説明

光治療用複合光源装置

【課題】複数の光源を組み合わせて、光量の増加、光のスペクトル拡張、照明スペクトルの均一性増加、有害なスペクトル成分の抑制という特性を有する光治療用複合光源装置を提供する。
【解決手段】光治療のために定められたスペクトル領域の光を照射する複数の光源を含み、短波長光源と、長波長光源と、特定の選択された波長範囲の光のみが入射されるように光ガイドの入射面前方に配置されるミラーと、光を伝達する光ガイドとを含み、前記光源は光ガイドの入射面に入射される光線の入射範囲が全て光ガイドの受容角の範囲内であると同時に、前記各光源の光線のスポットが全て光ガイド入射面のコア内に含まれるように配置されることを特徴とする、光治療用複合光源装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光治療用複合光源装置に関し、更に詳しくは、ニキビを始めとする身体の皮膚疾患及び悪性腫瘍などの光治療の効率性を高めるために、複合光源を使用して光線治療に適合した波長及び光出力を光ガイドを通して治療部位に提供する光線治療のための複合光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日ニキビ、シミ、黒ジミ、あざ、傷跡及びしわ、悪性腫瘍などの各種皮膚疾患の治療に光線を利用した治療術が広く知られている。
【0003】
このような医療目的の光治療に使用される光治療装置(phototherapy device)は一般的に治療光源と前記治療光源から発生する光線を患者の治療部位に伝達する、光繊維を用いた光ケーブルとで構成される。
【0004】
ここで、光源としてはハロゲン、キセノン、メタルハライド、水銀などの多様な形態のランプが使用され、このようなランプを基盤とした光繊維光源装置が開発されたところがある(特許文献1)。
【0005】
また、LEDアレイなどが使用され(特許文献2)、コヒーレントなレーザー光源なども使用される(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、従来の光線力学治療を遂行するために開発されたLumacare社の光源は構成部としてハロゲンランプのみを持っている。
【0007】
このようなハロゲンランプの単一光源使用は、治療において短波長(〜400nm)領域のスペクトル光が必須である場合、許容可能な十分な光の強度を提供することができないため、単一ランプを使用する場合、診断及び治療のための多様な要求を満足させる最適の条件を備えることが難しい。
【0008】
このような光源の選択は特殊な医療目的の手段及び技術的、経済的な面を考慮した装備の製作要求などにより選択されるが、特に複合作業が必要な場合、単一ランプの使用は一般的に最適の方法を提供することはできなかった。この場合、装備開発者は特殊な機能のランプに依存したり、同時に複数のランプを使用して短所を補完した。
【0009】
単一光源による光エネルギーの出力または波長を補強するために、使用者が複数の光源を必要に応じて使用することができるようにする様々な方法が知られている。
【0010】
例えば、光源の交換方法では、光ガイドケーブルと光源との間の距離が変化することなく、光源を回転方式を用いて適合させ、この光源を光伝導ケーブルの末端面に同軸で配列したり、またはモータを使用して光源を縦軸方向に移動させて交換することができる(特許文献4)。
【0011】
また、ランプは固定し、移動可能な折りたたみ式ミラーにより照射光が順に光ガイドの入力面に入射されるようにすることができる。
【0012】
しかしながら、このような従来の照明方式は(a)移動される光源またはミラーにより装置が複雑であり、(b)複数の光源から放出する光を同時に活用することが不可能である。
【特許文献1】米国特許第6,461,866号
【特許文献2】米国特許第5,634,711号
【特許文献3】米国特許第7,016,718号
【特許文献4】米国特許第6,494,899号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、複数の光源を組み合わせて、光量の増加、光のスペクトル拡張、照明スペクトルの均一性増加、有害なスペクトル成分の抑制という特性を有する光治療用複合光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、光治療のために光を照射する光源と、前記光源から照射された光が入射面のコアを通して入射されると、治療部位に提供するように入力された光を伝達する光ガイドを含む光治療用光源装置において、光治療のために定められたスペクトル領域の光を照射する複数の光源を含み、短波長スペクトル領域の主たる放出光を有する短波長光源と;長波長スペクトル領域の主たる放出光を有する長波長光源と;前記光源の中から選択された光源の光または前記光源の選択された波長範囲の光のみが入射されるように、光ガイドの入射面前方に配置されるミラーと;前記光源から照射された光が入射面のコアを通して入射されると光を伝達する光ガイドを含み、前記光源は光ガイドの入射面に入射される光線の入射範囲が全て光ガイドの受容角の範囲内であると同時に、前記各光源の光線のスポットが全て光ガイド入射面のコア内に含まれるように配置されることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記ミラーは、長波長光源から照射される光は反射させ、短波長光源から照射される光は透過させるダイクロイックミラーであることを特徴とする。
【0016】
ここで、前記長波長光源が光ガイドの側面に配置され、前記側面に配置された長波長光源の光が前記ミラーにより反射された後、光ガイドの入射面に入射されるように前記ミラーが光ガイドの入射面前方から傾斜方向に配置されることを特徴とする。
【0017】
更に、前記ミラーは、500〜700nmの波長範囲の光は反射させ、500nm未満の波長と700nmを超過する波長の光は透過させるダイクロイックミラーであることを特徴とする。
【0018】
ここで、前記ダイクロイックミラーはダイクロイックミラーの表面とダイクロイックミラーに入射される光線との間の角度が45°以下となるように配置されることを特徴とする。
【0019】
更に、前記ミラーは、短波長光源から照射された光が光ガイドに入射される入射の範囲から完全に逸脱されるように配置され、前記短波長光源の光がミラーを経ることなく直接光ガイドの入射面に入射されるようにすることを特徴とする。
【0020】
ここで、前記ミラーは長波長光源の光を100%反射させるミラーであることを特徴とする。
【0021】
更に、前記光源はランプ、LED、レーザー光源の中から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0022】
更に、前記短波長光源は水銀ランプであることを特徴とする。
【0023】
また、前記長波長光源はハロゲンランプであることを特徴とする。
【0024】
また、前記光ガイドは液相光ガイドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る光治療用複合光源装置によると、複数の光源を組み合わせ、可視光の波長範囲で均一な光出力を提供することができ、使用者が必要な波長を選択して光出力を提供することができ、光量の増加及び光源の光を最大限活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照にし、本発明に係る光治療用複合光源装置について説明する。
【0027】
本発明は光線治療のための複合光源装置に関し、特にニキビを始めとする身体の皮膚疾患及び悪性腫瘍などの光治療の効率性を高めるために、複合光源を使用して光線治療に適合した波長及び光出力を光ガイドを通して治療部位に提供する光線治療のための複合光源装置に関する。
【0028】
本発明では目的達成のために、非コヒーレントな光源またはコヒーレントな光源を複数使用する複合光源装置を開示する。
【0029】
本発明の複合光源装置では複数の光源から放出される光線が光ガイド内に入射される時、必要な波長範囲内で各光源の特定波長範囲で不足した光エネルギー出力が別の光源により補強されるように構成される。
【0030】
本発明の技術的構成について説明するに先立ち、参考として複合光源装置で考慮しなければならない事項について先ず説明する。
【0031】
目的達成のための複合光源装置を構成するためには、複数の光源から放出される全ての光線が光ガイドに入射されるようにしなければならず、集光方法としては、光ガイドの受容角が各光源の最大入射角以上で、光ガイドの入射口径(コア)の直径が光源の光線スポットの直径より大きくなるように光源の入射角と位置を調整しなければならない。
【0032】
図1は典型的な光ガイドの光源装置を表す図面であり、図面符号Lは照明光源(ランプ)を表し、Cは反射鏡またはレンズを、LGは光ガイド(液相またはガラス)を表す。
【0033】
図示されるように、光ガイドLGにランプ照明光線を照射する方法としては、ランプLにより発光される光線部分が光ガイドLGの中心に位置した光軸を中心として、光ガイドの入射面に焦点距離(最適の作業距離)が位置されるように光を照射する方法が最も知られている。
【0034】
この時、ランプの集光角をUとし、光ガイド受容角をULGとするとき、U≦ULGである場合、光エネルギーの損失はなくなる。
【0035】
そして、光源として使用されるランプの場合、焦点距離によって光ガイドに伝達される光量の差は相当な差である。
【0036】
一例として、ランプの反射鏡を有するEKEハロゲンランプ(ウシオ電機)から光ガイド(直径8mm)までの距離変化による光出力の相対的変化を図2に表した。
【0037】
これは光ガイドの出力面(光が通過して出てくる光ガイドの末端面)での光出力の相対的変化を表す。
【0038】
図2から分かるように、光源から放出される光出力はランプと光ガイドとの間の距離に依存するが、最大光出力は37〜38mmの作業距離で獲得され、作業距離が48mmまで移動されると、光出力は1/1.3に減少(約23%減少)する。
【0039】
従って、各ランプの作業距離によって光ガイドに伝達される光量に差が生じるため、複数の光源を使用する光ガイド光源の場合、複数のランプを最適の作業距離に配置することが重要である。
【0040】
しかしながら、各ランプのサイズにより各々満足のいく位置に光源を配列することが、図3と図4に表されるように難しい。
【0041】
図3は光ガイドLGとの最適作業距離に合わせるための2つのランプL1,L2の配置を表すものであり、2つのランプL1、L2のサイズにより、相互間干渉が発生してランプの最適作業距離を合せることが難しい。
【0042】
数センチメーターの最適作業距離の位置に光源を配置するには光源自体のケース及び支持台により制約が伴い、従って光ガイドに入射される光源の最大入射角は光ガイドの受容角以下でなければならない。
【0043】
図3において、各ランプの反射鏡C1,C2のサイズにより、最適作業距離を合せるために2つのランプL1,L2を互いにこれ以上接近させることができず、結果的に光ガイドLGの入射面(入力面)(ランプの光が入射される光ガイドの末端面)の中心部の光軸に対して、各ランプL1,L2の光軸がより大きい傾斜角を有することによって、図4に表されるように、各ランプL1,L2の入射角が光ガイドの受容角を越える部分が発生し、2つの光源のうち受容角を越える部分に該当する光が光ガイド内で全反射が行われず損失されることで、光ガイドを通して出力することができない。
【0044】
図4は2つのランプの入射角が光ガイドLGの受容角を越える部分を網模様に斜線を入れて表示し、前記斜線部分は光ガイドLG内で全反射が行われず、損失されることで、光ガイドを通して出力することができない。
【0045】
次に、光源の発光体のサイズによる光ガイドの最適作業距離での光線スポットの直径を考慮しなければならない。
【0046】
図5は反射鏡を有するEKEハロゲンランプから発光する光線の焦点面付近での光線を表す写真であり、EKEハロゲンランプの場合、発光体のサイズ(約5mm)によるEKEランプの焦点距離付近での円錐形光線を表したものである。
【0047】
EKEランプの場合は写真から分かるように、焦点面で前記発光体による光線スポットの直径は約8〜10mmである。
【0048】
反面、水銀ランプの場合、その一例としてOSRAM社のHXPランプは、発光体のサイズが約1mmであり、発光体のサイズ以外にも光学システムの収差、回折などもまた考慮しなければならないため、焦点面での発光体による光線スポットの直径は1mm以上である。
【0049】
結局、複数の光源から発光する光線の光量損失を最大限に抑えて光ガイドに入射させるためには、最適作業距離に光源を位置させた後、図6のように光ガイドLGの受容角内に光源L1〜L3の入射角が入るようにし、更に、光ガイドLGのコアCRの直径内に光線のスポットS1〜S3の直径DL1〜DL3が入るように光源の設計をしなければならない。
【0050】
即ち、治療用光源装置において複数の光源を使用するためには、即ち治療用複合光源装置を構成するためには最適作業距離に光源を位置させる条件、光源の最大入射角が光ガイドの受容角以下である条件(図8でU+U≦ULGである条件)、光源から放出された光線のスポットが光ガイドのコア内に全て含むという条件を同時に満足させるように光源の配置及び設計をしなければならない。
【0051】
図6は複数の光源L1〜L3から発生する光線を合せて光ガイドLGに入射させる光源設計方法を説明するための図面であり、(a)光ガイドLGの受容角ULG内に光源L1〜L3の各光線入射角が全て含まれるように入射させる方法、(b)各光源の焦点距離(または最適作業距離)に該当する距離に位置する光ガイドLGの入射面のコア直径DLG内で、各光源の光線のスポット直径DL1〜DL3が逸脱しないように各光源の光線を入射させる方法を同時に適用しなければならない。
【0052】
更に、最適作業距離において、上の2つの方法以外に(c)光源から発光する光線の波長を合せる方法を図7のように考慮することができる。
【0053】
図7は2つの光源L1,L2から放出した光線の波長を合せる方法を説明するための図面であり、2つの光源L1,L2から発光する光線の波長を合せる図7のような方法は、2つの光源の光スペクトルの特性が異なるほど更に効果的に使用される。
【0054】
例えば、水銀ランプとハロゲンランプの組み合わせや、別の1つの光源がレーザーのような単色光であるときに効果的である。
【0055】
しかし、この方法は定められた波長帯で2つの光源から発光する2つの光線を同時に利用することができない。
【0056】
即ち、光源L1が水銀ランプであり、光源L2がハロゲンランプとする時、ダイクロイックミラーDMが500nm以下の光を透過させ、500nm以上の光を反射させる場合、500nm以上で発光する水銀ランプL1の光線を使用することができなくなる。
【0057】
光ガイドで出力される光量を増加させ、光スペクトル上で更に良い均一性を得るためには、複数の光源が発生させる光量を最大限損失がないように光ガイドで合せることが好ましい。
【0058】
何故ならば、使用者が所望する出力光の波長及び光出力を光ガイドの入射面に設置された光学フィルターのみ容易に交換することで獲得することができるためである。
【0059】
これを通して光線治療装備のために、好ましい広範囲の光スペクトルで均一に高出力の光の提供を受けることができる。
【0060】
しかしながら、最適の作業距離を維持しながら前述した3種類の方法(a)、(b)、(c)のうちいずれか1種類の方法のみを使用する場合は、所望する結果を得ることができない。
【0061】
従って、前述した各方法の限界を克服するために、2つのランプ光源に対して3種類の方法を同時に使用する複合光源装置を本発明で提案する。
【0062】
図8は光ガイドLGの受容角内で光源L1,L2の光線を入射させる方法、光ガイドLGのコア直径DLG内でスポット直径DL1,DL2が逸脱しないように光源L1,L2の光線を入射させる方法、光源L1,L2で放出した光線の波長を合せる方法を同時に使用して構成した図式図であり、各図面符号は下記の通りである。
【0063】
LG:光ガイドの受容角
:光源の集光角
:光ガイドの光軸と光源の中心軸との間の角
+U:光ガイドの光軸と光源の集光角との間の最大入射角
L1:光源1の光ガイドの表面(入力面)でのスポット直径
L2:光源2の光ガイドの表面(入力面)でのスポット直径
LG:光ガイドのコア直径
【0064】
図8によると、2つの光源L1,L2から発光する光線は図7の場合と比較して相対的に重なる部分が少ない。
【0065】
ミラーMで2つのランプL1,L2の光線が重なる部分はダイクロイックミラーの特性を有する。即ち、左側の光線の光は反射をし、一方、右側の光源の光は光を透過する。図8の概念による実際のランプL2の配置は図9に表される。
【0066】
光が重ならない残りのミラー部分は不透明ミラーであり得る。光が重なる部分は相対的に非常に小さく、光ガイドに入射する光量にほぼ影響を与えない。
【0067】
一方、本発明の発明者は光治療のためのランプ性能試験を行った。
【0068】
この時、2つのランプを使用し、1つは水銀ランプを、もう一つはハロゲンランプを使用した。
【0069】
水銀ランプとしては、120WのHXP−VISランプ(OSRAM社)を使用し、ハロゲンランプとしては150WのEKEランプ(ウシオ電機)を使用した。
【0070】
各ランプの前に熱遮蔽フィルター及び波長フィルターとして3D Millenniumフィルター、ThorLabフィルター、Newport Hotミラーを性能試験ランプの前方に設置し、直径8mmの液相光ガイド(LUMATEC社)を通して光線を伝達して光出力メーター(OPHIR Optronics社)を通して光出力を測定した。
【0071】
測定した値は下記表1に表した(RD:3D Millenniumフィルター、GD:ThorLabフィルター)。
【0072】
【表1】

【0073】
上の結果によると、400nm付近の光出力は水銀ランプであるHXP−VISで十分であるが、600nm付近の場合、特に640〜680nmの範囲では水銀ランプまたはハロゲンランプのみでは光出力が光線力学治療を含む多様な光治療を行うには不足である。
【0074】
従って、2つのランプから発生する光出力を合せる必要がなく、このために本発明の発明者は、図8で提案された図式図に沿って具体的な複合光源装置を開発し、このような本発明の複合光源装置を図9に図示した。
【0075】
図9は2つのランプにより光が提供する本発明の複合光源装置を図示した構成図であり、図8及び図9を参照にして更に詳しく説明する。
【0076】
本発明による光治療のための複合光源装置は光学治療を行うために定められた光スペクトル領域に光を照射するように構成されたものであり、短波長のスペクトル領域で主たる放出光を有する光源(以下、短波長光源とする)L1と、長波長のスペクトル領域で主たる放出光を有する光源(以下、長波長光源とする)L2と、前記光源L1,L2のうち選択された光源の光または前記光源L1,L2の選択された波長範囲の光のみが入射されるように光ガイドLGの入射面の前方に配置されるミラーMと、前記光源L1,L2から照射された光が受容角の範囲内で入射面のコアCRを通して入射されると光を伝達する光ガイドLGを含む。
【0077】
ここで、前記光源L1,L2は光ガイドLGの入射面に入射される光の入射範囲が全て光ガイドLGの受容角の範囲内に含まれると同時に、前記各光源L1,L2の光スポットS1,S2が全て光ガイドの入射面のコアCR内に含まれるように配置される。
【0078】
即ち、各光源L1,L2の光が光ガイドLGの入射面に入射される時、光源L1,L2の最大入射角(光ガイドの光軸と光源の集光角との間の最大入射角)が全て光ガイドLGの受容角以下(図8でU+U≦ULG)となるようにし、各光源L1、L2の光スポットの直径DL1,DL2が全て入射面のコア直径DLG内に含まれるようにし、光原L1,L2の光からミラーMを通して選択された波長範囲の光が光ガイドLGに入っていくようにする。
【0079】
このために、本発明の複合光源装置では、短波長光源L1を光ガイドLGの入射面(光が入っていく光ガイドの末端面)の前方に配置して短波長光源L1が照射する光が直接、光ガイドの入射面のコアCRに入射されるようにするか(図9参照)、前記ミラーMを透過した後、光ガイドの入射面のコアCRに入射されるようにする。
【0080】
好ましくは、本発明の複合光源装置において、長波長光源L2は光ガイドLGの側面に配置し、ダイクロイックミラーMを光ガイドLGの入射面前方から傾斜方向に配置して長波長光源L2から照射された後、ミラーMにより反射される光が光ガイドの入射面のコアCRに入射されるようにする。
【0081】
このように本発明の複合光源装置において、ミラーMは長波長光源L2から照射される光を反射させることで、反射された光が光ガイドLGに入っていくようにすると同時に、短波長光源L1から照射される光の一部を透過させることで、透過された光が光ガイドLGに入っていくようにするダイクロイックミラーとなり得る(図8参照)。
【0082】
ここで、前記ダイクロイックミラーは短波長光源L1と長波長光源L2から照射されて光ガイドLGに入っていく光の入射範囲内に配置されるが、この時図8に表されるように、ミラーMの一部が短波長光源L1の光入射範囲内に入っていくように短波長光原L1と光ガイドLGとの間にダイクロイックミラーMが配置される。
【0083】
即ち、短波長光源L1とダイクロイックミラーM、光ガイドLGの相互位置関係において、短波長光源L1はそれから照射される光の最大入射角が光ガイドLGの受容角の範囲内となるように配置される時、短波長光源L1の入射角の範囲内にその前方に位置されるダイクロイックミラーMの一部が入るように短波長光源及びダイクロイックミラーが配置される。
【0084】
この時、前記ミラーMは特定波長範囲の光は反射させ、その波長範囲を逸脱する光は透過させるダイクロイックミラーとなるが、この時500〜700nmの波長範囲の光は反射させ、500nm未満の波長と700nmを超過する波長の光は透過させるダイクロイックミラーとなる。
【0085】
更に、ミラーMは図9に表されるように、短波長光源L1から照射される光が光ガイドLGに入っていく入射範囲から完全に逸脱して設置されるが、この時はミラーMが長波長光源L2の前方の光入射範囲に配置された状態で長波長光源L2の光を100%反射して光ガイドLGに入っていくようにさせるミラーとなり、この時短波長光源L1の光は光ガイドLGの受容角内でミラーを経ることなく、直接光ガイドの入射面のコアCRに入射される。
【0086】
本発明の複合光源装置において、光源L1,L2はランプ、LED、レーザービームを照射するレーザー光源のうち選択される一つが使用される。
【0087】
好ましくは、前記短波長光源L1としては水銀ランプを使用し、前記長波長光源L2としてはハロゲンランプを使用する。
【0088】
更に好ましくは、本発明の複合光源装置において、光ガイドLGは大きい受容角とコア直径を有する液相光ガイドを使用する。
【0089】
一方、本発明の本発明者は図9を参照にして、複合光源装置を構成した後、光ガイドの光軸と光源から入射される光線との間の角度による光出力を測定した。
【0090】
本実験において、短波長光源としては水銀ランプを使用し、長波長光源としてはハロゲンランプを使用した。
【0091】
水銀ランプとしては120WのHXP−VISランプ(OSRAM社)を使用し、ハロゲンランプとしては150WのEKEランプ(ウシオ電機)を使用した。
【0092】
図9に図示されるように、反射鏡を有するランプが使用される場合、作業距離が35〜45mmと非常に近く、作業距離によって相当な出力変化があるため、最大限光ガイド末端と接近させなければならない。
【0093】
この時、光ガイドの光軸と水銀ランプとの間の角度(水銀ランプの最大入射角)U+U(図8参照)が大きいほど水銀ランプの光は直接光ガイドに入る。
【0094】
しかし、U+Uが非常に大きいと、光ガイドの受容角ULGを超えて光ガイドで全反射が行われないため、受容角を越えた光量ほど光の損失が発生する。
【0095】
従って、水銀ランプがダイクロイックミラーを最大限経ることなく、光ガイドに直接入る最適角度を下記表2のように求めた。
【0096】
上での光ガイドとしては、直径8mmの液相光ガイド(LUMATEC社)を使用し、使用された液相光ガイドは0.59の経口率を有しながら72°の受容角に対応される。
【0097】
更に、Newport Hot Mirrorを水銀ランプの前に設置し、光ガイド出力部での光出力はOPHIR NOVA IIの光出力メーターで出力した。
【0098】
下記表2は光ガイドを通過する水銀ランプの光出力の角度依存性を示したものである。
【0099】
【表2】

【0100】
表2に表されるように、光ガイドの光軸とHXP−VIS水銀ランプの間の角度(水銀ランプの最大入射角)U+Uが15°である時、光出力が最大であり、15°以下ではダイクロイックミラーに光線がかかることによって光の損失が発生し、15°以上では間の角U+Uがg光ガイドの受容角を越える角度部分が発生してこれに対応する光が光ガイド内で全反射が行われないため、光の損失が発生する。
【0101】
従って、HXP−VIS水銀ランプの場合、間の角度(光ガイドの光軸からの水銀ランプの最大入射角)が15°を超えないようにし、更に、光ガイドの表面に照射される光スポットの直径が光ガイドコアに含まれるように光スポットの位置を調整する必要がある。
【0102】
水銀ランプの場合は前述したように、ハロゲンランプに比べて光スポットの直径が小さいため、光ガイドの表面に位置を取ることがハロゲンランプより容易である。
【0103】
本発明による複合光源装置の場合、ダイクロイックミラーは400nm付近で透過率が高く、600nm付近で反射率が高くなければならない。
【0104】
ダイクロイックミラーは入射角によって波長の反射率と透過率が異なる。
【0105】
従って、EKEハロゲンランプからダイクロイックミラーに入る入射角を45°以下とした時、ダイクロイックミラーは500〜700nm付近でほぼ反射をし、500nm未満及び700nm超過範囲で光を透過するため、ダイクロイックミラーとハロゲンランプの入射光との間の角度は42°以下に合せた。
【0106】
一方、HXP水銀ランプがミラーを経ることなく光ガイドのコア内に光スポットの直径が含めることができれば、ダイクロイックミラーの代りに100%反射をする不透明ミラーを使用することが好ましい。
【0107】
この場合、水銀ランプの光は光が損失することなく光ガイドに入り、ハロゲンランプの光は反射されて光ガイドに入る。
【0108】
そして、ミラーと光ガイドとの間の空間にフィルターディスク(フィルターホイール)10を設置して使用者が必要な波長の光をフィルターの迅速な交換を通して獲得することができる。
【0109】
即ち、図9に図示されたように、交換用フィルター11が搭載されたフィルターディスク10がステッピングモータ12の回転軸12aに装着されるが、ステッピングモータ12の回転によりフィルターディスク10が回転されながら、選択された一つのフィルター11が光ガイドLGの入射面前方に位置される。
【0110】
このような方法を通して一例として光線力学治療のための大部分の造影剤の吸収範囲に該当する600〜700nm範囲の波長帯およびポルフィリンの主たる光吸収波長領域である400nmで選択的に光を提供することができ、400nmと600nm波長帯の光を同時にまたは順次的にも提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】単一ランプと光ガイドとで構成された典型的な光治療用光源装置を図示した参考図である。
【図2】ハロゲンランプから光ガイドまでの距離変化による光出力の相対的変化を示す参考図である。
【図3】光ガイドとの最適作業距離に合せるための2つのランプの配置状態の一例を図示した参考図である。
【図4】2つのランプの入射角が光ガイドの受容角を逸脱した状態でランプの光が光ガイドに入力されないことを示す参考図である。
【図5】反射鏡を有するハロゲンランプから発光する光線の焦点面付近での光線を表す写真である。
【図6】複数の光源から発生する光線を合せて光ガイドに入射させる光源設計方法を説明するための図面である。
【図7】2つの光源から放出した光線の波長を合せる方法を説明するための図面である。
【図8】本発明による複合光源装置での光源配置方法を説明するための図面である。
【図9】本発明による複合光源装置の実施例を図示した構成図である。
【符号の説明】
【0112】
10 フィルターディスク
11 交換用フィルター
12 ステッピングモータ
12a 回転軸
M ミラー
L1,L2 ランプ
C1,C2 反射鏡
LG 光ガイド
CR コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光治療のために光を照射する光源と、前記光源から照射された光が入射面のコアを通して入射されると、治療部位に提供するように入力された光を伝達する光ガイドを含む光治療用光源装置において、
光治療のために定められたスペクトル領域の光を照射する複数の光源を含み、短波長スペクトル領域の主たる放出光を有する短波長光源と;
長波長スペクトル領域の主たる放出光を有する長波長光源と;
前記光源の中から選択された光源の光または前記光源の選択された波長範囲の光のみが入射されるように、光ガイドの入射面前方に配置されるミラーと;
前記光源から照射された光が入射面のコアを通して入射されると光を伝達する光ガイドを含み、
前記光源は光ガイドの入射面に入射される光線の入射範囲が全て光ガイドの受容角の範囲内であると同時に、前記各光源の光線のスポットが全て光ガイド入射面のコア内に含まれるように配置されることを特徴とする光治療用複合光源装置。
【請求項2】
前記ミラーは、長波長光源から照射される光は反射させ、短波長光源から照射される光は透過させるダイクロイックミラーであることを特徴とする、請求項1記載の光治療用複合光源装置。
【請求項3】
前記長波長光源が光ガイドの側面に配置され、前記側面に配置された長波長光源の光が前記ミラーにより反射された後、光ガイドの入射面に入射されるように前記ミラーが光ガイドの入射面前方から傾斜方向に配置されることを特徴とする、請求項2記載の光治療用複合光源装置。
【請求項4】
前記ミラーは、500〜700nmの波長範囲の光は反射させ、500nm未満の波長と700nmを超過する波長の光は透過させるダイクロイックミラーであることを特徴とする、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の光治療用複合光源装置。
【請求項5】
前記ダイクロイックミラーはダイクロイックミラーの表面とダイクロイックミラーに入射される光線との間の角度が45°以下となるように配置されることを特徴とする、請求項4記載の光治療用複合光源装置。
【請求項6】
前記ミラーは、短波長光源から照射された光が光ガイドに入射される入射の範囲から完全に逸脱されるように配置され、前記短波長光源の光がミラーを経ることなく直接光ガイドの入射面に入射されるようにすることを特徴とする、請求項1記載の光治療用複合光源装置。
【請求項7】
前記ミラーは長波長光源の光を100%反射させるミラーであることを特徴とする、請求項6記載の光治療用複合光源装置。
【請求項8】
前記光源はランプ、LED、レーザー光源の中から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1記載の光治療用複合光源装置。
【請求項9】
前記短波長光源は水銀ランプであることを特徴とする、請求項1記載の光治療用複合光源装置。
【請求項10】
前記長波長光源はハロゲンランプであることを特徴とする、請求項1記載の光治療用複合装置。
【請求項11】
前記光ガイドは液相光ガイドであることを特徴とする、請求項1記載の光治療用複合光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−94069(P2009−94069A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260423(P2008−260423)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(507296791)コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティテュート (24)
【Fターム(参考)】