説明

光情報媒体用硬化性組成物および光情報媒体

【課題】硬化物が低吸湿性および耐光性に優れ、光情報媒体の記録膜保護性能に優れた光透過層の形成に好適な硬化性組成物、ならびに再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体を得る。
【解決手段】2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート(a1成分)、ポリカーボネートジオール(a2成分)およびヒロドキシアルキル(メタ)アクリレート(a3成分)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A)、式(1)で示される(メタ)アクリレート(B)および脂環式(メタ)アクリレート(C)を含有する光情報媒体用硬化性組成物。
CH=CRCOO(Cα2α)OCOCR=CH (1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。αは2〜16の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報媒体の光透過層形成に好適な光情報媒体用硬化性組成物および再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体の分野では高密度化に関して様々な研究が進められている。光ディスクの分野においても、動画が記録できる0.6mm厚の基板を貼り合わせた構造のDVDが普及期を迎えている。
【0003】
しかしながら、今後デジタルハイビジョン放送が広まるにつれ、更なる大容量の光ディスクが必要とされていることから、記録・再生側の基板(光透過層)を0.1mm厚とし、対物レンズの開口数(NA)を0.85程度、レーザー波長400nm程度とした高密度光ディスクシステムが実用化され、普及しつつある。
【0004】
この光透過層の形成方法としては、液状の紫外線硬化型組成物をスピンコート法により塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる手法が開発されている(例えば特許文献1)。このスピンコート法に用いる液状の紫外線硬化型組成物としては、例えば、特許文献2および3に記載の組成物が挙げられる。
【0005】
しかしながら、光透過層として、特許文献2および3記載の液状紫外線硬化型組成物を用いた光ディスクは反りが大きい、あるいは耐光試験後に光透過層が黄変し、情報の記録または再生が不可能となる問題があった。
【0006】
また、光透過層の吸・放湿により光ディスクの反りが大きく変化するという課題もあることから、低吸湿性に優れた光透過層用の硬化性組成物として、例えば特許文献4および5記載の組成物が挙げられるが、光ディスク用光透過層として用いるには柔軟で傷付易く、また、記録膜の保護性能に劣るといった問題があった。
【特許文献1】特開平8−235638号公報
【特許文献2】特開平4−324135号公報
【特許文献3】特開2002−155245号公報
【特許文献4】特開平8−188449号公報
【特許文献5】特開昭63−308018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、硬化物が低吸湿性および耐光性に優れ、光情報媒体の記録膜保護性能に優れた光透過層の形成に好適な硬化性組成物、ならびに再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための第1の発明は、下記のa1成分、a2成分およびa3成分を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A)、下式(1)で示される(メタ)アクリレート(B)および脂環式(メタ)アクリレート(C)を含有する光情報媒体用硬化性組成物である。
【0009】
a1成分:2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート
a2成分:ポリカーボネートジオール
a3成分:ヒロドキシアルキル(メタ)アクリレート
CH=CRCOO(Cα2α)OCOCR=CH (1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。αは2〜16の整数を示す。)
また、第2の発明は、支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層が前記の光情報媒体用硬化性組成物の硬化物の層である光情報媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、硬化物が低吸湿性および耐光性に優れ、かつ光情報媒体の記録膜保護性能に優れた光透過層の形成に好適な硬化性組成物ならびに再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の光情報媒体用硬化性組成物(以下、「本硬化性組成物」という)はウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、「成分(A)」という)、(メタ)アクリレート(B)(以下、「成分(B)」という)および脂環式(メタ)アクリレート(C)(以下、「成分(C)」という)を含有する。
【0013】
また、成分(A)はa1成分、a2成分およびa3成分を反応させて得られる。
【0014】
a1成分
a1成分は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネートであり、本硬化性組成物の硬化物に可とう性を付与するための成分である。
【0015】
a1成分としては、例えば、デグサ社より市販されているVESTANAT TMDI(商品名)が挙げられる。これは、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの質量比が60/40の混合物である。
【0016】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であればa1成分以外のイソシアネート化合物を併用することができる。
【0017】
a1成分以外のイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートが挙げられる。
【0018】
a2成分
a2成分はポリカーボネートジオールであり、本硬化性組成物の硬化収縮を抑制し、その硬化物の吸湿性を低くするための成分である。
【0019】
a2成分としては、市販されている各種のポリカーボネートジオール類が挙げられる。
【0020】
a2成分としては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のジオール類と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。
【0021】
これらの中で、得られる成分(A)の粘度が低くなる点で、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオールの少なくとも1種を用いて合成したポリカーボネートジオールが好ましい。また、1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールを用いて合成したポリカーボネートジオールがより好ましい。
【0022】
ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、成分(A)の低粘性の点で、1,000以下であることが好ましく、850以下がより好ましい。
【0023】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であればa2成分以外のポリオール化合物を併用することができる。
【0024】
a2成分以外のポリオール化合物としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、1,10−デカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド等の多価アルコール類;前記多価アルコール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール類;前記多価アルコール類とコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類またはその酸無水物との反応によって得られるポリエステルポリオール類;前記多価アルコール類とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール類;前記多価アルコール類および多塩基酸類とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルポリオール類ならびにポリブタジエングリコール類が挙げられる。
【0025】
a3成分
a3成分はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、成分(A)中にラジカル重合性不飽和基が形成される。
【0026】
a3成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類が挙げられる。これらは1種でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0027】
これらの中で、得られる成分(A)が低粘度で、本硬化性組成物の硬化性が良好となることから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
成分(A)
本発明で用いる成分(A)は本硬化性組成物の硬化収縮を抑制し、その硬化物の吸湿性を低くし、可とう性を付与するための成分である。
【0029】
成分(A)の含有量は、成分(A)ならびに後述する成分(B)、成分(C)および成分(D)の合計量(以下、「組成物単量体の合計量」という)中に40質量%以上が好ましい。また、成分(A)の含有量は組成物単量体の合計量中に65質量%以下が好ましい。
【0030】
成分(A)の含有量が40質量%以上の場合には本硬化性組成物の硬化収縮の低減効果が十分に発現され、得られる硬化物の可とう性が良好となる傾向にある。また、成分(A)の含有量が65質量%以下の場合には本硬化性組成物の液粘度が低くなり、情報記録層上への塗工作業性が良好となる傾向にある。
【0031】
成分(A)の合成には、公知のウレタン(メタ)アクリレートの合成法を使用することができる。例えば、フラスコ内に2モルのa1成分を仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を成分(A)用原料の総仕込量に対して50〜300ppmを添加、混合し、フラスコ内温度を40〜60℃に保ちながら、滴下ロートを用いて1モルのa2成分を2〜4時間かけて滴下しながら反応させてウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマーの末端に残存するイソシアネート基に、残存イソシアネート基と当量のa3成分を滴下させながらフラスコ内温60〜75℃で付加反応させることにより成分(A)が得られる。
【0032】
成分(B)
本発明で用いる成分(B)は前述の一般式(1)で示され、本硬化性組成物の粘度を低くしたり速硬化性を付与すると共に、その硬化物の表面硬度、耐湿性および支持基体との密着性を良好とするための成分である。
【0033】
成分(B)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
これらの中で、本硬化性組成物の低粘度化および硬化性のバランスの点で、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレートおよび1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0035】
成分(B)の含有量は組成物単量体の合計量中に5質量%以上が好ましい。また、成分(B)の含有量は組成物単量体の合計量中に25質量%以下が好ましい。
【0036】
成分(B)の含有量が5質量%以上の場合には本硬化性組成物の硬化性とその硬化物と支持基体との密着性が良好となる傾向にあり、また、25質量%以下の場合にはその硬化物の可とう性が良好になる傾向にある。
【0037】
成分(C)
本発明で用いる成分(C)は本硬化性組成物の粘度を低くすると共に、その硬化物の吸湿性を低くし、耐光性および表面硬度を良好とするための成分である。
【0038】
成分(C)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルエチルアクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0039】
これらの中で、本硬化性組成物の低粘度化が容易でかつ、成分(C)の揮発性が低いため長期間使用しても粘度上昇を起こさず臭気も少ないことから、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートおよびノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0040】
成分(C)の含有量は組成物単量体の合計量中に10質量%以上が好ましい。また、成分(C)の含有量は組成物単量体の合計量中に55質量%以下が好ましい。
【0041】
成分(C)の含有量が組成物単量体の合計量中に10質量%以上の場合には本硬化性組成物の硬化収縮率が低下し、その硬化物の吸湿性が抑制され耐光性が向上する傾向にある。また、得られる光ディスクは記録膜保護性能に優れる傾向にある。成分(C)の含有量が組成物単量体の合計量中に55質量%以下の場合には本硬化性組成物の可とう性が良好となる傾向にある。
【0042】
本硬化性組成物
本発明においては、本硬化性組成物は前記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有するが、本発明の目的を損なわない範囲であれば、成分(A)〜(C)以外のエチレン性不飽和化合物(D)(以下、「成分(D)」という)を含有することができる。
【0043】
成分(D)
成分(D)としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ポリエトキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリレートおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0046】
モノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−エチル−ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレートおよびカプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0047】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0048】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート類に前述のa2成分やポリオール化合物類を反応させて得られるウレタンプレポリマーの末端に水酸基含有(メタ)アクリレートを付加した、成分(A)以外のウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0049】
成分(D)は1種でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0050】
成分(D)の含有量は、本硬化性組成物の硬化性とその硬化物の寸法安定性のバランスの点で、組成物単量体の合計量中に30質量%以下が好ましい。
【0051】
また、本硬化性組成物には、活性エネルギー線照射により効率よく硬化させるために、光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0052】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、3,3−ジ(t−ブチルパーオキシカルボニル)−4,4−ジ(メトキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3−ジ(メトキシカルボニル)−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが挙げられる。
【0053】
これらの中で、本硬化性組成物の硬化性およびその硬化物の耐黄変性の点で、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびオリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}が好ましい。これらは1種でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0054】
光重合開始剤の含有量は組成物単量体の合計量100質量部に対して1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。また、光重合開始剤の含有量は組成物単量体の合計量100質量部に対して5質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましい。
【0055】
光重合開始剤の含有量が1質量部以上の場合には、空気雰囲気中での本硬化性組成物の硬化性が良好となる傾向にあり、また、5質量部以下の場合には、本硬化性組成物の深部硬化性やその硬化物の耐黄変性を良好とすることができる傾向にある。
【0056】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であれば、本硬化性組成物中に熱重合開始剤、酸化防止剤、光安定剤、光増感剤、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等の公知の添加剤を目的に応じて配合することができる。
【0057】
これらの添加剤の中で、特に耐光性が要求される光ディスク用としては、光安定剤としてHALS(ヒンダードアミンライトスタビライザー)の使用が好ましく、アミノエーテル基含有HALSがより好ましい。
【0058】
これら添加剤の添加量は組成物単量体の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
【0059】
本発明においては、本硬化性組成物は、ダストやゲル物等の異物の存在による光情報媒体の読み取りまたは書き込みのエラーを防止するために、5μm以上、好ましくは1μm以上の異物を排除するろ過フィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0060】
ろ過フィルターの素材としては、例えば、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリテトラフルオロエチレンが使用できる。
【0061】
また、後述する光透過層に気泡が存在しても光情報媒体の読み取りまたは書き込みエラーの原因となるため、本硬化性組成物は予め真空若しくは遠心条件下または真空且つ遠心条件下において脱泡を行うことが好ましい。
【0062】
本硬化性組成物を硬化させるために活性エネルギー線が使用される場合、活性エネルギー線としては、例えば、α、βおよびγ線、X線、紫外線、可視光線等の公知の活性エネルギー線が挙げられる。活性エネルギー線を照射する雰囲気は空気中または窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよいが、製造コストの点で、空気中で照射することが好ましい。
【0063】
本発明の硬化性組成物を基材に塗布して活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、光情報媒体を得ることができる。基材としては、後述する支持基体、支持基体に情報記録層を設けたもの、その情報記録層上に透明中間層を積層し更に透明中間層上に情報記録層を設けたもの等が挙げられる。
【0064】
本硬化性組成物の硬化物
本硬化性組成物の硬化物は低吸湿性であるため湿度変化に対して反りの変化が小さく、耐光性に優れているので、光情報媒体における情報記録層上の光透過層として好適である。
【0065】
本硬化性組成物の硬化物の23℃における引張弾性率は50〜600MPaが好ましく、より好ましくは150〜550MPaである。
【0066】
本硬化性組成物の硬化物の引張弾性率が50MPa以上で硬化物が傷つきにくい傾向にあり、また、600MPa以下で外部の温度変化および湿度変化に対する硬化物の寸法安定性が良好である傾向にある。
【0067】
本硬化性組成物の硬化物の23℃における引張弾性率を50〜600MPaにするためには、本硬化性組成物を硬化させるときの紫外線の照射積算光量を500mJ/cm以上とするのが好ましく、1,000mJ/cm以上がより好ましく、2,000mJ/cm以上が更に好ましい。
【0068】
本発明の硬化性組成物は情報記録層を表面に有する支持基体の情報記録層上に塗布、硬化させて光透過層を形成させ、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体を得ることができる。
【0069】
支持基体
本発明に使用される支持基体としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、プラスチック等の材料やこれらの複合材料が挙げられる。
【0070】
これらの中で、従来の光ディスク製造プロセスを利用できる点で、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が好適である。
【0071】
情報記録層
支持基体上に設けられる情報記録層としては、例えば、金、銀、銀・Pd・Cu合金、アルミ、アルミチタン合金、アルミクロム合金、Si・Cu合金、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te・Sb・Ge合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金、Tb・Fe・Co合金及び色素の薄層が挙げられる。
【0072】
情報記録層の種類は読み取り専用型媒体、相変化型記録媒体、ピット形成タイプ記録媒体、光磁気記録媒体等の使用目的に応じて選択すればよい。
【0073】
また、情報記録層の少なくとも一方の側に、情報記録層の保護や信号増幅及び反射率調整などの光学的効果を目的としてSiN、ZnS、SiO等の誘電体層を設けることができる。
【0074】
光透過層
本発明においては、情報記録層上に設けられる光透過層は記録光または再生光に対する透明性を保ち、情報記録層を保護する役割を有する。
【0075】
光透過層の厚みは10μm以上で光情報媒体の表面を十分に保護できる傾向にあり、また、500μm以下で光情報媒体の反りを抑制しやすい傾向にあることから好ましい。光透過層の厚みは20〜300μmがより好ましく、25〜150μmが更に好ましい。
【0076】
光情報媒体
本発明の光情報媒体は再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報媒体として使用される。
【0077】
本発明の光情報媒体の製造法としては、コンパクトディスク等の既存の光情報媒体と同様の公知の方法が挙げられる。
【0078】
例えば、ポリカーボネート等の透明樹脂を射出成型法により円盤状に成型した後、成型物の情報記録面となる面の上に、スパッタリング法等の方法により情報記録層となる金属薄膜層を形成する。次いで、スピンコート法等の方法により金属薄膜層上に本硬化性組成物を塗布し、それを硬化させて光透過層を形成することにより光情報記録体が得られる。
【0079】
また、光情報媒体の製造法の1例として以下の方法も挙げられる。2P法を用いて上記方法で形成した情報記録層上に透明中間層を設ける。次いで、この透明中間層上にスパッタリング法により半透明の情報記録層を形成し、更にその記録層上に光透過層を設けることにより多層記録型の光情報媒体が得られる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。尚、以下、「部」は「質量部」を意味する。
【0081】
尚、実施例中の反り角とは、光ディスク(光情報媒体)の最外周における光透過層側への半径方向の最大反り角を意味する。また、負(−)の反り角は光透過層側とは反対側に反った場合の最大反り角を意味する。
【0082】
実施例および比較例において得られた組成物およびそれを用いて得た光ディスクについて、以下に示す評価を実施した。
【0083】
1.光透過層の評価
<光線透過率(%)>
評価用光ディスクから剥離させた光透過層の波長400nmにおける光線透過率を、日立製作所(株)製分光光度計U−3400を用いて、空気をリファレンスとして測定した。
○:良好(85%以上)
×:不良(85%未満)
【0084】
<耐光性(%)>
スガ試験機(株)製塗料用退色試験機FM−1型を用い、光透過層を光源に向けた状態で評価用光ディスクを配置、ブラックパネル温度60度の条件下で100時間耐光性テストを行った。その後、光ディスクを取り出し、23℃および相対湿度50%の環境下にて24時間放置後、光透過層を剥離して光線透過率を測定し、耐候性を評価した。
○:良好(85%以上)
×:不良(85%未満)
【0085】
<吸湿率(%)>
評価用光ディスクから剥離させた光透過層の初期重量を23℃および相対湿度50%の環境下にて測定した。この光透過層を60℃および相対湿度95%の環境下にて6時間保持した後、23℃および相対湿度50%の環境下へ取り出した直後に再び試験後重量を測定し、下記式に従って吸湿率を求めた。
吸湿率=(試験後重量−初期重量)/初期重量×100(%)
【0086】
<密着性(ケ)>
硬化性組成物を、評価用光ディスク基材(銀合金反射膜なし)上にスピンコート法にて塗工し、塗工面の上方から、ウシオ電機(株)製「クセノンフラッシュ照射装置SBC−17型」を用い、設定電圧1450Vで、空気中で紫外線を7ショット照射して、平均硬化膜厚100μmの硬化物層を得た。その硬化物層について、JIS K−5600に準拠し、碁盤目テープ剥離試験を行い、以下の基準に基づいて初期密着性を評価した。また、そのサンプルを80℃および相対湿度85%の環境下にて96時間保持した後、23℃および相対湿度50%の環境下へ取り出し、同環境下にて24時間放置後、同法にて試験後密着性を評価した。
○:良好(25マス中、25マス残存)
△:やや良好(25マス中、20〜24マス残存)
×:不良(25マス中、0〜19マス残存)
【0087】
<引張特性>
評価用光ディスクから剥離させた光透過層から10mm×100mm×100μmの試験片を切り出し、標線間距離を50mm、引張速度20mm/分とすること以外はJIS K7127−1989に準拠し、23℃および相対湿度50%の環境下において、引張弾性率(単位:MPa)と破断伸度(単位:%)を測定し、引張特性を評価した。
【0088】
2.光ディスクの評価
<保護性能>
評価用光ディスクについて、80℃および相対湿度85%の環境下にて96時間保持した後、23℃および相対湿度50%の環境下へ取り出した。同環境下にて24時間放置後、偏光顕微鏡にて銀合金反射膜表面を観察し、下記基準に基づいて保護性能を評価した。
○:初期から変化無し
×:銀合金表面に白化、黒化、ピンホール等の腐食が発生
【0089】
<寸法安定性(度)>
下記に示す初期反り角および試験後反り角を測定し、寸法安定性を評価した。
評価用光ディスクについて、ジャパンイーエム(株)製DLD−3000光ディスク光学機械特性測定装置を用いて、23℃および相対湿度50%の環境下にて、半径55mm位置における初期反り角を測定した。
○:良好(初期反り角が0度以上かつ0.2度未満)
×:不良(初期反り角が0.2度以上)
次いで、得られた光ディスクを30℃および相対湿度90%の槽内に1週間放置した後、23℃および相対湿度50%の環境下へ取り出し、同環境下にて5時間放置後、半径55mm位置における試験後反り角を測定した。
○:良好(試験後反り角が0度以上0.3度未満)
△:やや良好(試験後反り角が0.3度以上0.4度未満)
×:不良(試験後反り角が0.4度以上)
【0090】
《合成例1》ウレタンアクリレート(UA1:成分(A))の製造
5リットルの4つ口フラスコに、デグサ社製VESTANAT TMDI(2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの質量比が60/40の混合物)420gおよびジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んで水浴中でフラスコ内温が70℃になるように加熱した。
【0091】
旭化成ケミカルズ(株)製、商品名T5650J(ポリカーボネートジオール、数平均分子量764)764gを側管付きの滴下ロートに仕込んだ。4つ口フラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を70℃に保ちながらこの滴下ロート内の液を4時間等速で滴下し、更に同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0092】
次いで、フラスコ内容物の温度を75℃に上げ、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート232g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2gおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2gの混合溶液を、フラスコ内温を75℃に保ちながら2時間等速で滴下した。更にフラスコ内容物の温度を75℃に保って4時間反応させて、ウレタンアクリレートUA1を製造した。
【0093】
《合成例2》ウレタンアクリレート(UA2:成分(A))の製造
2−ヒドロキシエチルアクリレート232gの代わりに2−ヒドロキシプロピルアクリレート260gを用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2を製造した。
【0094】
《合成例3》ウレタンアクリレート(UA3:成分(D))の製造
T5650Jの代わりに、(株)クラレ製、商品名クラレポリオールP−2010(ポリエステルジオール、数平均分子量2,000)2,000gを用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA3を製造した。
【0095】
《合成例4》ウレタンアクリレート(UA4:成分(D))の製造
TMDIの代わりに、デグサ社製VESTANAT IPDI(イソホロンジイソシアネート)444gを用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA4を製造した。
【0096】
[実施例1]
(1)硬化性組成物の製造
成分(A)として合成例1で得られたUA1、60部、成分(B)として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート25部、成分(C)として4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート15部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部を混合溶解し、硬化性組成物を得た。
【0097】
(2)評価用光ディスクの作製および評価
ポリカーボネート樹脂(飽和吸水率:0.15質量%)を射出成型して得た光ディスク形状を有する透明円盤状鏡面基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)の片面に、Ag98PdCu(原子比)合金を膜厚20nmとなるようにスパッタリング法にて製膜し、鏡面に銀合金反射膜を有する評価用光ディスク基材を得た。
【0098】
得られた評価用光ディスク基材の銀合金反射膜上に、上記(1)で得られた硬化性組成物を温度23℃および相対湿度50%の環境下にてスピンコーターを用いて塗工した。塗工面の上方より、高圧水銀ランプを用いて、積算光量2,000mJ/cmのエネルギー量(オーク(株)製UV−350にて測定)で紫外線を照射し、塗膜を硬化させて、平均膜厚が100μmの光透過層を有する評価用光ディスクを得た。
【0099】
各種評価結果を表1に示す。尚、全ての評価は作製した評価用光ディスクを23℃および相対湿度50%の環境下にて24時間放置した後に実施した。
【0100】
[実施例2、3および比較例1、2]
硬化性組成物として表1に記載のものを用いること以外は実施例1と同様にして評価用光ディスクを得た。評価結果を表1に示す。
【表1】

【0101】
表1中の略号は以下の通りである。
【0102】
UA1:合成例1で得られたウレタンアクリレート
UA2:合成例2で得られたウレタンアクリレート
UA3:合成例3で得られたウレタンアクリレート
UA4:合成例4で得られたウレタンアクリレート
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
C9DA:1,9−ノナンジオールジアクリレート
TBCHA:4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート
TCDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
NPA−5P:プロピレンオキサイド変性ノニルフェノールアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルNPA−5P)
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
BDK:ベンジルジメチルケタール
T123:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製光安定剤チヌビン123

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のa1成分、a2成分およびa3成分を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A)、下式(1)で示される(メタ)アクリレート(B)および脂環式(メタ)アクリレート(C)を含有する光情報媒体用硬化性組成物。
a1成分:2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート
a2成分:ポリカーボネートジオール
a3成分:ヒロドキシアルキル(メタ)アクリレート
CH=CRCOO(Cα2α)OCOCR=CH (1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。αは2〜16の整数を示す。)
【請求項2】
支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層が請求項1に記載の光情報媒体用硬化性組成物の硬化物の層である光情報媒体。

【公開番号】特開2008−192217(P2008−192217A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24163(P2007−24163)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】