説明

光導波路素子

【課題】制御装置などを必要とせずに、素子自体が動作点シフト抑制機能を有するネスト型光導波路構造の光導波路素子を提供する。
【解決方法】電気光学効果を有する基板上に形成された光導波路は、光波の進行方向において分岐して少なくとも2本のメイン光導波路を構成し、各メイン光導波路は光波の進行方向においてさらに分岐して少なくとも2本のサブ光導波路を構成し、 少なくとも2本のメイン光導波路は、メインマッハツェンダー型光導波路を構成するとともに、少なくとも2本のサブ光導波路は、メインマッハツェンダー型光導波路内に組み込まれるようにしてそれぞれが近接してサブマッハツェンダー型光導波路を構成し、サブ光導波路から構成される少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路は、光波の前記進行方向を基準とした場合において、光のクロストークを抑止するように相異なる位置に形成されているようにして光導波路素子を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路素子に関し、特に、メインのマッハツェンダー型光導波路中に、2つのサブマッハツェンダー型光導波路が組み込まれた構成の、いわゆるネスト型導波路構造の光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信分野や光測定分野において、SSB(Single-Side band)変調方式やデュオバイナリ(duobinary)変調方式など、複数の変調用電極に所定の位相差(=時間遅延)を有する同一の変調信号を印加する光変調方式が利用されている。
【0003】
SSB型光変調器では、2つのサブマッハツェンダー型光導波路をメインマッハツェンダー型光導波路の分岐導波路に組み込んだ構成、いわゆる2つ入れ子マッハツェンダー型光導波路を有した、ネスト型導波路構造の光導波路素子が用いられている。このような光導波路素子において、SSB変調信号を得るためには、90°ハイブリットを用いて2つの分岐された変調信号間の位相差が90°になるよう設定し、各サブ・マッハツェンダー型光導波路の変調用電極に印加する(特許文献1)。
【0004】
また、デュオバイナリ変調方式においては、2重電極型マッハツェンダー光変調器を利用し、2つの分岐導波路の各変調用電極に印加される変調信号が、ビット遅延回路を用い2つの変調信号間に所定のビット差を生じるよう設定されている。一般的にビット遅延量は0〜2T(T=1bit)の範囲で選択される。
【0005】
しかしながら、特に、上記SSB変調方式で使用するネスト型導波路構造の光導波路素子においては、その使用中において各サブマッハツェンダー型光導波路のバイアス点、すなわち動作点が随時シフトしてしまい、安定な動作を確保することができないという問題があった。
【0006】
このような動作点シフトを抑制するためには、例えば、上記光導波路素子からの出力信号を光検出部で適宜モニタリングし、動作点シフトが生じた場合は適宜制御装置などを用いることによって、そのシフト分を補完するという操作がなされていた。しかしながら、かかる動作点の調整操作は極めて煩雑であるので、上述したネスト型光導波路構造の光導波路素子の実用上の障害となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3867148号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、制御装置などを必要とせずに、素子自体が動作点シフト抑制機能を有するネスト型光導波路構造の光導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、
電気光学効果を有する基板と、
前記基板上に形成された光導波路と、
前記光導波路内を導波する光波を変調するための複数の変調用電極とを具え、
前記光導波路は、前記光波の進行方向において分岐して少なくとも2本のメイン光導波路を構成し、各メイン光導波路は前記光波の前記進行方向においてさらに分岐して少なくとも2本のサブ光導波路を構成し、
前記少なくとも2本のメイン光導波路は、メインマッハツェンダー型光導波路を構成するとともに、前記少なくとも2本のサブ光導波路は、前記メインマッハツェンダー型光導波路内に組み込まれるようにしてそれぞれが近接してサブマッハツェンダー型光導波路を構成し、
前記サブ光導波路から構成される少なくとも2つの前記サブマッハツェンダー型光導波路は、前記光波の前記進行方向を基準とした場合において、光のクロストークを抑止するように相異なる位置に形成されていることを特徴とする、光導波路素子(ネスト型光導波路構造の光導波路素子)に関する。
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、以下に示すような事実を見出すに至った。上記のようなネスト型導波路構造の光導波路素子においては、変調操作を受けるサブマッハツェンダー型光導波路が近接して存在すると、互いに光導波路中を導波する光波が光学的な干渉を引き起こす場合がある。すなわち、例えば第1のサブマッハツェンダー型光導波路及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路が、互いに近接して存在すると、これらの光導波路中を導波する光波が互いに干渉するようになる。
【0011】
すなわち、前記第1のサブマッハツェンダー型光導波路と、前記第2のサブマッハツェンダー型光導波路との間には、光クロストークが発生するようになるので、この光クロストークによって、前記第2のサブマッハツェンダー型光導波路は、動作点シフトなどの特性上の影響を受けることになる。この結果、光導波路素子全体でも動作点シフトが頻繁に発生してしまうこととなっていた。
【0012】
このような状況に鑑み、本発明では、上記第1のサブマッハツェンダー型光導波路及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路などの少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路を、光波の進行方向を基準とした場合において、上記光のクロストークを抑止するように相異なる位置に形成するようにしている。この結果、たとえ前記第1のサブマッハツェンダー型光導波路及び前記第2のサブマッハツェンダー型光導波路が、電気光学効果を有する基板上において、概観上並列に、さらには近接して形成されている場合においても、前記光導波路間の光クロストークを抑止できる。
【0013】
したがって、各サブマッハツェンダー型光導波路の動作点シフトなどの光クロストークに起因した動作点シフトなどの諸特性を効果的に抑制することができる。
【0014】
なお、本発明の一態様では、上記基板と上記複数の変調用電極それぞれとの間にバッファ層を形成することができる。これによって、光導波路を伝搬する光波が、変調用電極により吸収又は散乱されることを効果的に防止することができる。また、前記変調用電極から印加される変調信号と、前記光導波路内を導波する光波との速度整合をも向上させることができる。
【0015】
また、本発明の他の態様では、前記少なくとも2本のメイン光導波路は、前記基板の途中経路において互いに交差し、前記光波の進行方向において、前記少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路の少なくとも1つは、前記メイン光導波路の交点の前方に形成するとともに、前記少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路の残りは、前記メイン光導波路の交点の後方に形成することができる。この場合でも上述した要件を満足することができるので、前記サブマッハツェンダー型光導波路間の光クロストーク、さらにはそれに付随した動作点シフトなどを抑制することができる(第2の態様)。
【0016】
さらに、本発明のその他の態様では、前記少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路は、前記光波の前記進行方向において並列に形成されるとともに、前記光波の前記進行方向において互いに前方及び後方に位置するようにして形成することができる。この場合、見かけ上は、前記サブマッハツェンダー型光導波路が互いに光クロストークを生じるような並列位置に形成されているが、上述したように、光波の進行方向を基準とした場合においては、相異なる位置に形成されていることになるので、前記サブマッハツェンダー型光導波路間の光クロストーク、さらにはそれに付随した動作点シフトなどを抑制することができる(第3の態様)。
【0017】
また、本発明の他の態様では、前記サブマッハツェンダー型光導波路は3つ以上であって、前記光波の前記進行方向において、少なくとも前記サブマッハツェンダー型光導波路の変調部が重なり合わないようにして形成することができる(第4の態様)。
【0018】
第4の態様は、サブマッハツェンダー型光導波路が3つ以上存在する場合の具体的な構成を示したものである。
【0019】
なお、特開平7−64031号公報には、サブマッハツェンダー型光導波路を含まない、メインマッハツェンダー型光導波路のみを含む光変調器において、変調用電極を前記メインマッハツェンダー型光導波路の光波の進行方向において縦列に配列するようにし、これによって電気的クロストークを低減させることを開示しているが、本発明のように、メインマッハツェンダー型光導波路に加えてサブマッハツェンダー型光導波路を有するようなネスト型導波路構造の光導波路素子の光クロストークの抑止に関しては何ら言及していない。
【特許文献2】特開平7−64031号
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明によれば、光導波路素子を構成する少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路間の光クロストークを効果的に抑制することができるので、制御装置などを必要とせずに、素子自体が動作点シフト抑制機能を有するネスト型光導波路構造の光導波路素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における光導波路素子の構成を示す平面図である。
【図2】第2の実施形態における光導波路素子を示す断面図である。
【図3】第3の実施形態における光導波路素子を示す断面図である。
【図4】第4の実施形態における光導波路素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の詳細について、図面を参照しながら発明の実施形態に基づいて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における光導波路素子の構成を示す平面図である。本実施形態における光導波路素子10は、電気光学効果を有する基板11、この基板11の表面部分に形成された光導波路12を具えている。光導波路12は、光波の進行方向において2つに分岐して2本のメイン光導波141及び142を構成し、各メイン光導波路141及び142は、それぞれ前記光波の前記進行方向においてさらに2つに分岐して2本のサブ光導波路151及び152、並びに161及び162を構成する。
【0024】
2本のメイン光導波路141及び142は、メインマッハツェンダー型光導波路14を構成する。また、2本のサブ光導波路151及び152は、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15を構成し、2本のサブ光導波路161及び162は、第2のサブマッハツェンダー型光導波路16を構成する。この結果、2つのサブマッハツェンダー型光導波路15及び16は、メインマッハツェンダー型光導波路14内に組み込まれたような構成を呈する。
【0025】
なお、サブ光導波路151及び152には変調用電極153及び154が設けられ、サブ光導波路161及び162には変調用電極163及び164が設けられている。本実施形態では、変調用電極153及び163が所定の変調信号を印加する信号電極として機能し、変調用電極154及び164が接地電極として機能している。また、図中の矢印は、光導波路中の光波の進行方向を示すものであって、図1から明らかなように、サブ光導波路151及び152に対する変調用電極153及び154と、サブ光導波路161及び162に対する変調用電極163及び164とは光波の進行方向に対して逆向きに配置されている。
【0026】
本実施形態では、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16は、基板11の長手方向(光波の進行方向)において、少なくとも変調部が重なり合わないようにして形成している。したがって、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16を、光波の進行方向を基準とした場合において、相異なる位置に形成するようにしているので、これら光導波路の動作点シフトなどの光クロストークに起因した動作点シフトなどの諸特性を効果的に抑制することができる。なお、前記変調部とは、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16が互いに略平行であって、変調用電極153及び154によって実際に変調を受ける領域である。
【0027】
なお、基板11は、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、及び石英系の材料及びこれらの組み合わせが利用可能である。特に、電気光学効果の高いニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム(LT)結晶が好適に利用される。
【0028】
光導波路12(141,142,151,152,161及び162)の形成方法としては、Tiなどを熱拡散法やプロトン交換法などで基板表面に拡散させることにより形成することができる。また、特許文献3のように基板11の表面に光導波路の形状に合わせてリッジを形成し、光導波路を構成することも可能である。
【特許文献3】特開平6−289341号公報
【0029】
変調用電極153及び154、並びに163及び164は、Ti・Auの電極パターンの形成及び金メッキ方法などにより形成することが可能である。
【0030】
なお、特に図示してないが、基板11と変調用電極153及び154、並びに163及び164との間にはバッファ層を形成することもできる。これによって、光導波路を伝搬する光波が、変調用電極により吸収又は散乱されることを効果的に防止することができる。また、前記変調用電極から印加される変調信号と、前記光導波路内を導波する光波との速度整合をも向上させることができる。
【0031】
次に、本実施形態の光導波路素子の変調方法の一例について説明する。上述のように、サブ光導波路151及び152に対する変調用電極153及び154と、サブ光導波路161及び162に対する変調用電極163及び164とは光波の進行方向に対して逆向きに配置されているので、光導波路素子10に対して入力光信号である周波数ω0のレーザ光が入力されると、この光信号は光導波路12中を伝搬した後、メインマッハツェンダー型光導波路14のメイン光導波路141及び142に分岐される。その後、メイン光導波路141中を伝搬した光波は、サブマッハツェンダー型光導波路15のサブ光導波路151及び152に分岐され、そこで周波数ωc /2の変調信号が印加される。また、メイン光導波路142中を伝搬した光波は、サブ光導波路161及び162に分岐され、そこで周波数ωc/2の変調信号が印加される。
【0032】
上述のように、その結果、上記周波数ωc/2の変調信号で変調された後の光波が合流して光導波路12内を伝搬し、光導波路素子10から出力されると、互いに周波数間隔がωcだけ離隔した2つの光信号ω1及びω2が得られる。
【0033】
なお、上記変調方法はあくまで一例であって、本実施形態における光導波路素子は用途に応じて任意の態様で使用することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態における光導波路素子を示す平面図である。本実施形態において、第1の実施形態と同一及び類似の構成要素に関しては、同じ参照数字を用いて表している。
【0035】
本実施形態の光導波路素子20においては、メイン光導波路141が分岐してサブ光導波路151及び152を構成し、これらサブ光導波路によってサブマッハツェンダー型光導波路15が構成されている。その後、サブ光導波路151及び152は再び合流してメイン光導波路141となり、メイン光導波路142と交差する。その後、メイン光導波路142が分岐してサブ光導波路161及び162を構成し、これらサブ光導波路によってサブマッハツェンダー型光導波路16が構成されている。なお、図中の矢印は、光導波路中の光波の進行方向を示すものである。
【0036】
本実施形態では、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16は、メイン光導波路141及び142の前方及び後方に位置し、基板11の長手方向(光波の進行方向)において重なり合わないようにして形成している。したがって、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16を、光波の進行方向を基準とした場合において、相異なる位置に形成するようにしているので、これら光導波路の動作点シフトなどの光クロストークに起因した動作点シフトなどの諸特性を効果的に抑制することができる。
【0037】
本実施形態における基板11などは、上記第1の実施形態と同様に構成することができる。また、周波数ω0の入力光信号に対する周波数ωc/2の変調信号による光変調も上記第1の実施形態と同様に実施することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
図3は、第2の実施形態における光導波路素子を示す平面図である。本実施形態において、第1の実施形態と同一及び類似の構成要素に関しては、同じ参照数字を用いて表している。
【0039】
本実施形態の光導波路素子30においては、基板11の光波の入射側から延在したメイン光導波路141が分岐してサブ光導波路151及び152を構成し、これらサブ光導波路によってサブマッハツェンダー型光導波路15が構成されている。その後、サブ光導波路151及び152は再び合流してメイン光導波路141となり、基板11の前記光波の入射側と相対向する端部近傍で複数回屈曲することによって、基板11の前記光波の入射側に向けて折り返すような構成となっている。
【0040】
また、基板11の光波の入射側から延在したメイン光導波路142はそのまま直進し、同じく基板11の前記光波の入射側と相対向する端部近傍で複数回屈曲することによって、基板11の前記光波の入射側に向けて折り返すような構成となっている。その後、メイン光導波路142は分岐してサブ光導波路161及び162を構成し、これらサブ光導波路によってサブマッハツェンダー型光導波路16が構成されている。
【0041】
本実施形態では、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16は、見かけ上、基板11の長手方向において並列に位置し、互いに重なり合うような形態を呈している。しかしながら、第1のサブマッハツェンダー型光導波路15及び第2のサブマッハツェンダー型光導波路16を、光波の進行方向を基準とした場合においては、相異なる位置に形成するようにしているので、これら光導波路の動作点シフトなどの光クロストークに起因した動作点シフトなどの諸特性を効果的に抑制することができる。
【0042】
本実施形態における基板11などは、上記第1の実施形態と同様に構成することができる。また、周波数ω0の入力光信号に対する周波数ωc/2の変調信号による光変調も上記第1の実施形態と同様に実施することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態における光導波路素子を示す平面図である。本実施形態において、第1の実施形態と同一及び類似の構成要素に関しては、同じ参照数字を用いて表している。また、本実施形態では、その特徴を明確かつ簡略に説明すべく、変調用電極などについてその記載を省略している。
【0044】
本実施形態の光導波路素子40においては、基板11の光波の入射側から延在した光導波路12は、メイン光導波路141A、141B,142A及び142Bに分岐している。メイン光導波路141Aはサブマッハツェンダー型光導波路15Aを構成し、メイン光導波路141Bはサブマッハツェンダー型光導波路15Bを構成し、メイン光導波路142Aはサブマッハツェンダー型光導波路16Aを構成し、メイン光導波路142Bはサブマッハツェンダー型光導波路16Bを構成している。
【0045】
本実施形態では、近接して存在するサブマッハツェンダー型光導波路15A及び15B、並びに16A及び16Bは、基板11の長手方向(光波の進行方向)において、少なくとも変調部が重なり合わないようにして形成している。したがって、サブマッハツェンダー型光導波路15A及び15B、並びに16A及び16Bは、光波の進行方向を基準とした場合において、相異なる位置に形成するようにしているので、これら光導波路の動作点シフトなどの光クロストークに起因した動作点シフトなどの諸特性を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、サブマッハツェンダー型光導波路15A及び16A同士、並びに15B及び16B同士は、見かけ上、基板11の長手方向(光波の進行方向)において並列に位置し、変調部が互いに重なり合うような形態を呈している。しかしながら、これらのサブマッハツェンダー型光導波路は相互に比較的離隔して位置しているので、互いに光クロストークの影響を受けることがない。また、たとえこれらのサブマッハツェンダー型光導波路が近接して位置しているとしても、光波の進行方向を基準とした場合においては、相異なる位置に形成するようにしているので、これら光導波路の動作点シフトなどの光クロストークに起因した動作点シフトなどの諸特性を効果的に抑制することができる。
【0047】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10,20,30,40 光導波路素子
11 基板
12 光導波路
14 メインマッハツェンダー型光導波路
15 第1のサブマッハツェンダー型光導波路
16 第2のサブマッハツェンダー型光導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板上に形成された光導波路と、
前記光導波路内を導波する光波を変調するための複数の変調用電極とを具え、
前記光導波路は、前記光波の進行方向において分岐して少なくとも2本のメイン光導波路を構成し、各メイン光導波路は前記光波の前記進行方向においてさらに分岐して少なくとも2本のサブ光導波路を構成し、
前記少なくとも2本のメイン光導波路は、メインマッハツェンダー型光導波路を構成するとともに、前記少なくとも2本のサブ光導波路は、前記メインマッハツェンダー型光導波路内に組み込まれるようにしてそれぞれが近接してサブマッハツェンダー型光導波路を構成し、
前記サブ光導波路から構成される少なくとも2つの前記サブマッハツェンダー型光導波路は、前記光波の前記進行方向を基準とした場合において、光のクロストークを抑止するように相異なる位置に形成されていることを特徴とする、光導波路素子。
【請求項2】
前記基板と前記複数の変調用電極それぞれとの間に形成されたバッファ層を具えることを特徴とする、請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項3】
前記少なくとも2つのサブマッハツェンダー型光導波路において、それぞれの変調用電極の変調が光波の進行方向に対して逆向きに配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項2に記載の光導波路素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−29867(P2013−29867A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243677(P2012−243677)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2007−85035(P2007−85035)の分割
【原出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】