説明

光源装置

【課題】光源装置に具備されたキセノンランプのアークのチラツキを低減し、該キセノンランプから放射される光の安定度を高めた光源装置を提供すること。
【解決手段】キセノンランプ2に供給される電流は、ランプハウス4の上方に設けられた給電端子21から、給電線11を介して陽極5、陰極6に流れ、給電線10を介して給電端子21へと流れる。給電線10、11は、給電線10,11に電流を流すことで発生する磁界の方向と、キセノンランプ2の電極間に流れる電流の方向とにより発生する電磁力の方向が、キセノンランプ2の電極間に発生したアークを鉛直下方に押さえつける方向に働くように配置されている。このため、ガス対流の影響でアークが浮き上がるのを抑制し、放電アークが不安定になることを防ぎ、チラツキを低減化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光源装置に関する。特に、デジタル・ライト・プロセッシング(DLP:テキサス・インスツルメンツ社の登録商標)技術を用いた映画等に利用されるキセノンランプ用光源装置であって、該光源装置に配置されるキセノンランプのアークを安定させる為の構成に特徴をもつ光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映画館等で映像を投射する光源装置には、放電空間内にキセノンガスを封入したキセノンランプが広く使われている。また、該光源装置は、非常に大型のものであり、広い設置面積が必要であった。しかし、近年のデジタル技術の発展に伴い、従来、フィルムを介して提供していた映像をデジタル画像として供給する技術が開発された。
これに伴い、該光源装置は液晶画面やデジタル・ミラー・デバイス(DMD:テキサス・インスツルメンツ社の登録商標)上に形成されたデジタル画像を拡大投影するタイプへの移行が始まり、該光源装置自身は小型の装置が求められるように成ってきた。また、該光源装置に配置されるキセノンランプも、従来のキセノンランプに比べて小型化が求められ、その開発が進められている。
【0003】
一方、DLP(登録商標)技術に代表されるような、デジタル画像をスクリーン上に投影する場合、画像の高画質化が求められ、該光源装置に配置されるキセノンランプから放射される光に対しても、高い安定性が求められている。
ここで、キセノンランプは、使用時間が長くなるとチラツキが生じ易くなるが、この理由は以下の通りと考えられている。
キセノンランプは、点灯する場合に、直流電流を印加して点灯している。このため、電極は、陰極と陽極とに分けた設計が成されている。一般的に、陽極は、体積が大きく、高融点金属材料、具体的には、純タングステン金属材料から形成されている。また、陰極は、体積が小さく、易電子放射性物質(いわゆるエミッタ物質)を含有した高融点金属材料が使用されており、具体的には、タングステンにトリウムを含有したトリウムタングステート(略してトリタンと称する)電極が使用されている。このトリタン電極で形成された陰極からは、ランプ点灯時に熱電子が放出され放電を維持している。一般的に放電ランプにおいては、金属材料を加熱することで、金属材料中の電子を熱電子として放出するが、電極にエミッタ物質を含有させることにより、金属材料の加熱が少なくても熱電子を容易に放出することが可能となる。
【0004】
ここで、該陰極にトリウムを含有させることで、容易に電子放出されるため、低エネルギーでの熱電子放出が可能となる。ランプ点灯初期には、陰極先端全体に亘り該トリウムが十分に存在しており、低エネルギーでも容易に熱電子放射が成され、該ランプの放電は安定している。
しかし、長時間点灯することで、該トリウムは該陰極先端の表面部分から徐々に蒸発等するため、該陰極の先端に含有されるトリウムの量が減少し、該陰極先端から熱電子放出が困難となる。この場合、該陰極はアークを収縮させ単位面積当たりの電気入力を上昇させることで該陰極の温度を上昇させ、該トリウムを介さないで熱電子を放出させることにより、放電を維持しようとする。この時、該陰極の温度を上昇させたことで、該陰極の内部に存在する該トリウムが陰極表面に染み出てくるため、再び熱電子を容易に放出できる状態となる。そこで、該陰極はアークを再び膨張させた状態で放電を維持する。この放電が続くことで、該陰極表面に染み出てきたトリウムが再び蒸発し、トリウムの枯渇状態となり、上述のように陰極の温度を上昇させる方向にアークが絞られる。このアークの膨脹収縮を繰り返す中で、収縮時に熱電子が放出し易い場所は一定ではなく、アーク発生位置が移動する。このアーク発生部の移動とアークの膨張収縮がアークのチラツキを発生する原因となる、と考えられる。
【0005】
以上のようにキセノンランプは、使用時間が長くなるとチラツキが生じ易くなるが、キセノンランプをDLP(登録商標)等の光源装置として利用する場合には、キセノンランプから放射される光を安定化させることが必要である。このため、キセノンランプの放電アークを安定させる種々の試みが成されており、例えば、特許文献1や、特許文献2等が知られている。
特許文献1には、放電ランプ内に配置された対向電極の極間を結ぶランプ軸に対して直交する方向に配置された可動磁石を用いて発生する磁力線によりアークのチラツキを制御することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、放電ランプの電極間を結ぶランプ軸に対して平行で、且つ、該ランプ軸に対して点対称に配置された少なくとも3つの導線を具備し、これらに電流を流し磁場を形成し、アークを安定化させる技術が記載されている。特許文献2に開示されるものは、上記点対称に配置された導線に流れる電流により生ずる磁場によりアークをランプの中心軸に向かって圧縮し、アークの輝度密度を高めアークの揺らぎを抑制するものである。
【特許文献1】特開2003−51286号公報
【特許文献2】特開2004−95375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DLP(登録商標)等に利用される光源装置においては、近年、小型化・高輝度化への要求が増大しており、それに応じて使用されるキセノンランプの全長は短く、またランプへの入力電力も大きくなってきている。表1に、従来のキセノンランプと、DLP(登録商標)用小型キセノンランプへの入力電力、電流、全長の一例を示す。
【0008】
【表1】

【0009】
表1は、従来のキセノンランプ(サンプルNo.1、No.2)と、DLP用の小型キセノンランプ(サンプルNo.3、No.4)について、入力電力(kW)、電流(A)、ランプ全長(mm)を各々示したものである。従来のキセノンランプであるサンプルNo.1は、ランプ全長300mm〜350mmのランプであって、入力電力は2kW、点灯時のランプ電流は70〜80アンペア(A)である。一方、DLP用小型キセノンランプにおいて、ランプ全長をサンプルNo.1の300mm〜350mmに合わせると、サンプルNo.4に示すように、入力電力が4kW、ランプ電流が120〜130アンペア(A)となる。また、サンプルNo.2、No.3のように、入力電力と電流値をあわせると、ランプ全長は、従来のキセノンランプが300mm〜400mm必要であるのに対して、DLP用小型キセノンランプでは、225mm〜270mmと非常に短くなっている。つまり、DLP用小型キセノンランプでは、従来のキセノンランプに比べて、ランプ全長は短く、電流値は大きくなる傾向にあることが判る。
【0010】
一方、前述したように、従来からキセノンランプの放電アークを安定させる種々の試みが成されており、例えば特許文献1,2に示されるような手段を設け、アークを安定化させることが提案されている。しかし、上述したようにDLP(登録商標)等に利用される光源装置の小型化が望まれており、このため、上記特許文献1,2で提案されているように、放電アークを安定させるためランプハウス内に可動磁石を配置したり、導線を配置するスペースを確保することが難しくなってきている。また、これらの部材を設けた場合、これらの部材が影となって出射光に影響を与える恐れもある。
【0011】
また、ランプの高輝度化にともない、ランプへの入力電力、電流が増大している。このため、ランプ電流が流れる導線の周囲に生ずる磁界の大きさも大きくなり、また、ランプハウスの小型化によりランプと導体との間に充分な距離を確保できなくなった。このため、ランプ電流が流れる導体の周囲に生ずる磁界がアークに与える影響を無視できなくなった。
図5に、従来の光源装置におけるランプへの給電線の配置例を模式的に示す。
同図において、1は光源装置、2はキセノンランプ、4はランプハウス、10,11は給電線であり、ランプハウス4の前面には、光出射口7である開口が設けられている。また、B1,B2は給電線11,10に流れる電流により生ずる磁界、Bはその合成磁界、Iはランプに流れる電流、Fは磁束Bと電流Iによりアークに作用する電磁力を示す。なお、ランプハウス4内には、ランプ2の光を集光する放物型反射鏡、球形反射鏡などが設けられるが、同図では省略されている。
同図(a)はランプハウス4の下方からランプ2に向かって給電線10,11を伸ばして配置した例であり、ランプ2の下方から給電線10を介してランプ2に電流を流し、ランプ2から流れでた電流を給電線11を介して下方に流す。
この配置の場合、給電線10,11に同図の矢印の方向に電流Iが流れると、右ネジの法則により、給電線10,11の周りに磁束が発生する。
ここで、給電線10,11に流れる電流の方向は逆向きなので、ランプ2の発光部分(真ん中の球形部分、以下バルブ1aという)付近では、給電線10,11による磁束の方向が同一方向となり、給電線10,11に流れる電流による磁界Bは同図に示す方向となる。
また、ランプ2に流れる電流方向は同図のIの方向であるため、上記磁界Bと電流Iにより働く電磁力Fは上向きとなり、ランプ2のアークを上方に持ち上げるように働く。
【0012】
ここで、キセノンランプにおいて、ランプの明るさにチラツキが生ずる原因として、ガス対流の影響によりアークが浮き上がることが上げられる。
一般的にキセノンランプは、対向配置された陰極と陽極とを結ぶランプ軸を水平方向として点灯させる。このため、電極間に形成されるア一クには、放電空間内部に封入されたガスの熱対流により、該アークを鉛直方向上方に持ち上げる力が働く。
しかし、ランプ点灯初期には、陰極に含有されるエミッタ量が豊富であり、陰極から陽極に向かって進むアーク中の電子の流れに勢いがある。このため、上述したガスの対流による鉛直方向上方に持ち上げる力はアーク自身に大きな影響を及ぼすことがない。
【0013】
一方、放電ランプの寿命末期には、陰極に含有されるエミッタの量が枯渇しており、陰極から陽極に向かって進むアーク中の電子の流れが弱くなる。また、該陰極先端の形状も点灯初期と比べると変形(陰極材料の蒸発やエミッタ枯渇時のア一ク集中による局所的な温度上昇等による)している。これらのために、アークが上述の対流の影響を受ける。この時、エミッタ枯渇に伴うアークの膨張、収縮によりアーク発生位置が該陰極上で移動する。また、アーク膨脹時と収縮時とでアーク中の電子の流れる強さが異なり、前記対流に大きく影響される。このため、ガス対流の影響でアークが浮き上がり、安定せず、結果として、ランプの明るさにチラツキが生じることとなる。
したがって、図5(a)に示すようにランプ2のアークを上方に持ち上げるような電磁力が働くと、上記アークの浮き上がりを助長し、一層チラツキを生じさせ易くなる。
【0014】
図5(b)は、給電線10,11をランプハウス4の側方に配置し、ランプ2の横方向から給電線10を介してランプ2に電流を流し、ランプ2から流れでた電流を給電線11を介して横方向に流す。
この配置の場合も、給電線10,11に同図の矢印の方向に電流が流れると、ランプ2のバルブ1a付近では、給電線10,11による磁束の方向が同一方向であり、磁界Bは同図に示す方向となる。
また、ランプ2に流れる電流Iの方向は同図に示す方向であるため、上記磁界Bと電流Iにより働く電磁力Fは横方向となり、ランプ2のアークをランプの中心軸から側方にずらすように働く。このため、前述したよう放電ランプの寿命末期には、ガス対流の影響でアークが浮き上がり、一層チラツキを生じさせ易くなる。
【0015】
以上のように、DPL(登録商標)など光源装置の小型化、高出力化により、給電線に流れる電流が大きくなり、それに伴いこの電流により生ずる磁束のランプのアークへの影響を無視できなくなった。このため、給電線の配置によっては、上記磁束とランプ電流によりランプのアークに不所望な力が働き、ランプのチラツキを増大させるといった問題が生じた。
本発明は上記事情によりなされたものであって、この発明が解決しようとする課題は、DLP(登録商標)等に利用される光源装置において、給電線の配置を選定することにより該光源装置に具備されたキセノンランプのアークのチラツキを効果的に低減させ、該キセノンランプから放射される光の安定度を高めた光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を本発明においては、以下のように解決する。
(1)キセノンランプの一方の端に接続された第一の給電線及び、キセノンランプの他方の端に接続された第二の給電線に電流を流すことで発生する磁界の方向と、該キセノンランプの電極間に流れる電流の方向とにより発生する電磁力の方向が、キセノンランプの電極間に発生したアークを鉛直下方に押さえつける方向に働くように、該第一の給電線、及び、該第二の給電線を配置する。
(2)上記(1)において、ランプハウスの上面にケーブル引き出し端子を設け、給電線を該ケーブル引き出し端子に接続する。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)第一の給電線及び第二の給電線に電流を流すことで発生する磁界の方向と、キセノンランプの電極間に流れる電流の方向とにより発生する電磁力の方向が、キセノンランプの電極間に発生したアークを鉛直下方に押さえつける方向に働くように、該第一の給電線及び第二の給電線を配置したので、アークを鉛直下方に押さえつけることができ、ガス対流の影響でアークが浮き上がるのを抑制し、チラツキを低減化することができる。
(2)ランプハウスの上面にケーブル引き出し端子を設け、ランプとケーブル引き出し端子間を給電線を介して接続することにより、ランプハウス内で給電線を引き回すことなく、ランプと該ケーブル引き出し端子間を最短の給電線で接続することができ、これと同時に、給電線に流れる電流によりアークを鉛直下方に押さえつける電磁力を生じさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(1)実施例1
本発明の第1の実施例を図1に示す。
図1は、キセノンランプ2を具備した光源装置1の構成を示す断面図であり、ランプの両電極間を結ぶ軸を通る鉛直面で切った断面図を示す。
本実施例では、該光源装置1は、キセノンランプ2と反射鏡3を具備したランプハウス4から構成されている。該反射鏡3は、該キセノンランプ2の陰極6側に配置された放物型反射鏡3aと該キセノンランプ2の陽極5側に配置された球形反射鏡3bとから構成されている。
また、該ランプハウス4には、内部に配置された該キセノンランプ2の陽極5側に設けられた光出射口7が形成されている。該キセノンランプ2は、バルブ8内に陰極6と陽極5とが対向配置されており、該陰極6、該陽極5間に放電アーク12が形成される。
また、該バルブ8内にはキセノンガスが、例えば20気圧で封入されている。更に、該キセノンランプ2には、該バルブ8から突出するステム部9が設けられ、該ステム部9の先端には口金部9a、9bが設けられている。本実施例では、陰極6側に配置された口金部9aにはランプハウス4の上方に伸びる給電線10が設けられている。また、陽極5側に配置された口金部9bにもランプハウス4の上方に伸びる給電線11が設けられている。 ランプハウス4の上部には、ねじ23により外部給電線22に接続された一対の給電端子21が設けられ、上記給電線10,11はねじ23により上記給電端子21に接続される。ランプ1に供給される電流は、同図の矢印に示すように給電線11→ランプ1の陽極5→陰極6→給電線10の経路で流れる。
【0019】
図2は、本実施例のランプへの給電線の配置を模式的に示したものであり、1は光源装置、2はキセノンランプ、4はランプハウス、10,11は給電線であり、ランプハウス4の前面には、光出射口7である開口が設けられている。また、B1,B2はそれぞれ給電線10,11に流れる電流により生ずる磁界、Iはランプに流れる電流を示す。
なお、ランプハウス4内の放物型反射鏡、球形反射鏡などは省略されている。
該キセノンランプ2に供給される電流は該給電線11から陽極、陰極を介して給電線10へと流れる。この時、電流の流れる方向に対して発生する磁束の方向は、アンペールの右ネジの法則に従い、電流の進む方向に右ネジを進めた場合に右ネジを回転させる方向と同じ方向になる。
ここでは、ランプ2に電流を流し込む側と、ランプ2から電流が出て行く側との両方の給電線10,11をランプハウス上面からランプ2に接続しており、給電線10と、給電線11とに流れる電流の方向は逆向きである。したがって、同図に示すように、ランプ2のバルブ1a付近では、磁界Bは同図に示すように横方向となる。
また、ランプ2に流れる電流Iの方向は同図に示す方向であるため、上記磁界Bと電流Iにより電極間のアークに働く電磁力Fは下方向となる。このため、アークを下方向に押さえつけ、ガス対流の影響でアークが浮き上がるのを抑制し、チラツキを低減化することができる。
【0020】
このように、ランプ2に電流を流し込む側と、ランプ2から電流が出て行く側との両方の給電線10,11をランプハウス上面からランプ2に接続することにより、アークに下方向に押さえつけ、放電アークが浮き上がるのを防ぎ、放電アークが不安定になることを抑制できる。
特に、該キセノンランプ2の全長が短く、且つ、高輝度を得るために大電流を流すキセノンランプ2においては、該キセノンランプ2自身に電力を供給する給電線10,11の周囲に生ずる磁界も大きくなるが、本実施例のような給電線の配置とすることで、給電線10、11に流れる電流で発生する磁界を十分に抑制することができる。
【0021】
ところで、本実施例ではランプハウス4の上部に一対の給電端子21を設け、ランプ2の口金部9a、9bに接続された給電線10,11を上方に延ばし上記給電端子21に接続している。このように構成することにより、ランプハウス4内で給電線を引き回すことなく、また該ランプハウス内に特別な磁気シールドをすることなく、ランプと該ケーブル引き出し端子間を最短の経路で接続することができる。
なお、給電線をランプハウス内で引き回すと以下の問題が生ずるが、上記構成とすることにより、このような問題が生ずるのを回避することができる。
(i) ランプを点灯させるときに、高圧をかけて点灯させる必要がある。従って、給電線をランプハウス内で引き回すと、絶縁対策が大変となり絶縁材を配置したり、空間距離を取る必要がある。結果として、ランプハウス自身が大型化する。
(ii)給電線には比較的大きな電流が流れるので大きな磁界が発生する。ランプに近接するランプハウス内で給電線を引き回すと、この磁界が前記したようにアークに影響を与える。この影響を無くすために磁力シールドが必要となることが考えられるが、これらを配置すると、設備が非常に大型化し、またコストも高くなる。さらに、ランプハウス内の温度は200度くらいになり、耐熱性も問題になる。
(iii) ランプハウス内は、紫外線が飛び交っている。そのために、給電線をランプハウス内で引き回す場合に、該給電線への紫外線対策としてガラスチューブ等が必要になる。
【0022】
図3は本発明の第2の実施例のランプへの給電線の配置を模式的に示したものであり、 前記したように1は光源装置、2はキセノンランプ、4はランプハウス、10,11は給電線であり、ランプハウス4の前面には、光出射口7である開口が設けられている。なお、ランプハウス4内の放物型反射鏡、球形反射鏡などは省略されている。
図3において、キセノンランプ2に供給される電流は、ランプハウス4の斜め上方向から給電線11を介してキセノンランプ2へ流れ、キセノンランプ2から給電線10を介して、ランプハウス4の斜め上方向へと流れる。
この場合も第1の実施例と同様、該給電線10、11の各々に流れる電流により生ずる磁界Bは、同図に示すように横向きとなり、磁界Bと電流Iにより電極間のアークに働く電磁力Fは下方向となる。このため、アークを下方向に押さえつけ、ガス対流の影響でアークが浮き上がるのを抑制し、チラツキを低減化することができる。
【0023】
図4は本発明の第3の実施例のランプへの給電線の配置を模式的に示したものであり、前記したように1は光源装置、2はキセノンランプ、4はランプハウス、10a,10b,11a,11bは給電線であり、ランプハウス4の前面には、光出射口7である開口が設けられている。なお、ランプハウス4内の放物型反射鏡、球形反射鏡などは省略されている。
図4において、キセノンランプ2に供給される電流は、ランプハウス4の斜め上方から2本の給電線11a,11bを介してキセノンランプ2へ流れ、キセノンランプ2から2本の給電線10a,10bを介してランプハウス4の斜め上方に流れる。
この場合も第1の実施例と同様、該給電線10、11の各々に流れる電流により生ずる磁界Bは、同図に示すように横向きとなり、磁界Bと電流Iにより電極間のアークに働く電磁力Fは下方向となる。このため、アークを下方向に押さえつけ、ガス対流の影響でアークが浮き上がるのを抑制し、チラツキを低減化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例の光源装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施例の光源装置における給電線の配置、磁界の方向、電流方向、電磁力の方向を模式的に示した図である。
【図3】本発明の第2の実施例の光源装置における給電線の配置、磁界の方向、電流方向、電磁力の方向を模式的に示した図である。
【図4】本発明の第3の実施例の光源装置における給電線の配置、磁界の方向、電流方向、電磁力の方向を模式的に示した図である。
【図5】従来の光源装置におけるランプへの給電線の配置例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 光源装置
2 キセノンランプ
3 反射鏡
3a 放物型反射鏡
3b 球形反射鏡
4 ランプハウス
5 陽極
6 陰極
7 光出射部
8 バルブ
9 ステム部
9a,9b 口金部
10,11 給電線
12 放電アーク
21 給電端子
22 外部給電線
23 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウス内に、キセノンランプと、該キセノンランプから放射される光を反射する反射鏡と、該キセノンランプに電力を供給する給電線と、を具備した光源装置であって、 該キセノンランプの一方の端に接続された第一の給電線、及び、該キセノンランプの他方の端に接続された第二の給電線、に電流を流すことで発生する磁界の方向と、
該キセノンランプの電極間に流れる電流の方向と、により発生する電磁力の方向が、
該キセノンランプの電極間に発生したアークを鉛直下方に押さえつける方向に働くように、該第一の給電線、及び、該第二の給電線を配置した
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
ランプハウスの上面に、ケーブル引き出し端子が設けられ、上記給電線が該ケーブル引き出し端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−104861(P2009−104861A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274648(P2007−274648)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】