説明

光源装置、照明装置、モニタ装置及びプロジェクタ

【課題】基本波レーザ光の波長を変換して供給する光源装置において、周辺設備への悪影響が生じるレベルの基本波レーザ光が、光源装置から外部へ漏洩するのを防止させる。
【解決手段】波長選択ミラー15は、入射したレーザ光について、波長分離を行い、可視光を光源装置1から外部への射出方向に反射させ、赤外光を透過させる。波長選択ミラー15を透過した赤外光は、IRアブソーバ16において吸収される。このとき、吸収されなかった赤外光は、IRアブソーバ16の散乱面21によって散乱させられて光エネルギーが減衰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光源を用いる光源装置において、基本波レーザ光の波長を変換して供給するものが知られている。基本波レーザ光の波長を変換する波長変換素子として、例えば第二高調波発生(Second-Harmonic Generation;SHG)素子が用いられる。このSHG素子により、汎用のレーザ光源を用いて所望の波長のレーザ光を供給することができる。また、十分な光量のレーザ光を供給可能な構成とすることもできる。SHG素子を用いる光源装置として、例えば以下の特許文献1に記載されている光源装置のように、レーザ光を共振させる共振器構造内にSHG素子を配置する構成が知られている。共振器構造内において基本波レーザ光を共振させて所望の波長に変換されたレーザ光を取り出すことにより、高い波長変換効率でレーザ光を供給することが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開平5−235441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のような構成の光源装置では、共振器構造内において、基本波レーザ光を反射させるために波長選択性を持たせたミラーが用いられる。しかしながら、波長選択性を持たせたミラーであっても、基本波レーザ光の全てを反射可能とすることは困難である。このため、一部の基本波レーザ光が、ミラーを透過して光源装置から外部へそのまま漏洩してしまう可能性がある。たとえば、このような光源装置が画像表示装置に使用され、この基本波レーザ光を赤外光とした場合に、光エネルギーの高い赤外光は、画像が表示されるスクリーンなどの周辺設備に悪影響を与えてしまうことがある。一方、赤外光をLD光源パッケージ内の光源側に戻す方式をとった場合、SHG素子の温度制御素子に悪影響を及ぼし、適正温度制御が困難となる。また、光出力モニタを設置した場合には、赤外光線の戻り光の影響で正常なモニタリングができなくなる課題がある。
【0005】
本発明の目的は、上記した問題に鑑み、基本波レーザ光の波長を変換して供給する光源装置において、周辺設備への悪影響が生じるレベルの基本波レーザ光が、光源装置から外部へ漏洩するのを防止させ、且つ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図った、光源装置、照明装置、モニタ装置及びプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光源装置は、第1波長の光を供給する光源部と、前記第1波長の光を当該第1波長の光とは異なる第2波長の光へ変換する波長変換部と、前記第1波長の光が前記光源装置から外部へ漏洩するのを防止させる漏洩防止部とを有し、前記光源部及び前記波長変換部が配置される領域と、前記漏洩防止部が配置される領域とは光学的に分離されていることを特徴とする。ここで、光学的に分離されているとは、漏洩防止部に含まれる光学要素によって生ずる第1波長の光の正反射光が、光源部及び波長変換部が配置される領域に直接戻らないことをいう。
【0007】
本発明に係る光源装置によれば、光源部から第1波長の光を供給し、波長変換部によって第1波長の光を第2波長の光へ変換する。そして、漏洩防止部によって第1波長の光が外部へ漏洩するのを防止させる。光源部及び波長変換部と、漏洩防止部とは、相互が光学的に分離されている領域に配置されていることから、漏洩防止部に入射した第1波長の光が光源部や波長変換部の領域に戻るのを容易に抑制できる。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が光源装置から外部へ漏洩するのを防止させることができ、赤外光の漏洩に起因する問題に対処でき、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0008】
上記した本発明に係る光源装置では、前記漏洩防止部は、前記第2波長の光を反射させて前記第1波長の光を透過させる波長分離部と、前記波長分離部を透過した前記第1波長の光を吸収する光吸収部とを有することを特徴とする。
【0009】
この光源装置によれば、漏洩防止部において、波長分離部は、第2波長の光を反射させて第1波長の光を透過させる。そして、光吸収部は、この透過した第1波長の光を吸収する。ここで、第1波長の光を赤外光とした場合に、この赤外光は、波長分離部を透過して光吸収部に吸収される。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、赤外光が光源部や波長変換部の領域に戻るのを抑制することができ、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が光源装置から外部へ漏洩するのを防止させることができる。また、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0010】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光吸収部は、前記波長分離部を透過した前記第1波長の光を散乱させる光散乱部を有することを特徴とする。
【0011】
この光源装置によれば、光吸収部における光散乱部によって第1波長の光を散乱させることができる。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、赤外光が光源部や波長変換部の領域に戻るのを抑制することができ、第1波長の光を赤外光とした場合に、赤外光の光エネルギーを減衰させて周辺設備への悪影響を弱めさせることができる。また、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0012】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光散乱部における前記第1波長の光が入射する面は、前記入射する第1波長の光軸に対して傾斜していることを特徴とする。
【0013】
この光源装置によれば、光散乱部は、入射した第1波長の光を、入射方向とは異なる方向に傾けて散乱させることができる。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、赤外光が光源部や波長変換部の領域に戻るのを抑制することができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0014】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光吸収部は、前記波長分離部側に行くに従って径が縮小するテーパ面と、前記テーパ面を反射した前記第1波長の光が前記波長分離部へ入射しないように遮光する遮光部とを含むことを特徴とする。
【0015】
この光源装置によれば、光吸収部は、入射した第1波長の光を、テーパ面及び遮光部において波長分離部に戻らないように反射させ、吸収することができる。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、赤外光が光源部や波長変換部の領域に戻るのを抑制することができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0016】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光吸収部は、前記波長分離部側に行くに従って径が拡大するテーパ面を含むことを特徴とする。
【0017】
この光源装置によれば、光吸収部は、入射した第1波長の光を光吸収部のテーパ面において波長分離部に戻らないように反射させ、吸収することができる。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、赤外光が光源部や波長変換部の領域に戻るのを抑制することができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0018】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光吸収部は、放熱部を有することを特徴とする。
【0019】
この光源装置によれば、光吸収部の放熱部により、波長分離部を透過した第1波長によって生じる光源装置における発熱を放熱することで冷却することができる。
【0020】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光吸収部は、冷却部を有することを特徴とする。
【0021】
この光源装置によれば、光吸収部の冷却部により、波長分離部を透過した第1波長によって生じる光源装置における発熱を冷却することができる。
【0022】
上記した本発明に係る光源装置では、前記漏洩防止部は、前記第2波長の光を透過させて前記第1波長の光を反射させる波長分離部と、前記波長分離部によって反射された前記第1波長の光を吸収する光吸収部とを有し、前記光吸収部は、前記反射された第1波長の光が前記波長変換部側の領域へ入射しないように遮光する遮光部を含むことを特徴とする。
【0023】
この光源装置によれば、漏洩防止部において、波長分離部は、第2波長の光を透過させて第1波長の光を反射させる。そして、光吸収部は、反射した第1波長の光を遮光部によって波長変換部側の領域へ入射しないようにする。ここで、第1波長の光を赤外光とした場合に、この赤外光は、波長分離部において反射され、波長変換部側の領域に戻らずに吸収される。これにより、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が光源装置から外部へ漏洩するのを防止させることができる。
【0024】
上記した本発明に係る光源装置では、前記光吸収部は、前記反射された第1波長の光の量を検出する光検出部を備え、前記遮光部は、前記光検出部によって反射された光を含む前記第1波長の光が前記波長変換部側の領域へ入射しないように遮光することを特徴とする。
【0025】
この光源装置によれば、光吸収部に光量を検出する光検出部を備えた場合に、遮光部は、光検出部によって反射された第1波長の光も含めて波長変換部側へ入射しないようにする。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、光検出部を備えた場合においても、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が光源装置から外部へ漏洩することを防止させることができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0026】
本発明に係る光源装置は、前記波長変換部から射出され、前記漏洩防止部で反射された前記第1波長の光が、前記波長変換部側の領域へ直接入射しないことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る光源装置によれば、波長変換部から射出され、漏洩防止部で反射された第1波長の光が、波長変換部側の領域へ直接入射しない。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が光源装置から外部へ漏洩するのを防止させることができ、赤外光の漏洩に起因する問題に対処でき、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0028】
前記光源部、前記波長変換部及び前記漏洩防止部を覆うように形成され、前記第2波長の光を射出する開口部が形成された筐体と、前記開口部に設けられたウインドウと、をさらに備え、前記漏洩防止部は、前記漏洩防止部から射出され前記ウインドウによって反射された前記第1波長の光が前記波長変換部側の領域へ直接入射しないように設置されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【0029】
本発明に係る光源装置によれば、漏洩防止部から射出されウインドウによって反射された第1波長の光が波長変換部側の領域へ直接入射しない。これにより、第1波長の光を赤外光とした場合に、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が光源装置から外部へ漏洩するのを防止させることができ、赤外光の漏洩に起因する問題に対処でき、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0030】
本発明に係る照明装置は、上記した光源装置を含むことを特徴とする。
【0031】
本発明に係る照明装置によれば、第1波長の光を赤外光とした場合に、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が照明装置から外部へ漏洩するのを防止させることができ、赤外光の漏洩に起因する問題に対処でき、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0032】
本発明に係るモニタ装置は、上記した光源装置と、前記光源装置により照射された被写体を撮像する撮像部とを含むことを特徴とする。
【0033】
本発明に係るモニタ装置によれば、第1波長の光を赤外光とした場合に、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光がモニタ装置から外部へ漏洩するのを防止させることができ、赤外光の漏洩に起因する問題に対処でき、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【0034】
本発明に係るプロジェクタは、上記した光源装置と、前記光源装置からの光を利用して、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置とを含むことを特徴とする。
【0035】
本発明に係るプロジェクタによれば、第1波長の光を赤外光とした場合に、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光がプロジェクタから外部へ漏洩するのを防止させることができ、赤外光の漏洩に起因する問題に対処でき、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、光源装置1は、レーザ光源11、光路変更プリズム12、SHG素子13、外部共振器14、波長選択ミラー15、IRアブソーバ16及びIR吸収ウインドウ17を備える。
【0038】
レーザ光源11は、光源部として、一又は複数の赤外光からなる基本波レーザ光を供給する。レーザ光源11は、その発光面に対して略垂直に赤外光を射出する発光素子を有している。レーザ光源11から射出された赤外光は、光路変更プリズム12へ入射する。レーザ光源11としては、例えば、半導体レーザ及び固体レーザ等を用いることができる。
なお、本実施形態においては、赤外光は、第1波長の光として、約830nmを超える波長を有する光を示す。また、可視光は、第2波長の光として、約360nm〜約830nmの波長を有する光を示す。即ち、赤外光は可視光以外の非可視光に含まれることになる。
【0039】
光路変更プリズム12は、入射したレーザ光を光学的に屈折又は反射させる。レーザ光源11から射出された赤外光は、光路変更プリズム12において反射されることで光路が略90°変更されて、SHG素子13へ入射する。光路変更プリズム12としては、例えば、ガラス等の基材上にアルミニウム等の金属反射膜を形成したもの、及び全反射プリズム等を用いることができる。
【0040】
SHG素子13は、波長変換部として、レーザ光の波長を略半分の波長に変換する波長変換素子である。レーザ光源11から光路変更プリズム12を介して射出された赤外光は、SHG素子13を通過することによって可視光に変換される。このとき、SHG素子13の変換効率は約40%〜50%程度である。このため、SHG素子13から射出されて外部共振器14に入射するレーザ光には、赤外光と可視光との両方が含まれる。SHG素子13としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。
【0041】
外部共振器14は、波長選択性を持たせたミラーであり、入射したレーザ光について、赤外光をSHG素子13側へ反射させて、可視光を透過させる。反射されたレーザ光は、外部共振器14とレーザ光源11との間の光路において反射を繰り返し、増幅される。増幅されたレーザ光のうち、SHG素子13で波長変換された可視光が外部共振器14から射出される。しかし、外部共振器14は、所定の波長のレーザ光(赤外光)の全てを反射させるのではなく、一部(約1%〜2%程度)のレーザ光を透過させてしまう。よって、外部共振器14から射出されるレーザ光には、可視光以外に赤外光も含まれることになる。外部共振器14から射出されたレーザ光は、波長選択ミラー15へ入射する。外部共振器14としては、例えば、周期格子を有するホログラムのような光学素子を用いることができる。
【0042】
外部共振器14において反射され、SHG素子13内を光路変更プリズム12方向へ通過したレーザ光のうち、可視光は、光路変更プリズム12において屈折されて、波長選択ミラー15へ入射する。このとき、この可視光は、SHG素子13及び外部共振器14を通過しないで波長選択ミラー15へ直接入射する。
【0043】
波長選択ミラー15は、波長分離部として、入射したレーザ光について、所定の波長のレーザ光を反射させ、他の波長のレーザ光を透過させる。ここでは、レーザ光のうち可視光を反射させて赤外光を透過させる。波長選択ミラー15は、外部共振器14からの入射光に垂直な面に対して、入射光の進行方向に略45度傾けて配置されている。よって、波長選択ミラー15において反射された可視光は、光路が略90度変更されてIR吸収ウインドウ17へ入射する。また、波長選択ミラー15を透過した赤外光は、そのままIRアブソーバ16へ入射する。波長選択ミラー15としては、例えば、平行平板の入射側表面に誘電体多層膜のような波長選択膜が形成されたガラス等の部材を用いることができる。
【0044】
IRアブソーバ16は、光吸収部25として、入射した赤外光を吸収する。また、IRアブソーバ16には、レーザ光を散乱する光散乱部としての散乱面21が形成されており、吸収されなかった赤外光を散乱させる。IRアブソーバ16は、波長選択ミラー15からの入射光に垂直な面に対して、入射光の進行方向とは逆方向に略30度傾けて配置されている。よって、赤外光は、散乱面21によって少し下向きに散乱する。IRアブソーバ16としては、例えば、金属製部材の黒アルマイト処理されたアルミニウム板や、成型されたマグネシウムダイキャスト構造、チタンフレームなどの赤外光を吸収する部材を用いることができる。また、散乱面21は、例えばエッチングや、機械加工等によって部材に粗面を形成することにより得る。
【0045】
ここで、上記した波長選択ミラー15及びIRアブソーバ16は、赤外光が光源装置1から外部へ漏洩するのを防止させる漏洩防止部の構成に含まれる。また、図1に示すように、波長選択ミラー15及びIRアブソーバ16が配置された領域は、レーザ光源11、光路変更プリズム12、SHG素子13及び外部共振器14(以下、レーザ光源11〜外部共振器14と称する。)が配置された領域とは異なり、波長選択ミラー15及びIRアブソーバ16による赤外光の正反射光がレーザ光源11〜外部共振器14が配置された領域には直接戻らない配置となっている。したがって、相互の領域は光学的に分離されている。
【0046】
IR吸収ウインドウ17は、赤外光を吸収することで赤外光の透過を低減させる。一方、IR吸収ウインドウ17に入射した可視光はIR吸収ウインドウ17を透過し、光源装置1の外部へ射出される。IR吸収ウインドウ17は、筐体19に形成された開口部20を完全に塞ぐように設けられている。波長選択ミラー15において反射されてIR吸収ウインドウ17に入射する光の中に一部赤外光が含まれる可能性がある。その場合、IR吸収ウインドウ17において、含まれた赤外光を吸収し、吸収されなかった赤外光は波長選択ミラー15へと反射させる。そして、IR吸収ウインドウ17において反射された赤外光(破線矢印で示す)は、波長選択ミラー15をそのまま透過する。ここで、一部赤外光は波長選択ミラー15において光路が略90度変更されて外部共振器14側に戻ることになるが、この赤外光は、光エネルギーが相当減衰されたものである。IR吸収ウインドウ17としては、例えば、SiO2を含有するガラス平板にIRカット膜をコーティングした部材や、赤外光を吸収するIR吸収ガラスを用いることができる。
【0047】
ベースプレート18には、レーザ光源11〜外部共振器14が配設されている。ベースプレート18は、取り付け面が平坦なプレートである。ベースプレート18としては、熱を伝導させる熱伝導材を用いることができる。また、筐体19は、光源装置1内部に設置された光学素子を覆うように形成され、赤外光を透過しない部材を用いることができる。
【0048】
上述したように、本実施形態に係る光源装置1では、波長選択ミラー15に入射するレーザ光には、可視光以外に赤外光も含まれる。波長選択ミラー15は、入射したレーザ光について、波長分離を行い、可視光を光源装置1から外部への射出方向に反射させ、赤外光を透過させる。波長選択ミラー15を透過した赤外光は、IRアブソーバ16において吸収される。このとき、吸収されなかった赤外光は、IRアブソーバ16の散乱面21によって散乱させられて光エネルギーが減衰する。また、レーザ光源11〜外部共振器14と、波長選択ミラー15及びIRアブソーバ16とは、相互が光学的に分離されている領域に配置されていることから、波長選択ミラー15を透過した赤外光がレーザ光源11〜外部共振器14の領域に戻るのを抑制できる。これらにより、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が、光源装置1から外部へ漏洩するのを防止させることができる。
【0049】
また、IRアブソーバ16は、入射光の進行方向とは逆方向に略30度傾けて配置されており、赤外光は、散乱面21によって少し下向きに散乱する。これにより、散乱させられた赤外光がレーザ光源11〜外部共振器14の領域に戻るのを更に抑制できLD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることが可能となる。また、IR吸収ウインドウ17において、赤外光が外部へ透過してしまうのを更に重ねて抑制できる。
【0050】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
【0051】
図2は、本発明の第2実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、光源装置2は、第1実施形態の光源装置1と同様に、レーザ光源11〜外部共振器14、波長選択ミラー15及びIR吸収ウインドウ17を備えている。また、光源装置2は、波長選択ミラー15を透過する光の射出側に、第1実施形態のIRアブソーバ16とは形状が異なるIRアブソーバ26,27を備えている。なお、レーザ光源11〜外部共振器14及びIR吸収ウインドウ17については、第1実施形態の光源装置1と同様の機能及び構成であるため説明を省略する。
【0052】
波長選択ミラー15及びIRアブソーバ26,27は外部共振器14からの光の進行方向に配置されて漏洩防止部の構成に含まれる。波長選択ミラー15は、第1実施形態と同様の機能を有するが、第1実施形態と異なり、外部共振器14からの入射光に垂直な面に対して略50度傾けて配置されている。これに伴い、波長選択ミラー15における反射光の角度が変わることになり、筐体19における開口部20及びIR吸収ウインドウ17の位置は、第1実施形態における位置よりも、外部共振器14からの光の射出方向に少しずれることになる。これにより、可視光の射出方向と、IRアブソーバ26における赤外光の反射方向との差が大きくなり、赤外光が外部へ漏洩してしまうのを抑制し易くなる。また、波長選択ミラー15の傾斜は、IRアブソーバ26において反射された赤外光が波長選択ミラー15に入射したときに、波長選択ミラー15を透過しないで反射する角度となっている。
【0053】
IRアブソーバ26,27は、光吸収部25として、入射した赤外光を吸収する。IRアブソーバ26,27の一方のIRアブソーバ26は、波長選択ミラー15側に行くに従って径が拡大するテーパ面28を有する。テーパ面28は、IRアブソーバ26において吸収されなかった赤外光を反射させる。そのときに、テーパ面28で反射された赤外光が、光エネルギーの高いまま波長選択ミラー15に戻らないように、テーパ面28の角度が形成されており、吸収と多重反射により赤外光の吸収が可能となる。IRアブソーバ26,27としては、赤外光を吸収する部材である金属やABS樹脂を用いることができる。
【0054】
ここで、IR吸収ウインドウ17の位置が、第1実施形態の位置よりも、外部共振器14からの光の射出方向に少しずれているために、IR吸収ウインドウ17において反射された赤外光(破線矢印で示す)は、IRアブソーバ26へ入射する。入射した赤外光は、IRアブソーバ26において吸収されることから、赤外光が外部共振器14側に戻ることを防止することができる。
【0055】
上述したように、本実施形態に係る光源装置2では、波長選択ミラー15を透過した赤外光は、IRアブソーバ26に入射して吸収される。このとき、吸収されなかった赤外光は、IRアブソーバ26のテーパ面28によって反射させられて、IRアブソーバ26,27において吸収される。これにより、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が、光源装置2から外部へ漏洩するのを防止させ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。
【0056】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
【0057】
図3は、本発明の第3実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、光源装置3は、第1実施形態の光源装置1と同様に、レーザ光源11〜外部共振器14、波長選択ミラー15及びIR吸収ウインドウ17を備えている。また、光源装置3は、第1実施形態の光源装置1とは異なり、波長選択ミラー15を透過する光の射出側にアパーチャ31及びヒートシンク32を備えている。なお、レーザ光源11〜外部共振器14及びIR吸収ウインドウ17については、第1実施形態の光源装置1と同様の機能及び構成であるため説明を省略する。
【0058】
波長選択ミラー15、アパーチャ31及びヒートシンク32は、外部共振器14からの光の進行方向に配置されて漏洩防止部の構成に含まれる。波長選択ミラー15は、第1実施形態と同様の機能を有するが、第1実施形態と異なり、外部共振器14からの入射光に垂直な面に対して略40度傾けて配置されている。これに伴い、波長選択ミラー15における反射光の角度が変わることになり、筐体19における開口部20及びIR吸収ウインドウ17の位置は、第1実施形態における位置より少し外部共振器14側にずれることになる。これにより、波長選択ミラー15によって反射される可視光と透過する赤外光との方向の差が大きくなり、赤外光が外部へ漏洩してしまうのを抑制し易くなる。また、IR吸収ウインドウ17を通過する領域が長く、吸収される赤外光をより多くすることができる。
【0059】
アパーチャ31は、遮光部として、波長選択ミラー15を透過してヒートシンク32に入射した赤外光が反射して再び波長選択ミラー15に戻らないように遮光する。また、アパーチャ31は、反射されて入射した赤外光を吸収する。アパーチャ31は、波長選択ミラー15を透過する赤外光の光路の上下(図3に向かって)に筐体19と一体となるように設けられている。アパーチャ31としては、赤外光を吸収する部材を用いることができる。
【0060】
ヒートシンク32は、筐体19の右方向(図3に向かって)に突出する放熱部としての放熱フィン33を備えている。放熱フィン33は、波長選択ミラー15を透過した赤外光によって生じる光源装置3における発熱を放熱することで冷却する。また、ヒートシンク32は、入射した赤外光を吸収する機能を併せ持つ。ヒートシンク32は、波長選択ミラー15側に行くに従って径が縮小するテーパ面34を有する。テーパ面34は、ヒートシンク32において吸収されなかった赤外光を反射させる。テーパ面34のテーパ角度及びアパーチャ31は、テーパ面34で反射された赤外光が波長選択ミラー15に戻らないように形成されている。ヒートシンク32及びアパーチャ31は、光吸収部25の構成に含まれる。ヒートシンク32としては、金属等の熱伝導性部材を用いることができる。また、テーパ面34としては、赤外光を吸収する例えば金属部材や、樹脂部材を用いることができる。
【0061】
ここで、IR吸収ウインドウ17の位置が、第1実施形態より少し外部共振器14側にずれているために、IR吸収ウインドウ17において反射された赤外光(破線矢印で示す)は、外部共振器14側に戻ることになるが、この赤外光は、光エネルギーが相当減衰されたものである。このIR吸収ウインドウ17において反射された赤外光が外部共振器14側に戻ることを防止する遮光部が設けられていてもよい。本実施形態においても、レーザ光源11〜外部共振器14から射出された赤外光の波長選択ミラー15及びIRアブソーバ16による正反射光が外部共振器14側に直接戻らないことは第1実施形態と同様である。
【0062】
上述したように、本実施形態に係る光源装置3では、波長選択ミラー15を透過した赤外光は、ヒートシンク32のテーパ面34に入射して吸収される。このとき、吸収されなかった赤外光は、筐体19の内壁、アパーチャ31やテーパ面34によって繰り返し反射させられて吸収される。これにより、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が、光源装置3から外部へ漏洩するのを防止させ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。また、併せて、ヒートシンク32の放熱フィン33により、赤外光によって生じる光源装置3における発熱を効率的に冷却することができる。
【0063】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
【0064】
図4は、本発明の第4実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、光源装置4は、第1実施形態の光源装置1と同様に、レーザ光源11〜外部共振器14、波長選択ミラー15及びIR吸収ウインドウ17を備えている。また、光源装置4は、第1実施形態の光源装置1とは異なり、波長選択ミラー15を透過する光の射出側に、ヒートシンク41のみを備えている。なお、レーザ光源11〜外部共振器14及びIR吸収ウインドウ17については、第1実施形態の光源装置1と同様の機能及び構成であるため説明を省略する。
【0065】
波長選択ミラー15及びヒートシンク41は、外部共振器14からの光の進行方向に配置されて漏洩防止部の構成に含まれる。波長選択ミラー15は、第2実施形態と同様に、外部共振器14からの入射光に垂直な面に対して略50度傾けて配置されている。このため、IR吸収ウインドウ17の位置が、第1実施形態における位置よりも外部共振器14からの光の射出方向に少しずれている。
【0066】
ヒートシンク41は、筐体19の右方向及び上方向(図4に向かって)に突出する2組の放熱フィン33を備えている。ヒートシンク41の内部には、冷却部としての液体流路42を備えている。更に、ヒートシンク41を支持するベース46には断熱構造部44が形成されている。波長選択ミラー15を透過した赤外光によって生じるヒートシンク41等における発熱を、放熱フィン33によって放熱することで冷却し、且つ液体流路42を冷却用の液体が流通することによって更に冷却する。また、断熱構造部44は、ヒートシンク41等における発熱が筐体19から光源装置4の全体に伝導しないように熱を遮断する。
【0067】
また、ヒートシンク41は、入射した赤外光を吸収する機能を併せ持つ。ヒートシンク41は、光吸収部25の構成に含まれる。ヒートシンク41には、レーザ光を散乱する光散乱部としての散乱面43が形成されており、吸収されなかった赤外光を散乱させる。なお、ここで、散乱面43を第1実施形態におけるIRアブソーバ16のように、入射光の進行方向とは逆方向に少し傾けて配置しても良い。ヒートシンク41としては、金属等の熱伝導性部材を用いることができる。また、散乱面43としては、赤外光を吸収する部材を用いることができ、例えばエッチング等によって部材に粗面を形成する。ベース46の断熱構造部44は、例えば、樹脂材や、中空構造又は真空構造等により形成することができる。
【0068】
ここで、IR吸収ウインドウ17の位置が、第1実施形態の位置よりも、外部共振器14からの光の射出方向に少しずれているために、IR吸収ウインドウ17において反射された赤外光(破線矢印で示す)は、波長選択ミラー15へ入射する。入射した赤外光は、ヒートシンク41において吸収されることから、赤外光が外部共振器14側に戻ることを防止することができる。
【0069】
上述したように、本実施形態に係る光源装置4では、波長選択ミラー15を透過した赤外光は、ヒートシンク41の散乱面43に入射して吸収される。このとき、吸収されなかった赤外光は、散乱面43によって散乱させられて光エネルギーが減衰する。これにより、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が、光源装置4から外部へ漏洩するのを防止させ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。また、併せて、ヒートシンク41の2組の放熱フィン33及び液体流路42等により、赤外光によって生じる光源装置4における発熱を更に効率的に冷却することができる。
【0070】
(第5実施形態)
以下、本発明の第5実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
【0071】
図5は、本発明の第5実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、光源装置5は、レーザ光源11、SHG素子13、外部共振器14、波長選択ミラー61、及びレーザ光源11とSHG素子13との間にアパーチャ62、外部共振器14と波長選択ミラー61との間にアパーチャ63を備えている。また、アパーチャ63と波長選択ミラー61との間には、筐体19において右方向(図5に向かって)に突出する放熱フィン33を備えている。ここで、レーザ光源11、SHG素子13及び外部共振器14については第1実施形態の光源装置1と同様の機能及び構成であるため説明を省略する。
【0072】
レーザ光源11から射出された赤外光は、第1実施形態の光源装置1とは異なり、直接SHG素子13へ入射する。そしてSHG素子13によって赤外光の一部が可視光に変換され、外部共振器14とレーザ光源11との間の光路において反射を繰り返し、増幅後に外部共振器14から射出される。このとき、外部共振器14から射出されるレーザ光には、可視光以外に赤外光も含まれる。外部共振器14から射出されたレーザ光は、波長選択ミラー61へ入射する。なお、本実施形態におけるレーザ光源11、SHG素子13及び外部共振器14の構成に替えて、第1実施形態の光源装置1におけるレーザ光源11〜外部共振器14の構成を適用しても良い。
【0073】
アパーチャ63及び波長選択ミラー61は外部共振器14の上側(図5に向かって)に配置されて漏洩防止部の構成に含まれる。波長選択ミラー61は、波長分離部として、第1実施形態とは異なり、入射したレーザ光のうち可視光を透過させて赤外光を反射させる。また、アパーチャ62,63のそれぞれは、レーザ光の光路の左右(図5に向かって)に筐体19と一体となるように設けられている。アパーチャ62は、レーザ光源11から射出される赤外光のうち放射状に拡がる赤外光を吸収及び反射させ、筐体19内におけるアパーチャ62より上側(図5に向かって)の領域に赤外光が散乱するのを抑制する。アパーチャ63は、波長選択ミラー61において反射された赤外光を吸収及び多重反射させることにより、赤外光が筐体19内におけるアパーチャ63より下側(図5に向かって)の領域に戻らないように遮光する。アパーチャ63は、遮光部として光吸収部25の構成に含まれる。アパーチャ62,63としては、赤外光を吸収する部材を用いることができる。
【0074】
上述したように、本実施形態に係る光源装置5では、波長選択ミラー61に入射するレーザ光には、可視光以外に赤外光も含まれる。波長選択ミラー61は、入射したレーザ光について、波長分離を行い、可視光を光源装置5から外部へ透過させ、赤外光を反射させる。波長選択ミラー61において反射された赤外光は、アパーチャ63において吸収される。そして、吸収されなかった赤外光は、筐体19の内壁、アパーチャ63や波長選択ミラー61によって繰り返し反射させられて吸収される。これにより、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が、光源装置5から外部へ漏洩するのを防止させることができる。
【0075】
次に、図6は、本発明の第5実施形態に係る光源装置の応用例を示す図である。同図に示すように、光源装置6では、光吸収部25内に赤外光の光量を検出する光検出部65と、赤外光を吸収及び反射させるアパーチャ66とを備えている。波長選択ミラー61に入射するレーザ光は、図5のレーザ光とは異なり、少し左側から斜めに入射させる。また、アパーチャ66は、筐体19の内壁、アパーチャ66や波長選択ミラー61で反射された赤外光が、SHG素子13や外部共振器14側の領域に戻ることがないような角度を設けて配置されている。
【0076】
上述したように、本実施形態に係る光源装置6では、光吸収部25内に光検出部65を備えて、光検出部65等によって反射された赤外光が、SHG素子13や外部共振器14側の領域に戻ることがないような構成となっている。これにより、光検出部65を用いてレーザ光の光量を調整する場合においても、周辺設備への悪影響が生じるレベルの赤外光が、光源装置6から外部へ漏洩するのを防止させ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。
【0077】
(第6実施形態)
<照明装置>
最初に、本発明を適用した第6実施形態に係る照明装置の概略構成について説明する。
図7は、本発明の第6実施形態に係る照明装置の概略構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る照明装置300は、光源装置100と、光源装置100から射出されるレーザ光を拡散させる拡散素子310とを備える。光源装置100は、上記した光源装置1〜6のいずれも適用することができる。なお、同図では光源装置100を構成するレーザ光源11、SHG素子13及び外部共振器14のみを示し、他の構成素子等については省略している。
【0078】
以上のように構成された照明装置300によれば、光源装置100から高い波長変換効率でレーザ光を射出したときに、光源装置100から拡散素子310を介して外部へ赤外光が漏洩してしまうのを防止させることができる。これにより、照明装置300において、赤外光が周辺設備に悪影響を与えてしまう問題に対処することができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。
【0079】
(第7実施形態)
<モニタ装置>
次に、本発明を適用した第7実施形態に係るモニタ装置の概略構成について説明する。
図8は、本発明の第7実施形態に係るモニタ装置の概略構成図である。同図に示すように、モニタ装置400は、装置本体410と、光伝送部420とを備える。装置本体410は、上記した第6実施形態の光源装置100を備える。
【0080】
光伝送部420は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド422,424を備える。各ライトガイド422,424は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド422の入射側には光源装置100が配設され、その射出側には拡散板426が配設されている。光源装置100から射出されたレーザ光は、ライトガイド422を伝って光伝送部420の先端に設けられた拡散板426に送られ、拡散板426により拡散されて被写体を照射する。
【0081】
光伝送部420の先端には、結像レンズ428も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ428で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド424を伝って、装置本体410内に設けられた撮像部としてのカメラ430に送られる。この結果、光源装置100により射出されたレーザ光により、被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ430で撮像することができる。
【0082】
以上のように構成されたモニタ装置400によれば、光源装置100から高い波長変換効率でレーザ光を射出したときに、光源装置100から光伝送部420を介して外部へ赤外光が漏洩してしまうのを防止させることができる。これにより、モニタ装置400において、赤外光が周辺設備に悪影響を与えてしまう問題に対処することができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。
【0083】
(第8実施形態)
<プロジェクタ>
次に、本発明を適用した第8実施形態に係るプロジェクタの概略構成について説明する。
図9は、本発明の第8実施形態に係るプロジェクタの概略構成図である。なお、図9中においては、簡略化のためプロジェクタ500を構成する筐体は省略している。プロジェクタ500は、スクリーン510に光を供給し、スクリーン510で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。
【0084】
プロジェクタ500は、図9に示すように、赤色光を射出する赤色照明装置512Rと、緑色光を射出する緑色照明装置512Gと、青色光を射出する青色照明装置512Bと、を備える。赤色照明装置512R、緑色照明装置512G、青色照明装置512Bは、上記した第6実施形態の照明装置300とそれぞれ同一の構成である。赤色照明装置512R、緑色照明装置512G、青色照明装置512Bは、それぞれのSHG素子13(図7参照)を備える。赤色照明装置512Rが備えるSHG素子13では、赤外光から赤色光への波長変換が行われ、緑色照明装置512Gが備えるSHG素子13では、赤外光から緑色光への波長変換が行われる。また、青色照明装置512Bが備えるSHG素子13では、赤外光から青色光への波長変換が行われる。なお、SHG素子を備えずに、レーザ光源から直接、赤色光、緑色光、青色光のレーザ光を射出するものを含んでいても良い。
【0085】
プロジェクタ500は、赤色照明装置512R、緑色照明装置512G、青色照明装置512Bから射出された照明光を、パソコン等から送られてきた画像信号に応じてそれぞれ変調する液晶ライトバルブ514R,514G,514Bを含んでいる。更に、プロジェクタ500は、液晶ライトバルブ514R,514G,514Bから射出された光を合成して投写レンズ516に導くクロスダイクロイックプリズム518を含んでいる。また、プロジェクタ500は、液晶ライトバルブ514R,514G,514Bによって形成された像を拡大してスクリーン510に投写する投写レンズ516を含んでいる。
【0086】
各液晶ライトバルブ514R,514G,514Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム518に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は画像形成装置にあたり投写光学系である投写レンズ516により表示面であるスクリーン510上に投写され、所望の大きさに拡大された画像が表示される。
【0087】
以上のように構成されたプロジェクタ500によれば、赤色照明装置512R、緑色照明装置512G、青色照明装置512Bから高い波長変換効率でレーザ光を射出したときに、投写レンズ516から外部へ赤外光が漏洩してしまうのを防止させることができる。これにより、プロジェクタ500において、周辺設備に悪影響を与えてしまう問題に対処することができ、LD光源パッケージ内の温度制御、光源出力の安定化を図ることができる。
【0088】
なお、本実施形態のプロジェクタ500は、いわゆる3板式の液晶プロジェクタであったが、これに換えて、色光毎に時分割でレーザ光源を点灯することにより1つのライトバルブのみでカラー表示を可能とした構成の単板式の液晶プロジェクタとしても良い。
また、プロジェクタは、上記した光源装置1〜6のいずれかを含むレーザ光源装置からのレーザ光をスクリーン上で走査させることにより表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置にあたる走査手段を有する方式のプロジェクタとしても良い。また、プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。また、空間光変調装置としては透過型液晶表示装置を用いる場合に限られず反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。
【0089】
以上、本発明の種々の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図6】本発明の第5実施形態に係る光源装置の応用例を示す図。
【図7】本発明の第6実施形態に係る照明装置の概略構成図。
【図8】本発明の第7実施形態に係るモニタ装置の概略構成図。
【図9】本発明の第8実施形態に係るプロジェクタの概略構成図。
【符号の説明】
【0091】
1〜6…光源装置、11…レーザ光源、12…光路変更プリズム、13…SHG素子、14…外部共振器、15,61…波長選択ミラー、16…IRアブソーバ、17…IR吸収ウインドウ、18…ベースプレート、19…筐体、20…開口部、21,43…散乱面、25…光吸収部、26,27…IRアブソーバ、28,34…テーパ面、31,62,63,66…アパーチャ、32…ヒートシンク、33…放熱フィン、41…ヒートシンク、42…液体流路、44…断熱構造部、46…ベース、65…光検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置であって、
第1波長の光を供給する光源部と、
前記第1波長の光を当該第1波長の光とは異なる第2波長の光へ変換する波長変換部と、
前記第1波長の光が前記光源装置から外部へ漏洩するのを防止させる漏洩防止部とを有し、
前記光源部及び前記波長変換部が配置される領域と、前記漏洩防止部が配置される領域とは光学的に分離されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記漏洩防止部は、前記第2波長の光を反射させて前記第1波長の光を透過させる波長分離部と、前記波長分離部を透過した前記第1波長の光を吸収する光吸収部とを有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光吸収部は、前記波長分離部を透過した前記第1波長の光を散乱させる光散乱部を有することを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光散乱部における前記第1波長の光が入射する面は、前記入射する第1波長の光軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光吸収部は、前記波長分離部側に行くに従って径が縮小するテーパ面と、前記テーパ面を反射した前記第1波長の光が前記波長分離部へ入射しないように遮光する遮光部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光吸収部は、前記波長分離部側に行くに従って径が拡大するテーパ面を含むことを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光吸収部は、放熱部を有することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記光吸収部は、冷却部を有することを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記漏洩防止部は、前記第2波長の光を透過させて前記第1波長の光を反射させる波長分離部と、前記波長分離部によって反射された前記第1波長の光を吸収する光吸収部とを有し、
前記光吸収部は、前記反射された第1波長の光が前記波長変換部側の領域へ入射しないように遮光する遮光部を含むことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光吸収部は、前記反射された第1波長の光の量を検出する光検出部を備え、
前記遮光部は、前記光検出部によって反射された光を含む前記第1波長の光が前記波長変換部側の領域へ入射しないように遮光することを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記波長変換部から射出され、前記漏洩防止部で反射された前記第1波長の光が、前記波長変換部側の領域へ直接入射しないことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項12】
前記光源部、前記波長変換部及び前記漏洩防止部を覆うように形成され、前記第2波長の光を射出する開口部が形成された筐体と、
前記開口部に設けられたウインドウと、をさらに備え、
前記漏洩防止部は、前記漏洩防止部から射出され前記ウインドウによって反射された前記第1波長の光が前記波長変換部側の領域へ直接入射しないように設置されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光源装置を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置により照射された被写体を撮像する撮像部とを含むことを特徴とするモニタ装置。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を利用して、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置とを含むことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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