光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置
【課題】蛍光検出部及び燐光検出部の補正を行う事ができる光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】光検出装置135は、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段3と、所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段4と、前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板10と、前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段6と、前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段とを具備する。光検出装置は、蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて蛍光検出手段により紙葉類から検出する蛍光画像に対して第1の補正処理を行い、環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を用いて補正した紙葉類の蛍光画像に対して第2の補正処理を行う。
【解決手段】光検出装置135は、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段3と、所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段4と、前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板10と、前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段6と、前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段とを具備する。光検出装置は、蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて蛍光検出手段により紙葉類から検出する蛍光画像に対して第1の補正処理を行い、環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を用いて補正した紙葉類の蛍光画像に対して第2の補正処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される紙葉類から光を検出する光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の種々の紙葉類の計数鑑別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、光検出装置に搬送する。光検出装置は、紙葉類から光を検出し、検出した光に基づいて画像を取得する。紙葉類処理装置は、取得した画像に基づいて、紙葉類の種類と真偽とを判定する。またさらに、紙葉類処理装置は、取得した画像に基づいて、紙葉類が再流通可能であるか否かを判定する。紙葉類処理装置は、判定結果に基づいて紙葉類を種類毎に区分して集積する。
【0003】
紙葉類処理装置により処理する紙葉類には、蛍光印刷情報が印刷されている。蛍光印刷情報は、蛍光体を含むインク(蛍光インク)により印刷された情報である。蛍光体は、励起光源から射出される励起光(例えば紫外線)などにより励起される。励起された蛍光体は、光(蛍光)を発する状態になる。励起光の照射が中断された場合、蛍光体は、蛍光を発しない状態になる。
【0004】
紙葉類処理装置は、この蛍光印刷情報を読み取るための蛍光検出装置を備える。蛍光検出装置は、励起光を紙葉類に照射する励起光源と、蛍光を検出するセンサとを備える。蛍光検出装置は、紙葉類に対して励起光源から励起光を照射して蛍光体を励起させる。蛍光検出装置は、励起された蛍光体から発せられる蛍光をセンサにより検出し、蛍光印刷情報を読み取る。
【0005】
一般的に、光検出装置に用いられる励起光源は、経年により発光量が変化する。また、センサも、感度が変化する場合がある。例えば、感度及び発光量などが変化した状態で光検出装置により紙葉類を検出する場合、正確な結果を得ることができない場合があるという問題がある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載されている検査装置は、センサの検出位置に蛍光基準板を備える。この蛍光基準板は、蛍光体を含有する部材である。検査装置は、蛍光基準板に対して励起光を照射し、蛍光基準板から発せられる蛍光を検出する。検査装置は、蛍光基準板から検出する蛍光の発光量に基づいて、センサにより検出する信号の補正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−265104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、紙葉類処理装置により紙葉類から蛍光印刷情報を取得する場合、紙葉類を1枚ずつ取り込み、内部の搬送路を搬送させる。上記の蛍光検出装置は、この搬送路の近傍に設置され、搬送される紙葉類から蛍光印刷情報を取得する。
【0009】
紙葉類の蛍光印刷情報に用いられている蛍光体は、温度により蛍光体が発する蛍光の発光量が変化する温度特性(温度消光)を有する。
【0010】
紙葉類処理装置は、季節、及び稼動時間などの条件により、内部の温度が変化する。この為、紙葉類処理装置により処理する紙葉類の温度も変化する。紙葉類の温度が変化する場合、紙葉類上の蛍光体の温度も変化する。この為、紙葉類上の蛍光体から発せられる蛍光の発光量が変化する。
【0011】
即ち、従来の検査装置は、蛍光検出装置が紙葉類の蛍光体から検出する信号のレベルが温度によりばらつくという問題がある。蛍光検出装置により検出する信号がばらつく場合、検査装置は、厳密な検査を行うことができないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態としての光検出装置は、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、を具備する。
【0014】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、判定基準としての基準画像を記憶する判定基準記憶手段と、前記第2の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像と、前記判定基準記憶手段に記憶されている前記基準画像とに基づいて、前記紙葉類に蛍光印刷情報が施されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、を具備する。
【発明の効果】
【0015】
この発明の一形態によれば、高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る光検出装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、図4に示す光検出装置の信号処理系の構成について示すブロック図である。
【図6】図6は、図5に示す温度特性メモリの記憶する情報について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、図4に示す光検出装置における補正処理について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る光検出装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】図9は、図8に示す光検出装置の信号処理系の構成について示すブロック図である。
【図10】図10は、図9に示す温度特性メモリの記憶する情報について説明する為の説明図である。
【図11】図11は、図8に示す光検出装置における補正処理について説明する為の説明図である。
【図12】図12は、第1の実施形態に係る光検出装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図13】図13は、図12に示す光検出装置の信号処理系の構成について示すブロック図である。
【図14】図14は、図12に示す光検出装置における補正処理について説明する為の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置111の構成例について説明するための説明図である。紙葉類処理装置111は、紙葉類を検査し、再流通可能な紙葉類を結束する。
【0019】
図1に示すように、紙葉類処理装置111は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作・表示パネル137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0020】
投入部112は、紙葉類を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作・表示パネル137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作・表示パネル137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置111は、操作・表示パネル137に表示されるボタンと、操作・表示パネル137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0021】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置111により再流通不可と判断された紙葉類がスタックされる集積部から紙葉類を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。
【0022】
また、図2に示すように、紙葉類処理装置111は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至132、裁断部133、及びスタッカ134を備えている。また、紙葉類処理装置111は、紙葉類処理装置111の各部の動作を統合的に制御する主制御部151を備えている。
【0023】
取出部113は、投入部の上部に設けられている。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類は、搬送路115に導入される。
【0024】
搬送路115は、紙葉類を紙葉類処理装置111内の各部に搬送する搬送部である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0025】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び光検出装置135を備えている。検査部116は、紙葉類の光学的特徴情報、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置111は、紙葉類の種類を判定する。また、紙葉類処理装置111は、紙葉類の汚棄損の度合いを判定する。また、紙葉類処理装置111は、紙葉類の表と裏とを判定する。またさらに、紙葉類処理装置111は、紙葉類の真偽を判定する。
【0026】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、CCDカメラを備える。紙葉類処理装置111は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0027】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置111は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作・表示パネル137に表示する。
【0028】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置111は、紙葉類の2枚取りを検出する。
【0029】
光検出装置135は、搬送路115を搬送される紙葉類から蛍光を検出し、蛍光印刷情報を取得する。光検出装置135については後で詳細を説明する。
【0030】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類の磁気的な特徴情報を検出する。
【0031】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0032】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、主制御部151は、検査部116による検査の結果、正規の紙葉類(Legal sheet)ではないと判定された紙葉類(illegal sheet)、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するようにゲート120を切り替える。
【0033】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類は、取出口139から取り出すことができる。
【0034】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類を所定枚数毎に結束して格納する。
【0035】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類を裁断して収納する。なお、ゲート125に搬送される紙葉類は、正規の紙葉類であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類である。また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0036】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類の枚数を計数する。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置111の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
図3に示すように、装置全体を統合的に制御する主制御部151に検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、操作・表示パネル137、及びキーボード140などが接続されている。
【0038】
主制御部151は、紙葉類処理装置111の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作・表示パネル137により入力される操作信号、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0039】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、光検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0040】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面の画像を読み取る。厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類の厚みを検査する。
【0041】
光検出装置135は、搬送路115を搬送される紙葉類から蛍光を検出し、蛍光印刷情報を取得する。
【0042】
その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類から磁気的な特徴情報を検出する。
【0043】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0044】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0045】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、前記排除集積部127及び集積・結束部128〜131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類の集積、及び結束の制御を行なう。
【0046】
本実施形態に係る紙葉類処理装置111により処理する紙葉類上には、例えば、蛍光体を含有する蛍光インクにより印刷された蛍光印刷情報が印刷されているとする。
【0047】
図4は、図2及び図3に示す光検出装置135の構成を模式的に示す説明図である。
図4に示すように、光検出装置135は、搬送ローラ1及び図示しない搬送ベルトなどにより構成される搬送路115の近傍に設けられる。搬送路115は、紙葉類Pを矢印aの方向に搬送する。
【0048】
光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、温度センサ6、及び蛍光基準板10を備える。また、光検出装置135は、図示しない制御部をさらに備える。制御部は、照明部3、蛍光検出部4、及び温度センサ6の動作を制御する。
【0049】
照明部3は、例えば、紫外線などの励起光を照射する。照明部3は、搬送路115により搬送される紙葉類Pに対して励起光を照射する。照明部3は、少なくとも蛍光検出部4の検出範囲(検出位置)を含む範囲に対して光を照射する。
【0050】
照明部3は、例えば、紫外線を出力する蛍光灯、または冷陰極管を備える。照明部3は、高周波の電圧を受けることにより、連続して紫外線を照射することができる。
【0051】
また、近年、LED照明が高輝度化している。照明部3は、紙葉類Pの搬送方向aと直交する方向に複数配列されるLED照明により構成されていてもよい。また、照明部3は、水銀ランプ等の紫外線を含む光を照射する光源により、検出位置に合わせて光を照射する照明装置を用いてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、紫外線を照射することにより光を発する蛍光体を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、光検出装置135により検出する紙葉類は、他の帯域の光により励起される蛍光を検出する構成であってもよい。この場合、光検出装置135の照明部3は、検出する蛍光体の特性に応じて適宜変更される。
【0053】
蛍光検出部4は、例えば、CMOS、またはCCDなどを用いたラインイメージセンサと光を受光するレンズとを備える。レンズは、搬送路115上の所定の検出位置から光を受光する。レンズは、受光した光をラインイメージセンサに結像させる。センサは、受光した光を電気信号に変換する。
【0054】
蛍光検出部4は、検出した光について色分解を行う場合、カラーラインイメージセンサ等のアレイ型センサを備える。また、蛍光検出部4は、色分解を行う必要がない場合、モノクロイメージセンサ、またはフォトダイオードアレイ等により構成されていてもよい。
【0055】
また、蛍光検出部4は、例えば、裏面入射型のイメージセンサを備えていてもよい。またさらに、蛍光検出部4は、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサなどを備えていてもよい。
【0056】
上記の蛍光検出部4のイメージセンサは、一次元センサであり、搬送される紙葉類から光を受光することにより、二次元的な画像を取得する。しかし、センサの主走査方向に幅を持たせる必要がない場合、蛍光検出部4は、単一の受光素子により構成されていてもよい。単一の受光素子は、検出位置から時間的に連続して光を受光し、受光した光を1つの電気信号に変換する。
【0057】
例えば、蛍光検出部4が単一の受光素子である場合、蛍光検出部4は、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photodiode)、または光電子増倍管(Photo Multiplier)などにより構成されてもよい。
【0058】
温度センサ6は、紙葉類処理装置111内の環境温度を検出する。温度センサ6は、環境温度を検出する環境温度検出手段として機能する。光検出装置135は、温度センサ6により、搬送される紙葉類Pの温度を特定する。温度センサ6は、特定した温度に応じたレベルの信号の生成し、制御部に入力する。
【0059】
温度センサ6は、例えば、搬送路115の近傍の空気の温度を検出する。また、温度センサ6は、例えば、放射温度計などにより紙葉類Pの温度を検出する構成であってもよい。放射温度計は、紙葉類Pから放射される赤外線などの放射量を検出することにより、非接触で紙葉類Pの温度を検出する。
【0060】
蛍光基準板10は、蛍光検出部4により検出する蛍光の信号を補正する為の基準光を蛍光検出部4に与える。即ち、蛍光基準板10は、蛍光検出部4に基準光を与える基準部材として機能する。蛍光基準板10は、搬送路115を挟んで蛍光検出部4と対向する位置に設置される。また、蛍光基準板10は、少なくとも蛍光検出部4と蛍光検出部4の検出位置とを結ぶ線の延長線上に設置される。
【0061】
蛍光基準板10は、例えば蛍光体を含有するガラス(蛍光ガラス)などを備える。例えば紫外線が蛍光ガラスに照射される場合、蛍光ガラスに含まれる蛍光体は、蛍光を発する。即ち、蛍光基準板10に励起光が照射された場合、蛍光基準板10は、蛍光を蛍光検出部4に対して発する。即ち、蛍光検出部4の検出位置に紙葉類Pが存在しない場合、蛍光検出部4は、蛍光基準板11からの基準光を受光する。蛍光検出部4は、基準光を電気信号に変換し、基準信号を取得する。なお、蛍光基準板10の蛍光体は、温度により輝度が変化しない安定した温度特性を有すると仮定する。即ち、蛍光基準板10の発光量は、温度により変動しない。
【0062】
図5は、図4に示す光検出装置135の信号処理系の構成について示すブロック図である。
上記したように、光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、及び温度センサ6の動作を制御する制御部8を備える。
【0063】
制御部8は、光検出装置135の全体の制御を司るものである。制御部8は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。制御部8は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。
【0064】
例えば、制御部8は、蛍光検出部4により光を検出するタイミング、及び温度センサ6により環境温度を検出するタイミングをそれぞれ制御する。制御部8は、さらに、蛍光検出部4、及び温度センサ6により検出する検出信号に関する信号処理を行う。
【0065】
また、制御部8は、判定基準としての基準値(基準データ)と、紙葉類Pから検出する信号とを比較する。制御部8は、比較結果に基づいて、紙葉類P上に蛍光印刷情報が存在するか否かを判定する。
【0066】
制御部8は、アンプ81、アナログディジタル変換器(A/D変換器)82、第1の補正処理部83、アンプ84、アナログディジタル変換器(A/D変換器)85、第2の補正処理部86、温度特性メモリ87、判別モジュール88、及び判定基準メモリ89を具備する。
【0067】
蛍光検出部4は、所定の検出位置から蛍光を検出し、検出した光に応じて信号を生成する。蛍光検出部4は、検出した信号を制御部8のアンプ81に入力する。アンプ81は、蛍光検出部4により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ81は、増幅した信号をアナログディジタル変換器82に送信する。
【0068】
アナログディジタル変換器82は、アンプ81により増幅したアナログ信号をディジタル信号に変換する。即ち、アナログディジタル変換器82は、受信した信号をサンプリングし、ディジタル信号を取得する。ここで取得されるディジタル信号は、蛍光検出部4により検出される1ライン分の光に対応する。アナログディジタル変換器82は、上記の処理を連続して行うことにより、蛍光基準板10の信号、または紙葉類Pの信号を取得する。アナログディジタル変換器82は、取得したディジタル信号を第1の補正処理部83に送信する。
【0069】
第1の補正処理部83は、入力されるディジタル信号に対して第1の補正処理を行う。即ち、第1の補正処理部83は、蛍光基準板10の信号の値と、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正乗数は、蛍光基準板10の信号の値の、予め設定される基準値に対する倍率である。
【0070】
第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号、及び紙葉類Pの信号を増幅する。第1の補正処理部83は、第1の補正処理を施した信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0071】
温度センサ6は、上記した方法により環境温度を検出し、検出した環境温度に応じて信号を生成する。温度センサ6は、検出した信号を制御部8のアンプ84に入力する。アンプ84は、温度センサ6により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ84は、増幅した信号をアナログディジタル変換器85に送信する。
【0072】
アナログディジタル変換器85は、アンプ84により増幅したアナログ信号をディジタル信号(環境温度データ)に変換する。アナログディジタル変換器85は、変換したディジタル信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0073】
第2の補正処理部86は、第1の補正処理部83から送信される第1の補正処理が施された信号に対して、第2の補正処理を施す。上記したように、蛍光体は、温度により励起発光量が変動する。温度特性メモリ87は、温度による発光量の変動を補正する為の第2の補正乗数(媒体温度補正乗数)を記憶する。即ち、温度特性メモリ87は、媒体温度補正乗数を記憶する媒体温度特性記憶手段として機能する。
【0074】
図6は、図5に示す温度特性メモリ87の例について説明する為の説明図である。
図6に示すように、温度特性メモリ87は、環境温度と補正乗数(第2の補正乗数)とを対応付けて記憶する。温度特性メモリ87に記憶される補正乗数は、予め紙葉類Pに塗布されている蛍光体の特性に応じて設定されるものである。即ち、温度特性メモリ87に記憶される補正乗数は、各紙葉類Pの種類毎に設定される。図6に示すように、温度特性メモリ87は、A券、B券、C券、D券、及びE券それぞれについて環境温度と補正乗数とを対応付けて記憶する。
【0075】
第2の補正処理部86は、アナログディジタル変換器85から送信される環境温度データに基づいて温度特性メモリ87を参照する。第2の補正処理部86は、環境温度データが示す環境温度に応じた第2の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す。
【0076】
なお、ここでは、紙葉類Pの券種が予め画像読取装置117、画像読取装置118などの検出結果に基づいて特定されていると仮定する。しかし、予め処理する紙葉類Pの券種を指定し、指定した券種の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す構成であってもよい。
【0077】
第2の補正処理部86は、読み出した第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの信号を増幅する。なお、第2の補正処理部86は、第2の補正処理を施した信号を判別モジュール88に送信する。
【0078】
判別モジュール88は、第2の補正処理部86から送信される信号と、判定基準メモリ89に記憶されている基準値とを比較することにより、紙葉類Pに蛍光印刷が施されているか否かを判定する。
【0079】
判定基準メモリ89は、判定基準としての基準値を予め記憶する。この基準値は、予め真券であると判定した紙葉類Pから検出される信号の値である。判別モジュール88は、例えば、基準値と、紙葉類Pから取得する信号との類似度を算出することにより、比較を行う。
【0080】
なお、蛍光検出部4により二次元的な画像を検出する場合、判定基準メモリ89は、判定基準としての基準画像(基準データ)を予め記憶する。この場合、判別モジュール88は、基準画像と、紙葉類Pから取得する画像との類似度を算出することにより、比較を行う。
【0081】
図7は、図4及び図5に示す光検出装置135における補正処理について説明する為の説明図である。
図7Aに示すように紙葉類Pは、蛍光印刷701が施されている。蛍光検出部4は、図7Aに示す検出エリアから蛍光を検出する。なお、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在しない場合、蛍光基準板10から放射される蛍光を検出する。また、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在する場合、紙葉類P上の蛍光体から放射される蛍光を検出する。
【0082】
図7Bは、蛍光検出部4により検出する蛍光出力について示す図である。グラフ702は、蛍光検出部4により蛍光基準板10及び紙葉類Pから検出した信号を示すグラフである。横軸は、蛍光検出部4の検出位置を示す。即ち、図7Aの紙葉類P上の位置と蛍光検出部4の検出位置とが対応している。縦軸は、蛍光検出部4により検出する信号の強度を示す。
【0083】
蛍光検出部4は、紙葉類Pが蛍光検出部4の検出位置に到達するまでの間(t1以前)に、蛍光基準板10からの蛍光を検出する。
【0084】
また、蛍光検出部4は、紙葉類Pが通過するまでの間(t1〜t4)に、紙葉類P上の蛍光体からの蛍光を検出する。なお、紙葉類P上のt1乃至t2、及びt3乃至t4の領域には、蛍光印刷が施されていない。この為、蛍光検出部4は、ほぼ0に近い小さいレベルの信号を出力する。
【0085】
また、紙葉類P上のt2乃至t3の領域には、蛍光印刷701が施されている。この為、蛍光検出部4は、検出する蛍光の強度に応じたレベルの信号を出力する。
【0086】
図7Cは、第1の補正処理について説明する為の図である。図7Cに示すグラフ703は、照明部3の発光量の変化、または、蛍光検出部4のセンサの感度の変化により出力が低下したグラフである。
【0087】
第1の補正処理部83は、t1以前のデータ、即ち、蛍光基準板10の信号の値と、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号、及び紙葉類Pの信号を増幅する。即ち、第1の補正処理部83は、t1以前、t1乃至t4、及びt4以降の全ての領域において、取得信号に対して第1の補正処理を行う。
【0088】
図7Dは、第2の補正処理について説明する為の図である。図7Dに示すグラフ704及びグラフ705は、紙葉類Pの蛍光体の温度の変化により、出力が変動したグラフである。
【0089】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に応じた第2の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す。第2の補正処理部86は、読み出した第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの信号を増幅する。即ち、第2の補正処理部86は、t1乃至t4の領域において、信号に対して第2の補正処理を行う。
【0090】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、紙葉類Pの蛍光体の温度と発光量との関係に基づいて算出した第2の補正乗数を予め記憶する。光検出装置135は、温度センサ6により環境温度を逐次検出する。光検出装置135は、検出した環境温度に応じて第2の補正乗数を決定し、決定した補正乗数を用いて紙葉類Pの蛍光信号の補正を行う。
【0091】
これにより、蛍光検出部4により検出する信号が紙葉類Pの温度変動の為に変動する場合であっても、適切に補正を行う事ができる。この結果、より高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0092】
なお、上記した実施形態では、蛍光基準板10の蛍光体は、温度により輝度が変化しない安定した温度特性を有する蛍光体であるとして説明した。しかし、安定した温度特性を有する蛍光基準板10を光検出装置135に用いることが出来ない場合がある。
【0093】
例えば、光検出装置135により検出する紙葉類Pの蛍光体と蛍光基準板10の蛍光体とで蛍光の帯域が一致しない場合、光検出装置135は、第1の補正処理を適切に行う事ができない。しかし、安定した温度特性を有する蛍光基準板10は、種類が限られている。この為、温度により輝度が変化する蛍光基準板を使う必要がある場合がある。
【0094】
図8は、本発明の第2実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明する為の説明図である。なお、第1の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0095】
図8に示す光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、温度センサ6、温度センサ7、及び蛍光基準板11を備える。また、光検出装置135は、制御部8をさらに備える。
【0096】
蛍光基準板11は、蛍光検出部4により検出する蛍光の信号を補正する為の基準光を蛍光検出部4に与える。即ち、蛍光基準板11は、蛍光検出部4に基準光を与える基準部材として機能する。蛍光基準板11は、搬送路115を挟んで蛍光検出部4と対向する位置に設置される。また、蛍光基準板11は、少なくとも蛍光検出部4と蛍光検出部4の検出位置とを結ぶ線の延長線上に設置される。
【0097】
蛍光基準板11は、例えば蛍光体を有する発行面を備える。例えば紫外線が発行面に照射される場合、発行面に含まれる蛍光体は、蛍光を発する。即ち、蛍光基準板11に励起光が照射された場合、蛍光基準板11は、蛍光を蛍光検出部4に対して発する。即ち、蛍光検出部4の検出位置に紙葉類Pが存在しない場合、蛍光検出部4は、蛍光基準板11からの基準光を受光する。蛍光検出部4は、基準光を電気信号に変換し、基準信号を取得する。なお、蛍光基準板11の蛍光体は、温度特性を有する。即ち、蛍光基準板11の発光量は、温度により変動する。
【0098】
温度センサ7は、蛍光基準板11の温度を検出する。温度センサ7は、基準板の温度を検出する基準板温度検出手段として機能する。光検出装置135は、温度センサ7により、蛍光基準板11の温度を検出し、蛍光基準板11の蛍光体の温度消光の度合いを特定する。温度センサ7は、検出した温度に応じたレベルの信号の生成し、制御部8に入力する。
【0099】
温度センサ7は、例えば、蛍光基準板11に接触して温度を検出する。また、温度センサ7は、例えば、放射温度計などにより蛍光基準板11の温度を検出する構成であってもよい。放射温度計は、蛍光基準板11から放射される赤外線などの放射量を検出することにより、非接触で蛍光基準板11の温度を検出する。
【0100】
図9は、図8に示す光検出装置135の信号処理系の構成について示すブロック図である。
上記したように、光検出装置135は、照明部3と蛍光検出部4と温度センサ6と温度センサ7との動作を制御する制御部8を備える。
【0101】
制御部8は、アンプ81、アナログディジタル変換器82、第1の補正処理部83、アンプ84、アナログディジタル変換器85、第2の補正処理部86、温度特性メモリ87、判別モジュール88、判定基準メモリ89、アンプ91、アナログディジタル変換器92、第3の補正処理部93、及び温度特性メモリ94を具備する。
【0102】
蛍光検出部4は、所定の検出位置から蛍光を検出し、検出した光に応じて信号を生成する。蛍光検出部4は、検出した信号を制御部8のアンプ81に入力する。アンプ81は、蛍光検出部4により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ81は、増幅した信号をアナログディジタル変換器82に送信する。
【0103】
アナログディジタル変換器82は、アンプ81により増幅したアナログ信号をディジタル信号に変換する。即ち、アナログディジタル変換器82は、受信した信号をサンプリングし、ディジタル信号を取得する。ここで取得されるディジタル信号は、蛍光検出部4により検出される1ライン分の光に対応する。アナログディジタル変換器82は、上記の処理を連続して行うことにより、蛍光基準板10の信号(基準信号)、または紙葉類Pの信号を取得する。アナログディジタル変換器82は、取得したディジタル信号を第3の補正処理部93に送信する。
【0104】
温度センサ7は、上記した方法により蛍光基準板11の温度を検出し、検出した温度に応じて信号を生成する。温度センサ7は、検出した信号を制御部8のアンプ91に入力する。アンプ91は、温度センサ7により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ91は、増幅した信号をアナログディジタル変換器92に送信する。
【0105】
アナログディジタル変換器92は、アンプ91により増幅したアナログ信号をディジタル信号(基準板温度データ)に変換する。アナログディジタル変換器92は、変換したディジタル信号を第3の補正処理部93に送信する。
【0106】
第3の補正処理部93は、アナログディジタル変換器82から送信される蛍光基準板10の基準信号に対して、第3の補正処理を施す。即ち、第3の補正処理部93は、アナログディジタル変換器82から送信される蛍光基準板10の信号及び紙葉類Pの信号のうち、蛍光基準板10の信号にのみ補正を行う。
【0107】
上記したように、蛍光基準板11の蛍光体は、温度により励起発光量が変動する。この為、温度特性メモリ94は、温度による発光量の変動を補正する為の第3の補正乗数(基準板温度補正乗数)を記憶する。即ち、温度特性メモリ94は、基準板温度補正乗数を記憶する基準板温度特性記憶手段として機能する。
【0108】
図10は、図9に示す温度特性メモリ94の例について説明する為の説明図である。
図10に示すように、温度特性メモリ94は、蛍光基準板11の温度と補正乗数(第3の補正乗数)とを対応付けて記憶する。温度特性メモリ94に記憶される補正乗数は、予め蛍光基準板11に含まれる蛍光体の特性に応じて設定されるものである。
【0109】
第3の補正処理部93は、アナログディジタル変換器92から送信される蛍光基準板11の温度データに基づいて温度特性メモリ94を参照する。第3の補正処理部93は、蛍光基準板11の温度データが示す温度に応じた第3の補正乗数を温度特性メモリ94から読み出す。
【0110】
第3の補正処理部93は、読み出した第3の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号を増幅する。なお、第3の補正処理部93は、第3の補正処理を施した蛍光基準板10の信号を第1の補正処理部83に送信する。また、第3の補正処理部93は、補正処理を行っていない紙葉類Pの信号を第1の補正処理部83に送信する。
【0111】
第1の補正処理部83は、入力される蛍光基準板10の信号の値と、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正乗数は、蛍光基準板10の信号の値の、予め設定される基準値に対する倍率である。
【0112】
第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号、及び紙葉類Pの信号を増幅する。第1の補正処理部83は、第1の補正処理を施した信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0113】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に基づいて温度特性メモリ87を参照し、第2の補正乗数を特定する。第2の補正処理部86は、第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの信号を増幅する。第2の補正処理部86は、第2の補正処理を施した信号を判別モジュール88に送信する。
【0114】
判別モジュール88は、第2の補正処理部86から送信される信号と、判定基準メモリ89に記憶されている基準データ(基準値)とを比較することにより、紙葉類Pに蛍光印刷が施されているか否かを判定する。
【0115】
図11は、図8及び図9に示す光検出装置135における補正処理について説明する為の説明図である。
図11Aに示すように紙葉類Pは、蛍光印刷701が施されている。蛍光検出部4は、図11Aに示す検出エリアから蛍光を検出する。なお、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在しない場合、蛍光基準板11から放射される蛍光を検出する。また、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在する場合、紙葉類P上の蛍光体から放射される蛍光を検出する。
【0116】
図11Bは、蛍光検出部4により検出する蛍光出力について示す図である。グラフ702は、蛍光検出部4により蛍光基準板11及び紙葉類Pから検出した信号を示すグラフである。横軸は、蛍光検出部4の検出位置を示す。即ち、図11Aの紙葉類P上の位置と蛍光検出部4の検出位置とが対応している。縦軸は、蛍光検出部4により検出する信号の強度を示す。
【0117】
蛍光検出部4は、紙葉類Pが蛍光検出部4の検出位置に到達するまでの間(t1以前)に、蛍光基準板11からの蛍光を検出する。
【0118】
また、蛍光検出部4は、紙葉類Pが通過するまでの間(t1〜t4)に、紙葉類P上の蛍光体からの蛍光を検出する。なお、紙葉類P上のt1乃至t2、及びt3乃至t4の領域には、蛍光印刷が施されていない。この為、蛍光検出部4は、ほぼ0に近い小さいレベルの信号を出力する。
【0119】
また、紙葉類P上のt2乃至t3の領域には、蛍光印刷701が施されている。この為、蛍光検出部4は、検出する蛍光の強度に応じたレベルの信号を出力する。
【0120】
図11Cは、第3の補正処理について説明する為の図である。図11Cに示すグラフ706は、温度変化による蛍光基準板11の発光量が変化、照明部3の発光量の変化、及び、蛍光検出部4のセンサの感度の変化により出力が低下したグラフである。
【0121】
第3の補正処理部93は、温度センサ7により検出する蛍光基準板11の温度に応じた第3の補正乗数を温度特性メモリ94から読み出す。第3の補正処理部93は、読み出した第3の補正乗数を用いて蛍光基準板11の信号を増幅する。即ち、第3の補正処理部93は、t1以前の領域において、信号に対して第3の補正処理を行う。これにより、蛍光基準板11の温度変化による発光量の変動を補正したグラフ707を特定することが出来る。
【0122】
図11Dは、第1の補正処理について説明する為の図である。図11Dに示すグラフ707は、第3の補正処理が施されたグラフ707である。即ち、グラフ707は、照明部3の発光量の変化、及び、蛍光検出部4のセンサの感度の変化により出力が低下したグラフである。
【0123】
第1の補正処理部83は、上記した第1の実施形態と同様に、第1の補正処理を行う。第1の補正処理部83は、グラフ707におけるt1以前のデータと、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いてグラフ707の全体を増幅する。
【0124】
また、第2の補正処理部86は、上記した第1の実施形態と同様に、紙葉類Pの信号に対して第2の補正処理を行う。
【0125】
即ち、制御部8は、蛍光基準板11の信号に対して第3の補正処理を行い、蛍光基準板11の信号及び紙葉類Pの信号に対して第1の補正処理を行い、紙葉類Pの信号に対して、第2の補正処理を行う。
【0126】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、温度特性を有する蛍光基準板11の蛍光体の温度と発光量との関係に基づいて算出した第3の補正乗数を予め記憶する。光検出装置135は、蛍光基準板11の温度を検出し、検出した温度に応じて第3の補正乗数を決定し、決定した補正乗数を用いて蛍光基準板11の信号に対して第3の補正処理を行う。光検出装置135は、第3の補正処理を施した信号に基づいて、第1の補正処理を行う。
【0127】
これにより、蛍光基準板11が温度特性を有する場合であっても、蛍光基準板11の発光量の変動に応じて補正を行うことができる。この結果、より高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0128】
なお、上記した第1及び第2の実施形態では、紙葉類Pに施されている蛍光印刷を検出するとして説明した。しかし、紙葉類Pにさらに燐光印刷が施されている場合がある。蛍光印刷情報及び燐光印刷情報をそれぞれ検出する光検出装置も実用化されている。以下、紙葉類Pに蛍光印刷情報(第1の印刷情報)、及び燐光印刷情報(第2の印刷情報)が印刷されていると仮定して説明する。
【0129】
図12は、本発明の第3実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明する為の説明図である。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0130】
図12に示す光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、残光検出部5、温度センサ6、及び蛍光基準板10を備える。また、光検出装置135は、制御部8をさらに備える。
【0131】
蛍光印刷情報は、上記したように、蛍光体を含むインク(蛍光インク)により印刷された情報である。燐光印刷情報は、燐光体を含むインク(燐光インク)により印刷された情報である。燐光体は、励起光源から射出される励起光(例えば紫外線)などにより励起される。励起された燐光体は、光を発する状態になる。励起光の照射が中断された場合、燐光体は、時間とともに徐々に減衰する光(残光)を発する状態になる。
【0132】
光検出装置135は、紙葉類Pに対して照明部3から励起光を照射して蛍光体及び燐光体を励起させる。蛍光検出部4は、励起された蛍光体から発せられる蛍光を検出し、蛍光印刷情報を読み取る。
【0133】
また、残光検出部5は、照明部3による励起光の照射が中断された後に燐光体から発せられる残光を検出し、燐光印刷情報を読み取る。残光検出部5は、蛍光検出部4より下流側に設けられる。残光検出部5は、少なくとも照明部3から照射される光が届かない位置を検出位置として検出処理を行う。なお、残光検出部5は、蛍光検出部4と同様の構成を有する。
【0134】
図13は、図12に示す光検出装置135の信号処理系の構成について示すブロック図である。なお、蛍光検出部4により検出する信号に対する処理は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0135】
上記したように、光検出装置135は、照明部3と蛍光検出部4と残光検出部5と温度センサ6との動作を制御する制御部8を備える。
【0136】
制御部8は、アンプ81、アナログディジタル変換器82、第1の補正処理部83、アンプ84、アナログディジタル変換器85、第2の補正処理部86、温度特性メモリ87、判別モジュール88、判定基準メモリ89、アンプ95、及びアナログディジタル変換器96を具備する。
【0137】
残光検出部5は、所定の検出位置から残光を検出し、検出した光に応じて信号を生成する。残光検出部5は、検出した信号を制御部8のアンプ95に入力する。アンプ95は、残光検出部5により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ95は、増幅した信号をアナログディジタル変換器96に送信する。
【0138】
アナログディジタル変換器96は、アンプ95により増幅したアナログ信号をディジタル信号に変換する。即ち、アナログディジタル変換器96は、受信した信号をサンプリングし、ディジタル信号を取得する。ここで取得されるディジタル信号は、残光検出部5により検出される1ライン分の残光に対応する。アナログディジタル変換器96は、上記の処理を連続して行うことにより、紙葉類Pの信号(残光信号)を取得する。アナログディジタル変換器96は、取得した信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0139】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に基づいて温度特性メモリ87を参照し、第2の補正乗数を特定する。第2の補正処理部86は、第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの残光信号を増幅する。第2の補正処理部86は、第2の補正処理を施した信号を判別モジュール88に送信する。
【0140】
判別モジュール88は、第2の補正処理部86から送信される残光信号と、判定基準メモリ89に記憶されている基準データ(基準値)とを比較することにより、紙葉類Pに燐光印刷が施されているか否かを判定する。
【0141】
判定基準メモリ89は、判定基準としての基準データを予め記憶する。基準データは、予め真券であると判定した紙葉類Pから検出される残光信号である。判別モジュール88は、例えば、基準データと、紙葉類Pの残光信号との類似度を算出することにより、比較を行う。
【0142】
図14は、図12及び図13に示す光検出装置135における補正処理について説明する為の説明図である。
図14Aに示すように紙葉類Pは、燐光印刷708が施されている。残光検出部5は、図14Aに示す検出エリアから残光を検出する。残光検出部5は、残光検出部5の検出位置に紙葉類Pが存在する場合、紙葉類P上の燐光体から放射される燐光を検出する。
【0143】
図14Bは、残光検出部5により検出する残光出力について示す図である。グラフ709は、残光検出部5により紙葉類Pから検出した信号を示すグラフである。横軸は、残光検出部5の検出位置を示す。即ち、図14Aの紙葉類P上の位置と残光検出部5の検出位置とが対応している。縦軸は、残光検出部5により検出する信号の強度を示す。
【0144】
残光検出部5は、紙葉類Pが通過するまでの間(t1〜t4)に、紙葉類P上の燐光体から放射される残光を検出する。なお、紙葉類P上のt1乃至t2、及びt3乃至t4の領域には、燐光印刷708が施されていない。この為、残光検出部5は、ほぼ0に近い小さいレベルの信号を出力する。
【0145】
また、紙葉類P上のt2乃至t3の領域には、燐光印刷708が施されている。この為、残光検出部5は、検出する残光の強度に応じたレベルの信号を出力する。
【0146】
図14Cは、第2の補正処理について説明する為の図である。図14Cに示すグラフ710は、温度変化により紙葉類Pの燐光体が放射する光の発光量が変化したグラフである。
【0147】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に応じた第2の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す。第2の補正処理部86は、読み出した第2の補正乗数を用いて残光信号を増幅する。即ち、第2の補正処理部86は、t1乃至t4の領域において、信号に対して第2の補正処理を行う。
【0148】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、蛍光を検出する蛍光検出部4と、燐光を検出する残光検出部5とを備える。光検出装置135は、蛍光検出部4により検出する蛍光信号に対して第1の補正処理及び第2の補正処理を行う。また、光検出装置135は、残光検出部5により検出する残光信号に対して第2の補正処理を行う。光検出装置135は、補正処理を施した蛍光信号に基づいて、蛍光印刷が紙葉類P上に存在するか否かを判定する。また、光検出装置135は、補正処理を施した残光信号に基づいて、燐光印刷が紙葉類P上に存在するか否かを判定する。
【0149】
これにより、紙葉類Pから残光信号を検出する場合であっても、燐光体の発光量の変動に応じて信号の補正を行うことができる。この結果、より高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0150】
なお、上記の第1乃至第3の補正処理は、補正する対象が一次元的に取得した信号であっても、二次元的に取得した画像であっても同様に実施することが出来る。
【0151】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1…搬送ローラ、3…照明部、4…蛍光検出部、5…残光検出部、6…温度センサ、7…温度センサ、8…制御部、10…蛍光基準板、11…蛍光基準板、81…アンプ、82…アナログディジタル変換器、83…第1の補正処理部、84…アンプ、85…アナログディジタル変換器、86…第2の補正処理部、87…温度特性メモリ、88…判別モジュール、89…判定基準メモリ、91…アンプ、92…アナログディジタル変換器、93…第3の補正処理部、94…温度特性メモリ、95…アンプ、96…アナログディジタル変換器、111…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される紙葉類から光を検出する光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の種々の紙葉類の計数鑑別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、光検出装置に搬送する。光検出装置は、紙葉類から光を検出し、検出した光に基づいて画像を取得する。紙葉類処理装置は、取得した画像に基づいて、紙葉類の種類と真偽とを判定する。またさらに、紙葉類処理装置は、取得した画像に基づいて、紙葉類が再流通可能であるか否かを判定する。紙葉類処理装置は、判定結果に基づいて紙葉類を種類毎に区分して集積する。
【0003】
紙葉類処理装置により処理する紙葉類には、蛍光印刷情報が印刷されている。蛍光印刷情報は、蛍光体を含むインク(蛍光インク)により印刷された情報である。蛍光体は、励起光源から射出される励起光(例えば紫外線)などにより励起される。励起された蛍光体は、光(蛍光)を発する状態になる。励起光の照射が中断された場合、蛍光体は、蛍光を発しない状態になる。
【0004】
紙葉類処理装置は、この蛍光印刷情報を読み取るための蛍光検出装置を備える。蛍光検出装置は、励起光を紙葉類に照射する励起光源と、蛍光を検出するセンサとを備える。蛍光検出装置は、紙葉類に対して励起光源から励起光を照射して蛍光体を励起させる。蛍光検出装置は、励起された蛍光体から発せられる蛍光をセンサにより検出し、蛍光印刷情報を読み取る。
【0005】
一般的に、光検出装置に用いられる励起光源は、経年により発光量が変化する。また、センサも、感度が変化する場合がある。例えば、感度及び発光量などが変化した状態で光検出装置により紙葉類を検出する場合、正確な結果を得ることができない場合があるという問題がある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載されている検査装置は、センサの検出位置に蛍光基準板を備える。この蛍光基準板は、蛍光体を含有する部材である。検査装置は、蛍光基準板に対して励起光を照射し、蛍光基準板から発せられる蛍光を検出する。検査装置は、蛍光基準板から検出する蛍光の発光量に基づいて、センサにより検出する信号の補正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−265104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、紙葉類処理装置により紙葉類から蛍光印刷情報を取得する場合、紙葉類を1枚ずつ取り込み、内部の搬送路を搬送させる。上記の蛍光検出装置は、この搬送路の近傍に設置され、搬送される紙葉類から蛍光印刷情報を取得する。
【0009】
紙葉類の蛍光印刷情報に用いられている蛍光体は、温度により蛍光体が発する蛍光の発光量が変化する温度特性(温度消光)を有する。
【0010】
紙葉類処理装置は、季節、及び稼動時間などの条件により、内部の温度が変化する。この為、紙葉類処理装置により処理する紙葉類の温度も変化する。紙葉類の温度が変化する場合、紙葉類上の蛍光体の温度も変化する。この為、紙葉類上の蛍光体から発せられる蛍光の発光量が変化する。
【0011】
即ち、従来の検査装置は、蛍光検出装置が紙葉類の蛍光体から検出する信号のレベルが温度によりばらつくという問題がある。蛍光検出装置により検出する信号がばらつく場合、検査装置は、厳密な検査を行うことができないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態としての光検出装置は、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、を具備する。
【0014】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、判定基準としての基準画像を記憶する判定基準記憶手段と、前記第2の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像と、前記判定基準記憶手段に記憶されている前記基準画像とに基づいて、前記紙葉類に蛍光印刷情報が施されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、を具備する。
【発明の効果】
【0015】
この発明の一形態によれば、高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る光検出装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、図4に示す光検出装置の信号処理系の構成について示すブロック図である。
【図6】図6は、図5に示す温度特性メモリの記憶する情報について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、図4に示す光検出装置における補正処理について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る光検出装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】図9は、図8に示す光検出装置の信号処理系の構成について示すブロック図である。
【図10】図10は、図9に示す温度特性メモリの記憶する情報について説明する為の説明図である。
【図11】図11は、図8に示す光検出装置における補正処理について説明する為の説明図である。
【図12】図12は、第1の実施形態に係る光検出装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図13】図13は、図12に示す光検出装置の信号処理系の構成について示すブロック図である。
【図14】図14は、図12に示す光検出装置における補正処理について説明する為の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置111の構成例について説明するための説明図である。紙葉類処理装置111は、紙葉類を検査し、再流通可能な紙葉類を結束する。
【0019】
図1に示すように、紙葉類処理装置111は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作・表示パネル137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0020】
投入部112は、紙葉類を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作・表示パネル137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作・表示パネル137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置111は、操作・表示パネル137に表示されるボタンと、操作・表示パネル137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0021】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置111により再流通不可と判断された紙葉類がスタックされる集積部から紙葉類を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。
【0022】
また、図2に示すように、紙葉類処理装置111は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至132、裁断部133、及びスタッカ134を備えている。また、紙葉類処理装置111は、紙葉類処理装置111の各部の動作を統合的に制御する主制御部151を備えている。
【0023】
取出部113は、投入部の上部に設けられている。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類は、搬送路115に導入される。
【0024】
搬送路115は、紙葉類を紙葉類処理装置111内の各部に搬送する搬送部である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0025】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び光検出装置135を備えている。検査部116は、紙葉類の光学的特徴情報、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置111は、紙葉類の種類を判定する。また、紙葉類処理装置111は、紙葉類の汚棄損の度合いを判定する。また、紙葉類処理装置111は、紙葉類の表と裏とを判定する。またさらに、紙葉類処理装置111は、紙葉類の真偽を判定する。
【0026】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、CCDカメラを備える。紙葉類処理装置111は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0027】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置111は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作・表示パネル137に表示する。
【0028】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置111は、紙葉類の2枚取りを検出する。
【0029】
光検出装置135は、搬送路115を搬送される紙葉類から蛍光を検出し、蛍光印刷情報を取得する。光検出装置135については後で詳細を説明する。
【0030】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類の磁気的な特徴情報を検出する。
【0031】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0032】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、主制御部151は、検査部116による検査の結果、正規の紙葉類(Legal sheet)ではないと判定された紙葉類(illegal sheet)、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するようにゲート120を切り替える。
【0033】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類は、取出口139から取り出すことができる。
【0034】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類を所定枚数毎に結束して格納する。
【0035】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類を裁断して収納する。なお、ゲート125に搬送される紙葉類は、正規の紙葉類であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類である。また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0036】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類の枚数を計数する。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置111の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
図3に示すように、装置全体を統合的に制御する主制御部151に検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、操作・表示パネル137、及びキーボード140などが接続されている。
【0038】
主制御部151は、紙葉類処理装置111の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作・表示パネル137により入力される操作信号、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0039】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、光検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0040】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面の画像を読み取る。厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類の厚みを検査する。
【0041】
光検出装置135は、搬送路115を搬送される紙葉類から蛍光を検出し、蛍光印刷情報を取得する。
【0042】
その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類から磁気的な特徴情報を検出する。
【0043】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0044】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0045】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、前記排除集積部127及び集積・結束部128〜131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類の集積、及び結束の制御を行なう。
【0046】
本実施形態に係る紙葉類処理装置111により処理する紙葉類上には、例えば、蛍光体を含有する蛍光インクにより印刷された蛍光印刷情報が印刷されているとする。
【0047】
図4は、図2及び図3に示す光検出装置135の構成を模式的に示す説明図である。
図4に示すように、光検出装置135は、搬送ローラ1及び図示しない搬送ベルトなどにより構成される搬送路115の近傍に設けられる。搬送路115は、紙葉類Pを矢印aの方向に搬送する。
【0048】
光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、温度センサ6、及び蛍光基準板10を備える。また、光検出装置135は、図示しない制御部をさらに備える。制御部は、照明部3、蛍光検出部4、及び温度センサ6の動作を制御する。
【0049】
照明部3は、例えば、紫外線などの励起光を照射する。照明部3は、搬送路115により搬送される紙葉類Pに対して励起光を照射する。照明部3は、少なくとも蛍光検出部4の検出範囲(検出位置)を含む範囲に対して光を照射する。
【0050】
照明部3は、例えば、紫外線を出力する蛍光灯、または冷陰極管を備える。照明部3は、高周波の電圧を受けることにより、連続して紫外線を照射することができる。
【0051】
また、近年、LED照明が高輝度化している。照明部3は、紙葉類Pの搬送方向aと直交する方向に複数配列されるLED照明により構成されていてもよい。また、照明部3は、水銀ランプ等の紫外線を含む光を照射する光源により、検出位置に合わせて光を照射する照明装置を用いてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、紫外線を照射することにより光を発する蛍光体を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、光検出装置135により検出する紙葉類は、他の帯域の光により励起される蛍光を検出する構成であってもよい。この場合、光検出装置135の照明部3は、検出する蛍光体の特性に応じて適宜変更される。
【0053】
蛍光検出部4は、例えば、CMOS、またはCCDなどを用いたラインイメージセンサと光を受光するレンズとを備える。レンズは、搬送路115上の所定の検出位置から光を受光する。レンズは、受光した光をラインイメージセンサに結像させる。センサは、受光した光を電気信号に変換する。
【0054】
蛍光検出部4は、検出した光について色分解を行う場合、カラーラインイメージセンサ等のアレイ型センサを備える。また、蛍光検出部4は、色分解を行う必要がない場合、モノクロイメージセンサ、またはフォトダイオードアレイ等により構成されていてもよい。
【0055】
また、蛍光検出部4は、例えば、裏面入射型のイメージセンサを備えていてもよい。またさらに、蛍光検出部4は、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサなどを備えていてもよい。
【0056】
上記の蛍光検出部4のイメージセンサは、一次元センサであり、搬送される紙葉類から光を受光することにより、二次元的な画像を取得する。しかし、センサの主走査方向に幅を持たせる必要がない場合、蛍光検出部4は、単一の受光素子により構成されていてもよい。単一の受光素子は、検出位置から時間的に連続して光を受光し、受光した光を1つの電気信号に変換する。
【0057】
例えば、蛍光検出部4が単一の受光素子である場合、蛍光検出部4は、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photodiode)、または光電子増倍管(Photo Multiplier)などにより構成されてもよい。
【0058】
温度センサ6は、紙葉類処理装置111内の環境温度を検出する。温度センサ6は、環境温度を検出する環境温度検出手段として機能する。光検出装置135は、温度センサ6により、搬送される紙葉類Pの温度を特定する。温度センサ6は、特定した温度に応じたレベルの信号の生成し、制御部に入力する。
【0059】
温度センサ6は、例えば、搬送路115の近傍の空気の温度を検出する。また、温度センサ6は、例えば、放射温度計などにより紙葉類Pの温度を検出する構成であってもよい。放射温度計は、紙葉類Pから放射される赤外線などの放射量を検出することにより、非接触で紙葉類Pの温度を検出する。
【0060】
蛍光基準板10は、蛍光検出部4により検出する蛍光の信号を補正する為の基準光を蛍光検出部4に与える。即ち、蛍光基準板10は、蛍光検出部4に基準光を与える基準部材として機能する。蛍光基準板10は、搬送路115を挟んで蛍光検出部4と対向する位置に設置される。また、蛍光基準板10は、少なくとも蛍光検出部4と蛍光検出部4の検出位置とを結ぶ線の延長線上に設置される。
【0061】
蛍光基準板10は、例えば蛍光体を含有するガラス(蛍光ガラス)などを備える。例えば紫外線が蛍光ガラスに照射される場合、蛍光ガラスに含まれる蛍光体は、蛍光を発する。即ち、蛍光基準板10に励起光が照射された場合、蛍光基準板10は、蛍光を蛍光検出部4に対して発する。即ち、蛍光検出部4の検出位置に紙葉類Pが存在しない場合、蛍光検出部4は、蛍光基準板11からの基準光を受光する。蛍光検出部4は、基準光を電気信号に変換し、基準信号を取得する。なお、蛍光基準板10の蛍光体は、温度により輝度が変化しない安定した温度特性を有すると仮定する。即ち、蛍光基準板10の発光量は、温度により変動しない。
【0062】
図5は、図4に示す光検出装置135の信号処理系の構成について示すブロック図である。
上記したように、光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、及び温度センサ6の動作を制御する制御部8を備える。
【0063】
制御部8は、光検出装置135の全体の制御を司るものである。制御部8は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。制御部8は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。
【0064】
例えば、制御部8は、蛍光検出部4により光を検出するタイミング、及び温度センサ6により環境温度を検出するタイミングをそれぞれ制御する。制御部8は、さらに、蛍光検出部4、及び温度センサ6により検出する検出信号に関する信号処理を行う。
【0065】
また、制御部8は、判定基準としての基準値(基準データ)と、紙葉類Pから検出する信号とを比較する。制御部8は、比較結果に基づいて、紙葉類P上に蛍光印刷情報が存在するか否かを判定する。
【0066】
制御部8は、アンプ81、アナログディジタル変換器(A/D変換器)82、第1の補正処理部83、アンプ84、アナログディジタル変換器(A/D変換器)85、第2の補正処理部86、温度特性メモリ87、判別モジュール88、及び判定基準メモリ89を具備する。
【0067】
蛍光検出部4は、所定の検出位置から蛍光を検出し、検出した光に応じて信号を生成する。蛍光検出部4は、検出した信号を制御部8のアンプ81に入力する。アンプ81は、蛍光検出部4により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ81は、増幅した信号をアナログディジタル変換器82に送信する。
【0068】
アナログディジタル変換器82は、アンプ81により増幅したアナログ信号をディジタル信号に変換する。即ち、アナログディジタル変換器82は、受信した信号をサンプリングし、ディジタル信号を取得する。ここで取得されるディジタル信号は、蛍光検出部4により検出される1ライン分の光に対応する。アナログディジタル変換器82は、上記の処理を連続して行うことにより、蛍光基準板10の信号、または紙葉類Pの信号を取得する。アナログディジタル変換器82は、取得したディジタル信号を第1の補正処理部83に送信する。
【0069】
第1の補正処理部83は、入力されるディジタル信号に対して第1の補正処理を行う。即ち、第1の補正処理部83は、蛍光基準板10の信号の値と、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正乗数は、蛍光基準板10の信号の値の、予め設定される基準値に対する倍率である。
【0070】
第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号、及び紙葉類Pの信号を増幅する。第1の補正処理部83は、第1の補正処理を施した信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0071】
温度センサ6は、上記した方法により環境温度を検出し、検出した環境温度に応じて信号を生成する。温度センサ6は、検出した信号を制御部8のアンプ84に入力する。アンプ84は、温度センサ6により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ84は、増幅した信号をアナログディジタル変換器85に送信する。
【0072】
アナログディジタル変換器85は、アンプ84により増幅したアナログ信号をディジタル信号(環境温度データ)に変換する。アナログディジタル変換器85は、変換したディジタル信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0073】
第2の補正処理部86は、第1の補正処理部83から送信される第1の補正処理が施された信号に対して、第2の補正処理を施す。上記したように、蛍光体は、温度により励起発光量が変動する。温度特性メモリ87は、温度による発光量の変動を補正する為の第2の補正乗数(媒体温度補正乗数)を記憶する。即ち、温度特性メモリ87は、媒体温度補正乗数を記憶する媒体温度特性記憶手段として機能する。
【0074】
図6は、図5に示す温度特性メモリ87の例について説明する為の説明図である。
図6に示すように、温度特性メモリ87は、環境温度と補正乗数(第2の補正乗数)とを対応付けて記憶する。温度特性メモリ87に記憶される補正乗数は、予め紙葉類Pに塗布されている蛍光体の特性に応じて設定されるものである。即ち、温度特性メモリ87に記憶される補正乗数は、各紙葉類Pの種類毎に設定される。図6に示すように、温度特性メモリ87は、A券、B券、C券、D券、及びE券それぞれについて環境温度と補正乗数とを対応付けて記憶する。
【0075】
第2の補正処理部86は、アナログディジタル変換器85から送信される環境温度データに基づいて温度特性メモリ87を参照する。第2の補正処理部86は、環境温度データが示す環境温度に応じた第2の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す。
【0076】
なお、ここでは、紙葉類Pの券種が予め画像読取装置117、画像読取装置118などの検出結果に基づいて特定されていると仮定する。しかし、予め処理する紙葉類Pの券種を指定し、指定した券種の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す構成であってもよい。
【0077】
第2の補正処理部86は、読み出した第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの信号を増幅する。なお、第2の補正処理部86は、第2の補正処理を施した信号を判別モジュール88に送信する。
【0078】
判別モジュール88は、第2の補正処理部86から送信される信号と、判定基準メモリ89に記憶されている基準値とを比較することにより、紙葉類Pに蛍光印刷が施されているか否かを判定する。
【0079】
判定基準メモリ89は、判定基準としての基準値を予め記憶する。この基準値は、予め真券であると判定した紙葉類Pから検出される信号の値である。判別モジュール88は、例えば、基準値と、紙葉類Pから取得する信号との類似度を算出することにより、比較を行う。
【0080】
なお、蛍光検出部4により二次元的な画像を検出する場合、判定基準メモリ89は、判定基準としての基準画像(基準データ)を予め記憶する。この場合、判別モジュール88は、基準画像と、紙葉類Pから取得する画像との類似度を算出することにより、比較を行う。
【0081】
図7は、図4及び図5に示す光検出装置135における補正処理について説明する為の説明図である。
図7Aに示すように紙葉類Pは、蛍光印刷701が施されている。蛍光検出部4は、図7Aに示す検出エリアから蛍光を検出する。なお、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在しない場合、蛍光基準板10から放射される蛍光を検出する。また、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在する場合、紙葉類P上の蛍光体から放射される蛍光を検出する。
【0082】
図7Bは、蛍光検出部4により検出する蛍光出力について示す図である。グラフ702は、蛍光検出部4により蛍光基準板10及び紙葉類Pから検出した信号を示すグラフである。横軸は、蛍光検出部4の検出位置を示す。即ち、図7Aの紙葉類P上の位置と蛍光検出部4の検出位置とが対応している。縦軸は、蛍光検出部4により検出する信号の強度を示す。
【0083】
蛍光検出部4は、紙葉類Pが蛍光検出部4の検出位置に到達するまでの間(t1以前)に、蛍光基準板10からの蛍光を検出する。
【0084】
また、蛍光検出部4は、紙葉類Pが通過するまでの間(t1〜t4)に、紙葉類P上の蛍光体からの蛍光を検出する。なお、紙葉類P上のt1乃至t2、及びt3乃至t4の領域には、蛍光印刷が施されていない。この為、蛍光検出部4は、ほぼ0に近い小さいレベルの信号を出力する。
【0085】
また、紙葉類P上のt2乃至t3の領域には、蛍光印刷701が施されている。この為、蛍光検出部4は、検出する蛍光の強度に応じたレベルの信号を出力する。
【0086】
図7Cは、第1の補正処理について説明する為の図である。図7Cに示すグラフ703は、照明部3の発光量の変化、または、蛍光検出部4のセンサの感度の変化により出力が低下したグラフである。
【0087】
第1の補正処理部83は、t1以前のデータ、即ち、蛍光基準板10の信号の値と、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号、及び紙葉類Pの信号を増幅する。即ち、第1の補正処理部83は、t1以前、t1乃至t4、及びt4以降の全ての領域において、取得信号に対して第1の補正処理を行う。
【0088】
図7Dは、第2の補正処理について説明する為の図である。図7Dに示すグラフ704及びグラフ705は、紙葉類Pの蛍光体の温度の変化により、出力が変動したグラフである。
【0089】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に応じた第2の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す。第2の補正処理部86は、読み出した第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの信号を増幅する。即ち、第2の補正処理部86は、t1乃至t4の領域において、信号に対して第2の補正処理を行う。
【0090】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、紙葉類Pの蛍光体の温度と発光量との関係に基づいて算出した第2の補正乗数を予め記憶する。光検出装置135は、温度センサ6により環境温度を逐次検出する。光検出装置135は、検出した環境温度に応じて第2の補正乗数を決定し、決定した補正乗数を用いて紙葉類Pの蛍光信号の補正を行う。
【0091】
これにより、蛍光検出部4により検出する信号が紙葉類Pの温度変動の為に変動する場合であっても、適切に補正を行う事ができる。この結果、より高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0092】
なお、上記した実施形態では、蛍光基準板10の蛍光体は、温度により輝度が変化しない安定した温度特性を有する蛍光体であるとして説明した。しかし、安定した温度特性を有する蛍光基準板10を光検出装置135に用いることが出来ない場合がある。
【0093】
例えば、光検出装置135により検出する紙葉類Pの蛍光体と蛍光基準板10の蛍光体とで蛍光の帯域が一致しない場合、光検出装置135は、第1の補正処理を適切に行う事ができない。しかし、安定した温度特性を有する蛍光基準板10は、種類が限られている。この為、温度により輝度が変化する蛍光基準板を使う必要がある場合がある。
【0094】
図8は、本発明の第2実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明する為の説明図である。なお、第1の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0095】
図8に示す光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、温度センサ6、温度センサ7、及び蛍光基準板11を備える。また、光検出装置135は、制御部8をさらに備える。
【0096】
蛍光基準板11は、蛍光検出部4により検出する蛍光の信号を補正する為の基準光を蛍光検出部4に与える。即ち、蛍光基準板11は、蛍光検出部4に基準光を与える基準部材として機能する。蛍光基準板11は、搬送路115を挟んで蛍光検出部4と対向する位置に設置される。また、蛍光基準板11は、少なくとも蛍光検出部4と蛍光検出部4の検出位置とを結ぶ線の延長線上に設置される。
【0097】
蛍光基準板11は、例えば蛍光体を有する発行面を備える。例えば紫外線が発行面に照射される場合、発行面に含まれる蛍光体は、蛍光を発する。即ち、蛍光基準板11に励起光が照射された場合、蛍光基準板11は、蛍光を蛍光検出部4に対して発する。即ち、蛍光検出部4の検出位置に紙葉類Pが存在しない場合、蛍光検出部4は、蛍光基準板11からの基準光を受光する。蛍光検出部4は、基準光を電気信号に変換し、基準信号を取得する。なお、蛍光基準板11の蛍光体は、温度特性を有する。即ち、蛍光基準板11の発光量は、温度により変動する。
【0098】
温度センサ7は、蛍光基準板11の温度を検出する。温度センサ7は、基準板の温度を検出する基準板温度検出手段として機能する。光検出装置135は、温度センサ7により、蛍光基準板11の温度を検出し、蛍光基準板11の蛍光体の温度消光の度合いを特定する。温度センサ7は、検出した温度に応じたレベルの信号の生成し、制御部8に入力する。
【0099】
温度センサ7は、例えば、蛍光基準板11に接触して温度を検出する。また、温度センサ7は、例えば、放射温度計などにより蛍光基準板11の温度を検出する構成であってもよい。放射温度計は、蛍光基準板11から放射される赤外線などの放射量を検出することにより、非接触で蛍光基準板11の温度を検出する。
【0100】
図9は、図8に示す光検出装置135の信号処理系の構成について示すブロック図である。
上記したように、光検出装置135は、照明部3と蛍光検出部4と温度センサ6と温度センサ7との動作を制御する制御部8を備える。
【0101】
制御部8は、アンプ81、アナログディジタル変換器82、第1の補正処理部83、アンプ84、アナログディジタル変換器85、第2の補正処理部86、温度特性メモリ87、判別モジュール88、判定基準メモリ89、アンプ91、アナログディジタル変換器92、第3の補正処理部93、及び温度特性メモリ94を具備する。
【0102】
蛍光検出部4は、所定の検出位置から蛍光を検出し、検出した光に応じて信号を生成する。蛍光検出部4は、検出した信号を制御部8のアンプ81に入力する。アンプ81は、蛍光検出部4により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ81は、増幅した信号をアナログディジタル変換器82に送信する。
【0103】
アナログディジタル変換器82は、アンプ81により増幅したアナログ信号をディジタル信号に変換する。即ち、アナログディジタル変換器82は、受信した信号をサンプリングし、ディジタル信号を取得する。ここで取得されるディジタル信号は、蛍光検出部4により検出される1ライン分の光に対応する。アナログディジタル変換器82は、上記の処理を連続して行うことにより、蛍光基準板10の信号(基準信号)、または紙葉類Pの信号を取得する。アナログディジタル変換器82は、取得したディジタル信号を第3の補正処理部93に送信する。
【0104】
温度センサ7は、上記した方法により蛍光基準板11の温度を検出し、検出した温度に応じて信号を生成する。温度センサ7は、検出した信号を制御部8のアンプ91に入力する。アンプ91は、温度センサ7により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ91は、増幅した信号をアナログディジタル変換器92に送信する。
【0105】
アナログディジタル変換器92は、アンプ91により増幅したアナログ信号をディジタル信号(基準板温度データ)に変換する。アナログディジタル変換器92は、変換したディジタル信号を第3の補正処理部93に送信する。
【0106】
第3の補正処理部93は、アナログディジタル変換器82から送信される蛍光基準板10の基準信号に対して、第3の補正処理を施す。即ち、第3の補正処理部93は、アナログディジタル変換器82から送信される蛍光基準板10の信号及び紙葉類Pの信号のうち、蛍光基準板10の信号にのみ補正を行う。
【0107】
上記したように、蛍光基準板11の蛍光体は、温度により励起発光量が変動する。この為、温度特性メモリ94は、温度による発光量の変動を補正する為の第3の補正乗数(基準板温度補正乗数)を記憶する。即ち、温度特性メモリ94は、基準板温度補正乗数を記憶する基準板温度特性記憶手段として機能する。
【0108】
図10は、図9に示す温度特性メモリ94の例について説明する為の説明図である。
図10に示すように、温度特性メモリ94は、蛍光基準板11の温度と補正乗数(第3の補正乗数)とを対応付けて記憶する。温度特性メモリ94に記憶される補正乗数は、予め蛍光基準板11に含まれる蛍光体の特性に応じて設定されるものである。
【0109】
第3の補正処理部93は、アナログディジタル変換器92から送信される蛍光基準板11の温度データに基づいて温度特性メモリ94を参照する。第3の補正処理部93は、蛍光基準板11の温度データが示す温度に応じた第3の補正乗数を温度特性メモリ94から読み出す。
【0110】
第3の補正処理部93は、読み出した第3の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号を増幅する。なお、第3の補正処理部93は、第3の補正処理を施した蛍光基準板10の信号を第1の補正処理部83に送信する。また、第3の補正処理部93は、補正処理を行っていない紙葉類Pの信号を第1の補正処理部83に送信する。
【0111】
第1の補正処理部83は、入力される蛍光基準板10の信号の値と、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正乗数は、蛍光基準板10の信号の値の、予め設定される基準値に対する倍率である。
【0112】
第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いて蛍光基準板10の信号、及び紙葉類Pの信号を増幅する。第1の補正処理部83は、第1の補正処理を施した信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0113】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に基づいて温度特性メモリ87を参照し、第2の補正乗数を特定する。第2の補正処理部86は、第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの信号を増幅する。第2の補正処理部86は、第2の補正処理を施した信号を判別モジュール88に送信する。
【0114】
判別モジュール88は、第2の補正処理部86から送信される信号と、判定基準メモリ89に記憶されている基準データ(基準値)とを比較することにより、紙葉類Pに蛍光印刷が施されているか否かを判定する。
【0115】
図11は、図8及び図9に示す光検出装置135における補正処理について説明する為の説明図である。
図11Aに示すように紙葉類Pは、蛍光印刷701が施されている。蛍光検出部4は、図11Aに示す検出エリアから蛍光を検出する。なお、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在しない場合、蛍光基準板11から放射される蛍光を検出する。また、蛍光検出部4は、検出エリアに紙葉類Pが存在する場合、紙葉類P上の蛍光体から放射される蛍光を検出する。
【0116】
図11Bは、蛍光検出部4により検出する蛍光出力について示す図である。グラフ702は、蛍光検出部4により蛍光基準板11及び紙葉類Pから検出した信号を示すグラフである。横軸は、蛍光検出部4の検出位置を示す。即ち、図11Aの紙葉類P上の位置と蛍光検出部4の検出位置とが対応している。縦軸は、蛍光検出部4により検出する信号の強度を示す。
【0117】
蛍光検出部4は、紙葉類Pが蛍光検出部4の検出位置に到達するまでの間(t1以前)に、蛍光基準板11からの蛍光を検出する。
【0118】
また、蛍光検出部4は、紙葉類Pが通過するまでの間(t1〜t4)に、紙葉類P上の蛍光体からの蛍光を検出する。なお、紙葉類P上のt1乃至t2、及びt3乃至t4の領域には、蛍光印刷が施されていない。この為、蛍光検出部4は、ほぼ0に近い小さいレベルの信号を出力する。
【0119】
また、紙葉類P上のt2乃至t3の領域には、蛍光印刷701が施されている。この為、蛍光検出部4は、検出する蛍光の強度に応じたレベルの信号を出力する。
【0120】
図11Cは、第3の補正処理について説明する為の図である。図11Cに示すグラフ706は、温度変化による蛍光基準板11の発光量が変化、照明部3の発光量の変化、及び、蛍光検出部4のセンサの感度の変化により出力が低下したグラフである。
【0121】
第3の補正処理部93は、温度センサ7により検出する蛍光基準板11の温度に応じた第3の補正乗数を温度特性メモリ94から読み出す。第3の補正処理部93は、読み出した第3の補正乗数を用いて蛍光基準板11の信号を増幅する。即ち、第3の補正処理部93は、t1以前の領域において、信号に対して第3の補正処理を行う。これにより、蛍光基準板11の温度変化による発光量の変動を補正したグラフ707を特定することが出来る。
【0122】
図11Dは、第1の補正処理について説明する為の図である。図11Dに示すグラフ707は、第3の補正処理が施されたグラフ707である。即ち、グラフ707は、照明部3の発光量の変化、及び、蛍光検出部4のセンサの感度の変化により出力が低下したグラフである。
【0123】
第1の補正処理部83は、上記した第1の実施形態と同様に、第1の補正処理を行う。第1の補正処理部83は、グラフ707におけるt1以前のデータと、予め設定される基準値とに基づいて、第1の補正乗数を決定する。第1の補正処理部83は、第1の補正乗数を用いてグラフ707の全体を増幅する。
【0124】
また、第2の補正処理部86は、上記した第1の実施形態と同様に、紙葉類Pの信号に対して第2の補正処理を行う。
【0125】
即ち、制御部8は、蛍光基準板11の信号に対して第3の補正処理を行い、蛍光基準板11の信号及び紙葉類Pの信号に対して第1の補正処理を行い、紙葉類Pの信号に対して、第2の補正処理を行う。
【0126】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、温度特性を有する蛍光基準板11の蛍光体の温度と発光量との関係に基づいて算出した第3の補正乗数を予め記憶する。光検出装置135は、蛍光基準板11の温度を検出し、検出した温度に応じて第3の補正乗数を決定し、決定した補正乗数を用いて蛍光基準板11の信号に対して第3の補正処理を行う。光検出装置135は、第3の補正処理を施した信号に基づいて、第1の補正処理を行う。
【0127】
これにより、蛍光基準板11が温度特性を有する場合であっても、蛍光基準板11の発光量の変動に応じて補正を行うことができる。この結果、より高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0128】
なお、上記した第1及び第2の実施形態では、紙葉類Pに施されている蛍光印刷を検出するとして説明した。しかし、紙葉類Pにさらに燐光印刷が施されている場合がある。蛍光印刷情報及び燐光印刷情報をそれぞれ検出する光検出装置も実用化されている。以下、紙葉類Pに蛍光印刷情報(第1の印刷情報)、及び燐光印刷情報(第2の印刷情報)が印刷されていると仮定して説明する。
【0129】
図12は、本発明の第3実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明する為の説明図である。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0130】
図12に示す光検出装置135は、照明部3、蛍光検出部4、残光検出部5、温度センサ6、及び蛍光基準板10を備える。また、光検出装置135は、制御部8をさらに備える。
【0131】
蛍光印刷情報は、上記したように、蛍光体を含むインク(蛍光インク)により印刷された情報である。燐光印刷情報は、燐光体を含むインク(燐光インク)により印刷された情報である。燐光体は、励起光源から射出される励起光(例えば紫外線)などにより励起される。励起された燐光体は、光を発する状態になる。励起光の照射が中断された場合、燐光体は、時間とともに徐々に減衰する光(残光)を発する状態になる。
【0132】
光検出装置135は、紙葉類Pに対して照明部3から励起光を照射して蛍光体及び燐光体を励起させる。蛍光検出部4は、励起された蛍光体から発せられる蛍光を検出し、蛍光印刷情報を読み取る。
【0133】
また、残光検出部5は、照明部3による励起光の照射が中断された後に燐光体から発せられる残光を検出し、燐光印刷情報を読み取る。残光検出部5は、蛍光検出部4より下流側に設けられる。残光検出部5は、少なくとも照明部3から照射される光が届かない位置を検出位置として検出処理を行う。なお、残光検出部5は、蛍光検出部4と同様の構成を有する。
【0134】
図13は、図12に示す光検出装置135の信号処理系の構成について示すブロック図である。なお、蛍光検出部4により検出する信号に対する処理は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0135】
上記したように、光検出装置135は、照明部3と蛍光検出部4と残光検出部5と温度センサ6との動作を制御する制御部8を備える。
【0136】
制御部8は、アンプ81、アナログディジタル変換器82、第1の補正処理部83、アンプ84、アナログディジタル変換器85、第2の補正処理部86、温度特性メモリ87、判別モジュール88、判定基準メモリ89、アンプ95、及びアナログディジタル変換器96を具備する。
【0137】
残光検出部5は、所定の検出位置から残光を検出し、検出した光に応じて信号を生成する。残光検出部5は、検出した信号を制御部8のアンプ95に入力する。アンプ95は、残光検出部5により検出する信号を予め制御部8により設定される増幅率で増幅する。アンプ95は、増幅した信号をアナログディジタル変換器96に送信する。
【0138】
アナログディジタル変換器96は、アンプ95により増幅したアナログ信号をディジタル信号に変換する。即ち、アナログディジタル変換器96は、受信した信号をサンプリングし、ディジタル信号を取得する。ここで取得されるディジタル信号は、残光検出部5により検出される1ライン分の残光に対応する。アナログディジタル変換器96は、上記の処理を連続して行うことにより、紙葉類Pの信号(残光信号)を取得する。アナログディジタル変換器96は、取得した信号を第2の補正処理部86に送信する。
【0139】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に基づいて温度特性メモリ87を参照し、第2の補正乗数を特定する。第2の補正処理部86は、第2の補正乗数を用いて紙葉類Pの残光信号を増幅する。第2の補正処理部86は、第2の補正処理を施した信号を判別モジュール88に送信する。
【0140】
判別モジュール88は、第2の補正処理部86から送信される残光信号と、判定基準メモリ89に記憶されている基準データ(基準値)とを比較することにより、紙葉類Pに燐光印刷が施されているか否かを判定する。
【0141】
判定基準メモリ89は、判定基準としての基準データを予め記憶する。基準データは、予め真券であると判定した紙葉類Pから検出される残光信号である。判別モジュール88は、例えば、基準データと、紙葉類Pの残光信号との類似度を算出することにより、比較を行う。
【0142】
図14は、図12及び図13に示す光検出装置135における補正処理について説明する為の説明図である。
図14Aに示すように紙葉類Pは、燐光印刷708が施されている。残光検出部5は、図14Aに示す検出エリアから残光を検出する。残光検出部5は、残光検出部5の検出位置に紙葉類Pが存在する場合、紙葉類P上の燐光体から放射される燐光を検出する。
【0143】
図14Bは、残光検出部5により検出する残光出力について示す図である。グラフ709は、残光検出部5により紙葉類Pから検出した信号を示すグラフである。横軸は、残光検出部5の検出位置を示す。即ち、図14Aの紙葉類P上の位置と残光検出部5の検出位置とが対応している。縦軸は、残光検出部5により検出する信号の強度を示す。
【0144】
残光検出部5は、紙葉類Pが通過するまでの間(t1〜t4)に、紙葉類P上の燐光体から放射される残光を検出する。なお、紙葉類P上のt1乃至t2、及びt3乃至t4の領域には、燐光印刷708が施されていない。この為、残光検出部5は、ほぼ0に近い小さいレベルの信号を出力する。
【0145】
また、紙葉類P上のt2乃至t3の領域には、燐光印刷708が施されている。この為、残光検出部5は、検出する残光の強度に応じたレベルの信号を出力する。
【0146】
図14Cは、第2の補正処理について説明する為の図である。図14Cに示すグラフ710は、温度変化により紙葉類Pの燐光体が放射する光の発光量が変化したグラフである。
【0147】
第2の補正処理部86は、温度センサ6により検出する環境温度に応じた第2の補正乗数を温度特性メモリ87から読み出す。第2の補正処理部86は、読み出した第2の補正乗数を用いて残光信号を増幅する。即ち、第2の補正処理部86は、t1乃至t4の領域において、信号に対して第2の補正処理を行う。
【0148】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、蛍光を検出する蛍光検出部4と、燐光を検出する残光検出部5とを備える。光検出装置135は、蛍光検出部4により検出する蛍光信号に対して第1の補正処理及び第2の補正処理を行う。また、光検出装置135は、残光検出部5により検出する残光信号に対して第2の補正処理を行う。光検出装置135は、補正処理を施した蛍光信号に基づいて、蛍光印刷が紙葉類P上に存在するか否かを判定する。また、光検出装置135は、補正処理を施した残光信号に基づいて、燐光印刷が紙葉類P上に存在するか否かを判定する。
【0149】
これにより、紙葉類Pから残光信号を検出する場合であっても、燐光体の発光量の変動に応じて信号の補正を行うことができる。この結果、より高い精度で光を検出することが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0150】
なお、上記の第1乃至第3の補正処理は、補正する対象が一次元的に取得した信号であっても、二次元的に取得した画像であっても同様に実施することが出来る。
【0151】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1…搬送ローラ、3…照明部、4…蛍光検出部、5…残光検出部、6…温度センサ、7…温度センサ、8…制御部、10…蛍光基準板、11…蛍光基準板、81…アンプ、82…アナログディジタル変換器、83…第1の補正処理部、84…アンプ、85…アナログディジタル変換器、86…第2の補正処理部、87…温度特性メモリ、88…判別モジュール、89…判定基準メモリ、91…アンプ、92…アナログディジタル変換器、93…第3の補正処理部、94…温度特性メモリ、95…アンプ、96…アナログディジタル変換器、111…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、
所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、
前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、
前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、
前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、
前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、
前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、
を具備することを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記蛍光基準板の温度を検出する基準板温度検出手段と、
前記蛍光基準板の温度と基準板温度補正乗数とを対応付けて記憶する基準板温度特性記憶手段と、
前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記基準板温度特性記憶手段に記憶されている基準板温度補正乗数を読み出し、読み出した基準板温度補正乗数を用いて前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像を補正する第3の補正手段と、
をさらに具備し、
前記第1の補正手段は、前記第3の補正手段により補正した前記蛍光基準板の蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
所定の検出範囲から残光画像を検出する残光検出手段をさらに具備し、
前記第2の補正手段は、前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記残光検出手段により前記紙葉類から検出する残光画像を補正することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記環境温度検出手段は、前記紙葉類が搬送される搬送路の近傍の空気の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記環境温度検出手段は、前記搬送される紙葉類から放射される放射線の放射量を検出し、前記紙葉類の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
判定基準としての基準画像を記憶する判定基準記憶手段と、
前記第2の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像と、前記判定基準記憶手段に記憶されている前記基準画像とに基づいて、前記紙葉類に蛍光印刷情報が施されているか否かを判定する判定手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、
所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、
前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、
前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、
前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、
前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、
前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、
判定基準としての基準画像を記憶する判定基準記憶手段と、
前記第2の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像と、前記判定基準記憶手段に記憶されている前記基準画像とに基づいて、前記紙葉類に蛍光印刷情報が施されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項1】
搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、
所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、
前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、
前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、
前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、
前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、
前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、
を具備することを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記蛍光基準板の温度を検出する基準板温度検出手段と、
前記蛍光基準板の温度と基準板温度補正乗数とを対応付けて記憶する基準板温度特性記憶手段と、
前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記基準板温度特性記憶手段に記憶されている基準板温度補正乗数を読み出し、読み出した基準板温度補正乗数を用いて前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像を補正する第3の補正手段と、
をさらに具備し、
前記第1の補正手段は、前記第3の補正手段により補正した前記蛍光基準板の蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
所定の検出範囲から残光画像を検出する残光検出手段をさらに具備し、
前記第2の補正手段は、前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記残光検出手段により前記紙葉類から検出する残光画像を補正することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記環境温度検出手段は、前記紙葉類が搬送される搬送路の近傍の空気の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記環境温度検出手段は、前記搬送される紙葉類から放射される放射線の放射量を検出し、前記紙葉類の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
判定基準としての基準画像を記憶する判定基準記憶手段と、
前記第2の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像と、前記判定基準記憶手段に記憶されている前記基準画像とに基づいて、前記紙葉類に蛍光印刷情報が施されているか否かを判定する判定手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、
所定の検出範囲から蛍光画像を検出する蛍光検出手段と、
前記蛍光検出手段の検出範囲内に設けられる蛍光基準板と、
前記蛍光検出手段により前記蛍光基準板から検出する蛍光画像と、予め設定される基準値とに基づいて前記蛍光検出手段により前記紙葉類から検出する蛍光画像を補正する第1の補正手段と、
前記搬送される紙葉類の近傍の環境温度を検出する環境温度検出手段と、
前記環境温度と媒体温度補正乗数とを対応付けて記憶する媒体温度特性記憶手段と、
前記環境温度検出手段により検出する環境温度に基づいて前記媒体温度特性記憶手段に記憶されている媒体温度補正乗数を読み出し、読み出した媒体温度補正乗数を用いて前記第1の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像を補正する第2の補正手段と、
判定基準としての基準画像を記憶する判定基準記憶手段と、
前記第2の補正手段により補正した前記紙葉類の蛍光画像と、前記判定基準記憶手段に記憶されている前記基準画像とに基づいて、前記紙葉類に蛍光印刷情報が施されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−118457(P2011−118457A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272636(P2009−272636)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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