説明

光学製品上にミクロン―サイズのパターンを転写する方法、及びこれを用いた光学製品

本発明の方法は、1つまたは複数の転写可能な材料の部分(3)を感圧接着剤の層(2)によって保持させる方式を用いて光学製品(1)上にパターン(P)を転写することを含み、パッドを用いて、パッドと製品が受け取るパターンの間に接着剤の層を配置することにより、転写可能な材料の部分を転写する。感圧接着剤の利用により、転写可能な材料の形にて異なる材料の利用が可能になる。前記方法は、特にパターンの生成、特に光学レンズ(特に眼科用レンズ)上にホログラムの形にてパターンを生成するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学製品上にミクロン―サイズのパターンを転写する方法、及びこの方法を用いたパターンを含む光学製品に関する。特に、光学レンズ型、さらには眼科用レンズ型の製品に適している。この方法は、ホログラフィックのパターン、特にこのような光学製品上の振幅ホログラムの導入に極めて有利である。
【背景技術】
【0002】
完成済み又は製造途中の製品に既定のミクロン―サイズのパターンをプリントしなければならない場合がある。例えば、製品のトレードマークを表示する又は製品の偽造の可能性を防ぐための特に装飾を目的した場合である。
【0003】
これを行うために、多くのプリント方法が開発され、通常、統合された電子回路の製造に利用されるリソグラフィー方法とは対象的に、概してソフト―リソグラフィー方法として指定されている。リソグラフィー方法は、既定のパターンに準じた選択放射及び樹脂マスクの部分の溶解に基づいているのに対し、ソフト―リソグラフィー方法は、凹部及び突起部により形成されるマイクロ―レリーフを表面に持つスタンプを利用する。このマイクロ―レリーフは生成品上に再生されるパターンを画定する。生成品の表面上に存在する材料に適した状況下において、表面にスタンプを押しつけることにより、このパターンは生成品の1つの側面上に再生される。用語“パターン”は、スタンプが押しつけられた時に、生成品の表面に接触される突起部の表面の部分の幾何学的配置を意味する。
【0004】
マイクロ―コンタクトプリンティングとして知られているソフト―リソグラフィー方法において、生成品の側面は金属層によって覆われており、及びスタンプは、エッチング段階の間、金属層を保護することが出来る物質によってコーティングされている。生成品の側面にスタンプを押しつけている間、スタンプの突起部に対応する位置における物質の一部は、スタンプから金属層に選択的に転写される。その後、金属層は、スタンプの凹部に対応するこの層の位置においてのみエッチングされる。しかしながら、満足できる質のプリントを得るためには、金属層上に自己組織化した分子層を形成する物質を利用することが必要である。この目的を達成するために、金属層は汚染されておらず、及び酸化のような起こりうる化学的な表面変化の影響を受けにくい金属によって形成されなければならない。実際には、純金、白金、及び銀によって満足な質のプリントを得ることが出来る。プリントされたパターンを形成するそのような材料の選択は、特に限定されており、及び生成品の原価のような生成品に対する他の制約とは相いれないかもしれない。その上、特に、一般的にエッチング剤溶液を利用することにより実行される金属層のエッチング段階のため、このような方法は時間を要する。
【0005】
特開平07―219435号広報には、ホログラムシールの製造方法が記載されており、凹部及び突起部によって構成されるホログラムはまず熱可塑性材料の表面がエッチングされ、その後金属層によって覆われる。しかしながら、このような方法においては、ホログラムによって占められる表面の一部に金属層を制限することが難しい。
【特許文献1】特開平07―219435号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、転写方法を提案することであり、既定のパターンに応じ、薄いフィルムまたは薄いフィルムから構成される多くの材料によって構成される材料を提供することであり、実行が容易であり及び数多くの材料に適合する方法を提供することである。特に、本発明は、ホログラムを有利に構成するパターンのようなミクロン―サイズまたはサブミクロン―サイズのスケールにて画定されたパターンに応じた、光学製品上への材料の選択的な転写を可能にする。“選択的な転写”の語句は、幾何学的にスタンプの突起部によって備えられる材料に関係するだけの転写を意味すると理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
一般的に、本発明の範囲内において、用語“ミクロン―サイズ”の利用には、ミクロンサイズのスケールにて画定されたミクロン―サイズのパターン、及びミクロンサイズよりも小さなスケール、すなわち100ナノメートル程度の、またさらには50ナノメートル程度のスケールにて画定されたサブミクロン―サイズのパターンの両方を含む。
【0008】
このため、本発明は、光学製品の表面上に上記に定義したようなミクロン―サイズのパターンを転写する方法を提供する。この方法は以下の段階を備える。
/a/転写されるパターンに対応したミクロン―サイズまたはサブミクロン―サイズに画定されたマイクロレリーフを形成する凹部及び突起部を持つスタンプの表面上に、少なくとも1つの転写可能な材料の層を堆積する段階と;
/b/光学製品の基板表面上に感圧接着剤(pressure−sensitive adhesive:PSA)層を堆積する段階と;
/c/転写可能な材料の層を備えたスタンプの表面を感圧接着剤の層に接触させる段階と;
/d/スタンプに圧力を加える段階と;及び、
/e/感圧接着剤の層を備えた光学製品の表面からスタンプを取り除く段階。
【0009】
本発明によると、段階a)の間においてスタンプのマイクロレリーフ上に堆積する転写可能な材料の層は、一般的にマイクロ―レリーフの外形と正確には一致しない。この層は、望ましくは材料が堆積される主方向に対し直角な面に結合するマイクロレリーフの領域上に存在する。図1bに示すように、これらの領域はスタンプの突起部(13)または凹部(12b)によって備えられる。
【0010】
本発明の方法の範囲では、“光学製品”の語句は、光学機器レンズ、サイトレンズ(sight lens)、バイザー(visor)及び眼科用レンズから選択された製品を意味すると理解される。
【0011】
本発明によると、有利に、光学製品の表面にミクロン―サイズのパターンを転写する方法は、選択的な転写の方法である。特にこのような選択的な転写は、優れた分解能を備えた振幅ホログラムの生成を可能にする。
【0012】
それ故に、スタンプの表面は、適当な条件下において、感圧接着剤の層(PSA)によってコーティングされた光学製品の表面に押しつけられる。これにより、スタンプの表面の突起部上に配置された転写可能な材料の層は、前記スタンプに接触する光学製品上に堆積されたPSAの表面に選択的に転写される。
【0013】
それ故に、本発明による方法の一つはソフトリソグラフィー型であり、この理由のため、特有の利点を持つ。特に、スタンプ表面の凹部に初めから配置される転写可能な材料の層の部分は、接着剤の層とは接触せず、この理由によりPSAの表面に転写されないため、この方法はいずれのエッチング段階も含まない。この方法は正確であり、化学的なエッチング段階を必要としないため非汚染であるという利点を持つ。
【0014】
この型の方法におけるPSAの利用は特に有利である。これは、一般的に全てのPSAsは室温下において永続的な接着特性(粘着または粘着性として知られている)及び通常は10から10Pa(Pascals)の低い弾性率を持つという事実のためである。このような接着剤にもたらされる接着メカニズムには化学的な結合は含まれないが、特にPSA材料の粘弾性の特性を生かすことに注意する。それぞれのPSA処方に固有なこれらの特性は、特に、結合面における静電気のファン・デル・ワールス相互作用の確立を可能にする。これは、PSAを固体材料に圧力を加えて接触させた時に発生する。加えられた圧力及びPSA材料の低い弾性率により、結合される材料のトポロジーとの分子レベルでのPSAの密着を保証することが出来る。さらに、PSAのバルク粘弾性の特性により、接着層の部分において、結合面の機械的な応力によりもたらされるエネルギーを分散し、剥離メカニズムに耐えることが出来る。
【0015】
本発明による方法では、光学製品の表面におけるPSAの永続的な接着特性により、この機能を転写可能な材料の転写及び光学製品との永続的で結合力のある接着を確保するために利用した時、モーメントを選択することが可能となる。PSAsが持つこの永続的な接着特性により、生産ラインの制御が想定されるが、これら全ての特性はPSAと転写される材料の間に圧力をかけた後にのみ満たされるものである。
【0016】
本発明による方法では、感圧接着剤の層は、スタンプを押しつけている間に転写される転写可能な材料の層の部分の、光学製品表面への接着をもたらす。このような接着メカニズムは、数多くの転写可能な材料、特に導電性材料、及び金属、絶縁、誘電、または屈折材料に適合される。
【0017】
本発明の1つの利点は、少なくとも1つの感圧接着剤の層によってコーティングされた光学製品の表面上に、少なくとも1つの転写可能な材料の層によってコーティングされたスタンプを接触させる条件にある。接触が確立されるレベルにおいて、スタンプの突起部上に配置される転写可能な材料の層の部分のみがPSA層に転写されるように、これらの条件は選択される。特に、感圧接着剤の層を利用することにより、光学製品に加えられるスタンプの圧力は、拡張された値域から選択してよい。光学製品の表面にスタンプが接触する条件のうちで、本発明による方法は、光学製品の基板上の接触する地点の法線に対しスタンプが平行に接近するような条件下にて有利に実行される。
【0018】
上述したように、このパターンはミクロン―サイズまたはサブミクロン―サイズでもよく、本明細書の全体において通常利用される用語“ミクロン―サイズ”はこれら両方のパターンのサイズを示す。従って、通常本発明の意味では、“ミクロン―サイズのパターン”の語句は1つまたはそれ以上の個々のパターンを備えたパターンであり、それぞれ個々のパターンは、10μm(マイクロメートル)から50nm(ナノメートル)の範囲、有利には5μmから100nmの範囲、及びさらに有利には3μmから150nmの範囲内のサイズを持つことを意味すると理解される。
【0019】
特に、転写されたパターンは、光線によって照射された時に回折するパターンでよい。特に、ホログラフィックパターンでよい。このようなパターンは、特に生成品を識別する及び/または偽物のコピーからオリジナルの生成品を区別することを可能にするために適している。さらに、特に、本発明の方法は、振幅ホログラムを光学製品に導入するのに特に適している。“振幅ホログラム”の語句は法線入射の電磁場の振幅に優先的に影響を及ぼすホログラフィックの微細構造を意味する。特に、これは透明な領域及び不透明な領域の配列から構成されるホログラムの場合であり、金属により不透明な領域が得られた場合もまた反射する。その結果、ホログラムに対応する読取画像はレンズを通り抜ける光線を透過するまたは反射することによって見られうる。
【0020】
このパターンは、ロゴまたは光学製品上に直接読み取ることの出来る記載を表してもよい。パターンが個々の同一の多数のパターンによって形成される時、これは同時にホログラフィック型でよく及び生成品上に直接読み取ることが出来るマークを持ってよい。
【0021】
ホログラフィックパターンはデジタルホログラム型、すなわち、コンピューター―生成ホログラム(通常、頭字語“CGH” によって示される)であってもよい。このような場合、ホログラフィックパターンは、それぞれのピクセルが0.2μmから25μmの範囲の表面積、有利には0.2μmから4μmの範囲の表面積を持つ隣接するピクセルの集合体によって形成されてよい。望ましくは、パターンは数多くのピクセルを備える。例えば、合計10000よりも多くのピクセルを備え、それ故に、照射下において復元することによって十分な解像度を持つ画像を得ることを可能にする。
【0022】
特に、生成品自体を覆わず、または生成品の次の利用を妨げないために、転写されたパターンは 生成品の1つの側面のごく一部を占めてもよい。このような構造では、有利に、実質的にパターンの表面と同じである基板の表面上に感圧接着剤の層を堆積してよい。このような構造では、望ましくは、パターンは25mmよりも小さな光学製品の側面の一部を占める。
【0023】
あるいは、特にミクロン―サイズまたはサブミクロン―サイズのワイヤーのグリッドを備える時、転写されたパターンは光学製品の側面の全体を占めてもよい。このような製品の側面の全体を占めるパターンは、光学製品の表面において帯電防止機能を得るため、ディスプレイマトリックスの一組の電極を生成するまたは光学製品によって反射または透過される光の偏光によるフィルター機能を生成するために生成されてもよい。後者の場合、偏光効果は平行導線(ワイヤ―グリッド偏光子)のパターンを転写することによって得られる。
【0024】
有利に、前記光学製品の表面上に接着層を設置する前に、光学製品の表面処理を実行してもよい。特に、この処理は化学、熱、プラズマ、またはコロナ処理から選択される。特に、この表面処理は、イソプロパノール及び/又は水を用いた光学製品の表面洗浄で構成される化学処理を備えてよい。従って、この表面に存在しうるほこりや汚れを取り除きうる。
【0025】
本発明の範囲において、接着層は回転塗布法によって堆積させてよく、この方法は特に、眼科用レンズの生産ラインに組み込まれている。吹き付けまたはインク―ジェットプリンティングヘッドのノズルを通り抜けた材料の噴出を利用するような、他の堆積手法によって堆積されてもよい。
【0026】
感圧接着剤の層は、少なくとも1つの保護シート、望ましくは、フィルムの両側面上の1つの保護シートを備える厚さに制御されたフィルム形状にて最初に準備されてもよい。次に、接着層は、1つの保護シートを取り除いた後に、フィルム形状にて製品の表面に堆積されてよい。この堆積の後、製品の表面上に接着剤の層を露出するために、次に第2の保護シートが剥離されてよい。この保護シートは一般的に“ライナー(liner)”と呼ばれている。
【0027】
本発明によると、感圧接着剤の層は光学レンズ表面上において一定の厚さを持つ。この等しい厚さにより、最終生成品の光学的な質を保証することが出来る。特に光学製品が眼科用レンズの場合、この厚さは、0.5μmから300μmの範囲、有利には5μmから100μmの範囲である、さらに望ましくは10μmから50μmの範囲である。この層は光学的に透明でなければならない。特に薄い色のついた層である場合、透過度は可変でよいが、拡散せず、回折せず、接着剤の層のようなものを備えた光学製品を通りぬける透明性により観察されるオブジェクトの知覚を変更するものであってはならない。
【0028】
この方法は加えて以下の段階を備えてよく、段階/a/及び/又は段階/e/の後に実行される。
/f/1つまたはそれ以上の機能付与されたコーティングによって製品の表面を覆う段階
【0029】
これら機能付与されたコーティングは、例えば、浸漬被覆、回転塗布、吹き付け、インク―ジェットプリンティングヘッドのノズルを通り抜けた材料の噴出のようないずれの堆積手段によって、単層または複層のフィルムまたはラッカーの形状で堆積されてよい。耐衝撃、耐磨耗、反射防止、汚染防止、曇り防止、帯電防止、偏光、着色、及び光発色性型の機能を持つコーティングから有利に選択される。
【0030】
本発明の望ましい実施形態によると、次にこの方法は、段階/e/の後に実行され、転写されたパターン及び接着剤の層の上の少なくとも1つの機能付与されたコーティングによる製品表面の被覆を含む補助的な段階を備える。
【0031】
このような上部のコーティングは、転写された層の外側であり、スタンプの利用により転写される転写可能な材料の層の部分の間の接着剤の層によって光学製品上に固定される。このコーティングは、それ自身の機能付与に加えて、転写されたパターンに対する保護用のコーティングを有利に形成する。
【0032】
転写可能な材料は、例えば、金、アルミニウム、クロム、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、または、これら金属の少なくとも1つを備えた合金のような金属材料でよい。この場合、転写可能な材料の層は、段階/a/において真空蒸発またはスパッタリングによってスタンプの表面に有利に堆積されてよい。一般的に、スタンプ上に金属層を堆積してから段階/c/を実施する期間を短くすればするほど、前記金属層は接着層により良好に転写されることを観察することが出来る。これは、特に、接着の質を低下させる金属層の汚染がないことにより説明される。
【0033】
また、転写可能な材料の層は複数のそれぞれの材料の層のスタックを備えてよい。次に、スタックの少なくとも1つの層の材料は屈折性であってよい。この場合、転写されたパターンの画像表示は、パターンを照射するために利用する光線の干渉挙動の結果、部分的に生じてもよい。従って、この複数の材料の層のスタックの転写は、前記スタックの厚さに応じ、法線入射電磁場の位相に極めて実質的な影響を及ぼすホログラムを生成しうる。従って、このような転写によって、位相ホログラムを生成するための条件に近づけることが出来る。“位相ホログラム”の語句は法線入射電磁場の位相に望ましくは影響を及ぼすホログラフィックの微細構造を意味する。
【0034】
特に、本発明では、多数の金属または合金の利用を想定することが出来る。これは、マイクロ―コンタクトプリンティングのような技術において、利用可能な材料の選択は、それらを受け取る材料と化学的相互作用を引き起こすそれらの能力により条件付けられるためである。本発明の場合、材料の転写は、感圧接着、前記接着の化学的性質とは全く無関係な物理的相互作用により固定される。
【0035】
本発明の1つの改善によると、感圧接着剤は光学的な機能を持つ成分を備えてよい。このような光学的な機能は、特に、光発色性の機能または着色であってよい。
【0036】
本発明は、前述したような方法を利用した、表面に転写されたパターンを備えた光学製品も提供する。この製品は光学レンズ、特に眼科用レンズ、及び特に一組のメガネのフレームに組み込まれるのに適したレンズを備える。従って、このようなレンズはそれ自身に、
・少なくとも1つの有機物または無機物の基板を備える基板レンズと;
・感圧接着剤の層であって、基板レンズの表面に沿って実質的に一定な厚さを持つ層;及び
・接着剤の層を通して基板レンズに接着することにより転写されたパターンを形成する転写可能な材料の部分と;を備える。
【0037】
特に、基板レンズは有機基板を備える。“基板”の用語は、光学レンズ及び特に眼科用レンズを構成する透明な材料の基板を意味すると理解される。この材料は、1つ又はそれ以上のコーティングのスタックを支持する機能を果たし、及び矯正眼科用レンズの場合、レンズの矯正機能の形成を補助する。製品が眼科用レンズである場合、例えば以下のタイプの基板が適している。ポリカーボネート;ポリアミド;ポリイミド;ポリサルフォン;ポリエチレンテレフタラート/ポリカーボネート コポリマー;ポリオレフィン、特にポリノルボルネン;ジエチレン グリコール ビス(アリルカーボネート) ポリマー及びコポリマー;(メタ)アクリル ポリマー及びコポリマー、特にビスフェノール―Aから生じる(メタ)アクリル ポリマー及びコポリマー;チオ(メタ)アクリル ポリマー及びコポリマー;ウレタン及びチオウレタン ポリマー及びコポリマー;エポキシ ポリマー及びコポリマー及びエピサルファイド ポリマー及びコポリマーがある。ある例においては、バルク内において基板は直接着色されてもよい。
【0038】
有機基板と接着剤の層の間において、1つまたはそれ以上のコーティングは任意に存在してよい。上述したように、特にこれらのコーティングは機能付与されたコーティングでよい。
【0039】
もしレンズが主に透明であるならば、パターンがホログラフィック型である時、光線がレンズを通してパターンの位置に送られる時の読取画像を形成するために利用されてよい。
【0040】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図を参照し、以下の制限のない実施例の記述により明らかになる。
【0041】
明確にするために、これらの図に示す様々な要素の寸法は、実際の寸法または寸法の比率に応じたものではない。さらに、全ての図において、同一の符号は同一の要素に対応する。
【0042】
本発明は、前記レンズ上に振幅ホログラムを生成するために、眼科用レンズ上のホログラフィックパターンの選択的な転写との関連の中において以下記載する。この記載において、個々には従来の方法から知られている本発明の方法の個々の段階については詳細に繰り返し記載されない。本発明による転写の生成を可能にする一連の個々の段階の記載のみを試みる。
【0043】
図1aによると、スタンプは基板10及び膜11を備える。膜11はパターンを備えた表面Sを持ち、表面Sと反対の面によって基板10に取り付けられる。パターンを備える表面Sは、膜11の2つの異なる厚さに対応した凹部12及び突起部13を持つ。凹部12及び突起部13は、Pに示すパターンを画定するミクロン―サイズのマイクロレリーフを形成する。Pは光学製品の表面への接触を目的とする突起部の表面の部分の幾何学的配列を示す。膜11はポリジメチルシロキサン(PDMS)を基にしてよい。この方法において、少なくともスタンプの表面Sの突起部13の部位において、スタンプはPDMSに基づいている。このような材料は低い表面エネルギーを持ち、これは良好な転写の品質を得るために好都合である。この膜の構成材料の低い表面エネルギー及び弾性率により特徴づけられる柔らかな特性は重要な条件である。これは、接着層とスタンプの表面Sの突起部13によって備えられる転写可能な材料の部分の間における完全な接触を保証し、転写可能な層、特に金属層が接着層に接着するためにスタンプから容易に引き離されることも保証するためである。目安として、SYLGARD 184(Dow Corning)として知られている商用のPDMSは、2.5MPa(メガパスカル)の弾性率を持つ。他の材料、特にエラストマー型の材料は膜11にも適しうる。凹部12及び突起部13は様々な方法によって形成されてよい。例えば、エラストマーの前駆モノマーを含む液体がパターンPを備える膜の鋳型に流し込まれ、その後加熱又は紫外線を含む照射によって鋳型の内側で重合されてよい。型から外された後得られる膜11は、基板10上に取り付けられる。このような方法で生成される膜11に対し、凹部12及び突起部13は、例えば、膜11に平行に測定し、10μmから50nmの範囲の寸法を持ってよい。凹部12の深さは0.1μmから30μm、有利には0.1から10μmでよい。従って、凹部12及び突起部13は、最終的にミクロン―サイズのパターンPを画定するマイクロレリーフを形成する。
【0044】
表面Sは、受取用の表面に対して押しつけている時、受取用の表面の曲率に応じて変形してよい。(本発明の場合、光学レンズの表面に少なくとも1つのPSA層が備わる)この変形は、表面Sに沿って変化する膜の押しつぶし、及び/又は適切な方法において基板10上に取り付けられた時の膜の可変の収縮から生じてよい。
【0045】
図1bは膜11の拡大図である。例えば、金またはアルミニウムから作られる層14は膜11上に堆積され、及び材料の堆積が実行される主方向に直角の面を構成するマイクロレリーフ(12b及び13)の領域上に分配される。層14は、例えば30nmの厚さ“e”を持ってよい。これは、様々な方法、特に、るつぼの中に含まれるある量の金またはアルミニウムの真空蒸発及びジュール効果による過熱によって、表面S上に堆積されてよい。
【0046】
図2aによると、初めに基板レンズ1にから形成される眼科用レンズは、例えば、凸形の前面及び凹形の後面を持つ。次に、パターンPがレンズの前面上に転写されるが、同様な転写が後面上で実行されうることも理解される。従って、特に、本発明は疑似―球表面上にパターンを転写するために適している。本発明の範囲において、“疑似―球表面”の語句は連続する凹形または凸形表面、すなわち1つのホール又ステップもないことを意味すると理解される。一般的に、これらによって生じるレンズの厚さの変化は屈折力を与えるため、光学レンズの2つの面のうち少なくとも1つは疑似―球である。無限焦点、単焦点、二焦点、三焦点及び累進多焦点または可変焦点眼科用レンズの全ては、少なくともひとつの疑似―球面を持つ。球表面は、2つの垂線方向に沿った表面の曲率半径が等しい、疑似―球表面の1つの特別なケースに対応する。以下において、“疑似―球表面”の語句は球表面の特別なケースを含むものとして理解される。
【0047】
眼科用レンズ1は前述したようないずれのタイプでよい。“眼科用レンズ”の語句は、特にメガネのフレームに適したレンズであり、及び目を保護する役割及び/又は視力を矯正する役割を持つレンズを意味すると理解される。
【0048】
好ましくは、パターンPを受け取ることを目的としたレンズ1の表面は、まず洗浄される。このため、レンズにコロナ処理またはプラズマ処理を施してもよいが、1つまたはそれ以上の洗剤及び/またはすすぎ溶液を利用する洗浄方法を用いてもよい。
【0049】
図2a〜2dにおいて、符号2である感圧接着剤の層は、レンズ1の前面に堆積される。接着剤の層を接触する特に有利な1つの方法によると、この層は、2つの可剥性フィルム(またはライナー)の間に囲まれる連続するフィルムの形状にて初めから存在する。第1のライナーは剥がされ、その後、このようにして露出された接着剤のフィルムの側面はレンズ1(図2a)の前面に対し堆積される。この段階の間、第2の可剥性ライナーによって保護されるフィルム2は、レンズ1に押し付けられ、符号20の第2の可剥性ライナーの表面に対し圧力がかけられる。一旦、フィルム2がレンズ1の前面の全体上に堆積されると、第2のライナーは順に剥がされる(図2b)。このようにして、接着剤のフィルムはレンズ1に転写され、このレンズの前面は完全に覆われる。このようなレンズ1上に接着層2を堆積する方法は、いずれの液相をも利用しない点において有利である。その結果、高価な装置なしにすばやく実行することができ、いわば、数多くの転写を連続して実行するのに好都合である。
【0050】
感圧接着剤の利用により、層2によって覆われるレンズ1の前面は永続的なタック(tack)を持つ。既知の方法において、このタックは層2の材料の固有の静電気及びレオロジー挙動から起こる。数多くの感圧接着剤は層2を形成するために利用してよく、特に、ポリアクリレートの群、スチレン―ベースのブロック共重合体の群、及び天然ゴムを基礎とした混合物、有利には、ポリアクリレートの群から選択されPSAsでよい。さらに有利には、一例とする制限しない方法として、一般的な組成のPSAsはポリアクリレート、ポリメタクリレートを基にしており、エチレン/ビニル アセテート、エチレン/エチル アクリレート及びエチレン/エチル メタクリレート コポリマーのようなエチレン コポリマーを基にしており、合成ゴム及びシリコーン、ポリウレタン、スチレン―ブタジエン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンを含むエラストマーを基にしており、二トリルまたはアクリロニトリル―ベースのポリマーを基にしており、ポリクロロプレンを基にしており、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン―イソプレン―スチレン等を含むブロック重合体を基にしており、ポリビニル―ピロリドン/ビニルピロリドン コポリマー及び上記の組成物または混合物(連続層または不連続層を持つ)もまた、及び上記から得られるブロック共重合体もまた基にしていると言ってよい。これらのPSAsは、それらの組成の中に、特に、タッキファイヤー、可塑剤、バインダー、酸化防止剤、安定剤、顔料、染料、分散剤及び拡散剤から選択される1つまたはそれ以上の添加物を含んでもよい。
【0051】
次に、スタンプの表面S、及びすなわち金属層14を備える突起部13及び凹部12bは、層2に覆われているレンズ1の前面に押し付けられる。このため、スタンプはレンズの面に実質的に垂直な方向に近づけられる(図2c)。この押し付けは、表面Sの突起部13において、金属層14が良好に接着剤の層2と接着するために十分な圧力と共に実行される。さらに、押し付けている間、この圧力は、接着剤の層2が凹部12内に浸入することを防ぐために、さほど高くない。言い換えると、表面Sの突起部13は層2内に侵入しない。この方法において、最初に突起部13上に配置された金属層14の部分のみが、接着層2に接触する。スタンプが取り除かれた時、図2dの符号3を参照すると、これら層14の部分はレンズ1に選択的に接着したままである。パターンPはレンズ1に転写されるため、これらはスタンプの表面Sの突起部13のそれらを再生した、レンズの表面に対し平行な形状を持つ。従って、層14の材料は、レンズ1上にパターンPを転写するための材料としての役割を持つ。スタンプがレンズ1から分離される時に、表面Sの凹部12に配置された層14の部分(特に領域12b)はスタンプと共に取り除かれるが、これはこれらが接着剤の層2に接触しないためである。従って、図2dの符号4に参照され、表面Sの凹部12に対応する金属材料がない隙間は、レンズ1の前面上にある部分3を分離する。このような転写は、本発明の範囲に含まれる選択性を示す。スタンプをレンズ1に押し付ける圧力は、突起部の表面領域にて0.25から70、望ましくは0.25から10グラム パー 平方ミリメートルであり、これにより極めて十分な転写の質を与えることを発明者は観測した。さらに、感圧接着剤の利用により、スタンプをレンズ1に押し付ける時間に関連するある程度の範囲の余裕を持たせることが出来る。
【0052】
転写の選択性は、スタンプ―接着層が接触している間において、スタンプに加えられる力に直接的に関連づけられる。すなわちFaは、接着層がスタンプの動作に耐える力Fの限界値である。この値は、PSA層の機械的特性にも関連する。高品質な選択的な転写を実行するために、本発明の範囲において、力FはFaよりも小さく加えられる必要がある。言い換えると、力Fは、スタンプによって備えられるパターンの凹部の中に感圧接着剤が浸入しないほど十分に低く加えられなければならない。さらに特に、力は、転写可能な材料の層によって覆われる凹部の先端部に接着剤が接触することを防ぐほど十分に低く、及びスタンプからの金属層の転写部がPSAの表面の少なくとも1つの部分に接着することを保証するほど十分に高く加えられなければならない。当然ながら、前述の転写の選択性に影響を及ぼす要因に加えて、パターンの大きさ、すなわち凹部と突起部の間の距離、及びさらに特に凹部の高さ、もまた転写の質に影響を及ぼしうるパラメータであることを当業者は容易に理解する。
【0053】
従って、所定の接着剤に対し、パターンの凹部の中に接着剤が浸入し始める限界の力を推測出来ることが重要である。加えられる圧力は重要なパラメータであるが、スタンプを形成する材料の係数、PSA自身の係数、PSAのタック及び光学製品上に堆積されるPSAの厚さをもまた考慮することも必要である。スタンプから光学製品へのパターンの転写の選択性、その分解能及び光学的品質の両方を保証するために、これら様々なパラメータの間において賢明な考慮を行うことが必要である。
【0054】
レンズに転写されたパターンを保護するために、例えば保護フィルムでありうる上部層5(図2d)がレンズ1の前面に堆積される。このフィルム5は転写されたパターンPの部分3を覆い、パターンPの外側に接着剤の層2によってレンズ1上に固定される。このような上部層は付加的に光学的な機能、例えば、偏光、吸収、着色またはレンズ1を通り抜ける光のフィルターの機能を持ってもよい。磨耗―耐性層によってレンズに転写されたパターンを保護してもよく、これはすなわち下塗層を用い、製品の耐衝撃性を改善し、この上に磨耗―耐性層の堆積を可能にし、下塗層はこの磨耗―耐性層の固定をも改善する。磨耗―耐性層の上に反射防止コーティングを堆積することも可能であり、最終的には、この反射防止コーティングを疎水性かつオレオフォビック(oleophobic)な汚染防止コーティングで覆うことも可能である。帯電防止剤のコーティングが存在してもよい。これらの層の堆積における様々な組合せは眼科用レンズの処理においてよく知られている。
【0055】
転写されたパターンがホログラフィック回折構造を構成する場合、その結果、ホログラム及びそれが含む情報を再構成することにより回折する読取画像は、転写されたパターンPの位置における、レンズ1を通り抜ける光線の透過または反射によって視覚化されうる。このため、図3によると、ホログラフィックパターンPは、低―出力レーザーポインター100によって、例えば、波長645nmの赤色によって照射される。既知の方法にて、レーザー100とパターンPの距離は画像の再構成には重要ではない。レンズ1を通り抜けた後、少なくとも2つの二次ビーム102及び103に分離するために、レーザー100から生じる光線101はパターンPによって回折される。これら2つのビーム102及び103のそれぞれは、レンズ1から離れて画像を再構成する。例えば、この距離は20から50センチメートルの範囲であってよい。この画像は、2つのビーム102または103の内の1つの光路にあるスクリーンの機能を果たすオブジェクト104を配置することによって明らかになる。使用する光はレーザーから生じるため、スクリーンの機能を果たす何れのオブジェクトであってもよい。任意に、迅速かつ正確な認識を可能にするため、この画像は、例えばCCD(charge coupled device)型またはCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型のようなイメージセンサーに投影されてもよい。図3において、2つのビーム102及び103のそれぞれに対応する画像は、それぞれ符号105及び106である。これら2つの画像105及び106は互いに反対の関係にあるため、これらは、例えば+1と−1のような、2つの反対の回折次数に対応する。反転しておらず、または“直接画像”である画像は、回折次数+1に対応し、ホログラフィックパターンPの読取画像である。
【0056】
眼科用レンズ1は、一対のメガネのフレームに組み込むことを対象としてよい。メガネの着用者の視覚を妨げないために、パターンPの寸法は小さく及びレンズ1の1つの端の近くにあってよい(図3)。例えば、転写されたパターンPは、25mm未満であるレンズ1の面の一部を占めてよい。このパターンは、前記切除されるレンズの一部上に導入されてもよい。この場合、このパターンは、主に最終的な生成品の生産履歴管理を目的として導入される。このような構造は、転写されたパターンが、CGH型コンピューター―生成ホログラムに対応し、ピクセルの構成である時に特に有利である。従って、このようなホログラムは、極めて小さなスペース上に、有利には15mmから0.5mmの範囲内に膨大な情報量を含み、例えば、生成ライン及び物流チェーンにおける生成品の完全な生産履歴管理を保証することを可能にする。
【0057】
あるいは、例えば、レンズに特定の光学的機能を授ける時は、転写されたパターンPはレンズ1の前面の全体を占めてよい。特に、転写されたパターンPが、導電性であり既定の方向に平行であるワイヤーの一式によって構成される時、レンズの偏光に応じてレンズを通り抜ける光をフィルターするために、これが利用されてもよい。一般的に、導電性ワイヤーは数10ナノメートルの幅であり、及び2つ1組で数10ナノメートル離れた間隔をあけられる。
【0058】
上記にて詳細に述べたように、転写方法に関し多くの変更が導入されてもよいが、それでもなお、本発明の少なくともいくつかの利点は保持したままである。例えば、スタンプの層14と膜11の間の表面エネルギーを調整するために、転写可能な材料の層14より前に、中間層がスタンプの膜11上に堆積させてもよい。このような調整は、転写可能な材料の部分3のレンズ1上への転写をさらに改善しうる。さらに、レンズ上に転写されたパターンは回折パターンでよく、すなわちこれらの可視性は、部分3及び/またはそれらの部分の間に存在する隙間4を通り抜ける光の回折の結果生じる。最後に、転写されたパターンは、周囲の照明条件下またはレーザービームによって照射される時に可視的であってよい。
【0059】
〈実施例〉
[1.接着層(2)]
利用された感圧接着PSA(2)は同業者信用照会先CS9621を持つNitto Denkoからの商用の製品であった。25μmの厚さを持つ変性アクリル―ベースの接着剤のフィルムであり、2つの保護シートの間にパッケージ化され、それぞれの保護シートはPSAフィルムの両側の全体を覆っていた。
【0060】
接着層はORMA(登録商標)(Essilor)を基にした眼科用レンズの凸面に接着されており、曲率半径120mmの凸面を持ち、真空モジュール及びシリコーンスタンプを備えた装置を用いた。レンズはレンズホルダー上の真空モジュールの中に配置された。真空モジュールは、一方においては前記真空モジュールを密封することを可能にし、他方においてはPSAを保持することを可能にするスナップ(snap)―締め具装置を載せていた。真空モジュールとスタンプを特定の配置に並べ実施することにより、曲線状の表面を持つレンズ上へのPSAのラミネーションの実施を可能にした。このような装置及び実施方法も、仏国特許出願公開第0503306号明細書に特に記載されている。
【0061】
[2.転写されるパターン(3)]
前述の例における方法は、側面が1μm(マイクロメートル)の寸法を持つ個々の正方形のピクセルによって構成されるデジタルホログラフィックパターン向けに最適化されていた。
【0062】
これを行うために、スタンプの膜11はその表面に、図1aにて図式的に示すような長方形の外形の凹部12及び突起部13から構成されるマイクロレリーフを備えていた。マイクロレリーフの深さ(凹部12bと突起部13の間の高さの違い)は1μmとした。
【0063】
ホログラフィックパターンは、膜11によって備えられ及び正方形のピクセルの1つの端と平行な軸に沿って測定されるマイクロレリーフの突起部の幅は、問題としているスタンプの領域による1μmから85μmの範囲で変化するという特徴を有する。
【0064】
[3.パターンを備えるスタンプ(11)(図1a)]
転写されたパターンを画定するマイクロレリーフは、モールド成型されたSYLGARD184(登録商標)(Dow Corning)であった(11)。100℃にて1時間重合された後のこの材料の特性は以下であった。
・表面エネルギー:22(mN/m);及び
・ヤング係数:2.5MPa。
【0065】
[4.金属層(14)]
金属層は真空蒸発によって得た。適当な金属材料がるつぼの中に配置され、及びジュール効果によって加熱された。事前の表面前処理のいずれも実施していないSYLGARD184から作られるスタンプ上にて蒸発が実行された。
【0066】
金の場合、純度99.9%を持つ金の蒸発によって厚さ30nmを持つ層が得られた。
【0067】
アルミニウムの場合、純度99.5%を持つアルミニウムショット(shot)の蒸発によって厚さ30nmを持つ層が得られた。
【0068】
金属層の蒸発は、眼科用レンズ上に転写される段階と同じ日に行われた。
【0069】
[5.転写(図2c)]
スタンピングは表面に対し直角に実行された。
【0070】
Nitto CS9621 PSA上の、30nmの金またはアルミニウムの層に対し、最適なスタンピング圧力が実験的に得られた。感圧接着のフィルム上のスタンプの突起部上に存在する金またはアルミニウムの選択的な転写に対応する効果的な振幅ホログラムを生成するための最適なスタンピング圧力は、0.5g/mmから4.5g/mmの間であった。圧力計算に考慮した表面領域は、パターンPを作り上げる突起部13の領域であった。
【0071】
以下の表1は様々なテスト条件での結果を示す。
【0072】
【表1】

【0073】
金の選択的な転写に対して加えた圧力の例:
Nitto Denko CS9621 PSA(25μmの厚さを持つ)の層によって覆われた眼科用レンズ(120mmの曲率半径を持つ)の凸面上でのスタンプのスタンピングに利用した圧力は、1.5g/mmであった。30nmの金の層の転写は選択的であった。;得られたホログラムは振幅ホログラムであった。
【0074】
他の転写技術の例が、Nitto Denko CS9621 PSA(25μmの厚さを持つ)を50μmの厚さを持つNitto Denko HJ9150 PSAに置き換えることにより得られた。他の全てのパラメータは、上述した例と同一のままであった。
【0075】
アルミニウムの選択的な転写に対して加えた圧力の例:
Nitto Denko CS9621 PSA(25μmの厚さを持つ)の層によって覆われた眼科用レンズ(120mmの曲率半径を持つ)の凸面上でのスタンプのスタンピングに利用した圧力は、4g/mmであった。30nmのアルミニウムの層の転写は選択的であった。;得られたホログラムは振幅ホログラムであった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1a】本発明によるパターンの転写方法を用いたスタンプの断面図である。
【図1b】本発明によるパターンの転写方法を用いたスタンプの断面図である。
【図2a】本発明の方法における後続の段階を示す。
【図2b】本発明の方法における後続の段階を示す。
【図2c】本発明の方法における後続の段階を示す。
【図2d】本発明の方法における後続の段階を示す。
【図3】本発明による転写されたホログラフィックパターンの読取る段階を示す。
【符号の説明】
【0077】
S 表面
P パターン
e 厚さ
1 基板レンズ
2 感圧接着剤の層
3 転写可能な材料の部分
4 隙間
5 上部層
10 基板
11 膜
12 凹部
13 突起部
14 転写可能な材料の層
20 可剥性ライナー
100 レーザー
101 光線
102、103 二次ビーム
104 オブジェクト
105、106 画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロン―サイズのパターンを光学製品(1)の表面上に転写する方法であって、
/a/転写されたパターン(P)に対応したミクロン―サイズまたはサブミクロン―サイズに画定されたマイクロレリーフを形成する凹部(12)及び突起部(13)を持つスタンプ(11)の表面(S)上に、少なくとも1つの転写可能な材料の層(14)を堆積する段階と;
/b/前記光学製品の基板表面上に感圧接着剤の層(2)を堆積する段階と;
/c/前記転写可能な材料の層(14)を備えた前記スタンプの表面(S)を、前記感圧接着剤の層(2)に接触させる段階と;
/d/前記スタンプに圧力を加える段階と;及び、
/e/前記感圧接着剤の層を備えた前記光学製品の表面から前記スタンプを取り除く段階;
を備えた方法。
【請求項2】
段階/d/の間において、前記スタンプに加えられる圧力は、前記光学製品の表面上に、前記スタンプ(11)の表面の突起部(13)上に配置された前記転写可能な材料の層(14)の部分(3)の選択的な転写を引き起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミクロン―サイズのパターンは、1つまたはそれ以上の個々のパターンを備え、それぞれのパターンは10μmから50nmの範囲の寸法を持ち、有利には5μmから100nmの範囲、及びさらに有利には3μmから150nmの範囲の寸法を持つ、請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記パターンが光線によって照射された時、前記転写されたパターン(P)は回折パターンである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記転写されたパターン(P)は、ホログラフィックパターンである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記転写されたパターン(P)は、振幅ホログラム型のホログラフィックパターンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記転写されたパターンは、隣接するピクセルの集合によって形成されるデジタルホログラム型のホログラフィックパターンであり、それぞれのピクセルは0.2μmから25μmの範囲の表面積、有利には0.2μmから4μmの範囲の表面積を持つ、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記転写されたパターン(P)は、前記光学製品(1)の一つの側面の一部を占める、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記転写されたパターン(P)は、前記光学製品(1)の側面の一部であり25mm未満を占める、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記転写されたパターン(P)は、前記光学製品(1)の1つの側面の全体を占める、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記転写されたパターン(P)は、平行な導電性ワイヤーのグリッドを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光学製品(1)は、光学計装レンズ、サイトレンズ、バイザー及び眼科用レンズから選択される、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記光学製品(1)は、無限焦点、単焦点、二焦点、三焦点及び累進多焦点または可変焦点レンズから選択される眼科用レンズである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
光線(101)が前記パターンの位置において前記レンズ(1)を通して送られる時、前記ホログラフィックパターン(P)は、読取画像を形成するために利用される、請求項6から9、請求項12及び請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記感圧接着剤の層(2)は、回転塗布、吹き付け、またはプリンターからの材料の噴出の処理によって、前記光学製品(1)の表面上に堆積される、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記感圧接着剤の層(2)は、少なくとも1つの保護シート(20)によって予め備えられ、次に前記シートを通して前記光学製品(1)の表面に堆積され、次に前記光学製品の表面上に前記接着剤の層を残すように、前記シートは剥がされる、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記感圧接着剤の層の厚さは、0.5μmから300μmの範囲、有利には5μmから100μmの範囲、さらに望ましくは10μmから50μmの範囲である、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
段階/a/及び/又は段階/e/の後に実行される、
/f/1つまたはそれ以上の機能付与されたコーティングによって前記製品の表面を覆う段階;
をさらに含む、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記機能付与されたコーティングは、耐衝撃、耐磨耗、反射防止、汚染防止、曇り防止、帯電防止、偏光、着色又は光発色性型の機能性を持つ、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
段階/e/の後に、補助的な段階/f/が実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記転写可能な材料は金属材料である、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記転写可能な材料は、金、アルミニウム、クロム、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム及びこれら金属の少なくとも1つを含む合金から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記転写可能な材料の層は、段階/a/において、真空蒸発またはスパッタリングによって前記スタンプの表面(S)上に堆積される、請求項21及び請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記転写可能な材料の層(14)は、それぞれの材料の層の複数のスタックを備える、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記スタックの少なくとも1つの層の材料は屈折性である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記スタンプの表面(S)の少なくとも突起部(13)の部位において、前記スタンプはポリジメチルシロキサンを基礎としている、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記スタンプは、前記光学製品の基板上の接触する地点の法線に対し平行に近づけられる、請求項1から請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記製品の表面の曲率に応じ、段階/d/において、前記光学製品(1)の表面に圧力が加えられている間、前記スタンプの表面(S)は、変形されるのに適している、請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
段階/b/の前に実行される、前記光学製品(1)の表面を処理するための段階をさらに備える、請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記感圧接着剤は、ポリアクリレートの群、スチレン―ベースのブロック共重合体の群、及び天然ゴムを基礎とした混合物から選択される、請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記感圧接着剤は、着色及びフォトクロミズムから選択される光学的な機能を持つ成分を備える、請求項1から請求項30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記凹部(12)及び突起部(13)は、膜(11)に平行に測定し、10マイクロメートルから50ナノメートルの範囲の寸法を持つ、請求項1から請求項31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記凹部(12)の深さは、0.1μmから30μmの範囲、有利には0.1μmから10μmの範囲である、請求項1から請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記光学製品(1)に加えられる前記スタンプの圧力は、前記突起部の表面領域にて0.25から70グラム パー 平方ミリメートルであり、望ましくは0.25から10グラム パー 平方ミリメートルである、請求項1から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
光学製品(1)あって、前記製品の表面に転写された少なくとも1つのパターン(P)を備え、請求項1から請求項34のいずれか1項に記載の方法により前記パターンの転写が得られる、光学製品。
【請求項36】
眼科用レンズであって、前記レンズ自身は、
―少なくとも1つの有機物または無機物の基板を備えた基板レンズと;
―前記基板レンズの表面に沿って実質的に一定な厚さを持つ感圧接着剤の層と;及び
―前記接着剤の層によって前記基板レンズ上に接着することにより、前記転写されたパターンを形成する転写可能な材料の部分と;
を備える、請求項35に記載の光学製品。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−518675(P2009−518675A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543867(P2008−543867)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002666
【国際公開番号】WO2007/066007
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【Fターム(参考)】