説明

光学的情報読取装置

【課題】長大なバーコードを高い解像度で迅速に読み取ることができ、かつ操作性、コスト面に優れた光学的情報読取装置を提供する。
【解決手段】バーコードリーダ1は、バーコードBの第一領域を照射する第一照明光源21と、第二領域を照射する第二照明光源22とを備え、第一領域側の画像を、受光センサ28の過半領域に亘って結像させる第一結像レンズ26と、第一領域側の画像と一部重複する第二領域側の画像を、過半領域に亘って結像させる第二結像レンズ27とを有する。さらに、第一照明状態に設定されるときに、第一領域側の第一画像データを受光センサに出力させ、第二照明状態に設定されるときに、第二領域側の第二画像データを出力させる構成をなし、第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バーコード等の識別コードを読み取る光学的情報読取装置として、識別コードからの反射光を、受光素子を配列した受光センサによって読み取る構成のものが提供されている。例えば、特許文献1では、バーコードを複数領域に分割すると共に各領域ごとに読取操作を行い、この複数回の読取操作によって得られた複数のデータを合成することでバーコード全体の読み取りを行うようにしている。このような技術によれば、バーコードが幅広であっても読み取りを好適に行うことができる。
【特許文献1】特開平4−111083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の構成の場合、、幅広なバーコードを読み取ることができるという効果が得られるものの、一つのバーコードに対して複数回の読み取り操作を行わなければならず、手間と時間がかかるという問題がある。一方、手間や時間を削減する方法として、幅広なバーコード全体を網羅する程度に受光センサを大型化する方法も考えられるが、このように受光センサを大型化するとコスト面等において不利となる。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、長大なバーコードを高い解像度で迅速に読み取ることができ、かつ操作性、コスト面に優れた光学的情報読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、受光素子を配列した受光センサと、長手状の識別コードに対して照明光を照射する照明手段と、前記照明手段を制御する照明制御手段と、前記受光センサの露光を制御する露光制御手段と、前記識別コードの画像を結像する結像手段と、前記受光センサから出力された前記識別コードの画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記画像データに基づいて前記識別コードをデコードするデコード手段と、を備えた光学的情報読取装置であって、前記照明手段は、前記識別コードの長手方向の第一領域を照射する第一照明手段と、前記識別コードの前記第一領域から前記長手方向にずれた第二領域を照射する第二照明手段と、を備え、前記結像手段は、前記識別コードの前記第一領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第一結像手段と、前記第一領域側の画像と一部重複する前記第二領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第二結像手段と、を備え、前記照明制御手段は、前記照明手段を、前記第二領域よりも前記第一領域を明るく照明する第一照明状態と、前記第一領域よりも前記第二領域を明るく照明する第二照明状態と、に設定変更可能に構成され、前記露光制御手段は、前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに、前記第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを前記受光センサに出力させ、前記第二照明状態に設定されるときに、前記第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データを前記受光センサに出力させる構成をなし、前記記憶手段は、前記受光センサが出力した前記第一画像データ及び前記第二画像データをそれぞれ記憶し、前記デコード手段は、前記記憶手段に記憶された前記第一画像データと前記第二画像データとの重複部分に基づき、前記第一画像データ及び前記第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、受光素子を配列した受光センサと、長手状の識別コードに対して照明光を照射する照明手段と、前記照明手段を制御する照明制御手段と、前記受光センサの露光を制御する露光制御手段と、前記識別コードの画像を結像する結像手段と、前記結像手段を制御する結像制御手段と、前記受光センサから出力された前記識別コードの画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記画像データに基づいて前記識別コードをデコードするデコード手段と、を備えた光学的情報読取装置であって、前記照明手段は、前記識別コードの長手方向の第一領域を照射する第一照明手段と、前記識別コードの前記第一領域から前記長手方向にずれた第二領域を照射する第二照明手段と、を備え、前記結像手段は、前記識別コードの前記第一領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第一結像状態と、前記第一領域側の画像と一部重複する前記第二領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第二結像状態とに切替可能とされ、前記照明制御手段は、前記照明手段を、前記第二領域よりも前記第一領域を明るく照明する第一照明状態と、前記第一領域よりも前記第二領域を明るく照明する第二照明状態と、に設定変更可能に構成され、前記結像制御手段は、前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに前記結像手段を前記第一結像状態に切り替え、前記第二照明状態に設定されるときに前記第二結像状態に切り替える構成をなし、前記露光制御手段は、前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに、前記第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを前記受光センサに出力させ、前記第二照明状態に設定されるときに、前記第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データを前記受光センサに出力させる構成をなし、前記記憶手段は、前記受光センサが出力した前記第一画像データ及び前記第二画像データをそれぞれ記憶し、前記デコード手段は、前記記憶手段に記憶された前記第一画像データと前記第二画像データとの重複部分に基づき、前記第一画像データ及び前記第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置において、前記識別コードはバーコードであり、前記第一照明手段は、前記バーコードにおける長手方向一方側の領域を照射し、前記第二照明手段は、前記一方側とは反対側の領域を照射する構成をなし、前記露光制御手段は、前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに、前記バーコードにおける前記一方側の画像が結像されてなる前記第一画像データを、前記受光センサに出力させ、前記第二照明状態に設定されるときに、前記反対側の画像が結像されてなる前記第二画像データを、前記受光センサに出力させる構成をなすことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記照明制御手段は、前記第一照明状態において、前記第一照明手段の照明をオンすると共に前記第二照明手段の照明をオフし、前記第二照明状態において、前記第一照明手段の照明をオフすると共に前記第二照明手段の照明をオンするように前記第一照明手段及び前記第二照明手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、識別コードの第一領域側の画像を、受光センサの過半領域に亘って結像させる第一結像手段と、第一領域側の画像と一部重複する第二領域側の画像を、受光センサの過半領域に亘って結像させる第二結像手段とを備え、照明手段が第一照明状態に設定されるときに、第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを受光センサに出力させ、第二照明状態に設定されるときに、第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データが受光センサに出力させるようにしている。従って、識別コードにおける2つの領域の画像を、複雑な操作を伴うことなく迅速に取得できる。また、第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成するようにしているため、長大なバーコードを高い解像度で良好に読み取ることができる。また、本構成によれば、受光センサを大型化させずに長大なバーコードを良好に読み取ることができるため、コスト面にも優れた構成となる。
【0010】
請求項2の発明では、識別コードの第一領域側の画像を、受光センサの過半領域に亘って結像させる第一結像状態と、第一領域側の画像と一部重複する第二領域側の画像を、受光センサの過半領域に亘って結像させる第二結像状態とで切替可能な結像手段を備えると共に、照明手段が第一照明状態に設定されるときに結像手段を第一結像状態に切り替え、第二照明状態に設定されるときに第二結像状態に切り替える結像制御手段が設けられ、さらに、第一照明状態に設定されるときに、第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを受光センサに出力させ、第二照明状態に設定されるときに、第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データを受光センサに出力させるようにしている。従って、識別コードにおける2つの領域の画像を、複雑な操作を伴うことなく迅速に取得できる。また、第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成するようにしているため、長大なバーコードを高い解像度で良好に読み取ることができる。また、本構成によれば、受光センサを大型化させずに長大なバーコードを良好に読み取ることができるため、コスト面にも優れた構成となる。
【0011】
請求項3の発明では、第一照明手段が、バーコードにおける長手方向一方側の領域を照射し、第二照明手段が、一方側(第一照明手段による照射側)とは反対側の領域を照射する構成をなし、第一照明状態に設定されるときに、バーコードにおける一方側の画像が結像されてなる第一画像データを、受光センサに出力させ、第二照明状態に設定されるときに、反対側の画像が結像されてなる第二画像データを、受光センサに出力させる構成としている。この構成によれば、長大化しやすいバーコードを2つの領域に分割して高い解像度で良好に読み取ることができ、またその読み取り操作の簡易化及び迅速化をも図りうることとなる。
【0012】
請求項4の発明では、第一照明状態において、第一照明手段の照明をオンすると共に第二照明手段の照明をオフし、第二照明状態において、第一照明手段の照明をオフすると共に第二照明手段の照明をオンするように第一照明手段及び第二照明手段を制御している。従って、第一領域側の画像を読み取る際に、第二照明手段の影響を排除でき、第一領域側の画像を精度高く良好に読み取ることができる。同様に、第二領域側の画像を読み取る際には、第一照明手段の影響を排除できるため、第二領域側の画像を精度高く良好に読み取ることができる。さらに、読み取り側ではない側を照らす照明手段(例えば、第一領域側を読み取るときには、読み取り側ではない側を照らす第二照明手段)をオフするようにしているため、省電力化をも図りうる構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の光学的情報読取装置の第1実施形態に係るバーコードリーダ1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。また、図2は、図1のバーコードリーダ1における照明手段、結像手段を説明する説明図である。なお、図2上図は読み取り対象となる長大なバーコードBを読取面(読取対象物R(図1)におけるバーコードBが付された面)と直交する向きに見た図であり、図2下図は、バーコードB及び照明手段、結像手段を読取面に沿った向きに見た図である。図3は、バーコードリーダ1における読取処理の制御の流れを例示するフローチャートである。図4は、照明タイミング、露光タイミング、画像取り込みタイミングを説明するタイミングチャートである。図5は、第一領域側の画像及び第二領域側の画像等を説明する説明図である。図6は、合成デコードデータの生成について説明する説明図である。
【0014】
バーコードリーダ1は、「光学的情報読取装置」の一例に相当するものであり、図1に示す回路部20をケース(図示略)に収容してなるものであり、当該ケースに設けられた図示しない読取口から照明光Lf1,Lf2(後述)を導出すると共に、バーコードB(バーコードBは「識別コード」の一例に相当する)からの反射光Lr1,Lr2を受光センサ28によって受光し、得られた画像データに基づいてバーコードBの情報を読み取る構成をなしている。
【0015】
図1に示すように、回路部20は、第一照明光源21、第二照明光源22、受光センサ28、第一結像レンズ26、第二結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ50等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、図示しない電源回路等からなる電源系とから構成されている。
【0016】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。
図1、図2に示すように、投光光学系を構成する第一照明光源21、第二照明光源22は、それぞれ照明光Lf1,Lf2を発光可能とされており、いずれも「照明手段」として機能する。第一照明光源21は、「第一照明手段」の一例に相当するものであり、バーコードBの長手方向の第一領域(第一照明光源21によって照射される領域であり、少なくともバーコードBの一方側半分を含む領域)を照射するものであり、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。また、第二照明光源22は、「第二照明手段」の一例に相当するものであり、バーコードBの第一領域から長手方向にずれた第二領域(第二照明光源22によって照射される領域であり、少なくともバーコードBの他方側半分を含む領域)を照射するものである。この第二照明光源22も、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1、図2に示すように、バーコードBが所定の読取位置に設定されたときに、第一領域(第一照明光源21によって照射される領域)と第二領域(第二照明光源22によって照射される領域)とが一部重なるようになっている。
【0017】
本実施形態では、第一照明光源21、第二照明光源22により、それぞれ照明光Lf1,Lf2が独立して発光可能とされ、これら照明光Lf1,Lf2がケースに設けられた読取口を介して読取対象物Rに照射されるようになっている。なお、この読取対象物Rには、識別コードの一例としてのバーコードBが貼付されている。
【0018】
受光光学系は、第一結像レンズ26、第二結像レンズ27、受光センサ28、及び反射鏡(図示略)によって構成されている。
図1、図2に示す受光センサ28は、受光素子を配列してなるものであり、例えばCCDラインセンサなどによって構成されている。この受光センサ28は、バーコードBにて反射した反射光Lr1,Lr2を受光可能に構成されるものであり、反射光Lr1が第一結像レンズ26を介して入射する入射光、及び反射光Lr2が第二結像レンズ27を介して入射する入射光を共に受光し得るように、プリント配線板(図示略)に実装されている。
【0019】
第一結像レンズ26、第二結像レンズ27は、バーコードBの画像を結像する「結像手段」の一例に相当するものである。第一結像レンズ26は、「第一結像手段」の一例に相当するものであり、第一照明光源21からの照明光Lf1がバーコードBにて反射された反射光Lr1を集光し、バーコードBの第一領域側の画像を受光センサ28の長手方向過半領域(例えば受光センサ28の略全領域)に亘って結像させる構成をなしている。また、第二結像レンズ27は、「第二結像手段」の一例に相当するものであり、第二照明光源22からの照明光Lf2がバーコードBにて反射された反射光Lr2を集光し、第一領域側の画像と一部重複する第二領域側の画像を、受光センサ28の長手方向過半領域(例えば受光センサ28の略全領域)に亘って結像させる構成をなしている。
【0020】
なお、図1、図2では、反射鏡の図示を省略しているが、反射光Lr1,Lr2が第一結像レンズ26、第二結像レンズ27に至るまでの経路上に反射鏡をそれぞれ配置してもよく、第一結像レンズ26、第二結像レンズ27から受光センサ28に至るまでの経路上に反射鏡を配置してもよい。
【0021】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。図1に示すように、マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ50、LED49、ブザー44、液晶表示器47、通信インタフェース48等から構成されている。
【0022】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、RAM等からなるメモリ35(メモリ35は「記憶手段」の一例に相当する)に入力されると、所定の画像データ格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。つまり、この構成では、同期信号に対応して格納アドレスが発生するようになっているため、同期信号に応じて受光センサ28から出力される画像データが、その同期信号に対応して発生した格納アドレスの領域に格納されることとなる。
【0023】
制御回路40は、バーコードリーダ1全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、操作スイッチ50、LED49、ブザー44、液晶表示器47、通信インタフェース48等が接続されている。これにより、例えば、操作スイッチ50の監視や管理、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取ったバーコードBによるコード内容を外部機器へ通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。
なお、制御回路40は、「照明制御手段」、「露光制御手段」、「デコード手段」の一例に相当するものであり、これら手段として機能する例については後述する。
【0024】
操作スイッチ50は、外部操作(例えば押圧操作)可能に構成されるスイッチであり、外部操作に応じた信号を制御回路40に与える。本実施形態に係るバーコードリーダ1では、操作スイッチ50の操作をトリガーとしてバーコードの読み取りが開始されるようになっている。
【0025】
次に、バーコードの読取処理について説明する。
図3に示す読取処理は、図1の操作スイッチ50が操作されることで開始されるものであり、まず、S10にて照明手段(即ち第一照明光源21及び第二照明光源22)を第一照明状態に設定する処理を行う。この第一照明状態は、第二領域よりも第一領域を明るく照明する状態であり、本実施形態では、図1、図2に示す第一照明光源21をオンし、第二照明光源22をオフすることで実現される。図4では、その制御のタイミングを例示しており、図4に示すように、制御回路40から、第一照明光源21を駆動する第一駆動回路(図示略)に対してオン信号(第一照明光源駆動信号)が与えられ、第二照明光源22を駆動する第二駆動回路(図示略)に対してオフ信号(第二照明光源非駆動信号)が与えられることで、照明手段が第一照明状態に設定される。このように、照明手段の制御は、「照明制御手段」として機能する制御回路40によって行われることとなる。
【0026】
さらに、第一照明光源21のオンと同時又はそれよりも後に、制御回路40から受光センサ28に対し露光信号が出力される。この露光信号は、受光センサ28に対して露光を行わせるための信号であり、受光センサ28では露光信号が出力されている間、露光が行われる(S20)。このように、受光センサ28の露光の制御は、「露光制御手段」として機能する制御回路40によって行われる。
【0027】
そして、露光開始後、予め定められた制御時間(露光時間)が経過すると、S30にてYesに進み、受光センサ28に画像データを出力させる制御を行う(S40)。具体的には、図4に示すように、露光信号を停止すると共に、その停止後に、受光センサ28に対して画像の取り込み信号を与える。具体的には、制御回路40から同期信号発生回路38に対して画像の取り込み信号を与え、受光センサ28は、取り込み信号に応じて出力される同期信号をトリガとして蓄積された画像データを出力することとなる。このとき出力される画像データは、第一照明状態において第一領域側の画像が結像されてなる「第一画像データ」に相当するものであり、出力された第一画像データは、増幅回路31にて所定ゲインで増幅され、A/D変換回路33にてアナログ信号からディジタル信号に変換された後、メモリ35に記憶される。
【0028】
さらに、第一画像データを二値化する二値化処理が行われる(S50)。この二値化処理は、得られた第一画像データを、所定の閾値に基づいて明レベルと暗レベルに区分けすることで、第一領域の明暗分布を生成する処理である。図5(a)に示すようなバーコードを読み取り対象とする場合、左側画像(第一領域側の画像)によって、図5(b)に示すような信号波形が得られ、右側画像(第二領域側の画像)によって図5(c)のような信号波形が得られる。この信号波形において、予め閾値を超える部分を明レベルとし、閾値以下の部分を暗レベルとするように比較処理を行えば、明レベル領域の位置と幅、及び暗レベル領域の位置と幅を特定しうる明暗パターンデータ(図6(a)、(b)参照)が得られる。S50における第一画像データの二値化処理はこのようにして行われると共に、図6(a)のような明暗パターンデータが生成され、得られた明暗パターンデータはメモリ35に記憶される(S60)。
【0029】
その後、S70にて、照明手段(即ち第一照明光源21及び第二照明光源22)を第二照明状態に設定する処理が行われる。この第二照明状態は、第一領域よりも第二領域を明るく照明する状態であり、第一照明光源21をオフし、第二照明光源22をオンすることで実現される。具体的には、「照明制御手段」として機能する制御回路40から、第一照明光源21を駆動する第一駆動回路(図示略)に対してオフ信号(第一照明光源非駆動信号)が与えられると共に、第二照明光源22を駆動する第二駆動回路(図示略)に対してオン信号(第二照明光源駆動信号)が与えられ、これにより照明手段が第二照明状態に設定される。
【0030】
そして、第二照明光源22のオンと同時又はそれよりも後に、制御回路40から受光センサ28に対し露光信号が出力され、その露光信号が出力されている間、受光センサ28にて露光が行われる(S80)。そして、露光開始後、予め定められた制御時間(露光時間)が経過すると、S90にてYesに進み、受光センサ28に画像データを出力させる制御を行う(S100)。この制御は、制御回路40によってS40と同様に行われるものであり、露光信号を停止すると共に、その停止後に、同期信号発生回路38(図1)に対して取り込み信号を与える。受光センサ28は、取り込み信号に応じて出力される同期信号をトリガとして蓄積された画像データを出力する。この画像データは、第二照明状態において第二領域側の画像が結像されてなる「第二画像データ」に相当するものであり、出力された第二画像データは、増幅回路31にて所定ゲインで増幅され、A/D変換回路33にてアナログ信号からディジタル信号に変換された後、メモリ35に記憶される。
【0031】
さらに、第二画像データを二値化する二値化処理が行われる(S110)。二値化処理は、S50と同様であり、得られた第二画像データを、所定の閾値に基づいて明レベルと暗レベルに区分けし、明暗分布を生成すると共に、明暗パターンデータをメモリ35に記憶する(S120)。このようにして、メモリ35には、第一画像データ及び第二画像データがそれぞれ明暗パターンデータとして記憶されることとなる。
【0032】
その後、合成処理が行われる(S130)。この合成処理では、まず、第一画像データに係る明暗パターンデータと、第二画像データに係る明暗パターンデータがメモリ35から読み出される。図6(a)は、第一画像データの明暗パターンデータを概念的に図示するものであり、図6(b)は、第二画像データの明暗パターンデータを概念的に図示するものである。合成処理では、これらのパターンの一致部分を検出すると共に、それら一致部分に基づいて図6(c)のように両パターンをつなぎ合わせ、1つのパターンデータを生成する。このようにして、メモリ35に記憶された第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成する。
【0033】
S130の合成処理の後、得られたデータがコードとして認識できるか否かの確認処理を行う(S140)。具体的には、S130の合成処理によって合成された1つのパターンデータが、バーコードBの全領域に対応したコードとして認識できるか否かを判断しており、例えばS130にてパターンの一致部分が検出できない等、コードとして認識できるデータが得られない場合にはS140にてNoに進む。一方、適切な合成処理がなされ、図6(c)のように合成された1つのパターンデータがバーコードBの全領域に対応したコードとして認識できる場合には、S140にてYesに進み、合成された1つのパターンデータをデコードしてなる合成デコードデータをメモリ35に記憶すると共に(S150)、照明手段の照明光をOFFし(S170)、当該処理を終了する。制御回路40は、このようにして「デコード手段」として機能する。
【0034】
なお、S140にてNoに進む場合には、制御条件を変更する処理(S150)を行い、S10以降の処理を再び行う。なお、S150における制御条件の変更は様々な例が考えられるが、照明手段から発せられる照明光の光量を変更したり、図5(b)、(c)に示す閾値を変更する等の処理が挙げられる。
【0035】
本実施形態の構成によれば、バーコードBの第一領域側の画像を、受光センサ28の過半領域に亘って結像させる第一結像レンズ26と、第一領域側の画像と一部重複する第二領域側の画像を、受光センサ28の過半領域に亘って結像させる第二結像レンズ27とを備え、照明手段が第一照明状態に設定されるときに、第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを受光センサ28に出力させ、第二照明状態に設定されるときに、第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データが受光センサ28に出力させるようにしている。従って、バーコードBにおける2つの領域の画像を、複雑な操作を伴うことなく迅速に取得できる。また、第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成するようにしているため、長大なバーコードを高い解像度で良好に読み取ることができる。また、本構成によれば、受光センサ28を大型化させずに長大なバーコードを良好に読み取ることができるため、コスト面にも優れた構成となる。
【0036】
また、第一照明光源21が、バーコードBにおける長手方向一方側の領域を照射し、第二照明光源22が、一方側(第一照明光源21による照射側)とは反対側の領域を照射する構成をなし、第一照明状態に設定されるときに、バーコードBにおける一方側の画像が結像されてなる第一画像データを、受光センサ28に出力させ、第二照明状態に設定されるときに、反対側の画像が結像されてなる第二画像データを、受光センサ28に出力させる構成としている。この構成によれば、長大化しやすいバーコードBを2つの領域に分割して高い解像度で良好に読み取ることができ、またその読み取り操作の簡易化及び迅速化をも図りうることとなる。
【0037】
また、第一照明状態において、第一照明光源21の照明をオンすると共に第二照明光源22の照明をオフし、第二照明状態において、第一照明光源21の照明をオフすると共に第二照明光源22の照明をオンするように第一照明光源21及び第二照明光源22を制御している。従って、第一領域側の画像を読み取る際に、第二照明光源22の影響を排除でき、第一領域側の画像を精度高く良好に読み取ることができる。同様に、第二領域側の画像を読み取る際には、第一照明光源21の影響を排除できるため、第二領域側の画像を精度高く良好に読み取ることができる。さらに、読み取り側ではない側を照らす照明手段(例えば、第一領域側を読み取るときには、読み取り側ではない側を照らす第二照明光源22)をオフするようにしているため、省電力化をも図りうる構成となる。
【0038】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の光学的情報読取装置の第2実施形態に係るバーコードリーダ100の電気的構成を概略的に示すブロック図である。また、図8は、図7のバーコードリーダ100における照明手段、結像手段を説明する説明図である。図9は、バーコードリーダ100における読取処理の制御の流れを例示するフローチャートである。
【0039】
本発明の光学的情報読取装置の第2実施形態に係るバーコードリーダ100の回路部120は、第1実施形態の回路部20と一部が異なるが、増幅回路31、A/D変換回路33、同期信号発生回路38、アドレス発生回路36、操作スイッチ50、LED49、ブザー44、液晶表示器47、通信インターフェース48等は、第1実施形態と同様の構成のものが用いられている。よってこれらについてはそれぞれ第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0040】
バーコードリーダ100は、長手状のバーコードB(識別コード)に対して照明光Lf1,Lf2を照射する照明手段と、バーコードBの画像を結像する結像手段と、受光素子を配列した受光センサ128と、受光センサ128から出力された識別コードの画像データを記憶するメモリ135(メモリ135は、記憶手段の一例に相当する)とを備えている。なお、受光センサ128は、第1実施形態の受光センサ28(図1)と同様の構成のものが用いられ、メモリ135も第1実施形態のメモリ35と同様の構成のものが用いられている。
【0041】
バーコードリーダ100の照明手段は、バーコードBの長手方向の第一領域(第一照明光源121によって照射される領域であり、少なくともバーコードBの一方側半分を含む領域)を照射する第一照明光源121と、識別コードの第一領域から長手方向にずれた第二領域(第二照明光源122によって照射される領域であり、少なくともバーコードBの他方側半分を含む領域)を照射する第二照明光源122とによって構成されている。この第1照明光源121も第1実施形態の第1照明光源21(図1)と同様の構成のものが用いられ、第二照明光源122も第1実施形態の第2照明光源22(図1)と同様の構成のものが用いられている。
【0042】
バーコードリーダ100の結像手段は、光方向変更手段として機能するプリズム126と、プリズム126からの光を取り込む結像レンズ127と、プリズム126の変位を制御するアクチュエータ(図示略)とによって構成されており、バーコードBの第一領域(第一照明光源121によって照射される領域)側の画像を、受光センサ128の過半領域に亘って結像させる第一結像状態と、第一領域側の画像と一部重複する第二領域(第2照明光源122によって照射される領域)側の画像を、受光センサ128の過半領域に亘って結像させる第二結像状態とに切替可能とされている。
【0043】
アクチュエータは例えばステッピングモータなどによって構成されており、プリズム126はこのアクチュエータ及び制御回路140によって、第一領域側からの反射光Lr1を取り込む第一回転状態(図7、図8の二点鎖線の状態)と、第二領域側からの反射光Lr2を取り込む第二回転状態(図7、図8の実線の状態)とに切り替えられる。即ち、制御回路140から第一回転状態とする信号が出力されることにより、アクチュエータが駆動されて、プリズム126が図7、図8に示す二点鎖線の状態となり、制御回路140から第二回転状態とする信号が出力されることにより、プリズム126が図7、図8に示す実線の状態となる。プリズム126が二点鎖線の状態となると、第一領域側からの反射光Lr1がプリズム126に入光すると共に、当該プリズム126によって結像レンズ127に向けて偏向され、結像レンズ127を介して受光センサ128の長手方向過半領域に亘り受光される。このように第一領域側からの反射光Lr1が受光センサ128に受光状態が「第一結像状態」に相当する。また、プリズム126が図7、図8の実線の状態となると、第二領域側からの反射光Lr2がプリズム126に入光すると共に、当該プリズム126によって結像レンズ127に向けて偏向され、結像レンズ127を介して受光センサ128の長手方向過半領域に亘り受光される。このように第二領域側からの反射光Lr2が受光センサ128に受光状態が「第二結像状態」に相当する。本実施形態の結像手段では、このようにして第一結像状態と第二結像状態が切り替わるようになっている。
【0044】
図7に示す制御回路140は、バーコードリーダ100全体を制御可能なマイコンであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ135とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。本実施形態では、制御回路140が「照明制御手段」、「結像制御手段」、「露光制御手段」「デコード手段」の一例に相当している。
【0045】
次に、バーコードの読取処理について説明する。図9に示す読取処理は、図7の操作スイッチ50が操作されることで開始されるものであり、まず、S200にて照明手段(即ち第一照明光源121及び第二照明光源122)を第一照明状態に設定する処理を行う。この第一照明状態は、第二領域よりも第一領域を明るく照明する状態であり、本実施形態では、図7、図8に示す第一照明光源121をオンし、第二照明光源122をオフすることで実現される。この制御は第1実施形態における第一照明状態の設定と同様であり、制御回路140から、第一照明光源121を駆動する第一駆動回路(図示略)に対してオン信号(第一照明光源駆動信号)が与えられ、第二照明光源122を駆動する第二駆動回路(図示略)に対してオフ信号(第二照明光源非駆動信号)が与えられることで、照明手段が第一照明状態に設定される。このように、照明手段の制御は、「照明制御手段」として機能する制御回路140によって行われることとなる。
【0046】
さらに、結像手段を第一結像状態に設定する処理を行う(S210)。第一結像状態は上述した通りであり、制御回路140からプリズム126を駆動するアクチュエータ(図示略)に対し、プリズム126を第一回転状態とするための信号が出力され、これによりアクチュエータが駆動されてプリズム126が第一回転状態(第一領域側からの反射光Lr1を取り込み、結像レンズ127に向けて偏向しうる状態)となる。このように、第一照明状態に設定されるときに、制御回路140の制御により、結像手段が第一結像状態に切り替えられるようになっており、制御回路140が「結像制御手段」としての役割を果たすこととなる。
【0047】
さらに、制御回路140から受光センサ128に対し露光信号が出力される。この露光信号は、受光センサ128に対して露光を行わせるための信号であり、受光センサ128では露光信号が出力されている間、露光が行われる(S220)。このように、受光センサ128の露光の制御は、「露光制御手段」として機能する制御回路140によって行われる。
【0048】
そして、露光開始後、予め定められた制御時間(露光時間)が経過すると、S230にてYesに進み、受光センサ128に画像データ(第一画像データ)を出力させる制御を行う(S140)。なお、S240、S250、S260の処理は、第一実施形態のS40、S50、S60の処理(図3)と同様であり、S260の処理が終了すると、第一画像データの明暗パターンデータがメモリ135に格納されることとなる。
【0049】
その後、S270にて、照明手段(即ち第一照明光源121及び第二照明光源122)を第二照明状態に設定する処理が行われる。この第二照明状態は、第一領域よりも第二領域を明るく照明する状態であり、第一照明光源121をオフし、第二照明光源122をオンすることで実現される。具体的には、「照明制御手段」として機能する制御回路140から、第一照明光源121を駆動する第一駆動回路(図示略)に対してオフ信号(第一照明光源非駆動信号)が与えられると共に、第二照明光源122を駆動する第二駆動回路(図示略)に対してオン信号(第二照明光源駆動信号)が与えられ、これにより照明手段が第二照明状態に設定される。
【0050】
さらに、結像手段を第二結像状態に設定する処理を行う(S280)。第二結像状態は上述した通りであり、制御回路140からプリズム126を駆動するアクチュエータ(図示略)に対し、プリズム126を第二回転状態とするための信号が出力され、これによりアクチュエータが駆動されてプリズム126が第二回転状態(第二領域側からの反射光Lr2を取り込み、結像レンズ127に向けて偏向しうる状態)となる。このように、第二照明状態に設定されるときに、結像制御手段として機能する制御回路140によって第二結像状態に切り替えられることとなる。
【0051】
そして、制御回路140から受光センサ128に対し露光信号が出力され、その露光信号が出力されている間、受光センサ128にて露光が行われる(S290)。そして、露光開始後、予め定められた制御時間(露光時間)が経過すると、S300にてYesに進み、受光センサ128に画像データを出力させる制御を行う(S310)。なお、S310、S320、S330の処理は、第一実施形態のS100、S110、S120の処理(図3)と同様であり、S330の処理が終了すると、第二画像データの明暗パターンデータがメモリ135に格納されることとなる。このようにして、メモリ135には、第一画像データ及び第二画像データがそれぞれ明暗パターンデータとして記憶されることとなる。
【0052】
S340、S350、S370、S380の処理は、第一実施形態のS130、S140、S150、S160の処理と同様であり、メモリ135に記憶された第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成、出コードすることとなる。なお、S350にてNoに進む場合には、制御条件を変更する処理(S360)を行い、S200以降の処理を再び行う。この設定条件変更処理も、第一実施形態におけるS150の処理(図3)と同様に行うことができる。
【0053】
本実施形態の構成によれば、バーコードBにおける2つの領域の画像(第一領域側の画像及び第二領域側の画像)を、複雑な操作を伴うことなく迅速に取得できる。また、第一画像データと第二画像データとの重複部分に基づき、第一画像データ及び第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成するようにしているため、長大なバーコードを高い解像度で良好に読み取ることができる。また、本構成によれば、受光センサ128を大型化させずに長大なバーコードを良好に読み取ることができるため、コスト面にも優れた構成となる。
【0054】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0055】
上記実施形態では、2つの領域の画像を合成する例を示したが、3以上であってもよい。例えば、第三照明手段を設け、第一照明手段、第二照明手段、第三照明手段によって長手方向にずれた異なる領域をそれぞれ照射するようにしてもよい。この場合、第一領域側の第一画像データ、第二領域側の第二画像データ、第三領域側の第三画像データを、重複部分に基づいて合成及びデコードした合成デコードデータを生成すればよい。
【0056】
上記実施形態では、長手状の識別コードとしてバーコードBを例示したが、これに限定されない。例えば、バーコード以外の一次元コードなどであってもよい。
【0057】
上記実施形態では、第一照明状態において、第一照明光源の照明をオンすると共に第二照明光源の照明をオフし、第二照明状態において、第一照明光源の照明をオフすると共に第二照明光源の照明をオンするように第一照明光源及び第二照明光源を制御していたが、これに限定されない。例えば、第一照明状態において、第一照明光源の照明を所定の第一光量とすると共に、第二照明光源の照明を、その第一光量よりも光量を抑えてオンし、第二照明状態において、第二照明光源の照明を所定の第二光量とすると共に、第一照明光源の照明をその第二光量よりも光量を抑えてオンするようにしてもよい。
【0058】
第一実施形態では、結像手段として図2に示すような例を挙げたが、第一領域側の画像及び第二領域側の画像を受光センサ28の過半領域に亘って結像し得る構成であればこれに限定されない。例えば、図10、図11のような構成であってもよい。
図10では、第一実施形態と同様の第一照明光源21、第二照明光源22、及び受光センサ28が設けられ、第一領域側からの反射光Lr1が入光する結像レンズ326と受光センサ28との間には、結像レンズ326を透過した光を導く光ファイバ328が設けられ、この光ファイバ328によって第一領域側からの反射光が受光センサ28に案内されるようになっている。第二領域側からの反射光Lr2は結像レンズ327に入光されるが、この結像レンズ327を透過した光は、そのまま受光センサ28に受光される形態であってもよく、光ファイバによって受光センサ28に案内される形態であってもよい。
図11でも第一実施形態と同様の第一照明光源21、第二照明光源22、及び受光センサ28が設けられている。この例では、ミラー425及び半透過ミラー424が設けられており、第一領域側からの反射光Lr1はミラー425に反射されると共に、半透過ミラー424によって反射され、プリズム426に導かれるようになっている。半透過ミラー424は、第二領域側からの反射光Lr2が透過する構成をなしており、この反射光Lr2は半透過ミラー424を透過してプリズム426に導かれる。いずれの反射光Lr1,Lr2もプリズム426によって結像レンズ427に向けて偏向され、受光センサ28の過半領域に亘って受光されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るバーコードリーダ1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、図1のバーコードリーダ1における照明手段、結像手段を説明する説明図である。
【図3】図3は、図1のバーコードリーダ1における読取処理の制御の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4は、照明タイミング、露光タイミング、画像取り込みタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図5】図5は、第一領域側の画像及び第二領域側の画像等を説明する説明図である。
【図6】図6は、合成デコードデータの生成について説明する説明図である。
【図7】図7は、本発明の光学的情報読取装置の第2実施形態に係るバーコードリーダ100の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図8は、図7のバーコードリーダ100における照明手段、結像手段を説明する説明図である。
【図9】図9は、図7のバーコードリーダ100における読取処理の制御の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図10は、図2とは異なる結像手段について、別例1を示す説明図である。
【図11】図11は、図2とは異なる結像手段について、別例2を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1,100…バーコードリーダ(光学的情報読取装置)
21,121…第一照明光源(第一照明手段)
22,122…第二照明光源(第二照明手段)
26…第一結像レンズ(結像手段、第一結像手段)
27…第二結像レンズ(結像手段、第二結像手段)
28,128…受光センサ
35,135…メモリ(記憶手段)
40…制御回路(照明制御手段、露光制御手段、デコード手段)
126…プリズム(結像手段)
127…レンズ(結像手段)
140…制御回路(照明制御手段、露光制御手段、結像制御手段、デコード手段)
B…バーコード(識別コード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子を配列した受光センサと、
長手状の識別コードに対して照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段を制御する照明制御手段と、
前記受光センサの露光を制御する露光制御手段と、
前記識別コードの画像を結像する結像手段と、
前記受光センサから出力された前記識別コードの画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記画像データに基づいて前記識別コードをデコードするデコード手段と、
を備えた光学的情報読取装置であって、
前記照明手段は、
前記識別コードの長手方向の第一領域を照射する第一照明手段と、
前記識別コードの前記第一領域から前記長手方向にずれた第二領域を照射する第二照明手段と、
を備え、
前記結像手段は、
前記識別コードの前記第一領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第一結像手段と、
前記第一領域側の画像と一部重複する前記第二領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第二結像手段と、
を備え、
前記照明制御手段は、
前記照明手段を、前記第二領域よりも前記第一領域を明るく照明する第一照明状態と、前記第一領域よりも前記第二領域を明るく照明する第二照明状態と、に設定変更可能に構成され、
前記露光制御手段は、
前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに、前記第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを前記受光センサに出力させ、前記第二照明状態に設定されるときに、前記第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データを前記受光センサに出力させる構成をなし、
前記記憶手段は、
前記受光センサが出力した前記第一画像データ及び前記第二画像データをそれぞれ記憶し、
前記デコード手段は、
前記記憶手段に記憶された前記第一画像データと前記第二画像データとの重複部分に基づき、前記第一画像データ及び前記第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成することを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
受光素子を配列した受光センサと、
長手状の識別コードに対して照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段を制御する照明制御手段と、
前記受光センサの露光を制御する露光制御手段と、
前記識別コードの画像を結像する結像手段と、
前記結像手段を制御する結像制御手段と、
前記受光センサから出力された前記識別コードの画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記画像データに基づいて前記識別コードをデコードするデコード手段と、
を備えた光学的情報読取装置であって、
前記照明手段は、
前記識別コードの長手方向の第一領域を照射する第一照明手段と、
前記識別コードの前記第一領域から前記長手方向にずれた第二領域を照射する第二照明手段と、
を備え、
前記結像手段は、
前記識別コードの前記第一領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第一結像状態と、前記第一領域側の画像と一部重複する前記第二領域側の画像を、前記受光センサの過半領域に亘って結像させる第二結像状態とに切替可能とされ、
前記照明制御手段は、
前記照明手段を、前記第二領域よりも前記第一領域を明るく照明する第一照明状態と、前記第一領域よりも前記第二領域を明るく照明する第二照明状態と、に設定変更可能に構成され、
前記結像制御手段は、前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに前記結像手段を前記第一結像状態に切り替え、前記第二照明状態に設定されるときに前記第二結像状態に切り替える構成をなし、
前記露光制御手段は、
前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに、前記第一領域側の画像が結像されてなる第一画像データを前記受光センサに出力させ、前記第二照明状態に設定されるときに、前記第二領域側の画像が結像されてなる第二画像データを前記受光センサに出力させる構成をなし、
前記記憶手段は、
前記受光センサが出力した前記第一画像データ及び前記第二画像データをそれぞれ記憶し、
前記デコード手段は、
前記記憶手段に記憶された前記第一画像データと前記第二画像データとの重複部分に基づき、前記第一画像データ及び前記第二画像データを合成及びデコードした合成デコードデータを生成することを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記識別コードはバーコードであり、
前記第一照明手段は、前記バーコードにおける長手方向一方側の領域を照射し、前記第二照明手段は、前記一方側とは反対側の領域を照射する構成をなし、
前記露光制御手段は、前記照明手段が前記第一照明状態に設定されるときに、前記バーコードにおける前記一方側の画像が結像されてなる前記第一画像データを、前記受光センサに出力させ、前記第二照明状態に設定されるときに、前記反対側の画像が結像されてなる前記第二画像データを、前記受光センサに出力させる構成をなすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記照明制御手段は、前記第一照明状態において、前記第一照明手段の照明をオンすると共に前記第二照明手段の照明をオフし、前記第二照明状態において、前記第一照明手段の照明をオフすると共に前記第二照明手段の照明をオンするように前記第一照明手段及び前記第二照明手段を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−282069(P2008−282069A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123093(P2007−123093)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】