説明

光学用積層フィルムおよび光学フィルムの製造方法

【課題】破断やひび割れを抑制して安定的に製造することができる光学フィルムの製造方法並びに当該方法に用いる光学用積層フィルムを提供する。
【解決手段】本発明に係る光学用積層フィルムは、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムの少なくとも一方の面に表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムであって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の光学用積層フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムと表面保護フィルムとから成る光学用積層フィルム、並びに当該光学用積層フィルムを用いる光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と表す)に代表されるアクリル系樹脂は、光学性能に優れ、高い光線透過率や低複屈折率、低位相差の光学等方材料として従来各種光学材料に適用されている。近年、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機EL表示装置等のフラットディスプレイや赤外線センサー、光導波路等の進歩に伴い、光学用透明高分子材料の耐熱性に対する要請が高まっていることから、アクリル系樹脂に対しても、耐熱性の高さが要求されるようになってきている。
【0003】
耐熱性を有するアクリル系樹脂(以下「耐熱アクリル系樹脂」と称する)として、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂が知られており、各種光学材料、特に光学フィルムへの開発が行われている。例えば、マレイミド類を共重合したマレイミド環を主鎖に有するアクリル系樹脂(例えば、特許文献1参照)は延伸で位相差を発現する特性を有しており、特許文献2〜4にはマレイミド環を主鎖に有するアクリル系樹脂を含む位相差フィルムが開示されている。また、グルタルイミド環を主鎖に有するアクリル系樹脂(例えば、特許文献5参照)も偏光子保護フィルムなどの光学フィルム用途への適用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−146506号公報
【特許文献2】特開平3−23404号公報
【特許文献3】特開平5−288929号公報
【特許文献4】特開2007−31537号公報
【特許文献5】特開2006−337569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜5に記載の主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムは柔軟性に欠けるため、フィルムの破断やひび割れが生じ易く、安定的に製造することが困難であるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、破断やひび割れを抑制して安定的に製造することができる光学フィルムの製造方法並びに当該方法に用いる光学用積層フィルムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学用積層フィルムは、上記課題を解決するために、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムの少なくとも一方の面に表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムであって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の光学用積層フィルムである。
【0008】
上記構成によれば、光学フィルムに表面保護フィルムが積層されているため、光学フィルムの破断やひび割れを抑制することができる。このため、ロール状に巻き取ったり、運搬したりする際に生じ得るフィルムの破断やひび割れを抑制することができる。
【0009】
更には、上記表面保護フィルムは所定の粘着力を有するため、表面保護フィルムを剥がす際のフィルムのひび割れを抑制することができる。
【0010】
従って、上記構成によれば、外観に優れた光学フィルムを提供することができ、且つ安定して運搬等することができる光学用積層フィルムを提供することができるという効果を奏する。
【0011】
本発明に係る光学用積層フィルムでは、上記光学フィルムは厚さが20μm以上600μm以下の範囲内の未延伸フィルムであることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、特に柔軟性に欠ける未延伸フィルムにおいて、ロール巻き取り時、運搬時や表面保護フィルムを剥がす際の破断やひび割れを防ぎ、安定的に製造することができる。
【0013】
本発明に係る光学用積層フィルムでは、上記光学フィルムは厚さが20μm以上100μm以下の範囲内の延伸フィルムであることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、延伸で柔軟性が改善されていても厚さが薄いため強度が不十分なフィルムにおいて、ロール巻き取り時、運搬時や表面保護フィルムを剥がす際の破断やひび割れを防ぎ、安定的に製造することができる。
【0015】
本発明に係る光学用積層フィルムでは、上記表面保護フィルムは厚さが20μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、表面保護フィルムの膜厚精度の巻取工程への影響が抑制され、均一なロール状のフィルムが得られる。
【0017】
更には、表面保護フィルムの柔軟性が高いため、光学フィルムから剥がす際に光学フィルムにかかる局所的な応力を緩和できるため、光学フィルムの破断を防ぎ、安定的に製造することができる。
【0018】
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、上記課題を解決するために、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに表面保護フィルムを積層する工程を含む光学フィルムの製造方法であって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の製造方法である。
【0019】
上記方法によれば、光学フィルムに表面保護フィルムを貼り付ける工程を含むため、光学フィルムの破断やひび割れを抑制することができる。具体的には、光学フィルムは、柔軟性(可撓性)に欠けるため、製造装置の湾曲が多い部分を走行する際や、ロール状に巻き取られる際等に、破断やひび割れを生じ易いが、上記表面保護フィルムを貼り付けることにより、光学フィルムの破断やひび割れを抑制することができる。これにより、光学フィルムを安定的に製造することができる。
【0020】
更には、上記表面保護フィルムは上記範囲内の粘着力を有するため、表面保護フィルムを剥がす際のフィルムの破断やひび割れを抑制することができる。
【0021】
従って、上記方法によれば、外観に優れた光学フィルムを安定的に製造することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光学用積層フィルムは、以上のように、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムの少なくとも一方の面に表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムであって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の光学用積層フィルムである。
【0023】
このため、外観に優れた光学フィルムを提供することができ、且つ安定して運搬等することができる光学用積層フィルムを提供することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明に係る光学フィルムの製造方法は、以上のように、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに表面保護フィルムを積層する工程を含む光学フィルムの製造方法であって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の製造方法である。
【0025】
このため、外観に優れた光学フィルムを安定的に製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得るものである。
【0027】
尚、本明細書では、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「主成分」とは50質量%以上含むことを意味し、「ppm」は特に断らない限り質量換算で求められる値を意味し、例えば、10,000ppmは1質量%を意味する。また、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱い、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
【0028】
また、本明細書における「フィルム」には、フィルム状のものもシート状のものも含まれるものとする。上記光学フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、20μm以上600mm以下の範囲内であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る光学用積層フィルムは、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムの少なくとも一方の面に表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムであって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の光学用積層フィルムである。
【0030】
また、本発明に係る光学フィルムの製造方法は、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに表面保護フィルムを積層する工程を含む光学フィルムの製造方法であって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の製造方法である。
【0031】
(I)主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂
上記主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂としては、特に限定されず、公知の主鎖にイミド環構造を有する(メタ)アクリル酸系熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0032】
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びその誘導体を含む単量体(組成物)を重合して得られる樹脂及びその誘導体が挙げられる。
【0033】
上記(メタ)アクリル酸誘導体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル及び(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、熱安定性に優れる点で(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
【0034】
アクリル系樹脂中のアクリル酸、メタクリル酸及びその誘導体由来の構造単位の含有割合の下限は、好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上である。また、上限は97重量%未満が好ましく、より好ましくは95重量%未満、さらに好ましくは90重量%未満である。
【0035】
また、上記主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、主鎖中にイミド環構造を有する。イミド環構造とは、例えば、マレイミド由来の環構造やイタコンイミド由来の環構造やグルタルイミド環構造である。例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−メチルマレイミド等のマレイミド(誘導体)やN−フェニルイタコンイミド等のイタコンイミド(誘導体)が共重合することや、重合後に主鎖の環化反応により分子鎖中(重合体中の主骨格中又は主鎖中ともいう)にグルタルイミド環構造やマレイミド由来の環構造等を導入することによって得られる。
【0036】
イミド環構造を有するアクリル系樹脂中のイミド環構造の含有割合は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上である。3重量%以下では耐熱性が不足する場合がある。また、上限は97重量%未満が好ましく、より好ましくは95重量%未満、さらに好ましくは90重量%未満である。
【0037】
イミド環構造を有するアクリル系樹脂中(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位の含有割合とイミド環構造の含有割合の合計の下限は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。また、上限は100重量%未満が好ましく、より好ましくは99重量%未満である。
【0038】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、共重合可能なその他の単量体成分と共重合していてもよく、その他の単量体成分由来の構造単位を有していてもよい。共重合可能なその他の単量体成分としては、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、メタリルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシメチル−1−ブテンなどのアリルアルコール、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアルデヒド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0039】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、ガラス転移温度が110℃以上200℃以下の範囲内が好ましく、当該アクリル系樹脂は、一般に当該業者の間では耐熱アクリル系樹脂として認められる。ガラス転移温度は、より好ましくは115℃以上180℃以下の範囲内であり、更に好ましくは120℃以上160℃以下の範囲内である。ガラス転移温度が200℃より高いと、溶融樹脂の流動性が悪くなるため、フィルムの成形が困難となる傾向がある。なお、ガラスに成り得る物質は一般に、低温のガラス状態にあるときと高温の過冷却液体状態にあるときとで、物質に固有な狭い温度域を境にして、熱膨張係数や電気伝導度、粘度等の温度係数その他の物理量が急激に変化する。ガラス転移温度とは、この境の温度域をいい、ポリマー分子がミクロブラウン運動を始める温度のことである。ガラス転移温度には各種の測定方法があるが、本明細書においては示差走査熱量計(DSC)によってASTM−D−3418に従って中点法で求めた温度と定義する。
【0040】
また、上記主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は試験温度240℃、荷重10kgで測定したメルトフローレートが、好ましくは1〜100g/10分、より好ましくは3〜100g/10分、さらに好ましくは5〜50g/10分、特に好ましくは10〜50g/10分であることが好ましい。1g/10分よりも少ないと、成形加工性が乏しくなることがあり、好ましくない。また、100g/10分よりも多いと、得られた光学フィルムの機械的特性、可とう性、表面硬度等が低下することがあり、好ましくない。
【0041】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは1,000以上2,000,000以下の範囲内、より好ましくは5,000以上1,000,000以下の範囲内、更に好ましくは10,000以上500,000以下の範囲内、特に好ましくは50,000以上500,000以下の範囲内である。
【0042】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは2,000ppm以下である。残存揮発分の総量が5,000ppmよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーストリーク等の成形不良の原因となる。
【0043】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、特に限定されず公知の製造方法で製造が可能である。主鎖へのイミド環構造の導入方法としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−メチルマレイミド等のマレイミドやN−フェニルイタコンイミド等のイタコンイミドが共重合されていてもよいし、アクリル系樹脂の重合後に分子鎖中(重合体中の主骨格中又は主鎖中ともいう)にグルタルイミド環構造やマレイミド由来の環構造等を導入してもよい。
【0044】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体組成物を重合すればよい。必要に応じて、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−メチルマレイミド等のマレイミド(誘導体)やN−フェニルイタコンイミド等のイタコンイミド(誘導体)を共重合してもよく、また、重合後の環化反応により環構造を形成する(メタ)アクリル酸などを共重合しても良い。また、特に限定されず、共重合可能なその他の単量体成分と共重合していてもよい。共重合可能なその他の単量体成分としては、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
【0045】
重合温度、重合時間は、使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0℃以上150℃以下の範囲内、重合時間が0.5時間以上20時間以下の範囲内であり、より好ましくは、重合温度が80℃以上140℃以下の範囲内、重合時間が1時間以上10時間以下の範囲内である。
【0046】
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を製造する場合は、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるアクリル系樹脂の残存揮発分が多くなることから、沸点が50℃以上200℃以下の範囲内のものが好ましい。
【0047】
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
【0048】
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が60質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が60質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して60質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45量%以下である。尚、重合反応混合物中の重合体の濃度があまりに低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体の濃度は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
【0049】
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより十分に抑止することができ、特に、環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中の水酸基及びエステル基の割合を高めた場合であってもゲル化を十分に抑制できる。
【0050】
添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。
【0051】
上記重合反応を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれている。重合後に主鎖の環化反応を行う場合は、主溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、その後に続く環化工程を行うことが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続く環化工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
【0052】
重合反応によって得られたアクリル系樹脂の色相は特に問わないが、透明であり黄変度が小さい方がアクリル系樹脂の本来の特徴を損なわない為、好適である。上記アクリル系樹脂は例えば3mm厚の成形体とした場合のヘイズ値が3以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。また該成形体のYI(イエローインデックス)値が、10以下、好ましくは5以下である。
【0053】
重合後に主鎖の環化反応を行う場合、必要に応じて環化反応の触媒(環化触媒)を添加して環化反応を促進することが可能である。また、熱処理や以下に詳述する脱揮工程においても環化反応を行うことができる
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体、環化反応により副生したアルコール等の揮発分を、必要により減圧加熱条件下で、除去処理する工程をいう。この除去処理が不十分であると、生成した樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質等によって着色したり、泡やシルバーストリーク等の成形不良が起こったりする問題等が生じる。
【0054】
環化反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、使用する装置については特に限定されないが、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置やベント付き押出機、また、上記脱揮装置と上記押出機とを直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置又はベント付き押出機を用いることがより好ましい。
【0055】
上記熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲内が好ましく、200〜300℃の範囲内がより好ましい。反応処理温度が150℃より低いと、環化反応が不十分となって残存揮発分が多くなる恐れがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こる恐れがある。
【0056】
上記熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲内が好ましく、798〜66.5hPa(600〜50mmHg)の範囲内がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
【0057】
上記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でも何れでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
【0058】
上記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、150〜350℃の範囲内が好ましく、200〜300℃の範囲内がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、環化反応が不十分となって残存揮発分が多くなる恐れがあり、350℃より高いと、着色や分解が起こる恐れがある。
【0059】
上記ベント付き押出機を用いる場合の、反応処理時の圧力は、931〜1.33hPa(700〜1mmHg)の範囲内が好ましく、798〜13.3hPa(600〜10mmHg)の範囲内がより好ましい。上記圧力が931hPaより高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、1.33hPaより低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題がある。
【0060】
尚、環化反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られる主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂の物性が悪化する恐れがあるので、好ましくは、脱アルコール反応の触媒を使用し、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機等を用いて行うことが好ましい。
【0061】
また、環化反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体を溶剤とともに環化反応装置に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機等の上記反応装置に通してもよい。
【0062】
脱揮工程を環化反応の過程全体に亘っては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体を製造した装置を、更に加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化反応を行い、反応を完結させる形態である。
【0063】
先に述べた環化反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体を、2軸押出機を用いて、250℃近い、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化反応が起こる前に一部分解等が生じ、得られる主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂の物性が悪くなる恐れがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化反応を行う前に、予め環化反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られる主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂の物性の悪化を抑制できるので好ましい。
【0064】
特に好ましい形態としては、脱揮工程を環化反応の開始から時間をおいて開始する形態、即ち、重合工程で得られた重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とを予め環化反応させて環化反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型の反応器を用いて溶剤の存在下で環化反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置の付いた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機等で、環化反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特にこの形態の場合、環化反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
【0065】
上述のように、重合工程で得られた重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基とを予め環化反応させて環化反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化反応を行う方法は、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を得る上で好ましい形態である。この形態により、環化反応率もより高まり、ガラス転移温度がより高く、耐熱性に優れた主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂が得られる。
【0066】
脱揮工程を同時に併用した環化反応の前に予め行う環化反応の際に採用できる反応器は特に限定されないが、好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置等が挙げられ、更に、脱揮工程を同時に併用した環化反応に好適なベント付き押出機も使用できる。より好ましくは、オートクレーブ、釜型反応器である。しかしながら、ベント付き押出機等の反応器を使用するときでも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュウ形状、スクリュウ運転条件等を調整することで、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化反応を行うことが可能である。
【0067】
脱揮工程を同時に併用した環化反応の前に予め行う環化反応の際には、好ましくは、重合工程で得られた重合体と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させる方法、及び、上記(i)又は(ii)を加圧下で行う方法が挙げられる。
【0068】
尚、環化工程において環化反応に導入する「重合体と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま使用してもよいし、一旦溶剤を除去した後に環化反応に適した溶剤を再添加してもよいことを意味する。
【0069】
脱揮工程を同時に併用した環化反応の前に予め行う環化反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;クロロホルム、DMSO、テトラヒドロフラン等でもよいが、好ましくは、重合工程で用いることができる溶剤と同じ種類の溶剤である。
【0070】
環化触媒としては、金属塩や金属酸化物などの塩基性の環化触媒が使用可能である。環化触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。添加する触媒の量は特に限定されないが、重合体の質量に対し、好ましくは0.001〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.01〜2.5質量%の範囲内、更に好ましくは0.01〜0.1質量%の範囲内、特に好ましくは0.05〜0.5質量%の範囲内である。方法(i)の加熱温度と加熱時間とは特に限定されないが、加熱温度としては、好ましくは室温以上、より好ましくは50℃以上であり、加熱時間としては、好ましくは1〜20時間の範囲内、より好ましくは2〜10時間の範囲内である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、環化反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こる場合があるので好ましくない。
【0071】
上記方法(ii)としては、例えば、耐圧性の釜等を用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱する方法等が挙げられる。加熱温度としては、好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。加熱時間としては、好ましくは1〜20時間の範囲内、より好ましくは2〜10時間の範囲内である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、環化反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の着色や分解が起こる場合があるので好ましくない。
【0072】
上記方法(i)、(ii)ともに、条件によっては加圧下となっても何ら問題はない。また、脱揮工程を同時に併用した環化反応の前に予め行う環化反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
【0073】
脱揮工程を同時に併用した環化反応の前に予め行う環化反応の終了時、即ち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での質量減少率は、2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。質量減少率が2%より高いと、続けて脱揮工程を同時に併用した環化反応を行っても、環化反応率が十分高いレベルまで上がらず、得られる主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂の物性が低下する恐れがある。尚、上記の環化反応を行う際に、重合体に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
【0074】
重合工程で得られた重合体を予め環化反応させて環化反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化反応を行う形態の場合、予め行う環化反応で得られた重合体と溶剤とを分離することなく、脱揮工程を同時に併用した環化反応を行ってもよい。また、必要に応じて、上記重合体を分離してから溶剤を再添加する等のその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した環化反応を行っても構わない。
【0075】
脱揮工程は、環化反応と同時に終了することのみには限定されず、環化反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
【0076】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂は、上述したように、環化反応の際に触媒を使用することが可能であるが、当該触媒が樹脂中に残存していると、樹脂が加熱された際に、発泡現象が起こることがある。この発泡現象を防ぐために、失活剤を配合することが考えられる。環化反応に使用した触媒が延期性物質である場合、反応後に残存する触媒を失活させるためには、酸性物質を使用して中和すればよい。 (II)表面保護フィルム
本実施の形態に係る表面保護フィルムは、23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内である表面を有するフィルムである。表面保護フィルムの粘着力は、より好ましくは、0.02N/50mm幅以上0.15N/50mm幅未満の範囲内、更に好ましくは、0.02N/50mm幅以上0.1N/50mm幅未満の範囲内である。
【0077】
本明細書では、上記粘着力は、JIS Z−0237に準拠した180°剥離試験で測定した値を意味する。具体的には、ステンレス板の上に、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)を載せ、PMMA上に試験片(表面保護フィルム)を貼り付け、当該試験片を180°方向に速度300mm/minで引き剥がし、20mm間隔で4箇所の荷重を測定し、その平均値を粘着力とする。
【0078】
上記表面保護フィルムとしては、基材の上に粘着層がコーティング若しくは共押出されたフィルムが挙げられる。
【0079】
上記基材としては、特に限定は無いが、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂やポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂を用いた場合は、フィルムの柔軟性が高いため、光学フィルムから剥がす際にかかる局所的な応力を緩和できるため、光学フィルムの破断を防ぎ、安定的に製造することができる。
【0080】
上記粘着層は、上記粘着力を付与することができるものであれば特に限定されず、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、メタロセンL−LDPE(メタロセン触媒を用いて重合した、直鎖状低密度ポリエチレン)等が好ましい。
【0081】
上記表面保護フィルムの膜厚は、10〜100μmの範囲内であることが好ましく、20〜50μmの範囲内であることがより好ましく、20〜35μmの範囲内であることが更に好ましい。表面保護フィルムの膜厚が10μm未満では強度が十分でない。100μmを超える場合は表面保護フィルムの膜厚精度が巻取の均一性に影響して、安定な光学フィルムの製造が困難となる場合があり、また、光学フィルムから剥がす際に光学フィルムに局所的な応力がかかり易いため、製造時に光学フィルムが破断することがある。
【0082】
上記表面保護フィルムにおける粘着層は、上記アクリル系樹脂に表面保護フィルムを安定的に貼り付けることができれば、上記光学フィルムと接する面全体に設けられていてもよいし、一部のみに設けられていてもよい。
【0083】
(III)光学フィルムの製造方法
<製膜工程>
本実施の形態に係る光学フィルムは、上述した本実施の形態に係るアクリル系樹脂から得ることができる。尚、上記光学フィルムは、上記アクリル系樹脂を一旦取り出してから、後述する成形方法により作製してもよいし、上記アクリル系樹脂を取り出すことなく、後述する成形方法により連続的にフィルムを形成してもよい。
【0084】
上記アクリル系樹脂のフィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知のフィルム成形法が挙げられる。これらのフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が特に好適である。
【0085】
溶液キャスト法(溶液流延法)に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0086】
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が挙げられる。
【0087】
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられ、その際の成形温度は、フィルム原料のガラス転移温度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは150〜350℃の範囲内、より好ましくは200〜300℃の範囲内である。
【0088】
Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取ロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
【0089】
本実施の形態に係る光学フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムのどちらであってもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルム又は逐次2軸延伸フィルムのどちらであってもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルム性能が向上する。
【0090】
尚、上記光学フィルムの膜厚は、20μm以上600μm以下の範囲内であることが好ましい。また、延伸フィルムである場合は20μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0091】
本実施の形態に係る光学フィルムは、上記主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を主成分として含む。好ましくは70%以上100%以下の範囲内、より好ましくは80%以上100質量%以下の範囲内、更に好ましくは90質量%以上100質量%以下の範囲内、特に好ましくは95質量%以上100質量%以下の範囲内である。
【0092】
本実施の形態に係る光学フィルムは、上記主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂以外の成分を含ませることもできる。上記イミド環構造を有するアクリル系樹脂以外に含み得る成分としては、イミド環構造を有するアクリル系樹脂以外の重合体(その他の重合体)や、その他の添加剤等が挙げられる。
【0093】
その他の重合体としては、例えば、イミド環構造を有するアクリル系樹脂以外のアクリル系重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;等が挙げられる。光学フィルムにおける上記その他の重合体の含有割合は、好ましくは0質量%以上50質量%以下の範囲内、より好ましくは0質量%以上40質量%以下の範囲内、更に好ましくは0質量%以上30質量%以下の範囲内、特に好ましくは0質量%以上20質量%以下の範囲内である。
【0094】
また、その他の重合体としては、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂と熱力学的に相溶する熱可塑性重合体が好ましい。例えば、シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体やポリ塩化ビニル系重合体、メタクリル酸エステル類を50質量%以上含有する重合体が挙げられる。
【0095】
上記その他の添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、りん系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒロドキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;等が挙げられる。
【0096】
光学フィルムにおける上記その他の添加剤の含有割合は、好ましくは0質量%以上5質量%以下の範囲内、より好ましくは0質量%以上2質量%以下の範囲内、更に好ましくは0質量%以上0.5質量%以下の範囲内である。
【0097】
上記その他の重合体や添加剤は、フィルム形成前に予めアクリル系樹脂に溶融混練しておくことが好ましい。
【0098】
<表面保護フィルム積層工程>
表面保護フィルム積層工程では、上記製膜工程により得られる光学フィルムに、上述した表面保護フィルムを積層する。光学フィルムに、上述した表面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0099】
上記表面保護フィルムを貼り付ける方法は、特には限定されず、例えば、製膜装置を走行しているフィルムラインの下側若しくは上側に設置された繰り出し機(又は巻き出し機)等のモーターを有する駆動軸に表面保護フィルムロールをセットし、製膜したフィルムと表面保護フィルムとを2つのゴムロールにより押し付けることにより貼り合わせる等の方法が挙げられる。
【0100】
また、表面保護フィルムは、光学フィルムの片面のみに貼り合せてもよいし、両面に貼り合せてもよい。
【0101】
<巻取工程>
巻取工程では、上記表面保護フィルムを積層した光学フィルム(光学用積層フィルム)をロール状に巻き取る。より具体的には、巻取機に巻き芯をセットし、当該巻き芯に上記光学用積層フィルムを巻きつけ、光学用積層フィルムのラインスピードとほぼ同じ速度になるように、巻取速度を調整する。ここで、張力テーパーを5%以上30%以下の範囲内の割合とし、ロール径の増加に従って張力を減少させることにより、上記光学用積層フィルムをロール状に巻き取ることが好ましい。なお、本明細書における「張力テーパー」とは、初期張力に対するフィルムが巻き取り終わる時点での張力の減少率(下降率)を意味する。
【0102】
また、上記巻取時における初期張力は、巻き取るフィルムの膜厚等により適宜設定されるが、例えば、2Nを超え100N未満の範囲内に設定することができる。更には、上記巻取速度は、例えば、1〜100m/分の範囲内に設定することができる。
【0103】
尚、従来、フィルムに一定の厚みのナーリングを付与することによって巻きズレや巻き緩みを防ぐことが知られている(例えば、特開2002−211803号公報参照)。しかしながら、本実施の形態に係る方法によれば、ナーリングを付与することなく、フィルムロールの巻き崩れを抑制することができ、形状が均一なフィルムロールを作製することができる。
【0104】
また、上記ロール状に巻き取った光学用積層フィルムは、光学フィルムに表面保護フィルムが積層されているため、アクリル系樹脂特有の破断やひび割れを抑制して運搬等を行うことができる。
【0105】
<表面保護フィルム剥離工程>
上記光学用積層フィルムは、表面保護フィルムを剥がすことにより、光学フィルムとして使用することができる。
【0106】
ここで、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内であるため、表面保護フィルムを剥がす際の光学フィルムの破断やひび割れを抑制することができる。
【0107】
上記表面保護フィルムを剥がす方法は、特には限定されず、例えば、光学用積層フィルムの走行方向とは別の方向(例えば、光学用積層フィルムの下側若しくは上側)に設置された、トルクモーター等の駆動軸を備えた巻取機に表面保護フィルムを巻き取らせ、光学フィルムから表面保護フィルムを剥離させる等の方法が挙げられる。
【0108】
尚、上述の説明では、光学用積層フィルムをロール状に巻き取る場合について説明したが、これに限るものではない。光学用積層フィルムをロール状に巻き取らずに、例えば、所定の長さ毎に切断してもよい。光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内である表面保護フィルムをアクリル系樹脂に貼り付ける工程を含んでいれば、本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0109】
但し、本実施形態のように、光学用積層フィルムをロール状に巻き取る場合は、より効率よくフィルムを製造することができるので、特に効果が大きい。
【0110】
(IV)光学用積層フィルム
本実施の形態に係る光学用積層フィルムは、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに、表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムである。
【0111】
つまり、本実施の形態に係る光学用積層フィルムは、本実施の形態に係る上記光学フィルムに、本実施の形態に係る上記表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムである。
【0112】
本実施の形態に係る光学用積層フィルムでは、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力は0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内であり、、好ましくは、0.02N/50mm幅以上0.15N/50mm幅未満の範囲内、更に好ましくは、0.02N/50mm幅以上0.1N/50mm幅未満の範囲内である。ここで粘着力とは前述したように、JIS Z−0237に準拠した180°剥離試験で測定した値を意味する。具体的には、ステンレス板の上に、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)を載せ、PMMA上に試験片(表面保護フィルム)を貼り付け、当該試験片を180°方向に速度300mm/minで引き剥がし、20mm間隔で4箇所の荷重を測定し、その平均値を粘着力とする。
【0113】
以上のように、本発明に係る光学フィルムの製造方法は、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに表面保護フィルムを積層する工程を含む光学フィルムの製造方法であって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内の光学フィルムの製造方法である。
【0114】
このため、外観に優れた光学フィルムを安定的に製造することができるという効果を奏する。
【0115】
また、本発明に係る光学用積層フィルムは、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに、表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムであって、上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内である。
【0116】
このため、外観に優れた光学フィルムを提供することができ、且つ安定して運搬等することができる光学用積層フィルムを提供することができるという効果を奏する。
【0117】
尚、本発明は以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0118】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
【0119】
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。展開液はクロロホルムを用いた。
【0120】
<樹脂の熱分析>
熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。尚、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<メルトフローレート>
メルトフローレートは、JIS−K7210に基づき、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
【0121】
〔製造例1〕
液下槽および攪拌装置を備えた100Lのステンレス製重合槽に、メタクリル酸メチル42.5部、N−フェニルマレイミド5部、スチレン0.5部、トルエン50部、有機酸として無水酢酸0.2部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.06部を仕込み、100rpmで攪拌しながら、窒素ガスを10分間バブリングした後、窒素雰囲気下で昇温を開始した。
重合槽内の温度が100℃に達した時点で、重合槽内にt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.075部を加え、同時に、液下槽にて窒素ガスをバブリングした、スチレン2部とt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.075部との混合液を5時間かけて等速添加し始めた。そして、重合温度105〜110℃、還流下で15時間、重合反応を行った。
その後、得られた重合液に対して、リン系酸化防止剤として、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファネナントレン−10−オキシド(三光株式会社製、商品名「HCA」)を0.1重量%、フェノノール系酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(旭電化製「AO−60」)を0.02重量%、添加混合した。
次いで、得られた重合液をシリンダ温度240℃にコントロールしたベント付き30mm2軸押し出し機に供給し、ベント口より真空脱気し、押し出されたストランドをペレット化して、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂ペレット(1A)を得た。
得られたアクリル系樹脂ペレット(1A)は、樹脂物性が、重量平均分子量が100,000、メルトフローレートが15g/10min、ガラス転移温度が132℃、また、270℃、せん断速度100(1/s)における粘度は390Pa・sであった。
【0122】
得られたペレット(1A)を、φ65mm、L/D=32、バリアフライト型スクリューを有するベント付き単軸押出機に仕込んだ。ペレット(1A)の温度は、ホッパーに加温した除湿空気を送風することにより、60℃前後にした。また、ホッパー下部に窒素導入管を設けて、押出機内に窒素ガスを導入した。ベント口から40Torrにて吸引を行いながら、バリアフライト型スクリューにて溶融混練した。溶融混練後、ギアポンプを用いて、Tダイより、90℃の冷却ロール上に押出し、厚さ350μmの主鎖にイミド環構造を有する光学フィルムを成形した。
【0123】
〔実施例1〕
製造例1で得られた光学フィルムに、膜厚30μmの表面保護フィルム(商品名:トレテック7332、東レフィルム加工(株)社製、基材:ポリオレフィン、23℃での粘着力:0.07N/50mm幅)を貼り付けた。そして、巻取装置(最大巻取幅:φ600mm)を用い、初期張力を50N、張力テーパーを15%とすることで上記表面保護フィルムを貼り付けたフィルム(光学用積層フィルム)をロール状に巻き取った。当該光学用積層フィルムの巻取では、光学フィルムが破断することも無く100時間以上連続でロール状の光学用積層フィルムを取得することができた。
【0124】
尚、上記光学用積層フィルムのロール状の巻き取りは、内径76mmの芯を用い、巻取り径が600mmとなるまで行い、その後ロールを交換して巻き取りを再開するという操作を繰り返すことにより行った。
【0125】
得られたロール状の光学用積層フィルムは、巻き崩れも無く、ロール端部にひび割れを生じていなかった。また、表面保護フィルムを剥がす際にも光学フィルムが割れることはなかった。
【0126】
〔比較例1〕
膜厚60μmの表面保護フィルム(商品名:トレテック7141、東レフィルム加工(株)社製、基材:ポリオレフィン、23℃での粘着力:0.50N/50mm幅)を表面保護フィルムとして使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、ロール状の光学用積層フィルムを作製した。得られたロール状の光学用積層フィルムは、巻き崩れも無く、ロール端部にひび割れを生じていなかったが、表面保護フィルムを剥がす際に光学フィルムにひび割れが生じた。
【0127】
〔比較例2〕
表面保護フィルムを貼り付けないこと以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、フィルムが巻取機に到達する前に、ひび割れ及び破断が頻発し、連続して運転をすることができなかった。また、巻取機まで到達したフィルムも巻き崩れは起こらなかったが、ロールの両端がひび割れ、微細なフィルム破片が多数付着したため、外観の悪い製品しか得られなかった。
【0128】
〔比較例3〕
フィルムの巻取を一定の張力(50N)で行ったこと以外は比較例2と同様の操作を行ったところ、製品ロール両端のひび割れに加えて、ロールの巻き崩れが発生した。
【0129】
〔実施例2〕
製造例1で得られた光学フィルムを、温度130℃まで加熱し、赤外線ヒーターによる補助加熱下で縦方向に2.4倍に延伸を行った。次に、テンターへ供給し、温度140℃で横方向に2倍延伸し2軸延伸し、厚さが80μmの光学フィルムを製造した。この光学フィルムの片面に、膜厚30μmの表面保護フィルム(商品名:トレテック7332、東レフィルム加工(株)社製、基材:ポリオレフィン、23℃での粘着力:0.07N/50mm幅)を貼り付けた。そして、巻取装置(最大巻取幅:φ400mm)を用い、初期張力を80N、張力テーパーを15%とすることで上記表面保護フィルムを貼り付けたフィルム(光学用積層フィルム)をロール状に巻き取った。当該光学用積層フィルムの巻取では、光学フィルムが破断することも無く100時間以上連続でロール状の光学用積層フィルムを取得することができた。
【0130】
尚、上記光学用積層フィルムのロール状の巻き取りは、内径152mmの芯を用い、巻取り径が400mmとなるまで行い、その後ロールを交換して巻き取りを再開するという操作を繰り返すことにより行った。
【0131】
得られたロール状の光学用積層フィルムは、巻き崩れも無く、ロール端部にひび割れを生じていなかった。また、表面保護フィルムを剥がす際にも光学フィルムが割れることはなかった。
【0132】
〔比較例4〕
膜厚60μmの表面保護フィルム(商品名:トレテック7141、東レフィルム加工(株)社製、基材:ポリオレフィン、23℃での粘着力:0.50N/50mm幅)を表面保護フィルムとして使用したこと以外は実施例2と同様の操作を行い、ロール状の光学用積層フィルムを作製した。得られたロール状の光学用積層フィルムは、巻き崩れも無く、ロール端部にひび割れを生じていなかったが、表面保護フィルムを剥がす際に光学フィルムが破断した。
【0133】
〔比較例5〕
表面保護フィルムを貼り付けないこと以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、フィルムが巻取機に到達する前に、破断が頻発し、連続して運転をすることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0134】
上述したように、本発明の光学フィルムの製造方法を用いることにより、外観に優れた光学フィルムを安定的に製造することができる。従って、本発明は、液晶表示装置等のフラットパネル表示装置に用いられる、偏光子保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム等の各種光学フィルムの製造に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムの少なくとも一方の面に表面保護フィルムが積層された光学用積層フィルムであって、
上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内である光学用積層フィルム。
【請求項2】
上記光学フィルムは厚さが20μm以上600μm以下の範囲内の未延伸フィルムである請求項1に記載の光学用積層フィルム。
【請求項3】
上記光学フィルムは厚さが20μm以上100μm以下の範囲内の延伸フィルムである請求項1に記載の光学用積層フィルム。
【請求項4】
上記表面保護フィルムは厚さが20μm以上50μm以下の範囲内である請求項1から3のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
【請求項5】
主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂を含む光学フィルムに表面保護フィルムを積層する工程を含む光学フィルムの製造方法であって、
上記表面保護フィルムにおける上記光学フィルムと接する面の23℃での粘着力が0.02N/50mm幅以上0.4N/50mm幅未満の範囲内である光学フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2010−228296(P2010−228296A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78403(P2009−78403)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】