説明

光学機能フィルム貼付装置及び貼付方法

【課題】回転式のホルダドラムの駆動機構の構成を簡略化する。
【解決手段】パネル基板1を搬送する搬送手段30は、搬入部32a及び経路シフト部32bからなる搬入側経路32と、搬出部33a及び経路シフト部33bから構成され、搬入側経路32と搬出側経路33との間の貼付作業領域に、それぞれ偏光板フィルム2を保持した定置側ホルダドラム10Sと可動側ホルダドラム10Mとが配設され、可動側ホルダドラム10Mはスイングアーム25により定置側ホルダドラム10Sに近接・離間する方向に変位可能であり、平行移動ブロック34を間隔δ分だけ平行移動させて、経路シフト部32bにおける基板送り部が搬送ラインT1から片寄せ搬送ラインT2にシフトしてパネル基板1が定置側ホルダドラム10Sと接触することになり、可動側ホルダドラム10Mが変位して、パネル基板1が挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等からなる薄板で長方形や正方形といった四角形状の基板に偏光板,位相差板,反射防止フィルムその他の光学機能フィルムを貼付するための光学機能フィルム貼付装置及び貼付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラス基板等からなるパネル基板に偏光板,位相差板,反射防止フィルムその他の光学機能を有するフィルムが貼り付けられる。光学機能フィルムは、その表面に保護膜が積層されて積層フィルム体として構成するのが一般的である。そして、保護膜はパネル基板に貼り付ける直前に光学機能フィルムから剥離される。従って、光学機能フィルム貼付装置は、光学機能フィルムと保護膜とを積層した積層フィルム体を位置決め保持するようになし、次いで保護膜を剥離し、その後に基板に貼り付けることになる。
【0003】
光学機能フィルムの貼付装置としては、特許文献1のように構成したものが従来から用いられている。この公知の装置は、光学機能フィルムとしての偏光板を液晶セルからなる基板に貼り付けるように構成したものである。偏光板は回転式のホルダドラムに巻き付けておくが、このためにホルダドラムの外周面に負圧の作用により偏光板を吸着保持する多数の吸着孔を開口させて設ける構成としている。偏光板を吸着保持させたホルダドラムは左右一対設けられており、これら偏光板を保持している両ホルダドラムの間に基板を挟持させて、所定の押圧力を作用させることによって、基板の両面に偏光板を貼付する構成としている。
【0004】
この特許文献1においては、基板は立てた状態、つまり垂直状態で搬送されるものであり、また両ホルダドラムの回転軸も垂直方向となっている。左右に配置され、偏光板を巻き付けたホルダドラムは相互に離間した状態に保持されており、基板が搬送されると、両回転ドラムが左右から近接する方向に変位させることによって、基板の表裏両面に当接する。ホルダドラムの外周面には弾性部材が設けられており、基板を左右から挟持したときに、この弾性部材を圧縮させることによって、偏光板を基板に対して押圧することができる。そして、両ホルダドラムを同期して軸回りに相互に反対方向に回転駆動することによって、偏光板が基板に貼付されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許第10−0556339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、ホルダドラムは基板に対して押圧力を作用させるものであって、外周面に弾性部材が積層されているものの、ホルダドラム自体は剛体から構成されており、しかもこのホルダドラムの回転軸を回転駆動するドラム回転手段等を設けたドラム組立体から構成され、このドラム組立体が基板の搬送方向と直交する方向に直進動させるか、またはスイング動作を行わせることになる。偏光板が貼付される基板のサイズが小さい場合には、両ホルダドラムを相互に近接・離間させる方向への駆動時における負荷は小さいが、大きい画面サイズのフラットパネルディスプレイのように、大判の基板の表裏両面に偏光板を貼付する場合には、ホルダドラムも大型化することになり、2つのホルダドラムを相互に近接・離間する方向に駆動するには、大きい駆動力が必要となり、駆動手段が大型化する等の問題点が生じることになる。しかも、両ホルダドラムは所定の近接時及び離間時には、所定の位置に位置決めする必要があるが、高速で移動させると、大きな慣性力が作用する。従って、ホルダドラムの停止精度を高めるためには、ホルダドラムの移動速度を遅くするか、または停止時における慣性力を吸収する機構を設ける必要がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、回転式のホルダドラムの駆動機構の構成を簡略化できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明は、基板の表裏両面に光学機能フィルムを貼付する装置であって、前記基板を直進方向に搬送する搬送路を有する基板搬送手段と、前記搬送路の途中位置に設けられ、前記基板の搬送時には、この基板と干渉しない間隔だけ離間するように配置され、それぞれ光学機能フィルムを外周面に接離可能に保持する回転式の定置側ホルダドラムと可動側ホルダドラムとからなるフィルム貼り付け手段と、前記基板搬送手段により搬送される前記基板の搬送方向の先端部を前記定置側ホルダドラムに当接するように片寄せする基板シフト手段と、前記可動側ホルダドラムを前記定置側ホルダドラムに近接・離間する方向に変位させるドラム変位手段とを備える構成としたものである。
【0009】
本発明においては、2個のホルダドラム間に基板を挟持させるに当って、一方のホルダドラムが所定の位置に保持した定置側で、他方のホルダドラムはこの定置側に対して近接・離間する方向に変位させる可動側となっている。また、定置側ホルダドラムは固定的に保持されており、この定置側ホルダドラムより軽量部材である基板シフト手段により基板を変位させる構成としている。従って、基板搬送手段により搬送される基板が定置側のホルダドラムと対面する所定の位置まで搬送されると、基板シフト手段によって、基板を定置側のホルダドラムに当接させる。この状態で、可動側のホルダドラムをドラム変位手段により定置側のホルダドラムに近接する方向に変位させて、両ホルダドラムにより基板を挟持させるようにする。
【0010】
ここで、基板は、基板搬送手段により搬送される際における姿勢状態には限定されるものではないが、つまり垂直または水平状態等、任意の姿勢状態で搬送することができ、または所定の方向に傾けた状態で搬送しても良い。ただし、ホルダドラムは、可動側が定置側に近接・離間する方向に変位することから、垂直状態に保持するのが望ましく、従って基板も垂直状態で搬送するのが望ましい。また、垂直状態から多少左右に傾いた状態で搬送されるように構成しても良い。
【0011】
ホルダドラムは光学機能フィルムを保持するが、この光学機能フィルムの保持はクランプ等各種の機構を用いることができ、好ましくは吸着保持するように構成する。そして、光学機能フィルムは基板に貼付されるが、このためには粘着面や接着面を形成することになる。この貼付面は基板側に形成することもできるが、光学機能フィルム側に設けるのが合理的である。そして、ホルダドラムの外周面には、光学機能フィルムの貼付面とは反対側の面を接離可能に保持するために、光学機能フィルムを吸着保持する複数の吸着孔を開口させることができる。
【0012】
基板は両ホルダドラム間に挟持されて、両ホルダドラムの回転によって基板が前方に送られながら、この基板の表裏両面に光学機能フィルムが貼付される。この貼付をより強力なものとするためには、これらのホルダドラムの外周面に所定の厚みを有する弾性部材を設けておく。そして、可動側ホルダドラムを定置側ホルダドラムに対して最近接位置となるようにしたときに、その間隔を基板の厚みより小さい間隔とする。これによって、基板を挟持させたときには、弾性部材が圧縮されることになり、光学機能フィルムの基板への押圧力が得られる。従って、基板を挟持させたときに、両弾性部材の弾性限界を超えない程度撓んで、必要な押圧力が基板に作用する程度の間隔とすることが望ましい。
【0013】
前述したように、基板搬送手段の搬送路に基板が搬送されて、所定の位置まで進行すると、この基板を搬送路から所定の間隔分だけシフトさせる。このために設けられる基板シフト手段は、平行移動ブロックに基板送り部を装着する構成とすることができる。基板送り部は、基板搬送手段とは独立の駆動機構を備えているのが望ましい。平行移動ブロックは、基板送り部を基板搬送手段の搬送路と一致する経路と、基板を定置側ホルダドラムの外周面に当接する位置との間に変位可能とする。
【0014】
基板が基板送り部に進入した後において、この基板の先頭位置を基板位置検出手段で検出するように制御する構成とするのが望ましい。このように、基板の先端部を検出することによって、基板搬送手段による基板の搬送及び停止、定置側ホルダドラムへの接離、可動側ホルダドラムの変位や、両ホルダドラムの回転及び停止等の制御を行うことができる。また、可動側ホルダドラムの動作は、基板の搬送方向と直交する方向に直進動させるようにしても良いが、より簡単な構成とするためには、スイング動作を行わせるように構成する。
【0015】
さらに、所定の位置に配置されている定置側ホルダドラムと、この定置側ホルダドラムに近接・離間する方向に移動可能な可動側ホルダドラムとからなるフィルム貼り付け手段が設けられ、このフィルム貼り付け手段に向けて、基板搬送手段により基板を搬送して、両ホルダドラムに保持されている光学機能フィルムを基板の表裏両面に貼付する方法の発明としては、前記両ホルダドラムの各外周面に前記光学機能フィルムを吸着保持させた状態にして、相互に離間させておき、前記基板搬送手段によって、前記基板を搬送して、この基板を前記両ホルダドラム間の位置まで進入させ、前記基板を平行移動させて、その先端部を前記定置側ホルダドラムの外周面と当接させ、前記可動側回転式ホルダアームを前記定置側ホルダドラムに近接させることによって、前記基板の先端部をこれら両ホルダドラム間に挟持させ、これら両ホルダドラムを相互に反対方向に回転駆動することによって、前記光学機能フィルムを前記基板の表裏両面に貼付しながら送ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
相互に近接・離間することにより基板を挟持するために、変位させる際に大きな負荷が作用するホルダドラムは、一方のみを変位させ、もう一方のホルダドラムを定置状態に保持して、基板をこの定置側のホルダドラムに当接する方向に変位させることによって、ホルダドラムの駆動手段の構成を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光学機能膜としての偏光板フィルムを両面に貼付したパネル基板を示す断面図である。
【図2】偏光板フィルムに保護膜を積層させた積層フィルム体を巻き付けたホルダドラムを示す構成説明図である。
【図3】光学機能フィルム貼付装置としての偏光板フィルム貼付装置の構成を示す平面図である。
【図4】図3の偏光板フィルム貼付装置のホルダドラムの駆動機構を示す構成説明図である。
【図5】偏光板フィルム貼付装置の作動を示す作動説明図であって、パネル基板の貼付作業領域に進入する前の状態を示す図である。
【図6】搬送手段によるパネル基板の片寄せ状態を示す作動説明図である。
【図7】両ホルダドラム間にパネル基板を挟持させた状態を示す作動説明図である。
【図8】パネル基板の両面に偏光板フィルムを貼付している状態を示す作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。ここで、以下の説明においては、液晶ディスプレイのパネル基板の表裏両面に、光学機能フィルムとして、偏光板フィルムを貼付する装置として構成したものとして説明する。まず、図1において、1はパネル基板であり、2,2は偏光板フィルムである。パネル基板1は液晶が封入された上下2枚のガラス基板から構成されている。このパネル基板1の表裏両面に偏光板フィルム2が貼付されるが、この貼付領域はほぼ全面に及んでいる。
【0019】
図2に示したように、偏光板フィルム2はそのパネル基板1への貼付面が保護膜3で覆われて積層フィルム体4として構成されており、この積層フィルム体4は長手方向を円周方向に向けるようにしてホルダドラム10の外周面に巻き付けて吸着保持される。パネル基板1に貼付する直前に保護膜3が剥離されて、保護膜3を剥離した偏光板フィルム2がパネル基板1の表面に貼付されることになる。ここで、偏光板フィルム2には、保護膜3の積層側の表面に粘着剤または接着剤が均一に塗布された貼付面となっている。従って、積層フィルム体4は、ホルダドラム10の外周面に保持された状態で、保護膜3を剥離した後、偏光板フィルム2の固着面をパネル基板1の表面に当接させて、所定の押圧力を作用させることにより固着される。ホルダドラム10は、ドラム本体11の外周面にゴム等からなる弾性シート12を積層させたものからなり、ドラム本体11の軸芯部には回転軸13が接続されている。そして、ホルダドラム10は回転軸13の軸回りに回転自在となっている。
【0020】
ホルダドラム10の外周面には、所定の位置に複数の吸着孔14が開口するようにして設けられている。これら各吸着孔14は図示しない吸着源と接続されており、積層フィルム体4をホルダドラム10に当接させると、この積層フィルム体4は吸着保持されることになる。積層フィルム体4は、その保護膜3を外側にして吸着させるようになっており、保護膜3はホルダドラム10に保持させた状態で剥離されることになる。これによって、偏光板フィルム2の貼付面が外周側に露出した状態に保持される。
【0021】
ホルダドラム10は、その回転軸13が垂直状態に設けられている。なお、回転軸13は傾けるか、または水平状態に配置する構成としても良い。いずれにしろ、図3に示したように、ホルダドラム10は2個設けられる。図3においては、一方のホルダドラムは10S、他方のホルダドラムは10Mの符号が付されており、ホルダドラム10Sは所定の位置に配設した定置側ホルダドラムであり、他方のホルダドラム10Mは定置側ホルダドラム10Sに近接・離間する方向に変位可能な可動側ホルダドラムである。そして、これらのホルダドラム10S,10Mに設けられている回転軸は、それぞれ13S,13Mの符号を付している。なお、ホルダドラム及び回転軸を総称する場合には、それぞれ符号10,13を用いる。
【0022】
ホルダドラム10の回転軸13は、回転駆動手段20により回転駆動されるものである。そこで、図4に回転駆動手段20の構成を示す。回転軸13はそれぞれ従動プーリ21が連結して設けられている。従動プーリ21を回転駆動するためにモータ22が装着されており、モータ22には駆動プーリ23が接続され、これら駆動プーリ23と従動プーリ21との間には伝達ベルト24が巻回して設けられている。これによって、モータ22を作動させると、駆動プーリ23から伝達ベルト24を介して従動プーリ21に回転が伝達される。各従動プーリ21には回転軸13S,13Mが連結されているので、回転軸13S,13Mがこれに追従して回転し、ホルダドラム10S,10Mが回転駆動されることになる。ここで、ホルダドラム10Sの回転方向は図3の矢印RRで、ホルダドラム10Mの回転方向は、ホルダドラム10Sとは反対方向の矢印RL方向となる。
【0023】
ホルダドラム10Sは所定の位置に定置されており、ホルダドラム10Mはこの定置側ホルダドラム10Sに近接・離間する方向に変位可能となったものであり、この可動側ホルダドラム10Mはスイング動作により変位するようになっている。このために、ホルダドラム10Mの回転軸13Mからモータ22までの各部材はスイングアーム25に装着されており、スイングアーム25は支点26を中心として回動可能となっている。従って、このスイングアーム25とその駆動手段とによって、ドラム変位手段が構成される。
【0024】
そして、後述する搬送手段30によってパネル基板1が搬送されるが、ホルダドラム10S,10Mからなるフィルム貼り付け手段を設けた貼付作業領域にパネル基板1が搬入される際には、ホルダドラム10Mをホルダドラム10Sから離間させておき、パネル基板1が所定の位置に搬送されると、ホルダドラム10Mをホルダドラム10Sに近接するように変位させることによって、パネル基板1は両ホルダドラム10S,10Mの間に挟持されることになる。ここで、偏光板フィルム2はパネル基板1の両面に貼付するものであるから、ホルダドラム10Mがホルダドラム10Sに近接したときには、両ホルダドラム10S,10M間の間隔はパネル基板1の厚み寸法より狭くなっている。ホルダドラム10S,10Mの外周面には弾性シート12が設けられているから、パネル基板1を挟持したときには、弾性シート12が圧縮されるようになり、これにより偏光板フィルム2をパネル基板1の表裏両面に押圧されることになる。
【0025】
パネル基板1は搬送手段30により搬送されて、その表裏両面にホルダドラム10に吸着保持されている偏光板フィルム2が貼付される。ここで、ホルダドラム10は概略垂直状態に保持されており、従ってパネル基板1は垂直または垂直から僅かに傾斜する状態にして搬送される。搬送手段30はパネル基板1を両側から挟持した状態で回転する挟持ローラ31が所定のピッチ間隔をもって配列されており、挟持ローラ31を回転駆動することによって、パネル基板1が図3の下方から上方に向けて搬送される。
【0026】
パネル基板1の搬送経路において、図3に示したように、ホルダドラム10が設けられている部位が貼付作業領域であって、搬入側経路32と搬出側経路33とがこの貼付作業領域の前後に配置されている。搬入側経路32及び搬出側経路33は共に2分割されている。搬入側経路32では、搬入部32aと、経路シフト部32bとから構成され、搬出側経路33では搬出部33aと、経路シフト部33bとから構成されている。搬入部32a及び搬出部33aは固定的なものであり、経路シフト部32b及び33bは平行移動ブロック34に装着されて、この平行移動ブロック34は、搬入部32a,搬出部33aに対して平行移動可能となっている。
【0027】
従って、図3に示したように、搬入部32aと搬出部33aとの搬送路を結ぶ搬送ラインT1(この搬送ラインT1は、厳密には、搬送路におけるパネル基板1のホルダドラム10Sに対面する側の側面の軌跡)は、定置側ホルダドラム10Sと可動側ホルダドラム10Mとの概略中間位置となっており、この搬送ラインT1を搬送されるパネル基板1はいずれのホルダドラム10とも干渉することはない。経路シフト部32b,33bには、それぞれ基板送り部が設けられており、この基板送り部は搬送ラインT1と同一のライン上に配置されるが、平行移動ブロック34を移動させると、この搬送ラインT1に対して間隔δ分だけ平行移動することになって、パネル基板1が定置側ホルダドラム10Sと接触する片寄せ搬送ラインT2にシフトすることになる。ここで、経路シフト部32b及び33bは少なくともパネル基板1の全長に及ぶ長さを有している。そして、複数種類のパネル基板1を取り扱う場合には、経路シフト部32b及び33bの長さは最大の大きさのパネル基板1の全長より長いものとする。
【0028】
以上のことから、搬入部32aの挟持ローラ31と、経路シフト部32b及び33bの挟持ローラ31と、搬出部33aの挟持ローラ31とはそれぞれ独立に駆動されるようになっている。さらに、経路シフト部32b搬送経路の先端位置と、経路シフト部33bにおける搬送経路の後端位置には、それぞれパネル基板1が所定の位置まで搬送されたことを検出する位置検出センサ35,36が設けられている。
【0029】
以上のように構成される偏光板フィルム貼付装置においては、可動側ホルダドラム10Mを定置側ホルダドラム10Sから離間させた状態とした状態で、その外周面に積層フィルム体4を吸着保持させて、保護膜3を剥離する。これによって、両ホルダドラム10S,10Mには、偏光板フィルム2が、その貼付面を外側に向けた状態にして所定の間隔を置いて対面する状態に保持される。従って、偏光板フィルム2の端部位置がパネル基板1への貼付始端位置となる。ここで、偏光板フィルム2の貼付面には保護膜3で覆われて積層フィルム体4として構成された状態でホルダドラム10の外周面に巻き付けて吸着保持されているので、パネル基板1に貼付する直前に保護膜3が剥離されて、保護膜3を剥離した偏光板フィルム2がパネル基板1の表面に貼付される。このために、図示は省略しているが、ホルダドラム10には保護膜3の剥離手段が付設されており、図3の状態から図5に示した状態までに偏光板フィルム2から保護膜3が剥離され、また図5の状態では保護膜3の剥離途中であっても良い。
【0030】
図5の状態では、搬入部32a,経路シフト部32b及び33b,搬出部33aが一直線上に配列されており、搬送ラインT1を形成している。搬送手段30を構成する搬入側経路32に沿ってパネル基板1が搬送され、この搬入側経路32の搬入部32aから経路シフト部32bに移行する。パネル基板1の先端部が位置検出センサ35により検出されると、この位置で、またはこの位置から所定距離分だけ搬送されると、このパネル基板1が搬入部32aから経路シフト部32bに移行したことが検出される。そして、パネル基板1の先端部が定置側ホルダドラム10Sと対面する位置まで進行すると、この位置でパネル基板1の搬送を停止させる。
【0031】
そこで、平行移動ブロック34を間隔δ分だけ平行移動させる。これによって、経路シフト部32bにおける基板送り部が搬送ラインT1からパネル基板1が定置側ホルダドラム10Sと接触する片寄せ搬送ラインT2にシフトして、つまり仮想線で示した位置から実線で示した位置にシフトして、図6に示したように、経路シフト部32bに保持されているパネル基板1が定置側ホルダドラム10Sに当接する。この状態で、図7に示したように、スイングアーム25が仮想線で示した位置から実線で示した位置にスイングするように駆動され、その結果可動側ホルダドラム10Mが定置側ホルダドラム10Sに近接する方向に変位する。これによって、パネル基板1は両ホルダドラム10S,10M間に挟持される。ホルダドラム10は、ドラム本体11の外周面に弾性シート12が設けられているので、スイングアーム25による可動側ホルダドラム10Mの変位によって、この可動側ホルダドラム10Mに保持されている偏光板フィルム2がパネル基板1に当接することになり、両ホルダドラム10S,10Mにおける弾性シート12を圧縮させる位置まで可動側ホルダドラム10Mが変位する。
【0032】
そこで、回転駆動手段20S,20Mを作動させて、ホルダドラム10S,10Mを回転駆動するようになし、また平行移動ブロック34に装着した経路シフト部32b,33bの挟持ローラ31を駆動して、パネル基板1が搬出側に向けて搬送される。この間に、ホルダドラム10S,10Mに保持されている偏光板フィルム2の粘着面がパネル基板1の両面に押圧され、このときに吸着孔14における吸着力を解除することによって、偏光板フィルム2はホルダドラム10S,10Mから離脱して、パネル基板1に移行して貼付される。
【0033】
表裏両面に偏光板フィルム2が貼付されたパネル基板1は、その後に、ホルダドラム10S,10Mから抜け出し、これが両面に偏光板フィルム2が貼付されたパネル基板1が位置検出センサ36により検出される。そこで、この位置検出センサ36からの信号に基づいて、平行移動ブロック34を変位させて、経路シフト部33bを搬出側経路33の搬出部33aと接続する搬送ラインT1に復帰させる。その結果、パネル基板1は搬出側経路33の搬出部33aに移行して、表裏両面に偏光板フィルム2が貼付されたパネル基板1が搬出される。なお、平行移動ブロック34を変位させる際には、パネル基板1の搬送を中断することが望ましいが、経路シフト部33bの全長がパネル基板1の全長より十分長い場合には、その搬送を継続しながら平行移動ブロック34を変位させても良い。
【0034】
この間に、スイングアーム25を駆動して、可動側ホルダドラム10Mを定置側ホルダドラム10Sから離間する方向にスイングさせる。そして、両ホルダドラム10S,10Mに新たな積層フィルム体4を吸着保持させて、この状態で両ホルダドラム10S,10Mの回転を停止させて待機させる。従って、搬送手段30により次のパネル基板1が搬送されると、前述と同様の動作を行わせることによって、順次パネル基板1の表裏両面に偏光板フィルム2の貼付が行われる。
【符号の説明】
【0035】
1パネル基板 2 偏光板フィルム
10 ホルダドラム 10S 定置側ホルダドラム
10M 可動側ホルダドラム 11 ドラム本体
12 弾性シート 13 回転軸
14 吸着孔 20S,20M 回転駆動手段
25 スイングアーム 30 搬送手段
31 挟持ローラ 32 搬入側経路
33 搬出側経路 32a 搬入部
32b,33b 経路シフト部 33a 搬出部
34 平行移動ブロック 35,36 位置検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表裏両面に光学機能フィルムを貼付する装置であって、
前記基板を直進方向に搬送する搬送路を有する基板搬送手段と、
前記搬送路の途中位置に設けられ、前記基板の搬送時には、この基板と干渉しない間隔だけ離間するように配置され、それぞれ光学機能フィルムを外周面に接離可能に保持された回転式の定置側ホルダドラムと可動側ホルダドラムとからなるフィルム貼り付け手段と、
前記基板搬送手段により搬送される前記基板の搬送方向の先端部を前記定置側回転式ホルダドラムに当接するように片寄せする基板シフト手段と
前記可動側ホルダドラムを前記定置側ホルダドラムに近接・離間する方向に変位させるドラム変位手段と、
を備える構成としたことを特徴とする光学機能フィルム貼付装置。
【請求項2】
前記基板は、前記基板搬送手段により搬送される際には、垂直状態または垂直状態から多少左右に傾いた状態で搬送されるものであり、前記各ホルダドラムの回転軸は、前記基板と平行に延在させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の光学機能フィルム貼付装置。
【請求項3】
前記各ホルダドラムの外周面には、前記光学機能フィルムの前記基板への貼付面とは反対側を吸着保持する複数の吸着孔を開口させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の光学機能フィルム貼付装置。
【請求項4】
前記両ホルダドラムの外周面には弾性部材が装着されており、前記可動側ホルダドラムと前記定置側ホルダドラムとの最近接位置での間隔は、前記基板の厚みより小さい間隔とする構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光学機能フィルム貼付装置。
【請求項5】
前記基板シフト手段は基板送り部を備えており、この基板送り部は、前記基板搬送手段の前記搬送路と一致する直線状に前記基板を送る位置と、前記基板を前記定置側ホルダドラムに当接する位置とに変位する平行移動ブロックに設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の光学機能フィルム貼付装置。
【請求項6】
前記基板シフト手段の前記基板送り部により送られる前記基板の先頭位置を検出する基板位置検出手段を備える構成としたことを特徴とする請求項5記載の光学機能フィルム貼付装置。
【請求項7】
前記ドラム変位手段は、前記可動側ホルダドラムをスイング動作するスイングアームに設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の光学機能フィルム貼付装置。
【請求項8】
所定の位置に配置されている定置側ホルダドラムと、この定置側ホルダドラムに近接・離間する方向に移動可能な可動側ホルダドラムとからなるフィルム貼り付け手段が設けられ、このフィルム貼り付け手段に向けて、基板搬送手段により基板を搬送して、両ホルダドラムに保持されている光学機能フィルムを基板の表裏両面に貼付する方法であって、
前記両ホルダドラムの各外周面に前記光学機能フィルムを吸着保持させた状態にして、相互に離間させておき、
前記基板搬送手段によって、前記基板を搬送して、この基板を前記両ホルダドラム間の位置まで進入させ、
前記基板を平行移動させて、その先端部を前記定置側ホルダドラムの外周面と当接させ、
前記可動側ホルダアームを前記定置側ホルダドラムに近接させることによって、前記基板の先端部をこれら両回転式ホルダドラム間に挟持させ、
これら両ホルダドラムを相互に反対方向に回転駆動することによって、前記光学機能フィルムを前記基板の表裏両面に貼付しながら送る
ことを特徴とする光学機能フィルム貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−191183(P2010−191183A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35318(P2009−35318)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】