説明

光学材料用樹脂組成物およびそれから得られる光学材料

【課題】 屈折率1.6付近の中屈折率材料で優れた光学特性を示すエピスルフィド化合物からなる組成物の重合硬化物において、良好な色調、さらに加熱による色調の変化が小さい材料を提供する。
【解決手段】 (a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物100重量部に対して、(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、並びに金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3重量部の存在下、重合硬化して得られる光学材料用樹脂、もしくは(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物100重量部に対して、(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、並びに金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3重量部と、(c)過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3重量部の存在下、重合硬化して得られる光学材料用樹脂により上記課題を解決し、本発明に至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用樹脂組成物、およびそれを用いて得られるプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料に関する。本発明は、中でもプラスチックレンズに好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、中でも眼鏡レンズに特に要求される性能は光学物性が良好なことであり、具体的には屈折率とアッベ数の数値が共に高いことである。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とするため、軽量化を可能にすると同時に見栄えもよくなり、高アッベ数はレンズの色収差の低減となるため、目の負担が減り疲れにくくなる。
しかしながら、一般的に屈折率が上昇するほどアッベ数が低下するため、これまでに両者を同時に向上させる検討が行われている。これらの検討の中で最も優れた方法は、特許文献1に示されるエピスルフィド化合物を使用する方法であり、屈折率1.7かつアッベ数36を達成している。
屈折率が1.7を超える領域ではエピスルフィドの優れた光学特性を活かした光学材料が開発されている。しかしながら、眼鏡レンズとして最も使用されている屈折率1.6付近の中屈折率材料ではこれに相応する材料が開発されておらず、優れた光学特性を保持する材料がなかった。
本願発明者らは、先に屈折率1.6付近の中屈折率材料で優れた光学特性を示すエピスルフィド化合物からなる光学材料を見出し、さらに性能を向上させる組成物に関しても出願した。しかしながら、このようにして得られたレンズ表面へのコートあるいは染色といった加熱操作を含む工程を行なう際、色調変化を起こす場合があった。
したがって、屈折率1.6付近の中屈折率材料で優れた光学特性を示すエピスルフィド化合物からなる組成物において、良好な色調、さらに加熱による色調の変化が小さいことが求められていた。
【0003】
【特許文献1】特許3491660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、屈折率1.6付近の中屈折率材料で優れた光学特性を示すエピスルフィド化合物からなる組成物の重合硬化物において、良好な色調、さらに加熱による色調の変化が小さい材料を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基とβ−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する光学材料用組成物100重量部に対して、(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3重量部の存在下、重合硬化して得られる光学材料用樹脂、もしくは(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基とβ−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する光学材料用組成物100重量部に対して、(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、並びに金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3重量部と、(c)過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3重量部の存在下、重合硬化して得られる光学材料用樹脂により本課題を解決し、本発明に至った。
【0006】
本発明の好ましい態様を以下に示す。
1.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物100重量部に対して、(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、並びに金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3.0重量部の存在下、重合硬化して得られる光学材料用樹脂。
2.(a)化合物を10重量%以上90重量%以下含有する光学材料用組成物を用いる第1項記載の光学材料用樹脂。
3.更に(c)過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3.0重量部の存在下、重合硬化して得られる請求項1又は2記載の光学材料用樹脂。
4.(a)化合物が下記(1)式で表される化合物である、請求項1または2記載の光学材料用樹脂。
【化1】

((1)式中、XはO(CH、S(CH、または(CHを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。)
5. (1) 式の化合物がチオグリシジルメタクリレートである第4項記載の光学材料用樹脂。
6.(b)化合物が三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルである第1項記載の光学材料用樹脂。
7.(c)化合物がtert−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートである第3項記載の光学材料用樹脂。
【発明の効果】
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、屈折率1.6付近の中屈折率材料で優れた光学特性を示すエピスルフィド化合物からなる組成物の重合硬化物において、加熱を含む二次加工において良好な色調を示す光学材料用樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する(a)化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含する。具体的には下記(1)式で示される化合物、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレン、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)スチレン、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルチオ)スチレン、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルオキシ)スチレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも好ましい化合物は(1)式においてnが0、より好ましい化合物は(1)式においてXがO(酸素原子)またはS(硫黄原子)であり、Yがメタクリロイル基又はアリル基である。更に好ましい化合物は、下記構造式で表されるチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)、アリルチオグリシジルエーテル((1)式おいてXがO、Yがアリル基)、チオグリシジルチオメタクリレート((1)式においてXがS、Yがメタクリロイル基)、およびアリルチオグリシジルチオエーテル((1)式においてXがS、Yがアリル基)である。特に好ましい化合物は、チオグリシジルメタクリレートおよびアリルチオグリシジルエーテルであり、最も好ましい化合物はチオグリシジルメタクリレートである。以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
【0009】
本発明の(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含する。
三ハロゲン化ホウ素錯体の具体例としては、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジn−ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素酢酸錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素アンモニア錯体が挙げられる。
有機酸およびそのエステル類としては、スルホン酸、カルボン酸およびそのエステル類が好ましい。その具体例としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、およびそのメチルおよびエチルエステル類が挙げられる。
金属ハロゲン化物の具体例としては、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化チタン、二塩化メチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウムが挙げられる。
以上(b)化合物の具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。好ましい化合物は三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル類である。中でも好ましい化合物は三ハロゲン化ホウ素錯体、スルホン酸およびそのエステル類であり、その具体例は三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルである。特に好ましい化合物は三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体である。
【0010】
本発明の(c)過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含する。
過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ〔4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル〕プロパン等のパーオキシケタール、p−メンタハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−クミルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等のジアルキルパーイキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシネオベンゾエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、等のパーオキシエステル、tert−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0011】
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルシクロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2、4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0012】
以上(c)化合物の具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。好ましくは過酸化物であり、中でも、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートである。より好ましくはtert−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートである。
【0013】
(a)化合物からなる光学材料用組成物100重量部に対して、(b)化合物0.001から3重量部を用いる。好ましくは0.005から2重量部、より好ましくは0.01から1重量部である。
また、(b)化合物と(c)化合物を併用する場合は、(a)化合物からなる光学材料用組成物100重量部に対して、(b)化合物0.001から3重量部、(c)化合物0.001から3重量部を用いる。好ましくは(b)化合物0.005から2重量部、(c)化合物0.005から2重量部、より好ましくは(b)化合物0.01から1重量部、(c)化合物0.01から1重量部である。
【0014】
本発明における(a)化合物を含有する組成物とは、(a)化合物、もしくは(a)化合物と、(a)化合物中のアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と反応可能な官能基を有する化合物、および/または(a)化合物中のβ−エピチオプロピル基と反応可能な官能基を有する化合物からなる組成物である。
【0015】
(a)化合物中のβ−エピチオプロピル基と反応可能な官能基を有する化合物としては、エピチオ基を有する化合物、エポキシ化合物、チオール化合物、アミン化合物、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物が挙げられ、(a)化合物中のアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と反応可能な官能基を有する化合物としては、チオール基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、およびメタアクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
【0016】
エピチオ基を有する化合物としては、下記式(2)で表される鎖状骨格を有する化合物、式(3)で表される環状骨格を有する化合物、式(4)、(5)で表される分岐状骨格を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
【化2】

(式中、M1、M2はそれぞれ独立にO、Sを表す。mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)
【化3】

(式中、M3、M4はそれぞれ独立にO、Sを表す。pは0〜2、qは0〜4、rは0〜2、sは1から4の整数を示す。Aは以下の構造で示される環状骨格を表す。)
【化4】

【化5】

(式中M5〜M10はそれぞれ独立にO、Sを表す。t1〜t3はそれぞれ独立に0〜2、t4〜t6はそれぞれ独立に0〜4、t7〜t9はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
【化6】

(式中L1〜L8はそれぞれ独立にO、Sを表す。ZはSまたはCH2を表す。u1〜t4はそれぞれ独立に0〜2、u5〜t8はそれぞれ独立に0〜4、u9〜u12はそれぞれ独立に0〜2、w1、w2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
【0017】
中でも好ましい化合物は式(2)、(3)で示される化合物であり、さらに好ましい化合物は式(2)においてM1,M2がSである下記(6)式で示される化合物であり、その具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィド、等があげられる。中でも好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドであり、最も好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドである。
【化7】

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)
【0018】
エポキシ化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルホン、ビスフェノールエーテル、ビスフェノールスルフィド、ハロゲン化ビスフェノールA、ノボラック樹脂等の芳香族ヒドロキシ化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるフェノール系エポキシ化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、ネオペンチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物等のアルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、安息香酸、ベンゾイル酢酸、ナフタリンカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデシルカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソテレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘット酸、ナジック酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、トリメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等のカルボン酸化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるグリシジルエステル系エポキシ化合物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、1,2−、1,3−または1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−または1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−または1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−または1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、m−またはp−フェニレンジアミン、2,4−または2,6−トリレンジアミン、m−またはp−キシリレンジアミン、1,5−または2,6−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、エチルヘキシルアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジエチル−1,7−ジアミノヘプタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−または2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ(4−ピペリジル)ブタン等の2級アミンとエピハロヒドリンの縮合により製造されるアミン系エポキシ化合物、シクロヘキセンオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキサイド、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物、スチレンオキシド、シクロペンタジエポキシド、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、ビニルシクロヘキセンエポキシド等の不飽和化合物のエポキシ化により製造されるエポキシ化合物、上述の多価アルコール、フェノール化合物とジイソシアネートおよびグリシドール等から製造されるウレタン系エポキシ化合物、および(a)化合物として例示したチイラン環を有する化合物のチイラン環をエポキシ環に置換した化合物等を挙げることができる。以上エポキシ化合物を例示したが、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても構わない。
【0019】
中でも好ましい化合物は、アルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物、(a)化合物として例示した化合物のチイラン環をエポキシ環に置換した化合物であり、より好ましい化合物はビスフェノール骨格を有するアルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物、好ましい(a)化合物として例示した(1)式のチイラン環をエポキシ環に置換した化合物であり、その具体例はビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アリルグルシジルエーテルである。特に好ましい化合物はビスフェノール骨格を有するアルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物であり、その具体例はビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
【0020】
チオール化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含するが、具体的にはチオフェノール類、チオール類、メルカプトアルコール類、ヒドロキシチオフェノール類等である。
【0021】
チオフェノール類としては、チオフェノール、4−tert−ブチルチオフェノール、2−メチルチオフェノール、3−メチルチオフェノール、4−メチルチオフェノール、o−ジメルカプトベンゼン、m−ジメルカプトベンゼン、p−ジメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン等を挙げることができる。
【0022】
チオール類としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、アリルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、4−クロロベンジルメルカプタン、メチルチオグリコレート、エチルチオグリコレート、n−ブチルチオグリコレート、n−オクチルチオグリコレート、メチル(3−メルカプトプロピオネート)、エチル(3−メルカプトプロピオネート)、3−メトキシブチル(3−メルカプトプロピオネート)、n−ブチル(3−メルカプトプロピオネート)、2−エチルヘキシル(3−メルカプトプロピオネート)、n−オクチル(3−メルカプトプロピオネート)等のモノチオール類、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル1,4−ジメルカプトプロパン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン等の多価チオール類等を挙げることができる。
【0023】
メルカプトアルコール類としては、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、2−フェニル−2−メルカプトエタノール、2−フェニル−2−ヒドロキシエチルメルカプタン、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−1,3−プロパンジオール、2,3−ジメルカプトプロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、グリセリルジチオグリコレート等を挙げることができる。
ヒドロキシチオフェノール類としては、2−ヒドロキシチオフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール等を挙げることができる。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
【0024】
この中で好ましい化合物は多価チオールであり、中でもチオール基が1分子中に2個以上6個以下の化合物が好適である。その具体例としてはビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが挙げられる。さらに最も好ましい化合物の具体例としては、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、および1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンが挙げられる。
【0025】
アミン化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含するが、具体的には1級アミン、1級ポリアミン、2級アミン、2級ポリアミン、3級アミン、3級ポリアミン等である。
【0026】
エチルアミン、n−プロピルアミン、sec−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミスチリルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピルアミン、アミノシクロペンタノン、アミノシクロヘキサン、アミノノルボルネン、アミノメチルシクロヘキサン、アミノベンゼン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、ナフチルアミン等の1級アミン。
【0027】
エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、アミノエチルエタノールアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、o−、m−又はp−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、o−、m−又はp−キシリレンジアミン、ビスアミノメチルノルボルネン、1,5−又は2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジトリルスルホン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、4,4’−チオジアニリン、メチレンビス(o−クロロアニリン)等の1級ポリアミン。
【0028】
ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジナフチルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン等の2級アミン。
【0029】
N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン。
【0030】
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルミン、トリ−1,2−ジメチルプロピルアミン、トリ−3−メトキシプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリドデシルアミン、トリラウリルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N−メチルジヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の3級アミン。
【0031】
テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ジエチルアミノエタノール、N,N,N−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルエミノメチル)フェノール等の3級ポリアミン。
【0032】
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。以上の中で好ましい化合物は1級もしくは2級のアミノ基を1分子中に1個もしくは2個有するアミン化合物である。これらアミン化合物のより好ましい具体例としてはプロピルアミン、アミノシクロヘキサン、アミノノルボルネン、アミノメチルシクロヘキサン、アミノベンゼン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、ナフチルアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、o−、m−又はp−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、o−、m−又はp−キシリレンジアミン、ビスアミノメチルノルボルネン、1,5−又は2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジトリルスルホン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、ジフェニルアミン、メチルベンジルアミン、ジナフチルアミンである。特に好ましい化合物は、プロピルアミン、o−、m−又はp−キシリレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスアミノメチルノルボルネンであり、最も好ましい化合物はプロピルアミン、m−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスアミノメチルノルボルネンである。
【0033】
硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の具体例としては、硫黄、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、チオ炭酸塩、硫酸およびその塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等のハロゲン化物、硫化ホウ素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物、金属水硫化物、セレン、セレン化水素、二酸化セレン、二セレン化炭素、セレン化アンモニウム、二酸化セレン等のセレン酸化物、セレン酸およびその塩、亜セレン酸およびその塩、セレン酸水素塩、セレノ硫酸およびその塩、セレノピロ硫酸およびその塩、四臭化セレン、オキシ塩化セレン等のハロゲン化物、セレノシアン酸塩、セレン化ホウ素、セレン化リン、セレン化砒素、金属セレン化物等が挙げられる。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
これらの中で好ましいものは、硫黄、二硫化炭素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物、金属水硫化物、セレン、二セレン化炭素、セレン化リン、金属セレン化物であり、より好ましいものは硫黄、二硫化炭素、硫化セレン、セレン、二セレン化炭素であり、特に好ましいものは硫黄、二硫化炭素であり、最も好ましいものは硫黄である。
【0034】
ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、およびアリル基の中から選ばれる少なくとも1つの基を1分子中1個以上に有する化合物としては、以下の例が挙げられる。
【0035】
ビニル基を有する化合物の具体例としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、2,4,6−トリメチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ビニルフェノール、ビニルチオフェノール、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、3−ブロモメチルスチレン、4−ブロモメチルスチレン、4−アミノスチレン、3−シアノメチルスチレン、4−シアノメチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、2,2’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジビニルビフェニル、2,2−ビス(4−ビニルフェニル)プロパン、ビス(4−ビニルフェニル)エーテル、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。
【0036】
アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、アリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシエチルシアヌレートモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルシアヌレートジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビス(2,2,2−トリメチロールエチル)エーテルのヘキサアクリレート等のアクリル化合物等が挙げられる。
メタアクリロイル基を有する化合物の具体例としては、上記アクリル化合物で例示した化合物のアクリロイル基の一部もしくは全てをメタクリロイル基に置き換えた化合物が挙げられる。
【0037】
さらに、既知の合成方法により得られる(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
具体的には、ポリイソシアネートとポリオールを先に反応させ(イソシアネート末端とする)、次にヒドロキシ(メタ)アクリレートと反応させて得られる化合物や、ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させ(イソシアネート末端とする)、次にポリオールと反応させて得られる化合物等が挙げられる。好ましい化合物は、2官能ポリイソシアネートと2官能ポリオールを反応させ、次にペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと反応させ得られる化合物である。また反応触媒にはジブチル錫ジラウレート等の公知のウレタン化触媒を使用することができる。
この場合、使用されるヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。好ましいのは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートである。これらヒドロキシ(メタ)アクリレートは単独で用いても又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0038】
ポリイソシアネートとしては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが用いられる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート等の芳香族系や、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いても又は2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリオールとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールが用いられる。具体例としては、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(プロピレンオキサイド)トリオール、コポリ(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールS、スピログリコール、カプロラクトン変性ジオール、カーボネートジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独で用いても又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0039】
なお、これらの多くのものが市販され、容易に入手することができる。具体的には、日本合成化学(株)製の紫光UV−1400B、紫光UV−1700B、紫光UV−6300B、紫光UV−7510B、紫光UV−7600B、紫光UV−7605B、紫光UV−7610B、紫光UV−7620EA、紫光UV−7630B、紫光UV−7640B、根上工業(株)製のアートレジンUN−9000H、アートレジンUN−3320HA、アートレジンUN−3320HC、アートレジンUN−3320HS、アートレジンUN−901T、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU−4HA、NKオリゴU−6HA、NKオリゴU−6LPA、NKオリゴU−15HA、NKオリゴUA−32P、NKオリゴU−324A、NKオリゴU−6H、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL284、EBECRYL8210、EBECRYL8402、EBECRYL9260、荒川化学工業(株)製のビームセット575、東亞合成(株)製のM−313、M−315などが挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、日本合成化学(株)製の紫光UV−7510B、紫光UV−7605B、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL284、EBECRYL8210、EBECRYL8402、東亞合成(株)製のM−313である。
【0040】
アリル基を有する化合物の具体例としては、アリルジグリコールカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルコロレンデート、シアン化アリル、アリルアミン、ジアリルアミン、シアノ酢酸アリル、アリルアルコール、アリルグリコール、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルグリシジルエーテル、セレン化アリルフェニル、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルアルデヒド、1−アリルイミダゾール等が挙げられる。
【0041】
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。以上の中で好ましい化合物は、ビニル基を有する化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、2,4,6−トリメチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンであり、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートであり、アリル基を有する化合物としては、アリルジグリコールカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレートである。より好ましい化合物は、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼンであり、さらに好ましい化合物はスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンであり、最も好ましい化合物はスチレンである。
【0042】
アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する(a)化合物を含有する光学材料用組成物中に含まれる(a)化合物の割合は任意であるが、好ましくは1wt%以上100wt%以下、より好ましくは10wt%以上90wt%以下である。
【0043】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を得る際、周知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。
紫外線吸収剤の好ましい例としてはサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物が挙げられる。中でも好ましい化合物はベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物であり、最も好ましい化合物はベンゾトリアゾール系化合物である。これらは単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。
ブルーイング剤の好ましい例としてはアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの酸化防止剤、紫外線吸収剤およびブルーイング剤の添加量は、通常、光学材料用組成物に対してそれぞれ0.000001〜5重量%である。
【0044】
本発明の光学材料用組成物は重合中に型から剥がれやすい場合は、周知の外部および/または内部密着性改善剤を使用または添加して、得られる硬化物と型の密着性を向上せしめることも可能である。密着性改善剤としては、周知のシランカップリング剤やチタネート化合物類などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物に対して0.0001〜5重量%である。逆に、本発明の光学材料用組成物は重合後に型から剥がれにくい場合は、周知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化物の型からの離型性を向上せしめることも可能である。離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、オキシアルキレン型酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、オキシアルキレン型酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物に対して0.0001〜5重量%である。
【0045】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を製造する方法は、さらに詳しく述べるならば以下の通りである。前述した各組成成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合触媒、ラジカル重合開始剤、密着性改善剤、離型剤などの添加剤を全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても良く、また各原料を段階的に添加混合しても良く、さらに数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。各原料および副原料はいかなる順序で混合してもかまわない。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であれば良い。
【0046】
本発明では光学材料用組成物に対し、あらかじめ脱気処理を行うが、これにより光学材料の高度な透明性が達成される場合がある。脱気処理は、組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。好ましくは、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。処理条件は、0.001〜50torrの減圧下、1分〜24時間、0℃〜100℃で行う。減圧度は、好ましくは0.005〜25torrであり、より好ましくは0.01〜10torrであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分〜18時間であり、より好ましくは10分〜12時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜60℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。脱気処理の際は、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、光学材料用組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。脱気処理により除去される成分は、主に硫化水素等の溶存ガスや低分子量のチオール等の低沸点物等である。さらには、これらの樹脂組成物および/または混合前の各原料を0.05〜10μm程度の孔径を有するフィルターで固形物等を濾過し精製することは本発明の光学材料の品質をさらに高める上からも好ましい。
【0047】
このようにして得られた光学材料用組成物は、ガラスや金属製の型に注入し、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって重合硬化反応を進めた後、型から外し製造される。好ましくは、加熱によって重合硬化する。この場合、硬化時間は0.1〜200時間、通常1〜100時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。重合は所定の重合温度で所定時間保持し、0.1℃〜100℃/時間で昇温し、0.1℃〜100℃/時間で降温およびこれらの組み合わせで行う。また、重合終了後、硬化物を50〜150℃の温度で10分〜5時間程度アニール処理を行う事は、本発明の光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じて染色、ハードコート、耐衝撃性コート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。
【実施例】
【0048】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られたレンズの評価は以下の方法で行った。
光学物性:アタゴ社製アッベ屈折計NAR−4Tを用い、d線での屈折率とアッベ数を25℃で測定した。
色調(YI値):カラーテクノシステム社製分光測色計JS555を用いて、2.5mm厚の平板のYI値(YI)を測定した。
加熱前後の色調変化:初期のYI値をYI、120℃で3時間加熱後の2.5mm厚平板のYI値をYIとし、その差(デルタ)YIを求めた。(デルタ)YI=YI−YIである。
【0049】
実施例1
(a)化合物としてチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基の化合物、(以下TGMAと略))100重量部に(b)化合物として三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体0.1重量部、(c)化合物としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエート0.1重量部を加え室温で攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中で30℃から110℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後70℃程度に降温した後、型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0050】
実施例2〜25
表1に示す組成、触媒を用いて実施例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【表1】

【0051】
表1中の化合物略号
(a)化合物
TGMA:チオグリシジルメタクリレート
ATGE:アリルチオグリシジルエーテル
EPTMS:3−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンと4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンの50/50(重量比)の混合物
(b)化合物
BE :三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体
TFM :トリフルオロメタンスルホン酸メチル
TF :トリフルオロメタンスルホン酸
ZC :塩化亜鉛
(c)化合物
POO :1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
PBND:tert−ブチルパーオキシネオデカノエート
PBO :tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
その他化合物
ST :スチレン
DVB :ジビニルベンゼン
BMES:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
BES :ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド
PETP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
BMA :ベンジルメタクリレート
PGE :フェニルグリシジルエーテル
BPG :2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン
【0052】
比較例1
(a)化合物としてチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基の化合物、(以下TGMAと略))100重量部に、N−メチルイミダゾール0.1重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1重量部を加え室温で攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中で30℃から110℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であったが、色調および色調変化が実施例に比べて著しく劣っていた。光学物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0053】
比較例2〜17
表2に示す組成、触媒を用いて比較例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であったが、色調および色調変化が実施例に比べて著しく劣っていた。光学物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【表2】

【0054】
表2中の化合物略号
(a)化合物
TGMA:チオグリシジルメタクリレート
ATGE:アリルチオグリシジルエーテル
EPTMS:3−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンと4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンの50/50(重量比)の混合物
触媒
MI :N−メチルイミダゾール
TBPB:テトラブチルホスホニウムブロマイド
EBAC:トリエチルベンジルアンモニウムクロライド
TBAC:テトラブチルアンモニウムクロライド
POO :1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
PBND:tert−ブチルパーオキシネオデカノエート
PBO :tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
TBP :トリブチルホスフィン
その他化合物
ST :スチレン
DVB :ジビニルベンゼン
BMES:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
BES :ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド
PETP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
BMA :ベンジルメタクリレート
PGE :フェニルグリシジルエーテル
BPG :2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物100重量部に対して、(b)三ハロゲン化ホウ素錯体、有機酸およびそのエステル、並びに金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3.0重量部の存在下、重合硬化して得られる光学材料用樹脂。
【請求項2】
(a)化合物を10重量%以上90重量%以下含有する光学材料用組成物を用いる請求項1記載の光学材料用樹脂。
【請求項3】
更に(c)過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物0.001から3.0重量部の存在下、重合硬化して得られる請求項1又は2記載の光学材料用樹脂。
【請求項4】
(a)化合物が下記(1)式で表される化合物である、請求項1または2記載の光学材料用樹脂。
【化1】

((1)式中、XはO(CH、S(CH、または(CHを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。)
【請求項5】
(1) 式の化合物がチオグリシジルメタクリレートである請求項4記載の光学材料用樹脂。
【請求項6】
(b)化合物が三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルである請求項1記載の光学材料用樹脂。
【請求項7】
(c)化合物がtert−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートである請求項3記載の光学材料用樹脂。

【公開番号】特開2009−185198(P2009−185198A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27592(P2008−27592)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】