説明

光干渉顔料を含有する画像支持体

本発明は、基体および少なくとも3つの樹脂層を含む画像支持体に関し、前述の層のうち画像を保持する最外層は、好適には顔料を含まないの樹脂層を含み、第二の樹脂層は1つまたは複数の光干渉顔料を含んでおり、第三の層は好適には白色の顔料を含有する樹脂層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像支持体に関し、より詳細には、写真のおよび非写真の画像用途における支持体材料としての樹脂コート紙に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像支持体は基体から成り、基体には少なくとも1つの層が塗布されていて、この層が画像を保持している。このような画像支持体の典型的な例は写真画像のための画像支持体であり、そこでは、紙基体にポリマー樹脂の層、典型的にはポリエチレンの層が塗布されている。この層は前述の紙に耐水性を与える機能を果たし、更には、感光層が塗布される滑らかな表面を与える機能も果たす。従来、写真画像用の支持体は、上述の紙製の基体に付着された白色顔料含有樹脂層を必要とする。これらの顔料は外観的に白色の表面をもたらし、鮮明性および不透過性を高め、更には、見た目のよい表面をもたらすスペクトル的に拡散性の層を提供する。画像が広告用および他の商業的用途で表示される場合には、非常にユニークで人目を引くプリント表示を有することが非常に重要である。
【0003】
従来の画像支持体上の画像は幾つかの観点においては質が高いが、見た目が非常に平坦であり、画像の深みに欠ける。画像内の対象が恰も画像の深みを有しているように見えるようにすることが非常に望ましい。即ち、画像内の物体が恰も背景より高いように見えることが望ましい。この外観は、画像の見た目を非常に良いものとし、重要な商業的価値を提供する。
【0004】
先行技術において、このような特殊な画像支持体を製造するための様々な解決策が述べられている。米国特許第6,291,150号は、写真画像の下側に反射性の高い金属層を有する写真用支持体を開示している。写真層の下側に反射性の高い層を配置し、この層をポリマー層によって分離することにより、画像の深み感が増強される。特開昭61−259246号、特開2001−201822号および欧州特許出願公開第0180396号は、光干渉顔料が組み入れられた支持体を記載している。本明細書中において、「顔料」および「光干渉顔料」(「真珠箔」とも呼ばれている)という用語には、ウルマン工業化学百科事典(Ullmann’s Encyclopedia of industrial chemistry)vol.A20(1992年)で定義されている意味が与えられている。上述の特許出版物から既知の支持体は、顔料を含有した液体を基体にバーコーティングするか、顔料を含有した溶融樹脂を基体に押出しコーティングするかのいずれかにより製造される。光干渉顔料を含有した層を画像層の下側に配置することにより、画像に深みが加えられる。
【0005】
これらの既知の支持体は、画像の深みに関して幾分かの改善をもたらすが、先行技術に伴う欠点がある。米国特許第6,291,150号は、金属層を二軸延伸ポリマーシート上に真空蒸着により付着させ、その後この金属層を紙基体に貼り合わせる技術的に複雑な多段プロセスを必要とする。
【0006】
特開昭61−259246号および特開2001−201822号に記載されている画像支持体は、顔料分散液を基体にバーコーティングするか、光干渉顔料およびアナタース型二酸化チタンが加えられた溶融樹脂を基体に押出しコーティングするかのいずれかにより製造される。バーコーティングの場合、この顔料分散液は、電子ビーム硬化性化合物を含有する液体であるか、水、顔料およびゼラチンなどのフィルム形成物質を含有した液体であるかのいずれかである。どちらの方法もそれぞれ欠点を有しており、例えば、電子ビーム硬化の場合には引火性化合物の使用が必要でまた放射線の危険性があり、水を含有する塗布液の場合には表面光沢を破壊しかねない欠陥を防ぐために十分に管理された乾燥プロセスが必要となり生産速度が遅くなる。押出しコーティングの場合、溶融ポリマー層は280乃至340℃の高温でスロットダイを通じて押し出される。この押出しコーティングプロセスにおける広く知られた問題は、材料がスロットダイのリップに堆積する、所謂めやにの形成であり、めやにの形成は溶融ポリマー層の流れを乱し、外観に悪影響を及ぼす製品欠陥をもたらす。溶融ポリマー層が光干渉顔料を含んでいるときには、このめやにが非常に急速に生じる。従って、製品の質が落ち、商業的価値が下がる。ひどいめやには、ダイのリップをきれいにするため、製造の中断を必要とし、生産性の低下を招く。
【0007】
画像を見たときに、その画像の一層大きな深みを創出する特殊な支持体を提供することに対するニーズが尚も存在する。また、そのような支持体を、欠陥を伴うことなく、高い生産速度で経済的なプロセスにより製造することに対するニーズも依然として残っている。
【特許文献1】特開昭61−259246号
【特許文献2】特開2001−201822号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一つの目的は、改善された画像支持体を提供することである。
【0009】
別の目的は、画像の深みを増し独特な外観を与える、画像支持体を提供することである。本発明の更なる目的は、そのような支持体を、欠陥を伴うことなく、高い生産速度で経済的なプロセスにより製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこれらおよび他の目的は、一般的に、少なくとも1つの光干渉顔料を含む中間樹脂層を含む画像支持体により達成され、この中間樹脂層は、少なくとも3層の多層構造を形成すべく、最上層と最下層との間に挟まれている。
【0011】
最上層は、画像を保持し、上述の基体から最も離れた位置にある。最上層は通常、顔料を含まない、即ち本質的に顔料が加えられていない、樹脂層を含む。支持体に最も近い位置にある最下層は通常、顔料含有樹脂層を含む。場合によって、1つ以上の接着剤層をこの多層と基体との間に塗布できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は基体および基体に付着されたポリマー層を含む画像支持体に関するものであり、ここで、上述のポリマー層は少なくとも3つの樹脂層を含む多層であり、基体から最も離れた位置にある層と基体に最も近い位置にある樹脂層との間には中間樹脂層が存在し、この中間樹脂層は少なくとも1つの光干渉顔料を含んでいる。
【0013】
画像を保持していてもよい、基体から最も離れた位置の層(一般的に最外層であり、本明細書では「最上層」とも呼ばれている)は、好適には、顔料を含有していない樹脂を含む。基体に最も近い位置に設けられた層(本明細書では「最下層」とも呼ばれている)は、好適には顔料含有樹脂を含む。
【0014】
本発明による支持体は、先行技術から知られる支持体を上回る数多くの利点を有している。画像層の下側に光干渉顔料含有樹脂層を有する画像支持体を提供することにより、質が改善され、商業的価値が高められる。画像層の下側に光干渉顔料含有樹脂層を配置することにより、画像の深みが増強される。観察者がこのような画像を角度をつけて見たときに、画像の深みが知覚される。このような画像は非常に人目を引き、従来の二次元的な画像に比べ、意義のある価値を有している。驚くべきことに、基体から最も離れた位置にある顔料を含まない樹脂層と基体に最も近い位置にある顔料含有層との間に光干渉顔料含有層を配置することにより、欠陥を伴わずに高い生産速度で画像支持体を製造するプロセスの経済性を改善することができ、製造プロセスの改善が実現される。本発明の光干渉顔料は、酸化チタンコート雲母小板、酸化チタンコート酸化アルミニウム薄片、金属薄片顔料、オキシ塩化ビスマス、塩基性炭酸鉛等、ならびにこれらの組合せから選択されてもよい。好適には、コート雲母小板、コート酸化アルミニウム薄片、またはこれらの両者は、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、またはこれらの組合せでコートされている。本発明の一つの好適な実施態様では、第二層の光干渉顔料は、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタンコート雲母小板、およびこれらの組合せから選択される。この顔料は、特に耐光性および安定性に関して、良好な質を提供する。また、これらの材料は無毒でもある。本発明の最も好適な実施態様では、光干渉顔料は、それぞれ1乃至50μmの平均粒径、より好適には5乃至25μmの平均粒径を有し、シルバーホワイトの真珠光沢の外観を呈する、アナタース型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンコート雲母小板のうちの少なくとも1つから選択される。これらの顔料は、E.Merck社(Germany)からIriodinの商品名で商業的に入手可能である。本発明の第二層において使用することができる光干渉顔料の例は、Iriodin(商標)100、Iriodin(商標)101、Iriodin(商標)110、Iriodin(商標)119、Iriodin(商標)120、Iriodin(商標)121、Iriodin(商標)171およびIriodin(商標)173である。
【0015】
第二層における光干渉顔料の塗布重量は、技術的な理由、コストおよび質により制限される。技術的な理由は、マスターバッチにおける顔料添加量の制限、または顔料が多量に加えられた調合物を押し出す場合に生じる問題である。コストに関して言えば、光干渉顔料の使用量が増えれば製品の原価が高くなることは明らかである。画像の質に及ぼす効果は、0.2g/m2程度と少ない光干渉顔料量を用いた場合においても既に観測される。一般的に、10g/m2以上の量で光干渉顔料を使用しても、画像の見た目の深みのそれ以上の改善はもはや観測されない。我々は、2g/m2から4g/m2までの量を用いて良好な結果を得た。とはいえ、4g/m2から10g/m2の量で光干渉顔料を使用することにより、良好な外観または一層良好な外観が得られる。本発明の第二層における樹脂の塗布重量は、0.8g/m2から25g/m2まで、より好適には4g/m2から20g/m2までである。本発明の最も好適な実施態様においては、本発明の第二層における樹脂の塗布重量は、4g/m2から15g/m2までの範囲である。
【0016】
本発明の第二(中間)層における樹脂の種類は、当技術分野において既知のあらゆる種類の押出しコーティング樹脂から選択することができる。好適には、本発明の第二層における樹脂は、ポリオレフィン、オレフィンコポリマーまたはこれらの一種以上の混合物である。本発明の最も好適な実施態様では、本発明において使用される樹脂の種類はポリエチレン樹脂または複数の異なるポリエチレン樹脂の混合物である。光干渉顔料および前述の樹脂とは別に、本発明の第二層は、少量の着色染料、光学的光沢剤、酸化防止剤、光安定剤、または既知の、樹脂コート画像支持体用添加剤として使用される他の物質を含んでいてよい。
【0017】
画像を保持している本発明の最外層は、好適には、1つまたは複数の光干渉顔料を含有する第二層の上面に位置する、顔料を含まない樹脂層を含む。この顔料を含まない最外層は、欠陥を伴うことなく高い生産速度で画像支持体を製造するプロセスの経済性を改善し、製造プロセスを改善する。
【0018】
本発明の最外層における樹脂の塗布重量は、好適には0.5g/m2から10g/m2までの範囲であり、より好適には1g/m2から10g/m2までの範囲である。本発明の最も好適な実施態様では、本発明の最外層における樹脂の塗布重量は1g/m2から5g/m2までの範囲である。本発明の最外層における樹脂の種類は、当技術分野において既知のあらゆる種類の押出しコーティング樹脂から選択することができ、好適には、本発明の最外層における樹脂はポリオレフィンもしくはポリオレフィンコポリマー、または複数のオレフィン(コ)ポリマーの混合物である。本発明の最も好適な実施態様では、本発明の最外層において使用される樹脂の種類はポリエチレン樹脂または複数の異なるポリエチレン樹脂の混合物である。前述の樹脂とは別に、本発明の最外層は、少量の着色染料、光学的光沢剤、酸化防止剤、光安定剤、または当技術分野において既知の、樹脂コート画像支持体用添加剤として使用される他の物質を含んでいてよい。
【0019】
本発明の第三(最下)層はあらゆる顔料を含有していてよく、通常は非光干渉顔料を含有する。最も一般的に使用される顔料は白色顔料であり、白色顔料は画像支持体の白度および不透明性を大幅に増強し、更に、写真用の支持体の場合には画像の鮮明度を高める。その上、非光干渉顔料と光干渉顔料との混じり合いが可能な限り回避される場合には著しく良好な結果が得られることが判明した。この状態は、両方の種類の顔料を別々の層に与えることにより得られる。また、非光干渉顔料との混じり合いが生じると、光干渉顔料の望ましい効果は低減され、または消失することさえあり得ることが判明した。非光干渉顔料を別の層に適用することにより、我々は、光干渉顔料によりもたらされる画像の深みと非光干渉顔料によりもたらされる色との両方の利益を得ることができる。
【0020】
本発明の好適な実施態様では、白色顔料が使用される。この白色顔料は、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、および硫化亜鉛などの、当技術分野において既知のあらゆる白色顔料を含みうる。本発明の最も好適な実施態様では、本発明の第三層における白色顔料はアナタース型酸化チタン及び/又はルチル型酸化チタンを含む。好適には、このアナタース型及び/又はルチル型酸化チタンの粒径は0.2μmから0.4μmまでの間である。
【0021】
本発明の第三層における白色顔料の塗布重量は0.5g/m2から7.5g/m2までの範囲、好適には0.75g/m2から5g/m2までの範囲である。本発明の最も好適な実施態様では、本発明の第三層における白色顔料の塗布重量は1g/m2から4.5g/m2までの範囲である。本発明の第三層における樹脂の塗布重量は5g/m2から25g/m2までであり、より好適には5g/m2から22.5g/m2までである。
【0022】
本発明の第三層における樹脂の種類は、当技術分野において既知のあらゆる種類の押出しコーティング樹脂から選択することができ、好適には、本発明の第三層における樹脂は、ポリオレフィンもしくはポリオレフィンコポリマー、または複数のオレフィン(コ)ポリマーの混合物である。本発明の最も好適な実施態様では、本発明の第三層において使用される樹脂の種類はポリエチレン樹脂または複数の異なるポリエチレン樹脂の混合物である。これらの樹脂および白色顔料とは別に、本発明の第三層は、場合によって少量の色調整用の例えばウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレットおよびキナクリドンレッドなどの着色顔料もしくは着色染料、光学的光沢剤、酸化防止剤、光安定剤、または樹脂コート画像支持体用の既知の添加剤として使用される他の物質を含んでいてよい。
【0023】
本発明の異なる層における樹脂または樹脂混合物は相互に独立して選ぶことができ、最終製品の意図される特性に応じて互いに異なって選択されてよい。
【0024】
本発明によれば、例えば米国特許第5,466,519号に記載されているような材料を用いて本画像支持体の基体に対する付着状態を改善するため、1つまたはそれ以上の付加的な層を設けることができる。この層は、必要な場合、第三層の下側に加えられる。
【0025】
本発明の画像支持体の基体は、高品質紙を含む天然パルプ、バライタ紙、コート紙、合成紙または熱可塑性シートの如き当技術分野において既知のあらゆる基体から選択することができる。本発明における好適な基体は、高品質紙を含む天然パルプもしくはバライタ紙、または80乃至300g/m2の坪量を有するコート紙、最も好適には150乃至200g/m2の坪量を有するコート紙である。
【0026】
本発明の画像支持体は、当技術分野において説明されている様な押出しコーティング法により製造することができる。最も好適には、本発明の画像支持体は共押出し法により製造され、この共押出し法では、本発明のすべての樹脂層がフィードブロック法またはマルチマニホールドダイ法を用いて同時に基体へ塗布される。これは、二軸延伸ポリマーシート上へ金属層を真空蒸着するステップ、次いで、このシートを紙製の基体に貼り合わせるステップを含む米国特許第6,291,150号に記載されているような複雑な多段製造方法を必要としないため、画像支持体の製造の経済性を大いに増大することができる。本発明の共押出し法を用いることにより、表面光沢を破壊する欠陥を防止するための充分に管理されたゆっくりとした乾燥プロセスに対する必要性が省かれるため、特開昭和61−259246号および特開2001−201822号で提案されているバーコーティング法に比べ、生産速度を大幅に増大させることができる。また、本発明の共押出し法を用いた場合、光干渉顔料含有層の上側および下側に光干渉顔料を伴わない層を包むことによりめやにが防止されるため、欠陥のない画像支持体が得られる。これにより、画像支持体の製造の経済性が大幅に増大する。
【0027】
押出しラインでは、樹脂層と基体との間の付着状態を改善するため、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理もしくは熱処理、またはこれらを組合せた処理を樹脂層の押出しコーティングに先立って基体に施すことができる。また、この押出しラインにおいて、例えば光沢、艶消しまたは構造化などの冷却ロールの表面構造を選ぶことにより、画像支持体の表面構造を選択することができる。本発明の最も好適な実施態様では、本画像支持体の製造で使用されるチル・ロールの表面構造は光沢型の冷却ロールである。本発明の画像支持体の製造中の埃を防止するため、光干渉顔料および白色顔料はマスターバッチまたは混合物中の樹脂中に予め分散され、これらの分散された樹脂が、押出しコーティングプロセスにおいてバージン樹脂と必要とされる比で混合および溶融される。
【0028】
本発明の支持体は非常に広範囲の画像用途で使用することができる。写真用途においては、画像の深みが改善された写真をもたらすが、インクジェット型または昇華型用途などの他の用途においても、本発明の支持体は改善された深みを有する画像を与える。
【0029】
次に、以下の実施例に基づいて本発明を説明する。
【0030】
実施例
すべての実験は、2台の4・1/2インチ(1.27cm)の押出機および1台の2.5インチ(6.35cm)の押出機、ならびにコートハンガーダイを備えた共押出しラインで実行された。使用した溶融温度は320乃至325℃の範囲であった。すべての試験は300m/分のライン速度で行われた。試験で使用した基体はバライタ紙であった。これらの紙基体は、押出しコーティングに先立ち、インラインコロナ処理ステーションでコロナ処理された。すべての実験は光沢性ファインマット型チル・ローラーを用いて実施された。
【0031】
(比較例1(対照))
バライタ紙の画像を保持する側に共押出しを用いて以下の多層を塗布した:
【0032】

【0033】
この比較例で使用した酸化チタン顔料はアナタース型酸化チタンであり、0.2μmの平均粒径を有する非光干渉顔料であった。ウルトラマリン顔料は、ウルトラマリンバイオレットとウルトラマリンブルーの2.75:1.70の比における混合物であった。これらの顔料はマスターバッチから適用された。
【0034】
この比較例の基体の画像を保持しない側に、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの1:1混合物を20g/m2の量で押出しコーティングした。
【0035】
(比較例2)
バライタ紙の画像を保持する側に共押出しを用いて以下の多層を塗布した:
【0036】

【0037】
この比較例の中間層に使用した酸化チタン顔料はアナタース型酸化チタンであり、0.2μmの平均粒径を有する非光干渉顔料であった。ウルトラマリン顔料は、ウルトラマリンバイオレットとウルトラマリンブルーの2.75:1.70の比の混合物であった。これらの顔料はマスターバッチから適用された。Iriodin(商標)110のマスターバッチは40%のIriodin(商標)および60%の低密度ポリエチレンを含む。
【0038】
この比較例の基体の画像を保持しない側に、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの1:1混合物を20g/m2の量で押出しコーティングした。
【0039】
すべてのケースにおいて、Iriodin(商標)110を含有する層がダイから出て来ると直ぐにめやにが現れ、洗浄してもめやには直ぐに再出現し、数え切れないほど多くの欠陥をもたらした。このめやには低いアウトプットで起こり、また、高いアウトプットでも同様な速度で起こった。
【0040】
すべての画像支持体が、目視検査で点状欠陥、線状欠陥および細長い欠陥を示した。欠陥の個数は、すべての支持体において、5個/cm2を上回った。欠陥のサイズは2mm2に達し、幾つかの欠陥ではもっと大きかった。これらの欠陥は、画像の視覚的な魅力を容認できないレベルにまで低減させた。
【0041】
(本発明による実施例3)
バライタ紙の画像を保持する側に共押出しを用いて以下の多層を塗布した:
【0042】

【0043】
この実施例で使用した酸化チタン顔料はアナタース型酸化チタンであった。ウルトラマリン顔料は、ウルトラマリンバイオレットとウルトラマリンブルーの2.75:1.70の比における混合物であった。これらの顔料はマスターバッチから適用された。Iriodin 110のマスターバッチは40%のIriodinおよび60%の低密度ポリエチレンを含む。
【0044】
この実施例の基体の画像を保持しない側に、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの1:1混合物を20g/m2の量で押出しコーティングした。
【0045】
これらの調合物のうちのどれにもめやには現れなかった。
【0046】
これらすべての画像支持体において、視認可能な欠陥は見られなかった。
【0047】
(本発明による実施例4)
バライタ紙の画像を保持する側に共押出しを用いて以下の多層を塗布した:
【0048】

【0049】
この実施例で使用した酸化チタン顔料はアナタース型酸化チタンであった。これらの顔料はマスターバッチから適用された。Iriodin 110のマスターバッチは40%のIriodinおよび60%の低密度ポリエチレンを含む。
【0050】
この実施例の基体における画像を保持しない側に、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの1:1混合物を20g/m2の量で押出しコーティングした。
【0051】
これらの調合物のうちのどれにもめやには現れず、関連する欠陥も生じなかった。
【0052】
(実施例5)
本発明の画像支持体全てに写真乳剤を塗布した。結果として得られた写真紙に画像を印刷した。これらの画像を、画像の相対的な深みについて評価した。この評価は、1から10のスケール(点数1は標準的な写真印刷であり、点数10は鏡面である)で視覚的な魅力度を判定することにより行われた。結果が表1に与えられている:
【0053】
表1

【0054】
深みの判定は画像の鏡面様外観について主観的に点数を付けることにより行われた。すべてのサンプルが対照よりも良好であったため、対照サンプルを点数1とした。点数10は高度に磨かれたガラス鏡面であるとみなされる。対照サンプル以外のサンプルに相対的な点数を付けた。
【0055】
特定の好適な実施態様を特に参照しながらこの特許の発明を詳細に説明してきたが、本発明の精神および範囲内で様々な変更および改変をなし得ることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体および前記基体に付着されたポリマー層を含む画像支持体であって、前記ポリマー層は少なくとも3つの樹脂層を含む多層であり、前記基体から最も離れた位置にある層と前記基体に最も近い位置にある樹脂層との間に中間樹脂層が存在し、前記中間樹脂層が少なくとも1つの光干渉顔料を含んでいる、画像支持体。
【請求項2】
前記基体から最も離れた位置にある前記層が顔料を含まないポリマー樹脂層である、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項3】
前記基体に最も近い位置にある前記層が顔料含有ポリマー樹脂層である、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光干渉顔料が、酸化チタンコート雲母小板、酸化チタンコート酸化アルミニウム薄片、金属薄片顔料、オキシ塩化ビスマス、塩基性炭酸鉛、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光干渉顔料が、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタンコート雲母小板、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項6】
前記顔料のうちの少なくとも1つが1μmから50μmの粒径、好適には5μmから25μmの粒径を有する、請求項5に記載の画像支持体。
【請求項7】
使用される前記光干渉顔料の量が0.2g/m2から10g/m2までの間、好適には2g/m2から4g/m2までの間である、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項8】
前記中間樹脂層が0.8g/m2から25g/m2の樹脂塗布重量で塗布される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項9】
前記中間樹脂層が4g/m2から20g/m2までの間、好適には4g/m2から15g/m2の樹脂塗布重量で塗布される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項10】
前記顔料含有ポリマー樹脂層が、好適には0.2μmから0.4μmの粒径を有する、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの白色顔料を含む、請求項3に記載の画像支持体。
【請求項11】
酸化チタン顔料が、0.5g/m2から7.5g/m2の量、好適には0.75g/m2から5g/m2の量、より好適には2.5g/m2から4.5g/m2の量で顔料として使用される、請求項3に記載の画像支持体。
【請求項12】
前記基体から最も離れた位置にある前記樹脂層が0.5g/m2から10g/m2の樹脂塗布重量で適用される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項13】
前記基体から最も離れた位置にある前記樹脂層が1g/m2から10g/m2までの間、好適には1g/m2から5g/m2の樹脂塗布重量で適用される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項14】
前記基体に最も近い位置にある前記層が5g/m2から25g/m2までの間、より好適には5g/m2から22.5g/m2の樹脂塗布重量で適用される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項15】
前記樹脂層のうちの少なくとも1つがポリオレフィン、オレフィンコポリマーまたは複数のオレフィン(コ)ポリマーの混合物を含む、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項16】
塗布される前記層における樹脂の組成が独立して選択される、請求項15に記載の画像支持体。
【請求項17】
前記樹脂のうちの少なくとも1つがポリエチレン樹脂または複数のポリエチレン樹脂の混合物である、請求項16に記載の画像支持体。
【請求項18】
前記基体が高品質紙を含む天然パルプ、バライタ紙、コート紙、合成紙または熱可塑性シートから選択される、請求項1に記載の画像支持体。
【請求項19】
押出しコーティングステップを含む、請求項1に記載の支持体を製造する方法。
【請求項20】
共押出しコーティング法を用いる、請求項19に記載の支持体を製造する方法。
【請求項21】
画像化用途における、請求項1に記載の支持体を使用する方法。
【請求項22】
写真用途における、請求項18に記載の支持体を使用する方法。


【公表番号】特表2007−508959(P2007−508959A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532134(P2006−532134)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000376
【国際公開番号】WO2004/107041
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(598169815)フジ フォト フィルム ビー.ブイ. (12)
【氏名又は名称原語表記】Fuji Photo Film B.V.
【Fターム(参考)】