説明

光学的画像読取装置及び画像読取方法

【課題】コンパクトな外形でも長尺帳票を処理できる光学的画像読取装置を提供する。
【解決手段】光学的画像読取装置は、筐体内に取り込まれた帳票を周回させて搬送可能な循環型の搬送路5と、取込口近傍の搬送路5の第1位置に設けられ、第1位置を通過する帳票から情報を読み取る密着センサー15と、第1位置から搬送路5上を所定距離進んだ第2位置近傍に設けられ、情報を正常に読み取った帳票に印字する印字部と、第2位置よりも搬送方向後方に設けられ、帳票を第1位置へ戻す周回方向と排出する方向に振り分けるフラッパ18,24と、密着センサー15により情報が読み取られた帳票が、第1位置から第2位置までの搬送距離Lを超える長さの帳票の場合、周回方向Cへ振り分けるようフラッパ18,24を制御するコントローラ40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホッパから搬送された帳票等の紙葉類の画像を読み取った後、帳票への印字や複数のスタッカへの振分けを行う機能を有する光学的画像読取装置及び画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帳票等の紙葉類を搬送する搬送路上に光学読み取り部を配置し、この光学読み取り部を介して紙葉類に記された文字や図形等をイメージとして読み取る紙葉類移動型の光学的画像読取装置、つまりシートフェッド型光学的画像読取装置が知られている。
【0003】
従来から、ホッパに積載した帳票を順に読み取って、希望する順序で画像データを出力する技術が既にある。
【特許文献1】特開2002−118695公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、ホッパから搬送された帳票類が画像読取された後、その結果によって振分部で複数のスタッカへ振り分けているため、読取部から振分部までの搬送路の長さは、読み取る帳票のサイズによって設計寸法が決まってしまう。
例えば、A3版の帳票を縦方向に処理する場合、読取部から振分部までの搬送路長さは、最低でも420mm以上必要となる。
【0005】
このため、A3版の帳票を処理する装置であれば、読取部から振分部までの搬送路の長さが420mm以上、つまり処理対象の帳票の搬送方向のサイズ以上の長さが必要であり、例えば帳票の入口と出口が直線状に配置された装置では、420mm以上の奥行きが必要であり、給紙口(ホッパ)と排紙口(スタッカ)が前面部に設けられた装置であったとしても装置内で帳票をほぼ半周程度しかさせることができないため、それ相応の外形が必要である。
つまり、処理対象の紙葉類のサイズに見合っただけの装置外形が必要であり、装置が大型化する要因となっていた。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、コンパクトな外形でありながら長尺帳票を処理することができる光学的画像読取装置及び画像読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の光学的画像読取装置は、帳票取込口と帳票排出口が設けられた筐体と、前記帳票取込口から前記筐体内に取り込まれた帳票を周回させて搬送可能な循環型搬送路を構成する搬送手段と、前記帳票取込口の近傍の前記循環型搬送路の第1位置に設けられ、前記第1位置を通過する前記帳票から情報を読み取る帳票読取部と、前記帳票読取部により情報が読み取られた帳票、またはその情報から、前記帳票の搬送方向の長さを検出する帳票長さ検出部と、前記第1位置から前記循環型搬送路上を所定距離進んだ第2位置近傍に設けられ、前記帳票読取部で情報を正常に読み取った前記帳票に印字する印字部と、前記第2位置よりも搬送方向後方でかつ前記帳票排出口手前に設けられ、前記帳票を前記第1位置へ戻す周回方向とそれ以外の方向に振り分ける振分部と、前記帳票長さ検出部により前記第1位置から前記第2位置までの搬送距離を超える長さの帳票が検出された場合、前記帳票を前記周回方向へ振り分けるよう前記振分部を制御する制御部とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の画像読取方法は、筐体の帳票取込口から前記筐体内に取り込まれた帳票を、搬送手段が循環型搬送路を通じて筐体の帳票排出口へ搬送するステップと、前記帳票取込口の近傍の前記循環型搬送路の第1位置に設けられた帳票読取部が、前記第1位置を通過する前記帳票から情報を読み取るステップと、前記帳票読取部により情報が読み取られた帳票、またはその情報から、前記帳票の搬送方向の長さを検出するステップと、前記第1位置から前記循環型搬送路上を所定距離進んだ第2位置近傍までの搬送距離を超える長さの帳票が検出された場合、前記第2位置よりも搬送方向後方でかつ前記帳票排出口の手前に設けられ振分部が、前記循環型搬送路を周回させる方向へ前記帳票を振り分けるステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、コンパクトな外形でありながら長尺帳票を処理することができる光学的画像読取装置及び画像読取方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一つの実施の形態の光学的画像読取装置の概観図、図2はこの光学的画像読取装置の構成を概略的に示す側面図、図3はこの光学的画像読取装置の制御系を機能的に示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、この光学的画像読取装置1は、帳票取込口と帳票排出口が筐体前面部に設けられたものであり、帳票取込口から帳票等の紙葉類Pを装置内部に取り込み循環型の搬送路を搬送しつつ帳票上に記された文字や図形等をイメージデータ(画像)として読み取り、情報を正常に読み取った帳票に対して印字処理などを施した上で帳票排出口から排出する紙葉類移動型の光学的画像読取装置、つまりシートフェッド型光学的画像読取装置である。
【0012】
この光学的画像読取装置1の前面部には、ディスプレイ47と操作部48が設けられている。ディスプレイ47には、操作手順等の各種メニューと処理状況及びエラー内容等が表示される。操作部48には、帳票の処理開始や停止を指示したり、エラーを解除するための釦類が設けられている。
【0013】
図1及び図2に示すように、この光学的画像読取装置1は、ホッパテーブル2と、帳票取込部としてのピックアップローラ3と、帳票取込口付近に設けられた分離部(フィードローラ4およびセパレートローラ6)と、上部搬送用ローラとしてのピンチローラ9と、下部搬送用ローラとしてのドライブローラ8と、画像読取部としての密着センサー15と、プラテンローラ16および印字ヘッド17などを有する印字部と、第1振分部としてのフラッパ18と、リジェクトスタッカ19、アクセプトスタッカ20と、第2振分部としてのフラッパ24と、搬送路5上に配置された各種センサー(帳票積載検知センサー7、変位センサー10、帳票繰出検出センサー11、搬送センサー21,22,23,25等)と、合流部12と、装置内の各部に電力を供給する電源部31と、コントローラ40とを備えている。フラッパ18,24を振分部と称す。
【0014】
ホッパテーブル2は、筐体の帳票取込口に設けられている。ホッパテーブル2には、装置内部に取り込まれる帳票類Pが多数積み重ねた状態で搭載される。つまりホッパテーブル2には、帳票Pの束が積載される。ピックアップローラ3は、ホッパテーブル2に積載された多数の帳票Pの最上面に摺接して最上部の帳票を装置内部へ繰り出す(引き込む)。
【0015】
帳票積載検知センサー7は、ホッパテーブル2に積載された帳票の有無を検知して、その有無の検知信号をコントローラ40へ通知する。
変位センサー10は、ピンチローラ9の上端部に設けられている。変位センサー10は、ピンチローラ9の高さ(上下方向の位置)の変位を検知し、位置検知信号をコントローラ40へ送出する。
【0016】
分離部は、フィードローラ4とこれに対向配置された分離ローラ6で構成されている。フィードローラ4は、ピックアップローラ3から送られた帳票を搬送路5へ送り込むローラである。分離ローラ6は、フィードローラ4の回動速度に対して遅延するなどしてフィードローラ4と協働して帳票を一枚ずつに分離した上で装置内部へ取り込む。すなわち、この分離部は、フィードローラ4とピックアップローラ3により繰り出された帳票が複数枚であった場合、1枚ずつに分離して装置内へ取り込む。
【0017】
ピンチローラ9及びドライブローラ8は、帳票が搬送される循環型の搬送路5を形成するように、上下方向から搬送路5を挟んで対向して図示のようにそれぞれの部位(位置)に設けられている。
ドライブローラ8は、モータにより駆動されて、帳票をピンチローラ9と共に両面から挟持しつつ搬送する搬送機構44(図3参照)の一部である。搬送機構44は、ベルト、ガイドレールなども備えており、ホッパテーブル2(帳票取込口)からピックアップローラ3により筐体内に取り込まれた帳票を、装置内を周回させて搬送することが可能な循環型の搬送路5を構成する。
【0018】
密着センサー15は、帳票取込口の近傍の循環型の搬送路5の第1位置に設けられている。密着センサー15は、搬送路5上を搬送されて第1位置を通過する帳票から画像を読み取る画像読取ユニットであり、例えばCCDラインセンサーなどにより構成される。
【0019】
搬送センサー21は、密着センサー15が設けられている第1位置から搬送路5上を所定距離進んだ第2位置に設けられている。印字ヘッド17は、搬送路5上、搬送センサー21の後に設けられている。搬送センサー25は、フラッパ24と合流部12との間の搬送路5上に配置されており、周回方向Cに搬送された帳票を検知するセンサーである。
【0020】
印字ヘッド17は、プラテンローラ16に対向して設けられている。印字ヘッド17と対向配置されたプラテンローラ16とを合わせて印字部と称す。印字ヘッド17は、密着センサー15により情報が正常に読み取られた帳票に印字する。具体的には、印字ヘッド17は、正常に読み取り済みの帳票に対して、例えば連続番号等を印字する。
【0021】
フラッパ18は、第2位置よりも搬送方向後方の帳票排出口手前(第3位置)に設けられている。フラッパ18は、コントローラ40により制御されて、帳票を2周目へ周回させる周回方向Cまたはアクセプトスタッカ20とそれ以外の方向(リジェクトスタッカ19への方向)に振り分ける。
リジェクトスタッカ19は、読み取り処理が正常に行わなかった帳票が集積される帳票集積部である。アクセプトスタッカ20は、読み取り処理が正常に行われた帳票が集積される帳票集積部である。
【0022】
フラッパ24は、長尺と判定された帳票を2周目の第1位置へ戻す周回方向Cと、情報が正常に読み取られた帳票をアクセプトスタッカ20へ搬送する方向のいずれかに帳票を振り分ける。
印字ヘッド17による印字処理を終えた帳票は、フラッパ18,24により振り分けられてアクセプトスタッカ20へ送られる。
【0023】
搬送センサー21,22,23,25は、搬送路5の所定位置を、帳票が通過したことを検知して「明」、「暗」の検知信号でコントローラ40へ通知する。
具体的には、帳票繰出検出センサー11、搬送センサー21,22,23,25は、発光部と受光部とを搬送路5を隔てて対向配置した赤外線センサーなどの遮光センサーであり、搬送路5上を搬送される帳票により発光部から発光された赤外線の光が受光部により受光されなくなった、つまり遮光されたときに「暗」信号をコントローラ40へ送出し、それ以外のときは「明」信号をコントローラ40へ送出する。
【0024】
合流部12は、搬送センサー25の位置を通過した長尺帳票を2周させるため、長尺帳票を下側の搬送路5に戻すように合流させるガイド機構部分であり、具体的には、傾斜したガイド板などにより構成される。
【0025】
図3に示すように、コントローラ40は、主にCPU41、メモリ42およびインターフェース43を有している。
インターフェース43には、この装置内の各部からの内部配線が接続されている。各部とは、密着センサー15、ディスプレイ47、操作部48、モータを含む搬送駆動系44、各種センサー(帳票積載検知センサー7、変位センサー10、帳票繰出検出センサー11、搬送センサー21,22,23,25)、印字ヘッド17等である。
【0026】
CPU41は、変位センサー10からの位置検知信号を受けてその位置検知信号に含まれる変位量と予めメモリ42に設定された一枚の帳票の基準紙厚とを比較して帳票Aの重送検知(判定)を行う。基準紙厚は、例えば0.09mm±0.02mmなどといった範囲を持っている。
CPU41は、変位量が、一枚の帳票の基準紙厚の範囲を超えた場合は、重送と判定する。重送とは複数枚の帳票が重なって搬送されることを言う。
CPU41は、帳票の重送を検知した場合、ピックアップローラ3、フィードローラ4、分離ローラ6、ドライブローラ8などを駆動する搬送駆動系44を制御して帳票の搬入及び搬送動作を停止させる。
【0027】
CPU41は、密着センサー15により情報が読み取られた帳票、またはその情報から、帳票の搬送方向の長さを検出する帳票サイズ検出部または帳票長さ検出部として機能する。
具体的にはCPU41は、密着センサー15により情報が読み取られた帳票の先端または後端の検出による形状検知、またはその帳票から読み取った画像情報、文字認識した結果(帳票に予め印字されている帳票サイズ情報(A4等))から、帳票の搬送方向の長さを検出する。
【0028】
CPU41は、フラッパ18,24を制御して2周目の第1位置への周回方向とそれ以外の方向(リジェクトスタッカ19への方向)に帳票を振り分ける。
CPU41は、第1位置で密着センサー15が帳票の読み取りを開始してから、第2位置の搬送センサー21により帳票が検出されるまで、密着センサー15による情報の読み取りが継続した場合、その帳票を長尺帳票として判定する。
【0029】
このように第1位置から第2位置までの搬送距離L(図5参照)を超える長さの帳票が検出された場合、CPU41は、帳票を2周目の周回方向へ振り分けるようフラッパ18,24を制御する制御部として機能する。
なお、長尺帳票を検出する方法としては、搬送センサー21で帳票の通過を検出する方法以外に、密着センサー15が帳票の読み取りを開始した時点から帳票読み取り時間をパルスカウントし、帳票の読み取りが何カウント継続するかで判定してもよい。
【0030】
CPU41は、帳票を周回方向Cへ振り分けた場合、長尺帳票が合流部12から下側の搬送路5に合流して帳票終端部が密着センサー15の位置を通過するまでの間、ピックアップローラ3に対して次の帳票の取り込みを待機させるよう駆動制御する。
【0031】
以下、図4乃至図6を参照してこの光学的画像読取装置の動作を説明する。
この光学的画像読取装置では、操作部48より処理開始の指示コマンドの入力があった場合、コントローラ40は、搬送モータおよびホッパテーブル2駆動用のモータを駆動して(図4のステップS101)、ホッパテーブル2を上方向に移動し、ホッパテーブル2上に積載された帳票類Pのうちの最上部の帳票が、ピックアップするのに最適な高さになった位置で、ピックアップローラ3によって繰り出されて、装置内に取り込まれ、分離部に送り込まれる。
【0032】
分離部では、繰り出されてきた帳票が複数枚であった場合、帳票が1枚ずつに分離される。具体的には、コントローラ40では、CPU41が、変位センサー10からの位置検知信号(変位量の検知信号)による高さの変動値と予め設定された帳票一枚の基準紙厚とを比較して帳票が一枚か複数枚かを判定する。
この判定の結果、ピックアップローラ3により繰り出された帳票が複数枚であった場合、CPU41は、分離ローラ6の回転を停止または低速にする。これにより帳票が1枚ずつに分離されて、1枚ずつ装置内へ取り込まれる。すなわち、変位センサー10からの変位量検知信号によってコントローラ40は、搬送される帳票の重送検知を行う。
【0033】
分離部によって1枚ずつ装置内へ取り込まれた帳票は、1番目のドライブローラ8とピンチローラ9によって先端が挟み込まれて搬送路5へ送り込まれる。
帳票を繰り出すに従ってピックアップローラ3の高さが下がってくると、コントローラ40は、ピックアップに最適な高さになるまでホッパテーブル2を上方に上げ、安定的に帳票の繰り出し動作を行う。
【0034】
1枚になった帳票は、1番目のドライブローラ8とピンチローラ9によって先端をつかまれ、搬送路5へ送り込まれる。ピンチローラ9は変位センサー10でその変位量が検知されている。その後、帳票は、合流部12を通過して循環型の搬送路5に入り、ドライブローラ8とピンチローラ9によって挟持されながら搬送路5を順に搬送される。
【0035】
搬送路5上では、第1位置に配置された密着センサー15の位置を帳票が通過するときに帳票表面および裏面の画像が読み取られる(ステップS102)。
密着センサー15で帳票の画像を読み取っているときは、画像が伸縮しないようにドライブローラ8をパルスモータで定速に駆動する。この間、次の帳票が搬送路5に入って来ないように、帳票の送り込みを1番目のドライブローラ8とピンチローラ9によって停止できるようになっている。
【0036】
搬送路5へ送り込まれた帳票は、密着センサー15により読み取られて、その画像の電気信号がコントローラ40へ出力される。
コントローラ40のCPU41は、入力された電気信号から帳票の表面の画像を生成し、その画像についての後処理を行う。後処理としては、文字認識処理などである。
このようにして密着センサー15およびコントローラ40にて、表面の読み取り処理が行われた帳票は、ドライブローラ8とピンチローラ9によって挟持されながら搬送路5上を搬送される。
【0037】
搬送路5上に帳票を搬送し、帳票が搬送センサー21にたどり着く間に、CPU41は、帳票から読み取った画像の長さを検出する。
そして、帳票が搬送センサー21に検出されたとき、検出された帳票の長さが、第1位置から第2位置までの距離Lよりも長いか否かを判定する(ステップS103)。
この判定の結果、図5に示すように、検出された帳票の長さAが、第1位置から第2位置までの距離Lよりも短い場合(ステップS103のNo)、次にCPU41は、帳票から読み取った画像の長さが第1位置から第2位置までの距離Lよりも長いか否かを判定する(ステップS104)。
この判定の結果、画像の長さが、第1位置から第2位置までの距離Lよりも短い場合(ステップS104のNo)、CPU41は、文字認識処理が正常に終了していたら、印字処理を行う(ステップS105)。
【0038】
つまり、帳票が搬送センサー21により検知されるまでの間に、密着センサー15または帳票繰出検出センサー11により帳票の終端が検知されていた場合、読み取り中の帳票が通常処理可能なサイズ(例えばA4等)であり、かつ読み取り処理の結果、画像データから所定の文字またはデータを正常に読み取った場合、CPU41が印字ヘッド17を制御して、搬送されてきた帳票が読み取り処理済みのものであることを示す整理番号を印字部で印字する。
【0039】
そして、CPU41は、フラッパ18、24を制御して搬送方向をアクセプトスタッカ20の側へ切り替えて、印字済みの帳票を振り分け(ステップS106)、アクセプトスタッカ20へ集積する(ステップS107)。
【0040】
一方、上記ステップS103,S104の判定の結果、図6に示すように、帳票の長さB、または画像の長さのいずれかが、第1位置から第2位置までの距離Lよりも長い場合(ステップS103のYes、ステップS104のYes)、CPU41は、その帳票を長尺の帳票と判定し、フラッパ18、24を制御して帳票の搬送方向を周回方向Cへ切り替え(ステップS108)、帳票をその方向(循環させる方向)へ搬送し(ステップS109)、合流部12から元の下側の搬送路5へ搬送し(ステップS110)、長尺帳票を2周させる。2周目で帳票の情報を正常に読み取った場合、CPU41は、その長尺帳票に印字部で印字した後、アクセプトスタッカ20に集積する。
【0041】
すなわち、帳票が搬送センサー21により検知された時点で、いまだに帳票繰出検出センサー11によって同じ帳票が検知されていた場合、CPU41は、現在、読み取り中の帳票が通常処理可能なサイズ(例えばA4等)ではない長尺の帳票(例えばA3等)であるものと判定して、印字部での印字を行わずに、その帳票を、搬送路5を2周、つまり周回(循環)させるようにフラッパ18,24を制御する。
つまりCPU41は、判定結果により、フラッパ18、24を駆動して搬送経路を切り替え、帳票は、フラッパ18によってリジェクトされるものとされないものに分けられ、次のフラッパ24によって循環させるものとアクセプトスタッカ20へ排出するものに分けられる。
【0042】
リジェクトされる帳票は、搬送センサー22によって検知(監視)されてリジェクトスタッカ19に集積される。また、リジェクトされない帳票のうち、正常に処理された帳票は、搬送センサー23によって検知(監視)されて筐体外部へ排出され、アクセプトスタッカ20に集積される。
【0043】
さらに、リジェクトされない帳票のうち、長尺帳票は、循環方向Cへ搬送経路が切り替えられて搬送路5を2周するように搬送される。
そして、2周させた長尺帳票については、情報を正常に読み取った場合、CPU41は、印字部にて印字処理を行い、フラッパ18,24を図5のような角度に制御して、帳票をアクセプトスタッカ20の方向へ搬送しアクセプトスタッカ20に蓄積する。
【0044】
この一連の帳票読取動作は、ホッパテーブル2に帳票類Pがなくなって帳票積載検知センサー7が「明」となるか、操作部48から動作停止の指示コマンドがコントローラ40に入力されるまで繰り返される。
【0045】
このようにこの実施形態の光学的画像読取装置によれば、各センサーからの検知信号がコントローラ40に入力されて、CPU41により、処理中の帳票が長尺帳票か否かが判定されて帳票を循環させるか否かが判定され、長尺帳票については循環搬送して搬送路5を2周させるので、最大で、帳票繰出検出センサー11の位置から搬送路5を時計回り(図面上)で周回させて搬送センサー25の位置までの長さの長尺帳票を扱えるようになる。
この結果、コンパクトな外形の筐体でありながら通常処理可能な帳票サイズ(例えばA5,A4等)よりも長い長尺帳票(例えばA3、A2等)を処理することができる。
【0046】
以上、本発明を各実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0047】
上述した実施形態では、2つのフラッパ18、24のうち、フラッパ18では、リジェクトする帳票とそれ以外の帳票に振り分け、次のフラッパ24で2周させる帳票とアクセプトスタッカ20に蓄積する帳票に振り分けたが、振り分けゲート(振分部)の構成はこれ以外にもさまざまな形態が考えられる。
例えば、図7に示すように、フラッパ18の後段にフラッパ26を配置し、フラッパ18では、2周させる帳票とそれ以外の帳票とに振り分けて、次のフラッパ26でリジェクトスタッカ19に蓄積する帳票と、アクセプトスタッカ20に蓄積する帳票とに振り分けてもよい。
【0048】
なお、上記実施形態では、コントローラ40に、搬送制御機能と文字認識機能を持たせたが、光学的画像読取装置に通信ケーブルなどで接続したコンピュータなどに文字認識機能を受け持たせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一つの実施の形態の光学的画像読取装置の外観図である。
【図2】図1の光学的画像読取装置の構成を概略的に示す側面図である。
【図3】図1の光学的画像読取装置の制御系の構成を機能的に示すブロック図である。
【図4】光学的画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】短尺の帳票を処理するときの一例を示す図である。
【図6】長尺の帳票を処理するときの一例を示す図である。
【図7】他の例の光学的画像読取装置の構成を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0050】
P…帳票類、2…ホッパテーブル、3…ピックアップローラ、4…フィードローラ、5…搬送路、6…セパレートローラ、7…帳票積載検知センサー、8…ドライブローラ、9…ピンチローラ、10…変位センサー、11…帳票繰出検出センサー、18,24,26…フラッパ、19…リジェクトスタッカ、20…アクセプトスタッカ、21,22,23,25…搬送センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票取込口と帳票排出口が設けられた筐体と、
前記帳票取込口から前記筐体内に取り込まれた帳票を周回させて搬送可能な循環型搬送路を構成する搬送手段と、
前記帳票取込口の近傍の前記循環型搬送路の第1位置に設けられ、前記第1位置を通過する前記帳票から情報を読み取る帳票読取部と、
前記帳票読取部により情報が読み取られた帳票、またはその情報から、前記帳票の搬送方向の長さを検出する帳票長さ検出部と、
前記第1位置から前記循環型搬送路上を所定距離進んだ第2位置近傍に設けられ、前記帳票読取部で情報を正常に読み取った前記帳票に印字する印字部と、
前記第2位置よりも搬送方向後方でかつ前記帳票排出口手前に設けられ、前記帳票を前記第1位置へ戻す周回方向とそれ以外の方向に振り分ける振分部と、
前記帳票長さ検出部により前記第1位置から前記第2位置までの搬送距離を超える長さの帳票が検出された場合、前記帳票を前記周回方向へ振り分けるよう前記振分部を制御する制御部と
を具備することを特徴とする光学的画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学的画像読取装置において、
情報が正常に読み取れずにリジェクトされた帳票が集積されるリジェクトスタッカと、
リジェクトされなかった帳票が集積されるアクセプトスタッカとを備え、
前記制御部は、
前記周回方向以外の方向として、前記帳票読取部の情報読取結果の正否に応じて、前記帳票を、前記リジェクトスタッカと前記アクセプトスタッカのいずれかに振り分けるように前記振分部を制御することを特徴とする光学的画像読取装置。
【請求項3】
請求項1記載の光学的画像読取装置において、
前記制御部は、
前記帳票を前記周回方向へ振り分けた場合、前記帳票取込部に対して次の帳票の取り込みを待機させることを特徴とする光学的画像読取装置。
【請求項4】
筐体の帳票取込口から前記筐体内に取り込まれた帳票を、搬送手段が循環型搬送路を通じて筐体の帳票排出口へ搬送するステップと、
前記帳票取込口の近傍の前記循環型搬送路の第1位置に設けられた帳票読取部が、前記第1位置を通過する前記帳票から情報を読み取るステップと、
前記帳票読取部により情報が読み取られた帳票、またはその情報から、前記帳票の搬送方向の長さを検出するステップと、
前記第1位置から前記循環型搬送路上を所定距離進んだ第2位置近傍までの搬送距離を超える長さの帳票が検出された場合、前記第2位置よりも搬送方向後方でかつ前記帳票排出口の手前に設けられ振分部が、前記循環型搬送路を周回させる方向へ前記帳票を振り分けるステップと
を有することを特徴とする画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−94929(P2009−94929A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265286(P2007−265286)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】