説明

光沢付与装置及び画像形成システム

【課題】光沢付与処理の前に、記録用紙の画像形成面に異物が付着したとしても、当該記録用紙に画像不良を生じさせないようにする。
【解決手段】画像が形成された記録用紙Sを加熱する加熱ローラー41と、加熱ローラー41に張架され、記録用紙Sの画像形成面に対向するベルト部材43と、ベルト部材43を介して加熱ローラー41に対向し、記録用紙Sを押圧してベルト部材43に密着させる加圧ローラー42と、加熱ローラー41及び加圧ローラー42よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、ベルト部材43に密着した記録用紙Sを冷却し、記録用紙Sをベルト部材43から剥離する冷却部材44と、加熱ローラー41及び加圧ローラー42よりも用紙搬送方向の上流側に設けられ、記録用紙Sの画像形成面に付着した異物を除去する異物除去部47と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢付与装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式により画像形成された記録用紙の画像形成面に対し、光沢を付与する光沢付与装置が知られている。
【0003】
従来の光沢付与装置は、画像形成された記録用紙を加熱ローラーにより加熱して記録用紙上のトナーを軟化させると同時に、記録用紙の画像形成面を加圧ローラーによりベルト部材に押し付けて密着させ、ベルト部材に密着した記録用紙を冷却部材により冷却しながら記録用紙をベルト部材から剥離させることによって、記録用紙の画像形成面に光沢を付与するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−090139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような光沢付与装置による光沢付与処理において、当該光沢付与処理前に記録用紙の画像形成面に紙粉や塵埃等の異物が付着する場合があり、異物が付着した状態で光沢付与処理が施されると、記録用紙上の異物が付着した部分において光沢が付与されず、記録用紙の画像形成面に画像不良が生じてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、光沢付与処理の前に、記録用紙の画像形成面に異物が付着したとしても、当該記録用紙に画像不良を生じさせない光沢付与装置及び画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
画像が形成された記録用紙を加熱する加熱ローラーと、
前記加熱ローラーに張架され、前記記録用紙の画像形成面に対向するベルト部材と、
前記ベルト部材を介して前記加熱ローラーに対向し、前記記録用紙を押圧して前記ベルト部材に密着させる加圧ローラーと、
前記加熱ローラー及び前記加圧ローラーよりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、前記ベルト部材に密着した前記記録用紙を冷却し、前記記録用紙を前記ベルト部材から剥離する冷却部材と、
前記加熱ローラー及び前記加圧ローラーよりも用紙搬送方向の上流側に設けられ、前記記録用紙の前記画像形成面に付着した異物を除去する異物除去部と、を備えることを特徴とする光沢付与装置が提供される。
【0008】
好ましくは、前記加熱ローラーと前記異物除去部との間に設けられ、前記加熱ローラーから前記異物除去部への放熱を遮断する遮熱部材を更に備える。
【0009】
好ましくは、前記異物除去部は、少なくとも一方が粘着ローラーであるローラー対である。
【0010】
好ましくは、前記少なくとも一方の粘着ローラーは、前記記録用紙の前記画像形成面に対向して設けられている。
【0011】
好ましくは、前記異物除去部を前記記録用紙の搬送経路に対して接離自在とする接離機構を更に備える。
【0012】
好ましくは、前記ベルト部材の密着面側に付着する異物を除去する第2の異物除去部を更に備える。
【0013】
好ましくは、前記異物除去部は、透明トナーが付与された後の前記記録用紙の前記画像形成面に付着した異物を除去する。
【0014】
好ましくは、前記異物除去部は、前記記録用紙の前記画像形成面に付着した紙粉又は塵埃を除去する。
【0015】
本発明の他の態様によれば、
記録用紙に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1から8の何れか一項に記載の光沢付与装置と、を備え、
前記光沢付与装置は、前記画像形成装置により画像形成された記録用紙に対して光沢を付与することを特徴とする画像形成システムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光沢付与処理の前に、記録用紙の画像形成面に異物が付着したとしても、当該記録用紙に画像不良を生じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成システムを示す概略図である。
【図2】本発明に係る光沢付与装置を示す概略図である。
【図3】本発明に係る光沢付与装置の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る光沢付与装置400を備えた画像形成システム500を示す概略図である。
画像形成システム500は、画像形成装置200、透明トナー付与部60を備えた後処理装置300、光沢付与装置400等から構成されている。
【0020】
画像形成装置200は、給紙部1、トナー像形成部2、定着部30及び排紙部50等を備えている。
【0021】
給紙部1は、複数のトレイ11、複数の送り出しローラー12、複数の搬送ローラー13及びレジストローラー14等を備える。トレイ11は、決められたサイズの記録用紙Sをそれぞれ収容しており、制御部80からの指示に応じて定められたトレイ11の送り出しローラー12を作動させ、記録用紙Sを供給する。搬送ローラー13は、送り出しローラー12によってトレイ11から送り出された記録用紙Sをレジストローラー14まで搬送する。レジストローラー14は、記録用紙Sがトナー像形成部2に供給されるタイミングを調整する。
【0022】
トナー像形成部2は、中間転写体である転写ベルト20を用いた、タンデム方式のカラー画像形成装置である。トナー像形成部2は、転写ベルト20、プロセスユニット21Y,21M,21C,21K、二次転写ローラー203等を備えている。
【0023】
転写ベルト20の周囲には、イエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kの有色トナー像形成部から成る4組のプロセスユニット21Y,21M,21C,21Kが設けられている。各プロセスユニット21Y,21M,21C,21Kでは、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成され、転写ベルト20の上に重ね合わせて転写される。転写されたトナー像は、レジストローラー14によりタイミングが調整された記録用紙S上に一括転写される。なお、本願においては、各色のトナーY、M、C、Kの少なくとも1つが記録用紙Sに載せられた状態をトナー像と称している。
【0024】
4組のプロセスユニット21Y,21M,21C,21Kについて説明する。なお、各プロセスユニット21Y,21M,21C,21Kにおいて、同一の構成部材には同一の符号を付し、その符号の後に各色を表す符号Y、M、C、Kを付して表記する。また、特に区別が必要ない場合には符号Y,M,C,Kを付さずに表記する。
【0025】
像形成体である感光体ドラム211は、表面に光導電層の形成された像担持体であり、図示しない駆動装置により図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。帯電器212は、感光体ドラム211の表面に均一に電荷を与え、感光体ドラム211の表面を一様に帯電させる。露光器213は、レーザーダイオード等のビーム発光源を備え、帯電された感光体ドラム211の表面にビーム光を照射することで照射部分の電荷を消失させ、感光体ドラム211上に各色の画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0026】
現像部214は、Y,M,C,Kの何れかのトナーを収容し、Y,M,C,Kの画像データに応じたトナーを感光体ドラム211に供給して、感光体ドラム211表面に各色のトナー像を作像する。
【0027】
一次転写ローラー215は、転写ベルト20を介して感光体ドラム211と対向し、感光体ドラム211上のトナー像を転写ベルト20に転写する。
【0028】
転写ベルト20は、無端状のベルトであり、駆動ローラー201と、複数のテンションローラー202とにより張架されている。転写ベルト20は、図示しない駆動装置により図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。二次転写ローラー203は、転写ベルト20を介してテンションローラー202に対向し、転写ベルト20上に転写されたトナー像を給紙部1から供給された記録用紙Sに転写する。トナー像が転写された記録用紙Sは、定着部30へ搬送される。
【0029】
定着部30は、トナー像が転写された記録用紙Sに対し、加熱ローラー32及び加圧ローラー33により熱と圧力を加えて定着処理を施し、これにより記録用紙S上に画像を定着させる。画像が定着された記録用紙Sは、定着部30から排紙部50に搬送され、排紙部50から後処理装置300に搬送される。
【0030】
後処理装置300は、透明トナー付与部60及び制御部81等を備えている。後処理装置300は、図示しない綴じ処理部や折り処理部等を備えていても良い。制御部81は、後処理装置300の各部を制御する。
【0031】
透明トナー付与部60は、上記したプロセスユニット21Y,21M,21C,21Kと略同様に構成されている。プロセスユニット21を構成する部材と同一の部材については同一の符号を付し、その符号の後に透明トナーを表す符号Tを付して表記する。
【0032】
透明トナー付与部60は、帯電器212Tにより感光体ドラム211Tの表面を一様に帯電させ、露光器213Tにより感光体ドラム211Tの表面に静電潜像を形成する。感光体ドラム211Tは、図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。感光体ドラム211Tの表面上に形成される静電潜像は、記録用紙S上に形成された画像を含む記録用紙Sの画像形成面全体に対応するものであっても良いし、記録用紙S上に形成された画像以外の領域に対応するものであっても良い。透明トナー付与部60は、このようにして静電潜像の形成された感光体ドラム211Tに現像部214Tにより透明トナーTを供給して、感光体ドラム211T上に透明トナー像を形成し、一次転写ローラー215Tにより当該透明トナー像を転写ベルト20Tに転写する。更に、透明トナー付与部60は、転写ベルト20Tに対向して設けられた二次転写ローラー203Tにより、転写ベルト20Tに転写された透明トナー像を記録用紙S上に転写する。透明トナー像が転写された記録用紙Sは、光沢付与装置400に搬送される。
【0033】
なお、透明トナー付与部60は、記録用紙Sの画像形成面において画像が形成されていない領域にも光沢を付与する場合に、上記した透明トナーTを付与する処理を行い、記録用紙Sの画像形成面において画像が形成されている領域のみに光沢を付与する場合には、透明トナーTを付与することなく記録用紙Sを用紙搬送方向の下流側に搬送しても良い。
【0034】
光沢付与装置400について、図2を参照しながら説明する。図2は、光沢付与装置400を示す概略図である。光沢付与装置400は、画像形成後の記録用紙Sに対して光沢付与処理を施す装置である。
【0035】
光沢付与装置400は、加熱ローラー41と、加熱ローラー41に対向して配置される加圧ローラー42と、加熱ローラー41及び加圧ローラー42よりも用紙搬送方向の下流側に配置される剥離ローラー45と、加熱ローラー41と剥離ローラー45の間の上方に配置されるステアリングローラー46と、加熱ローラー41、剥離ローラー45及びステアリングローラー46に張架されるベルト部材43と、ベルト部材43が加熱ローラー41から離間した後剥離ローラー45と接触するまでの間において、当該ベルト部材43を冷却する複数の冷却部材44と、加熱ローラー41及び加圧ローラー42よりも用紙搬送方向の上流側であって、用紙搬送路上に配置される異物除去部47と、加熱ローラー41及びステアリングローラー46の近傍であってベルト部材43の外側に配置される除電ブロアー(第2の異物除去部)48と、異物除去部47の近傍に配置される接離機構52と、用紙搬送方向において異物除去部47と加熱ローラー41との間に配置される遮熱板(遮熱部材)53と、各部を制御する制御部49と、を備える。
【0036】
光沢付与装置400は、加熱ローラー41と加圧ローラー42とにより画像形成後の記録用紙Sをニップし、記録用紙Sに熱及び圧力を加えることで、記録用紙Sの画像形成面の表面のトナーを軟化させて当該記録用紙Sをベルト部材43に密着させ、冷却部材44により記録用紙S及びベルト部材43を冷却して、剥離ローラー45によりベルト部材43を記録用紙Sから剥離することで、記録用紙Sの画像形成面に光沢を付与する(光沢付与処理)。
【0037】
加熱ローラー41は、熱伝導性の高い金属製の芯金の表面に、厚さ30μm程度のフッ素樹脂チューブ等からなる離型層が形成されて構成され、芯金の内部にハロゲンランプ等の加熱部材である熱源411を備える。熱源411は、所定の温度となるように加熱ローラー41の表面を加熱する。また、加熱ローラー41の近傍には温度検知センサー412が設けられ、温度検知センサー412により、加熱ローラー41の温度が検知され制御される。また、加熱ローラー41は、図示しない駆動装置によって図2中の矢印方向に回転可能に構成されている。
【0038】
加熱ローラー41としては、例えば、直径70mm、芯金肉厚8mmのローラー部材に、離型層として厚さ30μmの表層フッ素コーティングが形成されたものが用いられる。熱源411としては、例えば、1800Wのハロゲンヒーター2本が用いられる。
【0039】
加圧ローラー42は、熱伝導性の高い金属芯金にゴム硬度(JISA)32°程度のシリコーンゴム等からなる弾性体層が被覆されて構成され、その表面には離型層が形成されている。加圧ローラー42は、ベルト部材43を介して加熱ローラー41に対向して配置されている。また、加圧ローラー42は、図示しない駆動装置によって図2中の矢印方向に回転可能に構成されている。また、加圧ローラー42の近傍には冷却ファン421が設けられており、加熱ローラー41により加熱された加圧ローラー42が、冷却ファン421によって冷却される。
【0040】
加圧ローラー42としては、例えば、直径70mm、芯金肉厚6mmのローラー部材に、弾性体層として厚さ6.5mmのゴム層が被覆され、離型層として厚さ50μmの表層PFAチューブが形成されたものが用いられる。冷却ファン421としては、例えば、幅97mmのものが3つ配置される(図示略)。
【0041】
これら加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413を記録用紙Sが通過すると、当該記録用紙Sは加熱ローラー41により加熱されると同時に、加圧ローラー42により記録用紙Sの画像形成面がベルト部材43に押し付けられ、記録用紙Sの画像形成面に付与された透明トナーTが溶融し、軟化しながら記録用紙Sがベルト部材43に密着される。
【0042】
ベルト部材43は、表面にテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂をコートし、表面粗さ(Ra)が0.2μm程度の平滑度を持たせた、例えば、熱硬化型ポリイミド(PI)製の無端状ベルト部材である。ベルト部材43は、加熱ローラー41、剥離ローラー45及びステアリングローラー46に張架され、加熱ローラー41に従動して回転移動する。ベルト部材43は、加熱ローラー41から離間した後剥離ローラー45に到達するまでの間において、表面のトナーが軟化した記録用紙Sと密着された状態となる。これにより、トナーが軟化した記録用紙Sの表面が、平滑なベルト部材43の表面に倣って、平滑化される。このベルト部材43における、加熱ローラー41から離間した後剥離ローラー45に接触するまでの長さ、即ち、ベルト部材43の定着距離は、一例として500mm程度である。
なお、ベルト部材43の素材としては、金属又は耐熱性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)材をベースにしてもよい。
【0043】
ベルト部材43としては、例えば、直径340mm、厚さ65μm、幅340mm、表面粗さRaが0.05μmの導電性ポリイミドに、離型層として厚さ2μmのシリコーンコートを形成したものが用いられる。
【0044】
冷却部材44は、用紙搬送方向に沿って複数設けられ、加熱ローラー41と剥離ローラー45との間においてベルト部材43の外周面及び内周面にそれぞれ対向して配置されている。冷却部材44は、密着状態にあるベルト部材43及び記録用紙Sに送風し、冷却する。具体的には、記録用紙Sが加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413を通過して剥離ローラー45に到達するまでの間、ベルト部材43及び記録用紙Sは冷却部材44により冷却される。これにより、加熱ローラー41により加熱され溶融された、記録用紙S上のトナーは、ベルト部材43の平滑な表面に倣って固化され、記録用紙Sの画像形成面の表面を平滑にすることができる。例えば、冷却部材44は、加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413を通過した後、剥離ローラー45に到達する直前における、ベルト部材43の表面温度が約50℃となるように、ベルト部材43及び記録用紙Sを冷却する。
冷却部材44としては、例えば、直径200mmのファンがベルト部材43の外周面及び内周面に沿ってそれぞれ6つずつ用紙搬送方向に配置される(図示略)。
【0045】
剥離ローラー45は、ベルト部材43の回転移動に従動して回転する。ベルト部材43が剥離ローラー45に張架されていることで、ベルト部材43に密着された記録用紙Sは、記録用紙S自体の剛性と、ベルト部材43に与えられた曲率とによって、ベルト部材43から剥離される。
剥離ローラー45としては、例えば、直径30mmのアルミニウム製のローラー部材が用いられる。また、剥離ローラー45の表面には、加熱ローラー41や加圧ローラー42と同様の離型層が形成されていることが好ましい。
【0046】
ステアリングローラー46は、ベルト部材43を連続的に循環移動させたときに生じる偏り(ベルト部材43がステアリングローラー46の軸方向の何れかへ移動する現象)を修正する。
ステアリングローラー46としては、例えば、直径40mmのアルミニウム製のローラー部材が用いられる。
【0047】
異物除去部47は、加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413よりも用紙搬送方向の上流側において、記録用紙Sの画像形成面に当接し画像形成面上に付着した異物を除去するように構成されている。ここで、異物除去部47が除去する異物とは、紙粉や塵埃等の記録用紙Sの画像形成面上に付着する、光沢付与処理には不要なゴミである。光沢付与処理が行われる直前に記録用紙Sの画像形成面上から異物を除去することが好ましいため、異物除去部47は、加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413に可能な限り近い位置に配置されていることが好ましい。
【0048】
異物除去部47は、具体的には、記録用紙Sの画像形成面に当接して粘着力により異物を回収・除去する粘着ローラー471と、粘着ローラー471に対向し、記録用紙Sの画像形成面を所定の押圧力で粘着ローラー471に押し付ける加圧ローラー472と、から構成されている。粘着ローラー471に用いられる粘着剤としては、特に限定されるものではないが、記録用紙S上の異物を回収でき且つ記録用紙Sを巻き取ってしまわない程度の粘着力を有し、且つ当該粘着剤が記録用紙Sに残存しないようなものが用いられる。粘着ローラー471の粘着力としては、400mN〜2.0N程度が好ましい。この粘着力は、レスカ社製タッキング試験機を用いて測定した。
【0049】
粘着ローラー471としては、例えば、直径30mmの、オーディオテクニカ社製のブチル系合成ゴムローラーが用いられる。また、加圧ローラーとしては、例えば、直径30mmのスポンジローラーが用いられる。
【0050】
なお、異物除去部47は、記録用紙Sの画像形成面から異物を除去することができれば、粘着ローラー471及び加圧ローラー472から構成されるものでなくとも良い。例えば、異物除去部47は、従来公知の遠心分離作用を利用したサイクロン方式による異物除去手段であっても良い。
【0051】
また、図2に示すように、異物除去部47の粘着ローラー471の近傍には清掃ローラー51が設けられていることが好ましい。
清掃ローラー51は、粘着ローラー471に対向して設けられ、図2中の矢印方向に回転可能に構成されている。清掃ローラー51は、粘着ローラー471に接触して粘着ローラー471の表面に付着した異物を除去する。清掃ローラー51は、具体的には、粘着ローラー471よりも大きい粘着力を有する粘着ローラーである。清掃ローラー51の粘着力は、例えば、3N程度が好ましい。
なお、清掃ローラー51は、ウェブクリーニングを行うウェブクリーナーであっても良い。この場合、ウェブシートには、アルコール系の洗浄液を含ませてあることが好ましい。
【0052】
接離機構52は、粘着ローラー471を、用紙搬送路から離間させることができるように構成されている。この接離機構52が設けられていることにより、用紙上の異物を除去する必要のない場合に、異物除去部47を用紙搬送路から離間させておくことができ、異物除去部47の使用による劣化を抑えることができる。
なお、接離機構52は、粘着ローラー471を用紙搬送路から離間させるとともに、加圧ローラー472を用紙搬送路から離間させるように構成されていても良い。また、接離機構52は、粘着ローラー471とともに清掃ローラー51を移動させるように構成されていても良い。
【0053】
除電ブロアー48は、ベルト部材43が剥離ローラー45から離間した後加熱ローラー41に接触するまでの間において、当該ベルト部材43の表面に対して図2中の矢印方向にイオン化した空気を吹き付けることによりベルト部材43に付着した異物を吹き飛ばして除去する。具体的には、除電ブロアー48は、空気中の酸素、窒素等の気体分子を電離して生成したイオンをベルト部材43に送風して吹き付けることにより、ベルト部材43表面の電荷を打ち消しつつ、ベルト部材43に付着した異物を吹き飛ばす。また、除電ブロアー48の近傍にはファン481が設けられ、ベルト部材43から吹き飛ばされた異物はファン481によって図2中の矢印方向に吹き飛ばされ、機外や異物回収用の容器等に送られる。
【0054】
遮熱板53は、用紙搬送方向において加熱ローラー41と異物除去部47との間に設けられ、加熱ローラー41から異物除去部47への放熱を遮断するように構成されている。これにより、異物除去部47が加熱ローラー41による熱の影響を受けることを抑制することができ、異物除去部47を加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413により近づけて配置することができる。したがって、記録用紙S上の画像不良の抑制効果を向上することができる。
なお、遮熱板53は、図2において平板状のものを示したが、断面略円弧状に形成されていても良い。この場合、遮熱板53は、加熱ローラー41の表面形状に沿って加熱ローラー41の一部を覆うように配置されていても良いし、異物除去部47の粘着ローラー471の表面形状に沿って粘着ローラー471の一部を覆うように配置されていても良い。
【0055】
制御部49は、光沢付与装置400の各部を制御する。制御部49は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備え、光沢付与装置400用の各種処理プログラムに従って各種動作を行う。
本実施形態では、例えば、制御部49は、光沢付与装置400の清掃を行う場合には、記録用紙Sの代わりに清掃用の用紙を用いて光沢付与処理と略同様の処理を行うため、接離機構52により、異物除去部47を用紙搬送路から離間させておく。また、記録用紙Sに対して光沢付与処理を行う場合には、接離機構52により、異物除去部47を用紙搬送路上に配置させておく。
【0056】
以上、本実施形態によれば、加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413よりも用紙搬送方向の上流側において、用紙搬送路上に異物除去部47を設けているので、光沢付与処理が施される直前の記録用紙Sに対して、画像形成面に付着した異物を除去することができる。これにより、光沢付与装置400は、画像形成面に異物が付着していない記録用紙Sに対して光沢付与処理を行うことができる。したがって、光沢付与処理の前に記録用紙Sの画像形成面に異物が付着したとしても、加熱ローラー41及び加圧ローラー42に記録用紙Sがニップされる直前に画像形成面から異物を除去でき、光沢付与処理後に当該記録用紙Sに画像不良を生じさせないようにすることができる。
【0057】
また、異物除去部47は、透明トナーTが付与された後の記録用紙Sの画像形成面に付着した異物を除去するので、透明トナーTが付与された後であって光沢付与処理が施される直前までの間に記録用紙Sの画像形成面に付着した異物を除去することができ、より確実に画像不良の発生を抑制することができる。
【0058】
また、異物除去部47が粘着ローラー471を有するローラー対であるので、記録用紙Sの画像形成面に付着した異物を低コストで効率的に除去することができるとともに、異物除去部47の交換及び清掃が容易となる。また、特に、記録用紙Sの画像形成面の表面のトナーが金属化合物を含まず、記録用紙Sの表面が高抵抗であったとしても、粘着ローラー471により記録用紙Sに付着した異物をより確実に除去することができる。
【0059】
また、加熱ローラー41と異物除去部47との間に遮熱板53が設けられているので、加熱ローラー41による異物除去部47への放熱を遮断することができ、異物除去部47を加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413に更に近付けて配置することができる。異物除去部47をニップ部413に近付けて配置することで、記録用紙Sが加熱ローラー41及び加圧ローラー42にニップされる直前に、記録用紙Sの画像形成面から異物を除去することができる。したがって、記録用紙Sの画像形成面に画像不良が生じることをより確実に抑制することができる。
【0060】
また、異物除去部47を記録用紙Sに対して接離自在とする接離機構52が設けられているので、光沢付与処理時には異物除去部47を用紙搬送路上に配置し、光沢付与装置400の清掃時には異物除去部47を用紙搬送路から離間させた位置に配置しておくことができる。これにより、異物除去部47の使用による劣化を抑制することができる。
【0061】
また、ベルト部材43に付着する異物を除去する除電ブロアー48が設けられているので、記録用紙Sの画像形成面に付着した異物だけでなく、ベルト部材43に付着した異物をも除去することができ、光沢付与処理後の記録用紙Sの画像形成面に画像不良が生じることをより確実に抑制することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、画像形成装置と、透明トナー付与部を備える後処理装置と、光沢付与装置とがそれぞれ別体として設けられているものとしたが、これらは一体として設けられていても良いし、光沢付与装置が後処理装置の構成の一部として組み込まれていても良い。更に、後処理装置の透明トナー付与部は、画像形成装置の構成の一部として組み込まれていていても良いし、光沢付与装置の構成の一部として組み込まれていても良い。また、上記実施形態では、光沢付与装置は、画像形成後に後処理装置を通過して搬送される記録用紙に対して、連続して光沢付与処理を行えるように、画像形成装置及び後処理装置に隣接して設けられているものとしたが、光沢付与装置は画像形成装置及び後処理装置に隣接して設けられていなくても良い。即ち、光沢付与装置は、画像形成装置及び後処理装置の設置位置とは全く別の場所に設置されていても良い。
【0063】
また、光沢付与装置は、異物除去部よりも用紙搬送方向の上流側において、記録用紙の画像形成面上に付着した異物を検知する異物検知部を更に備えていても良い。この場合、光沢付与装置の制御部は、異物検知部により異物が検知されず、記録用紙の画像形成面に異物が付着していないと判定した場合に、接離機構により異物除去部を用紙搬送路から離間させておく。これにより、異物除去部の使用による劣化を抑制することができる。異物検知部としては、例えば、凹凸検知手段、色検知手段又は光学的反射率検知手段等を用いることができる。
【0064】
<変形例>
ここで、図3を参照して光沢付与装置400の変形例について説明する。図3は、変形例に係る光沢付与装置400Aを示す概略構成図である。以下に説明する以外の構成は上記実施形態の光沢付与装置400と略同様であるため、同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0065】
光沢付与装置400Aの異物除去部47aは、用紙搬送方向に並んだ二つのローラー対から構成されている。即ち、異物除去部47aは、第1粘着ローラー473と、第1粘着ローラー473に対向して配置され、記録用紙Sを第1粘着ローラー473に押し付ける第1加圧ローラー474と、第1粘着ローラー473よりも用紙搬送方向の下流側に配置される第2粘着ローラー475と、第2粘着ローラー475に対向して配置され、記録用紙Sを第2粘着ローラー475に押し付ける第2加圧ローラー476と、から構成されている。異物除去部47aを構成する各ローラー473〜476は、上記した実施形態の粘着ローラー471及び加圧ローラー472と同様に構成されているが、粘着ローラー471及び加圧ローラー472に比して直径が小さく構成されている。具体的には、各ローラー473〜476は、例えば、直径20mm程度のものが用いられる。
【0066】
異物除去部47aが二つのローラー対で構成されているため、記録用紙Sの画像形成面に付着した異物を二回に分けて除去でき、画像形成面上の異物の除去をより効率的に行うことができる。また、異物除去部47aを構成する各ローラー473〜476の直径が小さく形成されているので、加熱ローラー41に当接することなく、異物除去部47aを、加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部413に近付けて配置することができる。これにより、記録用紙Sが加熱ローラー41及び加圧ローラー42にニップされる直前に記録用紙から異物を除去することができるので、画像形成面に画像不良が生じることをより効果的に抑制できる。また、異物除去部47aを構成する第1粘着ローラー473及び第2粘着ローラー475の各直径が小さく形成されているので、粘着ローラーへの記録用紙Sの巻き付きを抑制できる。
【0067】
清掃ローラー51は、第1粘着ローラー473及び第2粘着ローラー475の両方に対向して配置され、第1粘着ローラー475及び第2粘着ローラー475に付着した異物をそれぞれ除去する。
【0068】
光沢付与装置400Aは、異物除去部47aよりも用紙搬送方向の上流側であって、用紙搬送路上に配置される紙粉除去ブラシ55と、紙粉除去ブラシ55に対向して配置され、記録用紙Sを紙粉除去ブラシ55に押し付ける加圧ローラー56と、を更に備えている。搬入される記録用紙Sは、異物除去部47に到達する前に、紙粉除去ブラシ55と加圧ローラー56とにニップされ、画像形成面上に付着した紙粉等が除去される。紙粉除去ブラシ55は、図示しない駆動装置によって図3中の矢印方向に回転可能なローラー部材であり、当該ローラー部材の表面に、弾性を有する導電性繊維が複数植毛されて構成されている。また、紙粉除去ブラシ55は、図示しない電圧印加用の電源に接続されて、記録用紙Sに付着した紙粉等とは逆極性の電圧が印加される。これにより、紙粉除去ブラシ55は、記録用紙Sの画像形成面に付着した紙粉等のうちの一部を、紙粉除去ブラシ55の導電性繊維に電気的に捕捉することができる。
【0069】
紙粉除去ブラシ55が設けられていることにより、記録用紙Sの画像形成面に付着した異物のうちの一部(紙粉等)が紙粉除去ブラシ55により除去され、除去されずに記録用紙Sの画像形成面上に残留した異物のみを異物除去部47により除去するので、記録用紙Sの画像形成面に付着した異物をより確実に除去することができる。また、記録用紙Sの画像形成面上に付着した異物のうちの一部を紙粉除去ブラシ55により除去するので、異物除去部47の使用による劣化を抑制することができる。
【0070】
なお、紙粉除去ブラシ55の近傍には、上記した実施形態の接離機構52と同様に構成される第2の接離機構が設けられていても良い。この場合には、光沢付与装置400Aに清掃用の用紙が搬入される場合には、当該第2の接離機構により紙粉除去ブラシ55を用紙搬送路から離間させておく。また、第2の接離機構は紙粉除去ブラシ55とともに加圧ローラー56をも用紙搬送路から離間させることができるように構成されていても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 給紙部
2 トナー像形成部
11 トレイ
12 送り出しローラー
13 搬送ローラー
14 レジストローラー
20 転写ベルト
21 プロセスユニット
30 定着部
32 加熱ローラー
33 加圧ローラー
41 加熱ローラー
42 加圧ローラー
43 ベルト部材
44 冷却部材
45 剥離ローラー
46 ステアリングローラー
47 異物除去部
48 除電ブロアー(第2の異物除去部)
49 制御部
50 排紙部
51 清掃ローラー
52 接離機構
53 遮熱板(遮熱部材)
60 透明トナー付与部
80 制御部
81 制御部
200 画像形成装置
201 駆動ローラー
202 テンションローラー
203 二次転写ローラー
211 感光体ドラム
212 帯電器
213 露光器
214 現像部
215 一次転写ローラー
300 後処理装置
400 光沢付与装置
411 熱源
412 温度検知センサー
413 ニップ部
421 冷却ファン
471 粘着ローラー
472 加圧ローラー
500 画像形成システム
S 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された記録用紙を加熱する加熱ローラーと、
前記加熱ローラーに張架され、前記記録用紙の画像形成面に対向するベルト部材と、
前記ベルト部材を介して前記加熱ローラーに対向し、前記記録用紙を押圧して前記ベルト部材に密着させる加圧ローラーと、
前記加熱ローラー及び前記加圧ローラーよりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、前記ベルト部材に密着した前記記録用紙を冷却し、前記記録用紙を前記ベルト部材から剥離する冷却部材と、
前記加熱ローラー及び前記加圧ローラーよりも用紙搬送方向の上流側に設けられ、前記記録用紙の前記画像形成面に付着した異物を除去する異物除去部と、を備えることを特徴とする光沢付与装置。
【請求項2】
前記加熱ローラーと前記異物除去部との間に設けられ、前記加熱ローラーから前記異物除去部への放熱を遮断する遮熱部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光沢付与装置。
【請求項3】
前記異物除去部は、少なくとも一方が粘着ローラーであるローラー対であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光沢付与装置。
【請求項4】
前記少なくとも一方の粘着ローラーは、前記記録用紙の前記画像形成面に対向して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光沢付与装置。
【請求項5】
前記異物除去部を前記記録用紙の搬送経路に対して接離自在とする接離機構を更に備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項6】
前記ベルト部材の密着面側に付着する異物を除去する第2の異物除去部を更に備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項7】
前記異物除去部は、透明トナーが付与された後の前記記録用紙の前記画像形成面に付着した異物を除去することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項8】
前記異物除去部は、前記記録用紙の前記画像形成面に付着した紙粉又は塵埃を除去することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項9】
記録用紙に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1から8の何れか一項に記載の光沢付与装置と、を備え、
前記光沢付与装置は、前記画像形成装置により画像形成された記録用紙に対して光沢を付与することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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