光源装置および内視鏡システム
【課題】高輝度の照明光を得るとともに、照明効率および時間的効率を向上することができる光源装置を提供する。
【解決手段】照明光を射出する光源1,2,3と、光源1,2,3からの照明光を反射する揺動可能なティルトミラーが複数配列されたティルトミラーアレイ5,6と、光源1,2,3を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、光源1,2,3の切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6を制御して、各光源からの照明光をライトガイド106に導くように各ティルトミラーの角度を変化させる制御部とを備える光源ユニット101を採用する。
【解決手段】照明光を射出する光源1,2,3と、光源1,2,3からの照明光を反射する揺動可能なティルトミラーが複数配列されたティルトミラーアレイ5,6と、光源1,2,3を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、光源1,2,3の切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6を制御して、各光源からの照明光をライトガイド106に導くように各ティルトミラーの角度を変化させる制御部とを備える光源ユニット101を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびこれを備える内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる波長を有する3つの光源グループを順次パルス発光させ、各光源グループの点灯タイミングに合わせて揺動ミラーや回転プリズムを駆動して、各光源グループからの照明光を同一光路に導光する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3873845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている光源装置では、図11に示すように、光源51からの照明光を単一の揺動ミラー52により反射させて光路を折り曲げている。この際、単一の揺動ミラー52では、光路の切り替えに多くの時間を要し、高速の動作が困難であるため動作における時間的効率が悪い。また、このため、揺動ミラー52の角度を目的の角度に変更する途中で揺動ミラー52に光源51からの照明光が照射され、反射されてしまうと、照明光の反射時の角度と目的の角度の間にずれが生じてしまう。この際、図12に示すように、反射光の出射角度の変動量は、揺動ミラー52の角度の変動量の2倍になる。そのため、揺動ミラー52の角度の目的とする角度からのずれが比較的小さい場合でも、反射光の反射方向と目的の反射光の反射方向との間には大きなずれが生じてしまう。そのため、反射光が到達する位置は目的とする照明領域(照明レンズ53)から容易に外れてしまい、照明効率が悪化するとともに、照明レンズ53から射出される照明光の光量変動が大きい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、高輝度の照明光を得るとともに、照明効率および時間的効率を向上することができる光源装置およびこれを備える内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、照明光を射出する複数の光源と、該複数の光源からの照明光を反射する揺動可能な微小素子が複数配列された微小素子アレイと、前記複数の光源を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、前記複数の光源の切り替えと同期して前記微小素子アレイを制御して、各前記光源からの照明光を共通光路に導くように各前記微小素子の角度を変化させる制御部とを備える光源装置である。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、微小素子アレイの個々の揺動可能な微小素子は特許文献1の揺動ミラーよりも遥かに軽量であるため、高速に角度を変化させることができ、高い時間的効率を得ることができる。このため、揺動可能な微小素子のとる角度が、大きく異なる2つの角度のみから択一的に選択される構成も可能となる。
【0008】
また、各微小素子の角度を切り替える時間を短くすることができるため、揺動可能な微小素子の照明光の反射時の角度と目的の角度の間、引いては、反射光の反射方向と目的の反射光の反射方向との間のずれを極めて小さくすることができる。従って、共通光路に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができ、光源装置の照明効率を向上することができる。
【0009】
上記態様において、n個の前記光源と、n−1個の前記微小素子アレイとを備えることとしてもよい。ここで、nは2以上の整数である。
このような構成を有することで、n−1個の微小素子アレイの各微小素子の角度を高速で変化させることができる。これにより、高い時間的効率が得られると共に、共通光路に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができ、光源装置の照明効率を向上することができる。
【0010】
上記態様において、各前記光源が、前記共通光路の入射端までの光路長が等しくなるように配置されていることとしてもよい。
各光源から共通光路の入射端までの光路長を等しくすることで、共通光路上に配置される光学系(例えば被写体に照明光を照射するレンズ)への照明光の入射条件を等しくすることができ、該光学系の設計を容易に行うことができる。
【0011】
上記態様において、前記微小素子アレイの入射側または出射側の少なくとも一方に配置され、照明光の光軸に直交する方向に光束形状を伸縮するビーム形状変更手段を備えることとしてもよい。
例えば三角プリズム等のビーム形状変更手段を微小素子アレイの出射側に配置することで、微小素子アレイに斜めに投影することにより光軸に直交する方向に引き伸ばされた照明光の光束形状(すなわち楕円形となった光束形状)を、元の形状(円形の光束形状)に補正することができる。
【0012】
また、例えば三角プリズム等のビーム形状変更手段を微小素子アレイの入射側に配置することで、微小素子アレイによって光束形状が引き伸ばされる前に、光束形状を事前に光軸に直交する方向に縮めておくことができ、微小素子アレイの出射側において、ビーム形状を元の形状(円形の光束形状)にすることができる。
上記のようにすることで、共通光路の入射端面に入射する照明光の光量を増加させることができ、照明光の利用効率を向上することができる。
【0013】
上記態様において、複数の前記微小素子アレイを備え、前記光源の射出光軸と該射出光軸上に配置された一方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面と、前記一方の微小素子アレイの反射光軸と該反射光軸上に配置された他方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面とが、交差するように、各前記光源および各前記微小素子アレイが配置されていることとしてもよい。
【0014】
このような構成を有することで、多段階の合成を行う場合において、合成前後の光路の交差領域を減らす事ができ、レイアウトの自由度が高めることができる。また、各光源の光路長を揃えやすいため、後段に配置される光学系への各光源からの照明光の入射条件を等しくすることができ、該光学系の設計を容易に行うことができる。
【0015】
上記態様において、複数の前記微小素子アレイを備え、全ての前記微小素子アレイの反射光軸が同一平面上に配置されていることとしてもよい。
このような構成を有することで、全ての光源を同一面内に配置でき、光源装置全体の小型化を図ることができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、上記の光源装置と、体腔内に挿入され、前記光源装置からの照明光を体腔内に導くとともに、体腔内の画像を取得する挿入部とを備える内視鏡システムである。
このような内視鏡システムによれば、前述の光源装置を備えているため、複数の光源から射出された高輝度の照明光を時分割合成して、挿入部を介して体腔内に射出することができ、体腔内の観察を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高輝度の照明光を得るとともに、照明効率および時間的効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施形態に係る内視鏡システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図3】図2の照明レンズ側から見た光源ユニットの上視図である。
【図4】図2の光源ユニットの各光源の点灯および各ティルトミラーアレイの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図6】図5の変形例に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図7】図5の光源ユニットにおけるティルトミラーアレイへの入射光束および反射光束を示す斜視図である。
【図8】図5の光源ユニットにおけるティルトミラーアレイへの入射光束および反射光束を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図10】図9の光源ユニットを矢印X方向から見た側面図である。
【図11】従来の光源ユニットの概略構成図である。
【図12】図11の光源ユニットにおいて揺動ミラーの角度を変化させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る光源装置および内視鏡システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る内視鏡システム1は、図1に示すように、体腔内の内視鏡観察を行うための内視鏡システムであり、照明光を射出する光源ユニット(光源装置)101と、体腔内に挿入される挿入部102と、挿入部102の基端側に設けられ、挿入部102を操作する操作部103と、挿入部102からの信号に基づいて画像を生成し、生成した画像を表示する内視鏡の画像表示ユニット104とを備えている。
【0020】
光源ユニット101と操作部103(挿入部102)とは、光源ユニット101からの照明光を導くライトガイド(共通光路)106により接続されている。
また、操作部103(挿入部102)と画像表示ユニット104とは、挿入部102からの撮像信号を送る撮像信号線105により接続されている。
【0021】
挿入部102は、可撓性を有する細長い形状で構成されており、操作部103をユーザが操作することによって3次元的に湾曲するようになっている。
挿入部102は、挿入部102の内部に長手方向に挿通された例えば光ファイバ等の導光部(図示略)と、挿入部102の先端部に前記導光部と光学的に接続された照明レンズ(図示略)とを備えている。このような構成を有することで、挿入部102は、ライトガイド106により導かれた光源ユニット101からの照明光を、挿入部102の先端部に設けられた照明レンズから体腔内の観察領域Aに照射するようになっている。
【0022】
また、挿入部102は、挿入部102の先端部に設けられた例えばCCD等の撮像素子(図示略)と、該撮像素子に接続され、挿入部102の内部に長手方向に挿通された撮像信号線(図示略)とを備えている。このような構成を有することで、体腔内の観察領域Aからの反射光を撮像素子により検出することで、観察領域Aを撮像し、撮像信号として撮像信号線を介して操作部103(画像表示ユニット104)に送るようになっている。
【0023】
操作部103は、ユーザにより例えば操作ノブ107が操作されることによって、挿入部102内に挿通された湾曲操作ワイヤ(図示略)を長手方向に引っ張るように動作させ、操作部103を3次元方向に湾曲動作させるようになっている。なお、操作部103には、操作ノブ107の他、撮像動作等を指示する各種スイッチ(図示略)が設けられている。
【0024】
画像表示ユニット104は、挿入部102の撮像素子からの撮像信号に基づいて、体腔内の観察領域Aの画像を生成し、生成した観察領域Aの画像を表示するようになっている。また、画像表示ユニット104は、生成した観察領域Aの画像の明るさに基づいて光源ユニット101から射出する照明光の光量を調節するための制御信号を、光源ユニット101に出力するようになっている。
【0025】
光源ユニット101は、図2に示すように、照明光を射出する光源1,2,3と、光源1,2,3の射出光軸上にそれぞれ配置された光源レンズ4と、光源1と光源2の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)5と、光源3の射出光軸上に配置されたミラー7と、ティルトミラーアレイ5とミラー7の反射光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)6と、ティルトミラーアレイ6の反射光軸上に配置された照明レンズ8と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
なお、図2は、光源1からの照明光がライトガイド106に導かれる状態を示している。
【0026】
光源1,2,3は、同一平面上に光軸を向けて配置されており、制御部からの制御信号に基づいて、略同一のスペクトルを有する照明光をそれぞれ射出するようになっている。照明光のスペクトルが略同一であるとは、例えばL*a*b*表色系の色差で3以内であることであることが好ましい。また、光源1,2,3は、例えば点灯/消灯の応答時間の短いLDやLEDのような固体発光素子が好ましい。
【0027】
光源レンズ4は、光源1,2,3の射出方向近傍にそれぞれ配置されており、光源1,2,3からの照明光を略平行光にしてそれぞれ射出するようになっている。
【0028】
ティルトミラーアレイ5,6は、図3に示すように、光源1,2,3からの照明光を反射する揺動可能なティルトミラー(微小素子)が2次元的に複数配列されている。ティルトミラーアレイ5,6は、具体的には、例えばTI社のDMD(デジタルミラーデバイス:登録商標)のような半導体プロセスによって作られた物が挙げられる。ティルトミラーアレイ5,6の各ティルトミラーは、そのサイズが数μから数十μ角の微小なミラーであり、2つの偏向位置(角度)間を移行するときの応答速度が数μ秒程度と早いのが特徴である。ティルトミラーアレイ5,6は、制御部からの制御信号に基づいて各ティルトミラーの角度を制御するようになっている。
【0029】
上記構成を有することで、ティルトミラーアレイ5は、光源1からの照明光と光源2からの照明光とを切り替えて、ティルトミラーアレイ6に向けて反射するようになっている。また、ティルトミラーアレイ6は、ティルトミラーアレイ5からの照明光とミラー7で反射された光源3からの照明光とを切り替えて、ライトガイド106に向けて反射するようになっている。
【0030】
光源1,2,3およびティルトミラーアレイ5,6は、図3に示すように、同一平面上に配置されている。また、ティルトミラーアレイ5,6の各ティルトミラーの偏向軸は、光源1,2,3が配置された同一平面に直交するように配置されている。
【0031】
より具体的には、ティルトミラーアレイ5,6は、図3に示すように、矩形状に構成されており、各ティルトミラーの偏向軸がティルトミラーアレイ5,6の外形に対して45°傾くように配置されている。また、ティルトミラーアレイ5,6の外形を光源ユニット101の水平面に対して45°傾けて配置することで、各ティルトミラーの偏向軸が光源ユニット101の水平面に対して90°になる。このようにすることで、光源1,2,3の射出光軸を含む面が光源ユニット101の水平面に対して平行になり、光源ユニット101の高さを薄く構成することができる。逆にティルトミラーの偏向軸を水平にすれば、光源1,2,3の射出光軸を含む面が光源ユニット101の水平面に対して0°になり、光源ユニット101の水平投影面積を狭く構成することができる。
【0032】
なお、ティルトミラーアレイ5,6は、DMD(デジタルミラーデバイス)に限定されるものではなく、各ティルトミラーの偏向軸がティルトミラーアレイ5,6に外形に対して0°ないしは90°のものを用いれば、ティルトミラーアレイ5,6の外形を45°傾ける必要は無い。
【0033】
ミラー7は、光源3からの照明光をティルトミラーアレイ6に向けて反射するようになっている。ミラー7は、光源3の光路長を調節するためのものであり、光源ユニット101全体の大きさをコンパクトにするために、光路を折り曲げるように配置されている。
照明レンズ8は、ティルトミラーアレイ6により反射された照明光をライトガイド106の入射端面に集光するようになっている。
【0034】
光源1,2,3は、照明レンズ8までの光路長が等しくなるように配置されている。このように各光源からの光路長を等しくすることで、各光源の光が入射する照明レンズ8と、各光源の射出光軸上に配置される光源レンズ4との位置関係を共通にすることができ、各光源がライトガイド106に入射する照明光の状態を揃えることができる。
【0035】
制御部6は、光源1,2,3の発光制御を行うとともに、該発光制御と同期してティルトミラーアレイ5,6の動作を制御するようになっている。具体的には、制御部6は、光源1,2,3を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、光源1,2,3の切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6を制御して、各光源からの照明光をライトガイド106に導くように各ティルトミラーの角度を変化させるようになっている。
【0036】
すなわち、光源1が発光した場合には、ティルトミラーアレイ5は、光源1からの照明光をティルトミラーアレイ6に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。また、この場合には、ティルトミラーアレイ6は、ティルトミラーアレイ5からの照明光をライトガイド106に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。
【0037】
また、光源2が発光した場合には、ティルトミラーアレイ5は、光源2からの照明光をティルトミラーアレイ6に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。また、この場合には、ティルトミラーアレイ6は、光源1が発光した場合と同様に、ティルトミラーアレイ5からの照明光をライトガイド106に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。
【0038】
また、光源3が発光した場合には、ティルトミラーアレイ6は、ミラー7で反射された光源3からの照明光をライトガイド106に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。
なお、上記の光源1,2,3およびティルトミラーアレイ5,6の具体的な動作のタイミングについては後述する。
【0039】
各光源の点灯時間のデューティーは1/3である。また、各光源に点灯時に投入される電力は、定格電力の1倍以上3倍以下としている。このため、各光源の点灯時の照明光量は、定格電力でDC発光させた場合よりも高いものが得られる。また、平均的に見れば、各光源に点灯時に投入される電力は定格電力以下となり、各光源を安全に使用することができる。なお、このときのパルス発光の時間は10ミリ秒以下が望ましい。
【0040】
上記構成を有する光源ユニット101の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る光源ユニット101から照明光を射出する場合には、制御部により光源1,2,3が制御され、これら光源が断続的に順次切り換えて発光させられる。また、制御部により、上記の光源1,2,3の点灯切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6が制御され、各ティルトミラーの角度を変化させられる。
【0041】
具体的には、図4に示すように、光源1が点灯するときは、ティルトミラーアレイ5の各ティルトミラーが、光源1からの照明光をティルトミラーアレイ5に向けて反射する偏向位置1となるように駆動される。同時に、ティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーは、ティルトミラーアレイ5によって偏向された光源1からの照明光を照明レンズ8に向けて反射する偏向位置3となるように駆動される。照明レンズ8に導かれた照明光は、照明レンズ8によりライトガイド106の入射端面に集光される。なお、このとき、光源2および光源3は消灯している。
【0042】
また、光源2が点灯するときは、ティルトミラーアレイ5およびティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーが、偏向位置2および偏向位置3となるようにそれぞれ駆動される。これにより、光源2からの照明光は、照明レンズ8に向けて反射され、照明レンズ8によりライトガイド106の入射端面に集光される。なお、このとき、光源1および光源3は消灯している。
【0043】
また、光源3が点灯するときには、光源3からの照明光は、ミラー7によりティルトミラーアレイ6に向けて反射される。ティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーは、ミラー7により反射された光源3からの照明光を、照明レンズ8に向けて反射する偏向位置4となるように駆動される。これにより、光源3からの照明光は、照明レンズ8に向けて反射され、照明レンズ8によりライトガイド106の入射端面に集光される。なお、このとき、光源1および光源2は消灯している。
【0044】
なお、ティルトミラーアレイ5の各ティルトミラーが偏向位置2から偏向位置1に移行するタイミングは、光源3が点灯している期間であれば、いつでも構わない。すなわち、ティルトミラーアレイ5の各ティルトミラーは、光源1が点灯するタイミングまでに偏向位置1にあればよい。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る光源ユニット101によれば、制御部により光源1,2,3が制御され、これら光源が断続的に順次切り換えて発光させられる。また、制御部により、上記の光源1,2,3の切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6が制御され、各ティルトミラーの角度を変化させられる。このようにすることで、光源1,2,3から射出されたパルス状の高輝度の照明光が、ティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーにより反射され、それぞれライトガイド106に導かれる。これにより、光源1,2,3から射出された高輝度の照明光を時分割合成して、ライトガイド106から射出することが可能となる。
【0046】
また、ティルトミラーアレイ5,6が、各ティルトミラーの角度を高速で変化することができるため、各ティルトミラーの角度を切り替える時間を短くすることができる。これにより、ライトガイド106に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができ、光源ユニット101の照明効率を向上することができる。また、各ティルトミラーの角度を切り替える時間を短くすることができるため、揺動可能な微小素子のとる角度が、大きく異なる2つの角度のみから択一的に選択される構成も可能となる。
【0047】
また、このような内視鏡システム100によれば、上記の光源ユニット101を備えているため、光源1,2,3から射出された高輝度の照明光を時分割合成して、挿入部102を介して体腔内の観察領域Aに照射することができ、体腔内の観察を容易にすることができる。
【0048】
なお、本実施形態において、3つの光源と2つのティルトミラーアレイとを備えた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、n個の光源とn−1個のティルトミラーアレイとを備えていればよい。ここで、nは2以上の整数である。
【0049】
このような構成を有することで、n−1個のティルトミラーアレイの各ティルトミラーの角度を高速で変化することができるため、各ティルトミラーの角度を切り替える時間を短くすることができる。このため、各ティルトミラーにおける照明光の反射時の角度と目的の角度の間、引いては、反射光の反射方向と目的の反射光の反射方向との間のずれを極めて小さくすることができる。従って、ライトガイド106に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができるので、光源ユニット101の照明効率を向上することができる。
【0050】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る光源ユニット201について図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、第1の実施形態に係る光源ユニット101と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。なお、ここでは、説明を簡略化するために2つの光源を用いた例について説明する。
【0051】
本実施形態に係る光源ユニット201は、図5に示すように、照明光を射出する光源9,10と、光源9,10の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)12と、ティルトミラーアレイ12の反射光軸上に配置された三角プリズム(ビーム形状変更手段)11と、三角プリズム11の屈折方向に配置された照明レンズ8と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0052】
上記の光源ユニット201において、ティルトミラーアレイ12により反射/偏向された照明光は、図7および図8に示すように、ティルトミラーアレイ12表面に斜めに入射する一方、ティルトミラーアレイ12表面に直交する方向に出射される。したがって、ティルトミラーアレイ12に入射する照明光の横断面(光軸に直交する断面)が円形の入射光束であっても、ティルトミラーアレイ12表面には楕円形に投影され、反射光束の横断面形状は楕円となる。
【0053】
ここで、ライトガイド106は、ガラスファイバーを束ねて構成されるものが良く用いられ、入射面の横断面形状が円形のものが一般的である。
このような円形の横断面形状を有するライトガイド106の入射面に、楕円の横断面形状を有する照明光が投影されると、照明光の利用効率が低下してしまう。したがって、ライトガイド106に入射する際の照明光の投影形状は円形であることが望ましい。
【0054】
そこで、本実施形態に係る光源ユニット201では、図5に示すように、三角プリズム11をティルトミラーアレイ12と照明レンズ8との間に配置する。このような構成を有することで、斜めに投影したために偏向軸に直交する方向に引き伸ばされた光束形状を、元の形状に補正する。
【0055】
具体的には、図5に示すように、断面A,Bにおいて円形の入射光束が、ティルトミラーアレイ12に斜めに反射されることによって断面Cにおいて楕円形の反射光束となる。この照明光を三角プリズム11により屈折することで、断面Dにおいて円形の入射光束となるように補正する。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る光源ユニット201によれば、三角プリズム11をティルトミラーアレイ12の出射側に配置することで、ティルトミラーアレイ12に斜めに投影することにより光軸に直交する方向に引き伸ばされた照明光の光束形状(すなわち楕円形となった光束形状)を、元の形状(円形の光束形状)に補正することができる。これにより、ライトガイド106の入射面に入射する照明光の光量を増加させることができ、照明光の利用効率を向上することができる。
【0057】
〔変形例〕
本実施形態に係る光源ユニット201の変形例として、図6に示すように、三角プリズム11を、光源9,10とティルトミラーアレイ12との間にそれぞれ配置することとしてもよい。このような構成を有することで、ティルトミラーアレイ12によって光束形状が引き伸ばされる前に、光束形状を事前に光軸に直交する方向に縮めておく。
【0058】
具体的には、図6に示すように、断面A,Bにおいて照明光を三角プリズム11により屈折することで事前に楕円形の入射光束としておき、断面Cにおいてティルトミラーアレイ12に斜めに反射されることによって円形の反射光束となる。
【0059】
本変形例に係る光源ユニット202によれば、三角プリズム11をティルトミラーアレイ12の入射側に配置することで、ティルトミラーアレイ12によって光束形状が引き伸ばされる前に、光束形状を事前に光軸に直交する方向に縮めておくことができ、ティルトミラーアレイ12の出射側において、ビーム形状を元の形状(円形の光束形状)にすることができる。これにより、ライトガイド106の入射面に入射する照明光の光量を増加させることができ、照明光の利用効率を向上することができる。
【0060】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る光源ユニット301について図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、前述の各実施形態に係る光源ユニット101,201と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係る光源ユニット101は、4つの光源からの照明光を、3つのティルトミラーアレイで2段階に光路を合成して射出するものである。
【0061】
図9は本実施形態に係る光源ユニット301の側面図、図10は図9の矢印X方向から見た側面図である。
光源ユニット101は、図9および図10に示すように、照明光を射出する光源13,14,15,16と、光源13,14,15,16の射出光軸上にそれぞれ配置された光源レンズ20,21,22,23と、光源13と光源14の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(一方の微小素子アレイ)18と、光源15と光源16の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(一方の微小素子アレイ)19と、ティルトミラーアレイ18とティルトミラーアレイ19の反射光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(他方の微小素子アレイ)17と、ティルトミラーアレイ17の反射光軸上に配置された照明レンズ8と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0062】
光源13,14の射出光軸と該射出光軸上に配置されたティルトミラーアレイ18の反射光軸とを含む面(図10における紙面)と、ティルトミラーアレイ18の反射光軸と該反射光軸上に配置されたティルトミラーアレイ17の反射光軸とを含む面(図9における紙面)とが、直交するように、各光源および各ティルトミラーアレイは配置されている。
【0063】
また、光源15,16の射出光軸と該射出光軸上に配置されたティルトミラーアレイ19の反射光軸とを含む面(図10における紙面)と、ティルトミラーアレイ19の反射光軸と該反射光軸上に配置されたティルトミラーアレイ17の反射光軸とを含む面(図9における紙面)とが、直交するように、各光源および各ティルトミラーアレイは配置されている。
【0064】
上記構成を有する本実施形態に係る光源ユニット301において、光源13,14からの照明光は、ティルトミラーアレイ18で光路を合成され、ティルトミラーアレイ17に向けて反射される。
一方、光源15,16からの照明光は、ティルトミラーアレイ19で光路を合成され、ティルトミラーアレイ17に向けて反射される。
【0065】
ティルトミラーアレイ18により合成された光源13,14からの照明光と、ティルトミラーアレイ19により合成された光源15,16からの照明光とは、ティルトミラー17により合成され、照明レンズ8によりライトガイド8の入射端面に集光される。
【0066】
上記構成を有する本実施形態に係る光源ユニット301によれば、多段階の合成を行う場合において、合成前後の光路の交差領域を減らすことができ、レイアウトの自由度が高めることができる。また、各光源の光路長を揃えやすいため、後段に配置される光学系(照明レンズ8等)への各光源からの照明光の入射条件を等しくすることができ、光学系の設計を容易に行うことができる。
【0067】
なお、本実施形態において、図9における紙面と図10における紙面とが直交するように、各光源および各ティルトミラーアレイは配置されていることとして説明したが、本発明はこの配置に限定されるものではなく、これら紙面が交差するように各光源および各ティルトミラーアレイを配置することで、合成前後の光路の交差領域を減らすことができる。
【0068】
以上、本発明の各実施形態および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
また、各実施形態において、2から4つの光源を備えた例を説明したが、5つ以上の光源を備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,2,3,9,10,13,14,15,16 光源
4,20,21,22,23 光源レンズ
5,6,12 ティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)
7 ミラー
8 照明レンズ
11 三角プリズム(ビーム形状変更手段)
17 ティルトミラーアレイ(他方の微小素子アレイ)
18,19 ティルトミラーアレイ(一方の微小素子アレイ)
100 内視鏡システム
101,201,202,301 光源ユニット(光源装置)
102 挿入部
103 操作部
104 画像表示ユニット
105 撮像信号線
106 ライトガイド(共通光路)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびこれを備える内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる波長を有する3つの光源グループを順次パルス発光させ、各光源グループの点灯タイミングに合わせて揺動ミラーや回転プリズムを駆動して、各光源グループからの照明光を同一光路に導光する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3873845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている光源装置では、図11に示すように、光源51からの照明光を単一の揺動ミラー52により反射させて光路を折り曲げている。この際、単一の揺動ミラー52では、光路の切り替えに多くの時間を要し、高速の動作が困難であるため動作における時間的効率が悪い。また、このため、揺動ミラー52の角度を目的の角度に変更する途中で揺動ミラー52に光源51からの照明光が照射され、反射されてしまうと、照明光の反射時の角度と目的の角度の間にずれが生じてしまう。この際、図12に示すように、反射光の出射角度の変動量は、揺動ミラー52の角度の変動量の2倍になる。そのため、揺動ミラー52の角度の目的とする角度からのずれが比較的小さい場合でも、反射光の反射方向と目的の反射光の反射方向との間には大きなずれが生じてしまう。そのため、反射光が到達する位置は目的とする照明領域(照明レンズ53)から容易に外れてしまい、照明効率が悪化するとともに、照明レンズ53から射出される照明光の光量変動が大きい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、高輝度の照明光を得るとともに、照明効率および時間的効率を向上することができる光源装置およびこれを備える内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、照明光を射出する複数の光源と、該複数の光源からの照明光を反射する揺動可能な微小素子が複数配列された微小素子アレイと、前記複数の光源を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、前記複数の光源の切り替えと同期して前記微小素子アレイを制御して、各前記光源からの照明光を共通光路に導くように各前記微小素子の角度を変化させる制御部とを備える光源装置である。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、微小素子アレイの個々の揺動可能な微小素子は特許文献1の揺動ミラーよりも遥かに軽量であるため、高速に角度を変化させることができ、高い時間的効率を得ることができる。このため、揺動可能な微小素子のとる角度が、大きく異なる2つの角度のみから択一的に選択される構成も可能となる。
【0008】
また、各微小素子の角度を切り替える時間を短くすることができるため、揺動可能な微小素子の照明光の反射時の角度と目的の角度の間、引いては、反射光の反射方向と目的の反射光の反射方向との間のずれを極めて小さくすることができる。従って、共通光路に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができ、光源装置の照明効率を向上することができる。
【0009】
上記態様において、n個の前記光源と、n−1個の前記微小素子アレイとを備えることとしてもよい。ここで、nは2以上の整数である。
このような構成を有することで、n−1個の微小素子アレイの各微小素子の角度を高速で変化させることができる。これにより、高い時間的効率が得られると共に、共通光路に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができ、光源装置の照明効率を向上することができる。
【0010】
上記態様において、各前記光源が、前記共通光路の入射端までの光路長が等しくなるように配置されていることとしてもよい。
各光源から共通光路の入射端までの光路長を等しくすることで、共通光路上に配置される光学系(例えば被写体に照明光を照射するレンズ)への照明光の入射条件を等しくすることができ、該光学系の設計を容易に行うことができる。
【0011】
上記態様において、前記微小素子アレイの入射側または出射側の少なくとも一方に配置され、照明光の光軸に直交する方向に光束形状を伸縮するビーム形状変更手段を備えることとしてもよい。
例えば三角プリズム等のビーム形状変更手段を微小素子アレイの出射側に配置することで、微小素子アレイに斜めに投影することにより光軸に直交する方向に引き伸ばされた照明光の光束形状(すなわち楕円形となった光束形状)を、元の形状(円形の光束形状)に補正することができる。
【0012】
また、例えば三角プリズム等のビーム形状変更手段を微小素子アレイの入射側に配置することで、微小素子アレイによって光束形状が引き伸ばされる前に、光束形状を事前に光軸に直交する方向に縮めておくことができ、微小素子アレイの出射側において、ビーム形状を元の形状(円形の光束形状)にすることができる。
上記のようにすることで、共通光路の入射端面に入射する照明光の光量を増加させることができ、照明光の利用効率を向上することができる。
【0013】
上記態様において、複数の前記微小素子アレイを備え、前記光源の射出光軸と該射出光軸上に配置された一方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面と、前記一方の微小素子アレイの反射光軸と該反射光軸上に配置された他方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面とが、交差するように、各前記光源および各前記微小素子アレイが配置されていることとしてもよい。
【0014】
このような構成を有することで、多段階の合成を行う場合において、合成前後の光路の交差領域を減らす事ができ、レイアウトの自由度が高めることができる。また、各光源の光路長を揃えやすいため、後段に配置される光学系への各光源からの照明光の入射条件を等しくすることができ、該光学系の設計を容易に行うことができる。
【0015】
上記態様において、複数の前記微小素子アレイを備え、全ての前記微小素子アレイの反射光軸が同一平面上に配置されていることとしてもよい。
このような構成を有することで、全ての光源を同一面内に配置でき、光源装置全体の小型化を図ることができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、上記の光源装置と、体腔内に挿入され、前記光源装置からの照明光を体腔内に導くとともに、体腔内の画像を取得する挿入部とを備える内視鏡システムである。
このような内視鏡システムによれば、前述の光源装置を備えているため、複数の光源から射出された高輝度の照明光を時分割合成して、挿入部を介して体腔内に射出することができ、体腔内の観察を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高輝度の照明光を得るとともに、照明効率および時間的効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施形態に係る内視鏡システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図3】図2の照明レンズ側から見た光源ユニットの上視図である。
【図4】図2の光源ユニットの各光源の点灯および各ティルトミラーアレイの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図6】図5の変形例に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図7】図5の光源ユニットにおけるティルトミラーアレイへの入射光束および反射光束を示す斜視図である。
【図8】図5の光源ユニットにおけるティルトミラーアレイへの入射光束および反射光束を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図10】図9の光源ユニットを矢印X方向から見た側面図である。
【図11】従来の光源ユニットの概略構成図である。
【図12】図11の光源ユニットにおいて揺動ミラーの角度を変化させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る光源装置および内視鏡システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係る内視鏡システム1は、図1に示すように、体腔内の内視鏡観察を行うための内視鏡システムであり、照明光を射出する光源ユニット(光源装置)101と、体腔内に挿入される挿入部102と、挿入部102の基端側に設けられ、挿入部102を操作する操作部103と、挿入部102からの信号に基づいて画像を生成し、生成した画像を表示する内視鏡の画像表示ユニット104とを備えている。
【0020】
光源ユニット101と操作部103(挿入部102)とは、光源ユニット101からの照明光を導くライトガイド(共通光路)106により接続されている。
また、操作部103(挿入部102)と画像表示ユニット104とは、挿入部102からの撮像信号を送る撮像信号線105により接続されている。
【0021】
挿入部102は、可撓性を有する細長い形状で構成されており、操作部103をユーザが操作することによって3次元的に湾曲するようになっている。
挿入部102は、挿入部102の内部に長手方向に挿通された例えば光ファイバ等の導光部(図示略)と、挿入部102の先端部に前記導光部と光学的に接続された照明レンズ(図示略)とを備えている。このような構成を有することで、挿入部102は、ライトガイド106により導かれた光源ユニット101からの照明光を、挿入部102の先端部に設けられた照明レンズから体腔内の観察領域Aに照射するようになっている。
【0022】
また、挿入部102は、挿入部102の先端部に設けられた例えばCCD等の撮像素子(図示略)と、該撮像素子に接続され、挿入部102の内部に長手方向に挿通された撮像信号線(図示略)とを備えている。このような構成を有することで、体腔内の観察領域Aからの反射光を撮像素子により検出することで、観察領域Aを撮像し、撮像信号として撮像信号線を介して操作部103(画像表示ユニット104)に送るようになっている。
【0023】
操作部103は、ユーザにより例えば操作ノブ107が操作されることによって、挿入部102内に挿通された湾曲操作ワイヤ(図示略)を長手方向に引っ張るように動作させ、操作部103を3次元方向に湾曲動作させるようになっている。なお、操作部103には、操作ノブ107の他、撮像動作等を指示する各種スイッチ(図示略)が設けられている。
【0024】
画像表示ユニット104は、挿入部102の撮像素子からの撮像信号に基づいて、体腔内の観察領域Aの画像を生成し、生成した観察領域Aの画像を表示するようになっている。また、画像表示ユニット104は、生成した観察領域Aの画像の明るさに基づいて光源ユニット101から射出する照明光の光量を調節するための制御信号を、光源ユニット101に出力するようになっている。
【0025】
光源ユニット101は、図2に示すように、照明光を射出する光源1,2,3と、光源1,2,3の射出光軸上にそれぞれ配置された光源レンズ4と、光源1と光源2の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)5と、光源3の射出光軸上に配置されたミラー7と、ティルトミラーアレイ5とミラー7の反射光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)6と、ティルトミラーアレイ6の反射光軸上に配置された照明レンズ8と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
なお、図2は、光源1からの照明光がライトガイド106に導かれる状態を示している。
【0026】
光源1,2,3は、同一平面上に光軸を向けて配置されており、制御部からの制御信号に基づいて、略同一のスペクトルを有する照明光をそれぞれ射出するようになっている。照明光のスペクトルが略同一であるとは、例えばL*a*b*表色系の色差で3以内であることであることが好ましい。また、光源1,2,3は、例えば点灯/消灯の応答時間の短いLDやLEDのような固体発光素子が好ましい。
【0027】
光源レンズ4は、光源1,2,3の射出方向近傍にそれぞれ配置されており、光源1,2,3からの照明光を略平行光にしてそれぞれ射出するようになっている。
【0028】
ティルトミラーアレイ5,6は、図3に示すように、光源1,2,3からの照明光を反射する揺動可能なティルトミラー(微小素子)が2次元的に複数配列されている。ティルトミラーアレイ5,6は、具体的には、例えばTI社のDMD(デジタルミラーデバイス:登録商標)のような半導体プロセスによって作られた物が挙げられる。ティルトミラーアレイ5,6の各ティルトミラーは、そのサイズが数μから数十μ角の微小なミラーであり、2つの偏向位置(角度)間を移行するときの応答速度が数μ秒程度と早いのが特徴である。ティルトミラーアレイ5,6は、制御部からの制御信号に基づいて各ティルトミラーの角度を制御するようになっている。
【0029】
上記構成を有することで、ティルトミラーアレイ5は、光源1からの照明光と光源2からの照明光とを切り替えて、ティルトミラーアレイ6に向けて反射するようになっている。また、ティルトミラーアレイ6は、ティルトミラーアレイ5からの照明光とミラー7で反射された光源3からの照明光とを切り替えて、ライトガイド106に向けて反射するようになっている。
【0030】
光源1,2,3およびティルトミラーアレイ5,6は、図3に示すように、同一平面上に配置されている。また、ティルトミラーアレイ5,6の各ティルトミラーの偏向軸は、光源1,2,3が配置された同一平面に直交するように配置されている。
【0031】
より具体的には、ティルトミラーアレイ5,6は、図3に示すように、矩形状に構成されており、各ティルトミラーの偏向軸がティルトミラーアレイ5,6の外形に対して45°傾くように配置されている。また、ティルトミラーアレイ5,6の外形を光源ユニット101の水平面に対して45°傾けて配置することで、各ティルトミラーの偏向軸が光源ユニット101の水平面に対して90°になる。このようにすることで、光源1,2,3の射出光軸を含む面が光源ユニット101の水平面に対して平行になり、光源ユニット101の高さを薄く構成することができる。逆にティルトミラーの偏向軸を水平にすれば、光源1,2,3の射出光軸を含む面が光源ユニット101の水平面に対して0°になり、光源ユニット101の水平投影面積を狭く構成することができる。
【0032】
なお、ティルトミラーアレイ5,6は、DMD(デジタルミラーデバイス)に限定されるものではなく、各ティルトミラーの偏向軸がティルトミラーアレイ5,6に外形に対して0°ないしは90°のものを用いれば、ティルトミラーアレイ5,6の外形を45°傾ける必要は無い。
【0033】
ミラー7は、光源3からの照明光をティルトミラーアレイ6に向けて反射するようになっている。ミラー7は、光源3の光路長を調節するためのものであり、光源ユニット101全体の大きさをコンパクトにするために、光路を折り曲げるように配置されている。
照明レンズ8は、ティルトミラーアレイ6により反射された照明光をライトガイド106の入射端面に集光するようになっている。
【0034】
光源1,2,3は、照明レンズ8までの光路長が等しくなるように配置されている。このように各光源からの光路長を等しくすることで、各光源の光が入射する照明レンズ8と、各光源の射出光軸上に配置される光源レンズ4との位置関係を共通にすることができ、各光源がライトガイド106に入射する照明光の状態を揃えることができる。
【0035】
制御部6は、光源1,2,3の発光制御を行うとともに、該発光制御と同期してティルトミラーアレイ5,6の動作を制御するようになっている。具体的には、制御部6は、光源1,2,3を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、光源1,2,3の切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6を制御して、各光源からの照明光をライトガイド106に導くように各ティルトミラーの角度を変化させるようになっている。
【0036】
すなわち、光源1が発光した場合には、ティルトミラーアレイ5は、光源1からの照明光をティルトミラーアレイ6に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。また、この場合には、ティルトミラーアレイ6は、ティルトミラーアレイ5からの照明光をライトガイド106に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。
【0037】
また、光源2が発光した場合には、ティルトミラーアレイ5は、光源2からの照明光をティルトミラーアレイ6に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。また、この場合には、ティルトミラーアレイ6は、光源1が発光した場合と同様に、ティルトミラーアレイ5からの照明光をライトガイド106に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。
【0038】
また、光源3が発光した場合には、ティルトミラーアレイ6は、ミラー7で反射された光源3からの照明光をライトガイド106に向けて反射するように各ティルトミラーの角度を変化させる。
なお、上記の光源1,2,3およびティルトミラーアレイ5,6の具体的な動作のタイミングについては後述する。
【0039】
各光源の点灯時間のデューティーは1/3である。また、各光源に点灯時に投入される電力は、定格電力の1倍以上3倍以下としている。このため、各光源の点灯時の照明光量は、定格電力でDC発光させた場合よりも高いものが得られる。また、平均的に見れば、各光源に点灯時に投入される電力は定格電力以下となり、各光源を安全に使用することができる。なお、このときのパルス発光の時間は10ミリ秒以下が望ましい。
【0040】
上記構成を有する光源ユニット101の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る光源ユニット101から照明光を射出する場合には、制御部により光源1,2,3が制御され、これら光源が断続的に順次切り換えて発光させられる。また、制御部により、上記の光源1,2,3の点灯切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6が制御され、各ティルトミラーの角度を変化させられる。
【0041】
具体的には、図4に示すように、光源1が点灯するときは、ティルトミラーアレイ5の各ティルトミラーが、光源1からの照明光をティルトミラーアレイ5に向けて反射する偏向位置1となるように駆動される。同時に、ティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーは、ティルトミラーアレイ5によって偏向された光源1からの照明光を照明レンズ8に向けて反射する偏向位置3となるように駆動される。照明レンズ8に導かれた照明光は、照明レンズ8によりライトガイド106の入射端面に集光される。なお、このとき、光源2および光源3は消灯している。
【0042】
また、光源2が点灯するときは、ティルトミラーアレイ5およびティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーが、偏向位置2および偏向位置3となるようにそれぞれ駆動される。これにより、光源2からの照明光は、照明レンズ8に向けて反射され、照明レンズ8によりライトガイド106の入射端面に集光される。なお、このとき、光源1および光源3は消灯している。
【0043】
また、光源3が点灯するときには、光源3からの照明光は、ミラー7によりティルトミラーアレイ6に向けて反射される。ティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーは、ミラー7により反射された光源3からの照明光を、照明レンズ8に向けて反射する偏向位置4となるように駆動される。これにより、光源3からの照明光は、照明レンズ8に向けて反射され、照明レンズ8によりライトガイド106の入射端面に集光される。なお、このとき、光源1および光源2は消灯している。
【0044】
なお、ティルトミラーアレイ5の各ティルトミラーが偏向位置2から偏向位置1に移行するタイミングは、光源3が点灯している期間であれば、いつでも構わない。すなわち、ティルトミラーアレイ5の各ティルトミラーは、光源1が点灯するタイミングまでに偏向位置1にあればよい。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る光源ユニット101によれば、制御部により光源1,2,3が制御され、これら光源が断続的に順次切り換えて発光させられる。また、制御部により、上記の光源1,2,3の切り替えと同期してティルトミラーアレイ5,6が制御され、各ティルトミラーの角度を変化させられる。このようにすることで、光源1,2,3から射出されたパルス状の高輝度の照明光が、ティルトミラーアレイ6の各ティルトミラーにより反射され、それぞれライトガイド106に導かれる。これにより、光源1,2,3から射出された高輝度の照明光を時分割合成して、ライトガイド106から射出することが可能となる。
【0046】
また、ティルトミラーアレイ5,6が、各ティルトミラーの角度を高速で変化することができるため、各ティルトミラーの角度を切り替える時間を短くすることができる。これにより、ライトガイド106に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができ、光源ユニット101の照明効率を向上することができる。また、各ティルトミラーの角度を切り替える時間を短くすることができるため、揺動可能な微小素子のとる角度が、大きく異なる2つの角度のみから択一的に選択される構成も可能となる。
【0047】
また、このような内視鏡システム100によれば、上記の光源ユニット101を備えているため、光源1,2,3から射出された高輝度の照明光を時分割合成して、挿入部102を介して体腔内の観察領域Aに照射することができ、体腔内の観察を容易にすることができる。
【0048】
なお、本実施形態において、3つの光源と2つのティルトミラーアレイとを備えた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、n個の光源とn−1個のティルトミラーアレイとを備えていればよい。ここで、nは2以上の整数である。
【0049】
このような構成を有することで、n−1個のティルトミラーアレイの各ティルトミラーの角度を高速で変化することができるため、各ティルトミラーの角度を切り替える時間を短くすることができる。このため、各ティルトミラーにおける照明光の反射時の角度と目的の角度の間、引いては、反射光の反射方向と目的の反射光の反射方向との間のずれを極めて小さくすることができる。従って、ライトガイド106に導かれる時分割合成光の光量変動を小さくすることができるので、光源ユニット101の照明効率を向上することができる。
【0050】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る光源ユニット201について図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、第1の実施形態に係る光源ユニット101と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。なお、ここでは、説明を簡略化するために2つの光源を用いた例について説明する。
【0051】
本実施形態に係る光源ユニット201は、図5に示すように、照明光を射出する光源9,10と、光源9,10の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)12と、ティルトミラーアレイ12の反射光軸上に配置された三角プリズム(ビーム形状変更手段)11と、三角プリズム11の屈折方向に配置された照明レンズ8と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0052】
上記の光源ユニット201において、ティルトミラーアレイ12により反射/偏向された照明光は、図7および図8に示すように、ティルトミラーアレイ12表面に斜めに入射する一方、ティルトミラーアレイ12表面に直交する方向に出射される。したがって、ティルトミラーアレイ12に入射する照明光の横断面(光軸に直交する断面)が円形の入射光束であっても、ティルトミラーアレイ12表面には楕円形に投影され、反射光束の横断面形状は楕円となる。
【0053】
ここで、ライトガイド106は、ガラスファイバーを束ねて構成されるものが良く用いられ、入射面の横断面形状が円形のものが一般的である。
このような円形の横断面形状を有するライトガイド106の入射面に、楕円の横断面形状を有する照明光が投影されると、照明光の利用効率が低下してしまう。したがって、ライトガイド106に入射する際の照明光の投影形状は円形であることが望ましい。
【0054】
そこで、本実施形態に係る光源ユニット201では、図5に示すように、三角プリズム11をティルトミラーアレイ12と照明レンズ8との間に配置する。このような構成を有することで、斜めに投影したために偏向軸に直交する方向に引き伸ばされた光束形状を、元の形状に補正する。
【0055】
具体的には、図5に示すように、断面A,Bにおいて円形の入射光束が、ティルトミラーアレイ12に斜めに反射されることによって断面Cにおいて楕円形の反射光束となる。この照明光を三角プリズム11により屈折することで、断面Dにおいて円形の入射光束となるように補正する。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る光源ユニット201によれば、三角プリズム11をティルトミラーアレイ12の出射側に配置することで、ティルトミラーアレイ12に斜めに投影することにより光軸に直交する方向に引き伸ばされた照明光の光束形状(すなわち楕円形となった光束形状)を、元の形状(円形の光束形状)に補正することができる。これにより、ライトガイド106の入射面に入射する照明光の光量を増加させることができ、照明光の利用効率を向上することができる。
【0057】
〔変形例〕
本実施形態に係る光源ユニット201の変形例として、図6に示すように、三角プリズム11を、光源9,10とティルトミラーアレイ12との間にそれぞれ配置することとしてもよい。このような構成を有することで、ティルトミラーアレイ12によって光束形状が引き伸ばされる前に、光束形状を事前に光軸に直交する方向に縮めておく。
【0058】
具体的には、図6に示すように、断面A,Bにおいて照明光を三角プリズム11により屈折することで事前に楕円形の入射光束としておき、断面Cにおいてティルトミラーアレイ12に斜めに反射されることによって円形の反射光束となる。
【0059】
本変形例に係る光源ユニット202によれば、三角プリズム11をティルトミラーアレイ12の入射側に配置することで、ティルトミラーアレイ12によって光束形状が引き伸ばされる前に、光束形状を事前に光軸に直交する方向に縮めておくことができ、ティルトミラーアレイ12の出射側において、ビーム形状を元の形状(円形の光束形状)にすることができる。これにより、ライトガイド106の入射面に入射する照明光の光量を増加させることができ、照明光の利用効率を向上することができる。
【0060】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る光源ユニット301について図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、前述の各実施形態に係る光源ユニット101,201と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係る光源ユニット101は、4つの光源からの照明光を、3つのティルトミラーアレイで2段階に光路を合成して射出するものである。
【0061】
図9は本実施形態に係る光源ユニット301の側面図、図10は図9の矢印X方向から見た側面図である。
光源ユニット101は、図9および図10に示すように、照明光を射出する光源13,14,15,16と、光源13,14,15,16の射出光軸上にそれぞれ配置された光源レンズ20,21,22,23と、光源13と光源14の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(一方の微小素子アレイ)18と、光源15と光源16の射出光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(一方の微小素子アレイ)19と、ティルトミラーアレイ18とティルトミラーアレイ19の反射光軸の交点上に配置されたティルトミラーアレイ(他方の微小素子アレイ)17と、ティルトミラーアレイ17の反射光軸上に配置された照明レンズ8と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0062】
光源13,14の射出光軸と該射出光軸上に配置されたティルトミラーアレイ18の反射光軸とを含む面(図10における紙面)と、ティルトミラーアレイ18の反射光軸と該反射光軸上に配置されたティルトミラーアレイ17の反射光軸とを含む面(図9における紙面)とが、直交するように、各光源および各ティルトミラーアレイは配置されている。
【0063】
また、光源15,16の射出光軸と該射出光軸上に配置されたティルトミラーアレイ19の反射光軸とを含む面(図10における紙面)と、ティルトミラーアレイ19の反射光軸と該反射光軸上に配置されたティルトミラーアレイ17の反射光軸とを含む面(図9における紙面)とが、直交するように、各光源および各ティルトミラーアレイは配置されている。
【0064】
上記構成を有する本実施形態に係る光源ユニット301において、光源13,14からの照明光は、ティルトミラーアレイ18で光路を合成され、ティルトミラーアレイ17に向けて反射される。
一方、光源15,16からの照明光は、ティルトミラーアレイ19で光路を合成され、ティルトミラーアレイ17に向けて反射される。
【0065】
ティルトミラーアレイ18により合成された光源13,14からの照明光と、ティルトミラーアレイ19により合成された光源15,16からの照明光とは、ティルトミラー17により合成され、照明レンズ8によりライトガイド8の入射端面に集光される。
【0066】
上記構成を有する本実施形態に係る光源ユニット301によれば、多段階の合成を行う場合において、合成前後の光路の交差領域を減らすことができ、レイアウトの自由度が高めることができる。また、各光源の光路長を揃えやすいため、後段に配置される光学系(照明レンズ8等)への各光源からの照明光の入射条件を等しくすることができ、光学系の設計を容易に行うことができる。
【0067】
なお、本実施形態において、図9における紙面と図10における紙面とが直交するように、各光源および各ティルトミラーアレイは配置されていることとして説明したが、本発明はこの配置に限定されるものではなく、これら紙面が交差するように各光源および各ティルトミラーアレイを配置することで、合成前後の光路の交差領域を減らすことができる。
【0068】
以上、本発明の各実施形態および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
また、各実施形態において、2から4つの光源を備えた例を説明したが、5つ以上の光源を備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,2,3,9,10,13,14,15,16 光源
4,20,21,22,23 光源レンズ
5,6,12 ティルトミラーアレイ(微小素子アレイ)
7 ミラー
8 照明レンズ
11 三角プリズム(ビーム形状変更手段)
17 ティルトミラーアレイ(他方の微小素子アレイ)
18,19 ティルトミラーアレイ(一方の微小素子アレイ)
100 内視鏡システム
101,201,202,301 光源ユニット(光源装置)
102 挿入部
103 操作部
104 画像表示ユニット
105 撮像信号線
106 ライトガイド(共通光路)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を射出する複数の光源と、
該複数の光源からの照明光を反射する揺動可能な微小素子が複数配列された微小素子アレイと、
前記複数の光源を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、前記複数の光源の切り替えと同期して前記微小素子アレイを制御して、各前記光源からの照明光を共通光路に導くように各前記微小素子の角度を変化させる制御部とを備える光源装置。
【請求項2】
前記微小素子アレイにおける各前記微小素子の角度は2つの角度のみから択一的に選択される請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
n個の前記光源と、
n−1個の前記微小素子アレイとを備える請求項1又は2に記載の光源装置。
ここで、nは2以上の整数である。
【請求項4】
各前記光源が、前記共通光路の入射端までの光路長が等しくなるように配置されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記微小素子アレイの入射側または出射側の少なくとも一方に配置され、照明光の光軸に直交する方向に光束形状を伸縮するビーム形状変更手段を備える請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
複数の前記微小素子アレイを備え、
前記光源の射出光軸と該射出光軸上に配置された一方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面と、
前記一方の微小素子アレイの反射光軸と該反射光軸上に配置された他方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面とが、交差するように、各前記光源および各前記微小素子アレイが配置されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
複数の前記微小素子アレイを備え、
全ての前記微小素子アレイの反射光軸が同一平面上に配置されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の光源装置と、
体腔内に挿入され、前記光源装置からの照明光を体腔内に導くとともに、体腔内の画像を取得する挿入部とを備える内視鏡システム。
【請求項1】
照明光を射出する複数の光源と、
該複数の光源からの照明光を反射する揺動可能な微小素子が複数配列された微小素子アレイと、
前記複数の光源を断続的に順次切り換えて発光させるとともに、前記複数の光源の切り替えと同期して前記微小素子アレイを制御して、各前記光源からの照明光を共通光路に導くように各前記微小素子の角度を変化させる制御部とを備える光源装置。
【請求項2】
前記微小素子アレイにおける各前記微小素子の角度は2つの角度のみから択一的に選択される請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
n個の前記光源と、
n−1個の前記微小素子アレイとを備える請求項1又は2に記載の光源装置。
ここで、nは2以上の整数である。
【請求項4】
各前記光源が、前記共通光路の入射端までの光路長が等しくなるように配置されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記微小素子アレイの入射側または出射側の少なくとも一方に配置され、照明光の光軸に直交する方向に光束形状を伸縮するビーム形状変更手段を備える請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
複数の前記微小素子アレイを備え、
前記光源の射出光軸と該射出光軸上に配置された一方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面と、
前記一方の微小素子アレイの反射光軸と該反射光軸上に配置された他方の微小素子アレイの反射光軸とを含む面とが、交差するように、各前記光源および各前記微小素子アレイが配置されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
複数の前記微小素子アレイを備え、
全ての前記微小素子アレイの反射光軸が同一平面上に配置されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の光源装置と、
体腔内に挿入され、前記光源装置からの照明光を体腔内に導くとともに、体腔内の画像を取得する挿入部とを備える内視鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−27562(P2013−27562A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165768(P2011−165768)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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