説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】音響共鳴現象の影響を低減できる光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置100は、第1電極16および第2電極18を有する放電灯10と、第1電極16および第2電極18に交流電流を供給し、放電灯10を駆動する放電灯駆動部20と、放電灯10の音響共鳴現象により生じた第1超音波W1とは逆位相の第2超音波W2を発生させる超音波発生部30と、を含み、第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aは、放電灯10の放電空間14内に配置され、超音波発生部30は、第1超音波W1を検出する検出部と、前記検出部の検出結果から、第1超音波W1の波形とは逆位相の波形を算出する演算部と、前記演算部の演算結果に基づいて第2超音波W2を発生させ、少なくとも第1電極16の先端部16aおよび第2電極18の先端部18aの一方に第2超音波W2を照射する照射部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターなどの光源として、一般的に、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの放電灯(放電ランプ)が用いられている。これらの放電灯では、例えば、点灯周波数を10kHz以上の高い周波数にすると、音響共鳴現象が発生する場合がある。放電灯に音響共鳴現象が発生すると、電極が振動して照明としての性能に悪影響を及ぼしたり、電極が破壊されたりする場合があるため、望ましくない。
【0003】
この音響共鳴現象の影響を低減できる光源装置として、例えば、特許文献1には、音響共鳴現象を生じる周波数の変化特性を考慮して、放電灯の点灯周波数を制御した光源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−84782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、音響共鳴現象の影響を低減できる光源装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上述の光源装置を含むプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光源装置は、
放電媒質が封入された放電空間を有する発光管、第1電極および第2電極、を有する放電灯と、
前記第1電極および前記第2電極に交流電流を供給し、前記放電灯を駆動する放電灯駆動部と、
前記放電灯の音響共鳴現象により生じた第1超音波とは逆位相の第2超音波を発生させる超音波発生部と、
を含み、
前記第1電極の先端部と前記第2電極の先端部は、前記放電灯の前記放電空間内に配置され、
前記超音波発生部は、
前記第1超音波を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果から、前記第1超音波の波形とは逆位相の波形を算出する演算部と、
前記演算部の演算結果に基づいて前記第2超音波を発生させ、少なくとも前記第1電極の先端部および前記第2電極の先端部の一方に前記第2超音波を照射する照射部と、
を有する。
【0007】
このような光源装置によれば、超音波発生部によって、放電灯の音響共鳴現象で生じた第1超音波とは逆位相の第2超音波を電極の先端部に照射することにより、第1超音波を減衰させることができる。したがって、音響共鳴現象の影響を低減することができる。
【0008】
本発明に係る光源装置において、
前記照射部は、2つ設けられ、
2つの前記照射部のうちの第1照射部は、前記第1電極の先端部に前記第2超音波を照射し、
2つの前記照射部のうちの第2照射部は、前記第2電極の先端部に前記第2超音波を照射してもよい。
【0009】
このような光源装置によれば、超音波発生部が2つの照射部を有することにより、各電極の先端部に効率よく第2超音波を照射することができる。
【0010】
本発明に係る光源装置において、
前記交流電流の周波数は、10kHz以上10MHz以下であってもよい。
【0011】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る光源装置と、
前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投写する投写装置と、
を含む。
【0012】
このようなプロジェクターによれば、本発明に係る光源装置を有するため、良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る光源装置を説明するための図。
【図2】第1実施形態に係る光源装置の放電灯駆動装置を説明するための図。
【図3】第1実施形態に係る光源装置の超音波発生装置を説明するための図。
【図4】第1変形例に係る光源装置の超音波発生装置を説明するための図。
【図5】第2変形例に係る光源装置を説明するための図。
【図6】第2実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
1. 第1実施形態
1.1. 光源装置の構成
ます、本実施形態に係る光源装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る光源装置100を説明するための図である。なお、図1には、放電灯10およびリフレクター40の断面図が示されている。
【0016】
光源装置100は、図1に示すように、放電灯10と、放電灯駆動装置(放電灯駆動部)20と、超音波発生装置30と、を含む。光源装置100は、さらに、リフレクター40を含むことができる。
【0017】
放電灯10は、図1に示すように、発光管12と、放電空間14と、第1電極16と、第2電極18と、を有している。
【0018】
発光管12の形状は、第1端部2から第2端部4まで、照射方向Dに沿って延びる棒形状である。すなわち、発光管12の中心軸AXは、照射方向Dに沿って延びている。発光管12の材質は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。発光管12の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間14が形成されている。放電空間14内には、水銀、金属ハロゲン化合物等の発光物質と、希ガス、ハロゲンガス等の気体と、が封入されている。これらは、後述の第1電極と第2電極との間に放電を発生させるための放電媒質である。
【0019】
第1電極16は、発光管12の第1端部2側に配置され、第2電極18は、発光管12の第2端部4側に配置されている。これらの電極16,18の形状は、発光管12の中心軸AXに沿って延びる棒形状である。また、放電空間14内には、2つの電極16,18が、発光管12から突き出している。放電空間14内では、各電極16,18の先端部(放電端)16a,18aが、所定距離だけ離れて向かい合って配置されている。なお、これらの電極16,18の材質は、例えば、タングステン等の金属である。
【0020】
第1電極16および第2電極18は、放電灯駆動装置20に接続されている。放電灯駆動装置20は、これらの電極16,18に、交流電流を供給する。その結果、2つの電極16,18の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、2つの電極16,18の間の放電位置から全方向に向かって放射される。放電灯10は、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のアーク放電型の放電灯である。
【0021】
放電灯10の第1端部2には、リフレクター40が固定されている。リフレクター40の反射面(放電灯10側の面)の形状は、例えば、回転楕円形状である。リフレクター40は、放電光を照射方向Dに向かって反射する。なお、リフレクター40の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、リフレクター40の反射面の形状として、回転放物線形状を採用してもよい。この場合、リフレクター40は、放電光を、発光管12の中心軸AXに沿った光に変換することができる。
【0022】
放電灯駆動装置20は、電極16,18に交流電流を供給し、放電灯10を駆動する。放電灯駆動装置20が電極16,18に供給する交流電流の周波数は、例えば、10kHz以上10MHz以下である。すなわち、放電灯10の点灯周波数は、10kHz以上10MHz以下である。
【0023】
図2は、放電灯駆動装置20の構成を説明するための図である。放電灯駆動装置20は、図2に示すように、電力制御部22と、極性反転部24と、制御部26と、を有している。
【0024】
電力制御部22は、放電灯10に供給する駆動電力を生成する。電力制御部22は、例えば、直流電源50を入力とし、この直流電源50の入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路を含んで構成されている。
【0025】
極性反転部24は、電力制御部22から出力される直流電流Idを入力し、所与のタイミングで極性反転することにより、任意の周波数をもつ交流電流Iを生成出力する。この交流電流Iが、図1に示す放電灯10の電極16,18に供給される。交流電流Iの波形は、例えば、正弦波である。なお、交流電流Iは、時間とともに周期的に大きさと向きが変化する電流であればその波形は限定されず、例えば、矩形波、三角波であってもよい。極性反転部24は例えば、インバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)を含んで構成されている。
【0026】
制御部26は、電力制御部22および極性反転部24を制御することにより、交流電流Iの電流値、周波数等を制御する。制御部26は、電力制御部22に対して、直流電流Idの電流値を制御する電流制御を行う。また、制御部26は、極性反転部24に対して、交流電流Iの極性反転のタイミングにより、交流電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。
【0027】
また、制御部26は、放電灯10の点灯を指示する点灯命令や、放電灯10の消灯を指示する消灯命令を受け付けてもよい。
【0028】
制御部26は、専用回路により実現して上述した制御を行うようにしてもよい。また、制御部26は、CPU(Central Processing Unit)が記憶部等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにしてもよい。すなわち、制御部26は、制御プログラムにより、電力制御部22を制御する電流制御手段、極性反転部24を制御する極性反転制御手段として機能するように構成してもよい。
【0029】
超音波発生装置(超音波発生部)30は、図1に示すように、放電灯10の音響共鳴現象により生じた超音波(第1超音波)W1とは逆位相の超音波(第2超音波)W2を発生させて、第1電極16の先端部16aおよび第2電極18の先端部18aに照射する。これにより、音響共鳴現象により生じた超音波W1を減衰させる。超音波発生装置30は、リフレクター40の外側に配置されている。
【0030】
図3は、超音波発生装置30の構成を説明するための図である。超音波発生装置30は、図3に示すように、検出部32と、演算部34と、照射部36と、を有する。
【0031】
検出部32は、放電灯10の音響共鳴現象により生じた超音波W1を検出する。検出部32は、例えば、超音波検出素子を有しており、この超音波検出素子によって、空気中を伝搬する超音波W1を検出することができる。超音波検出素子としては、例えば、圧電素子等を用いた公知の超音波検出素子を用いることができる。検出部32は、例えば、超音波W1の位相、振幅、周波数等を検出する。検出部32は、検出結果に基づく情報である検出結果情報32dを演算部34に出力する。
【0032】
演算部34は、検出結果情報32dに基づいて演算を行う。演算部34は、検出部32の検出結果から、超音波W1の波形とは逆位相の波形を算出する。さらに、演算部34は、検出部32の検出結果から、超音波W1を減衰させることができる大きさの振幅値を算出する。この振幅値は、超音波W1をどの程度減衰させるかを考慮して決定される。演算部34は、例えば、超音波W1の波形の振幅以下となる振幅値を算出する。演算部34は、演算結果に基づく波形情報34dを、照射部36に出力する。演算部34は、例えば、CPUが記憶部等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理を行う。
【0033】
照射部36は、波形情報34dに基づいて、超音波W2を発生させる。照射部36は、この超音波W2を、第1電極16の先端部16aおよび第2電極18の先端部18aに照射する。超音波W2は、音響共鳴現象により生じる超音波W1と同じ周波数であって位相が逆である。また、超音波W2の振幅は、超音波W1を減衰させることができれば特に限定されず、例えば、超音波W1の振幅以下である。照射部36は、例えば、圧電素子等を用いた公知の超音波発生装置である。
【0034】
なお、ここでは、照射部36は、第1電極16の先端部16aおよび第2電極18の先端部18aに超音波W2を照射したが、第1電極16の先端部16aにのみ超音波W2を照射してもよいし、第2電極18の先端部18aにのみ超音波W2を照射してもよい。
【0035】
また、ここでは、超音波W2が超音波W1と逆位相である場合について説明したが、これに限定されず、超音波W1を減衰させることができる超音波W2であればよい。
【0036】
1.2. 光源装置の動作
次に、光源装置100の動作について、図1〜図3を用いて説明する。
【0037】
光源装置100では、放電灯駆動装置20によって放電灯10の電極16,18に交流電流Iを供給し、放電灯10を駆動させる。電極16,18に交流電流Iを供給することによって、各電極16,18の極性を繰り返し交替させることができる。これにより、一方の電極の温度が、他方の電極の温度と比べて、高い状態が続くことを抑制することができる。交流電流Iの周波数は、例えば、10kHz以上10MHz以下である。したがって、放電灯10の点灯周波数は、10kHz以上10MHz以下である。
【0038】
このように放電灯10の点灯周波数を比較的高い周波数にすると、放電灯10には、音響共鳴現象が発生する場合がある。放電灯10に音響共鳴現象が生じると電極16,18の先端部16a,18aを発生源とする超音波W1が発生する。
【0039】
光源装置100では、この超音波W1が発生すると、超音波発生装置30が、超音波W1とは逆位相の超音波W2を発生させ、電極16,18の先端部16a,18aに超音波W2を照射する。具体的には、超音波発生装置30は、まず、検出部32によって超音波W1の周波数、位相、および振幅を検出する。次に、演算部34が、検出部32の検出結果から、超音波W1とは逆位相の波形を算出する。次に、照射部36が、演算部34の演算結果から、超音波W1とは逆位相の超音波W2を発生させ、電極16,18の先端部16a,18aに超音波W2を照射する。
【0040】
このように超音波発生装置30が、電極16,18の先端部16a,18aに超音波W2を照射することにより、音響共鳴現象により生じた超音波W1を減衰させる。
【0041】
光源装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0042】
光源装置100によれば、超音波発生装置30によって、放電灯10の音響共鳴現象により生じた超音波W1とは逆位相の超音波W2を電極16,18の先端部16a,18aに照射することにより、超音波W1を減衰させることができる。したがって、音響共鳴現象の影響を低減することができる。放電灯に音響共鳴現象が発生すると、電極が振動して照明としての性能に悪影響を及ぼしたり、電極が破壊されたりする場合があるため、望ましくない。光源装置100によれば、音響共鳴現象の影響を低減することができるため、このような問題を生じさせないことができる。
【0043】
光源装置100によれば、超音波発生装置30が発生させる超音波W2の振幅を制御することができるため、音響共鳴現象により発生する超音波W1の減衰率を制御することができる。これにより、音響共鳴現象の悪影響を低減しつつ、放電灯10の黒化現象を抑制でき、長寿命化および高出力化を図ることができる。以下に、詳細に説明する。
【0044】
放電灯が駆動すると、電極の先端部が蒸発し、この蒸発した電極材料が発光管の内壁に付着する場合がある。これを放電灯の黒化現象という。放電灯に黒化現象が生じると、寿命が短くなる、出力が低下するなどの問題が生じる。ここで、放電灯に音響共鳴現象によって超音波W1が発生すると、蒸発した電極材料が揺動し、当該電極材料が発光管の内壁に付着しづらくなる(クリーニング効果)。すなわち、音響共鳴現象により生じた超音波W1によって黒化現象を抑制することができる。
【0045】
光源装置100によれば、上述したように、音響共鳴現象により発生する超音波W1の減衰率を制御することができる。したがって、例えば、超音波W1を消滅させないで、放電灯10の電極16,18が振動しない程度、すなわち、音響共鳴現象による悪影響が及ばない程度に超音波W1を減衰させることができる。これにより、音響共鳴現象の悪影響を低減しつつ、放電灯10の黒化現象を抑制して、長寿命化および高出力化を図ることができる。
【0046】
1.3. 光源装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る光源装置について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例に係る光源装置において、本実施形態に係る光源装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
(1)第1変形例
まず、第1変形例に係る光源装置について説明する。図4は、第1変形例に係る光源装置の超音波発生装置30を説明するための図である。
【0048】
光源装置100の例では、図3に示すように、超音波発生装置30の照射部36は、1つであった。これに対し、第1変形例に係る光源装置では、図4に示すように、超音波発生装置30の照射部は、2つ(第1照射部36a,第2照射部36b)である。
【0049】
演算部34は、演算結果に基づく波形情報34dを、第1照射部36aおよび第2照射部36bに出力する。第1照射部36aは、波形情報34dに基づいて、第1電極16の先端部16aに超音波W2を照射する。第2照射部36bは、波形情報34dに基づいて、第2電極18の先端部18aに超音波W2を照射する。このように、超音波発生装置30が2つの照射部36a,36bを有することにより、各電極16,18の先端部16a,18aに効率よく超音波W2を照射することができる。
【0050】
(2)第2変形例
次に、第2変形例に係る光源装置について説明する。図5は、第2変形例に係る光源装置200を説明するための図である。なお、図5には、放電灯10およびリフレクター40の断面図が示されている。
【0051】
光源装置100の例では、図1に示すように、超音波発生装置30が、1つであった。これに対し、第2変形例に係る光源装置200では、図5に示すように、超音波発生装置が2つ(第1超音波発生装置30a,第2超音波発生装置30b)である。
【0052】
第1超音波発生装置30aは、第1電極16の先端部16aから発生する超音波W1を検出し、第1電極16の先端部16aに超音波W2を照射する。第2超音波発生装置30bは、第2電極18の先端部18aから発生する超音波W1を検出し、第2電極18の先端部18aに超音波W2を照射する。
【0053】
光源装置200によれば、2つの超音波発生装置30a,30bを有することにより、各電極16,18の先端部16a,18aごとに、超音波W1を検出し、超音波W2を照射することができる。したがって、音響共鳴現象によって生じる超音波W1を効率よく減衰させることができる。
【0054】
2. 第2実施形態
次に、本実施形態に係るプロジェクター1000について、図面を参照しながら説明する。図6は、プロジェクター1000を模式的に示す図である。なお、図6では、便宜上、放電灯駆動装置20、超音波発生装置30、およびプロジェクター1000を構成する筐体の図示は省略している。
【0055】
プロジェクター1000は、スクリーン(図示しない)へ光を投写し、スクリーンで反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクターである。
【0056】
プロジェクター1000は、図6に示すように、光源装置100と、平行化レンズ102と、照明光学系110と、色分離光学系120と、3つの光変調装置130R、130G、130Bと、クロスダイクロイックプリズム140と、投写レンズ(投写装置)150とを有している。
【0057】
プロジェクター1000は、本発明に係る光源装置(例えば、光源装置100)を有する。光源装置100は、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を含む光を射出する。光源装置100からの光は、平行化レンズ102を通過して照明光学系110に入射する。この平行化レンズ102は、光源装置100からの光を、平行化する。平行化レンズ102は、例えば、凹レンズである。
【0058】
照明光学系110は、光源装置100からの光の照度を光変調装置130R,130G,130Bにおいて均一化する。また、照明光学系110は、光源装置100からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源装置100からの光を光変調装置130R,130G,130Bで有効に利用するためである。
【0059】
照明光学系110は、第1インテグレータレンズ112と、第2インテグレータレンズ114と、偏光変換素子116と、重畳レンズ118と、を有している。
【0060】
第1インテグレータレンズ112および第2インテグレータレンズ114は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子を有する。第1インテグレータレンズ112は、平行化レンズ102からの光束を複数に分割する。第1インテグレータレンズ112の各レンズ素子は、平行化レンズ102からの光束を第2インテグレータレンズ114のレンズ素子近傍で集光させる。第2インテグレータレンズ114のレンズ素子は、第1インテグレータレンズ112のレンズ素子の像を光変調装置上に形成する。
【0061】
2つのインテグレータレンズ112,114を経た光は、偏光変換素子116で特定の振動方向の直線偏光に変換される。重畳レンズ118は、第1インテグレータレンズ112の各レンズ素子の像を光変調装置上で重畳させる。第1インテグレータレンズ112、第2インテグレータレンズ114、および重畳レンズ118は、光源装置100からの光の強度分布を光変調装置上で均一化させる。重畳レンズ118からの光は、色分離光学系120(第1ダイクロイックミラー121)に入射する。
【0062】
色分離光学系120は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。色分離光学系120は、第1ダイクロイックミラー121と、反射ミラー122,126,128と、フィールドレンズ123R,123G,123Bと、第2ダイクロイックミラー124と、リレーレンズ125,127と、を有している。
【0063】
第1ダイクロイックミラー121は、R光を反射し、G光およびB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー121へ入射したR光は、第1ダイクロイックミラー121および反射ミラー122における反射により光路が折り曲げられ、R光用フィールドレンズ123Rへ入射する。R光用フィールドレンズ123Rは、反射ミラー122からのR光を平行化し、R光用光変調装置130Rへ入射させる。
【0064】
第1ダイクロイックミラー121を透過したG光およびB光は、第2ダイクロイックミラー124へ入射する。第2ダイクロイックミラー124は、G光を反射し、B光を透過させる。第2ダイクロイックミラー124へ入射したG光は、第2ダイクロイックミラー124での反射により光路が折り曲げられ、G光用フィールドレンズ123Gへ入射する。G光用フィールドレンズ123Gは、第2ダイクロイックミラー124からのG光を平行化し、G光用光変調装置130Gへ入射させる。
【0065】
第2ダイクロイックミラー124を透過したB光は、リレーレンズ125を透過した後、反射ミラー126での反射により光路が折り曲げられる。反射ミラー126からのB光は、さらにリレーレンズ127を透過した後、反射ミラー128での反射により光路が折り曲げられ、B光用フィールドレンズ123Bへ入射する。R光の光路およびG光の光路よりもB光の光路が長いことから、光変調装置における照明倍率を他の色光と等しくするために、B光の光路には、リレーレンズ125,127を用いるリレー光学系が採用されている。
【0066】
R光用光変調装置130Rは、R光を画像情報に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用光変調装置130Rに設けられた液晶パネルは、2つの透明基板の間に、光を画像情報に応じて変調するための液晶層を封入している。R光用光変調装置130Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム140へ入射する。
【0067】
G光用光変調装置130Gは、G光を画像情報に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用光変調装置130Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム140のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0068】
B光用光変調装置130Bは、B光を画像情報に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用光変調装置130Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム140のうちR光が入射する面、G光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0069】
クロスダイクロイックプリズム140は、互いに略直交する2つのダイクロイック膜142,144を有する。第1ダイクロイック膜142は、R光を反射し、G光およびB光を透過させる。第2ダイクロイック膜144は、B光を反射し、R光およびG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム140は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光およびB光を合成し、投写レンズ150の方向へ射出する。投写レンズ150は、クロスダイクロイックプリズム140で合成された光をスクリーンの方向へ投写する。
【0070】
プロジェクター1000によれば、音響共鳴現象の影響を低減できる光源装置100を有するため、良好な画像を得ることができる。
【0071】
なお、プロジェクター1000は、光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いてもよい。プロジェクター1000は、色光ごとに光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクター1000は、1つの光変調装置により2つまたは3つ以上の色光を変調する構成としてもよい。プロジェクター1000は、光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクター1000は、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクターであってもよい。
【0072】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0073】
W1 第1超音波、W2 第2超音波、AX 中心軸、D 照射方向、
2 第1端部、4 第2端部、10 放電灯、12 発光管、14 放電空間、
16 第1電極、16a 先端部、18 第2電極、18a 先端部、
20 放電灯駆動装置、22 電力制御部、24 極性反転部、26 制御部、
30 超音波発生装置、30a 第1超音波発生装置、30b 第2超音波発生装置、
32 検出部、34 演算部、36 照射部、36a 第1照射部、
36b 第2照射部、40 リフレクター、50 直流電源、100,200光源装置、
102 平行化レンズ、110 照明光学系、112 第1インテグレータレンズ、
114 第2インテグレータレンズ、116 偏光変換素子、118 重畳レンズ、
120 色分離光学系、121 第1ダイクロイックミラー、
122,126,128 反射ミラー、123R R光用フィールドレンズ、
123G G光用フィールドレンズ、123B B光用フィールドレンズ、
124 第2ダイクロイックミラー、125,127 リレーレンズ、
130R R光用光変調装置、130G G光用光変調装置、
130B B光用光変調装置、140 クロスダイクロイックプリズム、
142 第1ダイクロイック膜、144 第2ダイクロイック膜、150 投写レンズ、1000 プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電媒質が封入された放電空間を有する発光管、第1電極および第2電極、を有する放電灯と、
前記第1電極および前記第2電極に交流電流を供給し、前記放電灯を駆動する放電灯駆動部と、
前記放電灯の音響共鳴現象により生じた第1超音波とは逆位相の第2超音波を発生させる超音波発生部と、
を含み、
前記第1電極の先端部と前記第2電極の先端部は、前記放電灯の前記放電空間内に配置され、
前記超音波発生部は、
前記第1超音波を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果から、前記第1超音波の波形とは逆位相の波形を算出する演算部と、
前記演算部の演算結果に基づいて前記第2超音波を発生させ、少なくとも前記第1電極の先端部および前記第2電極の先端部の一方に前記第2超音波を照射する照射部と、
を有する、ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記照射部は、2つ設けられ、
2つの前記照射部のうちの第1照射部は、前記第1電極の先端部に前記第2超音波を照射し、
2つの前記照射部のうちの第2照射部は、前記第2電極の先端部に前記第2超音波を照射する、ことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記交流電流の周波数は、10kHz以上10MHz以下である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投写する投写装置と、
を含む、ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195200(P2012−195200A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59048(P2011−59048)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】