説明

光成端ユニット

【課題】光コード切り替え時の光コネクタ着脱の作業性を良くする。
【解決手段】ユニット前方に延出する光コネクタ付き光コード2を載せるユニット前面側の第1のコード載置用トレイ15と、ユニット側面側の第2のコード載置用トレイ16とを備える。第2のコード載置用トレイ16は、光コード2を載せるトレイ本体20のユニット前面側位置にガイド21を備え、ユニット後面側位置にクランプ22を備えるとともに、トレイ本体20の幅Wはガイド21とクランプ22との間で光コード2に余長を持たせて這わせることが可能な程度に広い幅を持つ。光コード切り替え時には、第2のコード載置用トレイ16上に光コード2の余長があるので、光コード2を図2で右側に引き寄せてユニット正面側で弛みを持たせることができ、着脱対象の光コネクタの周囲の光コード2を捌くことが容易になり、光コネクタ着脱の作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の光コネクタ付き光コードが、ユニット前面に縦横に配列されたアダプタにてユニット内部の光ファイバとコネクタ接続される光成端ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
線路側の光ファイバと装置側の光ファイバとを切り替え可能に接続する光成端ユニットとして、図8、図9に示すように、光コネクタ付き光コード2の先端の光コネクタ3をユニット内部の光ファイバとコネクタ接続(ユニット側光コネクタを4で示す)するための多数のアダプタ5をユニット前面(前面板)6に縦横に配列した光成端ユニット1がある。この種の光成端ユニット1では、ユニット前面6から前方(図9で下方)に延出する光コネクタ付き光コード(以下、場合により単に光コードという)2は、ユニット前面側に設けたコード載置用トレイ7に載せて側方に導きコード束をクランプ8で把持して下方に垂らすのが一般的である。また、図示例の一部の光コード2のように、ユニットの側方に引き回してコード載置台9に載せコード束をクランプ10で把持して下方に垂らする場合もある(特許文献1の図1〜図3等)。この種の光成端ユニット1は、例えば局舎内に設置されるような大容量タイプの光配線盤の場合には、光配線盤内に多段に設置される。
【特許文献1】特開2001−133636
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この光成端ユニット1において光コード2の切り替え(光配線系統の切り替え)を行う際には光コード2を挿抜するが、光コード2の挿抜は、光コード2の光コネクタ3をユニット前面6のアダプタ5に対して着脱して行う。光コード2の本数が少ない場合は特に問題はないが、図示のように高密度配線の光成端ユニット1の場合、極めて多数の光コード2がユニット前面6から前方に延出しているので、着脱しようとする光コネクタ3の周囲の光コード2が邪魔になって、コネクタ着脱工具によるコネクタ着脱の作業がしにくく、作業性が悪い。特に、光コード2が出入れ側(図8、図9で左側)に引っ張られてテンションのかかった状態にあるので、コネクタ着脱工具で光コネクタ3を掴む操作をし易いようにその周囲の光コードをうまく捌く(ないし掻き分ける)ことは簡単ではなく、作業性が悪い。
【0004】
なお、コネクタ着脱の際に、光コードを把持しているクランプ8又は10の把持を解除して光コード2を弛ませ、その状態で再び光コード2をクランプ8または10で把持すれば、着脱しようとする光コネクタ3の周囲の光コード2を捌き易くなるが、クランプを解除・再クランプをするのでは、作業性が悪い。
【0005】
なお、一般的な光配線盤において、光コード切り替え作業に際して、配線架上下方向に積層されている複数のトレーの内の一段を光コード余長収納用のトレーとして用いる場合があるが、作業性がよいとは言えない。
また、一般的な光配線盤において、光成端ユニットから回転式で横に引き出し可能な配線作業用の棚を設けた構造のものもあるが、回転式の配線作業用棚を設けるのは構造が複雑になる。
【0006】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、極めて簡単な構造でもって、光コード切り替え時に、コネクタ着脱工具による光コネクタ着脱操作をし易いように周囲の光コードを捌くことが容易な光成端ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、多数の光コネクタ付き光コードがユニット前面に縦横に配列されたアダプタにてユニット内部の光ファイバとコネクタ接続される光成端ユニットであって、
ユニット前方に延出する前記光コネクタ付き光コードを載せるユニット前面側の第1のコード載置用トレイと、前記第1のコード載置用トレイからユニット側面側に引き回される前記光コネクタ付き光コードを載せるユニット側面側の第2のコード載置用トレイとを備えるとともに、
前記第2のコード載置用トレイは、光コネクタ付き光コードを載せるトレイ本体のユニット前面側位置に前記第1のコード載置用トレイから引き回される光コネクタ付き光コードを案内するガイドを備え、かつ、ユニット後面側位置に第2のコード載置用トレイから下方に垂らされる光コネクタ付き光コードを把持可能なクランプを備えるとともに、
トレイ本体の幅W及び長さLは前記ガイドとクランプとの間で光コネクタ付き光コードに余長を持たせて這わせることが可能な程度に広い幅及び長い長さを持つことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1の光成端ユニットにおける第1のコード載置用トレイを、ユニット本体に固定された本体側部分と、コネクタ着脱作業時に前記本体側部分に対して下方に回転可能にヒンジ結合された前方側部分とに分割したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光成端ユニットにおいて、ユニット前面から前方に延出する光コネクタ付き光コードは、ユニット前面側の第1のコード載置用トレイに載せられ、ユニット側面側に引き回されて第2のコード載置用トレイに載せられるが、この第2のコード載置用トレイ上で例えばS字形等のように這わされて余長を持つ状態でユニット後面側位置のクランプで把持される。
光コード切り替え時には、第2のコード載置用トレイ上に光コネクタ付き光コードの余長があるので、ユニット正面から見て第2のコード載置用トレイ側(例えば左側)に引っ張られた状態にある光コネクタ付き光コードを反対側(右側)に引き寄せることができる。したがって、光コネクタ付き光コードを概ねユニット正面において弛みを持たせることができる。このため、コネクタ着脱工具で光コネクタを掴む操作をし易いように着脱対象の光コネクタの近傍の光コネクタ付き光コードを捌くことは容易であり、コネクタ着脱の作業性が向上し、光コード切り替え作業の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施した光成端ユニットについて、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の一実施例の光成端ユニット11の正面図、図2は同平面図、図3は同左側面図、図4は同右側面図である。実施例の光成端ユニット11は、例えば図7に模式的に示すような大容量タイプの光配線盤7内に多段に設置される。この光成端ユニット11は、光コネクタ付き光コード2の先端の光コネクタ3をユニット側光コネクタ4に接続するための多数のアダプタ5をユニット前面6に縦横に配列している。線路側の光ケーブル12から取り出した光ファイバ12aは、前記ユニット側光コネクタ4が先端に取り付けられた光ファイバ13と融着ユニット14において融着接続されている。光コード2の先端に取り付けられた光コネクタ3はアダプタ5に嵌合してユニット側光コネクタ4にコネクタ接続されている。
なお、図示例では融着ユニット14を第1のコード載置用トレイ15より下位に設けているが、第1のコード載置用トレイ15の上に配置するものでもよい。
【0012】
光成端ユニット11は、ユニット前方に延出する前記光コネクタ付き光コード(以下場合により光コードという)2を載せるユニット前面側の第1のコード載置用トレイ15と、前記第1のコード載置用トレイ15からユニット側面側に引き回される前記光コード2を載せるユニット側面側の第2のコード載置用トレイ16とを備えている。前記第1のコード載置用トレイ15は、ユニット本体23に固定された本体側部分17と、コネクタ着脱作業時に前記本体側部分17に対して下方に回転可能にヒンジ結合された前方側部分18とに分割されている。ヒンジ部19は前方側部分18を水平に保つロック機構を備えており、ロックを解除することで、前方側部分18を下方に回転させることができる。第1のコード載置用トレイ15の前方側部分18はその端縁に光コード2をはみ出しを防ぐ前面壁18aを持つ。
【0013】
前記第2のコード載置用トレイ16は、ユニット本体23の側面に固定されており、光コード2を載せるトレイ本体20のユニット前面側位置(図2で下方側の位置)に前記第1のコード載置用トレイ15から引き回される光コード2を案内するガイド21を備え、かつ、ユニット後面側位置(図2で上方側の位置)に当該第2のコード載置用トレイ16から下方に垂らされる光コード2を把持可能なクランプ22を備えるとともに、トレイ本体20の幅W及び長さLは、前記ガイド21とクランプ22との間で光コード2に余長を持たせて這わせることが可能な程度に広い幅及び長い長さとされている。トレイ本体20は幅方向両端縁に壁部20a、20bを持つ。クランプ22は、例えば上部部材22aを上げ下げして光コード2の束の把持及び把持解除をする構造その他、種々の構造が考えられる。
前記ガイド21は、光コード2を湾曲ガイドする際の内側ガイドとなる内側壁21aと外側ガイドとなる外側壁21bとを備え、ネジでトレイ本体20に固定されている。
ユニット本体23の第2のコード載置用トレイ16と反対側(図1、図2等で右側)の側面には、ユニット本体23内部に引き入れる光ファイバ心線12aを大きなアールで案内する心線ガイド25を持つ。
【0014】
上記の光成端ユニット11において、ユニット前面から前方に延出する光コード2は、ユニット前面側の第1のコード載置用トレイ15に載せられ、ユニット側面側に引き回されて第2のコード載置用トレイ16に載せられるが、この第2のコード載置用トレイ16上で例えば図2に示すようなS字形等に這わされて余長を持つ状態でユニット後面側位置のクランプ22で把持される。第2のコード載置用トレイ16上の余長は、光コネクタ着脱作業を容易にするために必要な光コード弛み量に対応可能な余長を予め見積もっておくが、第1のコード載置用トレイ16は十分広い幅W及び長さLを持つので、所望の余長を確保できる。
光コード切り替え時には、第2のコード載置用トレイ16上に光コード2の余長があるので、第2のコード載置用トレイ側に引っ張られた状態にある光コード2を反対側(図2で右側(白抜き矢印方向))に引き寄せることができる。これにより、光コード2に弛みを持たせることができる。その際、第1のコード載置用トレイ15の前方側部分18を、ヒンジ部19のロックを解除して図5、図6のように下方に回転させることで、引き寄せた光コード2をユニット正面において弛みを持たせるのに有効である。なお、図5、図6では、引き寄せた光コード2のユニット正面の弛み部を第1のコード載置用トレイ15の前方側部分18の前面壁18aで受けているように図示しているが、前面壁18aで受けることなくフリーに弛ませてもよい。
このように光コード2に弛みのある状態では、着脱対象の光コネクタの近傍の光コード2を捌くこと、すなわち、光コード2を掻き分けて着脱対象の光コネクタ3の周囲を空けることは容易である。したがって、細長い外形のコネクタ着脱工具を差し込んで着脱対象の光コネクタ3を掴む操作は容易であり、コネクタ着脱の作業性が向上し、光コード切り替え作業の作業性が向上する。
また、光コード2に弛みのある状態で作業できるので、光コード2を捌く際に光ファイバに許容以上の曲げや張力が加わることを防止できる。
また、光コード2に弛みを持たせる手段として、クランプを解除して光コードに弛みを持たせた後に再びクランプで把持する等の煩雑な操作を必要としないので、この点でも作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の光配線盤内の光成端ユニットの正面図である。
【図2】図1の光成端ユニットの平面図である。
【図3】図1の光成端ユニットの左側面図である。
【図4】図1の光成端ユニットの右側面図である。
【図5】上記の光成端ユニットにおいて光コード切り替え作業をする際の光コードの状態を説明する図である。
【図6】図5の右側面図である。
【図7】上記の光成端ユニットを複数段に備えた光配線盤を簡略化して示した正面図である。
【図8】従来の光成端ユニットの正面図である。
【図9】図8の光成端ユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0016】
2 光コード(光コネクタ付き光コード)
3 (光コネクタ付き光コードの)光コネクタ
4 ユニット内部の光コネクタ
5 アダプタ
6 ユニット前面
11 光成端ユニット
13 (ユニット内部の)光ファイバ
14 融着ユニット
15 第1のコード載置用トレイ
16 第2のコード載置用トレイ
17 (第1のコード載置用トレイの)本体側部分
18 (第1のコード載置用トレイの)前方側部分
18a 前面壁
19 ヒンジ部
20 (第2のコード載置用トレイの)トレイ本体
20a、20b 壁部
21 ガイド
21a 内側部分
21b 外側部分
22 クランプ
23 ユニット本体
W (第2のコード載置用トレイの)幅
L (第2のコード載置用トレイの)長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の光コネクタ付き光コードが、ユニット前面に縦横に配列されたアダプタにてユニット内部の光ファイバとコネクタ接続される光成端ユニットであって、
ユニット前方に延出する前記光コネクタ付き光コードを載せるユニット前面側の第1のコード載置用トレイと、前記第1のコード載置用トレイからユニット側面側に引き回される前記光コネクタ付き光コードを載せるユニット側面側の第2のコード載置用トレイとを備えるとともに、
前記第2のコード載置用トレイは、光コネクタ付き光コードを載せるトレイ本体のユニット前面側位置に前記第1のコード載置用トレイから引き回される光コネクタ付き光コードを案内するガイドを備え、かつ、ユニット後面側位置に当該第2のコード載置用トレイから下方に垂らされる光コネクタ付き光コードを把持可能なクランプを備えるとともに、トレイ本体の幅W及び長さLは前記ガイドとクランプとの間で光コネクタ付き光コードに余長を持たせて這わせることが可能な程度に広い幅及び長い長さを持つことを特徴とする光成端ユニット。
【請求項2】
前記第1のコード載置用トレイを、ユニット本体に固定された本体側部分と、コネクタ着脱作業時に前記本体側部分に対して下方に回転可能にヒンジ結合された前方側部分とに分割したことを特徴とする請求項1記載の光成端ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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