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光散乱性二軸延伸ポリエテルフィルム
説明

光散乱性二軸延伸ポリエテルフィルム

【課題】 保護フィルムなどの剥離時に発生する静電気による埃などの付着が問題になりやすいフィルムやシート、例えばバックライトユニットの拡散板やプリズムシート、またプロジェクター用のスクリーンのレンズシートなどの基材フィルムとして好適に使用することのできる、帯電防止性を有し、生産性に優れた光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 平均粒子径が2.0〜40μm、粒子変形度が1.2〜4.0、5%熱分解温度が300℃以上であり、粒子の表面に、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基、またはエステル基を有する有機粒子をポリエステルフィルム中に0.10〜10重量%含有し、表面固有抵抗が5×1012Ω以下であることを特徴とする光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムなどの剥離時に発生する静電気による埃などの付着が問題になりやすいフィルムやシート、例えばバックライトユニットの拡散板やプリズムシート、またプロジェクター用のスクリーンのレンズシートなどの基材フィルムとして使用される光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、静電気を帯びやすいため空気中の埃を吸着しやすい。そのため部品として使用された装置の品質を低下させてしまうことがある。
これらの問題を解決するため面光源装置に使用される帯電防止性の光拡散シートが提案されている。例えば、特許文献1によれば、透明な二軸延伸ポリエステルフィルムの表面に透明導電性樹脂層を塗布しさらにその上に凹凸層を設けて光拡散性シートとしている。しかし、光拡散性シートができるまでの製造工程が複雑になるという問題がある。
また、帯電防止性を有する光拡散剤を含有させた二軸延伸ポリエステルフィルムについては、例えば特許文献2に平均粒子径が4μmのシリカ粒子を数%含有させたポリエステルフィルムが提案されている。しかし、無機粒子を光散乱剤に用いた場合、樹脂押し出しラインでのフィルター圧力上昇が起こりやすく、生産性が悪い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−159703号公報
【特許文献2】特開平2−207291号公報
【特許文献3】特開2001−322218号公報
【特許文献4】特開2004−252257号公報
【特許文献5】特開2005−213422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、帯電防止性を有し、生産性に優れた光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する二軸延伸ポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、平均粒子径が2.0〜40μm、粒子変形度が1.2〜4.0、5%熱分解温度が300℃以上であり、粒子の表面に、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基、またはエステル基を有する有機粒子をポリエステルフィルム中に0.10〜10重量%含有し、表面固有抵抗が5×1012Ω以下であることを特徴とする光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、フィルターの圧力上昇が小さく生産性に優れ、帯電防止性や光散乱性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルムを提供でき、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても得られる。当該ポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ボリブチレンテレフタレート等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の40モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、ジオール成分の40モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよく、またそれらの混合物であってもよい。
【0009】
本発明では、光散乱性を発現させるため有機粒子を含有させる。有機粒子はフィルム全体に、または2層以上の共押出し積層フィルムの少なくとも1層に含有してもよい。
【0010】
本発明で用いる有機粒子の平均粒子径は2.0〜40μmの範囲であり、好ましくは2.5〜30μmである。平均粒子径が2.0μm未満では、光散乱性が低下する。一方、平均粒子径が40μmを超える場合は、フィルターの圧力上昇が大きくなり、生産性に劣る。また、用いるフィルターの目を大きくするとフィルム中の異物が増加する。
【0011】
本発明に使用する有機粒子の熱重量分析計による不活性雰囲気下の5%熱分解温度は、好ましくは300℃以上であり、さらに好ましくは310℃以上である。熱分解温度が300℃未満では熱劣化物の発生により、フィルムの透過光が黄色味を帯びて外観品質の低下が起こることがある。
【0012】
本発明で用いる有機粒子は、表面に官能基を有することが好ましい。官能基を有する粒子は帯電しやすく粒子間の静電的な反発力が働き分散性が向上すると考えられる。官能基を有しないと粒子間で凝集しやすくなりフィルター寿命が低下する。さらにポリエステルとの親和性が低下し粒子周りに大きなボイドを形成しフィルム製造工程やフィルムの加工工程で粒子が脱落しやすくなりフィルム自身にもキズが発生しやすくなる。好ましい官能基としてはカルボン酸基、水酸基、エポキシ基、エステル基である。
【0013】
また、本発明におけるフィルム中の有機粒子は、二軸延伸の条件で変形する程度の硬さを有し、その変形度は、1.1〜5.0の範囲が好ましく、1.2〜4.0がさらに好ましい。変形度が1.1未満の有機粒子はポリエステル樹脂溶解温度の250〜350℃の高温下でせん断応力を受けたとき弾性変形の程度が小さくなり、フィルターの寿命が低下すると考えられる。一方、変形度が5.0を超えると光散乱性が低下する傾向がある。
【0014】
本発明のフィルムのフィルム全体に対する有機粒子含有量は、0.10〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.20〜8重量%の範囲である。有機粒子含有量が0.10重量%未満では、本発明が意図する光散乱性を有するフィルムとすることができない。一方、有機粒子含有量が10重量%を超えると、フィルムが破断しやすくなり、生産性が低下する。
【0015】
なお、本発明で使用する有機粒子は、単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。具体的な有機粒子の例としては、メラミン樹脂、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等の有機粒子が挙げられる。
【0016】
また、本発明のフィルムのヘーズは、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。ヘーズが10%未満では、光散乱性が劣る傾向がある。
【0017】
本発明のフィルム中には必要に応じて、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0018】
本発明のフィルムの表面固有抵抗は、5×1012Ω以下であり、好ましくは1×1012Ω以下、さらに好ましくは5×1011Ω以下、特に好ましくは1×1011Ω以下である。表面固有抵抗が5×1012Ωを超える場合には、フィルムの巻き取りや巻き返しのときに静電気が発生しフィルムに静電気がたまり、放電による表面欠陥が発生する、また保護フィルムなどの剥離時に発生する静電気による埃がフィルム表面に付着する問題を引き起こす。
【0019】
表面固有抵抗を5×1012Ω以下のポリエステルフィルムを得るには、延伸前のポリエステルシートに特定の配合の塗布液を塗布したのち延伸して帯電防止性を有する塗布層を設ける方法とフィルム全体にまたは表層を形成する共押し出し層に帯電防止剤を含有させる方法がある。前者の方法の塗布液には、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性の有機化合物、いわゆる吸湿して静電気を逃がす帯電防止剤と一般に称される化合物を含有する。帯電防止剤の具体的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0020】
ノニオン系帯電防止剤では、ポリエーテル化合物、またはその誘導体が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテル/ポリエステル/ポリアミドブロック共重合体がこれに該当する。アニオン系帯電防止剤としては、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸およびそれらの塩を持つ化合物が挙げられる。
【0021】
なかでも、その帯電防止性の強さと工業的に入手しやすいことから、スルホン酸系帯電防止剤がよく使用される。例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸カリウム、ポリスチレンスルホン酸セシウム、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム等である。もちろん、他の共重合できるモノマーと、スチレンスルホン酸およびその塩、との共重合体も含まれる。
【0022】
また、低分子のスルホン酸系化合物も有効である。例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル等を挙げられる。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩等である。
【0023】
カチオン系帯電防止剤としては、低分子化合物として、第1級アミンの塩酸塩、第2級アミンの塩酸塩、第3級アミンの塩酸塩、第4級アンモニウム塩が代表的である。用いられるアミンとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、ラウリルジメチルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ステアリルジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ピリジン、モルホリン、グアニジン、ヒドラジン等が挙げられる。
【0024】
また第4級アンモニウム塩の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、ステアラミドメチルピリジニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。高分子カチオン系帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩型スチレン重合体、第4級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリレート重合体、第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン重合体等が挙げられる。 具体的には、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等である。
【0025】
両性系帯電防止剤としては、アミン塩型カチオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤、第4級アンモニウム塩型のカチオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤(いわゆるベタイン型両性界面活性剤)が有名である。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
【0026】
さらに塗布層中には、必要に応じて上記以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂の1種もしくは2種以上を併用することができる。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
【0027】
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や帯電防止性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
【0028】
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、帯電防止性が劣る。
【0029】
そのほか必要に応じて塗布層は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0030】
次に後者の方法の帯電防止剤の例としては、特開2002-225173号公報に記載されているように以下の化合物が挙げられる。
【0031】
第一級アミン塩、第三級アミン、第四級アンモニウム化合物などのカチオン系のもの、硫化油、硫酸化アミド油、硫酸化エステル油、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン系のもの、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪アミンまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、アルキルジエタノールアミンの脂肪酸エステル等の非イオン系のもの、カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系のものが挙げられる。なかでも帯電防止性能と透明性の観点でアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸リチウム、アルキルベンゼンスルホン酸リチウムなどが好ましい。添加量は、フィルム全体で0.05〜5重量%である。0.05重量%未満では帯電防止効果が劣る、一方2重量%を超えて添加しても帯電防止効果は大きく改善することはない。
【0032】
また必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0033】
本発明のフィルムの厚みは、20〜300μmである。20μm未満では、加工作業性が悪い場合がある。一方、300μmを超えると重量増加や取り扱い性の悪化が起こることがある。
【0034】
次に本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
【0035】
1)帯電防止剤を含有するフィルムの製造方法
あらかじめ帯電防止剤を含有した乾燥したポリエステルを押出機に供給し、ポリエステルの融点以上の温度に加熱してそれぞれ溶融させる。次いで、Tダイから溶融シートとして押出し、溶融シートを回転冷却ドラム上でガラス転位温度未満にまで急冷し、非晶質の未延伸フィルムを得る。このとき、未延伸フィルムの平面性を向上させるために、静電印加密着法や液体塗布密着法等によって、未延伸フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を向上させてもよい。そして、ロール延伸機を用いて、未延伸フィルムをその長手方向に延伸(縦延伸)することにより一軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)のマイナス10℃からプラス40℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.0〜6.0倍である。さらに、縦延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。その後、テンターに導きテンター延伸機を用いて、一軸延伸フィルムをその幅方向に延伸(横延伸)することにより二軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)からプラス50℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.5〜6.0倍である。さらに、横延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段以上に分けて行ってもよい。また縦と横を同時に行う同時二軸延伸を行ってもよい。そして二軸延伸フィルムを熱処理することによりフィルムが製造される。このときの熱処理温度は、130〜250℃である。二軸延伸フィルムを熱処理するときには、二軸延伸フィルムに対して20%以内の弛緩を行ってもよい。
【0036】
2)帯電防止の塗布層を設けたフィルムの製造方法
ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかに塗布する。これらの中では、一軸延伸フィルムに塗布した後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層乾燥を同時に行うことができるため、製造コスト上のメリットがあり、塗布後に延伸を行うために薄膜の塗布が容易であり透明性に優れる、また塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるために塗布層とポリエステルフィルムが強固に密着する。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および本発明で用いた測定法および用語の定義は次のとおりである。
【0038】
(1)添加粒子平均粒子径
電子顕微鏡を用いて粒子を観察して最大径と最小径を求め、その平均を粒子1個の粒径とした。フィルム中の少なくとも100個の粒子についてこれを行う。粒子群の平均粒子径は、これらの粒子の重量平均径とする。
【0039】
(2)変形度
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、フィルム切断面が分子鎖配向の主軸方向と平行になるようにミクロトームで切断し、切断面を走査型電子顕微鏡にて観察する。粒子毎に平均粒径の±10%に入る少なくとも50個の粒子について、最大径と最小径の比を算出し、その相加平均を変形度とする。
【0040】
(3)ヘーズ
JIS Z−8741−1983の方法3(60゜光沢度)によって、単層フィルム表面もしくはA層表面のフィルムの縦延伸方向に光を入射して測定する。
【0041】
(4)有機粒子の熱分解温度
有機粒子を60℃で4時間減圧乾燥後、窒素ガス雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で熱天秤(理学電気社、TAS100型)を用いて測定した5%減量時点の温度を測定する。
【0042】
(5)表面固有抵抗
横河ヒューレットパッカード社製の内側電極50mm径、外側電極70mm径の同心円型電極である16008Aを23℃、50%RHの雰囲気下で試料に設置し、100Vの電圧を印加し、同社製の高抵抗計である4329Aで試料の表面固有抵抗を測定する。
【0043】
(6)フィルター圧力上昇
捕集効率が20μm捕集径で50から60%のフィルターを用いて、フィルム製造時の前に粒子含有量2重量%のレジンを吐出量20kg/hで押し出し、フィルター手前の樹脂の圧力を測定する。1時間で圧力差が0.5メガパスカルを超えた場合は、フィルター寿命が不合格(×)、0.5メガパスカル以下の場合は合格(○)とする。
【0044】
(7)光散乱性
蛍光灯下の机にMSゴシックの書体で大きさが8ポイントの1から9の数字を印刷した紙を置き、試験フィルムを通して30cmの距離から観察して、数字が判別できなくなるフィルムと紙の間の距離を測定する。 光散乱性は以下のように評価する。
○:数字が見えなくなる距離が5cm以下、光散乱性が良好
×:数字が見えなくなる距離が5cmを超える、光散乱性不良
【0045】
(8)帯電防止性
宍戸商会社のスタチックオネストメーター(商品名)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下で試料上2cmの高さにある放電電極に10kVの電圧をかけてフィルムを帯電させ、帯電量が飽和した後に放電を中止する。次いで、試料上2cmの位置にある電位計で試料の電荷減衰性を測定し、その半減期から下記基準で判定する。
○:半減期が3秒以下であり、帯電防止性に優れる
△:半減期が3秒を超え 6秒以下であり、帯電防止性はやや良い
×:半減期6秒を超え、帯電防止性に劣る
【0046】
(原料の調整)
・ポリエステルa
常法の重縮合で合成された極限粘度0.65、融点253℃のポリエチレンテレフタレートである。
・ポリエステルb
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径6μm、5%熱分解温度が329℃の粒子表面に水酸基を有する架橋スチレン-アクリル有機粒子を練り込み4.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルc
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径10μm、5%熱分解温度が331℃の粒子表面にグリシジル基を有する架橋スチレン-アクリル有機粒子を練り込み8.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルd
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径10μm、粒子表面に水酸基を有する球状多孔質シリカ粒子を練り込み4.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルe
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径1.7μm、粒子表面にカルボン酸基を有する5%熱分解温度が290℃の架橋アクリル有機粒子を練り込み2.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルf
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを練り込み4.0重量%含有させたものである。
【0047】
・塗布剤X
主鎖にピロリジウム環を有するポリマーである第一工業製薬社製シャロールDC303P 40部、メトキシメチロール 20部、アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体 40部から成る主に水を媒体とする塗布液。
【0048】
実施例1:
ポリエステルaが50重量%とポリエステルbが50重量%の混合物をベント付き2軸押出機に供給し、溶融温度280℃で溶融した後、ポンプとフィルターを介してダイを通してキャスティングドラムに引き取り単層未延伸フィルムを得た。かくして得られた未延伸フィルムを縦延伸ロールに送り込み、まずフィルム温度83℃で3.7倍延伸した後、片面に塗布剤Xを塗布し、テンターに導き95℃で横方向に4.0倍延伸して二軸配向フィルムを得た。次いで、得られた二軸配向フィルムを熱固定ゾーンに導き、230℃で5秒間幅方向に3%弛緩させながら熱固定し、下記表1に記載した厚みのポリエステルフィルムを得た。
【0049】
実施例2:
中間層(B層)を構成するポリエステルaが87.5重量%とポリエステルcが12.5重量%の混合物をベント付き2軸押出機(メイン)に供給し、表層(A層)を形成するポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(サブ)に供給して溶融温度280℃で溶融したあと、各押出機からの溶融ポリマーをギヤポンプとフィルターを介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種3層の未延伸フィルムを得た。その後は実施例1と同じく、片面に塗布剤Xを塗布し、テンターに導き延伸し熱固定し表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
【0050】
実施例3:
表層(A層)を形成するポリエステルaが67.5重量%とポリエステルbが32.5重量%の混合物をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、中間層(B層)を構成するポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給して溶融温度280℃で溶融したあと、各押出機からの溶融ポリマーをギヤポンプとフィルターを介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種3層の未延伸フィルムを得た。その後は実施例1と同じく、片面に塗布剤Xを塗布し、テンターに導き延伸し熱固定し、表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
【0051】
実施例4:
表層(A層)を形成するポリエステルbが50重量%とポリエステルfが50重量%の混合物をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、メイン層(B層)を構成するポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給して溶融温度280℃で溶融した後、各押出機からの溶融ポリマーをギヤポンプとフィルターを介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り、2種2層の未延伸フィルムを得た。その後は実施例1と同じく、片面に塗布剤Xを塗布し、テンターに導き延伸し熱固定し、表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
【0052】
比較例1:
フィルムを作成する前に、ポリエステルdが50重量%とポリエステルaが50重量%の混合物を用いてフィルター圧力上昇テストを行ったところ、圧力上昇が認められたため、フィルムの作成は実施しなかった。
【0053】
比較例2:
帯電防止性塗布層を設けなかったほかは実施例1と同様にしてフィルムを得た。
【0054】
比較例3:
表層(A層)を形成するポリエステルe100重量%をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、中間層(B層)を構成するポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給したほかは実施例3と同様にして、表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
【0055】
比較例4:
表層(A層)を形成するポリエステルaが85重量%とポリエステルbが15重量%の混合物をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、中間層(B層)を構成するポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給したほか実施例3と同様にして表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
以上、得られた結果をまとめて下記表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
実施例1〜4においては、フィルターの圧力上昇がなく生産に優れ、フィルムの帯電防止性や光散乱性に優れる。一方、比較例1は、無機粒子を用いているためフィルターの圧力上昇が観察された。比較例2は、帯電防止塗布層がないため、帯電防止性が劣った。比較例3は、平均粒子径の大きさが2.0μm未満のため、光散乱性に劣った。比較例4は、有機粒子の濃度が0.10重量%未満のため、光散乱性がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のフィルムは、例えば、保護フィルムなどの剥離時に発生する静電気による埃などの付着が問題になりやすいフィルムやシート、例えばバックライトユニットの拡散板やプリズムシート、またプロジェクター用のスクリーンのレンズシートなどの基材フィルムとして好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が2.0〜40μm、粒子変形度が1.2〜4.0、5%熱分解温度が300℃以上であり、粒子の表面に、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基、またはエステル基を有する有機粒子をポリエステルフィルム中に0.10〜10重量%含有し、表面固有抵抗が5×1012Ω以下であることを特徴とする光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2013−47356(P2013−47356A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−267733(P2012−267733)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2005−344708(P2005−344708)の分割
【原出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】