光学部品の取付け構造、アクチュエータ、取付け方法および光ピックアップ装置
【課題】 光学部品を基台に取付けるときには基台に対する光学部品の位置調整を可能にし、かつ取り外すときには光学部品と基台との分離を容易にする光学部品の取付け構造、アクチュエータ、取付け方法および光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 接合体14は、接着層12および基台13間を、接着層12および基台13間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合している。接着層12および基台13間の接合力のうち、接合体14による接合力を解除可能とする。
【解決手段】 接合体14は、接着層12および基台13間を、接着層12および基台13間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合している。接着層12および基台13間の接合力のうち、接合体14による接合力を解除可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品の取付け構造、アクチュエータ、取付け方法および光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置などの光学部品は、これを保持しているシャーシなどの基台に固着されて配設されている。基台に対して光学部品を配設するときには、光学部品の位置、角度を精確に調節した上で配設することが必要である。これを実現するために、光ピックアップ装置において、対物レンズの傾き調節後に、半田などを用いて、光ピックアップのハウジングに対して、アクチュエータの底部を固定する手法が周知である(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の従来技術では、光ピックアップ装置のハウジングに複数のピンを設け、かつアクチュエータの底部に、ハウジングの各ピンに嵌合する開口部を設け、前記ピンと前記開口部とを係合した状態で、開口部に半田などの接着剤を充填して、アクチュエータの底部をハウジングに接着固定した光ピックアップ装置が開示されている。また簡単にアクチュエータの姿勢を保持できる光ピックアップ装置を提供することを目的として、対物レンズ駆動手段の接着面と基体の接着面とのうちのいずれか一方が凸部を有し、他方が凹部を有し、前記凸部と凹部とが接着剤を介して接着されている(たとえば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−319343号公報
【特許文献2】特開2005−332504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術では、光ピックアップ装置のハウジングとアクチュエータの底部とを接着する接着剤として半田が使用されており、修理のためにハウジングとアクチュエータとを分離するときには、半田を加熱して溶融してから、係合しているピンと開口部とを離す必要がある。しかし半田を溶融するために前記開口部に熱を加えると、その熱が光ピックアップ装置のハウジングにも伝わり、温度上昇によって光ピックアップ装置の光学部品としての精度が低下するという問題点がある。特許文献1の従来技術では、修理するときに光学部品の分解を容易にする手法は有していない。
【0006】
また特許文献2の従来技術においても、修理するときの光学部品の分解を容易にする手法は有しておらず、前記凸部および凹部は、修理のときの光学部品の分解を困難にする。また光学部品を分解するときに、光学部品に対して機械的負荷を与えてしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、光学部品を基台に取付けるときには基台に対する光学部品の位置調整を可能にし、かつ取り外すときには光学部品と基台との分離を容易にする光学部品の取付け構造、アクチュエータ、取付け方法および光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学部品が取付けられる基台と、
前記光学部品と前記基台との間に介在され、少なくとも光学部品に固着している接着層と、
前記接着層および前記基台間を、前記接着層および前記基台間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合する接合手段とを含むことを特徴とする光学部品の取付け構造である。
【0009】
また本発明は、前記接合手段は、基台を貫通し、かつ接着層に埋没している棒状部材を有していることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記棒状部材の少なくとも一部は、基台から光学部品に向かって先細状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記棒状部材は、外周部にねじが形成されていることを特徴とする。
また本発明は、前記接合手段は、温度上昇によって機械的強度が低下することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記接合手段は、前記接着層および前記基台間を、前記接着層と前記基台間の接合力を解除可能に接合していることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記接合手段は、前記接着層および前記基台間に介在される介在部材と、基台を貫通する貫通部材とを有していることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記光学部品の取付け構造を有する光学部品のアクチュエータである。
また本発明は、前記光学部品の取付け構造を有する光ピックアップ装置である。
【0015】
また本発明は、光学部品が取付けられるべき接合体を、前記基台に設置する接合体設置工程と、
前記光学部品を接着剤によって、少なくとも前記接合体に接着する光学部品接着工程とを有することを特徴とする光学部品の取付け方法である。
【0016】
また本発明は、前記接合体設置工程で接合体を設置した基台上にて、光学部品をジグによって支持する支持工程と、
前記ジグによって基台上に支持された前記光学部品の前記基台に対する位置関係を調整する位置調整工程とを含み、
前記位置調整工程の後、前記光学部品接着工程において少なくとも接合体と光学部品とを接着した後、前記基台、前記光学部品および接合体からジグを取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接着層と基台とは、接着層の基台に対する固着力のみならず、接合手段による接合力によっても、接合されている。したがって、接合手段を用いないときに比べて接着層および基台間の接合を強固にすることができる。光学部品と基台とは、接着層を介して配設されるので、基台に対して光学部品を取付けるときには、基台に対する光学部品の位置は、調整可能である。接合手段は、接着層および基台間を、接着層および基台間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合しており、接合手段による接合力の少なくとも一部は解除可能である。したがって接合手段による接合力を解除することによって、接着層および基台間の接合力を低下させることができる。よって接合手段による接合力の解除を行わないときに比べて、基台からの接着層の分離を容易にし、光学部品を基台から分離するときに光学部品にかかる機械的負荷を低減することができる。したがって、光学部品を基台に取付けるときに、基台に対する光学部品の位置調整を可能にすることと、取り外すときに光学部品と基台との分離を容易にすることとを両立する、光学部品の取付け構造および取付け方法を提供することができる。
【0018】
また本発明によれば、接合手段に含まれる棒状部材は、基台を貫通し、接着層に埋没している。したがって基台に対する光学部品の位置を調節可能に、光学部品を基台に対して接合することができる。棒状部材が基台を貫通していないとき、および棒状部材が接着層に埋没していないときに比べて、接着層および基台間の接合を強固にすることができる。接着層および基台間の接合力のうち、接合手段による接合力は、基台を挟んで光学部品とは逆側から、解除することができる。したがって、光学部品に対して基台の外方側から接合手段の取り外しが可能となり、接合手段が基台を貫通していないときに比べて、基台からの接合手段の取り外しが容易になる。
【0019】
また本発明によれば、前記棒状部材の少なくとも一部は、光学部品に向かって先細状に形成されている。これによって接合手段を基台に貫通させ、設置するときに、棒状部材の光学部品に向かう先端部からの基台に対する挿入を容易にすることができる。接合手段による接着層および基台間の接合力を解除するときに、接合手段の除去を容易にすることができる。
【0020】
また本発明によれば、前記棒状部材の外周部にはねじが形成されている。これによって接合手段を基台に貫通させ、設置するときに、接合手段を回転させることによって、接合手段の基台に対する挿入を容易にすることが可能になる。接合手段による接着層および基台間の接合力を解除するときに、接合手段を回転させることによって、接合手段の除去を容易にすることが可能となる。
【0021】
また本発明によれば、接合手段は、温度上昇によって機械的強度が低下する。これによって、接合手段を加熱し、接合手段の温度を上昇させることによって、接合手段による接着層および基台間の接合力の解除を容易にすることができる。
【0022】
また本発明によれば、接合手段は、接着層および基台間を、接着層および基台間の接合力を解除可能に接合している。したがって、接合手段を除去することによって、接着層および基台間の接合力を解除することによって、光学部品を取り外すことができる。
【0023】
また本発明によれば、接合手段は、光学部品および基台間に介在される介在部材と基台を貫通する貫通部材とを有している。これによって、接合手段による接合力を、貫通部材の除去および貫通部材と介在部材との除去によって解除することができる。したがって光学部品と基台とを接着層だけによって接合している状態よりも、光学部品を基台に対して強固に接合することができ、かつ光学部品を小さい力によって基台から分離することが可能になる。
【0024】
また本発明によれば、前記光学部品の取付け構造を光学部品の駆動を行うアクチュエータに適用する。これによって、前記のような効果を有するアクチュエータを実現することができる。
【0025】
また本発明によれば、前記光学部品の取付け構造を光ピックアップ装置に適用する。これによって、前記のような効果を有する光ピックアップ装置を実現することができる。
【0026】
また本発明によれば、光学部品の取付け方法は、接合体を基台に設置させる接合体設置工程と、光学部品を少なくとも接合体に接着する光学部品接着工程とを有している。これによって基台に対する光学部品の位置を調整可能に、基台に対して光学部品を取付けることができる。接合体設置工程を行わないときに比べて、接着層および基台間の接合を強固にすることができる。接合体を除去することによって、光学部品および基台間の接合力の少なくとも一部を解除することが可能になる。
【0027】
また本発明によれば、光学部品をジグによって基台上で支持する支持工程と、光学部品の基台に対する位置関係を調整する位置調整工程とを有することによって、光学部品の位置の変位をジグによって制限することができる。従って光学部品の位置調整を容易にすることができる。実装された光学部品が機能するときに、好ましい位置および向きに存することができるように、光学部品を設置することができる。また位置調整工程のあと、少なくとも接合体と光学部品とを接着した後、基台、光学部品および接合体からジグを取り外すことによって、接合体と光学部品との接着が終了する前に、基台に対して光学部品が変位してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10を示す側面図である。図2は、本発明の第1実施形態における接合体14の側面図である。第1実施形態において、光学部品の取付け構造10は、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14との機械的接続関係を含んで構成される。
【0030】
第1実施形態において光学部品11は、光情報再生装置内に搭載される光ピックアップ装置であり、基台13は光ピックアップ装置の駆動を行うアクチュエータが搭載されるアクチュエータベースである。基台13には、設置される光学部品11に対向する領域内に、孔が形成されている。該孔は円形とし、該孔には接合体14の棒状部分15が貫通される。接着層12は、光学部品11と基台13とを接着している。接着層12は固化した接着剤から成る。まだ固化していない接着剤の状態では、ペースト状をしており、固化することにより、光学部品11を基台13上に保持し、固定する。このような接着層12は、光学部品11と基台13との間に介在されている。
【0031】
本実施の形態において、光学部品11が対向する基台13上の表面に垂直な方向のうち、該基台13上の表面から光学部品11側への一方の向きを「向きZ1」と称し、他方の向きを「向きZ2」と称し、向きZ1および向きZ2を含む方向を「Z方向」と称する。
【0032】
接合体14は、接着層12と基台13とを、接着層12および基台13間の接合力の一部を解除可能に接合する接合手段を実現する。接合体14は、基台13および光学部品11とは別部材の棒状部材であり、棒状部分15と接合体頭部16とを含んで構成される。第1実施形態において、前記棒状部分15には、ねじは形成されていない。接合体頭部16および棒状部分15は同じ材質から成り、ともに円柱状に形成されている。接合体頭部16と棒状部分15とは同一軸線を有し、この軸線方向はZ方向と一致している。接合体頭部16の直径は棒状部分15の直径よりも大きい。
【0033】
接着層12は、光学部品11と基台13との間に介在されており、光学部品11の一表面と、該一表面が対向する基台13上の表面とに接着している。接合体14は、接合体頭部16を向きZ2側に向け、棒状部分15を向きZ1側に向け、基台13および接着層12に挿入されている。接合体14の棒状部分15は、基台13を貫通している。接合体頭部16は、基台13よりも向きZ2側に位置しており、基台13の向きZ2側の面に接している。棒状部分15の両端面のうち、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面部P1は接着層12に埋没している。棒状部分15の端面部P1は、光学部品11には接触していない。接着層12を介して向かい合う光学部品11の表面と基台13の表面との間は、平均して1mm以上の間隔を有している。接着層12がまだ固体として形成されていないときには、基台13に臨む光学部品11の表面は、光学部品11に臨む基台13の表面に対して傾くことが許され、光学部品11は、基台13に対して角変位可能である。接着層12がまだ固体として形成されていないときには、光学部品11は、Z方向に垂直な面内においても変位可能であり、該面内で基台13に対して変位することも可能である。
【0034】
接着層12が固体として形成された状態において、接合体14の棒状部分15は、接着層を成す固体に、固着されている。光学部品11と基台13とは接着層12によって接着され、光学部品11および基台13の互いの相対位置の変化は防止されている。さらに、棒状部分15と接着層12との固着力、接合体14の機械的強度、基台13に形成された孔に棒状部分15が嵌合していることによる接合体14に対する基台13の保持力、および接合体頭部16が基台13に当接することによる接合体14、基台13間の抗力は、協働して接着層12の基台13に対する変位を防止している。したがって、該前記複数の力は、光学部品11を基台13に対して接合する働きを有している。
【0035】
接合体14の接合体頭部16が、基台13よりも向きZ2側に位置しているので、基台13と接合体頭部16との間に間隙を設け、接合体頭部16を向きZ2に引張ることによって、接合体14を接着層12および基台13から除去することが可能である。接合体14を接着層12および基台13から除去することによって、接着層12と基台13との間に働く接合力は小さくなる。
【0036】
図3は、本発明の第1実施形態において、接合体14を設置した基台13上で、光学部品11をジグ20によって支持した状態を表す側面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。
【0037】
ジグ20は、金属単体、合金および樹脂などの材質から成り、基台13に対する光学部品11の変位を制限する。ジグ20は、基台13よりも向きZ1側に位置する部分と向きZ2側に位置する部分とを有しており、基台13をZ方向両側から挟持している。ジグ20はまた、光学部品11がZ方向に垂直な面内で変位することを制限するために、光学部品11の近傍に配置され、光学部品11を挟持する部分を有している。これらの部分によってジグ20は、基台13と光学部品11との互いの相対位置の変化を制限することが可能である。ジグ20は、光学部品11を基台13に対して調整可能であればよく、たとえば基台13を固定するバイス状の部材と、光学部品11を挟持して移動および回転させることが可能な、多軸制御のアームを組み合わせた構造の部材とを有している。ジグ20のうち、基台13を挟持する、たとえばバイス状の部材と、光学部品11を挟持する部材とは、別部材であることが好ましい。
【0038】
接着剤が固化する以前の段階において、ジグ20が基台13と光学部品11との互いの相対位置の変化を制限している状態では、光学部品11が自重によって基台13に対して変位することはないけれども、外力の作用を加えると、ジグ20は、基台13と光学部品11との互いの相対位置は変化させることができる。
【0039】
第1実施形態で、光学部品の取付け方法は、接合体設置工程と、支持工程と、光学部品接着剤塗布工程と、位置調節工程と、接着剤固化工程と、ジグ除去工程とを含んでいる。本処理開始後、ステップa1の接合体設置工程に移行し、接合体14を基台13に設置する。基台13には、接合体14の棒状部分15を貫通させ設置するための孔が予め設けられている。接合体14は、基台13に設けられた孔に貫通させられ、設置される。次にステップa2の支持工程に移行し、ジグ20によって光学部品11を基台13上に支持する。これによって光学部品11と基台13との相対位置の変化は制限される。次いでステップa3の光学部品接着剤塗布工程に移行し、光学部品11および基台13間に接着剤を塗布する。ステップa3の光学部品接着剤塗布工程は、光学部品11を、少なくとも接合体14に接着する光学部品接着工程である。本明細書中において接着剤に関する「塗布」は接着剤の「注入」、「挿入」などを含むものとする。
【0040】
次にステップa4の位置調整工程に移行し、基台13に対して、光学部品11の相対的な位置を調整し、光学部品11に臨む基台13の表面と基台13に臨む光学部品11の表面との角度の調整を行う。ステップa2の支持工程ではジグ20によって光学部品11は基台13上に支持されて、光学部品11と基台13との互いの相対位置の変化は制限されているけれども、接着剤の固化による接着層12の形成が終了するまでは、基台13上で光学部品11の相対位置の変化と角変位は可能である。基台13上の光学部品11の相対位置および角度の調整の後、基台13と光学部品11との互いの位置関係が固定された状態で、次のステップa5に移行する。
【0041】
ステップa5の接着剤固化工程では、ステップa3の光学部品接着剤塗布工程で塗布した接着剤の固化を行う。接着剤として、光照射によって固化する物質を用いた場合には、接着剤を固化し接着層12を形成するときに光照射を行うけれども、第1実施形態におけるステップa5の接着剤固化工程では、乾燥を待つことによって接着剤の固化、接着層12の形成を行う。次にステップa6のジグ除去工程に移行し、光学部品11、基台13および接合体14からジグ20を取り外す。その後、本処理は終了する。
【0042】
第1実施形態において光学部品11は、光情報再生装置内の光ピックアップ装置としたけれども、光ピックアップ装置以外の光学部品であっても構わない。たとえば、顕微鏡、双眼鏡、レーザ発振器、望遠鏡、天体望遠鏡などであってもよい。
【0043】
第1実施形態において接合体14は、金属単体または合金から成るとしたけれども、光学部品の重量が荷重として作用しても破壊されない程度に機械的強度を有する材料、太さ、Z方向の長さを有していれば、足りる。たとえば他の実施形態において接合体14は、樹脂、セラミック、木、竹などを含んで形成されていてもよい。第1実施形態において棒状部分15をZ方向に垂直な面で切断した断面は、円形としたけれども、多角形であってもよい。接合体頭部16をZ方向に垂直な面で切断した断面は、円形としたけれども、多角形であってもよい。また接合体14は、1つの光学部品11に対して1つだけが実装されているものとしたけれども、1つの光学部品11に対して複数の接合体14が実装されてもよい。また、基台13に接合体14を挿入するために基台13に形成される孔は、Z方向に見て円形としたけれども、他の実施形態においては多角形であってもよい。
【0044】
第1実施形態において、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面P1は、光学部品11に接触しておらず、接着層12に埋没しているものとしたけれども、他の実施形態において該端面の少なくとも一部は光学部品11に接していてもよい。さらに他の実施形態においては、棒状部分15の端面部P1は光学部品に設けられた凹所に嵌め込まれていてもよい。
【0045】
第1実施形態では、ジグ20が基台13と光学部品11との互いの位置関係を調整するときには、ジグ20は可塑性によって変形し、基台13と光学部品11とを支持するけれども、他の実施形態においてジグ20にはビスが取付けてあり、該ビスによって基台13と光学部品11との互いの位置関係を調整するものとしてもよい。
【0046】
図5は、本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10によって取付けられている光学部品11の、取り外し方法の工程を表すフローチャートである。該取り外し方法は、ジグ設置工程と、接合体除去工程と、接着層除去工程と、分離工程と、ジグ除去工程とを含んでいる。本処理開始後、ステップb1のジグ設置工程に移行し、基台13および基台13に接合されている光学部品11に、ジグ20を設置する。次にステップb2の接合体除去工程に移行し、接合体14の除去を行う。接合体14の除去は、接合体14の接合体頭部16と基台13との間に間隙を作り、接合体14を向きZ2に引き抜くことによって除去する。次いでステップb3の接着層除去工程に移行し、接着層12の除去を行う。接着層12を溶解し得る溶媒を接着層12近傍に塗布することによって接着層12を溶解させてもよいし、温度上昇によって軟化する接着層12であるならば、過熱することによって接着層12を軟化させる。次にステップb4の分離工程に移行し、光学部品と基台13との分離を行う。次いでステップb5のジグ除去工程に移行し、分離した光学部品または基台13から、ジグ20の除去を行う。その後、本処理は終了する。本処理において、ステップb3の接着層除去工程とステップ4の分離工程とは、同時並行で行ってもよい。
【0047】
本発明に係る第1実施形態によれば、接着層12と基台13とは、接着層12の基台13に対する固着力のみならず、接合体14による接合力によっても、接合されている。したがって、接合体14を用いないときに比べて接着層12および基台13間の接合を強固にすることができる。光学部品11と基台13とは、接着層12を介して配設されるので、基台13に対して光学部品11を取付けるときには、基台13に対する光学部品11の位置は、調整可能である。接合体14は、接着層12および基台13間を、接着層12および基台13間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合しており、接合体14による接合力の少なくとも一部は、解除可能である。したがって接合体14による接合力を解除することによって、接着層12および基台13間の接合力を低下させることができる。よって接合体14による接合力の解除を行わないときに比べて、基台13からの接着層12の分離を容易にすることができる。したがって、光学部品11を基台13から分離するときに光学部品11にかかる機械的負荷を低減することが可能となる。
【0048】
また第1実施形態によれば、接合体14に含まれる棒状部分15は、基台13を貫通し、接着層12に埋没している。したがって基台13に対する光学部品11の位置を調節可能に、光学部品11を基台13に対して接合することができる。棒状部分15が基台13を貫通していないとき、および棒状部分15が接着層12に埋没していないときに比べて、接着層12および基台13間の接合を強固にすることができる。接着層12および基台13間の接合力のうち、接合体14による接合力は、基台13を挟んで光学部品11とは逆側から、解除することができる。したがって、光学部品11に対して基台13の外方側から接合体14の取り外しが可能となり、接合体14が基台13を貫通していないときに比べて、基台13からの接合体14の取り外しが容易になる。
【0049】
また第1実施形態によれば、光学部品の取付け構造10を光学部品11の駆動を行うアクチュエータに適用する。これによって、前記のような効果を有するアクチュエータを実現することができる。
【0050】
また第1実施形態によれば、光学部品の取付け構造10を光ピックアップ装置に適用する。これによって、前記のような効果を有する光ピックアップ装置を実現することができる。
【0051】
また第1実施形態によれば、光学部品の取付け方法は、接合体14を基台13に設置させるステップa1の接合体設置工程と、光学部品11を少なくとも接合体14に接着するステップa3の光学部品接着剤塗布工程とステップa5の接着剤固化工程を有している。これによって基台13に対する光学部品11の位置を調整可能に、基台13に対して光学部品11を取付けることができる。ステップa1の接合体設置工程を行わないときに比べて、接着層12および基台13間の接合を強固にすることができる。接合体14を除去することによって、光学部品11および基台13間の接合力の少なくとも一部を解除することが可能になる。
【0052】
また第1実施形態によれば、光学部品11をジグ20によって基台13上で支持する、ステップa2の支持工程と、光学部品11の基台13に対する位置関係を調整する、ステップa4の位置調整工程とを有することによって、光学部品11の位置の変位をジグ20によって制限することができる。従って光学部品11の位置調整を容易にすることができる。実装された光学部品11が機能するときに、好ましい位置および向きに存することができるように、光学部品11を設置することができる。また位置調整工程のあと、少なくとも接合体14と光学部品11とを接着した後、基台13、光学部品11および接合体14からジグ20を取り外すことによって、接合体14と光学部品11との接着が終了する前に、基台13に対して光学部品11が変位してしまうことを防止することができる。
【0053】
また第1実施形態によれば、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面P1は、光学部品11には接触していない。これによって、光学部品11に対して接合体14の棒状部分15が圧縮荷重として作用することがない。したがって光学部品11に傷、変形などの損傷を与えることを防止することができる。
【0054】
他の実施形態において、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面P1の少なくとも一部は光学部品11に接していてもよい。さらに他の実施形態においては、棒状部分15の端面部P1は光学部品に設けられた凹所に嵌め込まれていてもよい。このような構成にすることによって、光学部品11の位置決めを行うときに、光学部品11の角変位を可能にし、かつZ方向に垂直な面内で光学部品11が変位することを防止することができる。
【0055】
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け構造10Aを表した側面図である。図7は、本発明の第2実施形態における接合体14Aの側面図である。第2実施形態において、光学部品の取付け構造10Aは、光学部品11と、接着層12Aと、基台13と、接合体14Aとの機械的接続関係を含んで構成される。第2実施形態における光学部品11および基台13は、第1実施形態における光学部品11および基台13と同じであるものとする。第2実施形態における接合体14Aは、接着層12Aと基台13との間を、接着層12Aおよび基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0056】
接合体14Aは、棒状部分15Aと接合体頭部16Aとを含んで構成される。棒状部分15Aの少なくとも一部分は、接合体頭部16Aから遠ざかるにつれて先細状に形成されている。棒状部分15AのZ方向両端部のうち、接合体頭部16Aから遠い方の先細状の先端部P2は略円錐形をしており、先細状でない部分は、略円柱の形状をしている。棒状部分15Aの外周面にはねじが形成されており、このねじは右ねじであっても左ねじであってもよい。棒状部分15Aの直径は接合体頭部16Aの直径よりも小さく、棒状部分15Aと接合体頭部16Aの軸線は一致している。両軸線の軸線方向は、接合体14Aが基台13および接着層12Aに挿入されたときには、Z方向に一致するように基台13Aおよび接着層12Aに実装される。
【0057】
接合体14Aは、接合体頭部16Aを向きZ2側に向け、棒状部分15Aを向きZ1側に向け、基台13および接着層12Aに挿入される。接合体14Aの棒状部分15Aは、基台13を貫通している。接合体頭部16Aは、基台13よりも向きZ2側も位置しており、基台13の向きZ2側の面に接している。棒状部分15Aの両端部のうち、接合体頭部16Aから遠い方の棒状部分15Aの端部P2は、接着層12Aに埋没している。棒状部分15Aの端部P2は、光学部品11には接触していない。接着層12Aを介して向かい合う光学部品11の表面と基台13の表面との間は、平均して1mm以上の間隔を有している。接着層12Aがまだ固体として形成されていないときには、基台13に臨む光学部品11の表面は、光学部品11に臨む基台13の表面に対して傾くことが許され、光学部品11は、基台13対して角変位可能である。接着層12Aがまだ固体として形成されていないときには、光学部品11は、Z方向に垂直な面内においても変位可能であり、該面内で基台13に対して変位することも可能である。
【0058】
第2実施形態における接着層12Aは、光照射によって固化する樹脂とする。接着層12Aの前駆体は、光照射によって重合または縮合し、架橋によって固化する性質を有する物質を含んでいる。光照射によって接着剤を固化し、接着層12Aを形成する。照射する光は、作業上、紫外線であることが好ましいけれども、接着剤に対して照射することによって重合、重合の開始および縮合のいずれかを行うことができれば、150nm以上1300nm以下の範囲のいずれの波長の光の照射を行ってもよい。
【0059】
図8は、本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。第2実施形態で、光学部品の取付け方法は、接合体設置工程と、支持工程と、光学部品接着剤塗布工程と、位置調節工程と、接着剤固化工程と、ジグ除去工程とを含んでいる。本処理開始後、ステップc1の接合体設置工程に移行し、接合体14Aを基台13に設置する。基台13には、接合体14Aの棒状部分15Aを貫通させるための孔が予め設けられている。接合体14Aが基台13に設けられた孔に貫通させられるときに、接合体14Aは、Z方向に垂直な面内での回転させられることによって、効率よく基台13に対する設置が行われる。次にステップc2の支持工程に移行する。ステップc2の支持工程は、第1実施形態の図4におけるステップa2の支持工程と同様である。ステップc2の支持工程の後、ステップc3の光学部品接着剤塗布工程に移行し、光学部品11および基台13間に接着剤を塗布する。
【0060】
第2実施形態の光学部品接着剤塗布工程で利用する接着剤は、光照射によって重合または縮合が起こり、架橋することによって固化する成分を含んでいる。該接着剤塗布の後、ステップc4の位置調整工程に移行する。ステップc4の位置調整工程は、第1実施形態の図4における、ステップa4の位置調整工程と同様である。次にステップc5の接着剤固化工程に移行し、接着剤に対する光照射を行う。光照射によって固化した接着剤成分によって、接着層12Aが形成される。次にステップc6のジグ除去工程に移行し、光学部品11、基台13および接合体14Aからジグ20を取り外す。その後、本処理は終了する。
【0061】
第2実施形態において接合体14Aの接合体頭部16Aは、基台13よりも向きZ2側に位置するものとしたけれども、他の実施形態において接合体頭部16Aの少なくとも一部分は、基台13の厚みのうちに埋没するように実装されてもよい。
【0062】
本発明の第2実施形態によれば、棒状部分15Aの少なくとも一部は、光学部品11に向かって先細状に形成されている。これによって接合体14Aを基台13に貫通させ、設置するときに、棒状部分15Aの光学部品11に向かう先端部P2からの基台13に対する挿入を容易にすることができる。接合体14Aによる接着層12Aおよび基台13間の接合力を解除するときに、接合体14の除去を容易にすることができる。
【0063】
また第2実施形態によれば、棒状部分15Aの外周部にはねじが形成されている。これによって接合体14Aを基台13に貫通させ、設置するときに、接合体14Aを回転させることによって、接合体14Aの基台13に対する挿入を容易にすることが可能になる。接合体14Aによる接着層12Aおよび基台13間の接合力を解除するときに、接合体14Aを回転させることによって、接合体14Aの除去を容易にすることが可能となる。
【0064】
また第2実施形態によれば、ステップc3の光学部品接着剤塗布工程は、光学部品11と少なくとも接合体14Aとの間に介在される接着剤を塗布する工程を含んでいる。これによって、ステップc4の位置調整工程を行う以前の段階においては、接着剤は固化後の接着層12Aに比べて機械的強度が小さく、ステップc4の位置調整工程の後に行われるステップc5の接着剤固化工程において光照射が行われると、接着剤が固化して接着層12Aが形成され、固化以前の接着剤に比べて機械的強度が大きくなる。したがって位置調整工程における光学部品11の位置調整を容易に行うことと、短時間のうちに接着剤を固化して接着層12Aを形成することとを両立することができる。位置調整工程において光学部品11の位置調整を行うときには、接着剤はまだ固化していないので、位置調整に必要な力は小さい。固化していない接着剤は流動的であるので、接着剤が変位または変形させられる力を受けても、固化後の接着層12Aの機械的強度を下げることがない。
【0065】
他の実施形態において、接合体14Aの接合体頭部16Aの少なくとも一部は、基台13に対して、基台13の厚み内に埋没して接している。これによって基台13の向きZ2側の凹凸を少なくすることができ、光学部品11を実装した基台13の、さらに他の部品に対する実装を容易にすることが可能である。
【0066】
図9は、本発明の第3実施形態に係る光学部品の取付け構造10Bを表した側面図である。第3実施形態において、光学部品の取付け構造10Bは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Bとの機械的接続関係を含んで構成される。第3実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同様であるものとする。第3実施形態における接合体14Bは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0067】
接合体14Bは、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が低下する性質を有している。基台13の向きZ2側から加熱すると、接合体14Bによる接着層12と基台13との間の接合力が小さくなり、接着層12を基台13から分離することが可能になる。接合体14Bの形状は棒状でも層状でもよく、粒状でもよい。第3実施形態においては複数の粒状の部材とした。接合体14Bは接着層に埋没して接着層12と基台13とに接している。複数の粒状の接合体14Bのうち一部は光学部品11に接しても構わないけれども、第3実施形態では、接合体14Bは光学部品11には接していないものとする。
【0068】
接合体14Bは320℃以上360℃以下の温度領域に、引張り強度が常温のときに比べて0.1%以下となる温度を有する樹脂から成るものとする。ただし他の実施形態において接合体は層状の部材で、その層の厚み方向はZ方向に一致するものとするとき、接合体の温度が上昇すると、少なくとも基台13の表面に対して、剥離強度が下がる層であってもよい。
【0069】
接着層12が固体として形成された状態において接合体14Bは、接着層12を成す固体および基台13に固着されている。光学部品11と基台13とは接着層12と接合体14Bとによって接着され、光学部品11および基台13の互いの相対位置の変化は防止されている。さらに、接合体14Bと接着層12との固着力、接合体14Bの機械的強度、接合体14Bと基台13との固着力は、協働して接着層12の基台13に対する変位を防止している。したがって、該前記複数の力は、光学部品11を基台13に対して接合している。
【0070】
第3実施形態において接合体14Bは粒状としたけれども、他の実施形態においては棒状、板状、針状、粉末状であってもよい。第3実施形態において接合体14Bは樹脂から成るものとしたけれども、他の実施形態では、たとえば、半田でもよく、他の低融点の合金であってもよい。温度上昇によって解重合が起こり、化学的結合が切れる材料であってもよい。第3実施形態で接合体14Bは、接着層12と基台13との間に設置したけれども、他の実施形態においては、光学部品11と接着層12との間に配設してもよい。
【0071】
本発明の第3実施形態によれば、接合体14Bは、温度上昇によって機械的強度が低下する。これによって、接合体14Bを加熱し、接合体14Bの温度を上昇させることによって、接合体14Bによる接着層12および基台13間の接合力の解除を容易にすることができる。接合体14Bを接着層12と基台13との間に設置することによって、基台13の向きZ2側からの加熱によって、接合体14Bの温度を上昇させることができる。接合体14Bは光学部品11と接触していないので、接合体14Bから光学部品11に伝わる熱量を、接合体14Bは光学部品11と接触しているときよりも少なくすることができる。
【0072】
また第3実施形態によれば、光学部品11および接着層12間の接合力と、接着層12および基台13間の接合力とに差を生じさせて基台13から光学部品11を取り外す。これによって接着層12が光学部品11および基台13のいずれか一方に優先的に固着した状態で、基台13から光学部品11を取り外すことができる。したがって接着層12の強度が、光学部品11の向きZ2側の表面部または基台13の向きZ1側の表面部に使われている材料の機械的強度よりも高い場合でも、光学部品11を基台13から取り外したときに、光学部品11または基台13の表面部の一部が剥離することがない。接合体14Bは、温度上昇によって機械的強度が低下する。これによって光学部品11および接着層12間の接合力よりも接着層12おおよび基台13間の接合力を小さくすることができる。したがって接着層12の剥離を基台13との間において優先的に起こすことができ、光学部品11の表面部の一部が剥離することがない。
【0073】
図10は、本発明の第4実施形態に係る光学部品の取付け構造10Cを表した側面図である。図11は、本発明の第4実施形態における貫通部材22の側面図である。第4実施形態において、光学部品の取付け構造10Cは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Cとの機械的接続関係を含んで構成される。接合体14Cは、介在部材21と貫通部材22とを含んで構成される。第4実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11および基台13と同じであるものとする。第4実施形態における接合体14Cは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を解除可能に接合している接合手段である。
【0074】
接合体14Cに含まれる貫通部材22は、貫通棒状部分23と貫通部材頭部24とを含んで構成されており、貫通部材22は、第2実施形態における接合体14Aと同じ材質、形状、大きさの部品であるものとする。貫通部材22の貫通棒状部分23は、接合体14A中の棒状部分15Aに相当し、貫通部材22の貫通部材頭部24は、接合体14A中の接合体頭部16Aに相当する(図7参照)。
【0075】
貫通部材22は、貫通棒状部分23を向きZ1に向けて、貫通棒状部分23の軸線の軸線方向をZ方向に一致させて、基台13および接着層12に実装される。貫通棒状部分23は、介在部材21および接着層12を貫通し、貫通棒状部分23の両端部のうち貫通部材頭部24から遠い方の貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触している。貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触していなくても構わない。この場合には貫通棒状部分23の端部P3は、接着層12に埋没している。
【0076】
接合体14Cに含まれる介在部材21は、樹脂、金属、木、竹などの材質から成っており、光学部品の重量が荷重として作用しても破壊されない程度に機械的強度を有する部材であればよい。第4実施形態において介在部材21は、樹脂から成るものとし、接着層12と基台13との間に介在され、接着層12に固着している。光学部品と介在部材21とは接着層12または接着層12と貫通部材22とによって接合され、介在部材21と基台13とは貫通部材22によって接合される。光学部品11および基台13の互いの相対位置の変化は防止されている。さらに、貫通部材22と接着層12との固着力、貫通部材22の機械的強度、貫通部材22と基台13との固着力は、協働して接着層12の基台13に対する変位を防止している。したがって、前記複数の力は、光学部品11を基台13に対して接合している。
【0077】
貫通部材頭部24が、基台13よりも向きZ2側に位置しているので、基台13と貫通部材頭部24との間に間隙を設け、貫通部材頭部24を向きZ2に引張ることによって、貫通部材22を接着層12、介在部材21および基台13から除去することが可能である。貫通部材22を除去することによって、接着層12と基台13との間に働く接合力は、解除される。
【0078】
第4実施形態における貫通部材22の貫通棒状部分23は向きZ1に向かって先細状に形成されていなくても、貫通棒状部分22の外周部にねじが形成され、介在部材21に螺合していればよい。第4実施形態における貫通部材22、あるいは介在部材21として、温度上昇によって機械的強度が低下する部材を用いることも可能である。
【0079】
第4実施形態では、貫通棒状部分23の両端部のうち貫通部材頭部24から遠い方の貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触しているけれども、前記端部P3は光学部品11に接触していなくてもよい。
【0080】
本発明の第4実施形態によれば、接合体14Cは、接着層12および基台13間を、接着層12および基台13間の接合力を解除可能に接合している。したがって、接合体14Cを除去することによって、接着層12および基台13間の接合力を解除することによって、光学部品11を取り外すことができる。
【0081】
また第4実施形態によれば、接合体14Cは、光学部品11および基台13間に介在される介在部材21と、基台13を貫通する貫通部材22とを有している。これによって、接合体14Cによる接合力を、貫通部材22の除去、または貫通部材22と介在部材21との除去によって解除することができる。したがって光学部品11と基台13とを接着層12だけによって接合している状態よりも、光学部品11を基台13に対して強固に接合することができ、かつ光学部品11を小さい力によって基台13から分離することが可能になる。接合体14Cの貫通部材22を基台13に貫通させ、接着層12に貫通または埋没させて設置するときに、貫通部材22を回転させることによって接合体14Cの基台13および接着層12に対する挿入を容易にすることができる。接着層12および基台13間の接合力を解除するときに、接合体14Cの貫通部材22を回転させることによって、貫通部材22の除去を容易にすることができる。
【0082】
また第4実施形態によれば、貫通棒状部分23の両端部のうち貫通部材頭部24から遠い方の貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触している。これによって、光学部品11の位置決めを行うときに、光学部品11の角変位を可能にし、かつZ方向に垂直な面内で光学部品11が変位することを防止することができる。
【0083】
図12は、本発明の第5実施形態に係る光学部品の取付け構造10Dを表した側面図である。第5実施形態において、光学部品の取付け構造10Dは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Dとの機械的接続関係を含んで構成される。第5実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第5実施形態における接合体14Dは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0084】
接合体14Dは、棒状部材で形成されており、図2における接合体頭部16に相当する部分は有していない。接合体14Dは、半田または180℃以上230℃以下の温度領域に、融解する温度を有する合金から成るものとする。接合体14DをZ方向に垂直な面で切断した断面は、多角形であってもよいけれども、第5実施形態では、円形とした。接合体14Dは、一部が向きZ1に向かって先細状に形成されていてもよいけれども、第5実施形態では、Z方向に同じ断面積、同じ断面形状を有するものとする。接合体14Dは、光学部品11に対向する基台13の領域のうち、Z方向に見て外縁部に実装されている。基台13よりも向きZ1側に位置している接合体14Dの部分のうち、少なくとも一部分は接着層12に埋没しており、他の一部分は接着層12を形成する部材から露出して実装される。接合体14Dの向きZ2側の端部は、基台13が成す層内に位置しているけれども、基台13から、向きZ2側に露出するように実装されている。
【0085】
本発明の第5実施形態によれば、接合体14Dは、光学部品11に対向する基台13の領域のうち、Z方向に見て外縁部に実装されている。これによって、接合体14Dを除去した後、接合体14Dに接していた接着層12の表面部から、接着層12を溶媒などによって溶解させることができる。これによって基台13から光学部品11を分離するときに、光学部品11と基台13とが互いに対向する領域のうち、Z方向に見て接合体14Dの存していた外縁部から、光学部品11と基台13との距離を広げることによって、光学部品11を基台13から取り外すことができる。したがって接合体14Dが、光学部品11と基台13とが互いに対向する領域のうち、Z方向に見て中央部に実装されるときよりも、光学部品11の基台13からの分離を容易にすることができる。
【0086】
また第5実施形態によれば、接合体14Dは、基台13よりも向きZ2側に突起する部分を有していないために、基台13の向きZ2側の凹凸を少なくすることができ、光学部品11を実装した基台13の、さらに他の部品に対する実装を容易にすることが可能である。基台13よりも向きZ1側に位置している接合体14Dの部分のうち、一部分は接着層12を形成する部材から露出して実装される。これによって接合体14Dを除去するときに、接着層12から露出する一部分に対して加熱を行うことができ、接合体14Dの温度を上昇させて接合体14Dの機械的強度を低下させることが容易になる。また接着層12から露出する接合体14Dの一部分の表面と、基台13の向きZ2側に露出している接合体14Dの表面とに電極を接触させ、電気を流すことによって接合体14を加熱し、軟化させることができる。したがって、光学部品11を基台13に取付けるときには、基台13に対する光学部品11の位置調整を可能にし、かつ取り外すときには光学部品11と基台13との分離を容易にする光学部品の取付け構造を提供することができる。
【0087】
図13は、本発明の第6実施形態に係る光学部品の取付け構造10Eを表した側面図である。第6実施形態において、光学部品の取付け構造10Eは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Eとの機械的接続関係を含んで構成される。第6実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第6実施形態における接合体14Eは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0088】
接合体14Eは棒状部分および接合体頭部とを含んで形成される。棒状部分および接合体頭部をZ方向に垂直な面で切断した断面は、多角形であってもよいけれども、第6実施形態においては円形であるものとした。棒状部分の少なくとも一部は向きZ1に向かって先細状に形成されている。棒状部分の表面部の一部分には、ねじが形成されていてもよいけれども、第6実施形態において接合体14Eの棒状部分の表面部には、ねじは形成されていない。Z方向に方向が一致する棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する接合体頭部の軸線とは一致していない。棒状部分のZ方向の軸を中心に、接合体頭部を回転させると、棒状部分と接合体頭部との位置関係は変化する。
【0089】
本発明の第6実施形態によれば、Z方向に方向が一致する棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する接合体頭部の軸線とは一致していない。これによって、棒状部分のZ方向の軸を中心に、接合体頭部を回転させると、棒状部分と接合体頭部との位置関係を変化させることができる。したがって、接合体頭部が基台13に対向して占める基台13上の領域を、選択することができる。よって光学部品11が実装された基台13を、さらに他の部品に対して実装するときに、接合体14Eが占める位置を選択することが容易になる。
図14は、本発明の第7実施形態に係る光学部品の取付け構造10Fを表した側面図である。第7実施形態において、光学部品の取付け構造10Fは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Fとの機械的接続関係を含んで構成される。第7実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第7実施形態における接合体14Fは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を、解除可能に接合している接合手段である。
【0090】
接合体14Fは、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が低下する性質を有している。接合体14Fは、接着層12と基台13との間に、接着層12と基台13との両方に固着して実装されている。基台13の向きZ2側から加熱すると、接合体14Fによる接着層12と基台13との間の接合力が小さくなり、接着層12を基台13から分離することが可能になる。接合体14Fは層状部材とし、接合体14Fの厚み方向はZ方向に一致する。接合体14Fは光学部品11が対向する基台13上の領域に位置している。接着層12と基台13とは接触していない。接合体14Fの、接着層12に臨む向きZ1側の表面部には、複数の突起部が形成されており、各突起部は、接着層12に埋没している。接合体14Fの複数の突起部のうちの一部は、光学部品11に接していてもよいけれども、第7実施形態においては、該複数の突起部は光学部品11に接していないものとする。
【0091】
接合体14Fは、320℃以上360℃以下の温度領域に、基台13の表面からの剥離強度が常温のときに比べて0.1%以下となる温度を有する材質の接着層12である。
【0092】
本発明の第7実施形態によれば、接合体14Fの接着層12に臨む向きZ1側の表面部には、複数の突起部が形成されている。これによって、接合体14Fに突起部が形成されていない場合に比べて、接着層12および接合体14F間の固着について、せん断強さを大きくすることができる。接合体14Fは基台13と接着層12とを接合し、光学部品11とは接着層12を介して接合されている。これによって、接合体14Fの熱を光学部品11に直接伝えることなく、基台13の向きZ2側からの加熱によって接合体14Fの温度を上昇させることができる。したがって光学部品11を形成する部品が温度上昇によって熱膨張することを抑制し、光学部品11の変形、精度の低下を予防することができる。よって光学部品11に対する機械的負荷および熱的負荷を低減しながら、光学部品11を基台13からの取り外すことができる。
【0093】
図15は、本発明の第8実施形態に係る光学部品の取付け構造10Gを表した側面図である。第8実施形態において、光学部品の取付け構造10Gは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Gとの機械的接続関係を含んで構成される。接合体14Gは、介在部材と貫通部材とを含んで構成される。第8実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第8実施形態における接合体14Gは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を、解除可能に接合している接合手段である。
【0094】
接合体14Gに含まれる貫通部材は、貫通棒状部分と貫通部材頭部とを含んで構成されている。接合体14Gの貫通棒状部分の少なくとも一部分は、貫通部材等具から遠ざかるにつれて先細状に形成され、貫通棒状部分の外周面にはねじが形成されている。
【0095】
接合体14Gの貫通部材は、貫通棒状部分を向きZ1に向けて、貫通棒状部分の軸線の軸線方向をZ方向に一致させて、基台13および接着層12に実装される。接合体14Gの貫通棒状部分は、接合体14Gの介在部材および接着層12を貫通し、貫通棒状部分の向きZ1側の端部は、光学部品11に接触している。貫通棒状部分の向きZ1側の端部は、光学部品11に接触していなくてもよいし、光学部品11に形成される凹所に、光学部品の角変位可能に嵌め込まれていてもよい。
【0096】
接合体14Gの貫通部材において、Z方向に方向が一致する貫通棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する貫通部材頭部の軸線とは一致していない。貫通棒状部分Z方向の軸を中心に、貫通部材頭部を回転させると、貫通棒状部分と貫通部材頭部との位置関係は変化する。接合体14Gの貫通棒状部分は、光学部品11に対向する基台13上の領域の中央部を貫通していてもよいし、該領域の外縁部を貫通していてもよい。
【0097】
接合体14Gの介在部材は、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が低下する性質を有している。接合体14Gの介在部材は、接着層12と基台13との間に介在され、接着層12に固着し、基台13に対しては固着することなく接触している。基台13の向きZ2側から加熱すると、接合体14Gの介在部材による接着層12と基台13との間の接合力が小さくなり、接着層12を基台13から分離することが容易になる。接合体14Gの介在部材は層状部材とし、その厚み方向はZ方向に一致する。
【0098】
接合体14Gの介在部材は、光学部品11が対向する基台13上の領域に位置している。接着層12と基台13とは接触していない。接合体14Gの、接着層12に臨む向きZ1側の表面部には複数の突起部が形成されており、各突起部は、接着層12に埋没している。接合体14Fは、320℃以上360℃以下の温度領域に、基台13の表面からの剥離強度が常温のときに比べて0.1%以下となる温度を有する材質の接着層である。
【0099】
本発明の第8実施形態によれば、接合体14Gは、貫通部材と介在部材とを含み、構成される。これによって、光学部品11を基台13から分離するときに、貫通部材を取り外す工程と、介在部材に加熱を行い、その機械的強度を低下させる工程との、いずれを先に行うかを選択することができる。したがって、光学部品11および基台13の大きさ、形状に合わせて容易な作業手順を選択することができる。また前記2つの工程を同時に行うことも可能となる。したがって、光学部品11の取り外しにかかる時間を短縮することが可能となる。
【0100】
また第8実施形態によれば、接合体14Gの貫通部材は貫通部材頭部と貫通棒状部分とを含んで構成され、Z方向に方向が一致する貫通棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する貫通部材頭部の軸線とは一致していない。したがって、貫通棒状部分のZ方向の軸を中心に、貫通部材頭部を回転させることによって、貫通棒状部分を基台13、介在部材、接着層12に貫通させることを容易にすることができる。また貫通棒状部分のZ方向の軸を中心に、貫通部材頭部を回転させると、貫通棒状部分と貫通部材頭部との位置関係を変化させることができる。したがって、貫通部材頭部が基台13に対向して占める基台13上の領域を、選択することができる。よって光学部品11が実装された基台13を、さらに他の部品に対して実装するときに、接合体14Gが占める位置を選択することが容易になる。
【0101】
また第8実施形態によれば、接合体14Gの介在部材の表面部のうち、接着層12に臨む向きZ1側の表面部には、複数の突起部が形成されている。これによって、接合体14Gに突起部が形成されていない場合に比べて、接着層12および接合体14G間の固着について、せん断強さを大きくすることができる。
【0102】
図16は、本発明の第9実施形態に係る光学部品の取付け構造10Hを表した側面図である。第9実施形態において、光学部品の取付け構造10Hは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Gとの機械的接続関係を含んで構成される。接合体14Hは、層状部材と粒状部材とを含んで構成される。第9実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第9実施形態における接合体14Hは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を、解除可能に接合している接合手段である。
【0103】
接合体14Hの層状部材は、第7実施形態における接合体14Fと同じ材質、形状、大きさの部品とする。接合体14Hの層状部材は、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が下がり、基台13からの剥離強度が低下する性質を有している。接合体14Hの層状部材は、接着層12と基台13との間に、接着層12と基台13との両方に固着して実装されている。基台13の向きZ2側の面から加熱を行い接合体14Hの層状部材の温度を上昇させると、接着層12および基台13間の接合力を低下させることができる。
【0104】
接合体14Hの粒状部材は、半田または180℃以上230℃以下の温度領域に、融解する温度を有する合金から成り、接着層12と基台13との両方に固着して実装されている。接合体14Hの粒状部材は、球状であっても立方体であってもよいけれども、第9実施形態においては、楕円体を、その長軸に垂直な面で半分に切断した形状を有している。接合体14Hの粒状部材は、楕円体を切断した切断面に相当する平面を基台13に向けて基台13に固着している。接合体14Hの粒状部材は、光学部品11に対向する基台13の領域のうち、Z方向に見て外縁部に実装されている。基台13よりも向きZ1側に位置している接合体14Hの粒状部材の表面部のうち、少なくとも一部は接着層12に埋没しており、他の一部分は接着層12を形成する部材から露出して実装される。接合体14Hの粒状部材は、1つの光学部品11に対して1つだけ設置されていてもよいけれども、第9実施形態において接合体14Hの粒状部材は、複数設置されているものとした。
【0105】
本発明の第9実施形態によれば、接合体14Hは層状部材と粒状部材とを含み、構成されている。これによって、光学部品11を基台13から分離するときに、層状部材に加熱を行い、基台13に対する層状部材の剥離強度を低下させる工程と、粒状部材に加熱を行い、粒状部材を溶融させ、その機械的強度を低下させる工程との、いずれを行うかを選択することができる。したがって、基台13の向きZ2側から加熱を行う工程と、接着層12から露出している接合体14Hの粒状部材に対して、半田ごてのような発熱するチップを接触させる工程とのいずれかの工程を行うことによって、接着層12と基台13との間の接合力を低下させることができる。したがって、光学部品11および基台13の大きさ、形状に合わせて容易な作業工程を選択することができる。また前記2つの工程を同時に行うことも可能となる。したがって、光学部品11の取り外しに要する時間を短縮することが可能となる。
【0106】
第1〜第2実施形態における接合体および第4実施形態における貫通部材22は、ボルト、リベット、木ねじなど、市販されている部品を利用してもよい。
【0107】
第1〜第2実施形態における接合体および第4実施形態における貫通部材22として、市販されている部品を使用することによって、接合体および貫通部材22の製造に係るコストを低減することができる。市販されているから入手が容易で、部品交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における接合体14の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態において、接合体14を設置した基台13上で、光学部品11をジグ20によって支持した状態を表す側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10によって取付けられている光学部品11の、取り外し方法の工程を表すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け構造10Aを表した側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における接合体14Aの側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る光学部品の取付け構造10Bを表した側面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る光学部品の取付け構造10Cを表した側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態における貫通部材22の側面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る光学部品の取付け構造10Dを表した側面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る光学部品の取付け構造10Eを表した側面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る光学部品の取付け構造10Fを表した側面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係る光学部品の取付け構造10Gを表した側面図である。
【図16】本発明の第9実施形態に係る光学部品の取付け構造10Hを表した側面図である。
【符号の説明】
【0109】
10 光学部品の取付け構造
11 光学部品
12 接着層
13 基台
14 接合体
15 棒状部分
16 接合体頭部
20 ジグ
21 介在部材
22 貫通部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品の取付け構造、アクチュエータ、取付け方法および光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置などの光学部品は、これを保持しているシャーシなどの基台に固着されて配設されている。基台に対して光学部品を配設するときには、光学部品の位置、角度を精確に調節した上で配設することが必要である。これを実現するために、光ピックアップ装置において、対物レンズの傾き調節後に、半田などを用いて、光ピックアップのハウジングに対して、アクチュエータの底部を固定する手法が周知である(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の従来技術では、光ピックアップ装置のハウジングに複数のピンを設け、かつアクチュエータの底部に、ハウジングの各ピンに嵌合する開口部を設け、前記ピンと前記開口部とを係合した状態で、開口部に半田などの接着剤を充填して、アクチュエータの底部をハウジングに接着固定した光ピックアップ装置が開示されている。また簡単にアクチュエータの姿勢を保持できる光ピックアップ装置を提供することを目的として、対物レンズ駆動手段の接着面と基体の接着面とのうちのいずれか一方が凸部を有し、他方が凹部を有し、前記凸部と凹部とが接着剤を介して接着されている(たとえば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−319343号公報
【特許文献2】特開2005−332504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術では、光ピックアップ装置のハウジングとアクチュエータの底部とを接着する接着剤として半田が使用されており、修理のためにハウジングとアクチュエータとを分離するときには、半田を加熱して溶融してから、係合しているピンと開口部とを離す必要がある。しかし半田を溶融するために前記開口部に熱を加えると、その熱が光ピックアップ装置のハウジングにも伝わり、温度上昇によって光ピックアップ装置の光学部品としての精度が低下するという問題点がある。特許文献1の従来技術では、修理するときに光学部品の分解を容易にする手法は有していない。
【0006】
また特許文献2の従来技術においても、修理するときの光学部品の分解を容易にする手法は有しておらず、前記凸部および凹部は、修理のときの光学部品の分解を困難にする。また光学部品を分解するときに、光学部品に対して機械的負荷を与えてしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、光学部品を基台に取付けるときには基台に対する光学部品の位置調整を可能にし、かつ取り外すときには光学部品と基台との分離を容易にする光学部品の取付け構造、アクチュエータ、取付け方法および光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学部品が取付けられる基台と、
前記光学部品と前記基台との間に介在され、少なくとも光学部品に固着している接着層と、
前記接着層および前記基台間を、前記接着層および前記基台間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合する接合手段とを含むことを特徴とする光学部品の取付け構造である。
【0009】
また本発明は、前記接合手段は、基台を貫通し、かつ接着層に埋没している棒状部材を有していることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記棒状部材の少なくとも一部は、基台から光学部品に向かって先細状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記棒状部材は、外周部にねじが形成されていることを特徴とする。
また本発明は、前記接合手段は、温度上昇によって機械的強度が低下することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記接合手段は、前記接着層および前記基台間を、前記接着層と前記基台間の接合力を解除可能に接合していることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記接合手段は、前記接着層および前記基台間に介在される介在部材と、基台を貫通する貫通部材とを有していることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記光学部品の取付け構造を有する光学部品のアクチュエータである。
また本発明は、前記光学部品の取付け構造を有する光ピックアップ装置である。
【0015】
また本発明は、光学部品が取付けられるべき接合体を、前記基台に設置する接合体設置工程と、
前記光学部品を接着剤によって、少なくとも前記接合体に接着する光学部品接着工程とを有することを特徴とする光学部品の取付け方法である。
【0016】
また本発明は、前記接合体設置工程で接合体を設置した基台上にて、光学部品をジグによって支持する支持工程と、
前記ジグによって基台上に支持された前記光学部品の前記基台に対する位置関係を調整する位置調整工程とを含み、
前記位置調整工程の後、前記光学部品接着工程において少なくとも接合体と光学部品とを接着した後、前記基台、前記光学部品および接合体からジグを取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接着層と基台とは、接着層の基台に対する固着力のみならず、接合手段による接合力によっても、接合されている。したがって、接合手段を用いないときに比べて接着層および基台間の接合を強固にすることができる。光学部品と基台とは、接着層を介して配設されるので、基台に対して光学部品を取付けるときには、基台に対する光学部品の位置は、調整可能である。接合手段は、接着層および基台間を、接着層および基台間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合しており、接合手段による接合力の少なくとも一部は解除可能である。したがって接合手段による接合力を解除することによって、接着層および基台間の接合力を低下させることができる。よって接合手段による接合力の解除を行わないときに比べて、基台からの接着層の分離を容易にし、光学部品を基台から分離するときに光学部品にかかる機械的負荷を低減することができる。したがって、光学部品を基台に取付けるときに、基台に対する光学部品の位置調整を可能にすることと、取り外すときに光学部品と基台との分離を容易にすることとを両立する、光学部品の取付け構造および取付け方法を提供することができる。
【0018】
また本発明によれば、接合手段に含まれる棒状部材は、基台を貫通し、接着層に埋没している。したがって基台に対する光学部品の位置を調節可能に、光学部品を基台に対して接合することができる。棒状部材が基台を貫通していないとき、および棒状部材が接着層に埋没していないときに比べて、接着層および基台間の接合を強固にすることができる。接着層および基台間の接合力のうち、接合手段による接合力は、基台を挟んで光学部品とは逆側から、解除することができる。したがって、光学部品に対して基台の外方側から接合手段の取り外しが可能となり、接合手段が基台を貫通していないときに比べて、基台からの接合手段の取り外しが容易になる。
【0019】
また本発明によれば、前記棒状部材の少なくとも一部は、光学部品に向かって先細状に形成されている。これによって接合手段を基台に貫通させ、設置するときに、棒状部材の光学部品に向かう先端部からの基台に対する挿入を容易にすることができる。接合手段による接着層および基台間の接合力を解除するときに、接合手段の除去を容易にすることができる。
【0020】
また本発明によれば、前記棒状部材の外周部にはねじが形成されている。これによって接合手段を基台に貫通させ、設置するときに、接合手段を回転させることによって、接合手段の基台に対する挿入を容易にすることが可能になる。接合手段による接着層および基台間の接合力を解除するときに、接合手段を回転させることによって、接合手段の除去を容易にすることが可能となる。
【0021】
また本発明によれば、接合手段は、温度上昇によって機械的強度が低下する。これによって、接合手段を加熱し、接合手段の温度を上昇させることによって、接合手段による接着層および基台間の接合力の解除を容易にすることができる。
【0022】
また本発明によれば、接合手段は、接着層および基台間を、接着層および基台間の接合力を解除可能に接合している。したがって、接合手段を除去することによって、接着層および基台間の接合力を解除することによって、光学部品を取り外すことができる。
【0023】
また本発明によれば、接合手段は、光学部品および基台間に介在される介在部材と基台を貫通する貫通部材とを有している。これによって、接合手段による接合力を、貫通部材の除去および貫通部材と介在部材との除去によって解除することができる。したがって光学部品と基台とを接着層だけによって接合している状態よりも、光学部品を基台に対して強固に接合することができ、かつ光学部品を小さい力によって基台から分離することが可能になる。
【0024】
また本発明によれば、前記光学部品の取付け構造を光学部品の駆動を行うアクチュエータに適用する。これによって、前記のような効果を有するアクチュエータを実現することができる。
【0025】
また本発明によれば、前記光学部品の取付け構造を光ピックアップ装置に適用する。これによって、前記のような効果を有する光ピックアップ装置を実現することができる。
【0026】
また本発明によれば、光学部品の取付け方法は、接合体を基台に設置させる接合体設置工程と、光学部品を少なくとも接合体に接着する光学部品接着工程とを有している。これによって基台に対する光学部品の位置を調整可能に、基台に対して光学部品を取付けることができる。接合体設置工程を行わないときに比べて、接着層および基台間の接合を強固にすることができる。接合体を除去することによって、光学部品および基台間の接合力の少なくとも一部を解除することが可能になる。
【0027】
また本発明によれば、光学部品をジグによって基台上で支持する支持工程と、光学部品の基台に対する位置関係を調整する位置調整工程とを有することによって、光学部品の位置の変位をジグによって制限することができる。従って光学部品の位置調整を容易にすることができる。実装された光学部品が機能するときに、好ましい位置および向きに存することができるように、光学部品を設置することができる。また位置調整工程のあと、少なくとも接合体と光学部品とを接着した後、基台、光学部品および接合体からジグを取り外すことによって、接合体と光学部品との接着が終了する前に、基台に対して光学部品が変位してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10を示す側面図である。図2は、本発明の第1実施形態における接合体14の側面図である。第1実施形態において、光学部品の取付け構造10は、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14との機械的接続関係を含んで構成される。
【0030】
第1実施形態において光学部品11は、光情報再生装置内に搭載される光ピックアップ装置であり、基台13は光ピックアップ装置の駆動を行うアクチュエータが搭載されるアクチュエータベースである。基台13には、設置される光学部品11に対向する領域内に、孔が形成されている。該孔は円形とし、該孔には接合体14の棒状部分15が貫通される。接着層12は、光学部品11と基台13とを接着している。接着層12は固化した接着剤から成る。まだ固化していない接着剤の状態では、ペースト状をしており、固化することにより、光学部品11を基台13上に保持し、固定する。このような接着層12は、光学部品11と基台13との間に介在されている。
【0031】
本実施の形態において、光学部品11が対向する基台13上の表面に垂直な方向のうち、該基台13上の表面から光学部品11側への一方の向きを「向きZ1」と称し、他方の向きを「向きZ2」と称し、向きZ1および向きZ2を含む方向を「Z方向」と称する。
【0032】
接合体14は、接着層12と基台13とを、接着層12および基台13間の接合力の一部を解除可能に接合する接合手段を実現する。接合体14は、基台13および光学部品11とは別部材の棒状部材であり、棒状部分15と接合体頭部16とを含んで構成される。第1実施形態において、前記棒状部分15には、ねじは形成されていない。接合体頭部16および棒状部分15は同じ材質から成り、ともに円柱状に形成されている。接合体頭部16と棒状部分15とは同一軸線を有し、この軸線方向はZ方向と一致している。接合体頭部16の直径は棒状部分15の直径よりも大きい。
【0033】
接着層12は、光学部品11と基台13との間に介在されており、光学部品11の一表面と、該一表面が対向する基台13上の表面とに接着している。接合体14は、接合体頭部16を向きZ2側に向け、棒状部分15を向きZ1側に向け、基台13および接着層12に挿入されている。接合体14の棒状部分15は、基台13を貫通している。接合体頭部16は、基台13よりも向きZ2側に位置しており、基台13の向きZ2側の面に接している。棒状部分15の両端面のうち、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面部P1は接着層12に埋没している。棒状部分15の端面部P1は、光学部品11には接触していない。接着層12を介して向かい合う光学部品11の表面と基台13の表面との間は、平均して1mm以上の間隔を有している。接着層12がまだ固体として形成されていないときには、基台13に臨む光学部品11の表面は、光学部品11に臨む基台13の表面に対して傾くことが許され、光学部品11は、基台13に対して角変位可能である。接着層12がまだ固体として形成されていないときには、光学部品11は、Z方向に垂直な面内においても変位可能であり、該面内で基台13に対して変位することも可能である。
【0034】
接着層12が固体として形成された状態において、接合体14の棒状部分15は、接着層を成す固体に、固着されている。光学部品11と基台13とは接着層12によって接着され、光学部品11および基台13の互いの相対位置の変化は防止されている。さらに、棒状部分15と接着層12との固着力、接合体14の機械的強度、基台13に形成された孔に棒状部分15が嵌合していることによる接合体14に対する基台13の保持力、および接合体頭部16が基台13に当接することによる接合体14、基台13間の抗力は、協働して接着層12の基台13に対する変位を防止している。したがって、該前記複数の力は、光学部品11を基台13に対して接合する働きを有している。
【0035】
接合体14の接合体頭部16が、基台13よりも向きZ2側に位置しているので、基台13と接合体頭部16との間に間隙を設け、接合体頭部16を向きZ2に引張ることによって、接合体14を接着層12および基台13から除去することが可能である。接合体14を接着層12および基台13から除去することによって、接着層12と基台13との間に働く接合力は小さくなる。
【0036】
図3は、本発明の第1実施形態において、接合体14を設置した基台13上で、光学部品11をジグ20によって支持した状態を表す側面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。
【0037】
ジグ20は、金属単体、合金および樹脂などの材質から成り、基台13に対する光学部品11の変位を制限する。ジグ20は、基台13よりも向きZ1側に位置する部分と向きZ2側に位置する部分とを有しており、基台13をZ方向両側から挟持している。ジグ20はまた、光学部品11がZ方向に垂直な面内で変位することを制限するために、光学部品11の近傍に配置され、光学部品11を挟持する部分を有している。これらの部分によってジグ20は、基台13と光学部品11との互いの相対位置の変化を制限することが可能である。ジグ20は、光学部品11を基台13に対して調整可能であればよく、たとえば基台13を固定するバイス状の部材と、光学部品11を挟持して移動および回転させることが可能な、多軸制御のアームを組み合わせた構造の部材とを有している。ジグ20のうち、基台13を挟持する、たとえばバイス状の部材と、光学部品11を挟持する部材とは、別部材であることが好ましい。
【0038】
接着剤が固化する以前の段階において、ジグ20が基台13と光学部品11との互いの相対位置の変化を制限している状態では、光学部品11が自重によって基台13に対して変位することはないけれども、外力の作用を加えると、ジグ20は、基台13と光学部品11との互いの相対位置は変化させることができる。
【0039】
第1実施形態で、光学部品の取付け方法は、接合体設置工程と、支持工程と、光学部品接着剤塗布工程と、位置調節工程と、接着剤固化工程と、ジグ除去工程とを含んでいる。本処理開始後、ステップa1の接合体設置工程に移行し、接合体14を基台13に設置する。基台13には、接合体14の棒状部分15を貫通させ設置するための孔が予め設けられている。接合体14は、基台13に設けられた孔に貫通させられ、設置される。次にステップa2の支持工程に移行し、ジグ20によって光学部品11を基台13上に支持する。これによって光学部品11と基台13との相対位置の変化は制限される。次いでステップa3の光学部品接着剤塗布工程に移行し、光学部品11および基台13間に接着剤を塗布する。ステップa3の光学部品接着剤塗布工程は、光学部品11を、少なくとも接合体14に接着する光学部品接着工程である。本明細書中において接着剤に関する「塗布」は接着剤の「注入」、「挿入」などを含むものとする。
【0040】
次にステップa4の位置調整工程に移行し、基台13に対して、光学部品11の相対的な位置を調整し、光学部品11に臨む基台13の表面と基台13に臨む光学部品11の表面との角度の調整を行う。ステップa2の支持工程ではジグ20によって光学部品11は基台13上に支持されて、光学部品11と基台13との互いの相対位置の変化は制限されているけれども、接着剤の固化による接着層12の形成が終了するまでは、基台13上で光学部品11の相対位置の変化と角変位は可能である。基台13上の光学部品11の相対位置および角度の調整の後、基台13と光学部品11との互いの位置関係が固定された状態で、次のステップa5に移行する。
【0041】
ステップa5の接着剤固化工程では、ステップa3の光学部品接着剤塗布工程で塗布した接着剤の固化を行う。接着剤として、光照射によって固化する物質を用いた場合には、接着剤を固化し接着層12を形成するときに光照射を行うけれども、第1実施形態におけるステップa5の接着剤固化工程では、乾燥を待つことによって接着剤の固化、接着層12の形成を行う。次にステップa6のジグ除去工程に移行し、光学部品11、基台13および接合体14からジグ20を取り外す。その後、本処理は終了する。
【0042】
第1実施形態において光学部品11は、光情報再生装置内の光ピックアップ装置としたけれども、光ピックアップ装置以外の光学部品であっても構わない。たとえば、顕微鏡、双眼鏡、レーザ発振器、望遠鏡、天体望遠鏡などであってもよい。
【0043】
第1実施形態において接合体14は、金属単体または合金から成るとしたけれども、光学部品の重量が荷重として作用しても破壊されない程度に機械的強度を有する材料、太さ、Z方向の長さを有していれば、足りる。たとえば他の実施形態において接合体14は、樹脂、セラミック、木、竹などを含んで形成されていてもよい。第1実施形態において棒状部分15をZ方向に垂直な面で切断した断面は、円形としたけれども、多角形であってもよい。接合体頭部16をZ方向に垂直な面で切断した断面は、円形としたけれども、多角形であってもよい。また接合体14は、1つの光学部品11に対して1つだけが実装されているものとしたけれども、1つの光学部品11に対して複数の接合体14が実装されてもよい。また、基台13に接合体14を挿入するために基台13に形成される孔は、Z方向に見て円形としたけれども、他の実施形態においては多角形であってもよい。
【0044】
第1実施形態において、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面P1は、光学部品11に接触しておらず、接着層12に埋没しているものとしたけれども、他の実施形態において該端面の少なくとも一部は光学部品11に接していてもよい。さらに他の実施形態においては、棒状部分15の端面部P1は光学部品に設けられた凹所に嵌め込まれていてもよい。
【0045】
第1実施形態では、ジグ20が基台13と光学部品11との互いの位置関係を調整するときには、ジグ20は可塑性によって変形し、基台13と光学部品11とを支持するけれども、他の実施形態においてジグ20にはビスが取付けてあり、該ビスによって基台13と光学部品11との互いの位置関係を調整するものとしてもよい。
【0046】
図5は、本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10によって取付けられている光学部品11の、取り外し方法の工程を表すフローチャートである。該取り外し方法は、ジグ設置工程と、接合体除去工程と、接着層除去工程と、分離工程と、ジグ除去工程とを含んでいる。本処理開始後、ステップb1のジグ設置工程に移行し、基台13および基台13に接合されている光学部品11に、ジグ20を設置する。次にステップb2の接合体除去工程に移行し、接合体14の除去を行う。接合体14の除去は、接合体14の接合体頭部16と基台13との間に間隙を作り、接合体14を向きZ2に引き抜くことによって除去する。次いでステップb3の接着層除去工程に移行し、接着層12の除去を行う。接着層12を溶解し得る溶媒を接着層12近傍に塗布することによって接着層12を溶解させてもよいし、温度上昇によって軟化する接着層12であるならば、過熱することによって接着層12を軟化させる。次にステップb4の分離工程に移行し、光学部品と基台13との分離を行う。次いでステップb5のジグ除去工程に移行し、分離した光学部品または基台13から、ジグ20の除去を行う。その後、本処理は終了する。本処理において、ステップb3の接着層除去工程とステップ4の分離工程とは、同時並行で行ってもよい。
【0047】
本発明に係る第1実施形態によれば、接着層12と基台13とは、接着層12の基台13に対する固着力のみならず、接合体14による接合力によっても、接合されている。したがって、接合体14を用いないときに比べて接着層12および基台13間の接合を強固にすることができる。光学部品11と基台13とは、接着層12を介して配設されるので、基台13に対して光学部品11を取付けるときには、基台13に対する光学部品11の位置は、調整可能である。接合体14は、接着層12および基台13間を、接着層12および基台13間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合しており、接合体14による接合力の少なくとも一部は、解除可能である。したがって接合体14による接合力を解除することによって、接着層12および基台13間の接合力を低下させることができる。よって接合体14による接合力の解除を行わないときに比べて、基台13からの接着層12の分離を容易にすることができる。したがって、光学部品11を基台13から分離するときに光学部品11にかかる機械的負荷を低減することが可能となる。
【0048】
また第1実施形態によれば、接合体14に含まれる棒状部分15は、基台13を貫通し、接着層12に埋没している。したがって基台13に対する光学部品11の位置を調節可能に、光学部品11を基台13に対して接合することができる。棒状部分15が基台13を貫通していないとき、および棒状部分15が接着層12に埋没していないときに比べて、接着層12および基台13間の接合を強固にすることができる。接着層12および基台13間の接合力のうち、接合体14による接合力は、基台13を挟んで光学部品11とは逆側から、解除することができる。したがって、光学部品11に対して基台13の外方側から接合体14の取り外しが可能となり、接合体14が基台13を貫通していないときに比べて、基台13からの接合体14の取り外しが容易になる。
【0049】
また第1実施形態によれば、光学部品の取付け構造10を光学部品11の駆動を行うアクチュエータに適用する。これによって、前記のような効果を有するアクチュエータを実現することができる。
【0050】
また第1実施形態によれば、光学部品の取付け構造10を光ピックアップ装置に適用する。これによって、前記のような効果を有する光ピックアップ装置を実現することができる。
【0051】
また第1実施形態によれば、光学部品の取付け方法は、接合体14を基台13に設置させるステップa1の接合体設置工程と、光学部品11を少なくとも接合体14に接着するステップa3の光学部品接着剤塗布工程とステップa5の接着剤固化工程を有している。これによって基台13に対する光学部品11の位置を調整可能に、基台13に対して光学部品11を取付けることができる。ステップa1の接合体設置工程を行わないときに比べて、接着層12および基台13間の接合を強固にすることができる。接合体14を除去することによって、光学部品11および基台13間の接合力の少なくとも一部を解除することが可能になる。
【0052】
また第1実施形態によれば、光学部品11をジグ20によって基台13上で支持する、ステップa2の支持工程と、光学部品11の基台13に対する位置関係を調整する、ステップa4の位置調整工程とを有することによって、光学部品11の位置の変位をジグ20によって制限することができる。従って光学部品11の位置調整を容易にすることができる。実装された光学部品11が機能するときに、好ましい位置および向きに存することができるように、光学部品11を設置することができる。また位置調整工程のあと、少なくとも接合体14と光学部品11とを接着した後、基台13、光学部品11および接合体14からジグ20を取り外すことによって、接合体14と光学部品11との接着が終了する前に、基台13に対して光学部品11が変位してしまうことを防止することができる。
【0053】
また第1実施形態によれば、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面P1は、光学部品11には接触していない。これによって、光学部品11に対して接合体14の棒状部分15が圧縮荷重として作用することがない。したがって光学部品11に傷、変形などの損傷を与えることを防止することができる。
【0054】
他の実施形態において、接合体頭部16から遠い方の棒状部分15の端面P1の少なくとも一部は光学部品11に接していてもよい。さらに他の実施形態においては、棒状部分15の端面部P1は光学部品に設けられた凹所に嵌め込まれていてもよい。このような構成にすることによって、光学部品11の位置決めを行うときに、光学部品11の角変位を可能にし、かつZ方向に垂直な面内で光学部品11が変位することを防止することができる。
【0055】
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け構造10Aを表した側面図である。図7は、本発明の第2実施形態における接合体14Aの側面図である。第2実施形態において、光学部品の取付け構造10Aは、光学部品11と、接着層12Aと、基台13と、接合体14Aとの機械的接続関係を含んで構成される。第2実施形態における光学部品11および基台13は、第1実施形態における光学部品11および基台13と同じであるものとする。第2実施形態における接合体14Aは、接着層12Aと基台13との間を、接着層12Aおよび基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0056】
接合体14Aは、棒状部分15Aと接合体頭部16Aとを含んで構成される。棒状部分15Aの少なくとも一部分は、接合体頭部16Aから遠ざかるにつれて先細状に形成されている。棒状部分15AのZ方向両端部のうち、接合体頭部16Aから遠い方の先細状の先端部P2は略円錐形をしており、先細状でない部分は、略円柱の形状をしている。棒状部分15Aの外周面にはねじが形成されており、このねじは右ねじであっても左ねじであってもよい。棒状部分15Aの直径は接合体頭部16Aの直径よりも小さく、棒状部分15Aと接合体頭部16Aの軸線は一致している。両軸線の軸線方向は、接合体14Aが基台13および接着層12Aに挿入されたときには、Z方向に一致するように基台13Aおよび接着層12Aに実装される。
【0057】
接合体14Aは、接合体頭部16Aを向きZ2側に向け、棒状部分15Aを向きZ1側に向け、基台13および接着層12Aに挿入される。接合体14Aの棒状部分15Aは、基台13を貫通している。接合体頭部16Aは、基台13よりも向きZ2側も位置しており、基台13の向きZ2側の面に接している。棒状部分15Aの両端部のうち、接合体頭部16Aから遠い方の棒状部分15Aの端部P2は、接着層12Aに埋没している。棒状部分15Aの端部P2は、光学部品11には接触していない。接着層12Aを介して向かい合う光学部品11の表面と基台13の表面との間は、平均して1mm以上の間隔を有している。接着層12Aがまだ固体として形成されていないときには、基台13に臨む光学部品11の表面は、光学部品11に臨む基台13の表面に対して傾くことが許され、光学部品11は、基台13対して角変位可能である。接着層12Aがまだ固体として形成されていないときには、光学部品11は、Z方向に垂直な面内においても変位可能であり、該面内で基台13に対して変位することも可能である。
【0058】
第2実施形態における接着層12Aは、光照射によって固化する樹脂とする。接着層12Aの前駆体は、光照射によって重合または縮合し、架橋によって固化する性質を有する物質を含んでいる。光照射によって接着剤を固化し、接着層12Aを形成する。照射する光は、作業上、紫外線であることが好ましいけれども、接着剤に対して照射することによって重合、重合の開始および縮合のいずれかを行うことができれば、150nm以上1300nm以下の範囲のいずれの波長の光の照射を行ってもよい。
【0059】
図8は、本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。第2実施形態で、光学部品の取付け方法は、接合体設置工程と、支持工程と、光学部品接着剤塗布工程と、位置調節工程と、接着剤固化工程と、ジグ除去工程とを含んでいる。本処理開始後、ステップc1の接合体設置工程に移行し、接合体14Aを基台13に設置する。基台13には、接合体14Aの棒状部分15Aを貫通させるための孔が予め設けられている。接合体14Aが基台13に設けられた孔に貫通させられるときに、接合体14Aは、Z方向に垂直な面内での回転させられることによって、効率よく基台13に対する設置が行われる。次にステップc2の支持工程に移行する。ステップc2の支持工程は、第1実施形態の図4におけるステップa2の支持工程と同様である。ステップc2の支持工程の後、ステップc3の光学部品接着剤塗布工程に移行し、光学部品11および基台13間に接着剤を塗布する。
【0060】
第2実施形態の光学部品接着剤塗布工程で利用する接着剤は、光照射によって重合または縮合が起こり、架橋することによって固化する成分を含んでいる。該接着剤塗布の後、ステップc4の位置調整工程に移行する。ステップc4の位置調整工程は、第1実施形態の図4における、ステップa4の位置調整工程と同様である。次にステップc5の接着剤固化工程に移行し、接着剤に対する光照射を行う。光照射によって固化した接着剤成分によって、接着層12Aが形成される。次にステップc6のジグ除去工程に移行し、光学部品11、基台13および接合体14Aからジグ20を取り外す。その後、本処理は終了する。
【0061】
第2実施形態において接合体14Aの接合体頭部16Aは、基台13よりも向きZ2側に位置するものとしたけれども、他の実施形態において接合体頭部16Aの少なくとも一部分は、基台13の厚みのうちに埋没するように実装されてもよい。
【0062】
本発明の第2実施形態によれば、棒状部分15Aの少なくとも一部は、光学部品11に向かって先細状に形成されている。これによって接合体14Aを基台13に貫通させ、設置するときに、棒状部分15Aの光学部品11に向かう先端部P2からの基台13に対する挿入を容易にすることができる。接合体14Aによる接着層12Aおよび基台13間の接合力を解除するときに、接合体14の除去を容易にすることができる。
【0063】
また第2実施形態によれば、棒状部分15Aの外周部にはねじが形成されている。これによって接合体14Aを基台13に貫通させ、設置するときに、接合体14Aを回転させることによって、接合体14Aの基台13に対する挿入を容易にすることが可能になる。接合体14Aによる接着層12Aおよび基台13間の接合力を解除するときに、接合体14Aを回転させることによって、接合体14Aの除去を容易にすることが可能となる。
【0064】
また第2実施形態によれば、ステップc3の光学部品接着剤塗布工程は、光学部品11と少なくとも接合体14Aとの間に介在される接着剤を塗布する工程を含んでいる。これによって、ステップc4の位置調整工程を行う以前の段階においては、接着剤は固化後の接着層12Aに比べて機械的強度が小さく、ステップc4の位置調整工程の後に行われるステップc5の接着剤固化工程において光照射が行われると、接着剤が固化して接着層12Aが形成され、固化以前の接着剤に比べて機械的強度が大きくなる。したがって位置調整工程における光学部品11の位置調整を容易に行うことと、短時間のうちに接着剤を固化して接着層12Aを形成することとを両立することができる。位置調整工程において光学部品11の位置調整を行うときには、接着剤はまだ固化していないので、位置調整に必要な力は小さい。固化していない接着剤は流動的であるので、接着剤が変位または変形させられる力を受けても、固化後の接着層12Aの機械的強度を下げることがない。
【0065】
他の実施形態において、接合体14Aの接合体頭部16Aの少なくとも一部は、基台13に対して、基台13の厚み内に埋没して接している。これによって基台13の向きZ2側の凹凸を少なくすることができ、光学部品11を実装した基台13の、さらに他の部品に対する実装を容易にすることが可能である。
【0066】
図9は、本発明の第3実施形態に係る光学部品の取付け構造10Bを表した側面図である。第3実施形態において、光学部品の取付け構造10Bは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Bとの機械的接続関係を含んで構成される。第3実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同様であるものとする。第3実施形態における接合体14Bは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0067】
接合体14Bは、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が低下する性質を有している。基台13の向きZ2側から加熱すると、接合体14Bによる接着層12と基台13との間の接合力が小さくなり、接着層12を基台13から分離することが可能になる。接合体14Bの形状は棒状でも層状でもよく、粒状でもよい。第3実施形態においては複数の粒状の部材とした。接合体14Bは接着層に埋没して接着層12と基台13とに接している。複数の粒状の接合体14Bのうち一部は光学部品11に接しても構わないけれども、第3実施形態では、接合体14Bは光学部品11には接していないものとする。
【0068】
接合体14Bは320℃以上360℃以下の温度領域に、引張り強度が常温のときに比べて0.1%以下となる温度を有する樹脂から成るものとする。ただし他の実施形態において接合体は層状の部材で、その層の厚み方向はZ方向に一致するものとするとき、接合体の温度が上昇すると、少なくとも基台13の表面に対して、剥離強度が下がる層であってもよい。
【0069】
接着層12が固体として形成された状態において接合体14Bは、接着層12を成す固体および基台13に固着されている。光学部品11と基台13とは接着層12と接合体14Bとによって接着され、光学部品11および基台13の互いの相対位置の変化は防止されている。さらに、接合体14Bと接着層12との固着力、接合体14Bの機械的強度、接合体14Bと基台13との固着力は、協働して接着層12の基台13に対する変位を防止している。したがって、該前記複数の力は、光学部品11を基台13に対して接合している。
【0070】
第3実施形態において接合体14Bは粒状としたけれども、他の実施形態においては棒状、板状、針状、粉末状であってもよい。第3実施形態において接合体14Bは樹脂から成るものとしたけれども、他の実施形態では、たとえば、半田でもよく、他の低融点の合金であってもよい。温度上昇によって解重合が起こり、化学的結合が切れる材料であってもよい。第3実施形態で接合体14Bは、接着層12と基台13との間に設置したけれども、他の実施形態においては、光学部品11と接着層12との間に配設してもよい。
【0071】
本発明の第3実施形態によれば、接合体14Bは、温度上昇によって機械的強度が低下する。これによって、接合体14Bを加熱し、接合体14Bの温度を上昇させることによって、接合体14Bによる接着層12および基台13間の接合力の解除を容易にすることができる。接合体14Bを接着層12と基台13との間に設置することによって、基台13の向きZ2側からの加熱によって、接合体14Bの温度を上昇させることができる。接合体14Bは光学部品11と接触していないので、接合体14Bから光学部品11に伝わる熱量を、接合体14Bは光学部品11と接触しているときよりも少なくすることができる。
【0072】
また第3実施形態によれば、光学部品11および接着層12間の接合力と、接着層12および基台13間の接合力とに差を生じさせて基台13から光学部品11を取り外す。これによって接着層12が光学部品11および基台13のいずれか一方に優先的に固着した状態で、基台13から光学部品11を取り外すことができる。したがって接着層12の強度が、光学部品11の向きZ2側の表面部または基台13の向きZ1側の表面部に使われている材料の機械的強度よりも高い場合でも、光学部品11を基台13から取り外したときに、光学部品11または基台13の表面部の一部が剥離することがない。接合体14Bは、温度上昇によって機械的強度が低下する。これによって光学部品11および接着層12間の接合力よりも接着層12おおよび基台13間の接合力を小さくすることができる。したがって接着層12の剥離を基台13との間において優先的に起こすことができ、光学部品11の表面部の一部が剥離することがない。
【0073】
図10は、本発明の第4実施形態に係る光学部品の取付け構造10Cを表した側面図である。図11は、本発明の第4実施形態における貫通部材22の側面図である。第4実施形態において、光学部品の取付け構造10Cは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Cとの機械的接続関係を含んで構成される。接合体14Cは、介在部材21と貫通部材22とを含んで構成される。第4実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11および基台13と同じであるものとする。第4実施形態における接合体14Cは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を解除可能に接合している接合手段である。
【0074】
接合体14Cに含まれる貫通部材22は、貫通棒状部分23と貫通部材頭部24とを含んで構成されており、貫通部材22は、第2実施形態における接合体14Aと同じ材質、形状、大きさの部品であるものとする。貫通部材22の貫通棒状部分23は、接合体14A中の棒状部分15Aに相当し、貫通部材22の貫通部材頭部24は、接合体14A中の接合体頭部16Aに相当する(図7参照)。
【0075】
貫通部材22は、貫通棒状部分23を向きZ1に向けて、貫通棒状部分23の軸線の軸線方向をZ方向に一致させて、基台13および接着層12に実装される。貫通棒状部分23は、介在部材21および接着層12を貫通し、貫通棒状部分23の両端部のうち貫通部材頭部24から遠い方の貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触している。貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触していなくても構わない。この場合には貫通棒状部分23の端部P3は、接着層12に埋没している。
【0076】
接合体14Cに含まれる介在部材21は、樹脂、金属、木、竹などの材質から成っており、光学部品の重量が荷重として作用しても破壊されない程度に機械的強度を有する部材であればよい。第4実施形態において介在部材21は、樹脂から成るものとし、接着層12と基台13との間に介在され、接着層12に固着している。光学部品と介在部材21とは接着層12または接着層12と貫通部材22とによって接合され、介在部材21と基台13とは貫通部材22によって接合される。光学部品11および基台13の互いの相対位置の変化は防止されている。さらに、貫通部材22と接着層12との固着力、貫通部材22の機械的強度、貫通部材22と基台13との固着力は、協働して接着層12の基台13に対する変位を防止している。したがって、前記複数の力は、光学部品11を基台13に対して接合している。
【0077】
貫通部材頭部24が、基台13よりも向きZ2側に位置しているので、基台13と貫通部材頭部24との間に間隙を設け、貫通部材頭部24を向きZ2に引張ることによって、貫通部材22を接着層12、介在部材21および基台13から除去することが可能である。貫通部材22を除去することによって、接着層12と基台13との間に働く接合力は、解除される。
【0078】
第4実施形態における貫通部材22の貫通棒状部分23は向きZ1に向かって先細状に形成されていなくても、貫通棒状部分22の外周部にねじが形成され、介在部材21に螺合していればよい。第4実施形態における貫通部材22、あるいは介在部材21として、温度上昇によって機械的強度が低下する部材を用いることも可能である。
【0079】
第4実施形態では、貫通棒状部分23の両端部のうち貫通部材頭部24から遠い方の貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触しているけれども、前記端部P3は光学部品11に接触していなくてもよい。
【0080】
本発明の第4実施形態によれば、接合体14Cは、接着層12および基台13間を、接着層12および基台13間の接合力を解除可能に接合している。したがって、接合体14Cを除去することによって、接着層12および基台13間の接合力を解除することによって、光学部品11を取り外すことができる。
【0081】
また第4実施形態によれば、接合体14Cは、光学部品11および基台13間に介在される介在部材21と、基台13を貫通する貫通部材22とを有している。これによって、接合体14Cによる接合力を、貫通部材22の除去、または貫通部材22と介在部材21との除去によって解除することができる。したがって光学部品11と基台13とを接着層12だけによって接合している状態よりも、光学部品11を基台13に対して強固に接合することができ、かつ光学部品11を小さい力によって基台13から分離することが可能になる。接合体14Cの貫通部材22を基台13に貫通させ、接着層12に貫通または埋没させて設置するときに、貫通部材22を回転させることによって接合体14Cの基台13および接着層12に対する挿入を容易にすることができる。接着層12および基台13間の接合力を解除するときに、接合体14Cの貫通部材22を回転させることによって、貫通部材22の除去を容易にすることができる。
【0082】
また第4実施形態によれば、貫通棒状部分23の両端部のうち貫通部材頭部24から遠い方の貫通棒状部分23の端部P3は、光学部品11に接触している。これによって、光学部品11の位置決めを行うときに、光学部品11の角変位を可能にし、かつZ方向に垂直な面内で光学部品11が変位することを防止することができる。
【0083】
図12は、本発明の第5実施形態に係る光学部品の取付け構造10Dを表した側面図である。第5実施形態において、光学部品の取付け構造10Dは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Dとの機械的接続関係を含んで構成される。第5実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第5実施形態における接合体14Dは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0084】
接合体14Dは、棒状部材で形成されており、図2における接合体頭部16に相当する部分は有していない。接合体14Dは、半田または180℃以上230℃以下の温度領域に、融解する温度を有する合金から成るものとする。接合体14DをZ方向に垂直な面で切断した断面は、多角形であってもよいけれども、第5実施形態では、円形とした。接合体14Dは、一部が向きZ1に向かって先細状に形成されていてもよいけれども、第5実施形態では、Z方向に同じ断面積、同じ断面形状を有するものとする。接合体14Dは、光学部品11に対向する基台13の領域のうち、Z方向に見て外縁部に実装されている。基台13よりも向きZ1側に位置している接合体14Dの部分のうち、少なくとも一部分は接着層12に埋没しており、他の一部分は接着層12を形成する部材から露出して実装される。接合体14Dの向きZ2側の端部は、基台13が成す層内に位置しているけれども、基台13から、向きZ2側に露出するように実装されている。
【0085】
本発明の第5実施形態によれば、接合体14Dは、光学部品11に対向する基台13の領域のうち、Z方向に見て外縁部に実装されている。これによって、接合体14Dを除去した後、接合体14Dに接していた接着層12の表面部から、接着層12を溶媒などによって溶解させることができる。これによって基台13から光学部品11を分離するときに、光学部品11と基台13とが互いに対向する領域のうち、Z方向に見て接合体14Dの存していた外縁部から、光学部品11と基台13との距離を広げることによって、光学部品11を基台13から取り外すことができる。したがって接合体14Dが、光学部品11と基台13とが互いに対向する領域のうち、Z方向に見て中央部に実装されるときよりも、光学部品11の基台13からの分離を容易にすることができる。
【0086】
また第5実施形態によれば、接合体14Dは、基台13よりも向きZ2側に突起する部分を有していないために、基台13の向きZ2側の凹凸を少なくすることができ、光学部品11を実装した基台13の、さらに他の部品に対する実装を容易にすることが可能である。基台13よりも向きZ1側に位置している接合体14Dの部分のうち、一部分は接着層12を形成する部材から露出して実装される。これによって接合体14Dを除去するときに、接着層12から露出する一部分に対して加熱を行うことができ、接合体14Dの温度を上昇させて接合体14Dの機械的強度を低下させることが容易になる。また接着層12から露出する接合体14Dの一部分の表面と、基台13の向きZ2側に露出している接合体14Dの表面とに電極を接触させ、電気を流すことによって接合体14を加熱し、軟化させることができる。したがって、光学部品11を基台13に取付けるときには、基台13に対する光学部品11の位置調整を可能にし、かつ取り外すときには光学部品11と基台13との分離を容易にする光学部品の取付け構造を提供することができる。
【0087】
図13は、本発明の第6実施形態に係る光学部品の取付け構造10Eを表した側面図である。第6実施形態において、光学部品の取付け構造10Eは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Eとの機械的接続関係を含んで構成される。第6実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第6実施形態における接合体14Eは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力の一部を、解除可能に接合している接合手段である。
【0088】
接合体14Eは棒状部分および接合体頭部とを含んで形成される。棒状部分および接合体頭部をZ方向に垂直な面で切断した断面は、多角形であってもよいけれども、第6実施形態においては円形であるものとした。棒状部分の少なくとも一部は向きZ1に向かって先細状に形成されている。棒状部分の表面部の一部分には、ねじが形成されていてもよいけれども、第6実施形態において接合体14Eの棒状部分の表面部には、ねじは形成されていない。Z方向に方向が一致する棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する接合体頭部の軸線とは一致していない。棒状部分のZ方向の軸を中心に、接合体頭部を回転させると、棒状部分と接合体頭部との位置関係は変化する。
【0089】
本発明の第6実施形態によれば、Z方向に方向が一致する棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する接合体頭部の軸線とは一致していない。これによって、棒状部分のZ方向の軸を中心に、接合体頭部を回転させると、棒状部分と接合体頭部との位置関係を変化させることができる。したがって、接合体頭部が基台13に対向して占める基台13上の領域を、選択することができる。よって光学部品11が実装された基台13を、さらに他の部品に対して実装するときに、接合体14Eが占める位置を選択することが容易になる。
図14は、本発明の第7実施形態に係る光学部品の取付け構造10Fを表した側面図である。第7実施形態において、光学部品の取付け構造10Fは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Fとの機械的接続関係を含んで構成される。第7実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第7実施形態における接合体14Fは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を、解除可能に接合している接合手段である。
【0090】
接合体14Fは、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が低下する性質を有している。接合体14Fは、接着層12と基台13との間に、接着層12と基台13との両方に固着して実装されている。基台13の向きZ2側から加熱すると、接合体14Fによる接着層12と基台13との間の接合力が小さくなり、接着層12を基台13から分離することが可能になる。接合体14Fは層状部材とし、接合体14Fの厚み方向はZ方向に一致する。接合体14Fは光学部品11が対向する基台13上の領域に位置している。接着層12と基台13とは接触していない。接合体14Fの、接着層12に臨む向きZ1側の表面部には、複数の突起部が形成されており、各突起部は、接着層12に埋没している。接合体14Fの複数の突起部のうちの一部は、光学部品11に接していてもよいけれども、第7実施形態においては、該複数の突起部は光学部品11に接していないものとする。
【0091】
接合体14Fは、320℃以上360℃以下の温度領域に、基台13の表面からの剥離強度が常温のときに比べて0.1%以下となる温度を有する材質の接着層12である。
【0092】
本発明の第7実施形態によれば、接合体14Fの接着層12に臨む向きZ1側の表面部には、複数の突起部が形成されている。これによって、接合体14Fに突起部が形成されていない場合に比べて、接着層12および接合体14F間の固着について、せん断強さを大きくすることができる。接合体14Fは基台13と接着層12とを接合し、光学部品11とは接着層12を介して接合されている。これによって、接合体14Fの熱を光学部品11に直接伝えることなく、基台13の向きZ2側からの加熱によって接合体14Fの温度を上昇させることができる。したがって光学部品11を形成する部品が温度上昇によって熱膨張することを抑制し、光学部品11の変形、精度の低下を予防することができる。よって光学部品11に対する機械的負荷および熱的負荷を低減しながら、光学部品11を基台13からの取り外すことができる。
【0093】
図15は、本発明の第8実施形態に係る光学部品の取付け構造10Gを表した側面図である。第8実施形態において、光学部品の取付け構造10Gは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Gとの機械的接続関係を含んで構成される。接合体14Gは、介在部材と貫通部材とを含んで構成される。第8実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第8実施形態における接合体14Gは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を、解除可能に接合している接合手段である。
【0094】
接合体14Gに含まれる貫通部材は、貫通棒状部分と貫通部材頭部とを含んで構成されている。接合体14Gの貫通棒状部分の少なくとも一部分は、貫通部材等具から遠ざかるにつれて先細状に形成され、貫通棒状部分の外周面にはねじが形成されている。
【0095】
接合体14Gの貫通部材は、貫通棒状部分を向きZ1に向けて、貫通棒状部分の軸線の軸線方向をZ方向に一致させて、基台13および接着層12に実装される。接合体14Gの貫通棒状部分は、接合体14Gの介在部材および接着層12を貫通し、貫通棒状部分の向きZ1側の端部は、光学部品11に接触している。貫通棒状部分の向きZ1側の端部は、光学部品11に接触していなくてもよいし、光学部品11に形成される凹所に、光学部品の角変位可能に嵌め込まれていてもよい。
【0096】
接合体14Gの貫通部材において、Z方向に方向が一致する貫通棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する貫通部材頭部の軸線とは一致していない。貫通棒状部分Z方向の軸を中心に、貫通部材頭部を回転させると、貫通棒状部分と貫通部材頭部との位置関係は変化する。接合体14Gの貫通棒状部分は、光学部品11に対向する基台13上の領域の中央部を貫通していてもよいし、該領域の外縁部を貫通していてもよい。
【0097】
接合体14Gの介在部材は、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が低下する性質を有している。接合体14Gの介在部材は、接着層12と基台13との間に介在され、接着層12に固着し、基台13に対しては固着することなく接触している。基台13の向きZ2側から加熱すると、接合体14Gの介在部材による接着層12と基台13との間の接合力が小さくなり、接着層12を基台13から分離することが容易になる。接合体14Gの介在部材は層状部材とし、その厚み方向はZ方向に一致する。
【0098】
接合体14Gの介在部材は、光学部品11が対向する基台13上の領域に位置している。接着層12と基台13とは接触していない。接合体14Gの、接着層12に臨む向きZ1側の表面部には複数の突起部が形成されており、各突起部は、接着層12に埋没している。接合体14Fは、320℃以上360℃以下の温度領域に、基台13の表面からの剥離強度が常温のときに比べて0.1%以下となる温度を有する材質の接着層である。
【0099】
本発明の第8実施形態によれば、接合体14Gは、貫通部材と介在部材とを含み、構成される。これによって、光学部品11を基台13から分離するときに、貫通部材を取り外す工程と、介在部材に加熱を行い、その機械的強度を低下させる工程との、いずれを先に行うかを選択することができる。したがって、光学部品11および基台13の大きさ、形状に合わせて容易な作業手順を選択することができる。また前記2つの工程を同時に行うことも可能となる。したがって、光学部品11の取り外しにかかる時間を短縮することが可能となる。
【0100】
また第8実施形態によれば、接合体14Gの貫通部材は貫通部材頭部と貫通棒状部分とを含んで構成され、Z方向に方向が一致する貫通棒状部分の軸線は、Z方向に方向が一致する貫通部材頭部の軸線とは一致していない。したがって、貫通棒状部分のZ方向の軸を中心に、貫通部材頭部を回転させることによって、貫通棒状部分を基台13、介在部材、接着層12に貫通させることを容易にすることができる。また貫通棒状部分のZ方向の軸を中心に、貫通部材頭部を回転させると、貫通棒状部分と貫通部材頭部との位置関係を変化させることができる。したがって、貫通部材頭部が基台13に対向して占める基台13上の領域を、選択することができる。よって光学部品11が実装された基台13を、さらに他の部品に対して実装するときに、接合体14Gが占める位置を選択することが容易になる。
【0101】
また第8実施形態によれば、接合体14Gの介在部材の表面部のうち、接着層12に臨む向きZ1側の表面部には、複数の突起部が形成されている。これによって、接合体14Gに突起部が形成されていない場合に比べて、接着層12および接合体14G間の固着について、せん断強さを大きくすることができる。
【0102】
図16は、本発明の第9実施形態に係る光学部品の取付け構造10Hを表した側面図である。第9実施形態において、光学部品の取付け構造10Hは、光学部品11と、接着層12と、基台13と、接合体14Gとの機械的接続関係を含んで構成される。接合体14Hは、層状部材と粒状部材とを含んで構成される。第9実施形態における光学部品11、接着層12および基台13は、第1実施形態における光学部品11、接着層12および基台13と同じであるものとする。第9実施形態における接合体14Hは、接着層12と基台13との間を、接着層12および基台13間の接合力を、解除可能に接合している接合手段である。
【0103】
接合体14Hの層状部材は、第7実施形態における接合体14Fと同じ材質、形状、大きさの部品とする。接合体14Hの層状部材は、加熱されて温度が上昇すると機械的強度が下がり、基台13からの剥離強度が低下する性質を有している。接合体14Hの層状部材は、接着層12と基台13との間に、接着層12と基台13との両方に固着して実装されている。基台13の向きZ2側の面から加熱を行い接合体14Hの層状部材の温度を上昇させると、接着層12および基台13間の接合力を低下させることができる。
【0104】
接合体14Hの粒状部材は、半田または180℃以上230℃以下の温度領域に、融解する温度を有する合金から成り、接着層12と基台13との両方に固着して実装されている。接合体14Hの粒状部材は、球状であっても立方体であってもよいけれども、第9実施形態においては、楕円体を、その長軸に垂直な面で半分に切断した形状を有している。接合体14Hの粒状部材は、楕円体を切断した切断面に相当する平面を基台13に向けて基台13に固着している。接合体14Hの粒状部材は、光学部品11に対向する基台13の領域のうち、Z方向に見て外縁部に実装されている。基台13よりも向きZ1側に位置している接合体14Hの粒状部材の表面部のうち、少なくとも一部は接着層12に埋没しており、他の一部分は接着層12を形成する部材から露出して実装される。接合体14Hの粒状部材は、1つの光学部品11に対して1つだけ設置されていてもよいけれども、第9実施形態において接合体14Hの粒状部材は、複数設置されているものとした。
【0105】
本発明の第9実施形態によれば、接合体14Hは層状部材と粒状部材とを含み、構成されている。これによって、光学部品11を基台13から分離するときに、層状部材に加熱を行い、基台13に対する層状部材の剥離強度を低下させる工程と、粒状部材に加熱を行い、粒状部材を溶融させ、その機械的強度を低下させる工程との、いずれを行うかを選択することができる。したがって、基台13の向きZ2側から加熱を行う工程と、接着層12から露出している接合体14Hの粒状部材に対して、半田ごてのような発熱するチップを接触させる工程とのいずれかの工程を行うことによって、接着層12と基台13との間の接合力を低下させることができる。したがって、光学部品11および基台13の大きさ、形状に合わせて容易な作業工程を選択することができる。また前記2つの工程を同時に行うことも可能となる。したがって、光学部品11の取り外しに要する時間を短縮することが可能となる。
【0106】
第1〜第2実施形態における接合体および第4実施形態における貫通部材22は、ボルト、リベット、木ねじなど、市販されている部品を利用してもよい。
【0107】
第1〜第2実施形態における接合体および第4実施形態における貫通部材22として、市販されている部品を使用することによって、接合体および貫通部材22の製造に係るコストを低減することができる。市販されているから入手が容易で、部品交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における接合体14の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態において、接合体14を設置した基台13上で、光学部品11をジグ20によって支持した状態を表す側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る光学部品の取付け構造10によって取付けられている光学部品11の、取り外し方法の工程を表すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け構造10Aを表した側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における接合体14Aの側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光学部品の取付け方法の工程を表すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る光学部品の取付け構造10Bを表した側面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る光学部品の取付け構造10Cを表した側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態における貫通部材22の側面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る光学部品の取付け構造10Dを表した側面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る光学部品の取付け構造10Eを表した側面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る光学部品の取付け構造10Fを表した側面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係る光学部品の取付け構造10Gを表した側面図である。
【図16】本発明の第9実施形態に係る光学部品の取付け構造10Hを表した側面図である。
【符号の説明】
【0109】
10 光学部品の取付け構造
11 光学部品
12 接着層
13 基台
14 接合体
15 棒状部分
16 接合体頭部
20 ジグ
21 介在部材
22 貫通部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品が取付けられる基台と、
前記光学部品と前記基台との間に介在され、少なくとも光学部品に固着している接着層と、
前記接着層および前記基台間を、前記接着層および前記基台間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合する接合手段とを含むことを特徴とする光学部品の取付け構造。
【請求項2】
前記接合手段は、基台を貫通し、かつ接着層に埋没している棒状部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項3】
前記棒状部材の少なくとも一部は、基台から光学部品に向かって先細状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項4】
前記棒状部材は、外周部にねじが形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項5】
前記接合手段は、温度上昇によって機械的強度が低下することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項6】
前記接合手段は、前記接着層および前記基台間を、前記接着層と前記基台間の接合力を解除可能に接合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項7】
前記接合手段は、前記接着層および前記基台間に介在される介在部材と、基台を貫通する貫通部材とを有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造を有する光学部品のアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造を有する光ピックアップ装置。
【請求項10】
光学部品が取付けられるべき接合体を、前記基台に設置する接合体設置工程と、
前記光学部品を接着剤によって、少なくとも前記接合体に接着する光学部品接着工程とを有することを特徴とする光学部品の取付け方法。
【請求項11】
前記接合体設置工程で接合体を設置した基台上にて、光学部品をジグによって支持する支持工程と、
前記ジグによって基台上に支持された前記光学部品の前記基台に対する位置関係を調整する位置調整工程とを含み、
前記位置調整工程の後、前記光学部品接着工程において少なくとも接合体と光学部品とを接着した後、前記基台、前記光学部品および接合体からジグを取り外すことを特徴とする請求項10に記載の光学部品の取付け方法。
【請求項1】
光学部品が取付けられる基台と、
前記光学部品と前記基台との間に介在され、少なくとも光学部品に固着している接着層と、
前記接着層および前記基台間を、前記接着層および前記基台間の接合力の少なくとも一部を、解除可能に接合する接合手段とを含むことを特徴とする光学部品の取付け構造。
【請求項2】
前記接合手段は、基台を貫通し、かつ接着層に埋没している棒状部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項3】
前記棒状部材の少なくとも一部は、基台から光学部品に向かって先細状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項4】
前記棒状部材は、外周部にねじが形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項5】
前記接合手段は、温度上昇によって機械的強度が低下することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項6】
前記接合手段は、前記接着層および前記基台間を、前記接着層と前記基台間の接合力を解除可能に接合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項7】
前記接合手段は、前記接着層および前記基台間に介在される介在部材と、基台を貫通する貫通部材とを有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造を有する光学部品のアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部品の取付け構造を有する光ピックアップ装置。
【請求項10】
光学部品が取付けられるべき接合体を、前記基台に設置する接合体設置工程と、
前記光学部品を接着剤によって、少なくとも前記接合体に接着する光学部品接着工程とを有することを特徴とする光学部品の取付け方法。
【請求項11】
前記接合体設置工程で接合体を設置した基台上にて、光学部品をジグによって支持する支持工程と、
前記ジグによって基台上に支持された前記光学部品の前記基台に対する位置関係を調整する位置調整工程とを含み、
前記位置調整工程の後、前記光学部品接着工程において少なくとも接合体と光学部品とを接着した後、前記基台、前記光学部品および接合体からジグを取り外すことを特徴とする請求項10に記載の光学部品の取付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−117434(P2008−117434A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297027(P2006−297027)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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