説明

光干渉発色機能を有する複合繊維

【課題】 製糸時における工程安定性が良好であり、かつ耐熱性、耐溶剤性に優れた光干渉発色機能を有する複合繊維を提供する。
【解決手段】 屈折率が異なる2種以上のポリマーより構成された光学干渉部と、前記光学干渉部を覆う保護層からなり、前記保護層が、前記光学干渉部を構成するポリマーよりもアルカリ易溶性であるポリマーにより構成されていることを特徴とする複合繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉発色機能を有する複合繊維に関する。詳細には、塗料や樹脂組成物などに配合して、それらに虹色の光輝性を付与する光輝材に容易に加工することができる複合繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
屈折率の異なる互いに独立したポリマー層の交互積層体に光、例えば自然光が入射すると、光の反射・干渉作用によって可視光線領域の波長の光が干渉され、発色する。この発色は金属光沢のような明るさがあり、特定波長の純粋で鮮明な色(単色)を呈し、染料や顔料の光吸収による発色とはまったく異なる審美性を発現する。最近、この光学干渉機能を利用した光干渉発色機能を有する複合繊維が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】国際公開第98/46815号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の光干渉発色機能を有する繊維は、その繊度を小さくしようとすると、交互積層体を構成するポリマーの各層が剥離したり、たとえこの剥離が生じなくても、紡糸時におけるポリマー劣化による紡糸調子悪化や、延伸時に斑が発生するなどして光干渉効果が低下するという問題がある。従って、特に微細な繊度が要求される塗装や化粧品、印刷などのカットファイバー用途や一部の長繊維用途などの、さらなる審美性の向上が要求される応用商品への展開には問題がある。
【0005】
また、特定の高屈折率差が得られるポリマーの組み合わせや種類において、使用時における熱処理工程において、薄膜構造が変形することが問題となる。特に、非晶性ポリマーにおいては、ガラス転移温度以上の温度においてこの傾向が顕著であり、商品化できないことがある。また、耐溶剤性が不十分であり、特定の有機溶剤に溶解したり膨潤することにより、干渉色が変化、消滅するという問題もある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決し、優れた光干渉発色機能を有すると共に、耐熱性、耐溶剤性に優れた複合繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために本発明によれば、屈折率が異なる2種以上のポリマーより構成された光学干渉部と、前記光学干渉部を覆う保護層からなり、前記保護層が、前記光学干渉部を構成するポリマーよりもアルカリ易溶性であるポリマーにより構成されていることを特徴とする複合繊維が提供される。
【0008】
ここで、前記光学干渉部を構成する屈折率が異なる2種以上のポリマーのうち少なくとも1種が、紫外線架橋性ポリマーであることが好ましい。また、前記光学干渉部を構成する屈折率の異なる2種のポリマーにおいて、高屈折側ポリマーの溶解度パラメーター値(SP1)と低屈折率側ポリマーの溶解度パラメーター値(SP2)の比(SP1/SP2)が0.8〜1.1であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光干渉発色機能を有する複合繊維は保護層を有しているので、紡糸時における工程安定性が高く、内部の光学干渉部の厚さが薄くても光干渉性に優れた高品質のものを得ることができる。またこの保護層は光学干渉部を構成するポリマーよりもアルカリ易溶性であるポリマーにより構成されているため、例えばアルカリ水溶液で処理することにより、容易に光干渉発色機能を有する繊度の細い複合繊維を得ることができる。また、光学干渉部を構成するポリマーを紫外線架橋性ポリマーとすることにより、紫外線照射によって架橋構造を形成することができ、耐熱性、耐溶剤性に優れた複合繊維を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の複合繊維の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の複合繊維の長さ方向に対して直角に切断した断面図であり、2種以上のポリマーから構成された光学干渉部1と、この光学干渉部1を覆う保護層2からなっている。光学干渉部1は扁平状の断面形状を有しており、屈折率の異なる2種のポリマー層(3及び4)は扁平断面の長軸方向(図面における水平方向)と平行に多数交互に積層された交互積層体の構造をとっている。図1(2)では、2種のポリマー層の積層体の中間に別のアルカリ難溶性の層5を設けており、図1(3)では積層体全体をアルカリ難溶性ポリマー6で被覆している。
【0011】
この交互積層体におけるそれぞれのポリマー層の厚みは、0.02〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。この厚みが0.02μm未満である場合や、0.5μmを超える場合には、期待する光学干渉効果を有益な波長領域で得ることが困難となる。この厚みは0.05〜0.15μmの範囲にあることがさらに好ましい。また、2種の成分における光学距離、すなわち層の厚みと屈折率の積が等しいとき、さらに高い光学干渉効果を得ることができる。特に、一次の反射に等しい2種の成分の光学距離の和の2倍が、望む色の波長の距離と等しいときに最大の干渉色となるため好ましい。
【0012】
この複合繊維の長さ方向に対して直角な方向の断面形状は、図1に示すように扁平状であり、長軸(図面上は水平方向)及び短軸(図面上は垂直方向)を有している。この断面の扁平率(長軸/短軸)が大きいものは、光の干渉に有効な面積を左右する、すなわち交互積層体の長軸を大きくとることができるため好ましい。この複合繊維の断面の扁平率は好ましくは3.5以上、特に好ましくは4.5以上、さらに好ましくは7以上である。使用時に各繊維の扁平長軸面が互いに平行方向に配列しやすくなり、光干渉発色機能が向上するからである。しかし、扁平率が大きくなりすぎると、紡糸性が大きく低下するため、15以下、特に12以下とすることが好ましい。なお、この扁平率は、扁平断面の外周部に後述する保護層が設けられている場合には、この保護層の部分も含めて算出したものである。
【0013】
この積層構造体における互いに独立したポリマー層の積層数は、10〜120層であることが好ましい。積層数が10層より少ないと干渉効果が小さく、一方積層数が120層を超えると得られる光の反射量の増大がもはや期待できないばかりか、口金構造が複雑になり紡糸が困難になるとともに、後述する交互積層体の厚さについての要件を満足させることが困難になり、本発明の目的を達成しがたくなる。
【0014】
次に、図2は、光学干渉部1が屈折率の異なる2種以上のポリマーからなる最密充填構造体の構造をとっている、本発明の複合繊維を示している。この最密充填構造体は互いに屈折率の異なる、扁平状又は丸断面形状のポリマー層が、一方のポリマー層が他方のポリマー層を取り囲むように最密に配置されており、この最密充填構造体の外周部には保護層2が配置されている。
【0015】
このような最密充填構造体における光干渉発色機能発現においては、それぞれのポリマー層の形態は以下の関係を満たしている必要があり、所望の反射波長の約1/2倍の丸断面直径を有する丸断面を繊維断面内で最密充填構造に配置したものが好ましい。
反射波長λ=2nd(1−(1/n2)sin2θ)1/2
各ポリマーの微小丸断面直径D=3d/(6)1/2
ここでθ:入射角、n:2種のポリマーの平均屈折率
【0016】
従って、このような最密充填構造体における各ポリマーの微小丸断面の直径は0.1〜1.5μmの範囲であることが好ましい。この直径が0.1μm未満である場合や1μmを超える場合には、期待する紫外〜赤外範囲の光学干渉効果を得ることが困難になる。さらに、この直径は可視光範囲の審美性干渉効果を得るためには、0.2〜0.4μmの範囲にあることが好ましい。
【0017】
最密充填構造体を構成する光学干渉部1の形状は、図2(1)に示すように丸断面形状であっても、図2(2)に示すように扁平状であってもよい。扁平状である場合、光の入射角が光学干渉部において均一になるため鮮明な色を認識することができる。このとき、扁平率は好ましくは3.5以上、特に好ましくは4.5以上、さらに好ましくは7以上である。使用時に各繊維の扁平長軸面が互いに平行方向に配列しやすくなり、光干渉発色機能が向上するからである。しかし、扁平率が大きくなりすぎると、紡糸性が大きく低下するため、15以下、特に12以下とすることが好ましい。一方、丸断面形状である場合、入射角は任意な方向から入射するので、真珠様光沢を発現する。
【0018】
この最密充填構造体において、その1断面あたりの各ポリマーの微細丸断面の数は200〜1000であることが好ましい。微細丸断面の数が多くなるほど光学干渉部の精密性が増し、透過光も減少するので、鮮明な発光が可能になる。
【0019】
さらに、図3は光学干渉部1が回折格子構造体からなる本発明の複合繊維を示している。この回折格子構造体は互いに屈折率の異なる2種以上のポリマーから構成され、一方のポリマー3がグレーティング溝形状からなる回折格子構造を形成し、他方のポリマー4がこの溝形状を取り囲むように配置されており、この回折格子構造体の外周部には保護層2が配置されている。
【0020】
このグレーティングは、溝の断面形状により分類される。図3(1)に示すような鋸歯状の溝の場合、グレーティングのブレーズ特性を一義的に表すのに、入射光(角度α)の方向に+1次の回折光(角度β)が反射するときの波長λΒ(Litt)で表す。このとき、α=βとなるので、
λΒ(Litt)=2d×sinθΒ
となり、これを断面構造の設計に用いる。すなわち、鋸歯角度θΒと同じ入射角で入射した光から、入射角と同じ反射角で波長λΒ(Litt)の光を反射させるために、溝周期はdとする必要がある。
【0021】
従って、溝周期は0.1〜1.5μmの範囲であることが好ましい。溝周期が0.1μm未満の場合や1μmを超える場合には、期待する紫外〜赤外範囲の光学干渉効果を得ることが困難になる。さらに、この溝周期は可視光範囲の審美性干渉効果を得るためには、0.2〜0.4μmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
この鋸歯状回折格子からなる光学干渉部の断面形状は、図3に示すように扁平状であることが好ましい。扁平状である場合、光の入射角が光学干渉部において均一になるため鮮明な色を認識することができる。このとき、扁平率は好ましくは3.5以上、特に好ましくは4.5以上、さらに好ましくは7以上である。使用時に各繊維の扁平長軸面が互いに平行方向に配列しやすくなり、光干渉発色機能が向上するからである。しかし、扁平率が大きくなりすぎると、紡糸性が大きく低下するため、15以下、特に12以下とすることが好ましい。また、光学干渉部の断面形状は丸断面形状であってもよいが、丸断面形状である場合、入射角は任意な方向から入射するので、真珠様光沢を発現する。
【0023】
この鋸歯状回折格子において、鋸歯の溝数は50〜200であることが好ましい。1断面内の鋸歯の溝数が多くなるほど反射強度は増加し、鮮明な発色が可能になる。
【0024】
またこの回折格子構造において、グレーティングは、図3(2)に示すような矩形状の溝又は図3(3)に示すような正弦波状の溝であってもよい。このような矩形状溝又は正弦波状溝である場合、入射角0度で入射した光はm次の反射光と溝周期dと反射角θにおいて、
mλ=dsinθ
の関係を示し、1次の所望の波長の光λを反射角θで回折反射させるためには、溝周期dとする必要がある。ここで、反射角度は人間の視認性特性から75°として、溝構造を設計することが好ましい。
【0025】
ここで、正弦波状溝構造は、回折効率はブロードであるが、広い波長領域で回折光を確認することができる真珠様光沢を示す。
【0026】
このような矩形状溝又は正弦波状溝を有する回折格子構造において、溝周期は0.1〜3.0μmの範囲であることが好ましい。溝周期が0.1μm未満の場合や3μmを超える場合には、期待する紫外〜赤外範囲の光学干渉効果を得ることが困難になる。さらに、この溝周期は可視光範囲の審美性干渉効果を得るためには、0.4〜0.8μmの範囲にあることが好ましい。
【0027】
この矩形状溝又は正弦波状溝を有する回折格子からなる光学干渉部の断面形状は、図3に示すように扁平状であることが好ましい。扁平状である場合、光の入射角が光学干渉部において均一になるため鮮明な色を認識することができる。このとき、扁平率は好ましくは3.5以上、特に好ましくは4.5以上、さらに好ましくは7以上である。使用時に各繊維の扁平長軸面が互いに平行方向に配列しやすくなり、光干渉発色機能が向上するからである。しかし、扁平率が大きくなりすぎると、紡糸性が大きく低下するため、15以下、特に12以下とすることが好ましい。また、光学干渉部の断面形状は丸断面形状であってもよいが、丸断面形状である場合、入射角は任意な方向から入射するので、真珠様光沢を発現する。
【0028】
この矩形状溝又は正弦波状溝を有する回折格子において、溝数は50〜200であることが好ましい。1断面内の溝数が多くなるほど反射強度は増加し、鮮明な発色が可能になる。
【0029】
本発明の複合繊維の光学干渉部の断面形状は、上記のように、屈折率の異なる2種以上のポリマーが多数交互に積層した構造、最密充填構造、又は溝形状を有する回折格子構造等の様々な形状を用いることができるが、その光干渉発色機能は、交互積層体の平行性、すなわち各層の光学的距離が扁平断面の長軸方向にも短軸方向にも均一であることや、最密充填構造における各ポリマー層の寸法及びその正確な配置、また溝形状の精密規則性が、反射強度及び単色性(鮮明発色)にきわめて重要である。
【0030】
光学干渉部を構成するポリマーとしては屈折率の異なるものを2種以上選択して用いる。ここで単に光学干渉機能を発揮させるには、光学干渉部を構成する2種以上のポリマーの屈折率に差を設けてやればよいが、上記のような界面面積の大きな扁平状もしくは球状の2成分からなる精密構造体を形成するには、複雑な口金流路内での精密構造形成プロセス、吐出後のベイラス、界面張力等を制御して均一な寸法、配置を実現することが必要であり、そのためには、屈折率の異なるポリマーを用いるのみならず、このポリマー層間の溶解度パラメーター(sp値)の比を特定することが好ましい。
【0031】
すなわち、屈折率の高いポリマーの溶解度パラメーター(SP1)と屈折率の低いポリマーの溶解度パラメーター(sp2)の比率(sp比、sp1/sp2)を0.8〜1.1、特に0.85〜1.05とするようにポリマーの組み合わせを選択することが好ましい。このような比率を示すポリマーの組み合わせを用いることにより、2種のポリマーの積層流、複合流を防止金口から吐出したときに、ポリマーの界面に作用する界面張力が小さくなるので均一な精密複合構造を容易に得ることができる。
【0032】
これに対して、sp比が上記範囲内にない場合、吐出ポリマー流は表面張力によって丸くなろうとし、薄膜積層構造あるいはグレーディング構造の場合は、両ポリマー積層界面の接触面積を最小にするように収縮力が働き、特に積層構造体が多層の場合はその収縮力が大きくなるため、積層面が湾曲しながら丸くなって良好な扁平形状が得られなくなるので好ましくない。最密充填構造の場合は、最密される丸断面どうしあるいはその間に配置される界面ポリマーどうしが、その界面を減らそうとして結合し、微小丸断面集合体による精密配置を形成することが困難になる。さらには、ポリマー流は、口金出口で開放されると膨らもうとするベイラス効果も大きくなる。
【0033】
光学干渉部を構成するポリマーのうち少なくとも1種は、溶融紡糸及び余熱延伸工程において、熱架橋しない耐熱性を有し、かつこの成形後は紫外線照射によって架橋する紫外線架橋性をポリマーを用いることが好ましい。
【0034】
このような紫外線架橋性ポリマーとしては、溶融成形性能を有するものであれば各種のポリマーを使用することができ、そのなかでもマレイミド基を有する熱可塑性ポリマーが好ましい。このマレイミド基を有する熱可塑性ポリマーとしては、マレイミド基を有するモノマーを共重合してなる熱可塑性ポリマーが好ましく、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートとこれ以外の他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体がより好ましい。
【0035】
このようなマレイミド基としては、下式(1)を有する基が挙げられる。
【化1】

上式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又はアルキル基であり、又はR1及びR2はそれぞれが1つとなって炭素環を形成する基を意味する。この炭素環を形成する基としては、−CH2CH2CH2−及び−CH2CH2CH2CH2−が好ましい。
【0036】
上記式(1)で表される基としては、R1とR2のいずれか一方が水素原子であると、成形時に熱によってラジカル重合を起こすために耐熱性が不足することがあるため、R1とR2の両方がアルキル基であるもの、及びR1とR2が1つとなって炭素環を形成する基であるものが好ましい。このようなマレイミド基は、熱によりラジカル重合を起こさないため、マレイミド基を残したまま成形することが可能になる。ポリマー中のマレイミド基は紫外線を照射すると、光二量化反応が進行し架橋構造を形成するため、ポリマーの耐溶剤性が向上する。
【0037】
前記他のエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリレートが好ましい。この(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。共重合体におけるマレイミド基を有する(メタ)アクリレートの共重合割合としては、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートが10〜30質量%であることが好ましい。
【0038】
本発明の複合繊維においては、光学干渉部の厚さは好ましくは10μm以下、より好ましくは2〜7μmである。光学干渉部の厚さが10μmを超えると、アルカリ処理して保護層を除去しても繊度の細かい光干渉発色機能を有する複合繊維を得ることができない。
【0039】
必要に応じて、光学干渉部には、厚さが0.1〜3μm、好ましくは0.3〜1.0μmのアルカリ難溶性ポリマーからなる保護層を設けてもよい。この厚さが0.3μmより薄い場合にはこの保護層を設ける効果が小さく、一方3μmを超える場合には、アルカリ水溶液で処理しても繊度の細かい光干渉発色機能を有する複合繊維を得ることができない。
【0040】
このポリマーは、アルカリ難溶性であれば特に制限されないが、光学干渉部を構成するポリマー(高屈折率側ポリマー又は低屈折率側ポリマー)の溶解度パラメーター値と同程度の溶解度パラメーター値(sp3)であることが好ましい。具体的には、0.8≦sp1/sp3≦1.2及び/又は0.8≦sp2/sp3≦1.2であることが好ましい。なかでも、高融点側ポリマーとすると、溶融紡糸時において冷却固化速度の速い高融点側ポリマーで保護層部がまず形成されるので、界面エネルギーやベイラス効果による光学干渉部の変形を抑制することができ、積層構造の平行性や回折構造の規則性といった光学干渉部の構成が維持され審美性が向上する。
【0041】
光学干渉部1を覆う保護層2を構成するポリマーは、光学干渉部を構成するポリマーよりもアルカリ易溶性であるポリマーであり、この保護層2の厚みは好ましくは2.0μm以上、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜5μmである。
【0042】
光学干渉部1の周囲にアルカリ易溶性ポリマーからなる保護層2を設けることにより、溶融紡糸時において最終吐出孔内部で受ける壁面近傍と内部とのポリマー流分布を緩和することができ、光学干渉部1の厚さが10μm以下であってもこの光学干渉部の受ける剪断応力分布が低減して、厚みが均一な光学干渉部が得られ、得られた複合繊維をアルカリ処理してこの保護層を除去すれば、優れた光干渉発色機能を有する繊度の細かい複合繊維を容易に得ることができる。
【0043】
ここで保護層の厚さが薄すぎて2.0μm未満である場合には、繊維単糸繊度が小さくなり、特にこの複合繊維が扁平断面である場合には、紡糸工程調子の低下や後加工工程での取り扱い性などに問題がある。なお、光学干渉部の周囲に直接アルカリ易溶性ポリマーからなる保護層を設ける場合にも、上記のアルカリ難溶性ポリマーからなる保護層を形成する場合と同様に、光学干渉部を構成するポリマー(高屈折率側ポリマー又は低屈折率側ポリマー)の溶解度パラメーター値と同程度の溶解度パラメーター値(sp4)であることが好ましい。具体的には、0.8≦sp1/sp4≦1.2及び/又は0.8≦sp2/sp4≦1.2であることが好ましい。
【0044】
なお、本発明でいうアルカリ難溶性及びアルカリ易溶性とは、両者のアルカリ減量速度に10倍以上の差があることをいう。具体的には、アルカリ水溶液で処理した際に、保護層2を構成するアルカリ易溶性ポリマーは、光学干渉部1を構成するアルカリ難溶性ポリマーよりも10倍以上の速さで溶解されることをいう。溶解速度が10倍未満である場合には、保護層2を除去するためにアルカリ水溶液処理をする際、光学干渉部1も浸食作用を受けて積層部や溝形状の乱れや膨潤などによる規則性斑が発生し、光干渉発色機能が低下することになる。
【0045】
アルカリ易溶性ポリマーは、好ましくはポリ乳酸、ポリエチレングリコールを共重合したポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコール及び/又はアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を配合したポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレングリコール及びスルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートである。
【0046】
このポリ乳酸としては、L−乳酸を主成分とするものが一般的であるが、40wt%を超えない範囲内でD−乳酸をはじめとする他の共重合成分を含有していてもよい。また、ポリエチレングリコールを共重合したポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートは、ポリエチレングリコールの共重合割合が30wt%以上となるようにすることが好ましく、このようにすることによりアルカリ溶解速度が著しく向上する。さらに、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はポリエチレングリコールを配合したポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートは、前者は0.5〜3.0wt%の範囲、後者は1.0〜4.0wt%の範囲が好ましく、後者のポリエチレングリコールの平均分子量は600〜4000の範囲が適当である。またポリエチレングリコール及びスルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートは、前者は0.5〜10.0wt%の範囲、後者は二塩基酸成分をポリエステルを形成している全塩基酸成分あたり1.5〜10モル%の範囲が適当である。
【0047】
本発明の複合繊維は、その伸度が10〜60%の範囲、特に20〜40%の範囲にあることが好ましい。この伸度が大きすぎる場合には、織編物やカットファイバーとする工程において、この複合繊維に負荷される張力により繊維が変形しやすくなるため、工程通過性が低下する傾向にある。一方、伸度が小さすぎる場合には、この複合繊維に負荷される張力を吸収しがたくなるため、毛羽や断糸が増加する傾向にある。また、伸度が上記範囲内にあっても、用いるポリマーの種類によっては、紡糸され、一旦冷却固化された複合繊維を延伸することにより複屈折率(Δn)がより高められ、光学干渉部1を構成する2種のポリマー間の屈折率差を「ポリマーの屈折率差+繊維の複屈折率差」として、結果的に全体として屈折率差を拡大させることができるので、光干渉発色機能が高められる。
【0048】
さらに、本発明の複合繊維は、その150℃〜180℃における熱収縮率が3%以下であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲を超える場合には、布帛、刺繍糸、又は紙・塗料・インク・化粧品用などのカットファイバー等の各種製品に加工するとき、この製品を使用するとき、またはアイロン等でこの製品のメンテナンスをするときに、繊維の収縮など変形が起こって光干渉発色機能が低下しやすくなる。例えば、布帛とした場合には、150℃での熱収縮率が3%を超えると、アイロンにより繊維が収縮し、フラットな扁平断面の変形が起こり、光干渉発色機能が低下しやすい。特に、熱収縮率が極端に高い場合には、例えば製糸工程でまったく熱処理による構造固定が行われていない場合には、光学干渉部を構成する交互積層体構造や回折構造部の各層及び溝周期の厚みが大きくなり、光干渉発色自身の色相が変化しやすくなる。また、例えば塗料に利用する場合でも、塗装工程や捺染工程で同様の温度での乾燥・熱固定が施されるため、品質の面から同様の耐熱性を有していることが好ましい。
【0049】
さらに、本発明の複合繊維は、一般有機溶剤に対して耐溶剤性を有することが好ましい。この一般有機溶剤とは、種々の加工混合材料に用いられている薬品であり、スプレー、塗料、エマルジョンに使用されているものをさす。例えば、アルコール、エーテル、ベンゼン、アセトン、ガソリン、パークレンなどである。
【0050】
以上説明した本発明の複合繊維は、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、まず互いに屈折率の異なるアルカリ難溶性ポリマーを、高屈折率側ポリマーの溶解度パラメーター(sp1)と低屈折率側ポリマーの溶解度パラメーター(sp2)の比率(sp比)が0.8〜1.1の範囲となる組み合わせで交互積層体構造もしくは回折構造を構成するように溶融吐出する。この際、高屈折率側ポリマーと低屈折率側ポリマーのいずれよりもアルカリ溶解速度が速いアルカリ易溶性ポリマーで、上記交互積層体構造もしくは回折構造を被覆するようにして保護層を形成し、光学干渉部が保護層により被覆された未延伸繊維を得る。この未延伸繊維の単繊維繊度は延伸倍率によって異なるが、アルカリ水溶液処理後に得られる複合繊維の繊度が4.0dtex以下、好ましくは0.2〜2dtexとなる範囲であれば任意である。保護層の厚さは、延伸後の厚さが2.0μm以上となる範囲であれば任意である。
【0051】
この未延伸繊維を、必要に応じて延伸してもよいが、その条件は特に限定されず、従来公知の未延伸繊維の延伸条件を採用すればよい。例えば、最もガラス転移温度が高いポリマーのガラス転移温度近傍(Tg±15℃)の温度において、ポリマー分子鎖の配向が進む温度であれば任意の温度で延伸することができる。なお、ここでいう温度は、熱板や加熱ローラー等の過熱媒体の温度である。延伸倍率は、最終的に得られる延伸繊維にどの程度の強伸度特性や熱収縮特性を付与するかに応じて適宜設定すればよいが、通常最大延伸倍率の0.70〜0.95倍にて延伸すればよい。なお、熱収縮特性等の耐熱性を向上させるため、延伸に引き続いて熱処理を施してもかまわない。
【0052】
このようにして成形された複合繊維に紫外線を照射する場合の光源としては、超高圧、高圧、中圧又は低圧水銀灯、メタルハライド灯、キセノンランプ、無電極放電ランプ、及びカーボンアーク灯等を用いることができ、数秒〜数分間照射すればよい。活性エネルギー線の波長としては、効率的に紫外線架橋性ポリマーを硬化することができる点で、200〜450nmが好ましく、300〜370nmがより好ましい。活性エネルギー線の照射は、空気中でも不活性ガス雰囲気下でも行うことができる。
【0053】
必要に応じて延伸・熱処理が施され、さらに紫外線硬化により耐熱性・耐溶剤性が付与された本発明の複合繊維は、そのまま長繊維として使用することができ、又は切断して短繊維として使用することもできる。短繊維とする場合には、その用途に応じた長さに切断すればよいが、紙、塗料、インク、化粧品、コーティング剤の用途分野に用いる場合には、使用時の取り扱い性や得られる最終製品の審美性の点から繊維の長さ方向の繊維長が、アルカリ易溶性ポリマー部を除いた繊維断面の短軸長さよりも長くなるように切断することが好ましい。長さの上限は通常50mm程度であるが、特に化粧品や塗装等の細かく分散させたい用途の場合には、1mm以下にすることが好ましい。また積層部の長軸長さ以上であれば、短いほうが好ましく、数十〜数百μmの長さであることが好ましい。
【0054】
本発明の複合繊維をそのまま長繊維として用いる場合には、例えば任意の織編組織に製編織した後、アルカリ水溶液で処理してアルカリ易溶性ポリマーの保護層を除去することにより、繊度の細かい光干渉機能を有する複合繊維からなる織編物が得られる。
【0055】
一方、本発明の複合繊維を短繊維として用いる場合には、例えば使用前にアルカリ水溶液で処理してアルカリ易溶性ポリマーの保護層を除去する方法、あるいは長繊維状態でアルカリ水溶液で処理してアルカリ易溶性ポリマーの保護層を除去した後、短繊維に切断する方法等により、繊度の細かい光干渉機能を有する複合短繊維として種々の用途に利用することができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、この実施例中におけるポリマーの溶解度パラメーター値(sp値)、及び繊維断面内の各寸法は以下の方法により測定した。
【0057】
sp値及びsp比
sp値は、凝集エネルギー密度(Ec)の平方根で表される値である。ポリマーのEcは、種々の溶剤にポリマーを浸漬させ、膨潤の圧が極大となる溶剤のEcをこのポリマーのEcとすることにより求められる。このようにして求められた各ポリマーのsp値は、「Properties of Polymers」第3版(Elsevier)792頁に記載されている。また、Ecが不明であるポリマーの場合には、ポリマーの化学構造から計算することができる。すなわち、ポリマーを構成する置換基それぞれのEcの和として求めることができる。各置換基のEcについては、上記の文献の第192頁に記載されている。そして、例えば交互積層構造体のsp比は下式から算出する。
sp比=高屈折率ポリマーのsp値(sp1)/低屈折率ポリマーのsp値(sp2)
【0058】
繊維断面測定
平板シリコンプレートとビームカプセルにサンプル繊維を固定し、エポキシ樹脂で5日間包埋する。次いで、ミクロトームULTRACUT-Sを用い、繊維軸に垂直方向に切断し、厚さが50〜100nmの超薄切りサンプルを作成してグリッドに載台する。2%四酸化オスミウムで温度60℃において2時間蒸気処理を施した後、透過型電子顕微鏡LEM-2000を用いて加速電圧100kVで写真撮影(倍率20000倍)を行う。得られた写真より、積層構造体部分の各層の平均厚さ及び保護層の厚さを測定する。
【0059】
光干渉発色波長及び強度
黒色板に顔料サンプルを100mg/水性糊1gに混合して塗布し、フィルムを貼る。その測色サンプルを、マクベス社製分光光度計カラーアイ3100(CE-3100)にてD65光源で測色する。測定窓は小窓5mm×10mm、表面光沢を含む、光源に紫外線を含む条件にて、ピークは兆と反射強度を測定した。反射強度は、ベースラインとピーク波長での反射強度の差を正味の反射強度とした。
【0060】
耐候性試験
作成した塗装板を用いて耐候性試験を施す。試験条件は以下のとおりである。
キセノン灯式促進耐候性試験機
照射102分+降雨18分、
照度(W/m2、300〜400nm):180(±3%)
ブラックパネル温度(℃):63±3(照射時)
試験時間:800時間
試験者により変色有無の官能試験で評価する。判定は、変色あり×、変色なし○とする。
【0061】
実施例1及び2
以下の表1に記載の高屈折率ポリマーと低屈折率ポリマーとを、交互積層体部の層数が21層であり、周囲をアルカリ易溶性ポリマーの保護層で被覆している構造となるように溶融紡糸し、巻き取った。これにより、図1(1)に示すような断面形状の複合繊維が得られた。次いで、糸条を束ねて0.1mmにカットし、カットファイバー量に対して40倍の4%NaOH水溶液にて80℃×60分のアルカリ加水分解により保護層の減量を行った。その時点で顔料発色ピーク波長を測定した。その後、実施例1のサンプルは紫外線照射によりイミド架橋構造を形成した。減量後顔料を10wt%含む2液アクリルウレタンベース塗料に配合した塗料を得た。この塗料を鋼板にスプレーガンで吹き付けた後、(A)120℃×20分の焼付け乾燥により塗膜を20μmとした。その後、(B)クリア樹脂を塗布し、(C)さらに140℃×10分にて乾燥した。
【0062】
【表1】

【0063】
上記表中、以下の略称を用いた。
PMMA:ポリメチルメタクリレート
PC:ポリカーボネート
PLA:ポリ乳酸
UV硬化性モノマー共重合PMMA:3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドエチルアクリレート20質量%とメチルメタクリレート(MMA)80質量%との共重合ポリマー
【0064】
実施例1及び2共に、アルカリ加水分解による保護層の減量後は十分な顔料発色ピーク波長を示し、光干渉発色機能を発揮した。また、実施例1の紫外線照射によりイミド架橋構造を形成した繊維を含む顔料は、(A)〜(C)の各工程において干渉発色に変化はなく、耐熱性、耐溶剤性が十分であった。
【0065】
実施例3及び4
以下の表2に記載の高屈折率ポリマーと低屈折率ポリマーとを用いて、図2(1)に示すような、微小丸断面数が500であり、最密充填配列による面間隔dを有し、周囲をアルカリ易溶性ポリマーの保護層で被覆している構造となるように溶融紡糸し、2000m/minで巻き取った。次いで、糸条を束ねて0.1mmにカットし、カットファイバー量に対して40倍の4%NaOH水溶液にて80℃×60分のアルカリ加水分解により保護層の減量を行った。その時点で顔料発色ピーク波長を測定した。その後、実施例3のサンプルは紫外線照射によりイミド架橋構造を形成した。減量後顔料を10wt%含む2液アクリルウレタンベース塗料に配合した塗料を得た。この塗料を鋼板にスプレーガンで吹き付けた後、(A)120℃×20分の焼付け乾燥により塗膜を20μmとした。その後、(B)クリア樹脂を塗布し、(C)さらに140℃×10分にて乾燥した。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例3及び4共に、アルカリ加水分解による保護層の減量後は十分な顔料発色ピーク波長を示し、光干渉発色機能を発揮した。また、実施例3の紫外線照射によりイミド架橋構造を形成した繊維を含む顔料は、(A)〜(C)の各工程において干渉発色に変化はなく、耐熱性、耐溶剤性が十分であった。
【0068】
実施例5及び6
以下の表3に記載の高屈折率ポリマーと低屈折率ポリマーとを用いて、図3(1)に示すような構造の複合繊維を溶融紡糸した。この鋸歯状溝の設計において、入射光から入射した光が同方向・角度で回折光が反射するように、鋸歯の角度θΒと同じ入射角から入射した光が、入射角と同じ反射角で波長λΒの光を反射させるために必要な溝周期dは、前記の関係式
λΒ(Litt)=2d×sinθΒ
により決定され、これにより断面設計を行った。この際、高屈折率ポリマーからなる鋸歯状体の成形には、扁平スリット吐出孔の長軸壁面に溝を細工したものを用いた。これにより、メルトフラクチャーを規則正しく形成することが可能となり、あたかも鋸歯状の凹凸(溝)を形成することが可能となる。この複合繊維を1500m/minで巻き取った。次いで、糸条を束ねて0.1mmにカットし、カットファイバー量に対して40倍の4%NaOH水溶液にて80℃×60分のアルカリ加水分解により保護層の減量を行った。その時点で顔料発色ピーク波長を測定した。その後、実施例5のサンプルは紫外線照射によりイミド架橋構造を形成した。減量後顔料を10wt%含む2液アクリルウレタンベース塗料に配合した塗料を得た。この塗料を鋼板にスプレーガンで吹き付けた後、(A)120℃×20分の焼付け乾燥により塗膜を20μmとした。その後、(B)クリア樹脂を塗布し、(C)さらに140℃×10分にて乾燥した。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例5及び6共に、アルカリ加水分解による保護層の減量後は十分な顔料発色ピーク波長を示し、光干渉発色機能を発揮した。また、実施例5の紫外線照射によりイミド架橋構造を形成した繊維を含む顔料は、(A)〜(C)の各工程において干渉発色に変化はなく、耐熱性、耐溶剤性が十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の複合繊維は、製糸時における工程安定性が良好であり、光学干渉部の厚さが薄くても優れた光干渉発色機能を有し、かつ耐熱性、耐溶剤性を有している。しかも、そのままの長繊維で、又はいったん短繊維にカットした後に被覆層を除去すれば、繊度の細かい光干渉機能を有する繊維が容易に得られる。特に長さの短いカットファイバーとすれば、塗料、インク、コーティング剤、化粧品等に利用する場合の分散性が良好となるのみならず、得られる製品の表面平滑性が向上し、光干渉発色機能も良好で、審美性も良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の複合繊維の一態様の断面図である。
【図2】本発明の複合繊維の一態様の断面図である。
【図3】本発明の複合繊維の一態様の断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光学干渉部
2 保護層
3 高屈折率ポリマー
4 低屈折率ポリマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率が異なる2種以上のポリマーより構成された光学干渉部と、前記光学干渉部を覆う保護層からなり、前記保護層が、前記光学干渉部を構成するポリマーよりもアルカリ易溶性であるポリマーにより構成されていることを特徴とする複合繊維。
【請求項2】
前記光学干渉部を構成する屈折率が異なる2種以上のポリマーのうち少なくとも1種が、紫外線架橋性ポリマーであることを特徴とする、請求項1記載の複合繊維。
【請求項3】
前記紫外線架橋性ポリマーがマレイミド基を有するポリマーであることを特徴とする、請求項2記載の複合繊維。
【請求項4】
前記紫外線架橋性ポリマーが、紫外線を照射することによって架橋されていることを特徴とする、請求項2記載の複合繊維。
【請求項5】
前記光学干渉部を構成する屈折率の異なる2種のポリマーにおいて、高屈折側ポリマーの溶解度パラメーター値(SP1)と低屈折率側ポリマーの溶解度パラメーター値(SP2)の比(SP1/SP2)が0.8〜1.1であることを特徴とする、請求項1記載の複合繊維。
【請求項6】
前記保護層を構成するポリマーが、ポリ乳酸、ポリエチレングリコールを共重合したポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコール及び/又はアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を配合したポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレングリコール及びスルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項1記載の複合繊維。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−146338(P2007−146338A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344272(P2005−344272)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】