光学情報読取装置
【課題】 鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる光学情報読取装置を提供する。
【解決手段】 拡散照明器40に近接して、該拡散照明器40からの光を拡散させる裁頭円錐形状の上部44Aを備える散光板44を設ける。拡散板44の上端開口44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置し、対象物R上に写った拡散照明器40の像が結像レンズ27へ入射するのを防止する。このため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【解決手段】 拡散照明器40に近接して、該拡散照明器40からの光を拡散させる裁頭円錐形状の上部44Aを備える散光板44を設ける。拡散板44の上端開口44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置し、対象物R上に写った拡散照明器40の像が結像レンズ27へ入射するのを防止する。このため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等の一次元コード、及び、QRコード(登録商標)等の二次元コードを読み取ることができる光学情報読取装置に関し、特に、ハンディタイプの光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学情報読取装置でバーコードやQRコードを読み取ろうとする際に、照明の角度によりラベル面で照明の像が写り込む正反射(鏡面反射)が生じ、読み取れないことが度々起きる。例えば、セロハン紙で包装された段ボール製の箱にコードが印刷されている場合、セロハン紙で鏡面反射し、コードが読めないことがある。特に、情報コードとしてダイレクトマーキングが、アルミニューム、ガラス等の表面が鏡面状の対象物に刻印されている場合、鏡面反射が生じ易く、読み取りが困難になる。例えば、図11(A)に示すように、画像(視野)Eにリング状の鏡面反射部Mが生じている際には、鏡面反射部MがQRコードQに掛からない場合には読み取りが可能であるが、図11(B)に示すように、リング状の鏡面反射部MがQRコードQに掛かると読み取りが出来なくなる。即ち、鏡面反射部により読取視野が狭くなる。
【0003】
係る鏡面反射に対応するため、特許文献1には、受光センサで画像を取り込み、鏡面反射の有無を判断し、更に、前回と異なる場所の照明を付けて画像を取り込み、2画像を合成する光学情報読取装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−120284号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光学情報読取装置では、画像を合成するために、1回目の画像を取り込んだ後、多くの処理を行い、更に2回目の画像を取り込み、合成処理を行い読み取りを実現している。そのため、読み取り速度は非常に遅くなり、作業者のレスポンスが悪くなる。さらに、一回目に取り込んだ画像で読み取れずに、作業者が光学情報読取装置を情報コードに対して近づけたり、遠ざけたり、傾けたり動かすと、2回目に取り込んだ画像が1回目に取り込んだ画像と大きさが異なり、或いは歪むため、合成出来なくなる。更に、切り換えを可能にするため複数の照明が必要となった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の光学情報読取装置では、読取口18、及び、情報コードを照明する照明手段40を備え、結像レンズ27を通して受光センサ23で撮像された対象物R上の情報コードQの画像により情報コードを読み取る光学情報読取装置10であって:
前記対象物R上に写った前記照明手段40の像が前記結像レンズ27へ入射するのを防止するため、前記照明手段40から前記読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断する遮光手段46を前記読取口18の近傍に設けたことを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の光学情報読取装置では、照明手段から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断する遮光手段を読取口の近傍に設け、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる。
【0008】
請求項2の光学情報読取装置では、照明手段に近接して、該照明手段からの光を拡散させる裁頭円錐形状の散光板を設け、散光板を介して拡散照明で対象物を照明する。ここで、遮光手段を、散光板の裁頭部から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置し、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く拡散照明を行い確実に読み取ることができる。
【0009】
請求項3の光学情報読取装置では、照明手段が複数個の発光ダイオードから成り、該発光ダイオードの内側に、当該複数個の発光ダイオードからの光を拡散させる円筒形状の散光板を設け、散光板を介して明照明で対象物を照明する。ここで、遮光手段を、円筒形状の散光板から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置し、対象物上に写った複数個の発光ダイオードの像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く明照明を行い確実に読み取ることができる。
【0010】
請求項4の光学情報読取装置では、遮光手段が、読取口に取り付けられ、中央に通孔を備え対象物に当接可能に構成された弾性部材より成る緩衝体によって構成される。このため、該緩衝体により、読取口が対象物に直接当たることを防ぎ、読取口、対象物が傷つくことを防止できる。また、該緩衝体を、照明手段から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断する位置に設け、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、遮光手段を別途設けること無く、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる。
【0011】
請求項5の光学情報読取装置では、対象物と当接可能な緩衝体内に、中央の通孔側へ光を照射する照明器を収容してあるため、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物を照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0012】
請求項6の光学情報読取装置では、遮光手段が、読取口の外縁から対象物側へ斜めに傾斜し配置される反射板で構成される。このため、該反射板で、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止すると共に、反射板からの反射光を側方から対象物に当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物を照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0013】
請求項7の光学情報読取装置では、反射板が結像レンズの中心軸に対して、45°〜65°の角度に配置されているため、反射板からの反射光を側方から対象物に当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物を照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。また、対象物に対して読取口を位置合わせが容易な距離に結像レンズの焦点距離を調整することができる。これにより、鮮明な画像を受光センサに結像させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学情報読取装置を2次元コードリーダに適用した第1実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る2次元コードリーダ10の構成概要を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、2次元コードリーダ10の断面図であり、図2は、2次元コードリーダ10の正面図であり、図1のA矢視に相当する。
【0015】
図1に示すように、2次元コードリーダ10は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状をなすハウジング本体11と、このハウジング本体11の下面ほぼ中央後端寄りにハウジング本体11に一体に形成されるグリップ部12と、からなるガンタイプのハウジングを備えている。このグリップ部12は、作業者が片手で把持可能な程度の外径に設定されており、当該グリップ部12を握った作業者の人差し指が当接する部位に、読み取り開始を指示するトリガースイッチ14が設けられている。
【0016】
ハウジング本体11の内部には、後述する回路部20が収容されており、またハウジング本体11の先端部には、カバー30を支持するハウジング開口11aが形成されている。カバー30の先端30Fの内周が読取口18を構成する。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15、電池16や、ハウジング開口11a近傍に配置される受光センサ23、結像レンズ27等が図示されている。
【0017】
回路部20は、主に、拡散照明器40、明照明器42、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、読み取り制御を行う図示しない制御装置と、から構成されており、前述したプリント配線板15に実装あるいはハウジング本体11内に内装されている。
【0018】
受光センサ23は、読取の対象物Rや情報コードQに照射されて反射した反射光を受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を100万個オーダでm行n列の2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能に配置されている。
【0019】
結像レンズ27は、外部から入射する入射光を集光して受光センサ23に像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズにより構成されている。
【0020】
樹脂から成る円筒形状のカバー30は、後端30Eがハウジング開口11aに固定されている。カバー30内には、図2に示すよう複数個のLEDをリング状に配置して成る拡散照明器40と明照明器42とが設けられている。拡散照明器40は、結像レンズ27の近傍に、明照明器42は、カバー30の中央部に配置されている。該拡散照明器40及び明照明器42との内側には、散光板44が配置されている。
【0021】
図3は、光学系の配置位置の説明図である。
散光板44は、上部44Aが、上端開口44Cを備える裁頭円錐形状に形成され、下部44Bが円筒形状に形成されている。散光板44は、表面がしぼ加工された透明樹脂からなり、裁頭円錐形状の上部44Aが、拡散照明器40からの光を拡散し、受光センサ23の光軸27Xに沿って鏡面反射するアルミニュームから成る対象物Rを照明し、対象物Rの表面に刻印により形成されたダイレクトマーキングから成る情報コードQを読み取り可能にする。また、円筒形状の下部44Bが、明照明器42からの光を拡散し、受光センサ23の光軸27Xに斜め側方から対象物Rを照明し、対象物Rの情報コードQを読み取り可能にする。情報コードQでの反射光(拡散光)の内で、結像レンズ27の光軸27Xに平行な成分が結像レンズ27に入射し、受光センサ23で受光される。
【0022】
散光板44の下端開口44Dに当接する位置であって、カバー30の先端30F近傍の内壁には、中央に開口46Aが形成された遮光板46が取り付けられている。散光板44の開口46Aは、読取口18中央部で照明及び受光センサ23の受光を可能にすると共に、該散光板44は、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように配置されている。
【0023】
第1実施形態の2次元コードリーダ10は、拡散照明器40と明照明器42とを自動、又は、手動により点灯を切り換えて照明を行い情報コードの読み取りを行う。ここで、2次元コードリーダ10は、拡散照明器40に近接して、該拡散照明器40からの光を拡散させる裁頭円錐形状の上部44Aを備える散光板44を設け、散光板44を介して拡散照明で対象物Rを照明する。ここで、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置し、対象物R上に写った拡散照明器40の像が結像レンズ27へ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く拡散照明を行い確実に読み取ることができる。
【0024】
第1実施形態の2次元コードリーダ10では、複数個の発光ダイオードから成る明照明器42の内側に、当該明照明器42からの光を拡散させる下部44Bが円筒形状の散光板44を設け、散光板44を介して明照明器42で対象物Rを照明する。ここで、円筒形状の散光板下部44Bから読取口18側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置し、対象物R上に写った明照明器42の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く明照明を行い確実に読み取ることができる。
【0025】
図11(C)は、第1実施形態の2次元コードリーダ10での受光センサ23の画像(視野)Eを示している。第1実施形態では、図11(A)、図11(B)を参照して上述した従来技術と異なり、リング状の鏡面反射部Mが生じないため、視野が狭まらず、視野E内に情報コードが撮像できれば、読み取りが可能である。
【0026】
[第1実施形態の第1改変例]
図4を参照して第1実施形態の第1改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように散光板44を配置した。これに対して、第1実施形態の第1改変例では、円筒形状の散光板下部44Bから読取口18側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置してある。拡散照明器40を消灯し、明照明器42を点灯した際に、対象物R上に写った明照明器42の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く明照明を行い確実に読み取ることができる。
【0027】
[第1実施形態の第2改変例]
図5を参照して第1実施形態の第2改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、散光板44が設けられていた。これに対して、第1実施形態の第2改変例では、散光板44が設けられていない。この第2改変例の構成でも、拡散照明器40から読取口18側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置してある。これにより、対象物R上に写った拡散照明器40及び明照明器42の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0028】
[第2実施形態]
図6を参照して本発明の第2実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、読取口18の近傍に遮光板46を設けた。これに対して、第2実施形態の2次元コードリーダ10では、読取口18を構成するカバー30の先端30Fに、中央の通孔50Aを備え、対象物Rと当接可能な可撓性を備えるドーナッツ状弾性部材から成る緩衝体50が取り付けられている。そして、緩衝体50の通孔50Aは、読取口18中央部で照明及び受光センサ23の受光を可能にすると共に、該緩衝体50は、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように配置されている。
【0029】
第2実施形態の2次元コードリーダ10では、読取口18に取り付けられ、中央に通孔50Aを備え対象物Rに当接可能に構成された緩衝体50によって遮光を行う。このため、該緩衝体50により、読取口18が対象物Rに直接当たることを防ぎ、読取口18、対象物Rが傷つくことを防止できる。また、該緩衝体50を、拡散照明器40から読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断する位置に設け、対象物R上に写った拡散照明器40の像が結像レンズ27へ入射するのを防止するため、遮光板を別途設けること無く、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる。
【0030】
[第2実施形態の改変例]
図7を参照して、第2実施形態の改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。
第2実施形態の改変例では、緩衝体50内に側方を照明する暗視野照明器52が設けられ、通孔50Aを介して該暗視野照明器52により、対象物Rが水平に近い斜め上方からの暗視野照明又はローアングル照明がなされるように構成されている。第2実施形態の改変例では、対象物Rと当接可能な緩衝体50内に、中央の通孔50A側へ光を照射する暗視野照明器52を収容してあるため、側方から照明する暗視野照明器52によって、対象物Rを照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0031】
[第3実施形態]
図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、遮光板46が平板状に形成されていた。これに対して、第3実施形態では、遮光板54が、ロート状(逆裁頭円錐形状)に形成され、遮光板54の内面には、光を反射する反射板56が設けられている。該遮光板54は、受光センサ23の光軸27Xに対してθ(45°〜65°)の角度で傾けられている。また、該遮光板54は、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断する位置に設けられている。また、第3実施形態では、散光板44の下端44Bは、光軸27Xに対して鉛直面状に設けられ、明照明器42からの照明光を拡散する。
【0032】
第3実施形態の2次元コードリーダ10では、読取口18の外縁から斜めに配置される反射板56で遮光を行う。このため、該反射板56で、対象物R上に写った拡散照明器40及び明照明器42の像が結像レンズ27へ入射するのを防止すると共に、反射板56からの反射光を側方から対象物Rに当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物Rを照明し、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0033】
第3実施形態の2次元コードリーダ10では、反射板56が結像レンズ27の中心軸(光軸)27Xに対して、45°〜65°の角度θに配置されているため、反射板56からの反射光を側方から対象物Rに当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物Rを照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。また、対象物Rに対して読取口18を位置合わせが容易な距離に結像レンズ27の焦点距離を調整することができる。これにより、鮮明な画像を受光センサ23に結像させることが可能となる。
【0034】
[第4実施形態]
図9を参照して、本発明の第4実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。図9(A)は、第4実施形態の2次元コードリーダ10の構成の説明図であり、図9(B)は、図9(A)のB矢視図であり、図9(C)は、発光ダイオードの配置位置の説明図である。
第1〜第3実施形態では、ガンタイプの2次元コードリーダ10であった。これに対して、第4実施形態では、本体を把持し、先端が下方を指向するように曲がった首曲がりタイプである。即ち、ハウジング11が、矩形部11Aと、首曲がり部11Bとから成り、読取口18には、ハウジング11の一部を成す遮光部11Cが形成されている。第4実施形態の2次元コードリーダ10では、図9(C)に示すように、遮光部11Cによって、ライン状に配置された発光ダイオード90の対象物への写り込みが防止されている。
【0035】
[第4実施形態の1改変例]
図10を参照して、第4実施形態の第1改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。図10(A)は、ハウジング内に配置される発光ダイオード90の説明図であり、図10(B)は、読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。第4実施形態では、図10(A)に示すように矩形形状に形成されたハウジング11の四隅に発光ダイオード90が置かれ、図10(B)に示すように、遮光部11Cによって、四隅に配置された発光ダイオード90の対象物への写り込みが防止されている。
【0036】
[第4実施形態の2改変例]
図10を参照して、第4実施形態の第2改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。図10(C)は、第4実施形態の第2改変例の読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。第4実施形態の第2改変例においては、読取口18の四隅に、図10(A)を参照して上述した第4実施形態の第1改変例と同様に四隅に設けられた発光ダイオード90の対象物への写り込みを防止する遮光板46が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述した実施形態では、本発明の光学情報読取装置と2次元コードリーダに適用した例を挙げたが、本発明の構成は、2次元コードと共に一次元コードを読み取る光学情報読取装置に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る2次元コードリーダの断面図である。
【図2】第1実施形態の2次元コードリーダの正面図である。
【図3】第1実施形態の2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図4】第1実施形態の第1改変例に係る2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図5】第1実施形態の第2改変例に係る2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図6】第2実施形態の2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図7】第2実施形態の改変例に係る2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図8】第3実施形態の2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図9】図9(A)は、第4実施形態の2次元コードリーダ10の構成の説明図であり、図9(B)は、図9(A)のB矢視図であり、図9(C)は、発光ダイオードの配置位置の説明図である。
【図10】図10(A)は、第4実施形態の第1改変例のハウジング内に配置される発光ダイオード90の説明図であり、図10(B)は、読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。図10(C)は、第4実施形態の第2改変例の読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。
【図11】図11(A)、図11(B)は、従来技術での画像の説明図であり、図11(C)は、第1実施形態の2次元コードリーダでの画像の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10 2次元コードリーダ(光学情報読取装置)
14 トリガースイッチ
18 読取口
23 受光センサ
27 結像レンズ
27X 光軸
30 カバー
40 拡散照明器
42 明照明器
44 散光板
46 遮光板
50 緩衝体
54 遮光板
56 反射板
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等の一次元コード、及び、QRコード(登録商標)等の二次元コードを読み取ることができる光学情報読取装置に関し、特に、ハンディタイプの光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学情報読取装置でバーコードやQRコードを読み取ろうとする際に、照明の角度によりラベル面で照明の像が写り込む正反射(鏡面反射)が生じ、読み取れないことが度々起きる。例えば、セロハン紙で包装された段ボール製の箱にコードが印刷されている場合、セロハン紙で鏡面反射し、コードが読めないことがある。特に、情報コードとしてダイレクトマーキングが、アルミニューム、ガラス等の表面が鏡面状の対象物に刻印されている場合、鏡面反射が生じ易く、読み取りが困難になる。例えば、図11(A)に示すように、画像(視野)Eにリング状の鏡面反射部Mが生じている際には、鏡面反射部MがQRコードQに掛からない場合には読み取りが可能であるが、図11(B)に示すように、リング状の鏡面反射部MがQRコードQに掛かると読み取りが出来なくなる。即ち、鏡面反射部により読取視野が狭くなる。
【0003】
係る鏡面反射に対応するため、特許文献1には、受光センサで画像を取り込み、鏡面反射の有無を判断し、更に、前回と異なる場所の照明を付けて画像を取り込み、2画像を合成する光学情報読取装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−120284号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光学情報読取装置では、画像を合成するために、1回目の画像を取り込んだ後、多くの処理を行い、更に2回目の画像を取り込み、合成処理を行い読み取りを実現している。そのため、読み取り速度は非常に遅くなり、作業者のレスポンスが悪くなる。さらに、一回目に取り込んだ画像で読み取れずに、作業者が光学情報読取装置を情報コードに対して近づけたり、遠ざけたり、傾けたり動かすと、2回目に取り込んだ画像が1回目に取り込んだ画像と大きさが異なり、或いは歪むため、合成出来なくなる。更に、切り換えを可能にするため複数の照明が必要となった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の光学情報読取装置では、読取口18、及び、情報コードを照明する照明手段40を備え、結像レンズ27を通して受光センサ23で撮像された対象物R上の情報コードQの画像により情報コードを読み取る光学情報読取装置10であって:
前記対象物R上に写った前記照明手段40の像が前記結像レンズ27へ入射するのを防止するため、前記照明手段40から前記読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断する遮光手段46を前記読取口18の近傍に設けたことを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の光学情報読取装置では、照明手段から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断する遮光手段を読取口の近傍に設け、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる。
【0008】
請求項2の光学情報読取装置では、照明手段に近接して、該照明手段からの光を拡散させる裁頭円錐形状の散光板を設け、散光板を介して拡散照明で対象物を照明する。ここで、遮光手段を、散光板の裁頭部から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置し、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く拡散照明を行い確実に読み取ることができる。
【0009】
請求項3の光学情報読取装置では、照明手段が複数個の発光ダイオードから成り、該発光ダイオードの内側に、当該複数個の発光ダイオードからの光を拡散させる円筒形状の散光板を設け、散光板を介して明照明で対象物を照明する。ここで、遮光手段を、円筒形状の散光板から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置し、対象物上に写った複数個の発光ダイオードの像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く明照明を行い確実に読み取ることができる。
【0010】
請求項4の光学情報読取装置では、遮光手段が、読取口に取り付けられ、中央に通孔を備え対象物に当接可能に構成された弾性部材より成る緩衝体によって構成される。このため、該緩衝体により、読取口が対象物に直接当たることを防ぎ、読取口、対象物が傷つくことを防止できる。また、該緩衝体を、照明手段から読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断する位置に設け、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、遮光手段を別途設けること無く、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる。
【0011】
請求項5の光学情報読取装置では、対象物と当接可能な緩衝体内に、中央の通孔側へ光を照射する照明器を収容してあるため、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物を照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0012】
請求項6の光学情報読取装置では、遮光手段が、読取口の外縁から対象物側へ斜めに傾斜し配置される反射板で構成される。このため、該反射板で、対象物上に写った照明手段の像が結像レンズへ入射するのを防止すると共に、反射板からの反射光を側方から対象物に当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物を照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0013】
請求項7の光学情報読取装置では、反射板が結像レンズの中心軸に対して、45°〜65°の角度に配置されているため、反射板からの反射光を側方から対象物に当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物を照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。また、対象物に対して読取口を位置合わせが容易な距離に結像レンズの焦点距離を調整することができる。これにより、鮮明な画像を受光センサに結像させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学情報読取装置を2次元コードリーダに適用した第1実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る2次元コードリーダ10の構成概要を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、2次元コードリーダ10の断面図であり、図2は、2次元コードリーダ10の正面図であり、図1のA矢視に相当する。
【0015】
図1に示すように、2次元コードリーダ10は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状をなすハウジング本体11と、このハウジング本体11の下面ほぼ中央後端寄りにハウジング本体11に一体に形成されるグリップ部12と、からなるガンタイプのハウジングを備えている。このグリップ部12は、作業者が片手で把持可能な程度の外径に設定されており、当該グリップ部12を握った作業者の人差し指が当接する部位に、読み取り開始を指示するトリガースイッチ14が設けられている。
【0016】
ハウジング本体11の内部には、後述する回路部20が収容されており、またハウジング本体11の先端部には、カバー30を支持するハウジング開口11aが形成されている。カバー30の先端30Fの内周が読取口18を構成する。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15、電池16や、ハウジング開口11a近傍に配置される受光センサ23、結像レンズ27等が図示されている。
【0017】
回路部20は、主に、拡散照明器40、明照明器42、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、読み取り制御を行う図示しない制御装置と、から構成されており、前述したプリント配線板15に実装あるいはハウジング本体11内に内装されている。
【0018】
受光センサ23は、読取の対象物Rや情報コードQに照射されて反射した反射光を受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を100万個オーダでm行n列の2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能に配置されている。
【0019】
結像レンズ27は、外部から入射する入射光を集光して受光センサ23に像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズにより構成されている。
【0020】
樹脂から成る円筒形状のカバー30は、後端30Eがハウジング開口11aに固定されている。カバー30内には、図2に示すよう複数個のLEDをリング状に配置して成る拡散照明器40と明照明器42とが設けられている。拡散照明器40は、結像レンズ27の近傍に、明照明器42は、カバー30の中央部に配置されている。該拡散照明器40及び明照明器42との内側には、散光板44が配置されている。
【0021】
図3は、光学系の配置位置の説明図である。
散光板44は、上部44Aが、上端開口44Cを備える裁頭円錐形状に形成され、下部44Bが円筒形状に形成されている。散光板44は、表面がしぼ加工された透明樹脂からなり、裁頭円錐形状の上部44Aが、拡散照明器40からの光を拡散し、受光センサ23の光軸27Xに沿って鏡面反射するアルミニュームから成る対象物Rを照明し、対象物Rの表面に刻印により形成されたダイレクトマーキングから成る情報コードQを読み取り可能にする。また、円筒形状の下部44Bが、明照明器42からの光を拡散し、受光センサ23の光軸27Xに斜め側方から対象物Rを照明し、対象物Rの情報コードQを読み取り可能にする。情報コードQでの反射光(拡散光)の内で、結像レンズ27の光軸27Xに平行な成分が結像レンズ27に入射し、受光センサ23で受光される。
【0022】
散光板44の下端開口44Dに当接する位置であって、カバー30の先端30F近傍の内壁には、中央に開口46Aが形成された遮光板46が取り付けられている。散光板44の開口46Aは、読取口18中央部で照明及び受光センサ23の受光を可能にすると共に、該散光板44は、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように配置されている。
【0023】
第1実施形態の2次元コードリーダ10は、拡散照明器40と明照明器42とを自動、又は、手動により点灯を切り換えて照明を行い情報コードの読み取りを行う。ここで、2次元コードリーダ10は、拡散照明器40に近接して、該拡散照明器40からの光を拡散させる裁頭円錐形状の上部44Aを備える散光板44を設け、散光板44を介して拡散照明で対象物Rを照明する。ここで、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置し、対象物R上に写った拡散照明器40の像が結像レンズ27へ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く拡散照明を行い確実に読み取ることができる。
【0024】
第1実施形態の2次元コードリーダ10では、複数個の発光ダイオードから成る明照明器42の内側に、当該明照明器42からの光を拡散させる下部44Bが円筒形状の散光板44を設け、散光板44を介して明照明器42で対象物Rを照明する。ここで、円筒形状の散光板下部44Bから読取口18側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置し、対象物R上に写った明照明器42の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く明照明を行い確実に読み取ることができる。
【0025】
図11(C)は、第1実施形態の2次元コードリーダ10での受光センサ23の画像(視野)Eを示している。第1実施形態では、図11(A)、図11(B)を参照して上述した従来技術と異なり、リング状の鏡面反射部Mが生じないため、視野が狭まらず、視野E内に情報コードが撮像できれば、読み取りが可能である。
【0026】
[第1実施形態の第1改変例]
図4を参照して第1実施形態の第1改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように散光板44を配置した。これに対して、第1実施形態の第1改変例では、円筒形状の散光板下部44Bから読取口18側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置してある。拡散照明器40を消灯し、明照明器42を点灯した際に、対象物R上に写った明照明器42の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く明照明を行い確実に読み取ることができる。
【0027】
[第1実施形態の第2改変例]
図5を参照して第1実施形態の第2改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、散光板44が設けられていた。これに対して、第1実施形態の第2改変例では、散光板44が設けられていない。この第2改変例の構成でも、拡散照明器40から読取口18側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように遮光板46を配置してある。これにより、対象物R上に写った拡散照明器40及び明照明器42の像が結像レンズへ入射するのを防止するため、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングの情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0028】
[第2実施形態]
図6を参照して本発明の第2実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、読取口18の近傍に遮光板46を設けた。これに対して、第2実施形態の2次元コードリーダ10では、読取口18を構成するカバー30の先端30Fに、中央の通孔50Aを備え、対象物Rと当接可能な可撓性を備えるドーナッツ状弾性部材から成る緩衝体50が取り付けられている。そして、緩衝体50の通孔50Aは、読取口18中央部で照明及び受光センサ23の受光を可能にすると共に、該緩衝体50は、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断するように配置されている。
【0029】
第2実施形態の2次元コードリーダ10では、読取口18に取り付けられ、中央に通孔50Aを備え対象物Rに当接可能に構成された緩衝体50によって遮光を行う。このため、該緩衝体50により、読取口18が対象物Rに直接当たることを防ぎ、読取口18、対象物Rが傷つくことを防止できる。また、該緩衝体50を、拡散照明器40から読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断する位置に設け、対象物R上に写った拡散照明器40の像が結像レンズ27へ入射するのを防止するため、遮光板を別途設けること無く、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く照明を行い確実に読み取ることができる。
【0030】
[第2実施形態の改変例]
図7を参照して、第2実施形態の改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。
第2実施形態の改変例では、緩衝体50内に側方を照明する暗視野照明器52が設けられ、通孔50Aを介して該暗視野照明器52により、対象物Rが水平に近い斜め上方からの暗視野照明又はローアングル照明がなされるように構成されている。第2実施形態の改変例では、対象物Rと当接可能な緩衝体50内に、中央の通孔50A側へ光を照射する暗視野照明器52を収容してあるため、側方から照明する暗視野照明器52によって、対象物Rを照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0031】
[第3実施形態]
図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図3を参照して上述した第1実施形態では、遮光板46が平板状に形成されていた。これに対して、第3実施形態では、遮光板54が、ロート状(逆裁頭円錐形状)に形成され、遮光板54の内面には、光を反射する反射板56が設けられている。該遮光板54は、受光センサ23の光軸27Xに対してθ(45°〜65°)の角度で傾けられている。また、該遮光板54は、散光板44の裁頭円錐形状の上端開口(裁頭部)44Cから読取口18側へ垂線48Lを降ろした位置の光を遮断する位置に設けられている。また、第3実施形態では、散光板44の下端44Bは、光軸27Xに対して鉛直面状に設けられ、明照明器42からの照明光を拡散する。
【0032】
第3実施形態の2次元コードリーダ10では、読取口18の外縁から斜めに配置される反射板56で遮光を行う。このため、該反射板56で、対象物R上に写った拡散照明器40及び明照明器42の像が結像レンズ27へ入射するのを防止すると共に、反射板56からの反射光を側方から対象物Rに当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物Rを照明し、鏡面反射する対象物Rの表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。
【0033】
第3実施形態の2次元コードリーダ10では、反射板56が結像レンズ27の中心軸(光軸)27Xに対して、45°〜65°の角度θに配置されているため、反射板56からの反射光を側方から対象物Rに当てることができ、側方から照明する暗視野照明又はローアングル照明によって、対象物Rを照明し、鏡面反射する対象物の表面に設けられたダイレクトマーキングから成る情報コードQを、鏡面反射を起こさせること無く確実に読み取ることができる。また、対象物Rに対して読取口18を位置合わせが容易な距離に結像レンズ27の焦点距離を調整することができる。これにより、鮮明な画像を受光センサ23に結像させることが可能となる。
【0034】
[第4実施形態]
図9を参照して、本発明の第4実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。図9(A)は、第4実施形態の2次元コードリーダ10の構成の説明図であり、図9(B)は、図9(A)のB矢視図であり、図9(C)は、発光ダイオードの配置位置の説明図である。
第1〜第3実施形態では、ガンタイプの2次元コードリーダ10であった。これに対して、第4実施形態では、本体を把持し、先端が下方を指向するように曲がった首曲がりタイプである。即ち、ハウジング11が、矩形部11Aと、首曲がり部11Bとから成り、読取口18には、ハウジング11の一部を成す遮光部11Cが形成されている。第4実施形態の2次元コードリーダ10では、図9(C)に示すように、遮光部11Cによって、ライン状に配置された発光ダイオード90の対象物への写り込みが防止されている。
【0035】
[第4実施形態の1改変例]
図10を参照して、第4実施形態の第1改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。図10(A)は、ハウジング内に配置される発光ダイオード90の説明図であり、図10(B)は、読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。第4実施形態では、図10(A)に示すように矩形形状に形成されたハウジング11の四隅に発光ダイオード90が置かれ、図10(B)に示すように、遮光部11Cによって、四隅に配置された発光ダイオード90の対象物への写り込みが防止されている。
【0036】
[第4実施形態の2改変例]
図10を参照して、第4実施形態の第2改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。図10(C)は、第4実施形態の第2改変例の読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。第4実施形態の第2改変例においては、読取口18の四隅に、図10(A)を参照して上述した第4実施形態の第1改変例と同様に四隅に設けられた発光ダイオード90の対象物への写り込みを防止する遮光板46が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述した実施形態では、本発明の光学情報読取装置と2次元コードリーダに適用した例を挙げたが、本発明の構成は、2次元コードと共に一次元コードを読み取る光学情報読取装置に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る2次元コードリーダの断面図である。
【図2】第1実施形態の2次元コードリーダの正面図である。
【図3】第1実施形態の2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図4】第1実施形態の第1改変例に係る2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図5】第1実施形態の第2改変例に係る2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図6】第2実施形態の2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図7】第2実施形態の改変例に係る2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図8】第3実施形態の2次元コードリーダの光学系の配置位置の説明図である。
【図9】図9(A)は、第4実施形態の2次元コードリーダ10の構成の説明図であり、図9(B)は、図9(A)のB矢視図であり、図9(C)は、発光ダイオードの配置位置の説明図である。
【図10】図10(A)は、第4実施形態の第1改変例のハウジング内に配置される発光ダイオード90の説明図であり、図10(B)は、読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。図10(C)は、第4実施形態の第2改変例の読取口18側から見た2次元コードリーダ10の説明図である。
【図11】図11(A)、図11(B)は、従来技術での画像の説明図であり、図11(C)は、第1実施形態の2次元コードリーダでの画像の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10 2次元コードリーダ(光学情報読取装置)
14 トリガースイッチ
18 読取口
23 受光センサ
27 結像レンズ
27X 光軸
30 カバー
40 拡散照明器
42 明照明器
44 散光板
46 遮光板
50 緩衝体
54 遮光板
56 反射板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取口、及び、情報コードを照明する照明手段を備え、結像レンズを通して受光センサで撮像された対象物上の情報コードの画像により情報コードを読み取る光学情報読取装置であって:
前記対象物上に写った前記照明手段の像が前記結像レンズへ入射するのを防止するため、前記照明手段から前記読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断する遮光手段を前記読取口の近傍に設けたことを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記照明手段に近接し、該照明手段からの光を拡散させる裁頭円錐形状の散光板が設けられ、
前記遮光手段が、前記散光板の裁頭部から前記読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置されていることを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記照明手段が複数個の発光ダイオードから成り、該発光ダイオードの内側に、該照明手段からの光を拡散させる円筒形状の散光板が設けられ、
前記遮光手段が、前記円筒形状の散光板から前記読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置されていることを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記遮光手段が、前記読取口に取り付けられ、中央に通孔を備え前記対象物に当接可能に構成された弾性部材より成る緩衝体によって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の光学情報読取装置。
【請求項5】
前記緩衝体内に、中央の前記通孔側へ光を照射する照明器を収容したことを特徴とする請求項4の光学情報読取装置。
【請求項6】
前記遮光手段が、前記読取口の外縁から斜めに配置される反射板で構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の光学情報読取装置。
【請求項7】
前記反射板が、前記結像レンズの中心軸に対して、45°〜65°の角度に配置されていることを特徴とする請求項6の光学情報読取装置。
【請求項1】
読取口、及び、情報コードを照明する照明手段を備え、結像レンズを通して受光センサで撮像された対象物上の情報コードの画像により情報コードを読み取る光学情報読取装置であって:
前記対象物上に写った前記照明手段の像が前記結像レンズへ入射するのを防止するため、前記照明手段から前記読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断する遮光手段を前記読取口の近傍に設けたことを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記照明手段に近接し、該照明手段からの光を拡散させる裁頭円錐形状の散光板が設けられ、
前記遮光手段が、前記散光板の裁頭部から前記読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置されていることを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記照明手段が複数個の発光ダイオードから成り、該発光ダイオードの内側に、該照明手段からの光を拡散させる円筒形状の散光板が設けられ、
前記遮光手段が、前記円筒形状の散光板から前記読取口側へ垂線を降ろした位置の光を遮断するように配置されていることを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記遮光手段が、前記読取口に取り付けられ、中央に通孔を備え前記対象物に当接可能に構成された弾性部材より成る緩衝体によって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の光学情報読取装置。
【請求項5】
前記緩衝体内に、中央の前記通孔側へ光を照射する照明器を収容したことを特徴とする請求項4の光学情報読取装置。
【請求項6】
前記遮光手段が、前記読取口の外縁から斜めに配置される反射板で構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の光学情報読取装置。
【請求項7】
前記反射板が、前記結像レンズの中心軸に対して、45°〜65°の角度に配置されていることを特徴とする請求項6の光学情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−15634(P2009−15634A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177252(P2007−177252)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]