光成端ユニット
【課題】上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易で、敷設作業などの効率向上を図り易い光成端ユニットを提供する。
【解決手段】この光成端ユニット100の端部固定箱150は、2体に分離可能な2段重箱構造を有しており、その1段目は、クランプトレイ120からなり、その2段目は融着トレイ130からなり、融着トレイ130の上には蓋(リッド140)が具備されている。壁や柱などに埋め込まれる第2の光ケーブルの端部を導入するための導入口Im(m=1,2,3,4,5)が、筐体110の各方面にそれぞれ設けられている。背後面115上に設けられた穴H1,H2は、端部固定箱150をナイラッチnで固定するためのものであり、直方体状の端部固定箱150には、多数の穴が設けられている。このため、端部固定箱150は、直角単位に任意の配向で背後面115上に固定することができる。
【解決手段】この光成端ユニット100の端部固定箱150は、2体に分離可能な2段重箱構造を有しており、その1段目は、クランプトレイ120からなり、その2段目は融着トレイ130からなり、融着トレイ130の上には蓋(リッド140)が具備されている。壁や柱などに埋め込まれる第2の光ケーブルの端部を導入するための導入口Im(m=1,2,3,4,5)が、筐体110の各方面にそれぞれ設けられている。背後面115上に設けられた穴H1,H2は、端部固定箱150をナイラッチnで固定するためのものであり、直方体状の端部固定箱150には、多数の穴が設けられている。このため、端部固定箱150は、直角単位に任意の配向で背後面115上に固定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル接続用に建造物などに固定される接続パネルと一体に構成される光成端ユニットに関する。本発明の光成端ユニットは、テレビカメラや光ケーブルなどを用いて、テレビ放送システムなどを構成する際に、小形でコンパクトなカメラ端子接続盤などとして有用なものである。
【背景技術】
【0002】
光ケーブル接続用に建造物などに固定される接続パネルと一体に構成される光成端ユニットとしては、例えば下記の特許文献1に記載されている従来技術が公知である。本願図15に、この特許文献1(その図4)の従来装置の側面図を示す。本図の接続ユニット4は、固定治具23、24によって、光ケーブル6の外被(:最外の樹脂被膜)及び光ケーブル6のテンションメンバ8の端部をそれぞれ固定するものであり、この接続ユニット4は、外枠パネル2の内方へ向かって上方へ傾斜する第2の面3bに固定されている。この様に、接続ユニット4からは光ファイバではなく曲げや引張り等に対する抗力を有する光ケーブル6が背後へ延出されているので、敷設時の作業中や点検作業中などに光ファイバを誤って切断してしまう恐れが少ない。
【0003】
また、下記の特許文献2や特許文献3に記載の従来装置も、これらと同様または類似の構造を有するものと思われる。
【特許文献1】特開2004−170926
【特許文献2】意匠登録第1184727号
【特許文献3】意匠登録第1185087号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の接続ユニット4は、上記の第2の面3bに固定されているため、上記の光ケーブル6の延出方向は、必然的に上記の第2の面3bを含む平面内かその極近傍に制限されてしまい、その他の方向から光ケーブル6を当該光成端ユニット内に入線させる場合には、その光ケーブル自身を曲げる必要が生じる。
一方、光ケーブル6には上記の通り、曲げや引張り等に対する抗力が十分に持たせてあるので、一般の場合、通常その曲率半径を6乃至7cm以下に曲げることは、光ケーブル自身やその固定治具などに掛かる負担や、それらの耐久性、信頼性などの観点から、決して望ましいことではない。
また、上記の曲率よりも急激な光ケーブルの継続的屈曲は、作業する上でも必ずしも容易ではなく、このため、その様な曲げを強いる光成端ユニットの構造は、敷設作業や点検作業などの作業効率の限定要因にもなる。
【0005】
このため、上記の従来技術においては、光ケーブル6を該光成端ユニットの真上または真下から鉛直に入線させる場合、或いは光ケーブル6を該光成端ユニットの背後から水平に入線させる場合に、該光成端ユニットの内部空間における光ケーブル6の取り回しに問題が生じ易い。そして、これらの場合、即ち、光ケーブル6を特に鉛直方向、または背後から水平に入線させる場合には、作業する際に曲げることが容易な範囲内の光ケーブル6の曲率半径の下限値が大きいと、所望の該光成端ユニットの高さや奥行き方向の長さを大きく取らざるを得なくなるので、これによって当該装置の小形化が阻害されてしまう。また、光ケーブルの入線方向によって、所望の光成端ユニットの筐体サイズや形状を替えることは、商品の規格統一化の観点からも全く望ましいとは言えない。
【0006】
更に、建築物に内設された光ケーブルを柱や壁面からその外部に引き出す場合、その延出方向は通常、建築物の設計容易性または施工容易性などの都合から、鉛直方向かまたは水平方向とされる場合が多いので、当然ながら光成端ユニットへの入線方向も、これらの方向に制約されてしまう可能性が高い。このため、上記の問題は、建設業をも含めた工業的な見地からも重要かつ不可避である。言い換えれば、建築物の設計容易性または施工容易性などの観点からも、上記の第2の面3bを略二分の一直角の傾斜角に傾けている従来の光成端ユニットの構造は、全く望ましいものとは言えない。
また、光ケーブルが有する光ファイバーや電線の本数が増える程、或いは、光ケーブルのテンションメンバや外被などの剛性を高くする程、光ケーブルの許容される曲率半径の下限値は大きくなってしまうので、上記の問題については、今後将来的にもますます深刻化する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、鉛直方向及び水平方向、即ち、上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易で、敷設作業や点検作業などの効率向上を図り易い、接続パネル一体型の小形光成端ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、撮影機器に接続される第1の光ケーブルの端子接続用に建造物に固定される接続パネルと共に一体に構成された光成端ユニットにおいて、建造物に固定された第2の光ケーブルの導入口が、背後部、上部、底面、左面、及び右面の合計5方面にそれぞれ設けられ、前面が上記の接続パネルによって構成された筐体と、第2の光ケーブルから露出されたテンションメンバの端部が内部で固定される直方体状の端部固定箱とを設け、上記のテンションメンバの露出部が上記の端部固定箱内において固定される方向を、上記の端部が固定される固定面と直交する端部固定箱の他の4つの隣接面の何れか1面の法線の方向と一致させ、端部固定箱を、上記の固定面及び上記の4つの隣接面の各法線がそれぞれ鉛直方向または水平方向に向き、かつ、端部固定箱の何れか唯一の面が上記の左面に対して平行に対峙する様に選択自在に配向しつつ、上記の筐体内に配置することである。
【0009】
ただし、上記の直方体状とは、完全な直方体を意味するものではなく、互いに平行な2面1組の面が3組あり、それらの計6面の内で平行でない面同士はそれぞれ互いに直交していればよく、また、これらの各面には、穴や溝やスリットなどが設けられていてもよい。また、少なくとも1箇所には、第2の光ケーブルを導入する穴(入口)が必要であり、また、光ファイバーを延出するための穴(出口)も必要である。また、その直方体状の各頂点や各辺の角が取れていたり、任意の面に窓や凹部などが設けてあったりしても何ら差し支えない。光ケーブルに電線を備える場合には、当該端部固定箱にその出口を別途設けることが望ましい。
また、上記の筐体に設けられる合計5方面の各導入口の大きさは任意でよく、例えば、筐体の上部の全体が第2の光ケーブルの1つの導入口そのものであってもよい。また、隣り合う面の導入口は、該筐体の辺上で1つに繋がっていてもよい。したがって、例えば筐体の底面と背後面との交線(辺)上に、この2面に渡って2つの導入口を一纏めにして形成してもよい。
【0010】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の端部固定箱を、筐体の背後面と底面にそれぞれ接しさせつつ、その背後面に固定することである。
【0011】
また、本発明の第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、上記の端部固定箱に、上記の固定面となり得る面を唯一面のみ設け、上記の端部固定箱の中に上記の第2の光ケーブルを入線させる面を、上記の5方面から択一的に使用される上記の導入口の設置方面に応じて、4つの上記の隣接面の内の互いに直交する唯二面から選択し、その唯二面にそれぞれ、第2の光ケーブルを入線させる入口を設けることである。
【0012】
また、本発明の第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、相異なる光ファイバーの各一端を互いに融着により接続した融着部と融着された該光ファイバーの余長部とを収納する余長ケースを兼ねた融着トレイを上記の端部固定箱に具備することである。
【0013】
また、本発明の第5の手段は、上記の第4の手段において、上記の端部固定箱を、2体に分離可能な2段重箱構造とし、上記の融着トレイを、上記の2体の内の上記の固定面を持たない方の1体から構成することである。
【0014】
また、本発明の第6の手段は、上記の第1乃至第5の何れか1つの手段において、筐体の前面に内側に凹んだ凹部を設け、この凹部に、傾斜角が45°よりも大きく90°よりも小さい下方に伏した傾斜面を設け、更に、上記の第1の光ケーブルに連結されるコネクタ端子をこの傾斜面に設けることである。
この傾斜角のより望ましい適正範囲は、50°以上70°以下である。この値が小さいと、小形化が効果的に促進されない場合がある。また、この値が大き過ぎると、第1の光ケーブルを斜め下向きに延出する効果が不十分になり易い。
【0015】
また、本発明の第7の手段は、上記の第1乃至第6の何れか1つの手段において、筐体の端部固定箱との接触面上に第1の穴を形成し、端部固定箱の筐体との接触面上の上記の第1の穴と重なる位置に第2の穴を形成し、互いに重なった上記の第1の穴と第2の穴とに同時に貫通する固定具によって、端部固定箱を筐体の内部に固定することである。
ただし、上記の第1の穴は、任意数設けることができる。また、上記の固定具としては、周知または任意の固定具を用いてよい。
【0016】
また、本発明の第8の手段は、上記の第7の手段において、上記の筐体の背後面、上面、上記の底面、上記の左面、または上記の右面の何れか唯一面にのみ上記の第1の穴を設け、他方、端部固定箱では、筐体の第1の穴を有する面と接触し得る全ての面上に、上記の第2の穴を設けることである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、上記の端部固定箱の配向を直角単位に自在に選択することによって、上記の5方面に設けられた導入口の何れからでも、第2の光ケーブルを当該光成端ユニット内に、鉛直または水平に入線させることができる。また、その入線方向は、当該光成端ユニットを組み付ける壁の壁面に対して平行または垂直に限定される。このため、第2の光ケーブルを特に鉛直方向、または背後から水平に入線させる場合においても、また、勿論左面または右面から水平に入線させる場合においても、本発明の第1の手段によれば、当該光成端ユニット内では、第2の光ケーブルを曲げる必要がなくなり、これによって、当該光成端ユニット内における第2の光ケーブルの取り回しを極めて簡潔に短くすることができる。
【0018】
したがって、本発明の第1の手段によれば、上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも第2の光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易で、敷設作業や点検作業などの効率向上を図り易い、小形の光成端ユニットを容易に構成することができる。
また、この様な構造を採用すれば、光成端ユニット内において第2の光ケーブルを曲げる必要がないため、第2の光ケーブルを若干大型化する場合でも、筐体の大型化を強いられることがなく、よって、装置の小形化や規格統一にも好都合である。
また、この様な構造を採用すれば、建築物においては、壁や柱の中で第2の光ケーブルを斜めに配線する必要がなくなり、光成端ユニットの真上、真下、または背後からも、鉛直または水平に第2の光ケーブルを導入することができるので、建築物の設計容易性や施工容易性を確保する上でも都合がよい。
【0019】
また、本願図15の従来装置においては、二分の一直角の傾斜角を有する第2の面3bが具備されており、この面3bに接続ユニット4が取り付けられているが、本発明の光成端ユニットにおいては、外枠パネル2の内方へ向かって上方へ傾斜する第2の面3bを必ずしも備える必要がない。このため、本発明の光成端ユニットにおいては、接続パネルが配設される筐体の前面の形状設計における任意性が高く、少なくとも筐体の前面形状に関しては、ユーザの好みを取り入れるなどの最適化も可能である。
【0020】
また、本発明の第2の手段によれば、上記の端部固定箱は、筐体の背後面に固定されるので、この端部固定箱自体を筐体内に固定するための固定具(例えばナイラッチなど)を、筐体の側面(左面や右面)や底面などには配設する必要がなくなる。このため、筐体をスライドさせて壁穴などに挿入する際に、その壁穴のスライド面(:筐体と擦れる面)に上記の固定具が当接したり擦れたりすることがなくなる。このため、本発明の第2の手段に従えば、壁穴に固定具を逃がすためのスライド方向の溝などを形成する必要がなく、固定具が壁穴と擦れて破損する恐れもない。
【0021】
また、1つの頂点に集まる3辺の長さが何れも異なる長さの直方体状に端部固定箱を形成する場合、最大面積を有する面を上記の固定面として計6つの面から選択することが、実際に固定面を構成する上で最も容易かつ現実的であるが、本発明の第3の手段によれば、その最大面積を有する面の更に一方のみを上記の固定面として構成するだけでよいので、これによって、端部固定箱を容易に構成することができる。
また、前述の従来技術からも類推できる様に、光成端ユニットを構成する場合、筐体の内部空間においては、底面付近及び背後面付近に比較的余裕が生まれ易く、かつ、左右方向が該内部空間の長手方向になり易い。このため、光成端ユニットの小形化を促進させたい場合には、一辺が他辺に比べて特に短い薄形の直方体状に端部固定箱を形成して、最大面積を有する上記の固定面の長手方向を筐体の左右方向に合わせ、その固定面を筐体の底面または背後面に合わせる様に配置することが有利である。
そして、この様な小形化指向の構成を採用する場合にも、本発明の第3の手段によれば、端部固定箱の6面中の唯二面にのみ第2の光ケーブルの入口を設けるだけで、上記の5方面から入線可能な端部固定箱を構成することができる。したがって、本発明の第3の手段によれば、端部固定箱を非常に容易かつコンパクトに構成することができる。
【0022】
また、本発明の第4の手段によれば、光ファイバーの融着部や余長部が上記の融着トレイの中に収納されて、融着部や余長部の保護や整理が効率よくでき、作業中に光ファイバーに余計な応力や張力や剪断力が働く恐れがなくなる。このため、作業効率が向上すると共に、光ファイバーの信頼性を容易に確保することができる。また、融着トレイが上記の端部固定箱に一体化されるので、それぞれを個別に筐体内に固定する必要もない。
【0023】
また、本発明の第5の手段によれば、電線が取り回され得るテンションメンバの固定部近傍から、融着トレイが別体として隔離されるので、光ファイバーの融着部や余長部の保護や整理が更に効率よく効果的に実施でき、融着トレイ自身の構成も簡潔になる。
【0024】
また、本発明の第6の手段によれば、筐体の高さ、即ち、当該光成端ユニットの鉛直方向の長さに対する強い制約がある場合においても、前面の接続パネルから上記の第1の光ケーブルを斜め下向きに延出させることができ、同時に本発明の光成端ユニットを更に小形に構成することができる。
【0025】
また、本発明の第7の手段によれば、上記の各接触面上に上記の第1又は第2の穴を形成するだけで、端部固定箱の固定手段を構成することができるので、装置を極めて簡潔な構造にすることができる。
【0026】
また、本発明の第8の手段によれば、筐体内の特定の領域に端部固定箱の配設領域が限定、集約されるので、端部固定箱の配設スペースが最小化されて、装置の小形化に有利となる。
また、固定具の一部を筐体の外部に突出または露出させる場合、外部とのインターフェイスや美観などを検討したり改善したりする必要性が生じ得るが、本発明の第8の手段によれば、筐体に設けるべき第1の穴の数を最小限に抑えることができるので、それらの必要性をも最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
なお、光ケーブルの先端から露出されたテンションメンバの端部を固定する際には、例えば特開2005−301153の図6−Aの金属製のTMクランプ1410や同公報図27−Aの金属製のTMクランプ20などの様な、テンションメンバ自身を側方からその軸に対して垂直方向に直接ネジ止めする固定手段(高剛性のTMクランプ)を用いることが望ましい。この様な手段により、光ケーブルの軸とテンションメンバの端部(固定箇所)における軸の位置及び方向を完全に一致させることができるし、更にそのネジ止め作用に基づいて、テンションメンバを当該光成端ユニット内に強固かつ確実に固定することができる。言い換えれば、本願図15の従来装置のテンションメンバの固定手段については、この様な確実性の面においても、回避し難い重要な問題があった。
【0028】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1に本実施例1の光成端ユニット100の正面図(図中左下)、平面図(図中上)、及び側面図(図中右)を示す。ただし、本図1中のXYZ(大文字)の直交座標は、図中左下の正面図の向きを示しており、Z軸方向が鉛直方向である。また、図2には、この光成端ユニット100の筐体110の背面図(図中左下)、平面図(図中上)、及び側面図(図中右)を示す。ただし、本図2中のXYZ直交座標は、上記のものと同一の座標系を示しており、図中左下の背面図の向きを示している。
【0030】
筐体110が供するこの光成端ユニット100の接続パネルを形成している前面111は、内側にくの字型に凹んでおり、その前面上部111aと前面下部111bとの交差角度は直角になっている。このため、筐体110の右面112及び左面113の各輪郭形状は、何れも横になったM字形をしている。前面111は、上記の前面上部111aと前面下部111b、並びに、当該光成端ユニット100を敷設する壁(または柱)の壁面に対して平行となる上端面111u及び下端面111dの4面からなる。そして、上記の前面上部111aには、コネクタ端子180が2つ取り付けられており、これらのコネクタ端子180に、テレビカメラから延出されてくる第1の光ケーブル(図示せず)がそれぞれ接続される。
【0031】
また、前面上部111aの裏面には、留め金111a1が固定されており、図1、図3のアダプタアングルaaは、その穴aahと1つのナイラッチn(図1)によってこの留め金111a1の穴h0に固定されている。このアダプタアングルaaは、図4の2連SCアダプタ170を2つまとめて保持、固定するための金属製部品であり、3つの屈曲部ρ1,ρ2,ρ3を形成する折り曲げ加工によって製造されている。その4つの穴rは、2つの2連SCアダプタ170をそれぞれ固定するためのものであり、2連SCアダプタ170は、図1に示す様に2つ並べて、それぞれネジ170aによってこれらの穴rに固定される。
【0032】
2連SCアダプタ170は、シングルモードファイバの先端に取り付けられるSCコネクタに対してレセプタとなる光接続器具であって、双方向に対してレセプタとなることによって2本の光ファイバーを1本に接続する接続部を2連有する。図4の割スリーブSLはこの接続部を構成するものであり、軸方向に沿って形成されたスリットを有する筒状の金属製の管からなる。したがって、2連SCアダプタ170を2器有する本光成端ユニット100は、その様な接続部を合計4つ有する。このため、上記の第1の光ケーブル1本には、2本の光ファイバーを具備することができる。
また、筐体110内の中央には、上記と同様の方式で、第1の光ケーブル1本に、3本乃至4本の光ファイバーを具備することを可能にするための拡張用の予備空間(即ち、2連SCアダプタ170の増設スペース)が設けられている。
なお、符号gは、SCコネクタの側部の外壁面上に形成された突起を案内するためのスリットを指している。
【0033】
この光成端ユニット100の端部固定箱150は、2体に分離可能な2段重箱構造を有しており、その1段目は、クランプトレイ120からなり、その2段目は融着トレイ130からなり、融着トレイ130の上には蓋(リッド140)が具備されている。
筐体110の底面114には、筐体110を折り曲げ加工して製造する際に筐体110自身に不測の変形が生じない様にするための補強板114a、114bが溶接によって接合されている。また、壁や柱などに埋め込まれる第2の光ケーブルの端部を導入するための導入口Im(m=1,2,3,4,5)が、筐体110の背後面115、底面114、左面113、右面112、及び上部にそれぞれ設けられている。ただし、上部の導入口I5は、前面111、右面112、及び左面113に囲まれた、筐体110の上部の開口部全体から形成されている。また、導入口I1と導入口I2とは、背後面115と底面114とが直交する辺上で繋がっている。背後面115上に設けられた穴H1,H2は、図1に示す様に端部固定箱150をナイラッチnで固定するためのものであり、この穴が請求項7の第1の穴に相当する。
【0034】
図5に、上記のクランプトレイ120の平面図、正面図、背面図、及び左右両側面図を示す。ただし、本図5中のxyz(小文字)の直交座標は、図中中央の平面図の向きを示している。このクランプトレイ120は、その底面121、前面123、背面122、左面124、右面125、及び上面126などから形成されている。背面122、前面123、左面124、及び右面125は、それぞれ底面121に対して直交する隣接面を構成している。
中央の平面図に示されるこのクランプトレイ120の底面121は、本発明の固定面、即ち端部固定箱150の固定面を具現するものであり、この底面121には、図1及び図7のTMクランプ160を固定するための穴ha,hb,hc,hdが形成されている。TMクランプ160を固定するためのこれらの穴は、この底面121だけが有しており、その他の面は、本発明の固定面にはならない。背面122の中央に形成された入口J1及び右面125の中央に形成された入口J2は、何れも上記の第2の光ケーブルの端部を当該クランプトレイ120内、即ち端部固定箱150の内部に引き込むためのものであり、この入口J1、J2の下部は、それぞれリップL1,L2から形成されている。
これらのクランプトレイ120の構造に基づいて、端部固定箱150内から上記の第2の光ケーブルを延出させる面、即ち第2の光ケーブルを端部固定箱150内に引き込む面を、背面122または右面125の何れか二面から任意に選択することができる。
【0035】
前面123、底面121、及び背面122に形成された穴hi(i=1,2,...,8)は、端部固定箱150を筐体110の背後面115に固定するためのものであり、これらの穴を上記の穴H1,H2と選択自在に組み合わせて位置合わせして、ナイラッチnで固定することによって、後から図11を用いて詳しく説明する様に、端部固定箱150を筐体110の内部に所望の配向に従って固定することができる。
なお、コードクランプcc1,cc2は、光ファイバーの各コードの取り回し範囲を当該クランプトレイ120内に拘束するためのものである。また、窓w1,w2,w3,w4は、電線を端部固定箱150(クランプトレイ120)の外部に引き出すためのものである。ただし、入口J1、J2の何れか一方は不使用となるので、その不使用となる片方の入口から電線を外部に引き出してもよい。
【0036】
以下、図6を用いて、第2の光ケーブルの固定手段に付いて詳しく説明する。符号TMは、第2の光ケーブルCB2から露出されるテンションメンバの位置を示している。また、底面121上の領域αは、図7の金属製のTMクランプ160を配置すべき位置を示している。ただし、図7中のxyzの直交座標は、図中中央の側面図の向きを示している。即ち、図7のTMクランプ160は、図6の領域α上に図示する配向にて配置されて、図5の穴haを用いてクランプトレイ120の底面121の裏側から、絶縁性のネジを用いて固定される。この絶縁性ネジは、絶縁リング161、162及びネジ穴164、165とそれぞれ螺合するものであり、これらの絶縁部品によって、テンションメンバTMとクランプトレイ120との間の絶縁が確保される。壁や柱などに埋め込まれる第2の光ケーブルCB2の端部から露出されたテンションメンバTMの端部は、図6に示す位置までTMクランプ160の穴163に挿入、貫通され、ネジ穴164、165を用いてネジ止めされて、TMクランプ160に固定される。これにより、第2の光ケーブルCB2の端部は、クランプトレイ120の底面121、即ち、端部固定箱150の固定面に、確実に固定される。
【0037】
この時、上記のテンションメンバTMの露出部がクランプトレイ120(即ち、端部固定箱150)内において固定される方向(即ち、図6のy軸方向)は、テンションメンバTMの端部が固定される固定面(即ち、底面121)と直交する背面122の法線の方向と一致する。
なお、穴hb,hc,hdも、それぞれ同様に用いることができる。例えば、穴hcまたは穴hdを用いれば、テンションメンバTMの端部をx軸方向に固定することができ、この場合には、リップL2を有する入口J2から第2の光ケーブルCB2をクランプトレイ120の中に引き入れることができる。通常は、2本の第2の光ケーブルCB2を平行にして同一の方向から同一の入口を通して引き込む。
【0038】
また、リップL1,L2に空けられている3連の穴は、第2の光ケーブルCB2の外被を結束バンドを用いて締めつけて、それぞれをリップL1,L2自身に固定するためのものである。この外被の被結束部とその周囲は、ビニールテープなどを用いて予め補強しておくことが望ましい。また、リップL1,L2の面を底面121から若干浮かせてあるのは、リップL1,L2に強度を与えるためであり、この様な段差構造によって、リップL1,L2及び底面121の強度が向上する。即ち、テンションメンバTMや第2の光ケーブルCB2の固定部位には、非常に高い強度を与えておくことが望ましい。また、結束バンドを用いてリップL1(またはL2)に固定された第2の光ケーブルCB2の軸を、TMクランプ160の穴163の軸に完全に一致させるためにも、この様な段差構造は有効である。これらの手段によって第2の光ケーブルCB2の端部は、クランプトレイ120に、正確、強固かつ確実に固定される。
【0039】
図8に、上記の第2の光ケーブルCB2の接続仕様を示す。第2の光ケーブルCB2には、2本の光ファイバーと7本の電線が通っている。第2の光ケーブルCB2中を通る電線の露出された各端部は、本図8に例示する様に、所定のピンまたはソケットを介してナイロンコネクタNC2の所定の各部に固定される。なお、符号mmは金属メッシュで形成されたシールドを示している。
一方、第2の光ケーブルCB2中を通る光ファイバーの露出された各端部は、用意されたSCコネクタ付光接続ケーブル(シングルモードファイバ)の端部と、図8の×印で示した位置で融着接続される。
【0040】
図9に、融着トレイ130の平面図、正面図、背面図、左右両側面図、及び裏面図をそれぞれ示す。ただし、図9中のxyzの直交座標は、底面131を示した左側中央の平面図の向きを示している。この融着トレイ130は、底面131、背面132、前面133、左面134、右面135及び上面136などから形成されている。底面131の左下に設けた穴131hは、クランプトレイ120の左下の上面126に設けた穴126hに重ねて、ナイラッチで接合固定するためのものである。また、同様に、底面131の右上に設けた穴131hは、クランプトレイ120の右上の上面126に設けた穴126hに重ねて、ナイラッチで接合固定するためのものである。この様な重ね合わせによって、融着トレイ130をクランプトレイ120の上に固定することができる。
また、図1のリッド140も同様に、図9の上面136に設けられた穴136hとナイラッチnとを用いて固定されている。
【0041】
底面131に形成された穴H4,H5は、下段即ち1段目のクランプトレイ120から光ファイバーを引き込むためのものである。また、コードクランプcc3〜cc6は、穴H4,H5から引き込まれた光ファイバーの取り回し範囲を拘束するためのものであり、この融着トレイ130の中に、該光ファイバーの余長部が収納される。即ち、この融着トレイ130は、余長部を収納するための余長ケースを兼ねている。
図8に×印で示した融着接続部は、図示しない樹脂製の筒状の融着補強スリーブで保護されつつ、この融着トレイ130の中に保持される。図10に、その融着補強スリーブを保持するためのゴム製のホルダ130xを示す。このホルダ130xは、上面部が管軸に沿って細長くスリット状に開放された管状の把持部q1,q2,q3を有しており、この把持部に融着補強スリーブを嵌合させて把持させることができる。このため、図8に×印で示した融着接続部は、このゴム製のホルダ130xの中に保持される。
【0042】
このホルダ130xは、計2つ用意して、それらの各裏面130xSを上記の融着トレイ130の底面131上の領域β上及び領域γ上に、両面テープを用いてそれぞれ接着固定する。このため、図8に×印で示した融着接続部は、融着トレイ130の中で保持される。
なお、底面131の中央の穴H3は、クランプトレイ120に融着トレイ130を重ねた状態でクランプトレイ120の中の状態を確認するためのものであり、この穴H3の形成は、融着トレイ130の軽量化にも貢献するものである。
【0043】
図8の符号SCで示されるSCコネクタを有する光接続ケーブル(シングルモードファイバ)は、図1のリッド140の出口141または出口142から引き出されて、その端部のSCコネクタは、図1及び図4の2連SCアダプタ170に接続される。2連SCアダプタ170ではそれらの各対峙側に、コネクタ端子180から延出された中継ファイバの各端部のSCコネクタが接続されるので、これによって、第1の光ケーブルの光ファイバと第2の光ケーブルCB2の光ファイバとは、2連SCアダプタ170上で良好に接続される。勿論、該中継ファイバの他端は、コネクタ端子180中の接続点上に配置されている。
【0044】
また、第2の光ケーブルCB2の端部から引き出された電線は、窓w1〜w4または入口J1/J2の何れかから取り出され、その端部のナイロンコネクタNC2(雌型)は、コネクタ端子180から筐体110内部に延出される中継線路の端部に直接設けられる別のナイロンコネクタ(雄型)に直接連結接続される。
【0045】
以下、図11、及び図2、図5を用いて、端部固定箱150の実装方向(立体的な配向)について説明する。本図11のXYZ座標は図1及び図2の各XYZ座標とそれぞれ一致しており、Z軸方向が鉛直方向を示している。クランプトレイ120、融着トレイ130及びリッド140からなる2段重箱構造の端部固定箱150は、図11中の空間領域B1またはB2に配置する。また、ここで、方向A2,A5はZ軸に平行な方向であり、方向A3,A4はX軸に平行な方向であり、方向A1はY軸に平行な方向である。
なお、下記の穴h1〜h8が請求項7の第2の穴に相当する部位である。
【0046】
(1)第2の光ケーブルCB2を導入口I1から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、背面122の穴h1を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、背面122の穴h2を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A1に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I1から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の左面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各左面124、134が平行に対峙する。
【0047】
(2)第2の光ケーブルCB2を導入口I2から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B2に配置(縦置き)する。この時に、底面121の穴h7を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、底面121の穴h8を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A2に鉛直に、第2の光ケーブルCB2を導入口I2から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の右面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各右面125、135が平行に対峙する。
【0048】
(3)第2の光ケーブルCB2を導入口I3から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、前面123の穴h3を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、前面123の穴h4を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A3に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I3から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の右面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各右面125、135が平行に対峙する。
【0049】
ただし、第2の光ケーブルCB2を筐体110に対してX軸方向に入線させる場合には、その時だけ、図6の入口J2、リップL2、穴hc、穴hdを用いて、第2の光ケーブルCB2を図6のx軸方向に固定する。
【0050】
(4)第2の光ケーブルCB2を導入口I4から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、背面122の穴h1を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、背面122の穴h2を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A4に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I4から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の左面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各左面124、134が平行に対峙する。
【0051】
(5)第2の光ケーブルCB2を導入口I5から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、底面121の穴h5を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、底面121の穴h6を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A5に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I5から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の左面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各左面124、134が平行に対峙する。
【0052】
以上の様に選択自在な各配置に従えば、端部固定箱150の左面かまたは右面の何れか一方が筐体110の左面113に対して平行に対峙する様に、端部固定箱150を任意の方向に配向しつつ、即ち直角単位に任意の配向で、端部固定箱150は、筐体内に配置することができる。このため、第2の光ケーブルCB2の入線方向をA1〜A5の内の任意の方向に向けながら、筐体内に配置することができる。
【0053】
図12は、上記の光成端ユニット100を納める壁の壁面上に取り付けるための外枠パネル190の正面図、平面図、及び側面図である。光成端ユニット100の配設対象とする壁には、光成端ユニット100を収納するための凹部空間を確保すると共に、その壁面には、例えばこの様な外枠パネルを取り付ける。この外枠パネル190は、上記の光成端ユニット100を3台、X軸方向に並べて設置するためのものであり、ZX平面に平行となる側面板193は、上記の凹部空間における左右の側壁面に沿ってスライドさせて、その穴(凹部空間)に嵌め込まれる。左右にそれぞれ突き出た左端フレーム191及び右端フレーム192は、何れも壁面に平行になる様に形成されており、この外枠パネル190は、その左端フレーム191及び右端フレーム192の計4つの穴Sを用いて壁面に固定される。
【0054】
筐体110の上端面111uに形成された穴p1,p2は、この外枠パネル190の上端フレーム195に形成された穴P1,P2に、それぞれに位置合せされてネジ止めされる。また、筐体110の下端面111dに形成された穴p3,p4は、この外枠パネル190の下端フレーム196に形成された穴P3,P4に、それぞれに位置合せされてネジ止めされる。これにより、光成端ユニット100をX軸方向に3台並べて設置することができる。
この様に、光成端ユニット100は、何台まとめて配置してもよい。
【0055】
以上の様に、本実施例1の光成端ユニット100を用いれば、鉛直方向及び水平方向、即ち、上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易である。また、筐体110の内部において第2の光ケーブルCB2を曲げる必要が全くないので、敷設作業や点検作業などの効率向上を図り易い。また、以上の様に、本実施例1の接続パネル一体型の光成端ユニット100は、装置全体を小型化することができることから、テレビ中継用光システムや、放送スタジオのテレビカメラ用光システム等を小型化するのに有効であり、特にコネクタ盤の占有面積を縮小することが望ましい、スタジアム内や、劇場の観客席や、小形のスタジオ等に極めて有用である。
なお、本実施例1の光成端ユニット100は、ラックなどに敷設することも勿論可能である。
【実施例2】
【0056】
図13に、本実施例2の光成端ユニット200の正面図、平面図、及び側面図を示す。ただし、図中のXYZ座標軸は、左下の正面図における当該光成端ユニット200の向きを示すものであり、Z軸が鉛直方向に取られている。この光成端ユニット200は、実施例1の光成端ユニット100の高さ、即ちZ軸方向の長さを約2/3に短くしたものであり、その代わりに、Y軸方向の奥行きが若干長くなっている。この様に、端部固定箱150の位置を若干奥にずらすことによって、高さ方向のサイズを効果的に縮小することができる。また、コネクタ端子280を有する前面上部211aの傾斜角は、60°に構成されている。
【0057】
即ち、当該光成端ユニット200の筐体の前面には、内側に凹んだ凹部Dが設けられており、この凹部Dには、傾斜角が60°の下方に伏した傾斜面(即ち、上記の前面上部211a)が設けられており、テレビカメラから延出されてくる第1の光ケーブルに連結されるコネクタ端子280は、この傾斜面上に設けられている。
そして、この様な構成に従えば、筐体の高さ、即ち、当該光成端ユニット200の鉛直方向の長さに対する強い制約がある場合においても、前面の接続パネルから上記の第1の光ケーブルを斜め下向きに延出させることができ、同時に光成端ユニット200の筐体を非常に小さく構成することができる。
【0058】
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1のクランプトレイ120(図5)の平面形状は、x軸方向に長くy軸方向に短い長方形であるが、クランプトレイ120の平面形状は、正方形でもよい。この場合には、縦横の区別がなくなるので、クランプトレイ120に第2の光ケーブルを導入するための入口(J1,J2)の形成箇所は、1箇所だけでもよくなる。この場合、クランプトレイ120のx軸方向の長さを、同図5のy軸方向の長さと同様に短く形成することができ、更に、TMクランプ160を固定するために形成すべき穴(ha,hb,hc,hd)の形成個数も半分でよくなるので、端部固定箱150の小形化と製造効率の点で都合がよい。
また、クランプトレイ120に第2の光ケーブルCB2を導入するための入口(J1,J2)の形成箇所は、全部で3箇所でも4箇所以上でもよい。この様な場合においても、本発明の手段に基づいて、上記の各実施例と同様に本発明の作用・効果を得ることができる。
【0059】
(変形例2)
また、上記の光成端ユニット100及び光成端ユニット200の各変形例を図14−A〜Cに示す。光成端ユニット100では、前面上部111aと前面下部111bとを用いて、筐体110の前面の接続パネルを構成しているが、筐体の前面は、必ずしも傾斜した2つの面を直交させて形成する必要はない。
例えば、図14−Aや図14−Bに例示する様に、筐体の前面の一部を筐体の水平な底面に対して垂直な前面下部111b′や或いは同底面に対して垂直な前面下部111b″等を用いて構成してもよいし、また、図14−Bに例示する様に、前面凹部の奥に向って上り坂となる傾斜角約30°の傾斜面111c等を用いて、筐体の前面の一部を構成してもよい。
また、図13の前面上部211aをそのまま底面214まで延長することによって、図14−Cに例示する様に、前面上部211a′を構成し、この様な1面の傾斜面だけで、筐体の前面の一部を構成してもよい。
【0060】
(変形例3)
また、筐体の前面の形状は、曲面形状であってもよい。図15の従来装置においては、第2の面3bに接続ユニット4が取り付けられているので、該第2の面3bは必ず備える必要があるが、本発明の光成端ユニットにおいては、上記の様に、前面凹部の奥に向って上り坂となる傾斜面3bを必ずしも備える必要がないため、本発明の光成端ユニットにおいては、接続パネルが配設される筐体の前面の形状設計における任意性が非常に高い。このため、本発明の光成端ユニットにおいては、少なくとも筐体の前面形状に関し、ユーザの好みを任意に取り入れることができる。
【0061】
(変形例4)
また、上記の実施例1では、第2の光ケーブルCB2に、2本の光ファイバを通しているが、これらの光ファイバは勿論マルチモードファイバでもよい。
また、上記の実施例1では、第2の光ケーブルCB2に、2本の光ファイバを通しているが、第2の光ケーブル1本に通す光ファイバの本数は任意でよい。勿論、第1の光ケーブルについても同様である。
また、上記の実施例1では、1つの端部固定箱150に合計2本の第2の光ケーブルCB2を入線させているが、本発明の端部固定箱に入線させる第2の光ケーブルの本数は任意でよい。勿論、コネクタ端子(180,280)の設置数についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば陸上競技場や屋外スタジアムなどのテレビ中継用光システムや、放送スタジオのテレビカメラ用光システム等に特に有用であるが、その他にも、より一般には、テレビ中継等による動画撮影が想定される現場の建造物全般に適用することができるものである。
また、上記の実施例1の第2の光ケーブルCB2には、図8に示す様に電線やシールドmmが具備されているが、本発明の光成端ユニットは、これらを有しない光ファイバのみのケーブル(第1及び第2の光ケーブル)に対しても、勿論有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の光成端ユニット100の正面図、平面図、及び側面図
【図2】光成端ユニット100の筐体110の背面図、平面図、及び側面図
【図3】アダプタアングルaaの正面図、平面図、及び側面図
【図4】2連SCアダプタ170の正面図、平面図、及び側面図
【図5】クランプトレイ120の平面図、正面図、背面図、及び左右両側面図
【図6】クランプトレイ120の平面図
【図7】TMクランプ160の側面図、正面図、背面図、平面図及び裏面図
【図8】第2の光ケーブルCB2の接続仕様を示す配線図
【図9】融着トレイ130の平面図、正面図、背面図、左右両側面図、及び裏面図
【図10】融着補強スリーブを保持するゴムホルダの斜視図
【図11】端部固定箱150の実装方向(立体的な配向)を説明する斜視図
【図12】外枠パネル190の正面図、平面図、及び側面図
【図13】実施例2の光成端ユニット200の正面図、平面図、及び側面図
【図14−A】筐体の前面のその他の形状を例示する側面図
【図14−B】筐体の前面のその他の形状を例示する側面図
【図14−C】筐体の前面のその他の形状を例示する側面図
【図15】従来の光成端ユニットの側面図
【符号の説明】
【0064】
100 : 光成端ユニット(実施例1)
110 : 筐体
120 : クランプトレイ
130 : 融着トレイ
140 : リッド
150 : 端部固定箱
160 : TMクランプ
170 : 2連SCアダプタ
180 : コネクタ端子
190 : 外枠パネル
CB2 : 第2の光ケーブル
TM : テンションメンバ
n : ナイラッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル接続用に建造物などに固定される接続パネルと一体に構成される光成端ユニットに関する。本発明の光成端ユニットは、テレビカメラや光ケーブルなどを用いて、テレビ放送システムなどを構成する際に、小形でコンパクトなカメラ端子接続盤などとして有用なものである。
【背景技術】
【0002】
光ケーブル接続用に建造物などに固定される接続パネルと一体に構成される光成端ユニットとしては、例えば下記の特許文献1に記載されている従来技術が公知である。本願図15に、この特許文献1(その図4)の従来装置の側面図を示す。本図の接続ユニット4は、固定治具23、24によって、光ケーブル6の外被(:最外の樹脂被膜)及び光ケーブル6のテンションメンバ8の端部をそれぞれ固定するものであり、この接続ユニット4は、外枠パネル2の内方へ向かって上方へ傾斜する第2の面3bに固定されている。この様に、接続ユニット4からは光ファイバではなく曲げや引張り等に対する抗力を有する光ケーブル6が背後へ延出されているので、敷設時の作業中や点検作業中などに光ファイバを誤って切断してしまう恐れが少ない。
【0003】
また、下記の特許文献2や特許文献3に記載の従来装置も、これらと同様または類似の構造を有するものと思われる。
【特許文献1】特開2004−170926
【特許文献2】意匠登録第1184727号
【特許文献3】意匠登録第1185087号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の接続ユニット4は、上記の第2の面3bに固定されているため、上記の光ケーブル6の延出方向は、必然的に上記の第2の面3bを含む平面内かその極近傍に制限されてしまい、その他の方向から光ケーブル6を当該光成端ユニット内に入線させる場合には、その光ケーブル自身を曲げる必要が生じる。
一方、光ケーブル6には上記の通り、曲げや引張り等に対する抗力が十分に持たせてあるので、一般の場合、通常その曲率半径を6乃至7cm以下に曲げることは、光ケーブル自身やその固定治具などに掛かる負担や、それらの耐久性、信頼性などの観点から、決して望ましいことではない。
また、上記の曲率よりも急激な光ケーブルの継続的屈曲は、作業する上でも必ずしも容易ではなく、このため、その様な曲げを強いる光成端ユニットの構造は、敷設作業や点検作業などの作業効率の限定要因にもなる。
【0005】
このため、上記の従来技術においては、光ケーブル6を該光成端ユニットの真上または真下から鉛直に入線させる場合、或いは光ケーブル6を該光成端ユニットの背後から水平に入線させる場合に、該光成端ユニットの内部空間における光ケーブル6の取り回しに問題が生じ易い。そして、これらの場合、即ち、光ケーブル6を特に鉛直方向、または背後から水平に入線させる場合には、作業する際に曲げることが容易な範囲内の光ケーブル6の曲率半径の下限値が大きいと、所望の該光成端ユニットの高さや奥行き方向の長さを大きく取らざるを得なくなるので、これによって当該装置の小形化が阻害されてしまう。また、光ケーブルの入線方向によって、所望の光成端ユニットの筐体サイズや形状を替えることは、商品の規格統一化の観点からも全く望ましいとは言えない。
【0006】
更に、建築物に内設された光ケーブルを柱や壁面からその外部に引き出す場合、その延出方向は通常、建築物の設計容易性または施工容易性などの都合から、鉛直方向かまたは水平方向とされる場合が多いので、当然ながら光成端ユニットへの入線方向も、これらの方向に制約されてしまう可能性が高い。このため、上記の問題は、建設業をも含めた工業的な見地からも重要かつ不可避である。言い換えれば、建築物の設計容易性または施工容易性などの観点からも、上記の第2の面3bを略二分の一直角の傾斜角に傾けている従来の光成端ユニットの構造は、全く望ましいものとは言えない。
また、光ケーブルが有する光ファイバーや電線の本数が増える程、或いは、光ケーブルのテンションメンバや外被などの剛性を高くする程、光ケーブルの許容される曲率半径の下限値は大きくなってしまうので、上記の問題については、今後将来的にもますます深刻化する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、鉛直方向及び水平方向、即ち、上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易で、敷設作業や点検作業などの効率向上を図り易い、接続パネル一体型の小形光成端ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、撮影機器に接続される第1の光ケーブルの端子接続用に建造物に固定される接続パネルと共に一体に構成された光成端ユニットにおいて、建造物に固定された第2の光ケーブルの導入口が、背後部、上部、底面、左面、及び右面の合計5方面にそれぞれ設けられ、前面が上記の接続パネルによって構成された筐体と、第2の光ケーブルから露出されたテンションメンバの端部が内部で固定される直方体状の端部固定箱とを設け、上記のテンションメンバの露出部が上記の端部固定箱内において固定される方向を、上記の端部が固定される固定面と直交する端部固定箱の他の4つの隣接面の何れか1面の法線の方向と一致させ、端部固定箱を、上記の固定面及び上記の4つの隣接面の各法線がそれぞれ鉛直方向または水平方向に向き、かつ、端部固定箱の何れか唯一の面が上記の左面に対して平行に対峙する様に選択自在に配向しつつ、上記の筐体内に配置することである。
【0009】
ただし、上記の直方体状とは、完全な直方体を意味するものではなく、互いに平行な2面1組の面が3組あり、それらの計6面の内で平行でない面同士はそれぞれ互いに直交していればよく、また、これらの各面には、穴や溝やスリットなどが設けられていてもよい。また、少なくとも1箇所には、第2の光ケーブルを導入する穴(入口)が必要であり、また、光ファイバーを延出するための穴(出口)も必要である。また、その直方体状の各頂点や各辺の角が取れていたり、任意の面に窓や凹部などが設けてあったりしても何ら差し支えない。光ケーブルに電線を備える場合には、当該端部固定箱にその出口を別途設けることが望ましい。
また、上記の筐体に設けられる合計5方面の各導入口の大きさは任意でよく、例えば、筐体の上部の全体が第2の光ケーブルの1つの導入口そのものであってもよい。また、隣り合う面の導入口は、該筐体の辺上で1つに繋がっていてもよい。したがって、例えば筐体の底面と背後面との交線(辺)上に、この2面に渡って2つの導入口を一纏めにして形成してもよい。
【0010】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の端部固定箱を、筐体の背後面と底面にそれぞれ接しさせつつ、その背後面に固定することである。
【0011】
また、本発明の第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、上記の端部固定箱に、上記の固定面となり得る面を唯一面のみ設け、上記の端部固定箱の中に上記の第2の光ケーブルを入線させる面を、上記の5方面から択一的に使用される上記の導入口の設置方面に応じて、4つの上記の隣接面の内の互いに直交する唯二面から選択し、その唯二面にそれぞれ、第2の光ケーブルを入線させる入口を設けることである。
【0012】
また、本発明の第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、相異なる光ファイバーの各一端を互いに融着により接続した融着部と融着された該光ファイバーの余長部とを収納する余長ケースを兼ねた融着トレイを上記の端部固定箱に具備することである。
【0013】
また、本発明の第5の手段は、上記の第4の手段において、上記の端部固定箱を、2体に分離可能な2段重箱構造とし、上記の融着トレイを、上記の2体の内の上記の固定面を持たない方の1体から構成することである。
【0014】
また、本発明の第6の手段は、上記の第1乃至第5の何れか1つの手段において、筐体の前面に内側に凹んだ凹部を設け、この凹部に、傾斜角が45°よりも大きく90°よりも小さい下方に伏した傾斜面を設け、更に、上記の第1の光ケーブルに連結されるコネクタ端子をこの傾斜面に設けることである。
この傾斜角のより望ましい適正範囲は、50°以上70°以下である。この値が小さいと、小形化が効果的に促進されない場合がある。また、この値が大き過ぎると、第1の光ケーブルを斜め下向きに延出する効果が不十分になり易い。
【0015】
また、本発明の第7の手段は、上記の第1乃至第6の何れか1つの手段において、筐体の端部固定箱との接触面上に第1の穴を形成し、端部固定箱の筐体との接触面上の上記の第1の穴と重なる位置に第2の穴を形成し、互いに重なった上記の第1の穴と第2の穴とに同時に貫通する固定具によって、端部固定箱を筐体の内部に固定することである。
ただし、上記の第1の穴は、任意数設けることができる。また、上記の固定具としては、周知または任意の固定具を用いてよい。
【0016】
また、本発明の第8の手段は、上記の第7の手段において、上記の筐体の背後面、上面、上記の底面、上記の左面、または上記の右面の何れか唯一面にのみ上記の第1の穴を設け、他方、端部固定箱では、筐体の第1の穴を有する面と接触し得る全ての面上に、上記の第2の穴を設けることである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、上記の端部固定箱の配向を直角単位に自在に選択することによって、上記の5方面に設けられた導入口の何れからでも、第2の光ケーブルを当該光成端ユニット内に、鉛直または水平に入線させることができる。また、その入線方向は、当該光成端ユニットを組み付ける壁の壁面に対して平行または垂直に限定される。このため、第2の光ケーブルを特に鉛直方向、または背後から水平に入線させる場合においても、また、勿論左面または右面から水平に入線させる場合においても、本発明の第1の手段によれば、当該光成端ユニット内では、第2の光ケーブルを曲げる必要がなくなり、これによって、当該光成端ユニット内における第2の光ケーブルの取り回しを極めて簡潔に短くすることができる。
【0018】
したがって、本発明の第1の手段によれば、上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも第2の光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易で、敷設作業や点検作業などの効率向上を図り易い、小形の光成端ユニットを容易に構成することができる。
また、この様な構造を採用すれば、光成端ユニット内において第2の光ケーブルを曲げる必要がないため、第2の光ケーブルを若干大型化する場合でも、筐体の大型化を強いられることがなく、よって、装置の小形化や規格統一にも好都合である。
また、この様な構造を採用すれば、建築物においては、壁や柱の中で第2の光ケーブルを斜めに配線する必要がなくなり、光成端ユニットの真上、真下、または背後からも、鉛直または水平に第2の光ケーブルを導入することができるので、建築物の設計容易性や施工容易性を確保する上でも都合がよい。
【0019】
また、本願図15の従来装置においては、二分の一直角の傾斜角を有する第2の面3bが具備されており、この面3bに接続ユニット4が取り付けられているが、本発明の光成端ユニットにおいては、外枠パネル2の内方へ向かって上方へ傾斜する第2の面3bを必ずしも備える必要がない。このため、本発明の光成端ユニットにおいては、接続パネルが配設される筐体の前面の形状設計における任意性が高く、少なくとも筐体の前面形状に関しては、ユーザの好みを取り入れるなどの最適化も可能である。
【0020】
また、本発明の第2の手段によれば、上記の端部固定箱は、筐体の背後面に固定されるので、この端部固定箱自体を筐体内に固定するための固定具(例えばナイラッチなど)を、筐体の側面(左面や右面)や底面などには配設する必要がなくなる。このため、筐体をスライドさせて壁穴などに挿入する際に、その壁穴のスライド面(:筐体と擦れる面)に上記の固定具が当接したり擦れたりすることがなくなる。このため、本発明の第2の手段に従えば、壁穴に固定具を逃がすためのスライド方向の溝などを形成する必要がなく、固定具が壁穴と擦れて破損する恐れもない。
【0021】
また、1つの頂点に集まる3辺の長さが何れも異なる長さの直方体状に端部固定箱を形成する場合、最大面積を有する面を上記の固定面として計6つの面から選択することが、実際に固定面を構成する上で最も容易かつ現実的であるが、本発明の第3の手段によれば、その最大面積を有する面の更に一方のみを上記の固定面として構成するだけでよいので、これによって、端部固定箱を容易に構成することができる。
また、前述の従来技術からも類推できる様に、光成端ユニットを構成する場合、筐体の内部空間においては、底面付近及び背後面付近に比較的余裕が生まれ易く、かつ、左右方向が該内部空間の長手方向になり易い。このため、光成端ユニットの小形化を促進させたい場合には、一辺が他辺に比べて特に短い薄形の直方体状に端部固定箱を形成して、最大面積を有する上記の固定面の長手方向を筐体の左右方向に合わせ、その固定面を筐体の底面または背後面に合わせる様に配置することが有利である。
そして、この様な小形化指向の構成を採用する場合にも、本発明の第3の手段によれば、端部固定箱の6面中の唯二面にのみ第2の光ケーブルの入口を設けるだけで、上記の5方面から入線可能な端部固定箱を構成することができる。したがって、本発明の第3の手段によれば、端部固定箱を非常に容易かつコンパクトに構成することができる。
【0022】
また、本発明の第4の手段によれば、光ファイバーの融着部や余長部が上記の融着トレイの中に収納されて、融着部や余長部の保護や整理が効率よくでき、作業中に光ファイバーに余計な応力や張力や剪断力が働く恐れがなくなる。このため、作業効率が向上すると共に、光ファイバーの信頼性を容易に確保することができる。また、融着トレイが上記の端部固定箱に一体化されるので、それぞれを個別に筐体内に固定する必要もない。
【0023】
また、本発明の第5の手段によれば、電線が取り回され得るテンションメンバの固定部近傍から、融着トレイが別体として隔離されるので、光ファイバーの融着部や余長部の保護や整理が更に効率よく効果的に実施でき、融着トレイ自身の構成も簡潔になる。
【0024】
また、本発明の第6の手段によれば、筐体の高さ、即ち、当該光成端ユニットの鉛直方向の長さに対する強い制約がある場合においても、前面の接続パネルから上記の第1の光ケーブルを斜め下向きに延出させることができ、同時に本発明の光成端ユニットを更に小形に構成することができる。
【0025】
また、本発明の第7の手段によれば、上記の各接触面上に上記の第1又は第2の穴を形成するだけで、端部固定箱の固定手段を構成することができるので、装置を極めて簡潔な構造にすることができる。
【0026】
また、本発明の第8の手段によれば、筐体内の特定の領域に端部固定箱の配設領域が限定、集約されるので、端部固定箱の配設スペースが最小化されて、装置の小形化に有利となる。
また、固定具の一部を筐体の外部に突出または露出させる場合、外部とのインターフェイスや美観などを検討したり改善したりする必要性が生じ得るが、本発明の第8の手段によれば、筐体に設けるべき第1の穴の数を最小限に抑えることができるので、それらの必要性をも最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
なお、光ケーブルの先端から露出されたテンションメンバの端部を固定する際には、例えば特開2005−301153の図6−Aの金属製のTMクランプ1410や同公報図27−Aの金属製のTMクランプ20などの様な、テンションメンバ自身を側方からその軸に対して垂直方向に直接ネジ止めする固定手段(高剛性のTMクランプ)を用いることが望ましい。この様な手段により、光ケーブルの軸とテンションメンバの端部(固定箇所)における軸の位置及び方向を完全に一致させることができるし、更にそのネジ止め作用に基づいて、テンションメンバを当該光成端ユニット内に強固かつ確実に固定することができる。言い換えれば、本願図15の従来装置のテンションメンバの固定手段については、この様な確実性の面においても、回避し難い重要な問題があった。
【0028】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1に本実施例1の光成端ユニット100の正面図(図中左下)、平面図(図中上)、及び側面図(図中右)を示す。ただし、本図1中のXYZ(大文字)の直交座標は、図中左下の正面図の向きを示しており、Z軸方向が鉛直方向である。また、図2には、この光成端ユニット100の筐体110の背面図(図中左下)、平面図(図中上)、及び側面図(図中右)を示す。ただし、本図2中のXYZ直交座標は、上記のものと同一の座標系を示しており、図中左下の背面図の向きを示している。
【0030】
筐体110が供するこの光成端ユニット100の接続パネルを形成している前面111は、内側にくの字型に凹んでおり、その前面上部111aと前面下部111bとの交差角度は直角になっている。このため、筐体110の右面112及び左面113の各輪郭形状は、何れも横になったM字形をしている。前面111は、上記の前面上部111aと前面下部111b、並びに、当該光成端ユニット100を敷設する壁(または柱)の壁面に対して平行となる上端面111u及び下端面111dの4面からなる。そして、上記の前面上部111aには、コネクタ端子180が2つ取り付けられており、これらのコネクタ端子180に、テレビカメラから延出されてくる第1の光ケーブル(図示せず)がそれぞれ接続される。
【0031】
また、前面上部111aの裏面には、留め金111a1が固定されており、図1、図3のアダプタアングルaaは、その穴aahと1つのナイラッチn(図1)によってこの留め金111a1の穴h0に固定されている。このアダプタアングルaaは、図4の2連SCアダプタ170を2つまとめて保持、固定するための金属製部品であり、3つの屈曲部ρ1,ρ2,ρ3を形成する折り曲げ加工によって製造されている。その4つの穴rは、2つの2連SCアダプタ170をそれぞれ固定するためのものであり、2連SCアダプタ170は、図1に示す様に2つ並べて、それぞれネジ170aによってこれらの穴rに固定される。
【0032】
2連SCアダプタ170は、シングルモードファイバの先端に取り付けられるSCコネクタに対してレセプタとなる光接続器具であって、双方向に対してレセプタとなることによって2本の光ファイバーを1本に接続する接続部を2連有する。図4の割スリーブSLはこの接続部を構成するものであり、軸方向に沿って形成されたスリットを有する筒状の金属製の管からなる。したがって、2連SCアダプタ170を2器有する本光成端ユニット100は、その様な接続部を合計4つ有する。このため、上記の第1の光ケーブル1本には、2本の光ファイバーを具備することができる。
また、筐体110内の中央には、上記と同様の方式で、第1の光ケーブル1本に、3本乃至4本の光ファイバーを具備することを可能にするための拡張用の予備空間(即ち、2連SCアダプタ170の増設スペース)が設けられている。
なお、符号gは、SCコネクタの側部の外壁面上に形成された突起を案内するためのスリットを指している。
【0033】
この光成端ユニット100の端部固定箱150は、2体に分離可能な2段重箱構造を有しており、その1段目は、クランプトレイ120からなり、その2段目は融着トレイ130からなり、融着トレイ130の上には蓋(リッド140)が具備されている。
筐体110の底面114には、筐体110を折り曲げ加工して製造する際に筐体110自身に不測の変形が生じない様にするための補強板114a、114bが溶接によって接合されている。また、壁や柱などに埋め込まれる第2の光ケーブルの端部を導入するための導入口Im(m=1,2,3,4,5)が、筐体110の背後面115、底面114、左面113、右面112、及び上部にそれぞれ設けられている。ただし、上部の導入口I5は、前面111、右面112、及び左面113に囲まれた、筐体110の上部の開口部全体から形成されている。また、導入口I1と導入口I2とは、背後面115と底面114とが直交する辺上で繋がっている。背後面115上に設けられた穴H1,H2は、図1に示す様に端部固定箱150をナイラッチnで固定するためのものであり、この穴が請求項7の第1の穴に相当する。
【0034】
図5に、上記のクランプトレイ120の平面図、正面図、背面図、及び左右両側面図を示す。ただし、本図5中のxyz(小文字)の直交座標は、図中中央の平面図の向きを示している。このクランプトレイ120は、その底面121、前面123、背面122、左面124、右面125、及び上面126などから形成されている。背面122、前面123、左面124、及び右面125は、それぞれ底面121に対して直交する隣接面を構成している。
中央の平面図に示されるこのクランプトレイ120の底面121は、本発明の固定面、即ち端部固定箱150の固定面を具現するものであり、この底面121には、図1及び図7のTMクランプ160を固定するための穴ha,hb,hc,hdが形成されている。TMクランプ160を固定するためのこれらの穴は、この底面121だけが有しており、その他の面は、本発明の固定面にはならない。背面122の中央に形成された入口J1及び右面125の中央に形成された入口J2は、何れも上記の第2の光ケーブルの端部を当該クランプトレイ120内、即ち端部固定箱150の内部に引き込むためのものであり、この入口J1、J2の下部は、それぞれリップL1,L2から形成されている。
これらのクランプトレイ120の構造に基づいて、端部固定箱150内から上記の第2の光ケーブルを延出させる面、即ち第2の光ケーブルを端部固定箱150内に引き込む面を、背面122または右面125の何れか二面から任意に選択することができる。
【0035】
前面123、底面121、及び背面122に形成された穴hi(i=1,2,...,8)は、端部固定箱150を筐体110の背後面115に固定するためのものであり、これらの穴を上記の穴H1,H2と選択自在に組み合わせて位置合わせして、ナイラッチnで固定することによって、後から図11を用いて詳しく説明する様に、端部固定箱150を筐体110の内部に所望の配向に従って固定することができる。
なお、コードクランプcc1,cc2は、光ファイバーの各コードの取り回し範囲を当該クランプトレイ120内に拘束するためのものである。また、窓w1,w2,w3,w4は、電線を端部固定箱150(クランプトレイ120)の外部に引き出すためのものである。ただし、入口J1、J2の何れか一方は不使用となるので、その不使用となる片方の入口から電線を外部に引き出してもよい。
【0036】
以下、図6を用いて、第2の光ケーブルの固定手段に付いて詳しく説明する。符号TMは、第2の光ケーブルCB2から露出されるテンションメンバの位置を示している。また、底面121上の領域αは、図7の金属製のTMクランプ160を配置すべき位置を示している。ただし、図7中のxyzの直交座標は、図中中央の側面図の向きを示している。即ち、図7のTMクランプ160は、図6の領域α上に図示する配向にて配置されて、図5の穴haを用いてクランプトレイ120の底面121の裏側から、絶縁性のネジを用いて固定される。この絶縁性ネジは、絶縁リング161、162及びネジ穴164、165とそれぞれ螺合するものであり、これらの絶縁部品によって、テンションメンバTMとクランプトレイ120との間の絶縁が確保される。壁や柱などに埋め込まれる第2の光ケーブルCB2の端部から露出されたテンションメンバTMの端部は、図6に示す位置までTMクランプ160の穴163に挿入、貫通され、ネジ穴164、165を用いてネジ止めされて、TMクランプ160に固定される。これにより、第2の光ケーブルCB2の端部は、クランプトレイ120の底面121、即ち、端部固定箱150の固定面に、確実に固定される。
【0037】
この時、上記のテンションメンバTMの露出部がクランプトレイ120(即ち、端部固定箱150)内において固定される方向(即ち、図6のy軸方向)は、テンションメンバTMの端部が固定される固定面(即ち、底面121)と直交する背面122の法線の方向と一致する。
なお、穴hb,hc,hdも、それぞれ同様に用いることができる。例えば、穴hcまたは穴hdを用いれば、テンションメンバTMの端部をx軸方向に固定することができ、この場合には、リップL2を有する入口J2から第2の光ケーブルCB2をクランプトレイ120の中に引き入れることができる。通常は、2本の第2の光ケーブルCB2を平行にして同一の方向から同一の入口を通して引き込む。
【0038】
また、リップL1,L2に空けられている3連の穴は、第2の光ケーブルCB2の外被を結束バンドを用いて締めつけて、それぞれをリップL1,L2自身に固定するためのものである。この外被の被結束部とその周囲は、ビニールテープなどを用いて予め補強しておくことが望ましい。また、リップL1,L2の面を底面121から若干浮かせてあるのは、リップL1,L2に強度を与えるためであり、この様な段差構造によって、リップL1,L2及び底面121の強度が向上する。即ち、テンションメンバTMや第2の光ケーブルCB2の固定部位には、非常に高い強度を与えておくことが望ましい。また、結束バンドを用いてリップL1(またはL2)に固定された第2の光ケーブルCB2の軸を、TMクランプ160の穴163の軸に完全に一致させるためにも、この様な段差構造は有効である。これらの手段によって第2の光ケーブルCB2の端部は、クランプトレイ120に、正確、強固かつ確実に固定される。
【0039】
図8に、上記の第2の光ケーブルCB2の接続仕様を示す。第2の光ケーブルCB2には、2本の光ファイバーと7本の電線が通っている。第2の光ケーブルCB2中を通る電線の露出された各端部は、本図8に例示する様に、所定のピンまたはソケットを介してナイロンコネクタNC2の所定の各部に固定される。なお、符号mmは金属メッシュで形成されたシールドを示している。
一方、第2の光ケーブルCB2中を通る光ファイバーの露出された各端部は、用意されたSCコネクタ付光接続ケーブル(シングルモードファイバ)の端部と、図8の×印で示した位置で融着接続される。
【0040】
図9に、融着トレイ130の平面図、正面図、背面図、左右両側面図、及び裏面図をそれぞれ示す。ただし、図9中のxyzの直交座標は、底面131を示した左側中央の平面図の向きを示している。この融着トレイ130は、底面131、背面132、前面133、左面134、右面135及び上面136などから形成されている。底面131の左下に設けた穴131hは、クランプトレイ120の左下の上面126に設けた穴126hに重ねて、ナイラッチで接合固定するためのものである。また、同様に、底面131の右上に設けた穴131hは、クランプトレイ120の右上の上面126に設けた穴126hに重ねて、ナイラッチで接合固定するためのものである。この様な重ね合わせによって、融着トレイ130をクランプトレイ120の上に固定することができる。
また、図1のリッド140も同様に、図9の上面136に設けられた穴136hとナイラッチnとを用いて固定されている。
【0041】
底面131に形成された穴H4,H5は、下段即ち1段目のクランプトレイ120から光ファイバーを引き込むためのものである。また、コードクランプcc3〜cc6は、穴H4,H5から引き込まれた光ファイバーの取り回し範囲を拘束するためのものであり、この融着トレイ130の中に、該光ファイバーの余長部が収納される。即ち、この融着トレイ130は、余長部を収納するための余長ケースを兼ねている。
図8に×印で示した融着接続部は、図示しない樹脂製の筒状の融着補強スリーブで保護されつつ、この融着トレイ130の中に保持される。図10に、その融着補強スリーブを保持するためのゴム製のホルダ130xを示す。このホルダ130xは、上面部が管軸に沿って細長くスリット状に開放された管状の把持部q1,q2,q3を有しており、この把持部に融着補強スリーブを嵌合させて把持させることができる。このため、図8に×印で示した融着接続部は、このゴム製のホルダ130xの中に保持される。
【0042】
このホルダ130xは、計2つ用意して、それらの各裏面130xSを上記の融着トレイ130の底面131上の領域β上及び領域γ上に、両面テープを用いてそれぞれ接着固定する。このため、図8に×印で示した融着接続部は、融着トレイ130の中で保持される。
なお、底面131の中央の穴H3は、クランプトレイ120に融着トレイ130を重ねた状態でクランプトレイ120の中の状態を確認するためのものであり、この穴H3の形成は、融着トレイ130の軽量化にも貢献するものである。
【0043】
図8の符号SCで示されるSCコネクタを有する光接続ケーブル(シングルモードファイバ)は、図1のリッド140の出口141または出口142から引き出されて、その端部のSCコネクタは、図1及び図4の2連SCアダプタ170に接続される。2連SCアダプタ170ではそれらの各対峙側に、コネクタ端子180から延出された中継ファイバの各端部のSCコネクタが接続されるので、これによって、第1の光ケーブルの光ファイバと第2の光ケーブルCB2の光ファイバとは、2連SCアダプタ170上で良好に接続される。勿論、該中継ファイバの他端は、コネクタ端子180中の接続点上に配置されている。
【0044】
また、第2の光ケーブルCB2の端部から引き出された電線は、窓w1〜w4または入口J1/J2の何れかから取り出され、その端部のナイロンコネクタNC2(雌型)は、コネクタ端子180から筐体110内部に延出される中継線路の端部に直接設けられる別のナイロンコネクタ(雄型)に直接連結接続される。
【0045】
以下、図11、及び図2、図5を用いて、端部固定箱150の実装方向(立体的な配向)について説明する。本図11のXYZ座標は図1及び図2の各XYZ座標とそれぞれ一致しており、Z軸方向が鉛直方向を示している。クランプトレイ120、融着トレイ130及びリッド140からなる2段重箱構造の端部固定箱150は、図11中の空間領域B1またはB2に配置する。また、ここで、方向A2,A5はZ軸に平行な方向であり、方向A3,A4はX軸に平行な方向であり、方向A1はY軸に平行な方向である。
なお、下記の穴h1〜h8が請求項7の第2の穴に相当する部位である。
【0046】
(1)第2の光ケーブルCB2を導入口I1から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、背面122の穴h1を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、背面122の穴h2を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A1に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I1から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の左面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各左面124、134が平行に対峙する。
【0047】
(2)第2の光ケーブルCB2を導入口I2から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B2に配置(縦置き)する。この時に、底面121の穴h7を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、底面121の穴h8を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A2に鉛直に、第2の光ケーブルCB2を導入口I2から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の右面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各右面125、135が平行に対峙する。
【0048】
(3)第2の光ケーブルCB2を導入口I3から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、前面123の穴h3を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、前面123の穴h4を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A3に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I3から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の右面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各右面125、135が平行に対峙する。
【0049】
ただし、第2の光ケーブルCB2を筐体110に対してX軸方向に入線させる場合には、その時だけ、図6の入口J2、リップL2、穴hc、穴hdを用いて、第2の光ケーブルCB2を図6のx軸方向に固定する。
【0050】
(4)第2の光ケーブルCB2を導入口I4から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、背面122の穴h1を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、背面122の穴h2を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A4に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I4から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の左面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各左面124、134が平行に対峙する。
【0051】
(5)第2の光ケーブルCB2を導入口I5から入線させる場合
この場合、端部固定箱150は、空間領域B1に配置(横置き)する。この時に、底面121の穴h5を背後面115の穴H1にナイラッチnを用いて固定し、底面121の穴h6を背後面115の穴H2にナイラッチnを用いて固定する。これにより、図11の方向A5に水平に、第2の光ケーブルCB2を導入口I5から入線させることができる。
また、この時、筐体110の左面113には、端部固定箱150の左面を構成する、クランプトレイ120及び融着トレイ130の各左面124、134が平行に対峙する。
【0052】
以上の様に選択自在な各配置に従えば、端部固定箱150の左面かまたは右面の何れか一方が筐体110の左面113に対して平行に対峙する様に、端部固定箱150を任意の方向に配向しつつ、即ち直角単位に任意の配向で、端部固定箱150は、筐体内に配置することができる。このため、第2の光ケーブルCB2の入線方向をA1〜A5の内の任意の方向に向けながら、筐体内に配置することができる。
【0053】
図12は、上記の光成端ユニット100を納める壁の壁面上に取り付けるための外枠パネル190の正面図、平面図、及び側面図である。光成端ユニット100の配設対象とする壁には、光成端ユニット100を収納するための凹部空間を確保すると共に、その壁面には、例えばこの様な外枠パネルを取り付ける。この外枠パネル190は、上記の光成端ユニット100を3台、X軸方向に並べて設置するためのものであり、ZX平面に平行となる側面板193は、上記の凹部空間における左右の側壁面に沿ってスライドさせて、その穴(凹部空間)に嵌め込まれる。左右にそれぞれ突き出た左端フレーム191及び右端フレーム192は、何れも壁面に平行になる様に形成されており、この外枠パネル190は、その左端フレーム191及び右端フレーム192の計4つの穴Sを用いて壁面に固定される。
【0054】
筐体110の上端面111uに形成された穴p1,p2は、この外枠パネル190の上端フレーム195に形成された穴P1,P2に、それぞれに位置合せされてネジ止めされる。また、筐体110の下端面111dに形成された穴p3,p4は、この外枠パネル190の下端フレーム196に形成された穴P3,P4に、それぞれに位置合せされてネジ止めされる。これにより、光成端ユニット100をX軸方向に3台並べて設置することができる。
この様に、光成端ユニット100は、何台まとめて配置してもよい。
【0055】
以上の様に、本実施例1の光成端ユニット100を用いれば、鉛直方向及び水平方向、即ち、上下左右及び背後の計5方面の何れの向きにも光ケーブルを真っ直ぐに延出することが容易である。また、筐体110の内部において第2の光ケーブルCB2を曲げる必要が全くないので、敷設作業や点検作業などの効率向上を図り易い。また、以上の様に、本実施例1の接続パネル一体型の光成端ユニット100は、装置全体を小型化することができることから、テレビ中継用光システムや、放送スタジオのテレビカメラ用光システム等を小型化するのに有効であり、特にコネクタ盤の占有面積を縮小することが望ましい、スタジアム内や、劇場の観客席や、小形のスタジオ等に極めて有用である。
なお、本実施例1の光成端ユニット100は、ラックなどに敷設することも勿論可能である。
【実施例2】
【0056】
図13に、本実施例2の光成端ユニット200の正面図、平面図、及び側面図を示す。ただし、図中のXYZ座標軸は、左下の正面図における当該光成端ユニット200の向きを示すものであり、Z軸が鉛直方向に取られている。この光成端ユニット200は、実施例1の光成端ユニット100の高さ、即ちZ軸方向の長さを約2/3に短くしたものであり、その代わりに、Y軸方向の奥行きが若干長くなっている。この様に、端部固定箱150の位置を若干奥にずらすことによって、高さ方向のサイズを効果的に縮小することができる。また、コネクタ端子280を有する前面上部211aの傾斜角は、60°に構成されている。
【0057】
即ち、当該光成端ユニット200の筐体の前面には、内側に凹んだ凹部Dが設けられており、この凹部Dには、傾斜角が60°の下方に伏した傾斜面(即ち、上記の前面上部211a)が設けられており、テレビカメラから延出されてくる第1の光ケーブルに連結されるコネクタ端子280は、この傾斜面上に設けられている。
そして、この様な構成に従えば、筐体の高さ、即ち、当該光成端ユニット200の鉛直方向の長さに対する強い制約がある場合においても、前面の接続パネルから上記の第1の光ケーブルを斜め下向きに延出させることができ、同時に光成端ユニット200の筐体を非常に小さく構成することができる。
【0058】
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1のクランプトレイ120(図5)の平面形状は、x軸方向に長くy軸方向に短い長方形であるが、クランプトレイ120の平面形状は、正方形でもよい。この場合には、縦横の区別がなくなるので、クランプトレイ120に第2の光ケーブルを導入するための入口(J1,J2)の形成箇所は、1箇所だけでもよくなる。この場合、クランプトレイ120のx軸方向の長さを、同図5のy軸方向の長さと同様に短く形成することができ、更に、TMクランプ160を固定するために形成すべき穴(ha,hb,hc,hd)の形成個数も半分でよくなるので、端部固定箱150の小形化と製造効率の点で都合がよい。
また、クランプトレイ120に第2の光ケーブルCB2を導入するための入口(J1,J2)の形成箇所は、全部で3箇所でも4箇所以上でもよい。この様な場合においても、本発明の手段に基づいて、上記の各実施例と同様に本発明の作用・効果を得ることができる。
【0059】
(変形例2)
また、上記の光成端ユニット100及び光成端ユニット200の各変形例を図14−A〜Cに示す。光成端ユニット100では、前面上部111aと前面下部111bとを用いて、筐体110の前面の接続パネルを構成しているが、筐体の前面は、必ずしも傾斜した2つの面を直交させて形成する必要はない。
例えば、図14−Aや図14−Bに例示する様に、筐体の前面の一部を筐体の水平な底面に対して垂直な前面下部111b′や或いは同底面に対して垂直な前面下部111b″等を用いて構成してもよいし、また、図14−Bに例示する様に、前面凹部の奥に向って上り坂となる傾斜角約30°の傾斜面111c等を用いて、筐体の前面の一部を構成してもよい。
また、図13の前面上部211aをそのまま底面214まで延長することによって、図14−Cに例示する様に、前面上部211a′を構成し、この様な1面の傾斜面だけで、筐体の前面の一部を構成してもよい。
【0060】
(変形例3)
また、筐体の前面の形状は、曲面形状であってもよい。図15の従来装置においては、第2の面3bに接続ユニット4が取り付けられているので、該第2の面3bは必ず備える必要があるが、本発明の光成端ユニットにおいては、上記の様に、前面凹部の奥に向って上り坂となる傾斜面3bを必ずしも備える必要がないため、本発明の光成端ユニットにおいては、接続パネルが配設される筐体の前面の形状設計における任意性が非常に高い。このため、本発明の光成端ユニットにおいては、少なくとも筐体の前面形状に関し、ユーザの好みを任意に取り入れることができる。
【0061】
(変形例4)
また、上記の実施例1では、第2の光ケーブルCB2に、2本の光ファイバを通しているが、これらの光ファイバは勿論マルチモードファイバでもよい。
また、上記の実施例1では、第2の光ケーブルCB2に、2本の光ファイバを通しているが、第2の光ケーブル1本に通す光ファイバの本数は任意でよい。勿論、第1の光ケーブルについても同様である。
また、上記の実施例1では、1つの端部固定箱150に合計2本の第2の光ケーブルCB2を入線させているが、本発明の端部固定箱に入線させる第2の光ケーブルの本数は任意でよい。勿論、コネクタ端子(180,280)の設置数についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば陸上競技場や屋外スタジアムなどのテレビ中継用光システムや、放送スタジオのテレビカメラ用光システム等に特に有用であるが、その他にも、より一般には、テレビ中継等による動画撮影が想定される現場の建造物全般に適用することができるものである。
また、上記の実施例1の第2の光ケーブルCB2には、図8に示す様に電線やシールドmmが具備されているが、本発明の光成端ユニットは、これらを有しない光ファイバのみのケーブル(第1及び第2の光ケーブル)に対しても、勿論有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の光成端ユニット100の正面図、平面図、及び側面図
【図2】光成端ユニット100の筐体110の背面図、平面図、及び側面図
【図3】アダプタアングルaaの正面図、平面図、及び側面図
【図4】2連SCアダプタ170の正面図、平面図、及び側面図
【図5】クランプトレイ120の平面図、正面図、背面図、及び左右両側面図
【図6】クランプトレイ120の平面図
【図7】TMクランプ160の側面図、正面図、背面図、平面図及び裏面図
【図8】第2の光ケーブルCB2の接続仕様を示す配線図
【図9】融着トレイ130の平面図、正面図、背面図、左右両側面図、及び裏面図
【図10】融着補強スリーブを保持するゴムホルダの斜視図
【図11】端部固定箱150の実装方向(立体的な配向)を説明する斜視図
【図12】外枠パネル190の正面図、平面図、及び側面図
【図13】実施例2の光成端ユニット200の正面図、平面図、及び側面図
【図14−A】筐体の前面のその他の形状を例示する側面図
【図14−B】筐体の前面のその他の形状を例示する側面図
【図14−C】筐体の前面のその他の形状を例示する側面図
【図15】従来の光成端ユニットの側面図
【符号の説明】
【0064】
100 : 光成端ユニット(実施例1)
110 : 筐体
120 : クランプトレイ
130 : 融着トレイ
140 : リッド
150 : 端部固定箱
160 : TMクランプ
170 : 2連SCアダプタ
180 : コネクタ端子
190 : 外枠パネル
CB2 : 第2の光ケーブル
TM : テンションメンバ
n : ナイラッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機器に接続される第1の光ケーブルの端子接続用に建造物に固定される接続パネルと共に一体に構成された光成端ユニットにおいて、
前記建造物に固定された第2の光ケーブルの導入口が、背後部、上部、底面、左面、及び右面の合計5方面にそれぞれ設けられ、前面が前記接続パネルによって構成された筐体と、
前記第2の光ケーブルから露出されたテンションメンバの端部が内部で固定される直方体状の端部固定箱と
を有し、
前記テンションメンバの露出部が前記端部固定箱内において固定される方向は、
前記端部が固定される固定面と直交する前記端部固定箱の他の4つの隣接面の何れか1面の法線の方向と一致しており、
前記端部固定箱は、
前記固定面及び4つの前記隣接面の各法線がそれぞれ鉛直方向または水平方向に向き、かつ、前記端部固定箱の何れか唯一の面が前記左面に対して平行に対峙する様に、選択自在に配向されて、前記筐体内に配置されている
ことを特徴とする光成端ユニット。
【請求項2】
前記端部固定箱は、
前記筐体の背後面と前記底面にそれぞれ接しつつ前記背後面に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光成端ユニット。
【請求項3】
前記端部固定箱は、
前記固定面となり得る面を唯一面有し、
前記端部固定箱の中に前記第2の光ケーブルを入線させる面は、
前記5方面から択一的に使用される前記導入口の設置方面に応じて、4つの前記隣接面の内の互いに直交する唯二面から選択され、
前記唯二面はそれぞれ、
前記第2の光ケーブルを入線させる入口を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光成端ユニット。
【請求項4】
前記端部固定箱は、
相異なる光ファイバーの各一端を互いに融着により接続した融着部と、融着された該光ファイバーの余長部とを収納する余長ケースを兼ねた融着トレイを具備している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光成端ユニット。
【請求項5】
前記端部固定箱は、
2体に分離可能な2段重箱構造を有し、
前記融着トレイは、
前記2体の内の、前記固定面を持たない方の1体からなる
ことを特徴とする請求項4に記載の光成端ユニット。
【請求項6】
前記筐体の前記前面は、
内側に凹んだ凹部を有し、
前記凹部は、
傾斜角が45°よりも大きく90°よりも小さい、下方に伏した傾斜面を有し、
前記第1の光ケーブルに連結されるコネクタ端子は、
前記傾斜面に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光成端ユニット。
【請求項7】
前記筐体は、
前記端部固定箱との接触面上に形成された第1の穴を有し、
前記端部固定箱は、
前記筐体との接触面上の前記第1の穴と重なる位置に形成された第2の穴を有し、
かつ、
互いに重なった前記第1の穴と前記第2の穴とに同時に貫通する固定具によって前記筐体の内部に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の光成端ユニット。
【請求項8】
前記筐体は、
前記筐体の背後面、上面、前記底面、前記左面、または前記右面の何れか唯一面にのみ前記第1の穴を有し、
前記端部固定箱は、
前記筐体の前記第1の穴を有する面と接触し得る全ての面上に、前記第2の穴を有することを特徴とする請求項7に記載の光成端ユニット。
【請求項1】
撮影機器に接続される第1の光ケーブルの端子接続用に建造物に固定される接続パネルと共に一体に構成された光成端ユニットにおいて、
前記建造物に固定された第2の光ケーブルの導入口が、背後部、上部、底面、左面、及び右面の合計5方面にそれぞれ設けられ、前面が前記接続パネルによって構成された筐体と、
前記第2の光ケーブルから露出されたテンションメンバの端部が内部で固定される直方体状の端部固定箱と
を有し、
前記テンションメンバの露出部が前記端部固定箱内において固定される方向は、
前記端部が固定される固定面と直交する前記端部固定箱の他の4つの隣接面の何れか1面の法線の方向と一致しており、
前記端部固定箱は、
前記固定面及び4つの前記隣接面の各法線がそれぞれ鉛直方向または水平方向に向き、かつ、前記端部固定箱の何れか唯一の面が前記左面に対して平行に対峙する様に、選択自在に配向されて、前記筐体内に配置されている
ことを特徴とする光成端ユニット。
【請求項2】
前記端部固定箱は、
前記筐体の背後面と前記底面にそれぞれ接しつつ前記背後面に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光成端ユニット。
【請求項3】
前記端部固定箱は、
前記固定面となり得る面を唯一面有し、
前記端部固定箱の中に前記第2の光ケーブルを入線させる面は、
前記5方面から択一的に使用される前記導入口の設置方面に応じて、4つの前記隣接面の内の互いに直交する唯二面から選択され、
前記唯二面はそれぞれ、
前記第2の光ケーブルを入線させる入口を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光成端ユニット。
【請求項4】
前記端部固定箱は、
相異なる光ファイバーの各一端を互いに融着により接続した融着部と、融着された該光ファイバーの余長部とを収納する余長ケースを兼ねた融着トレイを具備している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光成端ユニット。
【請求項5】
前記端部固定箱は、
2体に分離可能な2段重箱構造を有し、
前記融着トレイは、
前記2体の内の、前記固定面を持たない方の1体からなる
ことを特徴とする請求項4に記載の光成端ユニット。
【請求項6】
前記筐体の前記前面は、
内側に凹んだ凹部を有し、
前記凹部は、
傾斜角が45°よりも大きく90°よりも小さい、下方に伏した傾斜面を有し、
前記第1の光ケーブルに連結されるコネクタ端子は、
前記傾斜面に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光成端ユニット。
【請求項7】
前記筐体は、
前記端部固定箱との接触面上に形成された第1の穴を有し、
前記端部固定箱は、
前記筐体との接触面上の前記第1の穴と重なる位置に形成された第2の穴を有し、
かつ、
互いに重なった前記第1の穴と前記第2の穴とに同時に貫通する固定具によって前記筐体の内部に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の光成端ユニット。
【請求項8】
前記筐体は、
前記筐体の背後面、上面、前記底面、前記左面、または前記右面の何れか唯一面にのみ前記第1の穴を有し、
前記端部固定箱は、
前記筐体の前記第1の穴を有する面と接触し得る全ての面上に、前記第2の穴を有することを特徴とする請求項7に記載の光成端ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−A】
【図14−B】
【図14−C】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−A】
【図14−B】
【図14−C】
【図15】
【公開番号】特開2008−122774(P2008−122774A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307827(P2006−307827)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(591181229)カナレ電気株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(591181229)カナレ電気株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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