説明

光源装置及び評価方法

【課題】2次元的な広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができるようにする。
【解決手段】明部又は暗部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を反映するように光を照射する光源装置を用いて、塗装外観面に光を照射し、光源装置によって塗装外観面に反映された光源像に基づいて、塗装外観面の光沢又は肌を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び評価方法に係り、特に、被評価面の光沢又は肌を評価するために光を照射する光源装置及び当該光源装置を用いた評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の外観検査工程などにおける光源としては一般に直管蛍光灯が用いられ、被評価物である塗膜に反映した光源像を観察して、明暗の境界部の乱れの程度によって塗装外観の良否を評価するのが一般的である。
【0003】
また、直管蛍光灯を用いる外観評価法を自動化するための装置において、直線状光源が用いられている(例えば、特許文献1〜特許文献4)。これらの特許文献では、自動車などの塗装外観の良否を検査する方法および装置が開示されており、いずれの特許文献も、白黒の縞状格子(光源)を塗装面に投影し、反射像を撮像したうえ、画像処理によって塗装面の光学平面とのずれを検出、評価する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204473号公報
【特許文献2】特公平6−19262号公報
【特許文献3】特許第2508176号
【特許文献4】特許第3412366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自動車の外観検査工程では、評価対象となる部位が、蛍光灯ランプの縁が反映されている部分に限られているため、離れた部位の光沢や肌を同時には評価することができない、という問題がある。また、離れた部位同士で光沢や肌が異なるかどうかを知るためには、多数の評価結果を一旦記録したのち、複数の評価結果を比較する必要があった。また、自動車の検査などでは、塗装面に反映される光源像のうち蛍光灯ランプ以外の部分には、蛍光灯ランプの背後にある物体が映し出されることがあり、その物体も照明されていて暗黒ではない。このため、蛍光灯ランプと背景物体との間での輝度のコントラストが十分には高くないおそれがあり、正しく評価できない。
【0006】
また、自動車塗装の外観のレベルが非常に向上しており、レベルの優劣差が小さいため、目視での検査では、熟練した検査員でなければ、正しく評価することができない。
【0007】
また、上記特許文献1〜4に記載の技術では、直線状の光源像を塗装面に反映させ、光源像の乱れを定量化することによって塗装面の平滑性を評価しており、上記の直管蛍光灯を用いる方法と同様に、塗装面の一部しか評価することができない、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、2次元的な広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができる光源装置及び評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る光源装置は、被評価面の光沢又は肌を評価するために前記被評価面に光を照射する光源装置であって、他の部分より明るく照射される明部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、前記被評価面に反映するように光を照射することを特徴としている。
【0010】
第1の発明では、光源装置によって、他の部分より明るく照射される明部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、被評価面に反映するように光を照射する。そして、被評価面に反映された光源像を観察することにより、被評価面の光沢又は肌が評価される。
【0011】
このように、光源装置を用いて、明部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を被評価面に反映するように光を照射し、被評価面に反映された光源像に基づいて、被評価面の光沢又は肌を評価することにより、2次元的に広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができる。
【0012】
第1の発明における他の部分を、光が照射されない非照射部とすることができる。
【0013】
第2の発明に係る光源装置は、被評価面の光沢又は肌を評価するために前記被評価面に光を照射する光源装置であって、他の部分より暗く照射される暗部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、前記被評価面に反映するように光を照射することを特徴としている。
【0014】
第2の発明では、光源装置によって、他の部分より暗く照射される暗部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、前記被評価面に反映するように光を照射する。そして、被評価面に反映された光源像を観察することにより、被評価面の光沢又は肌が評価される。
【0015】
このように、光源装置を用いて、暗部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を被評価面に反映するように光を照射し、光源像に基づいて、被評価面の光沢又は肌を評価することにより、2次元的に広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができる。
【0016】
第2の発明における暗部を、光が照射されない非照射部とすることができる。
【0017】
上記の第1の発明及び第2の発明において、明部又は暗部と光源像との面積比を、2:10〜8:10とすることが好ましい。また、明部又は暗部と光源像との面積比を、4:10〜6:10とすることがより好ましい。
【0018】
上記の第1の発明及び第2の発明において、2次元パターンにおける明部又は暗部の繰り返し周期を、1〜20mmとすることが好ましい。更に、2次元パターンにおける明部又は暗部の繰り返し周期を、2〜6mmとすることがより好ましい。
【0019】
上記の第1の発明及び第2の発明における明部又は暗部は、分離された複数の明部又は暗部であって、分離された複数の明部又は暗部の各々の面積を、1〜200mmとすることが好ましい。更に、分離された複数の明部又は暗部の各々の面積を、2〜100mmとすることがより好ましい。
【0020】
上記の第1の発明及び第2の発明における明部又は暗部と他の部分との境界において、明るさを離散的に変化させるようにすることができる。
【0021】
上記の第1の発明及び第2の発明において、2次元パターンにおける明部又は暗部の繰り返し周期を、被評価面の凹凸の周期と対応させ、光源装置は、被評価面の肌を評価するために被評価面に光を照射するようにすることができる。
【0022】
第3の発明に係る評価方法は、他の部分より明るく照射される明部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、被評価面に反映するように光を照射する光源装置を用いて、前記被評価面に光を照射し、前記光源装置によって前記被評価面に反映された前記光源像に基づいて、前記被評価面の光沢又は肌を評価することを特徴としている。
【0023】
このように、光源装置を用いて、明部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を被評価面に反映するように光を照射し、光源像に基づいて、被評価面の光沢又は肌を評価することにより、2次元的に広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができる。
【0024】
第4の発明に係る評価方法は、他の部分より暗く照射される暗部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、被評価面に反映するように光を照射する光源装置を用いて、前記被評価面に光を照射し、前記光源装置によって前記被評価面に反映された前記光源像に基づいて、前記被評価面の光沢又は肌を評価することを特徴とする。
【0025】
このように、光源装置を用いて、暗部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を被評価面に反映するように光を照射し、光源像に基づいて、被評価面の光沢又は肌を評価することにより、2次元的に広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができる。
【0026】
上記の第3の発明及び第4の発明において、光源装置によって被評価面に反映された光源像における明部又は暗部の各々の境界に基づいて、被評価面の光沢を評価するようにすることができる。
【0027】
上記の第3の発明及び第4の発明において、光源装置によって被評価面に反映された光源像の二次元パターンに基づいて、被評価面の肌を評価するようにすることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明の光源装置及び評価方法によれば、光源装置によって、明部又は暗部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を被評価面に反映するように光を照射し、光源像に基づいて、被評価面の光沢又は肌を評価することにより、2次元的に広がりを持つ被評価面の光沢又は肌を簡易に評価することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光源装置の構成を示す断面図である。
【図2】明暗部の2次元パターンの例を示す図である。
【図3】通常の蛍光灯の下で塗装板A、Bを観察した結果を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光源装置を用いて塗装板A、Bを観察した結果を示す図である。
【図5】直線状光源を用いて塗装板A、Bを観察した結果を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光源装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、光源装置を用いて、評価者が、目視観察により塗装外観面の光沢を評価する評価方法に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0031】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る光源装置10は、2次元に規則的なパターンで配置された多数の明暗部を備え、明部と暗部の配置が光源面上で2以上の方向にそれぞれ一定間隔で繰り返されるパターンを構成するために、輝度が概略均一な平面光源12と、所定の2次元パターンで配置された透光部及び遮光部を備えた光フィルタ14とを備えている。
【0032】
平面光源12は、例えば、蛍光ランプ12Aと、光拡散板12Bとで構成され、内面が白色であるケース16に収容されている。
【0033】
また、光源装置10は、評価者によって手持ちされるためのハンドル部18を備えている。
【0034】
ここで、光フィルタ14の2次元パターンについて説明する。
【0035】
塗装外観面の凹凸によって乱れた反射光を適切に検出するには、明部と暗部との輝度の差(コントラスト)が大きいことが有利である。このため、光フィルタ14としては、暗部において光を透過させない遮光部が形成されているものが好ましい。また、明部と暗部との境界では、輝度が離散的(ステップ状)に変化することが好ましい。光フィルタ14の好ましい例としては、等間隔に一定の大きさの穴を設けた金属板を挙げることができる。
【0036】
明暗部の2次元パターンは、2以上の方向にそれぞれ一定間隔で明部及び暗部を繰り返すものであれば特に形状の制約はないが、図2(A)〜図2(J)に示すようなパターンを例として挙げることができる。図2(A)〜図2(D)では、2以上の方向に暗部が繰り返し配置され、複数の暗部に分離されており、一方、明部が連続している2次元パターンの例を示している。図2(F)〜図2(I)では、2以上の方向に明部が繰り返し配置され、複数の明部に分離されており、一方、暗部が連続している2次元パターンの例を示している。なお、上記図2(A)〜図2(D)に示す2次元パターンは、暗部が2以上の方向に繰り返し配置されたパターンの一例であり、上記図2(F)〜図2(I)に示す2次元パターンは、明部が2以上の方向に繰り返し配置されたパターンの一例である。
【0037】
また、図2(E)、図2(J)では、2以上の方向に明部及び暗部が繰り返し配置され、複数の明部に分離され、複数の暗部に分離されている2次元パターンの例を示している。
【0038】
また、明部と暗部との面積比は2:8〜8:2(光源像との面積比は2:10〜8:10)が好ましく、4:6〜6:4(光源像との面積比は4:10〜6:10)であればさらに好ましい。これは、明部と暗部との面積比が2:8より小さい場合や、8:2より大きい場合には、明部と暗部の境界同士が接近しすぎて、評価に不適となる傾向があるからである。
【0039】
また、2次元パターンにおける明部又は暗部の繰り返し単位の大きさ(パターン周期)は、1〜20mmが好ましく、2〜6mmであればさらに好ましい。パターン周期が1mmより小さい場合は、光源像がぼやけて評価に適さず、20mmより大きい場合は明部と暗部の境界が少なくなって本発明の効果が発揮されないおそれがあるからである。
【0040】
また、2次元パターンのうち、明部及び暗部の少なくとも一方が、光源面(光源像)において複数の領域に分離されている部分(島状部)である場合の、島状部の面積はパターン周期と同様の理由によって1ヶ所当たり1〜200mmが好ましく、2〜100mmであればさらに好ましい。島状部の面積が1mmより小さい場合は光源像がぼやけて評価に適さず、200mmより大きい場合は明部と暗部の境界が少なくなって本発明の効果が発揮されないおそれがあるからである。
【0041】
上記のような2次元パターンの光フィルタ14を用いて、光源装置10から光を塗装外観面に照射すると、塗装外観面には、明部と暗部(非照射部)とが2次元パターンで配置された光源像が反映される。なお、反映とは、塗装外観面を観察した場合に、塗装外観面に、光源装置10の光源像が写って見えることをいう。
【0042】
次に、上述した光源装置10を用いて、塗装外観面の光沢を評価する評価方法について説明する。
【0043】
まず、光源装置10を評価者が手で持ち、評価したい塗装外観面に光源装置10の光源面(照射面)を向けて、光源装置10からの光を照射し、2次元パターンを持つ光源像を塗装外観面に反映させる。そして、評価者が、塗装外観面を目視観察して、塗装外観面に反映して観察される光源像の明暗パターンの鮮明さを尺度として、光沢の良否を評価する。なお、塗装外観面を写真撮影し、撮影された写真を評価者が観察して、光沢の良否を評価するようにしてもよい。
【0044】
塗装外観面は、塗装面の光学平面とのずれ(凹凸)が少ないほど良く、光沢の良否は、主として光源像の明部と暗部の境界が明瞭であるかどうかで評価される。
【0045】
次に、本実施の形態に係る手法を用いた実験結果について説明する。
【0046】
試料として、自動車の車体で標準的な構成の塗装を鋼板に施した塗装板A、Bを作製した。塗装板Aと塗装板Bとは、ベース塗料の組成が異なり、表1に示すように塗装板Aのほうが、塗装板Bより光沢が高い。
【0047】
【表1】

【0048】
通常の蛍光灯の下では、塗装板A、Bは、図3に示すように観察され、外観の差は明瞭ではなかった。
【0049】
また、市販の蛍光灯器具に、直径3mmの丸穴がパターン周期4mmで施されたパンチング金網をあてがって、本実施の形態に係る光源装置を作製し、塗装板A、Bに光を照射した。塗装板A、Bを観察した結果を図4に示す。光沢が高い塗装板Aのほうが、より鮮明に光源像の2次元パターンが観察され、その差は非常に大きかった。すなわち、2次元に規則的な明暗パターンの光源像を塗装板の表面に反映する光源装置を用いて塗装板を観察することによって、塗装板の表面に反映される光源像の鮮明さを指標として、光沢の優劣を容易に評価できることが分かった。
【0050】
比較のため、上記の特許文献1と同様にして、直管型蛍光灯の一部をアルミ箔で覆って幅5mmの直線状光源を作製し、上記の塗装板A、Bに光を照射させて観察した。図5に示すように、塗装板Aと塗装板Bとでは、反映して観察される光源像に明瞭な差が認められなかった。
【0051】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る光源装置を用いた評価方法によれば、光源装置を用いて、明暗部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を塗装外観面に反映するように光を照射し、反映して観察される光源像に基づいて、塗装外観面の光沢を評価することにより、2次元的に広がりを持つ塗装外観面の光沢を評価することができる。
【0052】
塗装面の光沢や肌は、主として表面の凹凸形状によって決まる。表面の凹凸は反射光の方向を乱れさせることによって光源像を乱れさせる。光源像は明暗のコントラストが大きい部位で乱れが強調されるため、明暗の境界が多い光源ほど光沢や肌の評価に有利である。従来、主に用いられている直管蛍光灯は、明部の両側に直線状の境界があるのみで、塗装面のうち、非常に限られた部分についてしか評価できないものであった。本実施の形態に係る光源装置は、適度な大きさの明暗パターンが任意の広さに繰り返し配置されているため、光源像が反映される面積部分についてはどの部位についても同時に評価できる。また、このような原理によるため、光源及び被評価面のいずれにも大きさに制約はない。
【0053】
また、明暗部の境界が多いため、光源像の鮮明さを検出しやすく、高感度に評価できる。
【0054】
また、従来の方法では評価対象部位が限られているため、離れた部位の光沢や肌を同時に評価できなかった。本実施の形態に係る光源装置を用いれば、光源像が反映される範囲で光沢や肌を同時に評価できるため、部位間で光沢や肌が異なるかどうかを1回の評価で明らかにでき、塗装面上での場所による光沢や肌の変動を評価できる。
【0055】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
第2の実施の形態では、光源装置の構成が、第1の実施の形態と異なっている。
【0057】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る光源装置210は、2次元パターンの明部のそれぞれに対応して、同じ輝度の小光源、例えば発光ダイオード(LED)ランプ212Aを複数備えたLEDランプ灯具212と、隣接するLEDランプ212Aの間を遮光する光フィルタ214とを備えている。また、光源装置210は、評価者によって手持ちされるためのハンドル部18を備えている。
【0058】
光フィルタ214の明暗部の2次元パターンは、第1の実施の形態と同様であり、評価したい塗装外観面に光源装置210の照射面を向けて、光源装置210からの光を照射すると、塗装外観面に2次元パターンを持つ光源像が反映される。
【0059】
なお、第2の実施の形態に係る光源装置210を用いた評価手法は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
このように、本実施の形態に係る光源装置は、複数のLEDランプとパターンフィルタで構成できる簡素な構造であるため、容易に手に持って操作可能な装置とすることができる。
【0061】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る光源装置は、第1の実施の形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
第3の実施の形態では、塗装外観面の肌の良否を評価している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0063】
肌の良否を評価する場合において、塗装外観面の凹凸周期と塗装外観面に反映した光源像のパターン周期とが近似するときに、凹凸の検出感度が高い傾向がある。このため、第3の実施の形態に係る光源装置10では、評価の対象とする肌の凹凸周期に合わせたパターン周期の2次元パターンを持つ光フィルタ14を選択して用いる。
【0064】
次に、上述した光源装置10を用いて、塗装外観面の肌の良否を評価する評価方法について説明する。
【0065】
まず、光源装置10を評価者が手で持ち、評価したい塗装外観面に光源装置10の照射面を向けて、光源装置10からの光を照射し、2次元パターンを持つ光源像を反映させる。そして、評価者が、塗装外観面を目視観察して、反映して観察される明暗パターンが規則的であるか否かを尺度として、肌の良否を評価する。
【0066】
このように、光源装置を用いて、明暗部が2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を塗装外観面に反映するように光を照射し、反映して観察される光源像に基づいて、塗装外観面の肌の良否を評価することにより、2次元的に広がりを持つ塗装外観面の肌の良否を評価することができる。
【0067】
また、評価の対象とする凹凸周期に合った光源のパターン周期の光学フィルタを選択して、光源装置に適用することにより、感度の高い肌の評価が可能である。
【0068】
なお、上記の実施の形態において、光学フィルタの2次元パターンを、場所により異なる複数のパターン周期を採用するパターンとするように構成してもよい。これによって、複数の波長での肌評価に適する光源装置とすることができる。
【0069】
また、塗装外観面の肌の良否を評価すると共に、上記の第1の実施の形態で説明した方法により、同時に光沢の良否を評価するようにしてもよい。塗装外観は、塗装面の光学平面とのずれ(凹凸)が少ないほど良く、凹凸の波長が短いものは光沢、長いものは肌の良否に関わる。光沢の良否を、主として光源像の明部と暗部の境界が明瞭であるかどうかで評価し、肌の良否は、主として光源像のパターンが規則的であるかどうかで評価するようにすればよい。
【0070】
また、塗装外観面の光沢又は肌の良否を自動的に評価する評価装置に本発明を適用してもよい。この場合、評価装置では、光源装置10が、評価対象の塗装外観面に光を照射するように設置されており、画像撮像部によって、光源装置10によって塗装外観面に反映された光源像を撮像する。また、評価装置は、画像撮像部から出力される濃淡画像に基づいて、従来既知の手法を用いて、塗装外観面の光沢又は肌の良否を評価する。
【符号の説明】
【0071】
10、210 光源装置
12 平面光源
12A 蛍光ランプ
14 光フィルタ
18 ハンドル部
212A LEDランプ
212 LEDランプ灯具
214 光フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被評価面の光沢又は肌を評価するために前記被評価面に光を照射する光源装置であって、
他の部分より明るく照射される明部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、前記被評価面に反映するように光を照射することを特徴とした光源装置。
【請求項2】
前記他の部分を、光が照射されない非照射部とした請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
被評価面の光沢又は肌を評価するために前記被評価面に光を照射する光源装置であって、
他の部分より暗く照射される暗部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、前記被評価面に反映するように光を照射することを特徴とした光源装置。
【請求項4】
前記暗部を、光が照射されない非照射部とした請求項3記載の光源装置。
【請求項5】
前記明部又は前記暗部と前記光源像との面積比を、2:10〜8:10とした請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項6】
前記明部又は前記暗部と前記光源像との面積比を、4:10〜6:10とした請求項5記載の光源装置。
【請求項7】
前記2次元パターンにおける前記明部又は前記暗部の繰り返し周期を、1〜20mmとした請求項1〜請求項6の何れか1項記載の光源装置。
【請求項8】
前記2次元パターンにおける前記明部又は前記暗部の繰り返し周期を、2〜6mmとした請求項7記載の光源装置。
【請求項9】
前記明部又は前記暗部は、分離された複数の前記明部又は前記暗部であって、
前記分離された複数の前記明部又は前記暗部の各々の面積を、1〜200mmとした請求項1〜請求項8の何れか1項記載の光源装置。
【請求項10】
前記分離された複数の前記明部又は前記暗部の各々の面積を、2〜100mmとした請求項9記載の光源装置。
【請求項11】
前記明部又は前記暗部と前記他の部分との境界において、明るさを離散的に変化させた請求項1〜請求項9の何れか1項記載の光源装置。
【請求項12】
前記2次元パターンにおける前記明部又は前記暗部の繰り返し周期を、前記被評価面の凹凸の周期と対応させ、
前記被評価面の肌を評価するために前記被評価面に光を照射する請求項1〜請求項11の何れか1項記載の光源装置。
【請求項13】
他の部分より明るく照射される明部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、被評価面に反映するように光を照射する光源装置を用いて、前記被評価面に光を照射し、
前記光源装置によって前記被評価面に反映された前記光源像に基づいて、前記被評価面の光沢又は肌を評価する
ことを特徴とする評価方法。
【請求項14】
他の部分より暗く照射される暗部が、2以上の方向に繰り返し配置された2次元パターンを持つ光源像を、被評価面に反映するように光を照射する光源装置を用いて、前記被評価面に光を照射し、
前記光源装置によって前記被評価面に反映された前記光源像に基づいて、前記被評価面の光沢又は肌を評価する
ことを特徴とする評価方法。
【請求項15】
前記光源装置によって前記被評価面に反映された前記光源像における前記明部又は前記暗部の各々の境界に基づいて、前記被評価面の光沢を評価する請求項13又は14記載の評価方法。
【請求項16】
前記光源装置によって前記被評価面に反映された前記光源像の前記二次元パターンに基づいて、前記被評価面の肌を評価する請求項13〜請求項15の何れか1項記載の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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