説明

光学物品の製造方法

【課題】接着剤の厚みが均一な光学物品の製造方法を提供すること
【解決手段】光学接着剤18を介してガラス基板14と水晶板17とを貼りあわせる貼合工程を備えた光学物品の製造方法であって、スペーサー粒子13が分散された前記光学接着剤液181を滴下する滴下工程と、前記ガラス基板14に前記水晶板17を押圧して前記光学接着剤液181を押し広げて挟持する挟持工程と、を備え、前記スペーサー粒子13が前記光学接着剤液181の原液よりも比重が大きいことを特徴とする光学物品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光変換素子、その他の光学物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップや液晶プロジェクター、その他の装置において、複数の透光性部材を積層して形成された光学物品が用いられている。
このような光学物品として、複数の透光性部材の間に偏光分離膜と反射膜とを交互に配置し、前記偏光分離膜の光射出面側に水晶板を設けた偏光変換素子(PS変換素子)が知られている。
【0003】
例えば、第1の透光性部材の一方の面に偏光分離膜を形成し、第1の透光性部材のもう一方の面に反射膜を形成し、第2の透光性部材の一方の面に水晶板を接着し、次に第1の透光性部材の偏光分離膜と水晶板とが対向するように、第1の透光性部材と第2の透光性部材とを積層して接着した従来例(特許文献1および特許文献2参照)がある。この水晶板の厚みは、PS変換素子の偏光変換効率が最適になるように薄片加工される。この薄片加工では、水晶板と接着してある第2の透光性部材の他方の面を基準面として、水晶板を研磨しておこなう。
【0004】
このような光学物品の接着において、特に光線が透過する有効領域を含む部位を接合する場合には光学接着剤を用いる。この光学接着剤は紫外線照射や加温等により硬化すると、実用上望まれる光学特性が得られるように材料設計された光学接着剤である。
【0005】
従来、目標の偏光変換効率を得る為に、高精度な水晶板の厚み加工が要求されている。
しかしながら、水晶板を接着する際、液状の接着剤を用いるため、接着剤の厚みにムラが生じやすい。このため、透光性部材の面を基準面として水晶板を薄片加工する場合、接着剤の厚みの不均一性が原因となって、水晶板の厚みを均一にできないという問題があった。
そして、水晶板の厚みの不均一は、PS変換素子の偏光変換効率の低下を発生させる原因となるため、高精度な偏光変換精度を有するPS変換素子を製造することが困難という問題が挙げられる。
【0006】
また、従来、2枚の対向する基板の間の厚みを制御する方法は、液晶パネルの組立技術では多く提案されている。その方法のひとつがスペーサー粒子の散布である。この散布には大きく分けて、乾式と湿式の二つの方法が提案されている。
【0007】
乾式は、圧空等で基板表面に噴射して均一に散布する方法である(特許文献3参照)。湿式は、アルコール類、あるいはアルコール類と水の混合液にスペーサー粒子を分散した顕濁液を用意し、これをスプレーで散布したり(特許文献4参照)、インクジェットで散布したり(特許文献5参照)する方法である。このアルコール類、あるいはアルコール類と水の混合液の溶媒が乾燥することにより、基板表面にスペーサー粒子が均一に点在することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許4080198号
【特許文献2】特開2007−206225号公報
【特許文献3】特開平10−339878号広報
【特許文献4】特開2001−42336号広報
【特許文献5】特開2007−47524号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、スペーサー粒子が基板主面全体に点在すると、PS変換素子の場合、PS変換素子を光が透過する際、光透過路にスペーサー粒子が存在するため、PS変換素子の光学特性に影響を及ぼすおそれがある。
つまり、基板主面にスペーサー粒子が点在することが、PS変換素子の偏光変換効率の低下を発生させる原因となるため、高精度な偏光変換精度を有するPS変換素子を製造することが困難という問題が挙げられる。
【0010】
そして、特許文献3および特許文献4の方法では、基板の外縁部に近い領域にのみスペーサー粒子を撒くのは困難であり、特許文献5の方法では、スペーサー粒子を局所的に存在させることはできるが、生産性が悪いため、現実的には採用しにくいという問題が挙げられる。
【0011】
これは、液晶パネルの組立技術では、スペーサー粒子を基板全面に均一に散布することが望ましいのに対し、PS変換素子では、スペーサー粒子を基板外縁部の近くに偏在させることが望ましい点で目的が相違するからである。
【0012】
本発明の目的は、光学接着剤の厚みが均一な光学物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[適用例1]
本適用例における光学物品の製造方法は、光学接着剤を介して複数の透光性部材の主面を互いに貼りあわせる、光学物品の製造方法であって、前記光学接着剤は光学接着剤液から形成され、前記光学接着剤液を前記透光性部材の主面上の滴下箇所に滴下する滴下工程と、前記複数の透光性部材の主面同士を互いに押圧して前記光学接着剤液を前記主面の間に押し広げて挟持する挟持工程と、を備え、前記光学接着剤液にはスペーサー粒子が分散され、前記スペーサー粒子の比重が前記光学接着剤液の原液よりも大きいことを特徴とする。
【0014】
この構成の本適用例では、光学接着剤液を挟んで、複数の透光性部材の主面同士を押圧して挟持するので、光学接着剤液が押し広げられ、光学接着剤は外周縁方向へ濡れ広がる。
このとき、主面の表面近傍の流速と、離れた部分(中央部)の流速は、互いに異なる。特に、接着剤液のような粘着性の液体を用いる場合には顕著に差が出ることが一般的に知られている。従って、スペーサー粒子は流路断面においては中央部に存在する確率が高いため流速が早く、主面の中央部に留まることなく外周縁部の近くに多く局在することになる。
また、このような複数の平板の狭い間を流れる流体へ加わる圧力では、主面内で圧力勾配が発生し、主面の中央部付近より外縁部方向の液体への圧力が大きい。従って、比重の大きなスペーサー粒子を用いることにより、主面の中央部よりも外周縁部の近くへ一層多くのスペーサー粒子を局在することができる。
このため、外周縁部の近くに局在するスペーサー粒子によって光学接着剤の厚みを均一にしながら、中心部は、光学特性への影響の恐れがあるスペーサー粒子を低減することができる。
【0015】
よって、光学接着剤液に比重の重いスペーサー粒子を分散させることにより、接着剤の厚みムラを容易に解消しながら、光学特性が安定した光学物品を提供することができる。
【0016】
つまり、比重の大きなスペーサー粒子が分散した光学接着剤液を用いることで、複数の透光性部材の主面同士を厚みムラなく貼り合わせることでき、さらに、スペーサー粒子の比重が光学接着剤液の原液より大きいので、スペーサー粒子を外縁部近くに偏在させることができる。
したがって、本適用例における光学物品の製造方法では、厚みムラなく、スペーサー粒子による光学特性への影響も少ないため、所望の光学特性を有する光学物品を容易にかつ、精度よく得ることができる。
【0017】
[適用例2]
本適用例における光学物品の製造方法は、前記透光性部材の主面が光透過部分を有し、前記光透過部分は前記光学物品において光が透過する部分であり、前記光学接着剤液が前記光透過部分の概ね中心に滴下されることが好ましい。
【0018】
この構成の本適用例では、光学接着剤液が光学物品の光透過部分の概ね中心に滴下されるので、特に光学物品に入出射した光の大部分が透過する光透過部分にスペーサー粒子が分布することが低減できる。
【0019】
[適用例3]
本適用例における光学物品の製造方法は、前記挟持工程で、複数の前記透光性部材の主面同士を平行に保持しながら押し合うことが好ましい。
【0020】
この構成の本適用例では、透光性部材の主面同士を平行に保持しながら押し合うことにより、中心部から外縁部に向かって、押し広げられる接着剤液は主面に沿って等方性に拡がる。この等方性は主面同士の平行度が影響する。つまり、平行に押し広げる程、接着剤液はより一層好ましい等方性を有して拡がる。この等方性を有する押し拡げにより、外縁部に近い領域において中心部からの距離に応じてスペーサー粒子を同程度に偏在させることができる。
したがって、外縁部に近い領域のスペーサー粒子の分布の中心と透光性部材の主面の中心とを概ね一致させることができる。
【0021】
[適用例4]
本適用例における光学物品の製造方法は、複数の前記透光性部材の主面同士を押し合う力を逐次増加させることが好ましい。
【0022】
この構成の本適用例では、挟持工程において、透光性部材の主面同士を押し合う力を逐次増加させることにより、安定したスペーサー粒子の偏在化と、スペーサー粒子による光学接着剤の厚みの制御を実現する。
主面同士を押し合う初期の段階では、スペーサー粒子の多くを外縁部近くへ押し広げるのに好適な圧力で主面同士を押してスペーサー粒子の偏在化をおこない、次の段階で外縁部近くに偏在したスペーサー粒子が光学接着剤の厚みの制御に寄与できる程度の圧力で主面同士を押すことにより、安定して接着剤の厚みを均一にできる。
従って、主面同士を押し合う力を逐次増加させることにより、初期の段階ではスペーサー粒子の偏在化を安定しておこない、次の段階で一層安定した光学接着剤の厚みの制御を実施できる。
【0023】
[適用例5]
本適用例における光学物品の製造方法は、前記透光性部材は、ガラス板と水晶板であり、前記光学物品は、前記ガラス板および前記水晶板が積層された第一積層体と、前記ガラス板、偏光分離膜および反射膜が積層された第二積層体と、が交互に配列されたPS変換素子であることが好ましい。
【0024】
この構成の本適用例では、ガラス基板と水晶板とが積層された第一積層体の端部からオフセットした箇所から切断するので、第一積層体に挟まれる光学接着剤において、スペーサー粒子が偏在する端部を光学物品となる部分から除外することができる。
よって、光学物品の製造工程において、スペーサー粒子を用いることで光学接着層の厚みムラを解消し、水晶板の板厚を精度良く研磨するとともに、完成した光学物品には、その光学接着剤にスペーサー粒子が含まれない。
したがって、本適用例では、光学接着剤の厚みを均一とし、水晶板の板厚を高精度に加工できるとともに、完成した光学物品の光学特性に何ら影響を与えないようにすることができる。
【0025】
この構成の本適用例では、光学接着剤を均一な厚みとして接着することができるので、高精度な偏光変換精度を有するPS変換素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態におけるPS変換素子の概略図。
【図2】ガラス基板に光学接着剤液を滴下した状態を示す概略図。
【図3】第1実施形態におけるガラス基板と水晶板とを貼り合せる方法を説明するための概略図。
【図4】第1実施形態におけるガラス基板と水晶板とを貼り合わせる方法を説明するための模式図。
【図5】2枚の基板により押付けられた液体の流動速度分布を表す模式図。
【図6】第1実施形態における水晶板の薄片加工工程を説明するための概略図。
【図7】第1実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層する方法を説明するための概略図。
【図8】第1実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層した積層体を示す斜視図。
【図9】第1実施形態における積層体の切断を説明するための模式図。
【図10】第1実施形態における積層体の切断を説明するための模式図。
【図11】第2実施形態におけるガラス基板に光学接着剤を塗布する方法を説明するための模式図。
【図12】遠心力により液体を塗布する場合の流速分布を表す模式図。
【図13】実施例におけるスペーサー粒子個数の計測箇所を示す図。
【図14】実施例におけるスペーサー粒子偏在評価結果を表す図。
【図15】PS変換素子を用いた投射型表示装置
【図16】PS変換素子を透過する光線の概念図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[光学系の構成]
図1は、第1実施形態におけるPS変換素子の概略図である。
図1に示される通り、PS変換素子1は、互いに略平行な光入射面11と光出射面12とが形成され、光出射面12に45度の角度をもって複数の界面で設けられた複数の透光部材であるガラス基板(以下、ガラス基板)14と、複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜15および反射膜16と、偏光分離膜15とガラス基板14との間に設けられた水晶差板である水晶板17と、ガラス基板14、偏光分離膜15、反射膜16および水晶板17の界面に設けられた光学接着剤18と、を備える。
【0028】
ガラス基板14は、断面三角形や断面平行四辺形の角柱部材から形成されており、界面を構成する斜面に偏光分離膜15と反射膜16とが交互に配置されている。
ガラス基板14は第1実施形態において光学物品を構成するものであり、それを構成する材料としては、BK7等の光学ガラス、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラスをはじめとするガラスを例示できる。
【0029】
光学接着剤18は、スペーサー粒子13が分散されている。光学接着剤18の要求される厚みは、2μm〜10μm程度であり、スペーサー粒子13の粒径は2μm〜10μm程度である。また、この光学接着剤18には、紫外線硬化型接着剤等を用いることができる。なお、硬化処理前の液状の光学接着剤液と硬化後の光学接着剤とは同じ組成でも屈折率が異なる。これを明示するために、硬化前の液状の光学接着剤を接着剤液として記述し、硬化後の光学接着剤を光学接着剤と表記した。また、スペーサー粒子13を分散させる前の光学接着剤液を、光学接着剤液の原液と記した。
【0030】
スペーサー粒子13には、光学接着剤18を形成する光学接着剤液181とヘイズ値の差が0.1以下となるものを用いる。このスペーサー粒子13の材料としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。具体的には、ガラス材料のものとして、シリカ(n=1.45)のものがある。また、プラスチック素材のものとしては、メラミン(n=1.57)、ポリスチレン(n=1.57)、アクリル(n=1.49)、アクリル−スチレン化合物(n=1.54)等がある。また、スペーサー粒子13には、中実のもの、中空のもの、多孔質のもの等いずれでもよい。
【0031】
偏光分離膜15は誘電体多層膜で形成され、入射した光線束(ランダム偏光光)を、S偏光の部分光束(S偏光光)とP偏光の部分光束(P偏光光)とに分離し、S偏光光を反射し、P偏光光を透過する機能を有する。
誘電体多層膜は、例えば、SiOよりなる低屈折率層と、MgFよりなる高屈折率層と、LaとAlの重量割合が1:3の混合物よりなる中屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で形成された多層膜を例示できる。
【0032】
反射膜16は誘電体多層膜または金属膜で形成され、反射膜16に入射したS偏光光をそのまま反射する機能を有する。反射膜16を構成する多層膜はSiOよりなる低屈折率層とTiOよりなる高屈折率層とが所定の順序および光学膜厚で交互に形成された多層膜を例示できる。
【0033】
水晶板17は、例えば、1/2波長板であり、偏光分離膜15の光出射面12側に密着固定されている。
水晶板17は、SiOの単結晶からなる水晶によって形成されるシングルモード波長板であり、この水晶は人工水晶でも天然水晶でもよい。また、ダブルモード化波長板であってもよい。
図1に示される通り、PS変換素子1は、ガラス基板14、光学接着剤18および水晶板17を1つのユニットとする第一積層体1Aと、偏光分離膜15、ガラス基板14および反射膜16を1つのユニットとする第二積層体1Bと、を繰り返し貼り合わせた繰返し構造を有する。
【0034】
第1実施形態の光学物品の製造方法について説明する。
[調合工程]
撹拌翼を有する撹拌装置を備えた図示しない混合撹拌槽に光学接着剤液の原液を投入する。その後、この原液よりも比重の重いスペーサー粒子を用意し、撹拌装置で撹拌しながら混合撹拌槽にこのスペーサー粒子を投入する。このとき、スペーサー粒子が、ダマにならないように少量ずつ投入していく。そして、投入後は、スペーサー粒子が均一に分散するまで撹拌を続ける。
【0035】
[滴下工程]
図2は、ガラス基板に光学接着剤液を滴下した状態を示す概略図である。
ガラス基板14は、その外縁部から離れた中心部としての光透過部分Tを有している。この光透過部分Tは図1に図示したPS変換素子において光が主に透過する箇所である。
滴下工程では、光透過部分Tの中心に光学接着剤液181を滴下する。
このとき、光学接着剤液181を滴下する方法としては、ノズルを備えたディスペンサーを用いて光学接着剤液181を滴下する。
なお、スペーサー粒子13は、光学接着剤液181に対して0.1重量%以上3重量%未満の濃度で分散されているのが好ましい。
【0036】
[挟持工程]
図3は、第1実施形態におけるガラス基板と水晶板とを押し合せる方法を説明するための概略図である。
図3に示すように、矩形状の台座21は、4本の係合ピン22が立設されている。この台座21の上に平板状のガラス基板14を載置し、このガラス基板14の主面上に光学接着剤液181を滴下し支持体14Aを形成し、この支持体14Aの上に水晶板17を重ね合わせる。その後、水晶板17の上から重石板23を載置することで、光学接着剤液181に適度な押圧を加える。この重石板23は、係合ピン22に対応する位置に挿通穴24が設けられており、挿通穴24に係合ピン22が挿通されながら、台座21との距離が近づくようになっている。このため、重石板23は、台座21に対して回動することが規制され、且つ平行に移動できるようになっている。
よって、ガラス基板14と水晶板17とを押圧する際、ガラス基板14と水晶板17との平行度が安定する。
ガラス基板14と水晶板17との平行度が安定するので、外縁部に近い領域のスペーサー粒子13の分布の中心と基材の主面の中心とを概ね一致させることができる。
なお、貼り合わせ装置の台座21と重石板23はガラス基板と水晶板の主面同士の平行度が±0.001以下になるように調整される。さらに、この平行度が±0.0005以下になるように調整されているのが好ましい。
【0037】
図4は、第1実施形態におけるガラス基板と水晶板とを貼り合わせる方法を説明するための模式図である。
図4(A)に示すように、ガラス基板14の上にスペーサー粒子13を含む光学接着剤液181を滴下し、その上から水晶板17を重ね合わせる。
このとき、図4(B)に示すように、光学接着剤液181は水晶板17が押付けられることにより、外縁部方向へ濡れ広がっていく。この光学接着剤液181の外縁部方向への流動によりスペーサー粒子13も同時に外縁部方向へと流動する。このとき、スペーサー粒子13は、光学接着剤液181の原液より比重が大きいため、光学接着剤液181全体の流動速度よりも速く流動する。このため、スペーサー粒子13は、濡れ広がる光学接着剤液181の外縁部近傍に集中することとなる。
そして、図4(C)に示すように、スペーサー粒子13は、光透過部分Tにほとんど存在せず、光透過部分Tの外周部の近くに密集することとなる。
また、押し合わせる圧力を逐次増加させることにより、安定して挟持することができる。まず、押し合わせることにより外縁部近くにスペーサー粒子13を偏在させ、その後、このスペーサー粒子13を含む光学接着剤液181を挟むガラス基板14と水晶板17とをなお一層大きな力で押し合うことにより、光学接着剤18の厚みを安定して均一にできる。例えば、初期の圧力を0.6kNとし、逐次増加させて1kNから3kNの範囲で60秒保持するのが好ましい。
【0038】
ここで、図4に示した現象について、図5に基づいて詳述する。
図5は、2枚の基板により押付けられた粘性液体の流速分布を表す模式図である。
図5に示すように、対向する基板の間が数百μ以下の場合に、微細流路で化学反応をおこなうマイクロリアクター技術でも公知なように、流路壁面に近い領域(以下、基板表面近傍)のせん断速度と、基板表面近傍から離れた領域(以下、流路中央)のせん断速度は互いに異なる。特に粘性の高い液体の場合は顕著である。
これは、従来から知られているポワズイユ流れの現象である。ガラス基板14と水晶板17を押し合うことにより、押し広げられる光学接着剤液181に加わるせん断応力τは以下の式で示される。
τをせん断応力、μを粘性係数、vをせん断速度、yは平行平板間の距離(光学接着剤液181の厚み)
τ=μ(dv/dy)
挟持工程において、光学接着剤液181の厚みは光学接着剤液181が押し広げられるとともに薄くなる。ガラス基板と水晶板の主面の中心部からの光学接着剤液の外周までの距離rと光学接着剤液181の厚みyは比例関係にある。この外周までの距離rとは、光学接着剤液181を挟持して、これらの基板の主面の外縁部まで到達する間の、基板中心から液体が拡がった縁までの距離を指す。外周までの距離rと光学接着剤液181の厚みyは比例関係であるので、例えば、主面の中心に遠いr2における厚みy2は、主面の中心に近いr1における厚みy1よりも薄い。従って、上に示した式により、主面の中心より遠いr2におけるせん断応力τ2は、主面の中心に近いr1におけるせん断応力τ1よりも大きい。従って光学接着剤液181に加わる圧力は基板の主面の中心部から外縁部に向けて、圧力勾配を有している。従来の遠心分離や液体の深度におけるような圧力勾配等が存在する場合、比重の大小によって流体が分離することが知られている。圧力の高いほうに比重の重い粒子あるいは成分が移動する。
【0039】
従って、ポワズイユ流れに従う光学接着剤液181に分散したスペーサー粒子13は図4(C)のように基板主面の外縁部の近くに偏在する。
挟持工程において、主面を押し合うことにより主面中心から外縁部に向かって濡れ広がる場合、この平行平板間の距離は狭くなり、これによってせん断応力も主面中心から外縁部に向かって大きくなる。従って、主面中心から外縁部に向かって圧力勾配が形成でき、比重の大きなスペーサー粒子13も用いることにより、外縁部に近い領域に多くのスペーサー粒子13を偏在させる。
【0040】
[薄片加工工程]
図6に基づいて薄片加工工程について説明する。
薄片加工を行う装置としては、図6(A)に示されるように、平板状の支持板31と、支持板31の支持面31Aに平行な摺動面32Aを有し、支持面31Aに対して摺動面32Aを平行に保った状態で円を描くように動作可能な砥石32を有する装置を用いる。
第一積層体1Aを、ガラス基板14が支持面31Aに接する状態となるように支持板31上で支持する。つまり、ガラス基板14の面が薄片加工の基準面となる。一方、水晶板17は、上方より摺動面32Aが所定圧力で当接される。そして、水晶板17は、砥石32が円を描くように動くことで、摺動面32Aと摺動される。これにより、図6(B)に示されるように、水晶板17は、研削または研磨されて薄片加工される。これにより、第一積層体1Aが得られる。この時、光学接着剤18の厚みが均一であるので、ガラス基板14の基準面と、薄片加工される水晶板の面が平行であるので、薄片加工後の水晶板17の厚みは均一となる。この水晶板17の厚みを均一に形成しないと、所望の偏光特性を得ることができない。
【0041】
[積層体形成工程]
図7および図8に基づいて積層体形成工程について説明する。
図7は、第1実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層する方法を説明するための概略図である。図8は、第1実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層した積層体を示す斜視図である。
第二積層体1Bは、別のガラス基板14の平面に偏光分離膜15と反射膜16とをそれぞれ蒸着させて作製する。この第二積層体1Bを、図7に示すように、台座21の平面に対して45°に傾斜したプレートPに端部下端がそれぞれ当接するように第一積層体1Aおよび第二積層体1Bを水平方向にずらして配置する。
これにより、図8に示すような、第一積層体1Aと第二積層体1Bとが45°ずれた積層体10が形成されることとなる。
【0042】
[切断工程]
積層体10を所定形状に切断する切断工程を図9および図10に基づいて説明する。
図9は、第1実施形態における積層体の切断を説明するための模式図である。図10は、第1実施形態における積層体の切断を説明するための模式図である。
図9で示される通り、積層された第一積層体1Aと第二積層体1Bとに光学素子平面に対してプレートP(図7参照)の配置方向と平行、つまり、光学素子の平面に対して45°の方向Lに沿って所定間隔毎に切断する。これにより、ブロック19は端面が平行四辺形となる。
【0043】
切断後、図10に示される通り、ブロック19の端部を揃えて上下に複数積層し、左右両側部分をトリミングする。つまり、最も左側に位置する偏光分離膜15または反射膜16の上縁同士をつなげ、かつ、最も右側に位置する偏光分離膜15または反射膜16の下縁同士をつなげるようにブロック19の平面に対して垂直な方向Vに沿って切断することにより、PS変換素子1(図1参照)が得られる。
図15にこのPS変換素子1を用いた投射型表示装置の一例を示す。PS変換素子1は画像表示光学系102に白色光を供給する照明系101の光学物品のひとつである。ランプハウスから放射された光線(点線で例示)がレンズ51等で集光されて、PS変換素子1に入射する。この入射光等の詳細を図16に示す。レンズ51に集光された光が偏光分離膜15に入射する。この光の光量分布を模式的に図16に示す。光線の中心を極大とした正規分布をした光量分布となる。この光線の中心とは光透過部分Tの中心のことである。この光透過部分Tの中心の光強度が強いので、偏光分離膜で分離したP偏光が水晶板でS偏光に変換される際、スペーサー粒子13の分布がこの光透過部分Tの中心に少ないほうが偏光変換効率は高く、より明るい光を画像表示光学系102に供給できる。
【0044】
以上の構成の第1実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)第1実施形態では、ガラス基板14の上にスペーサー粒子13を含む光学接着剤液181を滴下し、その上から水晶板17を重ね合わせて第一積層体1Aを製造する。このとき、光学接着剤液181は水晶板17が押付けられることにより、外縁部方向へ濡れ広がっていく。そして、この光学接着剤液181の外縁部方向への流動に伴ってスペーサー粒子13も同時に外縁部方向へと流動する。このとき、スペーサー粒子13は、光学接着剤液181より比重が大きいため、外縁部の近くに流動しやすい。
したがって、第1実施形態では、スペーサー粒子13を濡れ広がる光学接着剤液181の外縁部近傍に偏在させることができる。
したがって、第1実施形態では、光学接着剤18を均一な厚みで形成することができ、厚みムラの問題を解消することができる。
【0045】
(2)第1実施形態では、光学接着剤液181がガラス基板14の光透過部分Tの中心部に滴下されるので、水晶板17で押し広げられる際、この光透過部分Tを中心に光学接着剤液181が濡れ広がる。このため、スペーサー粒子13は、光学接着剤液181と同時にガラス基板の主面上をこの中心に外縁部方向へと流動する。よって、スペーサー粒子13は、外縁部近くに偏在する。
したがって、光透過部分Tには、スペーサー粒子13が少ないので、スペーサー粒子13による光学特性への影響をより一層小さく抑えながら、外縁部に多く偏在するスペーサー粒子13によって、光学接着剤18の厚みを均一にし、水晶板17の厚みを精度良く薄片化加工することができる。
例えば、光透過部分Tにスペーサー粒子13が存在し、かつ、スペーサー粒子13と光学接着剤液181との屈折率が異なる場合、スペーサー粒子13と光学接着剤18とを透過する光に、界面反射等の光学的悪影響が生じることになり、高度な偏光変換精度を有するPS変換素子1が得られなくなるおそれがある。 また、水晶板17の板厚を均一に薄片化加工できないと、偏光変換効率が適正な位相板を提供できない。しかし、上述の実施をおこなえば、光透過部分Tにスペーサー粒子13を少なくしながら、水晶板17の板厚を均一に薄片化加工して、偏光変換効率が適正な位相板を有する光学物品を提供できる。
【0046】
(3)第1実施形態では、前記挟持工程において、ガラス基板14と水晶板17の主面同士を平行に保持しながら押し合い、スペーサー粒子13の分布の中心と、ガラス基板14と水晶板17の主面の中心を一層近い位置に一致することができ、外縁部に近き領域でスペーサー粒子13がこれらの主面内で概ね対象に分布するので、光学接着剤18の厚みの制御はより均一に、安定して形成できる。
【0047】
(4)第1実施形態では、ガラス基板14と水晶板17の主面同士を押し合う力を逐次増加させることにより、初期の段階ではスペーサー粒子13の偏在化を安定しておこない、次の段階で一層強い押し圧を加えることにより光学接着剤の厚みの制御を確実に実施できる。
【0048】
(5)第1実施形態におけるPS変換素子1の製造方法では、ガラス基板14と水晶板17と偏光分離膜15と反射膜16とがスペーサー粒子13を含有する光学接着剤液181を介して積層されるので、ガラス基板14と水晶板17と偏光分離膜15と反射膜16とを均一な厚みで接着することができる。
したがって、高精度な偏光変換精度を有するPS変換素子1を製造することができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
本発明の第2実施形態を図11および図12に基づいて説明する。
第2実施形態は、第1実施形態とは、光学接着剤液181がガラス基板14の主面上に拡げてから押し当てる方法としている点が異なるものであり、その他の構成は第1実施形態と同様である。
図11は、第2実施形態におけるガラス基板14に光学接着剤液181を塗布する方法を説明するための模式図である。
図11(A)に示すように、第2実施形態では、ガラス基板14の中央に光学接着剤液181を滴下し、その後、ガラス基板14を回転させて光学接着剤液181を塗り広げる。
このとき、図11(B)に示すように、光学接着剤液181は、ガラス基板14の回転による遠心力によって、ガラス基板14の外縁部へと塗り広がる。この光学接着剤液181の液中にはこの滴下前に予めスペーサー粒子13が分散されており、このスペーサー粒子13の比重は光学接着剤18の原液よりも大きい。光学接着剤液181に分散されたスペーサー粒子13は、比重が大きいので外縁部に向けてその多くが流動する。
このため、図11(C)に示すように、スペーサー粒子13は、ガラス基板14の外縁部の近くに多く偏在する。
【0050】
ここで、図11に示した現象について、図12に基づいて詳述する。
図12は、遠心力により液体を塗布する場合の流速分布を表す模式図である。
図12に示すように、粘性液体の場合は、流体の断面において、基板の主面に近い程、せん断速度が遅くなる。(基板主面からの抵抗が大きい)。流体に加わるせん断応力において、せん断速度が速いと液体に加わる圧力も高く、せん断速度が遅いとこの圧力が低い。従って、基板主面に近い領域では圧力が低く、光学接着剤液181の表面に近い場所の圧力は高いという圧力勾配が生じる。この圧力勾配により、低い圧力の状態ほど、より比重の小さなものを流動するので、スペーサー粒子13以外の光学接着剤液181の成分が基板主面に留まりやすい。従って、遠心力で粘性液体を塗布する場合、スペーサー粒子13として、比重の重いものを用意すれば、外縁部に近い領域に多くのスペーサー粒子13を偏在させることができる。
【0051】
従って、第2実施形態では、第1実施形態の効果(1)〜(6)と同様な作用効果を奏することができる。
【0052】
次に、本発明の実施形態のPS変換素子1の製造方法について、実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
[実施例1]
<接着剤の調合>
光学接着剤液181の原液に対してスペーサー粒子13の濃度が1wt%となるように分散させ、回転数150rpmで2時間攪拌を行った。このとき、スペーサー粒子13の分散性は良好であり、光学接着剤液181中にスペーサー粒子13が適度に分散していることを目視で確認した。
【0054】
<貼り合わせ>
ガラス基板14の主面上にスペーサー粒子13を分散させた光学接着剤液181を0.06g滴下し、その上から水晶板17を載置する。そして、初期の圧力を0.6kNとして加重を加えて光学接着剤液181がほぼ全面に濡れ広がったところで、1kNから3kNの加重を60sec加える。加圧後、2mW/cmのUVランプを300sec照射して硬化させ、スペーサー粒子13を分散した光学接着剤18を形成させた。
【0055】
<貼り合わせ評価>
(厚みムラの評価)
レーザー干渉計(Fujinon社製)を用いて、ガラス基板14と水晶板17とを貼り合せたものの透過波面収差を測定した。測定領域はPS変換素子1にした際の光透過部分T(図2参照)と一致させてある。具体的には、ガラス基板14および水晶板17の外縁部1.5mmを除いてある。
【0056】
(ヘイズ値の評価)
ヘイズ値の評価については、スガ試験機社製のTMダブルビーム方式ヘーズコンピューターHZ−2を用いて3回測定を行い、算術平均したものを結果とした。
【0057】
(スペーサー粒子の偏在評価)
ガラス基板14と水晶板17とを貼り合わせた後、ガラス基板14上の計測箇所A,B,C(図13参照)におけるスペーサー粒子13の個数を計測した。また、計測箇所Aの写真を図14に示す。
【0058】
<使用部材>
ガラス基板14、水晶板17、光学接着剤液181の原液およびスペーサー粒子13としては、以下に示すものを使用した。
・ガラス基板14(厚み2.8mm、PV=0.001mm以下、平行度±0.001以下)
・水晶板17(厚み0.1mm、PV=0.001mm以下)
・光学接着剤液181の原液(サンライズMSI社製:PhotoBond300、比重0.97、紫外線硬化型、硬化後屈折率1.51)
・スペーサー粒子13(日揮触媒化成株式会社製:真絲球SW−5.0、比重2.2、屈折率1.45、粒径5.0μm)
【0059】
[実施例2]
実施例2で使用したスペーサー粒子13は以下の通り。
・スペーサー粒子13(日本触媒製:エポスターYS、比重1.3、屈折率1.51、粒径5.0μm)
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0060】
[比較例]
比較例では、光学接着剤液181の原液にスペーサー粒子13を分散させず、光学接着剤液181の原液そのままを用いた。
その他は、実施例1と同様の構成である。ただし、比較例については、スペーサー粒子13の偏在評価は行っていない。
【0061】
<結果>
実施例および比較例の結果を以下の表1および表2に示す。
【表1】

【表2】

【0062】
<まとめ>
スペーサー粒子13を含有する光学接着剤液181とスペーサー粒子13を含有しない光学接着剤液181の原液とでは、透過波面収差が大きく異なることが確認できた。
具体的には、スペーサー粒子13を含まない比較例では、透過波面収差が4.29μmと大きく、光学接着剤18の厚みムラが生じていることが確認できた。
一方、スペーサー粒子13を含む実施例では、透過波面収差が著しく小さく、スペーサー粒子13を含有することで光学接着剤18の厚みムラを飛躍的に解消できることが確認できた。
【0063】
また、光学接着剤18の屈折率と異なる屈折率のスペーサー粒子13を用いた実施例の場合は、スペーサー粒子13を含まない比較例より高いヘイズ値ではあるが、1.0以下であった。ヘイズ値は、1.0以下であればPS変換素子1の性能上あまり問題がなく、むしろ、光学接着剤18の厚みムラ、つまり、透過波面収差が大きいことによる性能への影響のほうが遥かに大きな問題となる。
よって、光学接着剤18の屈折率と異なる屈折率のスペーサー粒子13を用いても、スペーサー粒子13の比重が光学接着剤液181の原液より小さいため、光透過部分T内のスペーサー粒子13が少ないと、ヘイズ値が1.0以下になることが確認できた。
したがって、光学接着剤液181の原液より比重の大きいスペーサー粒子13であれば、光学接着剤18の屈折率が異なる材質のものを選択できる可能性があり、スペーサー粒子13の材料選択の自由度を高められることが確認できた。
【0064】
スペーサー粒子13の偏在評価では、ガラス基板14の主面の中央部の計測箇所Aは最もスペーサー粒子13の数が少なく、これに対して計測箇所B,Cはスペーサー粒子13の数がかなり多い。このことから、スペーサー粒子13は、ガラス基板14の外縁部に近い領域に偏在していることが確認できた。
さらに、計測箇所Bよりも計測箇所Cの方がスペーサー粒子13の数が多い。これは、光学接着剤液181が濡れ広がる際、ガラス基板14上に滴下された箇所を中心に同心円上に濡れ広がる。このため、計測箇所Bでは、光学接着剤液181が一部ガラス基板14から外側へと流出し、これと同時にスペーサー粒子13も外側へと流出する。一方、計測箇所Cでは、このような流出が少なくスペーサー粒子13が外側へ流出しないため、スペーサー粒子13の数がより多く存在するからである。
【0065】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また、本発明の実施形態では、PS変換素子1の製造方法であったが、これに限らない。例えば、ガラス基板14に光学接着剤液181を用いて水晶板17を貼り合わせた位相差基板にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、プロジェクター、その他の装置に用いられるPS変換素子に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1…PS変換素子(光学物品)、13…スペーサー粒子、14…ガラス基板、15…偏光分離膜、16…反射膜、17…水晶板、18…接着剤、181…接着剤液、1A…第一積層体、1B…第二積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学接着剤を介して複数の透光性部材の主面を互いに貼りあわせる、光学物品の製造方法であって、
前記光学接着剤は光学接着剤液から形成され、
前記光学接着剤液を前記透光性部材の主面上の滴下箇所に滴下する滴下工程と、
前記複数の透光性部材の主面同士を互いに押圧して前記光学接着剤液を前記主面の間に押し広げて挟持する挟持工程と、を備え、
前記光学接着剤液にはスペーサー粒子が分散され、
前記スペーサー粒子の比重が前記光学接着剤液の原液よりも大きいことを特徴とする光学物品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
前記透光性部材の主面は光透過部分を有し、前記光透過部分は前記光学物品において光が透過する部分であり、前記光学接着剤液が前記光透過部分の概ね中心に滴下されることを特徴とする光学物品の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学物品の製造方法において、
前記挟持工程では、複数の前記透光性部材の主面同士を平行に保持しながら押し合うことを特徴とする光学物品の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の光学物品の製造方法において、
複数の前記透光性部材の主面同士を押し合う力を逐次増加させることを特徴とする光学物品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学物品の製造方法において、
前記透光性部材は、ガラス板と水晶板であり、
前記光学物品は、前記ガラス板および前記水晶板が積層された第一積層体と、前記ガラス板、偏光分離膜および反射膜が積層された第二積層体と、が交互に配列された偏光変換素子であることを特徴とする光学物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−228153(P2010−228153A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75846(P2009−75846)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】