説明

光源装置及びプロジェクター

【課題】寿命の長い光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置100は、第1電極16及び第2電極18を有する放電灯10と、第1電極16及び第2電極18に交流電流を供給し、放電灯10を駆動する放電灯駆動装置20と、放電灯10の音響共鳴現象により生じた第1超音波W1とは逆位相の第2超音波W2を発生させる超音波発生装置30と、放電灯10で点灯された発光像Sを検出し、発光像Sの揺らぎを検出して、発光像Sが揺らがない程度に、超音波発生装置30から照射する第2超音波W2の強度を調整する画像検出装置50により構成される。また、画像検出装置50は、発光画像検出部、演算部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の光源として、一般的に、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電灯(放電ランプ)が用いられている。これらの放電灯では、例えば、点灯周波数を10kHz以上の高い周波数にすると、音響共鳴現象が発生する場合がある。放電灯に音響共鳴現象が発生すると、電極が振動して照明としての性能に悪影響を及ぼしたり、電極が破壊されたりする場合があるため、望ましくない。
【0003】
この音響共鳴現象の影響を低減できる光源装置として、例えば、特許文献1には、音響共鳴現象を生じる周波数の変化特性を考慮して、放電灯の点灯周波数を制御した光源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−84782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、放電灯に音響共鳴現象が発生するとき、照明の性能が低下し電極の寿命が短くなっていた。そこで、放電灯に発生する音響共鳴現象が抑えられた長寿命な放電灯が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる光源装置は、気体が充填した放電灯内の複数の電極間で放電し発光する光源装置であって、前記気体を撮像し前記発光の揺らぎを検出する揺らぎ検出部と、前記電極に超音波を照射する超音波照射部と、を有し、前記超音波照射部は前記放電灯内の気体が揺らがない範囲で超音波を照射することを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、放電灯は気体が充填した放電灯内の複数の電極間で放電し発光する。光源装置は揺らぎ検出部と超音波照射部とを有している。揺らぎ検出部は気体を撮像し発光の揺らぎを検出する。そして、超音波照射部は電極に超音波を照射する。超音波照射部は放電灯内の気体が揺らがない範囲で超音波を照射している。
【0009】
放電灯を点灯周波数10kHz以上の高い周波数で点灯するとき、音響共鳴現象が発生することがある。音響共鳴現象が発生すると電極が損傷を受けるため、放電灯の寿命が短くなる。音響共鳴現象の影響により、放電灯発光の揺らぎが起こる。この揺らぎを検出部が検出する。そして、超音波照射部が音響共鳴現象を起こす音響波と位相が逆の音響波である超音波を電極に照射する。これにより、音響共鳴現象を抑えることができる。また、超音波照射部が照射する超音波が強すぎるときには電極に損傷を与える危険性がある。本適用例では、検出部で検出した気体が揺らがない程度に、超音波照射部が超音波の強度を調整する。従って、長寿命な光源装置を提供することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載の光源装置は、前記放電灯の一部を覆い、前記放電灯が発光する光を反射する反射鏡をさらに有し、前記揺らぎ検出部はX線発生装置とX線受光部とを有し、前記X線発生装置と前記X線受光部との間に前記反射鏡が位置することが好ましい。
【0011】
本適用例によれば、光源装置は反射鏡を有している。そして、反射鏡は放電灯の一部を覆い、放電灯が発光する光を反射する。これにより、放電灯から射出される光と反射鏡に反射する光との両方の光を利用することができる。そして、検出部はX線発生装置とX線受光部とを有している。従って、X線発生装置にX線を発生させて、X線を放電灯に通過させる。そして、通過したX線をX線受光部が受信することにより、X線受光部は放電灯内の気体の揺らぎを検出することができる。
【0012】
そして、X線発生装置とX線受光部との間に反射鏡が位置している。つまり、放電灯の光束を集める反射鏡の外部に、X線発生装置とX線受光部とが設置させている。従って、反射鏡の外部から気体の揺らぎを検出するので、放電灯が発する光と反射鏡が反射する光を遮ることなく効率よく光を射出することができる。
【0013】
[適用例3]本適用例にかかるプロジェクターは、上記に記載の光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置によって形成された画像を投写する投写装置とを含むことを特徴とする。
【0014】
本適用例によれば、プロジェクターは光源装置と光変調装置と投写装置とを含んでいる。光源装置が光を射出し、射出された光を光変調装置が画像情報に応じて変調する。そして、投写装置が変調された画像を投写している。光源装置は長寿命である為、プロジェクターは長寿命な光源装置を備えたプロジェクターとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1にかかる光源装置の構成を示す模式平面図。
【図2】放電灯駆動装置の構成を示すブロック図。
【図3】超音波発生装置と画像検出装置との構成を示すブロック図。
【図4】第1変形例にかかる超音波発生装置と画像検出装置との構成を示すブロック図。
【図5】実施形態2にかかる光源装置の構成を示すブロック図。
【図6】超音波発生装置と画像検出装置との構成を示すブロック図。
【図7】実施形態3にかかるプロジェクターの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0017】
(実施形態1)
1.1 光源装置の構成
まず、本実施形態にかかる光源装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態1にかかる光源装置の構成を示す模式平面図である。図1に示すように、光源装置100は、放電灯10、放電灯駆動装置20、超音波照射部としての超音波発生装置30、揺らぎ検出部としての画像検出装置50とを備えている。
【0018】
放電灯10は発光管12を備え、発光管12には放電空間14、電極としての第1電極16、電極としての第2電極18が設置されえている。発光管12の形状は、第1端部2から第2端部4まで、中心軸AXに沿って延びる棒形状である。発光管12の材質は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。発光管12の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間14が形成されている。放電空間14内には、水銀、金属ハロゲン化合物等の発光物質と、希ガス、ハロゲンガス等の気体と、が封入されている。
【0019】
第1電極16は第1端部2側に配置され、第2電極18は第2端部4側に配置されている。第1電極16及び第2電極18の形状は、発光管12の中心軸AXに沿って延在する棒形状である。また、放電空間14内には、第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aが、発光管12から突き出している。放電空間14内では第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aが所定の距離だけ離れて対向して配置されている。先端部16a及び先端部18aを放電端とも称す。尚、これらの第1電極16及び第2電極18の材質は、例えば、タングステン等の金属である。
【0020】
第1電極16及び第2電極18は、放電灯駆動装置20に接続されている。放電灯駆動装置20は、これらの第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aに、交流電流を供給する。その結果、2つの第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aの間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、第1電極16及び第2電極18の間の放電位置から全方向に向かって放射される。放電灯10は、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のアーク放電型の放電灯である。
【0021】
放電灯駆動装置20は、第1電極16及び第2電極18に交流電流を供給し、放電灯10を駆動する。放電灯駆動装置20が第1電極16及び第2電極18に供給する交流電流の周波数は、例えば、10kHz以上10MHz以下である。すなわち、放電灯10の点灯周波数は、10kHz以上10MHz以下である。
【0022】
図2は、放電灯駆動装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、放電灯駆動装置20は、電力制御部22と、極性反転部24と、制御部26と、を有している。
【0023】
電力制御部22は、放電灯10に供給する駆動電力を制御する。電力制御部22は、例えば、直流電源60を入力とし、この直流電源60から入力する入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路を含んで構成されている。
【0024】
極性反転部24は、電力制御部22から出力される直流電流Idを入力し、所与のタイミングで極性反転することにより、任意の周波数をもつ交流電流Iを生成して出力する。この交流電流Iが、第1電極16及び第2電極18に供給される。交流電流Iの波形は、例えば、正弦波である。尚、交流電流Iは、時間とともに周期的に大きさと向きが変化する電流であればその波形は限定されず、例えば、矩形波、三角波であってもよい。極性反転部24は、例えば、インバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)を含んで構成されている。
【0025】
制御部26は、電力制御部22及び極性反転部24を制御することにより、交流電流Iの電流値、周波数等を制御する。制御部26は、電力制御部22に対して、直流電流Idの電流値を制御する電流制御を行う。また、制御部26は、極性反転部24に対して、交流電流Iの極性反転のタイミングにより、交流電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。また、制御部26は、放電灯10の点灯を指示する点灯命令や、放電灯10の消灯を指示する消灯命令を入力して放電灯駆動装置20の出力を制御する。
【0026】
制御部26は、専用回路により実現して上述した制御を行うようにしてもよい。また、制御部26は、CPU(Central Processing Unit)が記憶部等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにしてもよい。すなわち、制御部26は、制御プログラムにより、電力制御部22を制御する電流制御手段、極性反転部24を制御する極性反転制御手段として機能するように構成してもよい。
【0027】
図1に戻って、超音波発生装置30は放電灯10の音響共鳴現象により生じた超音波(第1超音波W1)と同じ周波数で、逆位相の超音波(第2超音波W2)を発生させる。そして、超音波発生装置30は第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aに照射する。これにより、音響共鳴現象により生じた第1超音波W1を減衰させる。
【0028】
画像検出装置50は放電空間14に充填された気体を撮影する。放電灯10が点灯されたときにおける気体の像である発光像Sを画像検出装置50が撮影し、発光像Sの揺らぎを検出する。放電灯10に第1超音波W1が発生するとき、気体の密度に粗密の分布が形成される。そして、気体の密度の変化により光の屈折率が変わることから、気体を撮影した発光像Sの揺らぎを検出することにより第1超音波W1の発生を検出することが可能となっている。そして、発光像Sの揺らぎが小さくなるように、超音波発生装置30から照射する第2超音波W2の強度を調整する。
【0029】
図3は、超音波発生装置と画像検出装置との構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像検出装置50は発光画像検出部52及び演算部54を有する。発光画像検出部52は発光像Sを撮影する装置である。発光画像検出部52は、発光像Sの複数の発光画像を時間的に間隔を空けて撮影する。たとえば、発光画像検出部52は発光像Sを所定の間隔、例えば、1秒間に数コマから数十コマにて撮影する。そして、画像を電子画像データ52dに変換して演算部54に出力する。
【0030】
次に、演算部54は電子画像データ52dを入力し、発光像Sが揺らいでいるかを判断する。判断する方法は、例えば、演算部54は電子画像データ52dの時間ごとに異なる発光画像どうしで引き算を行う。そして、発光画像のぶれを算出する。そして、ぶれが大きいとき発光像Sが揺らいでいると判断する。このとき、必要に応じて発光画像を2値化処理をすると画像のノイズの影響を小さくできるので、精度のよい判断ができる。発光像Sが揺らいでいると判断した場合は、第2超音波W2を強める制御信号54dを超音波発生装置30に出力する。超音波発生装置30は制御信号54dを入力し、第2超音波W2の振幅を強める。そして、画像検出装置50と超音波発生装置30とが連携して発光像Sが揺らがない程度に第2超音波W2の振幅を調整する。
【0031】
尚、ここでは、超音波発生装置30は、第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aに第2超音波W2を照射したが、第1電極16の先端部16aにのみ第2超音波W2を照射してもよいし、第2電極18の先端部18aにのみ第2超音波W2を照射してもよい。また、ここでは、第2超音波W2が第1超音波W1と同じ周波数で、逆位相である場合について説明したが、これに限定されず、第1超音波W1を減衰させることができる第2超音波W2であればよい。
【0032】
1.2. 光源装置の動作
次に、光源装置100の動作について、図2及び図3を用いて説明する。
【0033】
図2に戻って、光源装置100では、放電灯駆動装置20によって放電灯10の第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aに交流電流Iを供給し、放電灯10を駆動させる。第1電極16及び第2電極18に交流電流Iを供給することによって、第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aの極性を繰り返し交替させることができる。これにより、一方の電極の温度が、他方の電極の温度と比べて、高い状態が続くことを抑制することができる。交流電流Iの周波数は、例えば、10kHz以上10MHz以下である。したがって、放電灯10の点灯周波数は、10kHz以上10MHz以下である。
【0034】
このように放電灯10の点灯周波数を比較的高い周波数にすると、放電灯10には、音響共鳴現象が発生する場合がある。放電灯10に音響共鳴現象が生じると第1電極16の先端部16a及び第2電極18の先端部18aを発生源とする第1超音波W1が発生する。
【0035】
図3に戻って、光源装置100では第1超音波W1が発生すると、超音波発生装置30は画像検出装置50から制御信号54dをうける。そして、超音波発生装置30は、第1超音波W1とは逆位相の第2超音波W2を発生させて第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aに第2超音波W2を照射する。このように超音波発生装置30が第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aに第2超音波W2を照射することにより、音響共鳴現象により生じた第1超音波W1を減衰させる。
【0036】
光源装置100は、以下の効果を有する。
(1)光源装置100によれば、超音波発生装置30が、放電灯10の音響共鳴現象により生じた第1超音波W1とは逆位相の第2超音波W2を第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aに照射している。これにより、第1超音波W1を減衰させることができる。従って、音響共鳴現象の影響を低減することができる。放電灯10に音響共鳴現象が発生すると、電極が振動して照明としての性能に悪影響を及ぼしたり、電極が破壊されたりする場合があるため望ましくない。光源装置100によれば、音響共鳴現象の影響を低減することができる為、品質良く照明することができる。さらに、電極の損傷を防止して放電灯10の寿命を長くすることができる。
【0037】
(2)光源装置100によれば、超音波発生装置30が発生させる第2超音波W2の振幅を制御している。これにより、音響共鳴現象により発生する第1超音波W1の減衰率を制御することができる。従って、音響共鳴現象の悪影響を低減しつつ、放電灯10の黒化現象を抑制でき、長寿命化及び高出力化を図ることができる。以下、詳細に説明する。
【0038】
放電灯10が駆動されると第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aが蒸発し、蒸発した電極材料が発光管の内壁に付着する場合がある。この現象を放電灯10の黒化現象という。放電灯10に黒化現象が生じると放電灯10の出力が低下して寿命が短くなる等の問題が生じる。ここで、放電灯10に音響共鳴現象によって第1超音波W1が発生すると、蒸発した電極材料が揺動して当該電極材料が発光管の内壁に付着しづらくなる。これをクリーニング効果とも称す。すなわち、音響共鳴現象により生じた第1超音波W1によって黒化現象を抑制することができる。
【0039】
光源装置100によれば、上述したように、音響共鳴現象により発生する第1超音波W1の減衰率を制御することができる。従って、例えば、第1超音波W1を消滅させないで、放電灯10の第1電極16及び第2電極18が振動しない程度、すなわち、音響共鳴現象による悪影響が及ばない程度に第1超音波W1を減衰させることができる。これにより、音響共鳴現象の悪影響を低減しつつ、放電灯10の黒化現象を抑制して、長寿命化及び高出力化を図ることができる。
【0040】
1.3. 光源装置の変形例
次に、本実施形態の変形例にかかる光源装置について、図面を参照しながら説明する。以下、本実施形態の変形例にかかる光源装置において、本実施形態にかかる光源装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
(1)第1変形例
まず、第1変形例にかかる光源装置について説明する。図4は、第1変形例にかかる超音波発生装置と画像検出装置との構成を示すブロック図である。
【0042】
実施形態1では、超音波発生装置30が1つ設置された。これに限らず、超音波発生装置30は複数設置されても良い。第1変形例にかかる光源装置では、図4に示すように、超音波発生装置30は、超音波照射部としての第1超音波発生装置30a及び超音波照射部としての第2超音波発生装置30bにより構成されている。
【0043】
画像検出装置50は演算結果に基づく制御信号54dを第1超音波発生装置30a及び第2超音波発生装置30bに出力する。第1超音波発生装置30aは制御信号54dに基づいて第1電極16の先端部16aに第2超音波W2を照射する。第2超音波発生装置30bは制御信号54dに基づいて第2電極18の先端部18aに第2超音波W2を照射する。このように、超音波発生装置30が第1超音波発生装置30a及び第2超音波発生装置30bを有することにより、第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aに効率よく第2超音波W2を照射することができる。尚、超音波発生装置30は3つ以上配置されても良い。超音波の分布をさらに細かく設定することができる。
【0044】
(実施形態2)
2.1 光源装置の構成
まず、本実施形態にかかる光源装置の構成について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、本実施形態にかかる光源装置の構成を示すブロック図である。本実施形態が実施形態1と異なる点はX線を用いて発光像Sの揺らぎを検出する点にある。尚、実施形態1と重複する構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0045】
図5(a)は放電灯10を側面側から見た図であり、図5(b)は放電灯10を中心軸AXを通る方向から見た図である。図5に示すように、光源装置200の画像検出装置50はX線照射装置50a及びX線受光部としてのX線受光装置50bを備えている。そして、放電灯10の一部を覆い放電灯10が発光する光を反射する反射鏡としてのリフレクター40が設置されている。
【0046】
放電灯10の第1端部2には、リフレクター40が固定されている。リフレクター40の反射面(放電灯10側の面)の形状は、例えば、回転楕円形状である。リフレクター40は、放電灯10が射出する放電光を中心軸AXと平行な向きである照射方向Dに向かって反射する。尚、リフレクター40の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、リフレクター40の反射面の形状として、回転放物線形状を採用してもよい。この場合、リフレクター40は、放電光を、発光管12の中心軸AXに沿った光に変換することができる。
【0047】
X線照射装置50aとX線受光装置50bは、リフレクター40の外部に配置されている。つまり、X線照射装置50aとX線受光装置50bとの間にリフレクター40が位置している。X線照射装置50aは放電灯10に向けてX線S1を照射し、X線受光装置50bは放電灯10を通過した水銀ガスの画像S2を撮影する。
【0048】
放電灯10内の気体に揺らぎが起これば発光像Sが揺らぎ、X線受光装置50bが撮影する水銀ガスの画像S2が時間的に乱れる。この水銀ガスの画像S2の乱れをX線照射装置50aとX線受光装置50bにより発光像Sの揺らぎとして、検出することができる。このとき、X線照射装置50aから照射されるX線S1と水銀ガスの画像S2は、リフレクター40を透過することができるため、X線照射装置50aとX線受光装置50bは、リフレクター40の外側から、放電灯10の発光像Sの揺らぎを検出することができる。
【0049】
図6は、超音波発生装置と画像検出装置との構成を示すブロック図である。図6に示すように、X線受光装置50bは、発光画像検出部56、演算部58を有する。X線受光装置50bは、カメラ等の撮影装置を備え、水銀ガスの画像S2を時間的に間隔を空けて撮影する。たとえば、発光画像検出部56は水銀ガスの画像S2を1秒間に数コマから数十コマ撮影する。そして、X線受光装置50bは水銀ガスの画像S2を電子画像データ56dに変換して演算部58に出力する。この電子画像データ56dを用いて演算部58は水銀ガスの画像S2が揺らいでいるかを判断する。
【0050】
たとえば、電子画像データ56dの撮影時間が異なる発光画像どうしで引き算をおこない、発光画像のぶれを算出する。そして、水銀ガスの画像S2が揺らいでいるかを判断する。このとき、必要に応じて、発光画像を2値化処理をすると、画像のノイズの影響を小さくでき、精度のよい判断ができる。水銀ガスの画像S2が揺らいでいると判断した場合には、X線受光装置50bは制御信号58dを超音波発生装置30に送る。そして、超音波発生装置30は第2超音波W2の振幅を強め、水銀ガスの画像S2が揺らがない程度に振幅を調整する。
【0051】
2.2. 光源装置の動作
次に、光源装置200の動作について、図5及び図6を用いて説明する。尚、実施形態1と重複する構成、作用及び効果については、省略する。実施形態1の光源装置100と同様に、光源装置200でも第1超音波W1が発生する。このとき、超音波発生装置30はX線受光装置50bから制御信号58dを入力する。そして、超音波発生装置30は第1超音波W1とは逆位相の第2超音波W2を発生させ、第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aに第2超音波W2を照射する。
【0052】
このように超音波発生装置30が、第1電極16の先端部16aと第2電極18の先端部18aに第2超音波W2を照射することにより、実施形態1の光源装置100と同様に、音響共鳴現象により生じた第1超音波W1を減衰させる。
【0053】
光源装置200は、例えば、以下の効果を有する。
(1)光源装置200はリフレクター40の外部に画像検出装置50としてX線照射装置50aとX線受光装置50bとを配置している。このため、放電灯10は画像検出装置50に遮られることなく、放電光を効率よく射出することができる。
【0054】
(実施形態3)
本実施形態では、実施形態1における光源装置200を活用したプロジェクターの説明をする。光源装置200に変えて実施形態1における光源装置100を活用することもできる。次に、本実施形態にかかるプロジェクター1000について、図面を参照しながら説明する。図7は、プロジェクターの構成を示す模式図である。尚、図7において、便宜上、放電灯駆動装置20、超音波発生装置30、及びプロジェクター1000を構成する筐体の図示は省略している。
【0055】
プロジェクター1000は、図示しないスクリーンへ光を投写し、スクリーンで反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクターである。プロジェクター1000は、光源装置200と、平行化レンズ102と、照明光学系110と、色分離光学系120と、3つの光変調装置130R,130G,130Bと、クロスダイクロイックプリズム140と、投写装置としての投写レンズ150とを有している。
【0056】
プロジェクター1000は、光源装置200を備えている。光源装置200は、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を含む光を射出する。光源装置200からの光は、平行化レンズ102を通過して照明光学系110に入射する。この平行化レンズ102は、光源装置200からの光を、平行化する。平行化レンズ102は、例えば、凹レンズにて構成される。
【0057】
照明光学系110は、光源装置200からの光の照度を均一化する。また、照明光学系110は、光源装置200からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源装置200からの光を光変調装置130R,130G,130Bで有効に利用するためである。
【0058】
照明光学系110は、第1インテグレータレンズ112と、第2インテグレータレンズ114と、偏光変換素子116と、重畳レンズ118と、を有している。
【0059】
第1インテグレータレンズ112及び第2インテグレータレンズ114はアレイ状に配列された複数のレンズ素子を有する。第1インテグレータレンズ112は、平行化レンズ102からの光束を複数に分割する。第1インテグレータレンズ112の各レンズ素子は、平行化レンズ102からの光束を第2インテグレータレンズ114のレンズ素子近傍に集光させる。第2インテグレータレンズ114のレンズ素子は第1インテグレータレンズ112のレンズ素子の像を光変調装置130R,130G,130B上に形成する。
【0060】
第1インテグレータレンズ112及び第2インテグレータレンズ114を経た光は、偏光変換素子116で特定の振動方向の直線偏光に変換される。重畳レンズ118は、第1インテグレータレンズ112の各レンズ素子の像を光変調装置130R,130G,130B上に重畳させる。第1インテグレータレンズ112、第2インテグレータレンズ114、及び重畳レンズ118は、光源装置200からの光の強度分布を光変調装置130R,130G,130B上で均一化させる。重畳レンズ118からの光は色分離光学系120の第1ダイクロイックミラー121に入射される。
【0061】
色分離光学系120は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。色分離光学系120は、第1ダイクロイックミラー121と、反射ミラー122,126,128と、フィールドレンズ123R,123G,123Bと、第2ダイクロイックミラー124と、リレーレンズ125,127と、を有している。
【0062】
第1ダイクロイックミラー121はR光を反射しG光及びB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー121へ入射した赤色光(R光と称す)は、第1ダイクロイックミラー121及び反射ミラー122における反射により光路が折り曲げられる。そして、R光はR光用フィールドレンズ123Rへ入射する。R光用フィールドレンズ123Rは、反射ミラー122からのR光を平行化し、R光用光変調装置130Rへ入射させる。
【0063】
第1ダイクロイックミラー121を透過した緑色光(G光と称す)及び青色光(B光と称す)は、第2ダイクロイックミラー124へ入射する。第2ダイクロイックミラー124は、G光を反射し、B光を透過させる。第2ダイクロイックミラー124へ入射したG光は、第2ダイクロイックミラー124での反射により光路が折り曲げられ、G光用フィールドレンズ123Gへ入射する。G光用フィールドレンズ123Gは、第2ダイクロイックミラー124からのG光を平行化し、G光用光変調装置130Gへ入射させる。
【0064】
第2ダイクロイックミラー124を透過したB光は、リレーレンズ125を透過した後、反射ミラー126での反射により光路が折り曲げられる。反射ミラー126からのB光は、さらにリレーレンズ127を透過した後、反射ミラー128での反射により光路が折り曲げられ、B光用フィールドレンズ123Bへ入射する。B光用フィールドレンズ123Bは、反射ミラー128からのB光を平行化し、B光用光変調装置130Bへ入射させる。R光の光路及びG光の光路よりもB光の光路が長いことから、光変調装置における照明倍率を他の色光と等しくするために、B光の光路には、リレーレンズ125,127を用いるリレー光学系が採用されている。
【0065】
R光用光変調装置130Rは、R光を画像情報に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用光変調装置130Rに設けられた液晶パネルは、2つの透明基板の間に、光を画像情報に応じて変調するための液晶層を封入している。R光用光変調装置130Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム140へ入射する。
【0066】
G光用光変調装置130Gは、G光を画像情報に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用光変調装置130Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム140のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0067】
B光用光変調装置130Bは、B光を画像情報に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用光変調装置130Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム140のうちR光が入射する面、G光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0068】
クロスダイクロイックプリズム140は、互いに略直交する第1ダイクロイック膜142及び第2ダイクロイック膜144を有する。第1ダイクロイック膜142は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜144は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム140は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ150の方向へ射出する。投写レンズ150は、クロスダイクロイックプリズム140で合成された光をスクリーンの方向へ投写する。
【0069】
プロジェクター1000によれば、音響共鳴現象の影響を低減できる光源装置200を有するため、良好な画像を得ることができる。
【0070】
尚、プロジェクター1000は、光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いてもよい。プロジェクター1000は、色光ごとに光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクター1000は、1つの光変調装置により2つまたは3つ以上の色光を変調する構成としてもよい。プロジェクター1000は、光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクター1000は、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクターであってもよい。
【0071】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0072】
16…電極としての第1電極、18…電極としての第2電極、30…超音波照射部としての超音波発生装置、30a…超音波照射部としての第1超音波発生装置、30b…超音波照射部としての第2超音波発生装置、40…反射鏡としてのリフレクター、50…揺らぎ検出部としての画像検出装置、50a…X線照射装置、50b…X線受光部としてのX線受光装置、100,200…光源装置、130B…光変調装置としてのB光用光変調装置、130G…光変調装置としてのG光用光変調装置、130R…光変調装置としてのR光用光変調装置、150…投写装置としての投写レンズ、1000…プロジェクター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が充填した放電灯内の複数の電極間で放電し発光する光源装置であって、
前記気体を撮像し前記発光の揺らぎを検出する揺らぎ検出部と、
前記電極に超音波を照射する超音波照射部と、を有し、
前記超音波照射部は前記放電灯内の気体が揺らがない範囲で超音波を照射することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置おいて、
前記放電灯の一部を覆い、前記放電灯が発光する光を反射する反射鏡をさらに有し、
前記揺らぎ検出部はX線発生装置とX線受光部とを有し、
前記X線発生装置と前記X線受光部との間に前記反射鏡が位置することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置によって形成された画像を投写する投写装置とを含むことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−190683(P2012−190683A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54026(P2011−54026)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】