説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】主光源の点灯始動性向上と異常状態の適切な表示とを簡単な構成で実現できる光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置2は、発光物質が封入された放電空間Sを有し、該放電空間Sでの放電により発生する主可視光線V1を出射する発光部311と、該発光部311の外周面から照明光軸に沿って突出する後側封止部313とを有する主光源3と、前記放電空間Sに、補助紫外線Uと補助可視光線V2を含む補助光を出射する補助光源4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターでは、光源装置として一対の電極間で放電発光させる放電発光型の光源装置が多用される。
このような光源ランプは、一対の電極と、アルゴンおよびキセノン等の希ガス並びにハロゲンを含む発光物質とが封入された放電空間を備えている。そして、光源ランプは、各電極に所定の電圧が印加されると、電極間の絶縁破壊の後、放電空間内に放電(グロー放電およびアーク放電)が生じ、発光物質が反応して発光する構成となっている。
【0003】
このような光源ランプの点灯始動性の改善のために、補助光源を設けた光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の光源装置は、補助光源から紫外線を主光源(光源ランプ)に入射させることで、当該主光源内での物質の光電子放出および放電物質のイオン化を促進し、始動時(電極間の絶縁破壊時)に電極に印加する電圧の絶対値を下げるという技術を用いたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−203605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の光源装置に用いる補助光源では、視認不可能な紫外線を出射している。このため、例えば主光源の異常により投射できない場合、補助光源が動作可能であっても、プロジェクターは、異常の状態を知らせる画像を表示できず、ユーザーに異常の原因を簡単に把握させることができない。
このような不具合を解消するために、LED(Light Emitting Diode)インジケーターでエラー表示をしたり、通信機能を用いて端末装置でユーザーに知らせることが考えられるが、構成が複雑になってしまう。
【0006】
本発明の目的は、主光源の点灯始動性向上と異常状態の適切な表示とを簡単な構成で実現できる光源装置およびプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光源装置は、光源装置であって、発光物質が封入された放電空間を有し、該放電空間での放電により発生する光を出射する発光部と、前記発光部の外周面から照明光軸に沿って突出する封止部とを有する主光源と、前記放電空間に、紫外線と可視光線を含む補助光を出射する補助光源と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、主光源が正常に駆動する場合には、補助光源からの補助光に含まれる紫外線が主光源の放電空間に入射するので、主光源の点灯始動性を向上できる。さらに、主光源が正常に駆動しない場合には、補助光に含まれる可視光線を光変調素子に入射させることで、異常状態を知らせる文字や記号を用いた画像(異常時画像)を表示できる。よって、紫外線と可視光線とを含む補助光を主光源に入射させるだけの簡単な構成で、主光源の点灯始動性向上と異常状態の適切な表示とを実現できる。
【0008】
本発明の光源装置では、前記主光源は、前記発光部からの光を反射する反射鏡を備え、前記補助光源は、前記反射鏡に対して前記主光源からの光の出射方向と反対側に設けられ、前記補助光を前記封止部の露出端面に入射させることが好ましい。
本発明によれば、反射鏡により封止部を照明光軸に沿うように支持し、この封止部の露出端面に補助光を入射させるので、補助光の紫外線は、封止部内を進行して放電空間に入射する。また、補助光の可視光線は、封止部および発光部を進行して光変調素子に入射する。特に、補助光の可視光線を反射鏡で反射させないで光変調素子に入射させるので、補助光源と反射鏡との高精度な位置調整が不要となる。よって、補助光源の高精度な位置調整をすることなく、主光源の点灯始動性向上と異常状態の適切な表示とを実現できる。
【0009】
本発明の光源装置では、前記封止部の外周面には、紫外線と可視光線を反射する反射部が設けられていることが好ましい。
ここで、補助光を封止部の露出端面に入射させると、補助光は、封止部の外周面での反射を繰り返しながら封止部内を進行する。このとき、補助光の一部が外周面を透過してしまい、発光部や光変調素子に到達する紫外線や可視光線の量が減ってしまう。これに対して、本発明によれば、反射部により封止部の外周面に到達する紫外線と可視光線を反射するので、発光部や光変調素子に到達する光の量を減らすことがない。よって、短時間での主光源の点灯始動が可能となりプロジェクターの起動時間の短縮化を図れたり、異常時画像の高輝度化を図ることができる。
【0010】
本発明の光源装置では、前記主光源は、前記発光部からの光を反射する反射鏡を備え、前記補助光源は、前記発光部に対して前記主光源からの光の出射方向側に設けられ、前記補助光を前記発光部および前記反射鏡に入射させることが好ましい。
本発明によれば、補助光の紫外線は、直接的に発光部に入射して、点灯始動性に寄与する。一方、補助光の可視光線は、反射鏡での反射後に光変調素子に入射して、異常時画像の表示に寄与する。また、一般的に、発光部に対して主光源からの光の出射方向側には各種レンズの配置スペースが設けられており、この配置スペースの空き部分に補助光源を配置することで、プロジェクターの大型化を抑制できる。
【0011】
本発明の光源装置では、前記補助光源は、紫外線を出射する紫外線出射部を備え、この紫外線出射部における紫外線の出射領域の一部には、紫外線を可視光線に変換する紫外線変換部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、紫外線出射部の出射領域における紫外線変換部に入射する紫外線は、紫外線変換部で可視光線に変換されて、光変調素子に入射することで、異常時画像の表示に寄与する。一方、出射領域における紫外線変換部が設けられていない部分に入射する紫外線は、そのまま紫外線として発光部に入射されて、点灯始動性に寄与する。このため、紫外線の強度が強い補助光源を利用することができ、主光源の点灯時間の短縮化と、異常状態の適切な表示とを両立できる。
【0012】
本発明のプロジェクターは、上述の光源装置と、当該光源装置から出射された光束を変調する光変調素子と、変調された前記光束を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターは、上述した光源装置を備えるので、上述した光源装置と同様の作用および効果を享受できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態および第2実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態における光源装置の断面図
【図3】第2実施形態における光源装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、第1実施形態におけるプロジェクター1および後述する第2実施形態におけるプロジェクター1Aの概略構成を示すブロック図である。
プロジェクター1は、図示しない透過型の液晶パネルを有し、光源から出射された光を画像情報に応じて変調して天井面やスクリーン等の被投射面に投射する。このプロジェクター1は、図1に示すように、光源装置2と、光変調素子5と、ランプ駆動回路6と、投射制御装置7と、投射光学装置8等を備える。
【0015】
〔光源装置の構成〕
図2は、第1実施形態における光源装置2の断面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、光源装置2の光出射側を「前方側」とし、光出射側の反対側を「後方側」と記載する。また、以下に記載する「左」および「右」は、前方側から見た「左」および「右」をそれぞれ意味するものとする。
光源装置2は、図1および図2に示すように、主可視光線V1を出射する主光源3と、この主光源3に補助可視光線V2および補助紫外線Uを出射する補助光源4と、図示しない平行化レンズを備えるほか、これらを内部に収納する図示しないハウジングとを備える。
【0016】
(主光源の構成)
主光源3は、図2に示すように、発光管31と、反射鏡32とを備える。
発光管31は、略球状に膨出する発光部311と、発光部311を挟み、発光部311の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部312,313とを有する。
なお、以下では、説明の便宜上、一対の封止部312,313のうち、前方側の封止部312を前側封止部312と記載し、後方側の封止部313を後側封止部313と記載する。
【0017】
発光部311の内部には、一対の電極E1,E2が配置され、一対の電極E1,E2間には、水銀、希ガスおよび少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間Sが形成されている。
各封止部312,313内部には、電極E1,E2とそれぞれ電気的に接続されたモリブデン製の金属箔3121,3131が挿入され、各封止部312,313における発光部311とは反対側の端部は、ガラス材料等で封止されている。
これら各金属箔3121,3131には、発光管31の外部まで延出する電極引出線314(金属箔3131に接続される電極引出線は図示せず)がそれぞれ接続されている。
また、後側封止部313の外周面には、紫外線と可視光線を反射する反射部317が設けられている。この反射部317は、例えば薄膜により構成され、発光部311側の端部から当該端部と反対側の端部にかけて設けられている。
なお、前側封止部312に設けられた電極引出線314には、該電極引出線314に電圧を印加するために、ランプ駆動回路6に電気的に接続されるリード線316の一端が溶着されている。
【0018】
反射鏡32は、入射した可視光線の光束を反射して、所定の焦点位置に収束させるとともに、入射した紫外線の光束を透過させる。
そして、発光管31は、発光部311の発光中心が反射鏡32の焦点位置に位置するように、かつ、照明光軸Axに沿うように、後側封止部313が反射鏡32を貫通する状態で接着剤Bにより固定される。
この状態では、発光管31は、図2に示すように、断面略凹状に拡がる反射鏡32の内部に位置するとともに、前側封止部312が反射鏡32の前方側の端部よりも前方側に突出した状態となる。
【0019】
そして、ランプ駆動回路6により、主光源3の電極引出線314と図示しない電極引出線に電圧が印加されると、一対の電極E1,E2間に電位差が生じて放電が発生し、発光部311内部が発光する。この光は、反射鏡32で反射され、主可視光線V1として図示しない光学素子により光変調素子5に入射する。
【0020】
(補助光源の構成)
補助光源4は、図2に示すように、反射鏡32に対して主光源3からの主可視光線V1の出射方向と反対側に設けられ、紫外線出射部41と、紫外線変換部としての蛍光体42とを備える。
紫外線出射部41は、主光源3の後側封止部313の後方において、当該後側封止部313と対向するように設けられている。この紫外線出射部41は、紫外線を透過させる材料で形成された紫外線発光管411を備える。この紫外線発光管411の内部には、ランプ駆動回路6により電圧が印加されると、紫外線を発生させる紫外線発光部412が収容されている。ここで、紫外線出射部41としては、低圧水銀灯、誘電体バリア放電エキシマランプ、UV−LED(Ultraviolet Light Emitting Diode)が例示できる。なお、以下では、説明の便宜上、紫外線発光管411の外周面における後側封止部313と対向する領域を出射領域とする。
蛍光体42は、紫外線発光管411の出射領域の上部と下部を塞ぎ、かつ、中央部を塞がないように設けられ、紫外線により励起されて蛍光(可視光線)を発生させる。この蛍光体42としては、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Zn(亜鉛)、Eu(ユウロピウム)、Mn(マンガン)、Sn(スズ)、Fe(鉄)、Cr(クロム)を含むリン酸塩蛍光体あるいはホウ酸塩蛍光体が例示できる。
【0021】
そして、ランプ駆動回路6により紫外線出射部41に電圧が印加されると、紫外線が発生する。この発生した紫外線のうち、紫外線発光管411における蛍光体42が設けられていない領域から出射するものは、紫外線発光管411を透過して、補助紫外線Uとして後側封止部313の後端面(露出端面)から発光管31内部に入射する。そして、この補助紫外線Uは、反射部317で反射しながら進行して発光部311に到達し、主光源3の点灯始動性の改善に寄与する。
一方、紫外線発光管411における蛍光体42が設けられている領域から出射する紫外線は、蛍光体42を励起させる。そして、この励起により発生する蛍光は、補助可視光線V2として後側封止部313の後端面から発光管31内部に入射する。そして、この補助可視光線V2は、反射部317で反射しながら進行して、光変調素子5に入射する。
つまり、補助光源4は、補助可視光線V2と補助紫外線Uを含む補助光を、主光源3と光変調素子5に入射させる。
【0022】
〔光変調素子の構成〕
光変調素子5は、例えば、透過型の液晶パネル等から構成され、投射制御装置7の制御により、可視光線を変調する。具体的に、光変調素子5は、主光源3が正常に駆動する正常状態では、主に主光源3からの主可視光線V1を、コンピュータなどの外部機器9から入力される外部入力画像情報に基づいて変調する。一方、主光源3が駆動しない異常状態では、補助光源4からの補助可視光線V2を、投射制御装置7で生成される内部生成画像情報に基づいて変調する。そして、この変調された主可視光線V1や補助可視光線V2は、投射光学装置8を介してスクリーンCに拡大投射される。
ここで、異常時に投射される画像としては、主光源3が故障したことを知らせる文字や記号が例示できる。
【0023】
〔電源装置および投射制御装置の構成〕
ランプ駆動回路6は、投射制御装置7により制御され、主光源3および補助光源4を点灯させる。このランプ駆動回路6は、具体的な図示は省略したが、例えば、主光源3および補助光源4の点灯に適合した所要の周波数、レベルによる電圧パルスに変換するダウンコンバーターや、変換された電圧パルスを昇圧して主光源3および補助光源4に供給するイグナイター等で構成されている。
投射制御装置7は、光源制御部71と、画像形成部72等を備える。
光源制御部71は、補助光源4と主光源3を点灯させ、その後に主光源3が正常に駆動するか否かに応じて補助光源4と主光源3の点灯状態を制御する。画像形成部72は、主光源3が正常に駆動するか否かに基づいて、外部入力画像情報または内部生成画像情報を生成する。
なお、光源制御部71および画像形成部72の詳細な動作については、後述する。
【0024】
〔プロジェクターの動作〕
次に、プロジェクター1の動作について説明する。
なお、以下の動作の説明においては、正常時または異常時の画像の表示処理までについて説明し、それ以降の動作については説明を省略する。
【0025】
(主光源が正常に駆動する場合の動作)
まず、主光源3が正常に駆動する場合の動作について説明する。
投射制御装置7の光源制御部71は、図示しない電源スイッチがオンされたことを認識すると、ランプ駆動回路6を制御して、補助光源4への電圧の印加を開始する。補助光源4は、電圧が印加されると、図2に示すように、補助紫外線Uと補助可視光線V2を発光管31内に入射させる。この発光管31内に入射された補助紫外線Uは、反射部317で反射しながら進行して、発光部311内に入射する。
また、光源制御部71は、補助光源4への電圧の印加開始後、ランプ駆動回路6を制御して、主光源3の一対の電極E1,E2間に電圧を印加する。主光源3が正常に動作する場合、一対の電極E1,E2間に電流が流れて、絶縁破壊が起きる。このとき、発光部311内に補助光源4からの補助可視光線V2が入射しているため、物質の光電子放出および放電物質のイオン化が促進され、一対の電極E1,E2間に印加する高電圧の絶対値が下がり、点灯始動性が向上する。
【0026】
そして、光源制御部71は、一対の電極E1,E2間に電流が流れたことにより、主光源3が正常に駆動していることを認識すると、ランプ駆動回路6を制御して補助光源4への電圧の印加を終了する。また、主光源3への電圧の印加を継続させる。
【0027】
一方、画像形成部72は、光源制御部71において主光源3が正常に駆動していることが認識されると、外部機器9からのコンテンツ等の信号を取得する。そして、この信号に基づく外部入力画像情報を生成して、光変調素子5へ送信する。光変調素子5は、主光源3から入射される主可視光線V1を、画像形成部72からの外部入力画像情報に基づいて変調し、投射光学装置8によりスクリーンCに拡大投射する。
【0028】
(主光源が正常に駆動しない場合の動作)
次に、主光源3が正常に駆動しない場合の動作について説明する。
光源制御部71は、補助光源4および主光源3への電圧の印加開始後に、一対の電極E1,E2間に電流が流れないことを認識すると、主光源3が故障などにより正常に駆動してないと認識する。この後、ランプ駆動回路6を制御して、主光源3への電圧の印加を終了するとともに、補助光源4への電圧の印加を継続する。
そして、補助光源4から出射される補助可視光線V2は、図2に示すように、反射部317で反射しながら発光管31内を進行し、図示しない光学素子により光変調素子5に入射する。
【0029】
一方、画像形成部72は、主光源3が正常に駆動していないことが認識されると、内部生成画像情報を生成して、光変調素子5へ送信する。光変調素子5は、補助光源4からの補助可視光線V2を、画像形成部72からの内部生成画像情報に基づいて変調し、投射光学装置8によりスクリーンCに拡大投射する。
【0030】
〔第1実施形態の作用効果〕
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
第1実施形態では、プロジェクター1の光源装置2は、主可視光線V1を出射する主光源3と、補助可視光線V2および補助紫外線Uを出射する補助光源4を備える。このことにより、主光源3が正常に駆動する場合には、補助光源4からの補助紫外線Uが主光源3の発光部311に入射するので、主光源3の点灯始動性を向上できる。また、主光源3が正常に駆動しない場合には、補助光源4からの補助可視光線V2が光変調素子5に入射するので、異常時にも画像が表示できる。よって、補助紫外線Uと補助可視光線V2を含む補助光を主光源3と光変調素子5に入射させるだけの簡単な構成で、主光源3の点灯始動性向上と異常状態の適切な表示とを実現できる。
【0031】
また、反射部317により後側封止部313の外周面に到達する補助紫外線Uと補助可視光線V2を反射する構成としている。このことにより、発光部311や光変調素子5に到達する光の量を減らすことがないので、短時間での主光源3の点灯始動が可能となりプロジェクター1の起動時間の短縮化を図ることができる。
【0032】
さらに、補助光源4は、内部に紫外線発光部412が収容された紫外線発光管411を備える。そして、この紫外線発光管411の出射領域の一部に、蛍光体42を設けている。このことにより、蛍光体42に入射する紫外線は、蛍光体42で補助可視光線V2に変換されて、光変調素子5に入射することで、異常時画像の表示が可能となる。一方、蛍光体42が設けられていない部分に入射する紫外線は、そのまま補助紫外線Uとして発光部311に入射されて、点灯始動性に寄与する。このため、紫外線の強度が強い補助光源4を利用することができ、主光源3の点灯時間の短縮化と、異常状態の適切な表示とを両立できる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、図1に示すように、第2実施形態のプロジェクター1Aと第1実施形態のプロジェクター1との相違点は、光源装置2Aのみなので、光源装置2A以外の構成については、説明を省略する。また、プロジェクター1Aの動作についても、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0034】
〔光源装置の構成〕
図3は、第2実施形態における光源装置2Aの断面図である。
光源装置2Aは、図1および図3に示すように、主光源3Aと、補助光源4A等を備える。
また、主光源3Aは、図3に示すように、後側封止部313に反射部317を設けていないことを除いて、第1実施形態の主光源3と同じ構成を有している。
【0035】
(補助光源の構成)
補助光源4Aは、反射鏡32に対して主光源3Aからの主可視光線V1の出射方向側、すなわち反射鏡32の下端前方に設けられ、紫外線出射部41Aと、蛍光体42とを備える。
紫外線出射部41Aは、板状に形成されて、法線上に発光部311が位置するように対向配置された基材411Aを備える。この基材411Aの発光部311との対向面には、ランプ駆動回路6により電圧が印加されると、紫外線を発生させる紫外線チップ412Aが配置されている。なお、以下では、説明の便宜上、紫外線チップ412Aにおける発光部311と対向する領域を出射領域とする。
なお、蛍光体42は、紫外線チップ412Aの出射領域の前方側と後方側(図3における右側と左側)を塞ぎ、かつ、中央部を塞がないように設けられている。
【0036】
そして、紫外線出射部41Aで発生する紫外線のうち、紫外線チップ412Aにおける蛍光体42が設けられていない領域から出射するものは、補助紫外線Uとして発光部311に到達し、主光源3Aの点灯始動性の改善に寄与する。
一方、紫外線チップ412Aにおける蛍光体42が設けられている領域から出射する紫外線は、蛍光体42を励起させて、蛍光を発生させる。そして、この蛍光は、補助可視光線V2として反射鏡32で反射して、光変調素子5に入射する。
つまり、補助光源4Aは、補助可視光線V2と補助紫外線Uを含む補助光を、図示しない光学素子により光変調素子5に入射させる。
【0037】
〔第2実施形態の作用効果〕
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果がある。
第2実施形態では、光源装置2Aの補助光源4Aは、反射鏡32の下端前方に設けられ、補助光を発光部311および反射鏡32に入射させる。このことにより、一般的に、反射鏡32の下端前方に存在する各種レンズの配置スペースの空き部分に、補助光源4Aを配置することができ、プロジェクター1の大型化を抑制できる。
【0038】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
第1実施形態では、反射部317を設けたが、これを設けなくても構わない。
第1,第2実施形態では、紫外線出射部41,41Aで発生する紫外線により蛍光体42を励起させることで、補助可視光線V2を出射していたが、紫外線および可視光線を含む光を発生する光源を補助光源として適用しても構わない。
【0039】
第1,第2実施形態では、透過型の液晶パネルを有する構成を採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネル、あるいは、DMD(Digital Micromirror Device)(米国テキサスインスツルメント社の商標)等を採用してもよい。
第1,第2実施形態では、フロント投射型のプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを備え、該スクリーンの裏面側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、光源装置に利用でき、特にプロジェクターに採用される光源装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1,1A…プロジェクター、2,2A…光源装置、3,3A…主光源、4,4A…補助光源、5…光変調素子、8…投射光学装置、32…反射鏡、41,41A…紫外線出射部、42…蛍光体(紫外線変換部)、311…発光部、313…後側封止部(封止部)、317…反射部、S…放電空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置であって、
発光物質が封入された放電空間を有し、該放電空間での放電により発生する光を出射する発光部と、前記発光部の外周面から照明光軸に沿って突出する封止部とを有する主光源と、
前記放電空間に、紫外線と可視光線を含む補助光を出射する補助光源と、を備える
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記主光源は、
前記発光部からの光を反射する反射鏡を備え、
前記補助光源は、前記反射鏡に対して前記主光源からの光の出射方向と反対側に設けられ、前記補助光を前記封止部の露出端面に入射させる
ことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光源装置において、
前記封止部の外周面には、紫外線と可視光線を反射する反射部が設けられている
ことを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光源装置において、
前記主光源は、
前記発光部からの光を反射する反射鏡を備え、
前記補助光源は、前記発光部に対して前記主光源からの光の出射方向側に設けられ、前記補助光を前記発光部および前記反射鏡に入射させる
ことを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源装置において、
前記補助光源は、紫外線を出射する紫外線出射部を備え、
この紫外線出射部における紫外線の出射領域の一部には、紫外線を可視光線に変換する紫外線変換部が設けられている
ことを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光源装置と、
当該光源装置から出射された光束を変調する光変調素子と、
変調された前記光束を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−210552(P2011−210552A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77492(P2010−77492)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】