフレキシブル基板の製造方法は、以下の手順からなる。
S21:光学基板を提供する。
S22:静電吸着力を備える固体シリコン層を提供する。
S23:前記固体シリコン層を静電吸着力を利用して前記光学基板上に設ける。
S24:搭載基板を提供する。
S25:前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける。
S26:前記光学基板上で後続製造過程を行う。
S27:前記光学基板と前記搭載基板を、前記固体シリコン層から分離させる。
【0029】
本発明のフレキシブル基板の製造方法は、図5に示すような光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法を採用し、前記光学基板7と搭載基板8を貼り合わせた後、さらに前記光学基板7上で後続製造過程を行う。この後続製造過程の工程は、カラーフィルター(color filter)の設置、TFTアレイ(TFT array)の設置、及びタッチセンサーの設置の内の一つである。
【0030】
この後続製造過程を行うことによって、後続製造過程構造9が設けられ、本発明のフレキシブル基板の製造方法が完成する。前記後続製造過程構造9は、カラーフィルター(color filter)、TFTアレイ(TFT array)、タッチセンサー(Touch sensor)等を含むが、これに限定されるものではない。全てのパネル製造過程における、前記搭載基板上に各パネル製造過程の基礎層或いは底層を搭載してその後に後続加工を行うものは、いずれも本明細書の保護範囲とする。
【0031】
上述の内容をまとめると、本発明のフレキシブル基板の製造方法及びその光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法は、固体シリコン層を使用して光学基板とフレキシブル基板を貼り合わせることで、従来の液体シリコンを使用した場合と比較して、クリーンルーム設備やベーキングが必要ないためコストを抑えることができる、という効果がある。また、本発明は、静電吸着力によって貼り合わせるため、剥がすのに便利であり、その他の製造過程で基板が破損してしまうことがなくなる。
【0032】
本発明のフレキシブル基板の製造方法及びその光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法は、単層の固体シリコン層を直接使用して光学基板とフレキシブル基板を貼り合わせることにより、従来のUV減粘性両面テープを使用した場合と比べると、構造が簡単であり、耐熱性が良くないPET基材を使用する必要が無く、また熱を受けて反り曲がって変形することがない、というもう一つの効果がある。
【0033】
以上で述べた内容は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。従って、本発明の主旨と範囲を逸脱しないで行う同じ効果をもつ代替や修正は、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0034】
1 フレキシブル基板
11 搭載基板
12 シリコン層
13 プラスチック基板
14 複数層構造
15 プラスチックフィルム
2 両面テープ
21 第一表面
210 減粘着剤
220 シリコン
22 第二表面
3 光学基板
4 後続製造過程構造
5 搭載基板
6 固体シリコン層
61 第一表面
62 第二表面
7 光学基板
8 搭載基板
9 後続製造過程構造
S11〜S15 工程の手順
S21〜S27 工程の手順

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基板を提供する手順と、
静電吸着力を備える固体シリコン層を提供する手順と、
前記固体シリコン層を静電吸着力を利用して前記光学基板上に設ける手順と、
搭載基板を提供する手順と、
前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける手順と、
からなることを特徴とする、
光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法。
【請求項2】
前記固体シリコン層はポリシロキサン(polysiloxane)からなることを特徴とする、請求項1に記載の光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法。
【請求項3】
前記搭載基板の材質はガラス或いはプラスチックであることを特徴とする、請求項1に記載の光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法。
【請求項4】
前記固体シリコン層は、第一表面と、前記第一表面と対向する第二表面とを備え、前記第一表面は、静電吸着力によって前記光学基板に貼りあわされ、前記第二表面は、静電吸着力によって前記搭載基板に貼りあわされることを特徴とする、請求項1に記載の光学基板と搭載基板を貼り合わせる方法。
【請求項5】
光学基板を提供する手順と、
静電吸着力を備える固体シリコン層を提供する手順と、
前記固体シリコン層を静電吸着力を利用して光学基板上に設ける手順と、
搭載基板を提供する手順と、
前記搭載基板を静電吸着力を利用して前記固体シリコン層上に設ける手順と、
前記光学基板上で後続製造過程を行う手順と、
前記光学基板と前記搭載基板を前記固体シリコン層から分離させる手順と、
からなることを特徴とする、
フレキシブル基板の製造方法。
【請求項6】
前記固体シリコン層はポリシロキサン(polysiloxane)からなることを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項7】
前記搭載基板の材質はガラス或いはプラスチックであることを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項8】
前記固体シリコン層は、第一表面と、前記第一表面と対向する第二表面とを備え、前記第一表面は、静電吸着力によって前記光学基板に貼りあわされ、前記第二表面は、静電吸着力によって前記搭載基板に貼りあわされることを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項9】
前記後続製造過程の工程は、カラーフィルター(Color filter)の設置、TFTアレイ(TFT array)の設置、又はタッチセンサーの設置の内のいずれか一つであることを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−91369(P2012−91369A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239481(P2010−239481)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(508344501)山太士股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】