光源装置及び画像表示装置並びに光量補正方法
【課題】光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことで光量補正精度を高めることが可能な光源装置を提供する。
【解決手段】光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置であって、前記光源の光量を測定する光量測定手段と、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記光量測定手段によって測定された光量との差を光量誤差として算出し、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正すると共に、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する光量補正手段とを具備する。
【解決手段】光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置であって、前記光源の光量を測定する光量測定手段と、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記光量測定手段によって測定された光量との差を光量誤差として算出し、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正すると共に、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する光量補正手段とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び画像表示装置並びに光量補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の一形態として、レーザ光などのビーム状の光を被投射面上でラスタースキャンして画像を表示するレーザスキャンディスプレイが注目されている。このようなレーザスキャンディスプレイは、レーザ光の供給を停止することで完全な黒を表現できるため、例えば液晶ライトバルブを用いたプロジェクタ等と比べてコントラストが非常に高く、また、レーザ光が単一波長であるために色純度が高く、コヒーレンスが高いためにビームを整形しやすい(絞りやすい)等の特徴を有することから、高コントラスト、高色再現性及び高解像度を実現する高画質ディスプレイとして期待されている。
【0003】
レーザスキャンディスプレイのレーザ光源としては、主にレーザダイオード等の半導体
レーザ素子が用いられているが、このような半導体レーザ素子は、温度変化や経年劣化な
どにより、そのレーザ特性が変化するため、所望の画像輝度を得られるようにレーザ光量を補正する必要がある。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、半導体レーザ素子のバイアス電流値を2点以上変化させ
て、半導体レーザ素子の発光パワーを受光パワー検出手段によって検出し、半導体レーザ
素子の閾値電流値と量子効率の変化等を検出することで、半導体レーザ素子の直流バイア
ス電流をバイアス電流制御手段に設定し、また、量子効率の変化等に対応したパルス電流
をパルス電流制御手段に設定することでレーザ出力のレベルを一定に保持する技術が開示
されている。また、下記特許文献2には、レーザ光源の検出光量と光出力の設定値との関係式を自動的に算出し、光記録媒体ドライブ装置にこの関係式のデータを設定して、レーザ光源の出力レベルを調整する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−147446号公報
【特許文献2】特開2003−91853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、温度変化や経年劣化に起因するレーザ特性の変化に応じてレーザ光量の補正を行う場合において、より補正精度を高めるためには、実際に装置を動作させながらリアルタイムにレーザ特性の変化に応じた光量補正を行うことが望ましいが、上記の従来技術ではその手段が提示されていなかった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことで光量補正精度を高めることが可能な光源装置、及び当該光源装置を備える画像表示装置、並びに光量補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置であって、前記光源の光量を測定する光量測定手段と、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記光量測定手段によって測定された光量との差を光量誤差として算出し、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正すると共に、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する光量補正手段と、を具備することを特徴とする。
このような特徴を有する光源装置によれば、光源を駆動させながら、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と測定された光量との差である光量誤差を算出し、光源特性パラメータの1つである微分効率を前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正すると共に、同じく光源特性パラメータの1つである駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力するので、動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができる。
【0008】
また、上述した光源装置において、前記駆動信号生成手段は、外部から入力される階調データが示す階調値と前記光量補正手段から入力される階調電流指令信号とを基に、前記階調値に応じた階調電流を生成する階調電流生成手段と、前記光量補正手段から入力される閾値電流指令信号に応じた閾値電流を生成する閾値電流生成手段と、前記階調電流と前記閾値電流との加算電流を前記駆動信号として前記光源に供給する電流加算手段と、を備え、前記光量補正手段は、前記補正後の微分効率として前記微分効率に対応する第1の変数の今回値を、当該第1の変数の前回値から前記光量誤差と前記階調値との積の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第1の変数の今回値に応じた前記階調電流指令信号を前記階調電流生成手段に出力すると共に、前記補正後の閾値として前記閾値に対応する第2の変数の今回値を、当該第2の変数の前回値から前記光量誤差の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第2の変数の今回値に応じた前記閾値電流指令信号を前記閾値電流生成手段に出力する、ことが好ましい。
このような構成を採用することにより、光源を駆動させながら、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と測定された光量との差である光量誤差を最小化するような第1の変数及び第2の変数を逐次的に求めて、その第1の変数及び第2の変数を基に得られた、微分効率を補正することのできる階調電流指令信号と、閾値電流を補正することのできる閾値電流指令信号を駆動信号生成手段に出力することにより、動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができる。
【0009】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、前記光量誤差と前記階調値との積を算出する際に使用する階調値として、当該階調値の平均値、または予め設定された階調値、または最小階調値から最大階調値までの中間値、と当該階調値との差を使用することが好ましい。
これにより、光量誤差の積算値と、光量誤差と階調値との積の積算値が、ほぼ零となってしまうような、目標光量と測定光量とのズレが生じた場合であっても、光量誤差と階調値との積の積算値が零となることを防止することができ、光量補正手段における補正動作の停止を防止することができる。
【0010】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める際に、過去の光量誤差と階調値との積の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算すると共に、前記光量誤差の積算値を求める際に、過去の光量誤差の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算することが好ましい。
光量誤差の積算値と、光量誤差と階調値との積の積算値を計算する際、直近のデータ(光量誤差と階調値との積の値)を重視することが望ましいため、上記のように、過去のデータから順次忘却されるような重み付け定数を乗算することにより、直近のデータを基にした光量補正を行うことができ、光量補正精度の向上を図ることができる。
【0011】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、電源投入時において、前記光量測定手段が有する測定光量のオフセットを補正するための初期設定動作として、前記光源を完全に消灯するための、前記階調電流指令信号、前記閾値電流指令信号及び階調データを前記駆動信号生成手段に出力した際の前記測定光量を黒レベル光量として取得した後、前記閾値電流指令信号を増加して前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が所定の明るさを規定する第1の設定光量に到達した場合、前記閾値電流指令信号を減少させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が黒レベルと看做される第2の設定光量に到達した場合の前記閾値電流指令信号を当該閾値電流指令信号の初期値として設定する一方、最大階調値を示す階調データを前記駆動信号生成手段に出力し、前記階調電流指令信号を増加させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が最大目標発光量を規定する第3の設定光量に到達した場合の前記階調電流指令信号を当該階調電流指令信号の初期値として設定することが好ましい。
これにより、光量測定手段が有する測定光量のオフセットを補正した階調電流指令信号及び閾値電流指令信号の初期値を得ることができ、光量補正精度の向上を図ることができる。
【0012】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、前記初期設定動作によって求めた前記閾値電流指令信号の初期値を、初回の前記第2の変数の今回値を求める際の前記第2の変数の前回値として使用すると共に、前記階調電流指令信号の初期値を、初回の前記第1の変数の今回値を求める際の前記第1の変数の前回値として使用することが好ましい。
これにより、初回の第2の変数の今回値及び第1の変数の今回値を精度良く求めることができる。
【0013】
一方、本発明に係る画像表示装置は、被投射面上に光を走査して画像を表示する画像表示装置であって、上述した光源装置と、前記光源装置における光源から発生する光を前記被投射面上に走査する走査手段と、外部から供給される映像信号を基に、表示すべき画像を表す前記階調データを生成すると共に、前記被投射面上における前記光の照射位置に応じた階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力する映像信号処理手段と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を有する画像表示装置によれば、表示動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができ、表示品質の向上を図ることができる。
【0014】
また、上述した画像表示装置において、前記被投射面上に光を走査しない期間において、前記映像信号処理手段は、所定の階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力し、前記光量補正手段は、前記光量測定手段によって測定された、前記所定の階調データに応じた光源の光量と、前記所定の階調データが示す階調値とに基づいて前記補正を行うことが好ましい。
表示動作中に階調値に偏りが発生し、例えば非常に暗い画像があると正常に光量補正を行えない可能性がある。この対策として、上記のように、被投射面上に光を走査しない期間、つまり、画像表示を行わない期間に、映像信号処理手段により所定の階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力して光源を発光させ、前記光量補正手段により光量補正動作を行うことにより、問題なく光量補正を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明に係る光量補正方法は、光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置に用いられる光量補正方法であって、前記光源の光量を測定する第1の工程と、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記第1の工程によって測定された光量との差を光量誤差として算出する第2の工程と、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める第3の工程と、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正する第4の工程と、前記光量誤差の積算値を求める第5の工程と、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正する第6の工程と、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する第7工程と、を有することを特徴とする。
このような特徴を有する光量補正方法によると、動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置LSDの構成ブロック図である。なお、本画像表示装置LSDとして、スクリーン(被投射面)100上にレーザ光を走査して画像を表示するレーザスキャンディスプレイを例示して説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る画像表示装置LSDは、映像信号処理回路10、赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G、青色レーザドライバ20B、赤色レーザダイオード30R、緑色レーザダイオード30G、青色レーザダイオード30B、光軸合わせ用光学系40、レーザ走査部50、走査駆動部60、照射位置検出部70、画素同期クロック発生回路80、光電変換素子90、I/V変換器91、A/D変換器92、光量補正回路93、D/A変換器94及び95を備えている。
【0018】
上記の構成要素の内、赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G、青色レーザドライバ20B、赤色レーザダイオード30R、緑色レーザダイオード30G、青色レーザダイオード30B、光電変換素子90、I/V変換器91、A/D変換器92、光量補正回路93、D/A変換器94及び95は、本発明における光源装置を構成するものである。さらに、光電変換素子90、I/V変換器91及びA/D変換器92は、本発明における光量測定手段を構成するものである。
なお、光電変換素子90、I/V変換器91、A/D変換器92、光量補正回路93、D/A変換器94及び95から成る補正系回路ブロックは、赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G、青色レーザドライバ20Bの各ドライバに対応して(つまり各色に対応して)設けられているものであるが、図1では説明の便宜上、赤色レーザドライバ20Rに対応する補正系回路ブロックのみを代表的に図示している。
【0019】
映像信号処理回路(映像信号処理手段)10は、例えばノート型パソコン等の外部の画像供給装置(図示せず)から送信される映像信号及び同期信号(垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync)を入力とし、当該映像信号及び同期信号を基に表示すべき画像の各画素に対応する階調値を規定するデジタル階調データを生成し、当該デジタル階調データを1フレーム単位で内部メモリに格納する。本実施形態では、説明の便宜上、デジタル階調データのビット数Nを4とする。つまり、本画像表示装置LSDは、「0」〜「15」までの16階調(4096色)の画像表示が可能である。
【0020】
また、この映像信号処理回路10は、照射位置検出部70から入力される、1フレームの開始を規定するパルス状のフレームタイミング信号Ftと、1水平走査期間の開始及び終了を規定するパルス状の走査タイミング信号Stとを基に、内部メモリに格納されているデジタル階調データの読み出しを行うと共に、画素同期クロック発生回路80から入力される、1水平走査期間における各画素に対応するレーザ光の照射タイミングを規定するパルス状の画素同期クロック信号CLに同期して、レーザ光の照射位置に対応する画素のデジタル階調データを赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G及び青色レーザドライバ20Bに出力する。より具体的には、映像信号処理回路10は、レーザ光の照射位置に対応する画素が赤色用画素の場合、当該赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20Rに出力し、レーザ光の照射位置に対応する画素が緑色用画素の場合、当該緑色画素用の緑色階調データDGを緑色レーザドライバ20Gに出力し、また、レーザ光の照射位置に対応する画素が青色用画素の場合、当該青色画素用の青色階調データDBを青色レーザドライバ20Bに出力する。また、この映像信号処理回路10は、上記赤色階調データDRを赤色用の補正系回路ブロックの光量補正回路93に出力し、緑色階調データDGを緑色用の補正系回路ブロックの光量補正回路(図示せず)に出力し、青色階調データDBを青色用の補正系回路ブロックの光量補正回路(図示せず)に出力する。
【0021】
赤色レーザドライバ(駆動信号生成手段)20Rは、上記赤色階調データDRと、光量補正回路93からD/A変換器94を介して出力される閾値電流指令電圧Vapc1と、光量補正回路93からD/A変換器95を介して出力される階調電流指令電圧Vapc2とを入力とし、これら閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を用いて赤色階調データDRに応じたレーザ駆動電流IRを生成して、赤色レーザダイオード30Rに出力する。以下、この赤色レーザドライバ20Rの詳細な構成について説明する。
【0022】
図2は、赤色レーザドライバ20Rの構成ブロック図である。この図2に示すように、赤色レーザドライバ20Rは、階調電流生成部200、閾値電流生成部201、電流加算部202から構成されている。
【0023】
階調電流生成部(階調電流生成手段)200は、赤色階調データDRの示す階調値Dと、階調電流指令電圧Vapc2と係数H1との積である階調電流Id(=H1・Vapc2・D)を生成し、当該階調電流Idを電流加算部202に出力する。閾値電流生成部(閾値電流生成手段)201は、閾値電流指令電圧Vapc1と係数H2との積である閾値電流Ith(=H2・Vapc1)を生成し、当該閾値電流Ithを電流加算部202に出力する。電流加算部(電流加算手段)202は、上記の階調電流Idと閾値電流Ithとを加算し、当該加算電流をレーザ駆動電流IR(=Id+Ith)として赤色レーザダイオード30Rに出力する。
【0024】
図3に、上記のような構成の赤色レーザドライバ20Rの具体的な回路構成図を示す。この図3に示すように、赤色レーザドライバ20Rは、第1の電流源CS1、第2の電流源CS2、第1の入力側トランジスタTi1、第2の入力側トランジスタTi2、第1の出力側トランジスタTo1、第2の出力側トランジスタTo2、第3の出力側トランジスタTo3、第4の出力側トランジスタTo4、第5の出力側トランジスタTo5、第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2、第3のスイッチ素子SW3及び第4のスイッチ素子SW4から構成することができる。
【0025】
第1の電流源CS1は、階調電流指令電圧Vapc2を入力とし、階調電流指令電圧Vapc2と係数H1との積である電流Is(=H1・Vapc2)を生成する可変利得型の定電流源であり、その入力端子は電源ラインVccに接続され、出力端子は第1の入力側トランジスタTi1のドレイン端子及びゲート端子に接続されている。
【0026】
第1の入力側トランジスタTi1は、nチャネル型のMOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ドレイン端子は第1の電流源CS1の出力端子に接続され、ゲート端子は第1の電流源CS1の出力端子と第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0027】
第1の出力側トランジスタTo1は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第1のスイッチ素子SW1の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1と第2の出力側トランジスタTo2〜第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0028】
第2の出力側トランジスタTo2は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第2のスイッチ素子SW2の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1、第3の出力側トランジスタTo3及び第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0029】
第3の出力側トランジスタTo3は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第3のスイッチ素子SW3の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1、第2の出力側トランジスタTo2及び第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0030】
第4の出力側トランジスタTo4は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第4のスイッチ素子SW4の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1〜第3の出力側トランジスタTo3のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0031】
つまり、第1の電流源CS1、第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4によって、第1の入力側トランジスタTi1を入力側のトランジスタとし、第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4を出力側のトランジスタとするカレントミラー回路が構成されている。ここで、本実施形態では、第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4の電気的特性を、各々に対応するビットデータに応じた電流を生成するように設定する。
【0032】
具体的には、第1の出力側トランジスタTo1は、4ビットの赤色階調データDRの内、LSBである1ビット目のビットデータB1に対応しており、第1の電流源CS1によって生成される電流Isの1/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。また、第2の出力側トランジスタTo2は、4ビットの赤色階調データDRの内、2ビット目のビットデータB2に対応しており、電流Isの2/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。また、第3の出力側トランジスタTo3は、4ビットの赤色階調データDRの内、3ビット目のビットデータB3に対応しており、電流Isの4/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。また、第4の出力側トランジスタTo4は、4ビットの赤色階調データDRの内、MSBである4ビット目のビットデータB4に対応しており、電流Isの8/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。
【0033】
第1のスイッチ素子SW1は、4ビットの赤色階調データDRの内、LSBである1ビット目のビットデータB1に対応し、当該ビットデータB1の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第1の出力側トランジスタTo1のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB1が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0034】
第2のスイッチ素子SW2は、4ビットの赤色階調データDRの内、2ビット目のビットデータB2に対応し、当該ビットデータB2の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第2の出力側トランジスタTo2のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB2が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0035】
第3のスイッチ素子SW3は、4ビットの赤色階調データDRの内、3ビット目のビットデータB3に対応し、当該ビットデータB3の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第3の出力側トランジスタTo3のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB3が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0036】
第4のスイッチ素子SW4は、4ビットの赤色階調データDRの内、MSBである4ビット目のビットデータB4に対応し、当該ビットデータB4の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第4の出力側トランジスタTo4のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB4が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0037】
第2の電流源CS2は、閾値電流指令電圧Vapc1を入力とし、閾値電流指令電圧Vapc1と係数H2との積である閾値電流Ith(=H2・Vapc1)を生成する可変利得型の定電流源であり、その入力端子は第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4の他方の端子と第2の入力側トランジスタTi2のドレイン端子及びゲート端子に接続され、出力端子はグランドラインに接続されている。
【0038】
第2の入力側トランジスタTi2は、pチャネル型のMOSトランジスタであり、ソース端子は電源ラインVccに接続され、ゲート端子はドレイン端子と第5の出力側トランジスタTo5のゲート端子に接続され、ドレイン端子は第2の電流源CS2の入力端子と第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4の他方の端子に接続されている。
【0039】
第5の出力側トランジスタTo5は、pチャネル型のMOSトランジスタであり、ソース端子は電源ラインVccに接続され、ゲート端子は第2の入力側トランジスタTi2のゲート端子及びドレイン端子に接続され、ドレイン端子は赤色レーザダイオード30Rのアノード端子に接続されている。
【0040】
つまり、第2の入力側トランジスタTi2と第5の出力側トランジスタTo5は、第2の入力側トランジスタTi2を入力側、第5の出力側トランジスタTo5を出力側とするカレントミラー回路を構成しており、第2の電流源CS2が生成する閾値電流Ithと第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4の他方の端子に流れる電流(階調電流Id)との加算電流を入力とし、当該加算電流と略同一の電流値を有する電流をレーザ駆動電流IRとして赤色レーザダイオード30Rに出力する。
【0041】
図4は、赤色レーザダイオード30Rのレーザ光量とレーザ駆動電流IRとの関係を示すレーザ特性図である。この図4に示すように、レーザ駆動電流IRが閾値電流Ith以下では極めて微弱なレーザ光量となるが、レーザ駆動電流IRが閾値電流Ithより大きくなると、レーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた電流値(階調電流Id)に比例してレーザ光量は増大する。
【0042】
具体的に説明すると、例えば、赤色階調データDRが階調値「0」、つまりビットデータB1〜B4が全て「0」である場合、第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4は全て非接続状態になるため、階調電流Id=0となり、レーザ駆動電流IR=Ithとなる。この場合、図4に示すように、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ光は発生しない(つまり黒表示)。また、赤色階調データDRが階調値「1」、つまりビットデータB1が「1」でB2〜B4が「0」である場合、第1のスイッチ素子SW1だけ接続状態になるため、階調電流Id=Is/15となり、レーザ駆動電流IR=Ith+Is/15となる。この場合、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた階調電流Id=Is/15に応じた光量のレーザ光が発生する。
【0043】
また、赤色階調データDRが階調値「2」、つまりビットデータB2が「1」でB1、B3、B4が「0」である場合、第2のスイッチ素子SW2だけ接続状態になるため、階調電流Id=2・Is/15となり、レーザ駆動電流IR=Ith+2・Is/15となる。この場合、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた階調電流Id=2・Is/15に応じた光量のレーザ光が発生する。
【0044】
このように、階調値が「1」増す毎に、レーザ駆動電流IRはIs/15ずつ増大し、最大階調値「15」の場合、つまりビットデータB1〜B4が全て「1」である場合、第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4は全て接続状態になるため、階調電流Id=Isとなり、レーザ駆動電流IR=Ith+Isとなる。この場合、図4に示すように、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた階調電流Id=Isに応じた光量(最大階調値に対応する光量)のレーザ光が発生することになる。
すなわち、階調電流Idは、階調電流指令電圧Vapc2だけでなく、赤色階調データDRが示す階調値Dにも依存するため、Id=H1・Vapc2・Dと表すことができる。
【0045】
ところで、図4からわかるように、レーザ特性には温度依存性があり、温度変化によって閾値電流Ithは変化する。また、レーザ特性の傾き(電流変化量ΔIに対する光量変化量ΔP)も温度変化によって変化する。なお、以下では、このレーザ特性の傾きを微分効率η(=ΔP/ΔI)と表現する。すなわち、詳細は後述するが、レーザ特性の変化に応じて光量補正を行うためには、閾値電流Ithと微分効率ηを補正すれば良いことになる。
【0046】
以上が赤色レーザドライバ20Rの説明であり、以下では図1に戻って説明する。緑色レーザドライバ(駆動信号生成手段)20Gは、上記緑色階調データDGと、緑色用の補正系回路ブロック(図示せず)から出力される閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を入力とし、これら閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を用いて緑色階調データDGに応じたレーザ駆動電流IGを生成して、緑色レーザダイオード30Gに出力する。青色レーザドライバ(駆動信号生成手段)20Bは、上記青色階調データDBと、青色用の補正系回路ブロック(図示せず)から出力される閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を入力とし、これら閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を用いて青色階調データDBに応じたレーザ駆動電流IBを生成して、青色レーザダイオード30Bに出力する。
なお、これら緑色レーザドライバ20G及び青色レーザドライバ20Bの詳細な構成は、図2及び図3に示す赤色レーザドライバ20Rと同様であるので説明を省略する。
【0047】
赤色レーザダイオード(光源)30Rは、赤色レーザドライバ20Rから供給されるレーザ駆動電流IRに応じて赤色単色のレーザ光LRを発生し、当該レーザ光LRを光軸LA上に設けられた光軸合わせ用光学系40(詳細には第1のダイクロイックミラー40a)に向けて照射する。本実施形態では、図1に示すように、水平面と略平行な方向をX軸、水平面においてX軸に直交する方向をY軸、水平面(XY平面)に略垂直な方向をZ軸と設定し、上記光軸LAは、X軸と略平行に設定されているものとする。なお、レーザ光LRの出射光軸は光軸LAと一致している。
【0048】
緑色レーザダイオード(光源)30Gは、緑色レーザドライバ20Gから供給されるレーザ駆動電流IGに応じて緑色単色のレーザ光LGを発生し、当該レーザ光LGを光軸合わせ用光学系40(詳細には第1のダイクロイックミラー40a)に向けてY軸に沿って照射する。青色レーザダイオード(光源)30Bは、青色レーザドライバ20Bから供給されるレーザ駆動電流IBに応じて緑色単色のレーザ光LBを発生し、当該レーザ光LBを光軸合わせ用光学系40(詳細には第2のダイクロイックミラー40b)に向けてY軸に沿って照射する。
【0049】
光軸合わせ用光学系40は、レーザ光LR、LG及びLBの光軸合わせを行うための光学系であり、第1のダイクロイックミラー40a及び第2のダイクロイックミラー40bから構成されている。第1のダイクロイックミラー40aは、光軸LAに対して45°の傾斜を持って光軸LA上に設置されており、レーザ光LRを光軸LAに沿って第2のダイクロイックミラー40bに向けて透過する一方、レーザ光LGを光軸LAに一致するように第2のダイクロイックミラー40bに向けて反射する。第2のダイクロイックミラー40bは、光軸LAに対して45°の傾斜を持って光軸LA上に設置されており、レーザ光LR及びレーザ光LGを光軸LAに沿ってレーザ走査部50に向けて透過する一方、レーザ光LBを光軸LAに一致するようにレーザ走査部50に向けて反射する。
【0050】
レーザ走査部(走査手段)50は、共振型のMEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナであり、走査駆動部60から入力される走査駆動信号に基づいて、光軸合わせ用光学系40を介して入射されるレーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100上に走査する。以下、このレーザ走査部50の詳細な構成について説明する。
【0051】
図5は、MEMSスキャナであるレーザ走査部50の構成概略図である。この図5に示すように、レーザ走査部50は、反射ミラー50a、第1のトーションバネ50b、内枠部50c、第2のトーションバネ50d及び外枠部50eから構成されている。なお、これら反射ミラー50a、第1のトーションバネ50b、内枠部50c、第2のトーションバネ50d及び外枠部50eは、単結晶シリコン等の半導体材料を微細加工することにより一体形成されたものである。
【0052】
反射ミラー50aは、反射面側にレーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100に向けて反射するため反射膜が形成された板状物であり、反射面に沿った第1の軸AX1(XY面が水平面の場合は、水平面に略垂直)に沿って設けられた第1のトーションバネ(第1の回転支持部)50bによって内枠部50cと連結されている。つまり、この反射ミラー50aは、第1のトーションバネ50bによって第1の軸AX1回りに回転可能に支持されている。反射ミラー50aの形状は、図5に示すような正方形でも良いし、または、円形や楕円形でも良い。
【0053】
内枠部50cは、額縁形の板状物であり、第1のトーションバネ50bによって反射ミラー50aと連結されていると共に、反射面に沿い、かつ、前記第1の軸AX1に略直交する第2の軸AX2(XY面が水平面の場合は、水平面に略平行)に沿って設けられた第2のトーションバネ(第2の回転支持部)50dによって外枠部50eと連結されている。つまり、この内枠部50c(反射ミラー50a)は、第2のトーションバネ50dによって第2の軸AX2回りに回転可能に支持されている。外枠部50eは、額縁形の板状物であり、第2のトーションバネ50dによって内枠部50cと連結されていると共に、図示しない固定部に連結されている。なお、本実施形態では、光軸LAがX軸と平行になるように設定しているので、第2の軸AX2をX軸と平行に設定すると、レーザ光LR、LG及びLBが外枠部50eによって遮光され、反射ミラー50aに入射しなくなる。これを防ぐため、本実施形態では、図5に示すように、第2の軸AX2が光軸LA(X軸)に対して傾きφを有するようにレーザ走査部50を配置する。
【0054】
このような構成のレーザ走査部50は、反射ミラー50aを第1の軸AX1回りに回転させることにより、レーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100上のX軸方向に走査(つまり水平方向走査)し、また、反射ミラー50a(内枠部50c)を第2の軸AX2回りに回転させることにより、レーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100上のZ軸方向に走査(つまり垂直方向走査)する。なお、反射ミラー50aを回転させる駆動方式としては、特開2007−47354号公報に記載されているように、所定の位置に配置された電極に走査駆動信号として電圧信号を印加することにより発生する静電力を利用する方式を採用しても良いし、その他、永久磁石を設けて磁場を形成し、反射ミラー50aや内枠部50cに設けたコイルに走査駆動信号として電流信号を流すことにより発生するローレンツ力を利用する方式を採用しても良い。このようなMEMSスキャナにおける反射ミラー50aの駆動方式については、公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0055】
図1に戻って説明を続けると、走査駆動部60は、同期信号(垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync)を入力とし、これら垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsyncに基づいて、レーザ走査部50の反射ミラー50aを回転駆動するための走査駆動信号を生成してレーザ走査部50に出力する。
【0056】
照射位置検出部70は、レーザ光LR、LG及びLBのスクリーン100上における照射位置を検出するものであり、水平角度センサ70a、垂直角度センサ70b及びタイミング信号発生回路70cから構成されている。水平角度センサ70aは、反射ミラー50aの第1の軸AX1回りの回転角θ1を検出し、当該回転角θ1を示す水平角度検出信号をタイミング信号発生回路70cに出力する。垂直角度センサ70bは、反射ミラー50aの第2の軸AX2回りの回転角θ2を検出し、当該回転角θ2を示す垂直角度検出信号をタイミング信号発生回路70cに出力する。これら水平角度センサ70a及び垂直角度センサ70bとしては、反射ミラー50aの裏面(レーザ光の反射面の反対側の面)に光を照射し、裏面によって反射された光を受光することで角度を検出する光方式の角度センサを用いる。
【0057】
図6に示すように、水平角度センサ70aが検出する回転角θ1とは、XY平面におけるY軸に対する反射ミラー50aの角度である。また、図6に示すように、幅Wを有するスクリーン100の中央点C0からX軸方向に距離Xだけ離れた位置をレーザ光の照射位置Qとすると、照射位置Qの水平走査方向の座標Qxは、反射ミラー50aとスクリーン100との間の距離dがわかっていれば、回転角θ1の関数で表される。一方、垂直角度センサ70bが検出する回転角θ2とは、YZ平面におけるY軸に対する反射ミラー50aの角度であり、照射位置Qの垂直走査方向の座標Qyは回転角θ2の関数で表される。
つまり、反射ミラー50aの回転角θ1及び回転角θ2を検出すれば、照射位置Q(Qx、Qy)を一義的に求めることができる。
【0058】
タイミング信号発生回路70cは、上記の回転角θ1を示す水平角度検出信号を基に、1水平走査期間の開始及び終了を規定するパルス状の走査タイミング信号Stを生成して映像信号処理回路10及び画素同期クロック発生回路80に出力する。また、このタイミング信号発生回路70cは、上記の回転角θ2を示す垂直角度検出信号を基に、1フレームの開始を規定するパルス状のフレームタイミング信号Ftを生成して映像信号処理回路10に出力する。
【0059】
具体的には、タイミング信号発生回路70には、上述した反射ミラー50aの回転角θ1及び回転角θ2と照射位置Qとの一義的な関係を基に、1水平走査期間の開始位置及び終了位置に相当する照射位置Qに応じた回転角θ1と、1フレームの開始位置に相当する照射位置Qに応じた回転角θ2とが予め設定されており、タイミング信号発生回路70は、水平角度検出信号が示す回転角θ1が予め設定された回転角θ1と一致した場合に走査タイミング信号Stを出力し、また、垂直角度検出信号が示す回転角θ2が予め設定された回転角θ2と一致した場合にフレームタイミング信号Ftを出力する。
【0060】
画素同期クロック発生回路80は、走査タイミング信号Stを入力とし、当該走査タイミング信号Stを基に、1水平走査期間における各画素に対応するレーザ光LR、LG及びLBの照射タイミングを規定するパルス状の画素同期クロック信号CLを生成して映像信号処理回路10及び光量補正回路93に出力する。なお、この画素同期クロック信号CLは、各色に対応する補正系回路ブロックの光量補正回路に出力される。
【0061】
光電変換素子90は、例えばフォトダイオードであり、受光面を光軸LAに向けて配置され、レーザ光LRの光量に応じた電流信号をI/V変換器91に出力する。I/V変換器91は、上記光電変換素子90から入力される電流信号を電圧信号に変換してA/D変換器92に出力する。A/D変換器92は、上記I/V変換器91から入力される電圧信号をデジタルデータ(光量測定データ)Dpdに変換して光量補正回路93に出力する。
【0062】
ここで、光量補正回路(光量補正手段)93の詳細な構成を説明するに当たって、その前提となる本実施形態における光量補正の原理について説明する。
今、目標光量TをT=M・Dと表し、実際のレーザ光量PをP=a・D+bと表すものとする。ここで、Dは各色の階調データが示す階調値、Mは係数、a及びbは変数(aは第1の変数、bは第2の変数)である。
【0063】
図7(a)に示すように、ある階調値Dkに対応する目標光量をTk、レーザ光量をPkとすると、PkとTkとの差は光量誤差δkで表される。この光量誤差δkを最小化するように閾値電流指令値Dapc1及び階調電流指令値Dapc2を設定することが、本実施形態における光量補正の基本的な考え方である。
【0064】
図7(b)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数bが大きくなった場合、図7(c)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数bが小さくなった場合、図7(d)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数aが大きくなった場合、図7(e)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数aが小さくなった場合を示したものである。変数bは閾値電流Ithに対応する変数であり、変数aは微分効率ηに対応する変数であるので、図7(b)及び(c)の場合は閾値電流Ithを補正し、図7(d)及び(e)の場合は微分効率ηを補正すれば良いことがわかる。つまり、閾値電流指令値Dapc1によって閾値電流Ithを補正し、階調電流指令値Dapc2によって微分効率ηを補正する。
【0065】
上記のように、閾値電流指令値Dapc1及び階調電流指令値Dapc2を設定するためには、ある階調値Dに対応する目標光量Tと、実測値であるレーザ光量Pとの光量誤差δ(=P−T)を測定する必要があるが、この測定回数が少ないと測定誤差による設定値の不正確さが生じるため、測定回数を増やして逐次的に測定精度を改善することが望ましい。本実施形態では、光量誤差δの2乗和の最小値を逐次的に最速に探索可能な最急降下法を用いた最小2乗法を利用する。
【0066】
ここで、階調値Dを設定して、レーザ光量Pを測定する手順をk番目まで繰り返した時、階調値{D1、D2、・・、Di、・・、Dk}に対する、レーザ光量を{P1、P2、・・、Pi、・・、Pk}、目標光量を{T1、T2、・・、Ti、・・、Tk}とする。評価関数εkを下記(1)式のように光量誤差の2乗和として表し、この評価関数εkを最小化する変数a、bを各iについて逐次的に求める。変数a、bの変化による傾斜を求めて、その方向にa、bを補正する最急降下法を用いると、ak、bkは下記(2)式、(3)式で表すことができる。なお、下記(2)式、(3)式において、μa及びμbは係数である。
【0067】
【数1】
【0068】
上記(2)式において、∂εk/∂aは下記(4)式で表され、上記(3)式において、∂εk/∂bは、下記(5)式で表される。従って、(2)式及び(4)式から下記(6)式が導かれ、(3)式及び(5)式から下記(7)式が導かれる。さらに、逐次的に計算できるように変形すると、下記(8)式〜(12)式が得られる。
【0069】
【数2】
【0070】
変数bは閾値電流Ithに対応する変数であり、変数aは微分効率ηに対応する変数であるので、上記(10)式に示すように、微分効率ηは光量誤差と階調値との積の積算値によって補正し、上記(12)式に示すように、閾値電流Ithは光量誤差の積算値によって補正すれば良いことがわかる。
【0071】
さて、以上説明した原理を回路に変換する方法を以下に説明する。
まず、以上の方法を図で示すと図8のようになる。DA変換器94、95からAD変換器92までのレーザドライバ、レーザダイオード、光電変換素子90などを制御対象400として、レーザ光量Pと諧調値Dから閾値電流指令値Dapc1と階調電流指令値Dapc2を計算することになる。
【0072】
ここで、制御対象400について説明する。レーザ駆動電流I、レーザ光量W、光電変換素子90の出力電流Ipd、I/V変換器91の出力電圧VL、A/D変換器92の出力値P、閾値電流指令電圧Vapc1、階調電流指令電圧Vapc2を下記(13)式〜(19)式のように表す。なお、下記(13)式〜(19)式において、H1、H2、F、Kpd、R、Gad、Gdaは係数である。
【0073】
【数3】
【0074】
上記(17)式に、他の式を順次代入すると、下記(20)式が得られる。一方、上述したように、P=a・D+bと定義しているため、(20)式から変数aは下記(21)式で表され、変数bは下記(22)式で表される。つまり、(21)式を変形することで、変換要素406において、補正後のakを階調電流指令値Dapc2に変換するための変換式である(23)式が得られる。また、(22)式を変形することで、変換要素409において、補正後のbkを閾値電流指令値Dapc1に変換するための変換式である(24)式が得られる。
【0075】
【数4】
【0076】
閾値電流指令値Dapc1を計算する部分に注目すると、図9(a)のように、誤差積算要素407、補正要素408と変数変換要素409が直列に接続されている。これをそのまま遅延要素410、411を使ってブロック図で表すと図9(b)のようになる。遅延要素410は誤差の積算を行い、遅延要素411はパラメータbの逐次補正を行う。このブロック図を簡略化するため、式(11)を変形して式(25)にする。式(25)のbを式(26)で変数変換すると式(27)になる。式(27)をブロック図で表現すれば図9(c)のようになり、遅延要素410の出力を利得要素413でμb/K倍して遅延要素412へ送ることで図9(b)と等価な動作をする。
【0077】
【数5】
【0078】
さて、遅延要素をフリップフロップで実現するため、演算の桁落ちを防止する必要がある。そのために各所に利得調整のための演算器を挿入した上で遅延要素をフリップフロップで置き換えると図9(d)のようになる。図9(c)と(d)が等価な動作をするためには、各利得が式(28)の関係を満たせばよい。尚、フリップフロップ414の出力はSak、をスケーリングした変数であり、フリップフロップ415の出力はbkを変数変換した変数であるが、煩雑になるので、以後Sbkやbkと表現して説明する場合がある。
【0079】
【数6】
【0080】
続いて、図8の階調電流指令値Dapc2を計算する部分に注目する。この部分を取り出すと図10(a)のように誤差積算要素404、補正要素405と変数変換要素406が直列に接続されている。遅延要素を使ってブロック図で表現すれば図10(b)の様になる。この図を見ると利得要素420を移動し、図10(c)の様にしても入出力間の動作は変わらないことがわかる。これは、式(9)を式(29)に変形し、式(30)で変数を置き換え式(31)にすることで対応する。
【0081】
【数7】
【0082】
さて、前と同様に各所に利得を挿入した上で遅延要素をフリップフロップで置き換えると図10(d)が得られる。ここで利得要素426は回路の共通化のための利得調整用に挿入した。各利得が式(32)を満たせば図10(c)と(d)は等価な動作となる。尚、フリップフロップ427の出力はSak、をスケーリングした変数であり、フリップフロップ428の出力はakをスケーリングした変数であるが、煩雑になるので、以後Sakやbkと表現して説明する場合がある。
【0083】
【数8】
【0084】
以上のような本実施形態における光量補正の原理を前提とし、以下では、図11を参照して光量補正回路93の詳細な構成について説明する。図11に示すように、光量補正回路93は、初期設定回路300、M乗算器301、減算器302、乗算器303、G7除算器304、G3除算器305、加算器306、フリッピフロップ307、G2除算器308、減算器310、フリップフロップ311、G1除算器312、G6除算器314、加算器315、フリップフロップ316、G5除算器317、減算器319、フリップフロップ320、G4減算器321、G1乗算器323、G4乗算器324から構成されている。
【0085】
初期設定回路300は、本画像表示装置LSDの電源投入時またはリセット時において、光量測定データDpdが示す光量測定値Piに基づいて、閾値電流指令値Dapc1及び階調電流指令値Dapc2を調整することで所定の初期設定動作を行う。また、この初期設定回路300は、初期設定動作中に使用する各色の階調データDR、DG、DBを各色のレーザドライバ20R、20G、20Bに出力する機能を備えている。なお、この初期設定動作の詳細については後述する。
【0086】
M乗算器301は、各色の階調データDR、DG、DBが示す階調値Diと係数Mとの積を、目標光量Ti(=M・Di)として減算器302に出力する。減算器302は、光量測定値Piから目標光量Tiを差し引いた値を、光量誤差δi(=Pi−Ti)として乗算器303及びG6除算器314に出力する。
【0087】
乗算器303は、階調値Diと光量誤差δiとの積(以下、モーメントMTiと称す)をG7除算器304に出力する。G7除算器304は、モーメントMTiを係数G7で除算した値をG3除算器305に出力する。G3除算器305は、G7除算器304の出力値(MTi/G7)を係数G3で除算した値を加算器306に出力する。
【0088】
加算器306は、G3除算器305の出力値(MTi/(G7・G3))とフリップフロップ307の出力値との加算値をフリップフロップ307のD入力端子に出力する。フリップフロップ307は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。つまり、加算器306及びフリップフロップ307によって、モーメントMTi(=δi・Di)の積算回路が構成されており、フリップフロップ307の出力値は、モーメントMTiの積算値となる。以下、このモーメントMTiの積算値をSakとする。なお、Sak=δ1・D1+・・+δi・Di+・・+δk・Dkである。
【0089】
G2除算器308は、モーメントMTiの積算値Sakを係数G2で除算した値を減算器310に出力する。減算器310は、フリップフロップ311の出力値からG2除算器308の出力値(=Sak/G2)を差し引いた値をフリップフロップ311のD入力端子に出力する。フリップフロップ311は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。ここで、フリップフロップ311の初期の出力値ak−1として、初期設定回路300によって初期設定された階調電流指令値Dapc2に、G1乗算器323によって係数G1が乗算された値がロードされている。つまり、減算器310及びフリップフロップ311によって、上記(9)式で表されるak=ak−1−μa・Sakを計算する補正回路が構成されており、フリップフロップ311の出力値はakとなる。
【0090】
G1除算器312は、フリップフロップ311の出力値akを係数G1で除算した値を階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力する。
【0091】
G6除算器314は、光量誤差δiを係数G6で除算した値を加算器315に出力する。加算器315は、G6除算器314の出力値(=δi/G6)とフリップフロップ316の出力値との加算値をフリップフロップ316のD入力端子に出力する。フリップフロップ316は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。つまり、加算器315及びフリップフロップ316によって、光量誤差δiの積算回路が構成されており、フリップフロップ316の出力値は、光量誤差δiの積算値となる。以下、この光量誤差δiの積算値をSbkとする。なお、Sbk=δ1+・・+δi+・・+δkである。
【0092】
G5除算器317は、光量誤差δiの積算値をSbkを係数G5で除算した値を減算器319に出力する。減算器319は、フリップフロップ320の出力値からG5除算器317の出力値(=Sbk/G5)を差し引いた値をフリップフロップ320のD入力端子に出力する。フリップフロップ320は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。ここで、フリップフロップ320の初期の出力値bk−1として、初期設定回路300によって初期設定された閾値電流指令値Dapc1に、G4乗算器324によって係数G4が乗算された値がロードされている。つまり、減算器319及びフリップフロップ320によって、上記(11)式で表されるbk=bk−1−μb・Sbkを計算する補正回路が構成されており、フリップフロップ320の出力値はbkとなる。
【0093】
G4除算器321は、フリップフロップ320の出力値bkを係数G4で除算した値を閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力する。
尚、G7除算器304を設けることで、G3=G6,G2=G5,G1=G4とすることが可能となり、回路の共用化が可能となり回路規模の削減をすることができる。
【0094】
以上が光量補正回路93の説明であり、以下、図1に再び戻って説明する。
D/A変換器94は、上述した光量補正回路93から入力される閾値電流指令値Dapc1を閾値電流指令電圧Vapc1(=Gda・Dapc1)に変換して、赤色レーザドライバ20Rに出力する。D/A変換器95は、上述した光量補正回路93から入力される階調電流指令値Dapc2を階調電流指令電圧Vapc2(=Gda・Dapc2)に変換して、赤色レーザドライバ20Rに出力する。
なお、上記では、赤色用の補正系回路ブロックを代表的に用いて説明したが、緑色用及び青色用の補正系回路ブロックについても同様である。
【0095】
スクリーン100は、レーザ走査部50によって走査されたレーザ光LR、LG及びLBを透過する透過型スクリーンである。つまり、本画像表示装置LSDは背面投射型プロジェクタであり、ユーザは、スクリーン100におけるレーザ光LR、LG及びLBの照射面の反対側の面から表示画像を鑑賞することになる。また、図1では省略しているが、本画像表示装置LSDは、スクリーン100の鑑賞側の面のみを露出させて、その他の構成要素は筐体内部に収納されており、外部の光の影響を排除するような構造となっている。
【0096】
次に、上記のように構成された本実施形態における画像表示装置LSDの動作について説明する。なお、以下では、赤色用の補正系回路ブロックを代表的に用いて説明するが、緑色用及び青色用の補正系回路ブロックについても同様である。
【0097】
(電源投入時の初期設定動作)
まず、電源投入時における光量補正回路93の初期設定回路300による初期設定動作について説明する。図12は、A/D変換器92の出力であるDpd(つまり赤色のレーザ光量実測値P)と、レーザ駆動電流との対応関係を示す特性図である。図12に示すように、特性曲線自体は図4と同じ形となるが、I/V変換器91のオフセットにより、Dpdにはオフセットが発生していることがわかる。電源投入時における初期設定回路300の初期設定動作とは、このDpdに重畳しているオフセットを補正するために行われるものである。
【0098】
図13は、光量補正回路93の初期設定回路300による初期設定動作を示すフローチャートである。まず、初期設定回路300は、赤色レーザダイオード30Rを完全に消灯させるために、閾値電流指令値Dapc1=0、階調電流指令値Dapc2=0に設定し、階調値D=0を示す赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20Rに出力する(ステップS1)。これにより、赤色レーザドライバ20Rから赤色レーザダイオード30Rに供給されるレーザ駆動電流IRは完全に零となり、赤色レーザダイオード30Rは完全に消灯する。初期設定回路300は、この時、A/D変換器92から入力されるDpdを黒レベルの実測値Dpd0として取得する(ステップS2)
【0099】
続いて、初期設定回路300は、閾値電流指令値Dapc1を第1単位量増加させ(ステップS3)、この時のDpdを取得する(ステップS4)。そして、初期設定回路300は、Dpd−Dpd0の値が、図12に示すような明らかな発光状態に設定された設定光量1より大きいか否かを判定し(ステップS5)、「NO」の場合、ステップS3に戻ってステップS3〜S5の処理を繰り返す。
【0100】
一方、ステップS5において、「YES」、つまりDpd−Dpd0>設定光量1の場合、初期設定回路300は、閾値電流指令値Dapc1を第2単位量減少させ(ステップS6)、この時のDpdを取得する(ステップS7)。そして、初期設定回路300は、Dpd−Dpd0>設定光量2−許容誤差、且つDpd−Dpd0<設定光量2+許容誤差という条件を満たすか否かを判定し(ステップS8)、「NO」の場合、ステップS6に戻ってステップS6〜S8の処理を繰り返す。ここで、設定光量2は、図12に示すように黒レベルと看做される値に設定されている。
【0101】
一方、ステップS8において、「YES」の場合、初期設定回路300は、その時のDapc1の値を閾値電流指令値Dapc1の初期値として設定する(ステップS9)。それと同時に、初期設定回路300は、この閾値電流指令値Dapc1の初期値をG4乗算器324に出力し、G4乗算器324によって閾値電流指令値Dapc1の初期値に係数G4が乗算された値がフリップフロップ320の初期の出力値bk−1としてフリップフロップ320にロードされる。
【0102】
続いて、初期設定回路300は、階調値D=15(つまり最大階調値)を示す赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20Rに出力し(ステップS10)、階調電流指令値Dapc2を第3単位量増加させ(ステップS11)、この時のDpdを取得する(ステップS12)。そして、初期設定回路300は、Dpd−Dpd0>設定光量3−許容誤差、且つDpd−Dpd0<設定光量3+許容誤差という条件を満たすか否かを判定し(ステップS13)、「NO」の場合、ステップS10に戻ってステップS10〜S13の処理を繰り返す。ここで、設定光量3は、図12に示すように最大発光量の目標値に設定されている。
【0103】
一方、ステップS13において、「YES」の場合、初期設定回路300は、その時のDapc2の値を階調電流指令値Dapc2の初期値として設定する(ステップS14)。それと同時に、初期設定回路300は、この階調電流指令値Dapc2の初期値をG1乗算器323に出力し、G1乗算器323によって閾値電流指令値Dapc2の初期値に係数G1が乗算された値がフリップフロップ311の初期の出力値ak−1としてフリップフロップ311にロードされる。以上のような初期設定動作により、Dpdに重畳しているオフセットが補正された閾値電流指令値Dapc1の初期値と階調電流指令値Dapc2の初期値とが設定される。
なお、上述した初期設定動作は、緑色用及び青色用の補正系回路ブロックにおいても同様に行われる。
【0104】
(定常動作)
次に、本画像表示装置LSDの定常時における動作について、図14のタイミングチャートを参照して説明する。
ここで、既に外部の画像供給装置から映像信号及び同期信号(垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync)が入力されており、映像信号処理回路10は、映像信号及び同期信号を基に表示すべき画像の各画素に対応する階調値を規定するデジタル階調データを生成し、当該デジタル階調データを1フレーム単位で内部メモリに格納しているものとする。
【0105】
また、同期信号の入力に伴って走査駆動部60から出力される走査駆動信号によってレーザ走査部50の反射ミラー50aは回転を始め、時刻t1に、反射ミラー50aの垂直走査方向に対する回転角θ2がスクリーン100上における1フレームの開始位置に対応する角度と一致し、また、時刻t2には、反射ミラー50aの水平走査方向に対する回転角θ1がスクリーン100上における1水平走査期間の開始位置に対応する角度と一致したものと想定する。つまり、時刻t1にタイミング信号発生回路70cから1フレームの開始を規定するフレームタイミング信号Ftが出力され、また、時刻t2に1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stが出力される。さらに、時刻t3に、反射ミラー50aの水平走査方向に対する回転角θ1がスクリーン100上における1水平走査期間の終了位置に対応する角度と一致したものと想定する。つまり、時刻t3にタイミング信号発生回路70cから1水平走査期間の終了を規定する走査タイミング信号Stが出力される。
【0106】
このような時刻t2において、画素同期クロック発生回路80は、1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stが入力されると、1水平走査期間における各画素に対応するレーザ光LR、LG及びLBの照射タイミングを規定する画素同期クロック信号CLを生成して映像信号処理回路10及び光量補正回路93に出力する。上述したように、1水平走査期間における回転角θ1、つまり照射位置Qxは、1水平走査期間の開始から経過した時間と一義的な関係にあるため、当然、1水平走査期間における各画素に対応する照射位置Qxと経過時間とは一義的な関係にある。従って、本実施形態では、図14に示すように、1水平走査期間における各画素に対応する照射位置Qxと経過時間との一義的な関係を基に、1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stが入力された後、経過時間に応じて各画素に対応するレーザ光LR、LG及びLBの照射タイミングを規定するパルス状の画素同期クロック信号CLを生成する。
【0107】
図14からわかるように、画素同期クロック信号CLのパルス間隔は、照射位置Qx、つまり経過時間に応じて変化する。例えば、スクリーン100の中央付近となる時刻t13〜t17付近ではパルス間隔は短くなり、スクリーン100の両端付近ではパルス間隔は長くなる。これは、MEMSスキャナであるレーザ走査部50の特性上、反射ミラー50aの回転角θ1の変化速度(走査速度)が経過時間に応じて正弦波状に変化するためである。
【0108】
一方、映像信号処理回路10は、1フレームの開始を規定するフレームタイミング信号Ftと、1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stとが入力されると、内部メモリにおける1番目のフレームのデジタル階調データを格納している記憶領域から1行目の水平走査期間に対応する各画素のデジタル階調データ(赤色階調データDR、緑色階調データDG、青色階調データDB)を読み出し、画素同期クロック信号CLに同期して、赤色階調データDR、緑色階調データDG、青色階調データDBを順次出力する。具体的には、図14に示すように、映像信号処理回路10は、時刻t2に最初の画素同期クロック信号CLが入力されると、1水平走査期間の開始位置(1列目)に対応する赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20R及び光量補正回路93に出力する。
なお、以下では、説明の便宜上、赤色階調データDRに着目して説明する。
【0109】
ここで、光量補正回路93に入力される赤色階調データDRが示す階調値をD1とし、A/D変換器92から光量補正回路93に出力される光量測定データDpdが示す光量実測値をP1とする。この場合、図11に示す光量補正回路93において、M乗算器301の出力値はT1=M・D1となり、減算器302の出力値はδ1=P1−M・D1となり、乗算器303の出力値はD1・δ1となり、フリップフロップ307の出力値はSa1=D1・δ1となり、フリップフロップ311の出力値はa1=a0(階調電流指令値Dapc2の初期値)−μa・Sa1となる。このようなa1は階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力され、D/A変換器95によって階調電流指令電圧Vapc2に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第1の電流源CS1に出力される。
【0110】
一方、フリップフロップ316の出力値はSb1=δ1となり、フリップフロップ320の出力値はb1=b0(閾値電流指令値Dapc1の初期値)−μb・Sb1となる。このようなb1は閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力され、D/A変換器94によって閾値電流指令電圧Vapc1に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第2の電流源CS2に出力される。
【0111】
これにより、赤色レーザドライバ20Rには、1水平走査期間の開始位置(1列目)に対応する赤色画素用の赤色階調データDRと、階調電流指令電圧Vapc2と、閾値電流指令電圧Vapc1とが入力されるので、IR=H2・Vapc2・D1+H1・Vapc1で表されるレーザ駆動電流が生成され、赤色レーザダイオード30Rに供給される。これにより、赤色レーザダイオード30Rは、1列目の赤色画素の階調値に応じたレーザ光LRを発生し、このレーザ光LRは反射ミラー50aによって、1水平走査期間の1列目の赤色画素に対応する照射位置Qxに照射される。
【0112】
続いて、図14に示すように、時刻t10に、1水平走査期間の2列目に対応する画素同期クロック信号が発生すると、映像信号処理回路10は、1水平走査期間の2列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20R及び光量補正回路93に出力する。
【0113】
ここで、光量補正回路93に入力される赤色階調データDRが示す階調値をD2とし、A/D変換器92から光量補正回路93に出力される光量測定データDpdが示す光量実測値をP2とする。この場合、図11に示す光量補正回路93において、M乗算器301の出力値はT2=M・D2となり、減算器302の出力値はδ2=P2−M・D2となり、乗算器303の出力値はD2・δ2となり、フリップフロップ307の出力値はSa2=D
1・δ1+D2・δ2となり、フリップフロップ311の出力値はa2=a1−μa・Sa2となる。このようなa2は階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力され、D/A変換器95によって階調電流指令電圧Vapc2に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第1の電流源CS1に出力される。
【0114】
一方、フリップフロップ316の出力値はSb2=δ1+δ2となり、フリップフロップ320の出力値はb2=b1−μb・Sb2となる。このようなb2は閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力され、D/A変換器94によって閾値電流指令電圧Vapc1に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第2の電流源CS2に出力される。
【0115】
これにより、赤色レーザドライバ20Rには、1水平走査期間の2列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRと、階調電流指令電圧Vapc2と、閾値電流指令電圧Vapc1とが入力されるので、IR=H2・Vapc2・D2+H1・Vapc1で表されるレーザ駆動電流が生成され、赤色レーザダイオード30Rに供給される。これにより、赤色レーザダイオード30Rは、2列目の赤色画素の階調値に応じたレーザ光LRを発生し、このレーザ光LRは反射ミラー50aによって、1水平走査期間の2列目の赤色画素に対応する照射位置Qxに照射される。
【0116】
続いて、図14に示すように、時刻t11に、1水平走査期間の3列目に対応する画素同期クロック信号が発生すると、映像信号処理回路10は、1水平走査期間の3列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20R及び光量補正回路93に出力する。
【0117】
ここで、光量補正回路93に入力される赤色階調データDRが示す階調値をD3とし、A/D変換器92から光量補正回路93に出力される光量測定データDpdが示す光量実測値をP3とする。この場合、図11に示す光量補正回路93において、M乗算器301の出力値はT3=M・D3となり、減算器302の出力値はδ3=P3−M・D3となり、乗算器303の出力値はD3・δ3となり、フリップフロップ307の出力値はSa3=D
1・δ1+D2・δ2+D3・δ3となり、フリップフロップ311の出力値はa3=a2−μa・Sa3となる。このようなa3は階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力され、D/A変換器95によって階調電流指令電圧Vapc2に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第1の電流源CS1に出力される。
【0118】
一方、フリップフロップ316の出力値はSb3=δ1+δ2+δ3となり、フリップフロップ320の出力値はb3=b2−μb・Sb3となる。このようなb3は閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力され、D/A変換器94によって閾値電流指令電圧Vapc1に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第2の電流源CS2に出力される。
【0119】
これにより、赤色レーザドライバ20Rには、1水平走査期間の3列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRと、階調電流指令電圧Vapc2と、閾値電流指令電圧Vapc1とが入力されるので、IR=H2・Vapc2・D3+H1・Vapc1で表されるレーザ駆動電流が生成され、赤色レーザダイオード30Rに供給される。これにより、赤色レーザダイオード30Rは、3列目の赤色画素の階調値に応じたレーザ光LRを発生し、このレーザ光LRは反射ミラー50aによって、1水平走査期間の3列目の赤色画素に対応する照射位置Qxに照射される。
以下同様な動作が、1水平走査期間の最終列目(図14の時刻t20に相当)まで繰り返され、時刻t2からt3までの1水平走査期間における画像がスクリーン100に表示されることになる。
【0120】
また、図14において、時刻t4〜t5の期間は次の(2行目の)1水平走査期間を示し、時刻t6〜t7の期間は3行目の1水平走査期間を示し、時刻t8〜t9の期間は4行目の1水平走査期間を示しており、それぞれの1水平走査期間内において上記と同様な動作が行われ、最終行目の1水平走査期間が終了することにより、1フレーム分の画像がスクリーン100に表示されることになる。なお、1水平走査期間が終了する毎に、反射ミラー50aの垂直走査方向の回転角θ2が次の水平走査期間に対応する角度に変化することは勿論である。
なお、上記の説明では、赤色階調データDRに着目して説明したが、緑色階調データDG及び青色階調データDBについても、それらに対応する補正系回路ブロックにより、同様な光量補正が行われる。
【0121】
以上のように、本実施形態に係る画像表示装置LSDによれば、表示動作を行いながら、目標光量と光量実測値との差である光量誤差を最小化するような変数a及びbを逐次的に求めて、その変数a及びbを基に、閾値電流Ithを補正することのできる閾値電流指令値Dapc1と、微分効率ηを補正することのできる階調電流指令値Dapc2を設定することにより、動作中の温度変化等に起因するレーザ特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得られるため、表示品質の向上を図ることができる。
【0122】
ところで、目標光量Tに対するレーザ光量実測値Pのズレが、図15に示すような状態になった場合、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakが、ほぼ零となってしまい、光量補正回路93における補正動作が停止するという現象が発生する可能性がある。このような現象を防止するためには、図16に示すように、モーメントを求める際に使用する階調値を、最小階調値から最大階調値までの中間値とすることにより、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakがほぼ零となることを防止することができ、光量補正回路93における補正動作の停止を防止することができる。
【0123】
また、階調値の平均値を逐次的に計算して、この平均値をモーメントを求める際に使用する階調値として使用することにより、上記と同様に、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakがほぼ零となることを防止することができる。これを式で説明すれば、式(10)に代えて式(33)のように階調値Dkと階調平均値Daveの差と光量誤差の積の積算値を計算することになる。この場合、図17に示すように、乗算器303の前段に階調値Diの平均値を逐次的に計算する平均化回路330と、階調値からこの平均化回路330の出力値(階調平均値)を減算する減算器331とを設ければ良い。また、平均値だけでなく、予め設定された値、例えば8ビットの階調表現が可能であれば、階調値「128」をモーメントを求める際に使用しても良い。
【0124】
【数9】
【0125】
また、上記実施形態では、表示動作中に光量補正を行っていたが、階調値に偏り、例えば非常に暗い画像があると正常に光量補正を行えない可能性がある。この対策として、図14に示す時刻t3〜t4の期間や、時刻t5〜t6の期間のように、画像表示を行わない期間(スクリーン100上にレーザ光を走査しない期間)に、映像信号処理回路10によって所定の階調値(階調データ)や擬似的な画素同期クロック信号を発生することでレーザダイオードを発光させ、光量補正回路93にて光量補正動作を行うようにしても良い。
【0126】
また、上記実施形態において、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakを計算する際、直近のデータ(光量誤差と階調値との積の値)を重視することが望ましいため、過去のデータの重みを低くするようにしても良い。具体的には、図11に示すフリップフロップ307の出力端子から加算器306に至るフィードバック経路と、フリップフロップ316の出力端子から加算器315に至るフィードバック経路に、重み付け定数乗算器を設ければ良い。この重み付け定数は、例えば7/8のように1より小さい値に設定する。これにより、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakを計算する際に、過去のデータから順次忘却されるため、直近のデータに重きを置くことができる。
また、上記実施形態において、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakに比例した値で、変数a及びbを逐次的に補正していたが、積算値Sbkと、積算値Sakの符号のより一定値の補正を変数a及びbに施してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、スクリーン100上にレーザ光を走査して画像を表示するレーザスキャンディスプレイを例示して説明したが、これに限定されず、LED(Light Emitting Diode)やその他の光源から発生する光を走査することで画像を表示する画像表示装置であっても本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、3色のレーザダイオードに対し一つのスキャナを用いるレーザスキャンディスプレイを例示して説明したが、これに限定されず、各色ごとにスキャナを設けるような構成にしても良い。
【0128】
また、上記実施形態において図3を参照して説明した赤色レーザドライバ20R(緑色レーザドライバ20R、青色レーザドライバ20B)の回路構成は、最大階調数に応じて適宜変更しても良い。つまり、上記実施形態では、最大階調数を「16(4ビット)」と想定したため、図3におけるカレントミラー回路の出力側トランジスタを4つ(第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4)としたが、例えば最大階調数を「256(8ビット)」とした場合には、カレントミラー回路の出力側トランジスタを8つ設ければ良い(スイッチ素子も8つ設ける)。
【0129】
この場合、1ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの1/255の電流が生成されるように設定し、2ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの2/255の電流が生成されるように設定し、3ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの4/255の電流が生成されるように設定し、4ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの8/255の電流が生成されるように設定し、5ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの16/255の電流が生成されるように設定し、6ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの32/255の電流が生成されるように設定し、7ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの64/255の電流が生成されるように設定し、8ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの128/255の電流が生成されるように設定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの構成ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける赤色レーザドライバ20Rの構成ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける赤色レーザドライバ20Rの回路構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける赤色レーザダイオード30Rのレーザ特性図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおけるレーザ走査部50の構成概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける水平角度センサ70aが検出する反射ミラー50aの回転角θ1に関する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93にて行われる光量補正の原理説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93に関する第1説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93に関する第2説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93に関する第3説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93の詳細構成図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93にて行われる初期設定動作に関する説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93にて行われる初期設定動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの定常動作を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの変形例に関する第1説明図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの変形例に関する第2説明図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの変形例に関する第3説明図である。
【符号の説明】
【0131】
LSD…画像表示装置、10…映像信号処理回路、20R…赤色レーザドライバ、20G…緑色レーザドライバ、20B…青色レーザドライバ、30R…赤色レーザダイオード、30G…緑色レーザダイオード、30B…青色レーザダイオード、40…光軸合わせ用光学系、50…レーザ走査部、60…走査駆動部、70…照射位置検出部、80…画素同期クロック発生回路、90…光電変換素子、91…I/V変換器、92…A/D変換器、93…光量補正回路、94、95…D/A変換器、100…スクリーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び画像表示装置並びに光量補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の一形態として、レーザ光などのビーム状の光を被投射面上でラスタースキャンして画像を表示するレーザスキャンディスプレイが注目されている。このようなレーザスキャンディスプレイは、レーザ光の供給を停止することで完全な黒を表現できるため、例えば液晶ライトバルブを用いたプロジェクタ等と比べてコントラストが非常に高く、また、レーザ光が単一波長であるために色純度が高く、コヒーレンスが高いためにビームを整形しやすい(絞りやすい)等の特徴を有することから、高コントラスト、高色再現性及び高解像度を実現する高画質ディスプレイとして期待されている。
【0003】
レーザスキャンディスプレイのレーザ光源としては、主にレーザダイオード等の半導体
レーザ素子が用いられているが、このような半導体レーザ素子は、温度変化や経年劣化な
どにより、そのレーザ特性が変化するため、所望の画像輝度を得られるようにレーザ光量を補正する必要がある。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、半導体レーザ素子のバイアス電流値を2点以上変化させ
て、半導体レーザ素子の発光パワーを受光パワー検出手段によって検出し、半導体レーザ
素子の閾値電流値と量子効率の変化等を検出することで、半導体レーザ素子の直流バイア
ス電流をバイアス電流制御手段に設定し、また、量子効率の変化等に対応したパルス電流
をパルス電流制御手段に設定することでレーザ出力のレベルを一定に保持する技術が開示
されている。また、下記特許文献2には、レーザ光源の検出光量と光出力の設定値との関係式を自動的に算出し、光記録媒体ドライブ装置にこの関係式のデータを設定して、レーザ光源の出力レベルを調整する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−147446号公報
【特許文献2】特開2003−91853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、温度変化や経年劣化に起因するレーザ特性の変化に応じてレーザ光量の補正を行う場合において、より補正精度を高めるためには、実際に装置を動作させながらリアルタイムにレーザ特性の変化に応じた光量補正を行うことが望ましいが、上記の従来技術ではその手段が提示されていなかった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことで光量補正精度を高めることが可能な光源装置、及び当該光源装置を備える画像表示装置、並びに光量補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置であって、前記光源の光量を測定する光量測定手段と、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記光量測定手段によって測定された光量との差を光量誤差として算出し、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正すると共に、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する光量補正手段と、を具備することを特徴とする。
このような特徴を有する光源装置によれば、光源を駆動させながら、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と測定された光量との差である光量誤差を算出し、光源特性パラメータの1つである微分効率を前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正すると共に、同じく光源特性パラメータの1つである駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力するので、動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができる。
【0008】
また、上述した光源装置において、前記駆動信号生成手段は、外部から入力される階調データが示す階調値と前記光量補正手段から入力される階調電流指令信号とを基に、前記階調値に応じた階調電流を生成する階調電流生成手段と、前記光量補正手段から入力される閾値電流指令信号に応じた閾値電流を生成する閾値電流生成手段と、前記階調電流と前記閾値電流との加算電流を前記駆動信号として前記光源に供給する電流加算手段と、を備え、前記光量補正手段は、前記補正後の微分効率として前記微分効率に対応する第1の変数の今回値を、当該第1の変数の前回値から前記光量誤差と前記階調値との積の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第1の変数の今回値に応じた前記階調電流指令信号を前記階調電流生成手段に出力すると共に、前記補正後の閾値として前記閾値に対応する第2の変数の今回値を、当該第2の変数の前回値から前記光量誤差の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第2の変数の今回値に応じた前記閾値電流指令信号を前記閾値電流生成手段に出力する、ことが好ましい。
このような構成を採用することにより、光源を駆動させながら、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と測定された光量との差である光量誤差を最小化するような第1の変数及び第2の変数を逐次的に求めて、その第1の変数及び第2の変数を基に得られた、微分効率を補正することのできる階調電流指令信号と、閾値電流を補正することのできる閾値電流指令信号を駆動信号生成手段に出力することにより、動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができる。
【0009】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、前記光量誤差と前記階調値との積を算出する際に使用する階調値として、当該階調値の平均値、または予め設定された階調値、または最小階調値から最大階調値までの中間値、と当該階調値との差を使用することが好ましい。
これにより、光量誤差の積算値と、光量誤差と階調値との積の積算値が、ほぼ零となってしまうような、目標光量と測定光量とのズレが生じた場合であっても、光量誤差と階調値との積の積算値が零となることを防止することができ、光量補正手段における補正動作の停止を防止することができる。
【0010】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める際に、過去の光量誤差と階調値との積の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算すると共に、前記光量誤差の積算値を求める際に、過去の光量誤差の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算することが好ましい。
光量誤差の積算値と、光量誤差と階調値との積の積算値を計算する際、直近のデータ(光量誤差と階調値との積の値)を重視することが望ましいため、上記のように、過去のデータから順次忘却されるような重み付け定数を乗算することにより、直近のデータを基にした光量補正を行うことができ、光量補正精度の向上を図ることができる。
【0011】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、電源投入時において、前記光量測定手段が有する測定光量のオフセットを補正するための初期設定動作として、前記光源を完全に消灯するための、前記階調電流指令信号、前記閾値電流指令信号及び階調データを前記駆動信号生成手段に出力した際の前記測定光量を黒レベル光量として取得した後、前記閾値電流指令信号を増加して前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が所定の明るさを規定する第1の設定光量に到達した場合、前記閾値電流指令信号を減少させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が黒レベルと看做される第2の設定光量に到達した場合の前記閾値電流指令信号を当該閾値電流指令信号の初期値として設定する一方、最大階調値を示す階調データを前記駆動信号生成手段に出力し、前記階調電流指令信号を増加させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が最大目標発光量を規定する第3の設定光量に到達した場合の前記階調電流指令信号を当該階調電流指令信号の初期値として設定することが好ましい。
これにより、光量測定手段が有する測定光量のオフセットを補正した階調電流指令信号及び閾値電流指令信号の初期値を得ることができ、光量補正精度の向上を図ることができる。
【0012】
また、上述した光源装置において、前記光量補正手段は、前記初期設定動作によって求めた前記閾値電流指令信号の初期値を、初回の前記第2の変数の今回値を求める際の前記第2の変数の前回値として使用すると共に、前記階調電流指令信号の初期値を、初回の前記第1の変数の今回値を求める際の前記第1の変数の前回値として使用することが好ましい。
これにより、初回の第2の変数の今回値及び第1の変数の今回値を精度良く求めることができる。
【0013】
一方、本発明に係る画像表示装置は、被投射面上に光を走査して画像を表示する画像表示装置であって、上述した光源装置と、前記光源装置における光源から発生する光を前記被投射面上に走査する走査手段と、外部から供給される映像信号を基に、表示すべき画像を表す前記階調データを生成すると共に、前記被投射面上における前記光の照射位置に応じた階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力する映像信号処理手段と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を有する画像表示装置によれば、表示動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができ、表示品質の向上を図ることができる。
【0014】
また、上述した画像表示装置において、前記被投射面上に光を走査しない期間において、前記映像信号処理手段は、所定の階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力し、前記光量補正手段は、前記光量測定手段によって測定された、前記所定の階調データに応じた光源の光量と、前記所定の階調データが示す階調値とに基づいて前記補正を行うことが好ましい。
表示動作中に階調値に偏りが発生し、例えば非常に暗い画像があると正常に光量補正を行えない可能性がある。この対策として、上記のように、被投射面上に光を走査しない期間、つまり、画像表示を行わない期間に、映像信号処理手段により所定の階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力して光源を発光させ、前記光量補正手段により光量補正動作を行うことにより、問題なく光量補正を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明に係る光量補正方法は、光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置に用いられる光量補正方法であって、前記光源の光量を測定する第1の工程と、外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記第1の工程によって測定された光量との差を光量誤差として算出する第2の工程と、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める第3の工程と、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正する第4の工程と、前記光量誤差の積算値を求める第5の工程と、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正する第6の工程と、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する第7工程と、を有することを特徴とする。
このような特徴を有する光量補正方法によると、動作中の温度変化等に起因する光源特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置LSDの構成ブロック図である。なお、本画像表示装置LSDとして、スクリーン(被投射面)100上にレーザ光を走査して画像を表示するレーザスキャンディスプレイを例示して説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る画像表示装置LSDは、映像信号処理回路10、赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G、青色レーザドライバ20B、赤色レーザダイオード30R、緑色レーザダイオード30G、青色レーザダイオード30B、光軸合わせ用光学系40、レーザ走査部50、走査駆動部60、照射位置検出部70、画素同期クロック発生回路80、光電変換素子90、I/V変換器91、A/D変換器92、光量補正回路93、D/A変換器94及び95を備えている。
【0018】
上記の構成要素の内、赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G、青色レーザドライバ20B、赤色レーザダイオード30R、緑色レーザダイオード30G、青色レーザダイオード30B、光電変換素子90、I/V変換器91、A/D変換器92、光量補正回路93、D/A変換器94及び95は、本発明における光源装置を構成するものである。さらに、光電変換素子90、I/V変換器91及びA/D変換器92は、本発明における光量測定手段を構成するものである。
なお、光電変換素子90、I/V変換器91、A/D変換器92、光量補正回路93、D/A変換器94及び95から成る補正系回路ブロックは、赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G、青色レーザドライバ20Bの各ドライバに対応して(つまり各色に対応して)設けられているものであるが、図1では説明の便宜上、赤色レーザドライバ20Rに対応する補正系回路ブロックのみを代表的に図示している。
【0019】
映像信号処理回路(映像信号処理手段)10は、例えばノート型パソコン等の外部の画像供給装置(図示せず)から送信される映像信号及び同期信号(垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync)を入力とし、当該映像信号及び同期信号を基に表示すべき画像の各画素に対応する階調値を規定するデジタル階調データを生成し、当該デジタル階調データを1フレーム単位で内部メモリに格納する。本実施形態では、説明の便宜上、デジタル階調データのビット数Nを4とする。つまり、本画像表示装置LSDは、「0」〜「15」までの16階調(4096色)の画像表示が可能である。
【0020】
また、この映像信号処理回路10は、照射位置検出部70から入力される、1フレームの開始を規定するパルス状のフレームタイミング信号Ftと、1水平走査期間の開始及び終了を規定するパルス状の走査タイミング信号Stとを基に、内部メモリに格納されているデジタル階調データの読み出しを行うと共に、画素同期クロック発生回路80から入力される、1水平走査期間における各画素に対応するレーザ光の照射タイミングを規定するパルス状の画素同期クロック信号CLに同期して、レーザ光の照射位置に対応する画素のデジタル階調データを赤色レーザドライバ20R、緑色レーザドライバ20G及び青色レーザドライバ20Bに出力する。より具体的には、映像信号処理回路10は、レーザ光の照射位置に対応する画素が赤色用画素の場合、当該赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20Rに出力し、レーザ光の照射位置に対応する画素が緑色用画素の場合、当該緑色画素用の緑色階調データDGを緑色レーザドライバ20Gに出力し、また、レーザ光の照射位置に対応する画素が青色用画素の場合、当該青色画素用の青色階調データDBを青色レーザドライバ20Bに出力する。また、この映像信号処理回路10は、上記赤色階調データDRを赤色用の補正系回路ブロックの光量補正回路93に出力し、緑色階調データDGを緑色用の補正系回路ブロックの光量補正回路(図示せず)に出力し、青色階調データDBを青色用の補正系回路ブロックの光量補正回路(図示せず)に出力する。
【0021】
赤色レーザドライバ(駆動信号生成手段)20Rは、上記赤色階調データDRと、光量補正回路93からD/A変換器94を介して出力される閾値電流指令電圧Vapc1と、光量補正回路93からD/A変換器95を介して出力される階調電流指令電圧Vapc2とを入力とし、これら閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を用いて赤色階調データDRに応じたレーザ駆動電流IRを生成して、赤色レーザダイオード30Rに出力する。以下、この赤色レーザドライバ20Rの詳細な構成について説明する。
【0022】
図2は、赤色レーザドライバ20Rの構成ブロック図である。この図2に示すように、赤色レーザドライバ20Rは、階調電流生成部200、閾値電流生成部201、電流加算部202から構成されている。
【0023】
階調電流生成部(階調電流生成手段)200は、赤色階調データDRの示す階調値Dと、階調電流指令電圧Vapc2と係数H1との積である階調電流Id(=H1・Vapc2・D)を生成し、当該階調電流Idを電流加算部202に出力する。閾値電流生成部(閾値電流生成手段)201は、閾値電流指令電圧Vapc1と係数H2との積である閾値電流Ith(=H2・Vapc1)を生成し、当該閾値電流Ithを電流加算部202に出力する。電流加算部(電流加算手段)202は、上記の階調電流Idと閾値電流Ithとを加算し、当該加算電流をレーザ駆動電流IR(=Id+Ith)として赤色レーザダイオード30Rに出力する。
【0024】
図3に、上記のような構成の赤色レーザドライバ20Rの具体的な回路構成図を示す。この図3に示すように、赤色レーザドライバ20Rは、第1の電流源CS1、第2の電流源CS2、第1の入力側トランジスタTi1、第2の入力側トランジスタTi2、第1の出力側トランジスタTo1、第2の出力側トランジスタTo2、第3の出力側トランジスタTo3、第4の出力側トランジスタTo4、第5の出力側トランジスタTo5、第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2、第3のスイッチ素子SW3及び第4のスイッチ素子SW4から構成することができる。
【0025】
第1の電流源CS1は、階調電流指令電圧Vapc2を入力とし、階調電流指令電圧Vapc2と係数H1との積である電流Is(=H1・Vapc2)を生成する可変利得型の定電流源であり、その入力端子は電源ラインVccに接続され、出力端子は第1の入力側トランジスタTi1のドレイン端子及びゲート端子に接続されている。
【0026】
第1の入力側トランジスタTi1は、nチャネル型のMOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ドレイン端子は第1の電流源CS1の出力端子に接続され、ゲート端子は第1の電流源CS1の出力端子と第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0027】
第1の出力側トランジスタTo1は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第1のスイッチ素子SW1の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1と第2の出力側トランジスタTo2〜第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0028】
第2の出力側トランジスタTo2は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第2のスイッチ素子SW2の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1、第3の出力側トランジスタTo3及び第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0029】
第3の出力側トランジスタTo3は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第3のスイッチ素子SW3の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1、第2の出力側トランジスタTo2及び第4の出力側トランジスタTo4のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0030】
第4の出力側トランジスタTo4は、nチャネル型のMOSトランジスタであり、ドレイン端子は第4のスイッチ素子SW4の一方の端子に接続され、ゲート端子は第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1〜第3の出力側トランジスタTo3のゲート端子に接続され、ソース端子はグランドラインと接続されている。
【0031】
つまり、第1の電流源CS1、第1の入力側トランジスタTi1、第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4によって、第1の入力側トランジスタTi1を入力側のトランジスタとし、第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4を出力側のトランジスタとするカレントミラー回路が構成されている。ここで、本実施形態では、第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4の電気的特性を、各々に対応するビットデータに応じた電流を生成するように設定する。
【0032】
具体的には、第1の出力側トランジスタTo1は、4ビットの赤色階調データDRの内、LSBである1ビット目のビットデータB1に対応しており、第1の電流源CS1によって生成される電流Isの1/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。また、第2の出力側トランジスタTo2は、4ビットの赤色階調データDRの内、2ビット目のビットデータB2に対応しており、電流Isの2/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。また、第3の出力側トランジスタTo3は、4ビットの赤色階調データDRの内、3ビット目のビットデータB3に対応しており、電流Isの4/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。また、第4の出力側トランジスタTo4は、4ビットの赤色階調データDRの内、MSBである4ビット目のビットデータB4に対応しており、電流Isの8/15の電流が生成されるように電気的特性が設定されている。
【0033】
第1のスイッチ素子SW1は、4ビットの赤色階調データDRの内、LSBである1ビット目のビットデータB1に対応し、当該ビットデータB1の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第1の出力側トランジスタTo1のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB1が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0034】
第2のスイッチ素子SW2は、4ビットの赤色階調データDRの内、2ビット目のビットデータB2に対応し、当該ビットデータB2の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第2の出力側トランジスタTo2のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB2が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0035】
第3のスイッチ素子SW3は、4ビットの赤色階調データDRの内、3ビット目のビットデータB3に対応し、当該ビットデータB3の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第3の出力側トランジスタTo3のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB3が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0036】
第4のスイッチ素子SW4は、4ビットの赤色階調データDRの内、MSBである4ビット目のビットデータB4に対応し、当該ビットデータB4の値に応じて2端子間の接続/非接続を切り替えるスイッチ素子であり、その一方の端子は第4の出力側トランジスタTo4のドレイン端子に接続され、他方の端子は第2の電流源CS2の入力端子に接続されている。本実施形態では、ビットデータB4が「1」の場合に接続、「0」の場合に非接続とする。
【0037】
第2の電流源CS2は、閾値電流指令電圧Vapc1を入力とし、閾値電流指令電圧Vapc1と係数H2との積である閾値電流Ith(=H2・Vapc1)を生成する可変利得型の定電流源であり、その入力端子は第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4の他方の端子と第2の入力側トランジスタTi2のドレイン端子及びゲート端子に接続され、出力端子はグランドラインに接続されている。
【0038】
第2の入力側トランジスタTi2は、pチャネル型のMOSトランジスタであり、ソース端子は電源ラインVccに接続され、ゲート端子はドレイン端子と第5の出力側トランジスタTo5のゲート端子に接続され、ドレイン端子は第2の電流源CS2の入力端子と第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4の他方の端子に接続されている。
【0039】
第5の出力側トランジスタTo5は、pチャネル型のMOSトランジスタであり、ソース端子は電源ラインVccに接続され、ゲート端子は第2の入力側トランジスタTi2のゲート端子及びドレイン端子に接続され、ドレイン端子は赤色レーザダイオード30Rのアノード端子に接続されている。
【0040】
つまり、第2の入力側トランジスタTi2と第5の出力側トランジスタTo5は、第2の入力側トランジスタTi2を入力側、第5の出力側トランジスタTo5を出力側とするカレントミラー回路を構成しており、第2の電流源CS2が生成する閾値電流Ithと第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4の他方の端子に流れる電流(階調電流Id)との加算電流を入力とし、当該加算電流と略同一の電流値を有する電流をレーザ駆動電流IRとして赤色レーザダイオード30Rに出力する。
【0041】
図4は、赤色レーザダイオード30Rのレーザ光量とレーザ駆動電流IRとの関係を示すレーザ特性図である。この図4に示すように、レーザ駆動電流IRが閾値電流Ith以下では極めて微弱なレーザ光量となるが、レーザ駆動電流IRが閾値電流Ithより大きくなると、レーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた電流値(階調電流Id)に比例してレーザ光量は増大する。
【0042】
具体的に説明すると、例えば、赤色階調データDRが階調値「0」、つまりビットデータB1〜B4が全て「0」である場合、第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4は全て非接続状態になるため、階調電流Id=0となり、レーザ駆動電流IR=Ithとなる。この場合、図4に示すように、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ光は発生しない(つまり黒表示)。また、赤色階調データDRが階調値「1」、つまりビットデータB1が「1」でB2〜B4が「0」である場合、第1のスイッチ素子SW1だけ接続状態になるため、階調電流Id=Is/15となり、レーザ駆動電流IR=Ith+Is/15となる。この場合、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた階調電流Id=Is/15に応じた光量のレーザ光が発生する。
【0043】
また、赤色階調データDRが階調値「2」、つまりビットデータB2が「1」でB1、B3、B4が「0」である場合、第2のスイッチ素子SW2だけ接続状態になるため、階調電流Id=2・Is/15となり、レーザ駆動電流IR=Ith+2・Is/15となる。この場合、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた階調電流Id=2・Is/15に応じた光量のレーザ光が発生する。
【0044】
このように、階調値が「1」増す毎に、レーザ駆動電流IRはIs/15ずつ増大し、最大階調値「15」の場合、つまりビットデータB1〜B4が全て「1」である場合、第1のスイッチ素子SW1〜第4のスイッチ素子SW4は全て接続状態になるため、階調電流Id=Isとなり、レーザ駆動電流IR=Ith+Isとなる。この場合、図4に示すように、赤色レーザダイオード30Rにおいてレーザ駆動電流IRから閾値電流Ithを差し引いた階調電流Id=Isに応じた光量(最大階調値に対応する光量)のレーザ光が発生することになる。
すなわち、階調電流Idは、階調電流指令電圧Vapc2だけでなく、赤色階調データDRが示す階調値Dにも依存するため、Id=H1・Vapc2・Dと表すことができる。
【0045】
ところで、図4からわかるように、レーザ特性には温度依存性があり、温度変化によって閾値電流Ithは変化する。また、レーザ特性の傾き(電流変化量ΔIに対する光量変化量ΔP)も温度変化によって変化する。なお、以下では、このレーザ特性の傾きを微分効率η(=ΔP/ΔI)と表現する。すなわち、詳細は後述するが、レーザ特性の変化に応じて光量補正を行うためには、閾値電流Ithと微分効率ηを補正すれば良いことになる。
【0046】
以上が赤色レーザドライバ20Rの説明であり、以下では図1に戻って説明する。緑色レーザドライバ(駆動信号生成手段)20Gは、上記緑色階調データDGと、緑色用の補正系回路ブロック(図示せず)から出力される閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を入力とし、これら閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を用いて緑色階調データDGに応じたレーザ駆動電流IGを生成して、緑色レーザダイオード30Gに出力する。青色レーザドライバ(駆動信号生成手段)20Bは、上記青色階調データDBと、青色用の補正系回路ブロック(図示せず)から出力される閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を入力とし、これら閾値電流指令電圧Vapc1及び階調電流指令電圧Vapc2を用いて青色階調データDBに応じたレーザ駆動電流IBを生成して、青色レーザダイオード30Bに出力する。
なお、これら緑色レーザドライバ20G及び青色レーザドライバ20Bの詳細な構成は、図2及び図3に示す赤色レーザドライバ20Rと同様であるので説明を省略する。
【0047】
赤色レーザダイオード(光源)30Rは、赤色レーザドライバ20Rから供給されるレーザ駆動電流IRに応じて赤色単色のレーザ光LRを発生し、当該レーザ光LRを光軸LA上に設けられた光軸合わせ用光学系40(詳細には第1のダイクロイックミラー40a)に向けて照射する。本実施形態では、図1に示すように、水平面と略平行な方向をX軸、水平面においてX軸に直交する方向をY軸、水平面(XY平面)に略垂直な方向をZ軸と設定し、上記光軸LAは、X軸と略平行に設定されているものとする。なお、レーザ光LRの出射光軸は光軸LAと一致している。
【0048】
緑色レーザダイオード(光源)30Gは、緑色レーザドライバ20Gから供給されるレーザ駆動電流IGに応じて緑色単色のレーザ光LGを発生し、当該レーザ光LGを光軸合わせ用光学系40(詳細には第1のダイクロイックミラー40a)に向けてY軸に沿って照射する。青色レーザダイオード(光源)30Bは、青色レーザドライバ20Bから供給されるレーザ駆動電流IBに応じて緑色単色のレーザ光LBを発生し、当該レーザ光LBを光軸合わせ用光学系40(詳細には第2のダイクロイックミラー40b)に向けてY軸に沿って照射する。
【0049】
光軸合わせ用光学系40は、レーザ光LR、LG及びLBの光軸合わせを行うための光学系であり、第1のダイクロイックミラー40a及び第2のダイクロイックミラー40bから構成されている。第1のダイクロイックミラー40aは、光軸LAに対して45°の傾斜を持って光軸LA上に設置されており、レーザ光LRを光軸LAに沿って第2のダイクロイックミラー40bに向けて透過する一方、レーザ光LGを光軸LAに一致するように第2のダイクロイックミラー40bに向けて反射する。第2のダイクロイックミラー40bは、光軸LAに対して45°の傾斜を持って光軸LA上に設置されており、レーザ光LR及びレーザ光LGを光軸LAに沿ってレーザ走査部50に向けて透過する一方、レーザ光LBを光軸LAに一致するようにレーザ走査部50に向けて反射する。
【0050】
レーザ走査部(走査手段)50は、共振型のMEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナであり、走査駆動部60から入力される走査駆動信号に基づいて、光軸合わせ用光学系40を介して入射されるレーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100上に走査する。以下、このレーザ走査部50の詳細な構成について説明する。
【0051】
図5は、MEMSスキャナであるレーザ走査部50の構成概略図である。この図5に示すように、レーザ走査部50は、反射ミラー50a、第1のトーションバネ50b、内枠部50c、第2のトーションバネ50d及び外枠部50eから構成されている。なお、これら反射ミラー50a、第1のトーションバネ50b、内枠部50c、第2のトーションバネ50d及び外枠部50eは、単結晶シリコン等の半導体材料を微細加工することにより一体形成されたものである。
【0052】
反射ミラー50aは、反射面側にレーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100に向けて反射するため反射膜が形成された板状物であり、反射面に沿った第1の軸AX1(XY面が水平面の場合は、水平面に略垂直)に沿って設けられた第1のトーションバネ(第1の回転支持部)50bによって内枠部50cと連結されている。つまり、この反射ミラー50aは、第1のトーションバネ50bによって第1の軸AX1回りに回転可能に支持されている。反射ミラー50aの形状は、図5に示すような正方形でも良いし、または、円形や楕円形でも良い。
【0053】
内枠部50cは、額縁形の板状物であり、第1のトーションバネ50bによって反射ミラー50aと連結されていると共に、反射面に沿い、かつ、前記第1の軸AX1に略直交する第2の軸AX2(XY面が水平面の場合は、水平面に略平行)に沿って設けられた第2のトーションバネ(第2の回転支持部)50dによって外枠部50eと連結されている。つまり、この内枠部50c(反射ミラー50a)は、第2のトーションバネ50dによって第2の軸AX2回りに回転可能に支持されている。外枠部50eは、額縁形の板状物であり、第2のトーションバネ50dによって内枠部50cと連結されていると共に、図示しない固定部に連結されている。なお、本実施形態では、光軸LAがX軸と平行になるように設定しているので、第2の軸AX2をX軸と平行に設定すると、レーザ光LR、LG及びLBが外枠部50eによって遮光され、反射ミラー50aに入射しなくなる。これを防ぐため、本実施形態では、図5に示すように、第2の軸AX2が光軸LA(X軸)に対して傾きφを有するようにレーザ走査部50を配置する。
【0054】
このような構成のレーザ走査部50は、反射ミラー50aを第1の軸AX1回りに回転させることにより、レーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100上のX軸方向に走査(つまり水平方向走査)し、また、反射ミラー50a(内枠部50c)を第2の軸AX2回りに回転させることにより、レーザ光LR、LG及びLBをスクリーン100上のZ軸方向に走査(つまり垂直方向走査)する。なお、反射ミラー50aを回転させる駆動方式としては、特開2007−47354号公報に記載されているように、所定の位置に配置された電極に走査駆動信号として電圧信号を印加することにより発生する静電力を利用する方式を採用しても良いし、その他、永久磁石を設けて磁場を形成し、反射ミラー50aや内枠部50cに設けたコイルに走査駆動信号として電流信号を流すことにより発生するローレンツ力を利用する方式を採用しても良い。このようなMEMSスキャナにおける反射ミラー50aの駆動方式については、公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0055】
図1に戻って説明を続けると、走査駆動部60は、同期信号(垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync)を入力とし、これら垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsyncに基づいて、レーザ走査部50の反射ミラー50aを回転駆動するための走査駆動信号を生成してレーザ走査部50に出力する。
【0056】
照射位置検出部70は、レーザ光LR、LG及びLBのスクリーン100上における照射位置を検出するものであり、水平角度センサ70a、垂直角度センサ70b及びタイミング信号発生回路70cから構成されている。水平角度センサ70aは、反射ミラー50aの第1の軸AX1回りの回転角θ1を検出し、当該回転角θ1を示す水平角度検出信号をタイミング信号発生回路70cに出力する。垂直角度センサ70bは、反射ミラー50aの第2の軸AX2回りの回転角θ2を検出し、当該回転角θ2を示す垂直角度検出信号をタイミング信号発生回路70cに出力する。これら水平角度センサ70a及び垂直角度センサ70bとしては、反射ミラー50aの裏面(レーザ光の反射面の反対側の面)に光を照射し、裏面によって反射された光を受光することで角度を検出する光方式の角度センサを用いる。
【0057】
図6に示すように、水平角度センサ70aが検出する回転角θ1とは、XY平面におけるY軸に対する反射ミラー50aの角度である。また、図6に示すように、幅Wを有するスクリーン100の中央点C0からX軸方向に距離Xだけ離れた位置をレーザ光の照射位置Qとすると、照射位置Qの水平走査方向の座標Qxは、反射ミラー50aとスクリーン100との間の距離dがわかっていれば、回転角θ1の関数で表される。一方、垂直角度センサ70bが検出する回転角θ2とは、YZ平面におけるY軸に対する反射ミラー50aの角度であり、照射位置Qの垂直走査方向の座標Qyは回転角θ2の関数で表される。
つまり、反射ミラー50aの回転角θ1及び回転角θ2を検出すれば、照射位置Q(Qx、Qy)を一義的に求めることができる。
【0058】
タイミング信号発生回路70cは、上記の回転角θ1を示す水平角度検出信号を基に、1水平走査期間の開始及び終了を規定するパルス状の走査タイミング信号Stを生成して映像信号処理回路10及び画素同期クロック発生回路80に出力する。また、このタイミング信号発生回路70cは、上記の回転角θ2を示す垂直角度検出信号を基に、1フレームの開始を規定するパルス状のフレームタイミング信号Ftを生成して映像信号処理回路10に出力する。
【0059】
具体的には、タイミング信号発生回路70には、上述した反射ミラー50aの回転角θ1及び回転角θ2と照射位置Qとの一義的な関係を基に、1水平走査期間の開始位置及び終了位置に相当する照射位置Qに応じた回転角θ1と、1フレームの開始位置に相当する照射位置Qに応じた回転角θ2とが予め設定されており、タイミング信号発生回路70は、水平角度検出信号が示す回転角θ1が予め設定された回転角θ1と一致した場合に走査タイミング信号Stを出力し、また、垂直角度検出信号が示す回転角θ2が予め設定された回転角θ2と一致した場合にフレームタイミング信号Ftを出力する。
【0060】
画素同期クロック発生回路80は、走査タイミング信号Stを入力とし、当該走査タイミング信号Stを基に、1水平走査期間における各画素に対応するレーザ光LR、LG及びLBの照射タイミングを規定するパルス状の画素同期クロック信号CLを生成して映像信号処理回路10及び光量補正回路93に出力する。なお、この画素同期クロック信号CLは、各色に対応する補正系回路ブロックの光量補正回路に出力される。
【0061】
光電変換素子90は、例えばフォトダイオードであり、受光面を光軸LAに向けて配置され、レーザ光LRの光量に応じた電流信号をI/V変換器91に出力する。I/V変換器91は、上記光電変換素子90から入力される電流信号を電圧信号に変換してA/D変換器92に出力する。A/D変換器92は、上記I/V変換器91から入力される電圧信号をデジタルデータ(光量測定データ)Dpdに変換して光量補正回路93に出力する。
【0062】
ここで、光量補正回路(光量補正手段)93の詳細な構成を説明するに当たって、その前提となる本実施形態における光量補正の原理について説明する。
今、目標光量TをT=M・Dと表し、実際のレーザ光量PをP=a・D+bと表すものとする。ここで、Dは各色の階調データが示す階調値、Mは係数、a及びbは変数(aは第1の変数、bは第2の変数)である。
【0063】
図7(a)に示すように、ある階調値Dkに対応する目標光量をTk、レーザ光量をPkとすると、PkとTkとの差は光量誤差δkで表される。この光量誤差δkを最小化するように閾値電流指令値Dapc1及び階調電流指令値Dapc2を設定することが、本実施形態における光量補正の基本的な考え方である。
【0064】
図7(b)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数bが大きくなった場合、図7(c)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数bが小さくなった場合、図7(d)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数aが大きくなった場合、図7(e)は、レーザ特性が変化してレーザ光量Pの変数aが小さくなった場合を示したものである。変数bは閾値電流Ithに対応する変数であり、変数aは微分効率ηに対応する変数であるので、図7(b)及び(c)の場合は閾値電流Ithを補正し、図7(d)及び(e)の場合は微分効率ηを補正すれば良いことがわかる。つまり、閾値電流指令値Dapc1によって閾値電流Ithを補正し、階調電流指令値Dapc2によって微分効率ηを補正する。
【0065】
上記のように、閾値電流指令値Dapc1及び階調電流指令値Dapc2を設定するためには、ある階調値Dに対応する目標光量Tと、実測値であるレーザ光量Pとの光量誤差δ(=P−T)を測定する必要があるが、この測定回数が少ないと測定誤差による設定値の不正確さが生じるため、測定回数を増やして逐次的に測定精度を改善することが望ましい。本実施形態では、光量誤差δの2乗和の最小値を逐次的に最速に探索可能な最急降下法を用いた最小2乗法を利用する。
【0066】
ここで、階調値Dを設定して、レーザ光量Pを測定する手順をk番目まで繰り返した時、階調値{D1、D2、・・、Di、・・、Dk}に対する、レーザ光量を{P1、P2、・・、Pi、・・、Pk}、目標光量を{T1、T2、・・、Ti、・・、Tk}とする。評価関数εkを下記(1)式のように光量誤差の2乗和として表し、この評価関数εkを最小化する変数a、bを各iについて逐次的に求める。変数a、bの変化による傾斜を求めて、その方向にa、bを補正する最急降下法を用いると、ak、bkは下記(2)式、(3)式で表すことができる。なお、下記(2)式、(3)式において、μa及びμbは係数である。
【0067】
【数1】
【0068】
上記(2)式において、∂εk/∂aは下記(4)式で表され、上記(3)式において、∂εk/∂bは、下記(5)式で表される。従って、(2)式及び(4)式から下記(6)式が導かれ、(3)式及び(5)式から下記(7)式が導かれる。さらに、逐次的に計算できるように変形すると、下記(8)式〜(12)式が得られる。
【0069】
【数2】
【0070】
変数bは閾値電流Ithに対応する変数であり、変数aは微分効率ηに対応する変数であるので、上記(10)式に示すように、微分効率ηは光量誤差と階調値との積の積算値によって補正し、上記(12)式に示すように、閾値電流Ithは光量誤差の積算値によって補正すれば良いことがわかる。
【0071】
さて、以上説明した原理を回路に変換する方法を以下に説明する。
まず、以上の方法を図で示すと図8のようになる。DA変換器94、95からAD変換器92までのレーザドライバ、レーザダイオード、光電変換素子90などを制御対象400として、レーザ光量Pと諧調値Dから閾値電流指令値Dapc1と階調電流指令値Dapc2を計算することになる。
【0072】
ここで、制御対象400について説明する。レーザ駆動電流I、レーザ光量W、光電変換素子90の出力電流Ipd、I/V変換器91の出力電圧VL、A/D変換器92の出力値P、閾値電流指令電圧Vapc1、階調電流指令電圧Vapc2を下記(13)式〜(19)式のように表す。なお、下記(13)式〜(19)式において、H1、H2、F、Kpd、R、Gad、Gdaは係数である。
【0073】
【数3】
【0074】
上記(17)式に、他の式を順次代入すると、下記(20)式が得られる。一方、上述したように、P=a・D+bと定義しているため、(20)式から変数aは下記(21)式で表され、変数bは下記(22)式で表される。つまり、(21)式を変形することで、変換要素406において、補正後のakを階調電流指令値Dapc2に変換するための変換式である(23)式が得られる。また、(22)式を変形することで、変換要素409において、補正後のbkを閾値電流指令値Dapc1に変換するための変換式である(24)式が得られる。
【0075】
【数4】
【0076】
閾値電流指令値Dapc1を計算する部分に注目すると、図9(a)のように、誤差積算要素407、補正要素408と変数変換要素409が直列に接続されている。これをそのまま遅延要素410、411を使ってブロック図で表すと図9(b)のようになる。遅延要素410は誤差の積算を行い、遅延要素411はパラメータbの逐次補正を行う。このブロック図を簡略化するため、式(11)を変形して式(25)にする。式(25)のbを式(26)で変数変換すると式(27)になる。式(27)をブロック図で表現すれば図9(c)のようになり、遅延要素410の出力を利得要素413でμb/K倍して遅延要素412へ送ることで図9(b)と等価な動作をする。
【0077】
【数5】
【0078】
さて、遅延要素をフリップフロップで実現するため、演算の桁落ちを防止する必要がある。そのために各所に利得調整のための演算器を挿入した上で遅延要素をフリップフロップで置き換えると図9(d)のようになる。図9(c)と(d)が等価な動作をするためには、各利得が式(28)の関係を満たせばよい。尚、フリップフロップ414の出力はSak、をスケーリングした変数であり、フリップフロップ415の出力はbkを変数変換した変数であるが、煩雑になるので、以後Sbkやbkと表現して説明する場合がある。
【0079】
【数6】
【0080】
続いて、図8の階調電流指令値Dapc2を計算する部分に注目する。この部分を取り出すと図10(a)のように誤差積算要素404、補正要素405と変数変換要素406が直列に接続されている。遅延要素を使ってブロック図で表現すれば図10(b)の様になる。この図を見ると利得要素420を移動し、図10(c)の様にしても入出力間の動作は変わらないことがわかる。これは、式(9)を式(29)に変形し、式(30)で変数を置き換え式(31)にすることで対応する。
【0081】
【数7】
【0082】
さて、前と同様に各所に利得を挿入した上で遅延要素をフリップフロップで置き換えると図10(d)が得られる。ここで利得要素426は回路の共通化のための利得調整用に挿入した。各利得が式(32)を満たせば図10(c)と(d)は等価な動作となる。尚、フリップフロップ427の出力はSak、をスケーリングした変数であり、フリップフロップ428の出力はakをスケーリングした変数であるが、煩雑になるので、以後Sakやbkと表現して説明する場合がある。
【0083】
【数8】
【0084】
以上のような本実施形態における光量補正の原理を前提とし、以下では、図11を参照して光量補正回路93の詳細な構成について説明する。図11に示すように、光量補正回路93は、初期設定回路300、M乗算器301、減算器302、乗算器303、G7除算器304、G3除算器305、加算器306、フリッピフロップ307、G2除算器308、減算器310、フリップフロップ311、G1除算器312、G6除算器314、加算器315、フリップフロップ316、G5除算器317、減算器319、フリップフロップ320、G4減算器321、G1乗算器323、G4乗算器324から構成されている。
【0085】
初期設定回路300は、本画像表示装置LSDの電源投入時またはリセット時において、光量測定データDpdが示す光量測定値Piに基づいて、閾値電流指令値Dapc1及び階調電流指令値Dapc2を調整することで所定の初期設定動作を行う。また、この初期設定回路300は、初期設定動作中に使用する各色の階調データDR、DG、DBを各色のレーザドライバ20R、20G、20Bに出力する機能を備えている。なお、この初期設定動作の詳細については後述する。
【0086】
M乗算器301は、各色の階調データDR、DG、DBが示す階調値Diと係数Mとの積を、目標光量Ti(=M・Di)として減算器302に出力する。減算器302は、光量測定値Piから目標光量Tiを差し引いた値を、光量誤差δi(=Pi−Ti)として乗算器303及びG6除算器314に出力する。
【0087】
乗算器303は、階調値Diと光量誤差δiとの積(以下、モーメントMTiと称す)をG7除算器304に出力する。G7除算器304は、モーメントMTiを係数G7で除算した値をG3除算器305に出力する。G3除算器305は、G7除算器304の出力値(MTi/G7)を係数G3で除算した値を加算器306に出力する。
【0088】
加算器306は、G3除算器305の出力値(MTi/(G7・G3))とフリップフロップ307の出力値との加算値をフリップフロップ307のD入力端子に出力する。フリップフロップ307は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。つまり、加算器306及びフリップフロップ307によって、モーメントMTi(=δi・Di)の積算回路が構成されており、フリップフロップ307の出力値は、モーメントMTiの積算値となる。以下、このモーメントMTiの積算値をSakとする。なお、Sak=δ1・D1+・・+δi・Di+・・+δk・Dkである。
【0089】
G2除算器308は、モーメントMTiの積算値Sakを係数G2で除算した値を減算器310に出力する。減算器310は、フリップフロップ311の出力値からG2除算器308の出力値(=Sak/G2)を差し引いた値をフリップフロップ311のD入力端子に出力する。フリップフロップ311は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。ここで、フリップフロップ311の初期の出力値ak−1として、初期設定回路300によって初期設定された階調電流指令値Dapc2に、G1乗算器323によって係数G1が乗算された値がロードされている。つまり、減算器310及びフリップフロップ311によって、上記(9)式で表されるak=ak−1−μa・Sakを計算する補正回路が構成されており、フリップフロップ311の出力値はakとなる。
【0090】
G1除算器312は、フリップフロップ311の出力値akを係数G1で除算した値を階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力する。
【0091】
G6除算器314は、光量誤差δiを係数G6で除算した値を加算器315に出力する。加算器315は、G6除算器314の出力値(=δi/G6)とフリップフロップ316の出力値との加算値をフリップフロップ316のD入力端子に出力する。フリップフロップ316は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。つまり、加算器315及びフリップフロップ316によって、光量誤差δiの積算回路が構成されており、フリップフロップ316の出力値は、光量誤差δiの積算値となる。以下、この光量誤差δiの積算値をSbkとする。なお、Sbk=δ1+・・+δi+・・+δkである。
【0092】
G5除算器317は、光量誤差δiの積算値をSbkを係数G5で除算した値を減算器319に出力する。減算器319は、フリップフロップ320の出力値からG5除算器317の出力値(=Sbk/G5)を差し引いた値をフリップフロップ320のD入力端子に出力する。フリップフロップ320は、D型フリップフロップであり、画素同期クロック信号CLに同期してD入力端子の入力値を出力値として反映する。ここで、フリップフロップ320の初期の出力値bk−1として、初期設定回路300によって初期設定された閾値電流指令値Dapc1に、G4乗算器324によって係数G4が乗算された値がロードされている。つまり、減算器319及びフリップフロップ320によって、上記(11)式で表されるbk=bk−1−μb・Sbkを計算する補正回路が構成されており、フリップフロップ320の出力値はbkとなる。
【0093】
G4除算器321は、フリップフロップ320の出力値bkを係数G4で除算した値を閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力する。
尚、G7除算器304を設けることで、G3=G6,G2=G5,G1=G4とすることが可能となり、回路の共用化が可能となり回路規模の削減をすることができる。
【0094】
以上が光量補正回路93の説明であり、以下、図1に再び戻って説明する。
D/A変換器94は、上述した光量補正回路93から入力される閾値電流指令値Dapc1を閾値電流指令電圧Vapc1(=Gda・Dapc1)に変換して、赤色レーザドライバ20Rに出力する。D/A変換器95は、上述した光量補正回路93から入力される階調電流指令値Dapc2を階調電流指令電圧Vapc2(=Gda・Dapc2)に変換して、赤色レーザドライバ20Rに出力する。
なお、上記では、赤色用の補正系回路ブロックを代表的に用いて説明したが、緑色用及び青色用の補正系回路ブロックについても同様である。
【0095】
スクリーン100は、レーザ走査部50によって走査されたレーザ光LR、LG及びLBを透過する透過型スクリーンである。つまり、本画像表示装置LSDは背面投射型プロジェクタであり、ユーザは、スクリーン100におけるレーザ光LR、LG及びLBの照射面の反対側の面から表示画像を鑑賞することになる。また、図1では省略しているが、本画像表示装置LSDは、スクリーン100の鑑賞側の面のみを露出させて、その他の構成要素は筐体内部に収納されており、外部の光の影響を排除するような構造となっている。
【0096】
次に、上記のように構成された本実施形態における画像表示装置LSDの動作について説明する。なお、以下では、赤色用の補正系回路ブロックを代表的に用いて説明するが、緑色用及び青色用の補正系回路ブロックについても同様である。
【0097】
(電源投入時の初期設定動作)
まず、電源投入時における光量補正回路93の初期設定回路300による初期設定動作について説明する。図12は、A/D変換器92の出力であるDpd(つまり赤色のレーザ光量実測値P)と、レーザ駆動電流との対応関係を示す特性図である。図12に示すように、特性曲線自体は図4と同じ形となるが、I/V変換器91のオフセットにより、Dpdにはオフセットが発生していることがわかる。電源投入時における初期設定回路300の初期設定動作とは、このDpdに重畳しているオフセットを補正するために行われるものである。
【0098】
図13は、光量補正回路93の初期設定回路300による初期設定動作を示すフローチャートである。まず、初期設定回路300は、赤色レーザダイオード30Rを完全に消灯させるために、閾値電流指令値Dapc1=0、階調電流指令値Dapc2=0に設定し、階調値D=0を示す赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20Rに出力する(ステップS1)。これにより、赤色レーザドライバ20Rから赤色レーザダイオード30Rに供給されるレーザ駆動電流IRは完全に零となり、赤色レーザダイオード30Rは完全に消灯する。初期設定回路300は、この時、A/D変換器92から入力されるDpdを黒レベルの実測値Dpd0として取得する(ステップS2)
【0099】
続いて、初期設定回路300は、閾値電流指令値Dapc1を第1単位量増加させ(ステップS3)、この時のDpdを取得する(ステップS4)。そして、初期設定回路300は、Dpd−Dpd0の値が、図12に示すような明らかな発光状態に設定された設定光量1より大きいか否かを判定し(ステップS5)、「NO」の場合、ステップS3に戻ってステップS3〜S5の処理を繰り返す。
【0100】
一方、ステップS5において、「YES」、つまりDpd−Dpd0>設定光量1の場合、初期設定回路300は、閾値電流指令値Dapc1を第2単位量減少させ(ステップS6)、この時のDpdを取得する(ステップS7)。そして、初期設定回路300は、Dpd−Dpd0>設定光量2−許容誤差、且つDpd−Dpd0<設定光量2+許容誤差という条件を満たすか否かを判定し(ステップS8)、「NO」の場合、ステップS6に戻ってステップS6〜S8の処理を繰り返す。ここで、設定光量2は、図12に示すように黒レベルと看做される値に設定されている。
【0101】
一方、ステップS8において、「YES」の場合、初期設定回路300は、その時のDapc1の値を閾値電流指令値Dapc1の初期値として設定する(ステップS9)。それと同時に、初期設定回路300は、この閾値電流指令値Dapc1の初期値をG4乗算器324に出力し、G4乗算器324によって閾値電流指令値Dapc1の初期値に係数G4が乗算された値がフリップフロップ320の初期の出力値bk−1としてフリップフロップ320にロードされる。
【0102】
続いて、初期設定回路300は、階調値D=15(つまり最大階調値)を示す赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20Rに出力し(ステップS10)、階調電流指令値Dapc2を第3単位量増加させ(ステップS11)、この時のDpdを取得する(ステップS12)。そして、初期設定回路300は、Dpd−Dpd0>設定光量3−許容誤差、且つDpd−Dpd0<設定光量3+許容誤差という条件を満たすか否かを判定し(ステップS13)、「NO」の場合、ステップS10に戻ってステップS10〜S13の処理を繰り返す。ここで、設定光量3は、図12に示すように最大発光量の目標値に設定されている。
【0103】
一方、ステップS13において、「YES」の場合、初期設定回路300は、その時のDapc2の値を階調電流指令値Dapc2の初期値として設定する(ステップS14)。それと同時に、初期設定回路300は、この階調電流指令値Dapc2の初期値をG1乗算器323に出力し、G1乗算器323によって閾値電流指令値Dapc2の初期値に係数G1が乗算された値がフリップフロップ311の初期の出力値ak−1としてフリップフロップ311にロードされる。以上のような初期設定動作により、Dpdに重畳しているオフセットが補正された閾値電流指令値Dapc1の初期値と階調電流指令値Dapc2の初期値とが設定される。
なお、上述した初期設定動作は、緑色用及び青色用の補正系回路ブロックにおいても同様に行われる。
【0104】
(定常動作)
次に、本画像表示装置LSDの定常時における動作について、図14のタイミングチャートを参照して説明する。
ここで、既に外部の画像供給装置から映像信号及び同期信号(垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync)が入力されており、映像信号処理回路10は、映像信号及び同期信号を基に表示すべき画像の各画素に対応する階調値を規定するデジタル階調データを生成し、当該デジタル階調データを1フレーム単位で内部メモリに格納しているものとする。
【0105】
また、同期信号の入力に伴って走査駆動部60から出力される走査駆動信号によってレーザ走査部50の反射ミラー50aは回転を始め、時刻t1に、反射ミラー50aの垂直走査方向に対する回転角θ2がスクリーン100上における1フレームの開始位置に対応する角度と一致し、また、時刻t2には、反射ミラー50aの水平走査方向に対する回転角θ1がスクリーン100上における1水平走査期間の開始位置に対応する角度と一致したものと想定する。つまり、時刻t1にタイミング信号発生回路70cから1フレームの開始を規定するフレームタイミング信号Ftが出力され、また、時刻t2に1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stが出力される。さらに、時刻t3に、反射ミラー50aの水平走査方向に対する回転角θ1がスクリーン100上における1水平走査期間の終了位置に対応する角度と一致したものと想定する。つまり、時刻t3にタイミング信号発生回路70cから1水平走査期間の終了を規定する走査タイミング信号Stが出力される。
【0106】
このような時刻t2において、画素同期クロック発生回路80は、1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stが入力されると、1水平走査期間における各画素に対応するレーザ光LR、LG及びLBの照射タイミングを規定する画素同期クロック信号CLを生成して映像信号処理回路10及び光量補正回路93に出力する。上述したように、1水平走査期間における回転角θ1、つまり照射位置Qxは、1水平走査期間の開始から経過した時間と一義的な関係にあるため、当然、1水平走査期間における各画素に対応する照射位置Qxと経過時間とは一義的な関係にある。従って、本実施形態では、図14に示すように、1水平走査期間における各画素に対応する照射位置Qxと経過時間との一義的な関係を基に、1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stが入力された後、経過時間に応じて各画素に対応するレーザ光LR、LG及びLBの照射タイミングを規定するパルス状の画素同期クロック信号CLを生成する。
【0107】
図14からわかるように、画素同期クロック信号CLのパルス間隔は、照射位置Qx、つまり経過時間に応じて変化する。例えば、スクリーン100の中央付近となる時刻t13〜t17付近ではパルス間隔は短くなり、スクリーン100の両端付近ではパルス間隔は長くなる。これは、MEMSスキャナであるレーザ走査部50の特性上、反射ミラー50aの回転角θ1の変化速度(走査速度)が経過時間に応じて正弦波状に変化するためである。
【0108】
一方、映像信号処理回路10は、1フレームの開始を規定するフレームタイミング信号Ftと、1水平走査期間の開始を規定する走査タイミング信号Stとが入力されると、内部メモリにおける1番目のフレームのデジタル階調データを格納している記憶領域から1行目の水平走査期間に対応する各画素のデジタル階調データ(赤色階調データDR、緑色階調データDG、青色階調データDB)を読み出し、画素同期クロック信号CLに同期して、赤色階調データDR、緑色階調データDG、青色階調データDBを順次出力する。具体的には、図14に示すように、映像信号処理回路10は、時刻t2に最初の画素同期クロック信号CLが入力されると、1水平走査期間の開始位置(1列目)に対応する赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20R及び光量補正回路93に出力する。
なお、以下では、説明の便宜上、赤色階調データDRに着目して説明する。
【0109】
ここで、光量補正回路93に入力される赤色階調データDRが示す階調値をD1とし、A/D変換器92から光量補正回路93に出力される光量測定データDpdが示す光量実測値をP1とする。この場合、図11に示す光量補正回路93において、M乗算器301の出力値はT1=M・D1となり、減算器302の出力値はδ1=P1−M・D1となり、乗算器303の出力値はD1・δ1となり、フリップフロップ307の出力値はSa1=D1・δ1となり、フリップフロップ311の出力値はa1=a0(階調電流指令値Dapc2の初期値)−μa・Sa1となる。このようなa1は階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力され、D/A変換器95によって階調電流指令電圧Vapc2に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第1の電流源CS1に出力される。
【0110】
一方、フリップフロップ316の出力値はSb1=δ1となり、フリップフロップ320の出力値はb1=b0(閾値電流指令値Dapc1の初期値)−μb・Sb1となる。このようなb1は閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力され、D/A変換器94によって閾値電流指令電圧Vapc1に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第2の電流源CS2に出力される。
【0111】
これにより、赤色レーザドライバ20Rには、1水平走査期間の開始位置(1列目)に対応する赤色画素用の赤色階調データDRと、階調電流指令電圧Vapc2と、閾値電流指令電圧Vapc1とが入力されるので、IR=H2・Vapc2・D1+H1・Vapc1で表されるレーザ駆動電流が生成され、赤色レーザダイオード30Rに供給される。これにより、赤色レーザダイオード30Rは、1列目の赤色画素の階調値に応じたレーザ光LRを発生し、このレーザ光LRは反射ミラー50aによって、1水平走査期間の1列目の赤色画素に対応する照射位置Qxに照射される。
【0112】
続いて、図14に示すように、時刻t10に、1水平走査期間の2列目に対応する画素同期クロック信号が発生すると、映像信号処理回路10は、1水平走査期間の2列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20R及び光量補正回路93に出力する。
【0113】
ここで、光量補正回路93に入力される赤色階調データDRが示す階調値をD2とし、A/D変換器92から光量補正回路93に出力される光量測定データDpdが示す光量実測値をP2とする。この場合、図11に示す光量補正回路93において、M乗算器301の出力値はT2=M・D2となり、減算器302の出力値はδ2=P2−M・D2となり、乗算器303の出力値はD2・δ2となり、フリップフロップ307の出力値はSa2=D
1・δ1+D2・δ2となり、フリップフロップ311の出力値はa2=a1−μa・Sa2となる。このようなa2は階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力され、D/A変換器95によって階調電流指令電圧Vapc2に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第1の電流源CS1に出力される。
【0114】
一方、フリップフロップ316の出力値はSb2=δ1+δ2となり、フリップフロップ320の出力値はb2=b1−μb・Sb2となる。このようなb2は閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力され、D/A変換器94によって閾値電流指令電圧Vapc1に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第2の電流源CS2に出力される。
【0115】
これにより、赤色レーザドライバ20Rには、1水平走査期間の2列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRと、階調電流指令電圧Vapc2と、閾値電流指令電圧Vapc1とが入力されるので、IR=H2・Vapc2・D2+H1・Vapc1で表されるレーザ駆動電流が生成され、赤色レーザダイオード30Rに供給される。これにより、赤色レーザダイオード30Rは、2列目の赤色画素の階調値に応じたレーザ光LRを発生し、このレーザ光LRは反射ミラー50aによって、1水平走査期間の2列目の赤色画素に対応する照射位置Qxに照射される。
【0116】
続いて、図14に示すように、時刻t11に、1水平走査期間の3列目に対応する画素同期クロック信号が発生すると、映像信号処理回路10は、1水平走査期間の3列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRを赤色レーザドライバ20R及び光量補正回路93に出力する。
【0117】
ここで、光量補正回路93に入力される赤色階調データDRが示す階調値をD3とし、A/D変換器92から光量補正回路93に出力される光量測定データDpdが示す光量実測値をP3とする。この場合、図11に示す光量補正回路93において、M乗算器301の出力値はT3=M・D3となり、減算器302の出力値はδ3=P3−M・D3となり、乗算器303の出力値はD3・δ3となり、フリップフロップ307の出力値はSa3=D
1・δ1+D2・δ2+D3・δ3となり、フリップフロップ311の出力値はa3=a2−μa・Sa3となる。このようなa3は階調電流指令値Dapc2としてD/A変換器95に出力され、D/A変換器95によって階調電流指令電圧Vapc2に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第1の電流源CS1に出力される。
【0118】
一方、フリップフロップ316の出力値はSb3=δ1+δ2+δ3となり、フリップフロップ320の出力値はb3=b2−μb・Sb3となる。このようなb3は閾値電流指令値Dapc1としてD/A変換器94に出力され、D/A変換器94によって閾値電流指令電圧Vapc1に変換されて、赤色レーザドライバ20Rの第2の電流源CS2に出力される。
【0119】
これにより、赤色レーザドライバ20Rには、1水平走査期間の3列目に対応する赤色画素用の赤色階調データDRと、階調電流指令電圧Vapc2と、閾値電流指令電圧Vapc1とが入力されるので、IR=H2・Vapc2・D3+H1・Vapc1で表されるレーザ駆動電流が生成され、赤色レーザダイオード30Rに供給される。これにより、赤色レーザダイオード30Rは、3列目の赤色画素の階調値に応じたレーザ光LRを発生し、このレーザ光LRは反射ミラー50aによって、1水平走査期間の3列目の赤色画素に対応する照射位置Qxに照射される。
以下同様な動作が、1水平走査期間の最終列目(図14の時刻t20に相当)まで繰り返され、時刻t2からt3までの1水平走査期間における画像がスクリーン100に表示されることになる。
【0120】
また、図14において、時刻t4〜t5の期間は次の(2行目の)1水平走査期間を示し、時刻t6〜t7の期間は3行目の1水平走査期間を示し、時刻t8〜t9の期間は4行目の1水平走査期間を示しており、それぞれの1水平走査期間内において上記と同様な動作が行われ、最終行目の1水平走査期間が終了することにより、1フレーム分の画像がスクリーン100に表示されることになる。なお、1水平走査期間が終了する毎に、反射ミラー50aの垂直走査方向の回転角θ2が次の水平走査期間に対応する角度に変化することは勿論である。
なお、上記の説明では、赤色階調データDRに着目して説明したが、緑色階調データDG及び青色階調データDBについても、それらに対応する補正系回路ブロックにより、同様な光量補正が行われる。
【0121】
以上のように、本実施形態に係る画像表示装置LSDによれば、表示動作を行いながら、目標光量と光量実測値との差である光量誤差を最小化するような変数a及びbを逐次的に求めて、その変数a及びbを基に、閾値電流Ithを補正することのできる閾値電流指令値Dapc1と、微分効率ηを補正することのできる階調電流指令値Dapc2を設定することにより、動作中の温度変化等に起因するレーザ特性の変化に応じた光量補正をリアルタイムに行うことができると共に、高い光量補正精度を得られるため、表示品質の向上を図ることができる。
【0122】
ところで、目標光量Tに対するレーザ光量実測値Pのズレが、図15に示すような状態になった場合、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakが、ほぼ零となってしまい、光量補正回路93における補正動作が停止するという現象が発生する可能性がある。このような現象を防止するためには、図16に示すように、モーメントを求める際に使用する階調値を、最小階調値から最大階調値までの中間値とすることにより、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakがほぼ零となることを防止することができ、光量補正回路93における補正動作の停止を防止することができる。
【0123】
また、階調値の平均値を逐次的に計算して、この平均値をモーメントを求める際に使用する階調値として使用することにより、上記と同様に、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakがほぼ零となることを防止することができる。これを式で説明すれば、式(10)に代えて式(33)のように階調値Dkと階調平均値Daveの差と光量誤差の積の積算値を計算することになる。この場合、図17に示すように、乗算器303の前段に階調値Diの平均値を逐次的に計算する平均化回路330と、階調値からこの平均化回路330の出力値(階調平均値)を減算する減算器331とを設ければ良い。また、平均値だけでなく、予め設定された値、例えば8ビットの階調表現が可能であれば、階調値「128」をモーメントを求める際に使用しても良い。
【0124】
【数9】
【0125】
また、上記実施形態では、表示動作中に光量補正を行っていたが、階調値に偏り、例えば非常に暗い画像があると正常に光量補正を行えない可能性がある。この対策として、図14に示す時刻t3〜t4の期間や、時刻t5〜t6の期間のように、画像表示を行わない期間(スクリーン100上にレーザ光を走査しない期間)に、映像信号処理回路10によって所定の階調値(階調データ)や擬似的な画素同期クロック信号を発生することでレーザダイオードを発光させ、光量補正回路93にて光量補正動作を行うようにしても良い。
【0126】
また、上記実施形態において、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakを計算する際、直近のデータ(光量誤差と階調値との積の値)を重視することが望ましいため、過去のデータの重みを低くするようにしても良い。具体的には、図11に示すフリップフロップ307の出力端子から加算器306に至るフィードバック経路と、フリップフロップ316の出力端子から加算器315に至るフィードバック経路に、重み付け定数乗算器を設ければ良い。この重み付け定数は、例えば7/8のように1より小さい値に設定する。これにより、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakを計算する際に、過去のデータから順次忘却されるため、直近のデータに重きを置くことができる。
また、上記実施形態において、光量誤差の積算値Sbkと、光量誤差と階調値との積(モーメント)の積算値Sakに比例した値で、変数a及びbを逐次的に補正していたが、積算値Sbkと、積算値Sakの符号のより一定値の補正を変数a及びbに施してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、スクリーン100上にレーザ光を走査して画像を表示するレーザスキャンディスプレイを例示して説明したが、これに限定されず、LED(Light Emitting Diode)やその他の光源から発生する光を走査することで画像を表示する画像表示装置であっても本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、3色のレーザダイオードに対し一つのスキャナを用いるレーザスキャンディスプレイを例示して説明したが、これに限定されず、各色ごとにスキャナを設けるような構成にしても良い。
【0128】
また、上記実施形態において図3を参照して説明した赤色レーザドライバ20R(緑色レーザドライバ20R、青色レーザドライバ20B)の回路構成は、最大階調数に応じて適宜変更しても良い。つまり、上記実施形態では、最大階調数を「16(4ビット)」と想定したため、図3におけるカレントミラー回路の出力側トランジスタを4つ(第1の出力側トランジスタTo1〜第4の出力側トランジスタTo4)としたが、例えば最大階調数を「256(8ビット)」とした場合には、カレントミラー回路の出力側トランジスタを8つ設ければ良い(スイッチ素子も8つ設ける)。
【0129】
この場合、1ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの1/255の電流が生成されるように設定し、2ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの2/255の電流が生成されるように設定し、3ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの4/255の電流が生成されるように設定し、4ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの8/255の電流が生成されるように設定し、5ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの16/255の電流が生成されるように設定し、6ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの32/255の電流が生成されるように設定し、7ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの64/255の電流が生成されるように設定し、8ビット目のビットデータに対応する出力側トランジスタの電気的特性は、電流Isの128/255の電流が生成されるように設定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの構成ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける赤色レーザドライバ20Rの構成ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける赤色レーザドライバ20Rの回路構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける赤色レーザダイオード30Rのレーザ特性図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおけるレーザ走査部50の構成概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける水平角度センサ70aが検出する反射ミラー50aの回転角θ1に関する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93にて行われる光量補正の原理説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93に関する第1説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93に関する第2説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93に関する第3説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93の詳細構成図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93にて行われる初期設定動作に関する説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDにおける光量補正回路93にて行われる初期設定動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの定常動作を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの変形例に関する第1説明図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの変形例に関する第2説明図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る画像表示装置LSDの変形例に関する第3説明図である。
【符号の説明】
【0131】
LSD…画像表示装置、10…映像信号処理回路、20R…赤色レーザドライバ、20G…緑色レーザドライバ、20B…青色レーザドライバ、30R…赤色レーザダイオード、30G…緑色レーザダイオード、30B…青色レーザダイオード、40…光軸合わせ用光学系、50…レーザ走査部、60…走査駆動部、70…照射位置検出部、80…画素同期クロック発生回路、90…光電変換素子、91…I/V変換器、92…A/D変換器、93…光量補正回路、94、95…D/A変換器、100…スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置であって、
前記光源の光量を測定する光量測定手段と、
外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記光量測定手段によって測定された光量との差を光量誤差として算出し、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値に
より補正すると共に、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する光量補正手段と、
を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記駆動信号生成手段は、
外部から入力される階調データが示す階調値と前記光量補正手段から入力される階調電流指令信号とを基に、前記階調値に応じた階調電流を生成する階調電流生成手段と、
前記光量補正手段から入力される閾値電流指令信号に応じた閾値電流を生成する閾値電流生成手段と、
前記階調電流と前記閾値電流との加算電流を前記駆動信号として前記光源に供給する電流加算手段と、を備え、
前記光量補正手段は、
前記補正後の微分効率として前記微分効率に対応する第1の変数の今回値を、当該第1の変数の前回値から前記光量誤差と前記階調値との積の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第1の変数の今回値に応じた前記階調電流指令信号を前記階調電流生成手段に出力すると共に、前記補正後の閾値として前記閾値に対応する第2の変数の今回値を、当該第2の変数の前回値から前記光量誤差の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第2の変数の今回値に応じた前記閾値電流指令信号を前記閾値電流生成手段に出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記光量補正手段は、
前記光量誤差と前記階調値との積を算出する際に使用する階調値として、当該階調値の平均値、または予め設定された階調値、または最小階調値から最大階調値までの中間値、と当該階調値との差を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光量補正手段は、
前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める際に、過去の光量誤差と階調値との積の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算すると共に、前記光量誤差の積算値を求める際に、過去の光量誤差の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光量補正手段は、
電源投入時において、前記光量測定手段が有する測定光量のオフセットを補正するための初期設定動作として、
前記光源を完全に消灯するための、前記階調電流指令信号、前記閾値電流指令信号及び階調データを前記駆動信号生成手段に出力した際の前記測定光量を黒レベル光量として取得した後、前記閾値電流指令信号を増加して前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が所定の明るさを規定する第1の設定光量に到達した場合、前記閾値電流指令信号を減少させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が黒レベルと看做される第2の設定光量に到達した場合の前記閾値電流指令信号を当該閾値電流指令信号の初期値として設定する一方、最大階調値を示す階調データを前記駆動信号生成手段に出力し、前記階調電流指令信号を増加させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が最大目標発光量を規定する第3の設定光量に到達した場合の前記階調電流指令信号を当該階調電流指令信号の初期値として設定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光量補正手段は、
前記初期設定動作によって求めた前記閾値電流指令信号の初期値を、初回の前記第2の変数の今回値を求める際の前記第2の変数の前回値として使用すると共に、前記階調電流指令信号の初期値を、初回の前記第1の変数の今回値を求める際の前記第1の変数の前回値として使用することを特徴とする請求項5記載の光源装置。
【請求項7】
被投射面上に光を走査して画像を表示する画像表示装置であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置における光源から発生する光を前記被投射面上に走査する走査手段と、
外部から供給される映像信号を基に、表示すべき画像を表す前記階調データを生成すると共に、前記被投射面上における前記光の照射位置に応じた階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力する映像信号処理手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記被投射面上に光を走査しない期間において、
前記映像信号処理手段は、所定の階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力し、
前記光量補正手段は、前記光量測定手段によって測定された、前記所定の階調データに応じた光源の光量と、前記所定の階調データが示す階調値とに基づいて前記補正を行うことを特徴とする請求項7記載の画像表示装置。
【請求項9】
光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置に用いられる光量補正方法であって、
前記光源の光量を測定する第1の工程と、
外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記第1の工程によって測定された光量との差を光量誤差として算出する第2の工程と、
前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める第3の工程と、
前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正する第4の工程と、
前記光量誤差の積算値を求める第5の工程と、
前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正する第6の工程と、
前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する第7の工程と、
を有することを特徴とする光量補正方法。
【請求項1】
光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置であって、
前記光源の光量を測定する光量測定手段と、
外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記光量測定手段によって測定された光量との差を光量誤差として算出し、前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値に
より補正すると共に、前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正し、前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する光量補正手段と、
を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記駆動信号生成手段は、
外部から入力される階調データが示す階調値と前記光量補正手段から入力される階調電流指令信号とを基に、前記階調値に応じた階調電流を生成する階調電流生成手段と、
前記光量補正手段から入力される閾値電流指令信号に応じた閾値電流を生成する閾値電流生成手段と、
前記階調電流と前記閾値電流との加算電流を前記駆動信号として前記光源に供給する電流加算手段と、を備え、
前記光量補正手段は、
前記補正後の微分効率として前記微分効率に対応する第1の変数の今回値を、当該第1の変数の前回値から前記光量誤差と前記階調値との積の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第1の変数の今回値に応じた前記階調電流指令信号を前記階調電流生成手段に出力すると共に、前記補正後の閾値として前記閾値に対応する第2の変数の今回値を、当該第2の変数の前回値から前記光量誤差の積算値に比例した数値を減算することで求め、前記第2の変数の今回値に応じた前記閾値電流指令信号を前記閾値電流生成手段に出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記光量補正手段は、
前記光量誤差と前記階調値との積を算出する際に使用する階調値として、当該階調値の平均値、または予め設定された階調値、または最小階調値から最大階調値までの中間値、と当該階調値との差を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光量補正手段は、
前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める際に、過去の光量誤差と階調値との積の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算すると共に、前記光量誤差の積算値を求める際に、過去の光量誤差の値から順次忘却されるような重み付け定数を乗算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光量補正手段は、
電源投入時において、前記光量測定手段が有する測定光量のオフセットを補正するための初期設定動作として、
前記光源を完全に消灯するための、前記階調電流指令信号、前記閾値電流指令信号及び階調データを前記駆動信号生成手段に出力した際の前記測定光量を黒レベル光量として取得した後、前記閾値電流指令信号を増加して前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が所定の明るさを規定する第1の設定光量に到達した場合、前記閾値電流指令信号を減少させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が黒レベルと看做される第2の設定光量に到達した場合の前記閾値電流指令信号を当該閾値電流指令信号の初期値として設定する一方、最大階調値を示す階調データを前記駆動信号生成手段に出力し、前記階調電流指令信号を増加させ、前記測定光量から前記黒レベル光量を減算した値が最大目標発光量を規定する第3の設定光量に到達した場合の前記階調電流指令信号を当該階調電流指令信号の初期値として設定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光量補正手段は、
前記初期設定動作によって求めた前記閾値電流指令信号の初期値を、初回の前記第2の変数の今回値を求める際の前記第2の変数の前回値として使用すると共に、前記階調電流指令信号の初期値を、初回の前記第1の変数の今回値を求める際の前記第1の変数の前回値として使用することを特徴とする請求項5記載の光源装置。
【請求項7】
被投射面上に光を走査して画像を表示する画像表示装置であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置における光源から発生する光を前記被投射面上に走査する走査手段と、
外部から供給される映像信号を基に、表示すべき画像を表す前記階調データを生成すると共に、前記被投射面上における前記光の照射位置に応じた階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力する映像信号処理手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記被投射面上に光を走査しない期間において、
前記映像信号処理手段は、所定の階調データを前記光源装置における駆動信号生成手段及び光量補正手段に出力し、
前記光量補正手段は、前記光量測定手段によって測定された、前記所定の階調データに応じた光源の光量と、前記所定の階調データが示す階調値とに基づいて前記補正を行うことを特徴とする請求項7記載の画像表示装置。
【請求項9】
光源と、前記光源に駆動信号を供給する駆動信号生成手段とを備える光源装置に用いられる光量補正方法であって、
前記光源の光量を測定する第1の工程と、
外部から入力される階調データが示す階調値に応じた目標光量と、前記第1の工程によって測定された光量との差を光量誤差として算出する第2の工程と、
前記光量誤差と前記階調値との積の積算値を求める第3の工程と、
前記光源の駆動信号の変化量に対する光量の変化量で定義される微分効率を、前記光量誤差と前記階調値との積の積算値により補正する第4の工程と、
前記光量誤差の積算値を求める第5の工程と、
前記光源を発光させるために最低限必要な前記駆動信号の閾値を、前記光量誤差の積算値により補正する第6の工程と、
前記補正後の微分効率及び閾値を有する駆動信号を生成させるような指令信号を前記駆動信号生成手段に出力する第7の工程と、
を有することを特徴とする光量補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−98275(P2009−98275A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268004(P2007−268004)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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